トップ » スキル » サッカーのパス、小学生でも正確に通す練習法

サッカーのパス、小学生でも正確に通す練習法

カテゴリ:

サッカーのパス、小学生でも正確に通す練習法を、家でもグラウンドでもすぐ実践できる形でまとめました。コツは「フォーム」「評価基準」「判断」の3本柱。難しい専門用語は使わず、目標を数値化し、上達が見えるドリルをたっぷり紹介します。今日から静かに、安全に、しかも楽しく精度を上げていきましょう。

導入:なぜ「正確なパス」は小学生から身につけるべきか

正確の意味と試合での価値

パスの「正確」とは、狙った場所に、受け手が止まらずコントロールできる速さで、狙い通りの回転と弾道で届くこと。試合ではトラップの負担が減り、次のプレーが速くなります。結果としてボールロストが減り、攻撃のテンポが安定します。

小学生でも伸びやすい理由(神経系の発達と学習効率)

小学生は動きを覚える神経の回路が作られやすい時期。細かなフォームやタイミングは、この年代から繰り返すほど身につきやすく、その後のプレー全体の土台になります。

この記事の練習全体像と到達目標

到達目標は「5mの距離で、1m幅のターゲットに80%以上の成功率」「受け手が止まらない強さでワンタッチ交換が10本連続」。壁、2人、3人以上、家練の順に無理なくレベルアップできる構成です。

正確なパスの条件と評価基準

到達地点の誤差(目標からのズレを数値化する)

コーンやマーカーで1m幅のゲートを作り、何本通ったか記録します。10本中何本成功かを毎回ノートに残し、成功率の変化で上達を確認します。

速度とタイミング(受け手が止まらないスピード)

受け手の進行方向1歩前に届くスピードが理想。近距離は転がりが途切れない強さ、中距離は体の前で自然に止められる強さを狙います。

回転と弾道(グラウンダー/浮き球の使い分け)

基本はグラウンダー。混んだ局面では浮き球で相手の足を越える選択も有効。状況に合わせて弾道を選べるとミスが減ります。

判断までの時間(見る→決める→蹴るの短縮)

首を振って情報を先取りし、触る前に「どこへ」「どの強さで」を決める習慣が、精度とスピードを同時に上げます。

まずはフォーム:インサイドキックの基本

軸足の置き方(ボールの横5〜10cm・つま先の向き)

軸足はボールの横5〜10cm、つま先は狙う方向へ。近すぎると詰まり、遠すぎると弱くなります。

足首ロックと面づくり(土踏まずの固い面)

足首を固定し、土踏まずの固い面をまっすぐ作る。親指が寝ると面がブレます。

体の向きとフォロースルー(蹴り抜きでまっすぐ運ぶ)

体と骨盤は狙いに正対。蹴り抜きは低くまっすぐ。大振りは不要です。

当てる位置とミート(ボール中心少し下)

芯を少し下に当て、回転を抑えた素直なグラウンダーを出します。

よくあるミスと改善チェック

体が開いて外へ流れる

対策:軸足つま先をターゲットへ。フォロースルーもまっすぐ。

軸足が遠い/近すぎる

対策:インパクト前に一瞬止まって足位置を確認。ゲート練習で修正。

ひざが伸びてインパクトが弱い

対策:膝を軽く曲げて体重をのせる。小刻みなステップから入る。

足の面が安定しない(親指が寝る)

対策:足首ロックの素振りを10回×3セット。面の角度を固定。

目線がボールだけで相手を見ない

対策:ボール→相手→またボールの順で視線を往復させる癖づけ。

練習環境の作り方(安全・準備・道具)

安全なスペース確保と地面コンディション

平らで滑りにくい場所を選びます。濡れた路面や段差は避けましょう。

1mグリッドのコーン配置で狙いを可視化

コーン2本で1mゲートを作り、距離を3m・5m・8mと段階設定します。

ボール選びと空気圧(学年・号数の適合)

小学生は4号球、中学生以上は5号球が一般的。空気は指で押して少し凹む程度に。

壁・ターゲットの作り方(養生と騒音対策)

壁には養生マットや段ボールを貼ると静かで安全。近隣配慮も忘れずに。

1人でできる壁パスドリル(基礎を固める)

連続10本インサイド(フォーム固定)

距離3〜5m。フォームを崩さず10本連続で同じ強さを目指します。

1mターゲット当て(誤差を測る)

壁に1m幅の目印を作り、10本中の成功数を記録。週ごとに比較。

ワンタッチ壁パス(リズムと面づくり)

