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サッカーの軸足トラップ、中学生向け奪われない止め方

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「サッカーの軸足トラップ、中学生向け奪われない止め方」をテーマに、試合で即使える実践ガイドをまとめました。点を取る・前進するためには、最初のボールの置き所がすべて。軸足(支える足)の足裏で止めるこの技術は、相手に寄せられても“隠せる・向きを作れる・次に繋がる”のが魅力です。ここでは、基礎の型から対人での使い方、家でできる練習、ケガ予防、4週間での習得プランまで、丁寧に整理していきます。

難しい専門用語は避け、合言葉やチェックポイントを多く入れてあります。部活やクラブでの練習にそのまま持ち込める内容にしているので、今日から“奪われない止め方”を積み上げていきましょう。

軸足トラップとは何か—中学生でも使える“奪われない止め方”の基礎理解

定義:軸足(支える足)の足裏でパスを止める技術

軸足トラップは、パスを受けるときに「支える側の足」の足裏でボールを止める(コントロールする)方法です。多くの人が思い浮かべるインサイドトラップは“ボールを迎えに行って止める”のに対し、軸足トラップは“来たボールを体の内側で吸収して止める”のが特徴。足裏の面を使うので、進行方向や相手の寄せに応じて、置き所を微調整しやすいのが強みです。

どんな局面で有効か:背後圧・縦パス・前を向けない場面

  • 背中から寄せられている:相手とボールの間に体を入れやすく、隠せます。
  • 強い縦パスを受ける:速いボールを“当てて吸収”でき、はねずに止められます。
  • 前を向けないとき:半身で受けて、出口(次のパス・運ぶ方向)を確保しやすいです。

インサイドトラップとの違いと使い分け

  • インサイド:前を向ける・スペースに運びたい・味方からの圧が弱いときに有効。
  • 軸足(足裏):相手が近い・背負って受ける・縦を隠したい・ボールの勢いが強いときに有効。

どちらが“正解”ではなく、状況で選ぶのが大事です。相手の距離とスピード、味方のサポート角度が選択の決め手になります。

奪われない止め方の原則—最初に押さえる3つのポイント

体の向き:半身とボールの置き所(相手とボールのライン)

腰と肩を45度ほど開いた半身で受け、「相手—自分—ボール」の順になるようにボールを体の内側に置きます。キーワードは「ボール半個外」。体の真下ではなく、相手から半個分外(自分の体寄り)に置くと、足を伸ばしても届かず、次の一歩が出しやすいです。

視野とスキャン:受ける前の首振りと情報量

  • 受ける前に最低2回:パスが出る前と出た直後に首を振る。
  • 見る順番:相手の位置→味方のサポート→スペースの有無。
  • 合言葉:「見る・向く・置く」。見るが最初、置くは最後です。

コンタクトの質:足裏の面を“当てて吸収”する

足裏を固めてボールに“ぶつける”のではなく、当てた瞬間に足首と膝を少し緩めて、ボールスピードに合わせて数センチ引くイメージ。摩擦でボールの勢いを殺し、はね返りを防ぎます。

フォーム分解:軸足裏で止めるまでの5ステップ

アプローチ:最終1歩の減速と角度づけ

最後の1歩でブレーキをかけ、半身の角度(約45度)を作ってから受けます。減速ができていないと、接触が強くなりミスが増えます。足音を“トン→スッ”にする意識が効果的です。

軸足の設置位置:ボールラインをまたがない

軸足はボールライン(ボールの進行ライン)の外側に置きます。ラインをまたぐと足に当たってコントロールが乱れたり、相手に触られやすくなります。軸足とボールの距離は足半分〜1足分が目安。

足裏の面づくり:つま先の向きと足首の固定・緩めの切り替え

  • つま先はやや外向き:面が大きく使えます。
  • 接触の前に固定→当てた直後に緩める:面の安定と吸収を両立。

減速と吸収:ボールスピードに合わせた引きの距離

弱いパスは2〜3cm、強いパスは5〜10cmほど後ろに“スッ”と引いて吸収。引きすぎは体の真下に入り過ぎるので禁物。常に「ボール半個外」をキープします。

次の一歩:止めた瞬間に“運ぶ”か“隠す”か

  • 運ぶ:相手が遠い→ファーストタッチ後に前or斜めへ1歩で加速。
  • 隠す:相手が近い→お尻と肩を入れて、相手とボールの間に体を差し込む。

守備者を外す“奪われない”受け方—シールドとフェイクの組み合わせ

体を入れる:肩・前腕・お尻の位置でボールを隠す

接触は反則にならない範囲で“面を作る”意識。肩は軽く触れる程度、前腕は相手との距離感をコントロール、お尻は相手の進路を消す位置に。顔は下げず、常に出口(パス/ドリブル)を探します。