リズムは「タッ・タッ」。面を早く作る意識で10本×3セット。

左右交互30本(逆足の底上げ)

右→左の順でテンポよく。逆足の面が崩れたらスピードを落としてリセット。

2タッチ:止めて蹴るの質を上げる

ファーストタッチでボールを体の前に置き、2タッチ目で同じゲートへ。

片足立ちインサイド(体幹と軸安定)

片足立ちの状態で軽いインサイドキック。10本×2セットでバランス強化。

2人でのパス基礎ドリル(距離・精度・テンポ)

5m往復パス(足元へ正確に)

受け手の利き足の内側20cmを狙うつもりで。10往復×2セット。

ワンタッチ限定(テンポと体の向き)

体を開いて半身で受け、1タッチで返す。成功10本を目標。

受け手の前方へ通す(走らせるパス)

受け手の進行方向1歩前へ置く意識で。強さは相手のスピードに合わせる。

逆足限定ラリー(弱点の底上げ)

逆足のみで10本連続に挑戦。面の安定を優先。

2タッチ:ファーストタッチで置く→正確に蹴る

置く位置は「自分の蹴り足の前、足1つ分」。ここが定まると精度が安定します。

3人以上の連携ドリル(角度とレーンの意識)

トライアングルパス(45度の差し込み角度)

三角形の頂点に立ち、45度の角度で差し込み。体の向きを常に前へ。

ダイヤモンド回し(サポートの距離感)

距離は5〜8m。サポートは斜め前、受けてから次のパスまで2タッチ以内。

レーン跨ぎパス(中央・外・ハーフスペース)

3本の縦レーンを意識。外→中央→外の順でテンポよく。

色コール反応(判断スピード強化)

コーチが色をコール。呼ばれたマーカーへ即座に方向転換してパス。

距離別の蹴り分けとボールスピード

近距離3〜5m:面の安定と転がりの質

低く速い転がりを狙い、面のブレをゼロに。足首ロックを最優先。

中距離8〜12m:膝下の振りと体重移動

膝下のしなやかな振り+体重の前移動で伸びるボールを出します。

ロング15〜25m:助走とフォロースルー

2〜3歩の助走から、フォロースルーを長く。体の回転でパワーを伝える。

グラウンダー/浮き球の選択基準

足元が空いていればグラウンダー、相手の足が出るコースでは軽い浮き球で回避。

視野と判断を鍛える(見る→決める→蹴る)

首振りの2秒ルール(事前情報の収集)

ボールが来る2秒前から左右に1回ずつ首を振り、味方と相手の位置を確認。

スキャン→決断→実行のルーティン化

見る→決める→蹴るを声に出してもOK。意識を言語化すると迷いが減ります。

背後情報の確認(後方のプレッシャー)

受ける直前に後ろを一瞥。背後からの寄せに気づくとミスが激減します。

片目バイアス対策:左右スキャンの癖づけ

右→左→正面の順で3点チェック。偏りをなくすと判断が安定します。

動きながら正確に通すためのコツ

斜めのサポート角度(パスラインを作る)

縦一直線ではなく、斜め45度にサポートすると相手に読まれにくい。

オープンボディ(半身で受けて前へ)

体を半身にして受けると、前向きのパスが出しやすく、選択肢が増えます。

ファーストタッチの置き所(次を楽にする)

次に蹴る足の前、進行方向へボール1個分。置き所が精度を決めます。

リターンパスと三角形の循環

一度戻して角度を変える三角形の循環で、相手をずらしながら通す。

試合に近いゲーム形式で仕上げる

4対1ロンド(プレッシャー下の精度)

タッチ数制限なしから開始。奪われたら守備交代で緊張感を保つ。

4対2ロンド(ワンタッチの判断)

攻撃は2タッチ以内→慣れたらワンタッチ縛り。角度と体の向きが鍵。

3対3+2フリーマン(前進のパス選択)

フリーマンを使って前進。足元とスペースの蹴り分けを実戦で磨く。

赤黄コールゲーム(色で瞬時に方向転換)

コーチが色をコールした側へ即座に攻撃方向変更。判断と精度を同時に鍛える。

家でできる小スペース練習(静音・安全)

タオル的当て(転がりを短く静かに)

床にたたんだタオルを置き、そこに沿って転がす。音が小さく、面の確認に最適。

新聞紙ターゲット(軽量で壁を傷つけにくい)

新聞紙を壁に貼って的に。軽い当たりで十分、騒音対策にもなります。

足首ロックの素振り(ボールなしで面づくり)

鏡の前で足首固定→面キープの素振り10回×3セット。

ミニボールで面安定(2〜3号球)

小さいボールは面ブレがすぐバレる。低速で丁寧に。

週2〜3回の練習計画例(30〜60分)

ウォームアップ:関節と動きづくり

足首・股関節の回旋、軽いジョグ、片足バランス各30秒。

技術ブロック:フォーム固定ドリル

壁インサイド10本×3セット、1mゲート当て10本×2セット。

判断ブロック:視野・色コール・制限付き

色コールパス、ワンタッチ縛りでテンポを上げる。

ゲーム形式:ロンド/少人数ゲーム

4対1→4対2へ発展。計10〜15分。

クールダウン:整理運動と振り返り

股関節・ハムストリングのストレッチ、成功率と気づきをメモ。

成長を見える化する方法

成功率の記録(回数/ミスの種類)

「外へズレた/弱かった/強すぎた」などミスの種類も一言で記録。

簡易スピード測定(到達時間で評価)

距離と到達時間をメモ。距離÷時間でおおまかな速さを把握できます。

動画でフォーム確認(角度と面)

横と正面から撮影。軸足位置と足の面、体の向きをチェック。

月ごとの課題設定と振り返りシート

月初に1つだけテーマ設定(例:逆足の面)。月末に達成度を評価。

親や指導者の関わり方(声かけと環境)

プロセスを称賛する声かけ

「面が安定してきたね」「狙いを変えた判断が良い」など過程を褒める。

簡単→難しいの段階設計

静止→2タッチ→ワンタッチ→色コールの順に難度を上げる。

安全配慮とルールづくり

周囲の確認、時間帯の配慮、片付けまでをセットで習慣化。

やりすぎ防止と休養の確保

集中して短く。疲労や痛みがある日は量を減らすか休む。

ケガ予防とコンディショニング

足首・膝周りの強化(バランス系)

片足立ち、つま先立ち、ミニバンドでの膝外側意識。各30秒〜。

ダイナミックウォームアップ(股関節・ハム)

レッグスイング、ランジ、ヒップオープナーで可動域を確保。

クールダウンと柔軟性

ふくらはぎ、ハム、内転筋をゆっくり伸ばす。呼吸を深く。

練習量の目安(頻度・本数・休息)

週2〜3回、各30〜60分。質が落ちたら休息。焦らず継続が近道です。

よくある質問(Q&A)

何歳から始めるのがよい?

ボール遊びはいつからでもOK。パスの基礎は小学生から十分に身につきます。

逆足はどう鍛える?

逆足のみの日を作る、壁当て左右交互30本、短い距離から始めるのが効果的。

体が小さくても強いパスは出せる?

フォームとタイミングで十分補えます。体重移動と面の安定が鍵です。

何号球を使うべき?

一般的に小学生は4号、中学生以上は5号。小スペース練習はミニボールも有効。

家練の騒音・壁対策は?

養生マットや段ボール、新聞紙ターゲット、タオル的当てで静音化できます。

次のステップ:応用の通すパス

スルーパスの考え方(走路とタイミング)

受け手の走路の先へ、相手DFの背中側へ通す。出し手と受け手の合図を共有。

足元とスペースの蹴り分け

安全に前進したい時は足元、相手を外したい時はスペースへ。状況判断で選択。

フリック・ヒール・チップの基礎

まずは止めてから動きの確認→ゆっくり実施→徐々にスピードアップの順で。

受け手との合図と共通言語

「ワンツー」「ターン」「裏」など短い合図をチームで統一すると成功率が上がります。

チェックリストまとめ(今日から実践)

フォーム(軸足・面・フォロー)

軸足はボール横5〜10cm/足首ロック/まっすぐ蹴り抜く。

判断(見る→決める→蹴る)

受ける前に首を振り、選択肢を決めてからボールに触る。

スピード(受け手が止まらない強さ)

近距離は速い転がり、中距離は体の前で自然に止められる強さ。

成功率(ターゲット誤差の減少)

1mゲート10本中8本以上を目標に、記録を継続。

家での再現性(簡易ドリルの継続)

タオル的当て、新聞紙ターゲット、素振りで毎日5分でもOK。

まとめ

正確なパスは、「正しいフォーム」「明確な評価」「素早い判断」の掛け算です。小学生でも取り組めるシンプルなドリルを、短時間でいいので繰り返すこと。1mゲートの成功率や動画チェックで成長を見える化すれば、練習はもっと楽しくなります。今日の一本を丁寧に。明日の一本が変わります。

サッカーIQを育む

RSS