半身で受ける:45度の身体角と出口の確保

真横でも真正面でもなく、45度。出口を2つ以上(前・横、または横・後ろ)用意しておくと、相手の重心をずらして外しやすいです。

相手の重心を見る:寄せのタイミングに合わせて置き所を変える

  • 相手が前足に乗った瞬間:逆方向に置く。
  • ステップが詰まったら:ボールを体側に引いて隠す。

ワンタッチ目で外す:受けてからではなく“受けながら”ずらす

足裏で触ると同時に、5〜10度だけ面を斜めにして“ずらし止め”。完全停止ではなく、1タッチ目から相手の足の届かない角へ逃がします。

中学生向け 段階別ドリル(基礎→対人→ゲーム)

一人練習:壁当て×軸足トラップ(距離・強度・角度の調整)

  • 距離:3m→5m→7m。遠くなるほど吸収距離を長く。
  • 強度:弱→中→強。強のときは5〜10cm引く。
  • 角度:正面→45度→背中気味(半回転)。
  • 本数目安:各20本×3セット。成功基準は「ボール半個外で止まる」。

二人練習:矢印パスと半身の受け(コーチングワード付き)

パサーは“矢印”(足の向き)で出口を示し、レシーバーは「見る→向く→置く」を声に出して受ける。パスの強弱を変え、吸収の距離調整を習慣化します。

対人制限ドリル:背後圧1枚・2タッチ以内・出口指定

  • 背後から1人寄せる→受け手は2タッチ以内で出口(右/左)へ。
  • 守備者は手を使わず、ステップで圧のみ。攻撃者はシールドの角度を意識。

ポジション別応用:CBの縦受け・IHの縦パス受け・FWのポスト

  • CB:前からのプレス回避。軸足で止めて、外側CB/SBへ展開。
  • IH:縦パスを半身で受け、1タッチで外へずらす→前進。
  • FW:背負って受けて足裏で隠し、落としorターンの二択を迫る。

よくあるミスと修正コーチング

ボールが体の真下に入りすぎる→“ボール半個外”に置く意識

修正法:地面にマーカーを置き、「足先からボール半個分内側」の位置に止めるルールで反復。声かけは「外で止める」。

軸足がボールラインを越える→踏み込み幅の調整

修正法:最終歩の幅を10〜15%短く。踏み込み前に小さくブレーキの“タメ”を作る合図「トン→スッ」。

目線が落ちる→受ける前後のスキャン回数ルール化

修正法:「パス前1回、出た直後1回」の最低2回を声に出して確認。見た情報を言語化(“右空き”“戻し”)。

パスが強すぎる・弱すぎる→合図と言葉の合わせ方

修正法:強いパスは「強めいくよ」、弱いパスは「置くよ」と事前共有。足音(踏み込みのタイミング)で強度を合わせる習慣を作る。

利き足・逆足の伸ばし方—“どちらでも止められる”ための設計

左右対称メニュー:回数・角度・スピードの均等化

片側だけ得意にならないよう、総タッチ数は左右同数。強度・距離・角度も揃えると、逆足の伸びが早まります。

逆足限定ゲーム:制限を使った成功体験づくり

5分×2本で“逆足足裏での受け限定”ルール。成功したら+1点など、ポジティブに競争を作ります。

壁当ての負荷設計:距離×強度×角度の段階表

  • Level1:3m・弱・正面→成功率80%まで。
  • Level2:5m・中・45度→成功率70%まで。
  • Level3:7m・強・半回転→成功率60%まで。

身体づくりと可動域—軸足トラップの安定を支える要素

足首可動域と足裏の使い分け

足首の背屈(つま先を上げる動き)が硬いと、面づくりが不安定に。壁ドリル(膝つま先タッチ、左右各10回×2)で改善します。足裏は母趾球〜小趾球まで面を大きく意識。

股関節の内外旋と半身姿勢の安定

半身を作るには股関節の回旋が重要。90/90シット(左右各30秒×2)で可動を引き出し、受けの角度を作りやすくします。

体幹の抗回旋(相手の接触でもブレない)

バンド・パロフプレス(10秒×6セット)で、押されてもブレにくい体幹を養成。対人での安定が増します。

短時間でできる補強・モビリティ

  • カーフレイズ(20回×2)
  • サイドプランク(左右各30秒×2)
  • ヒップヒンジ(15回×2)

安全とケガ予防—足裏トラップのリスク管理

滑り対策:足裏コンタクトの摩擦と地面状況の確認

雨・砂が多い・芝が長い日は滑りやすく、足裏の摩擦が落ちます。ウォームアップで「足裏接触の確認」を必ず実施し、止まり具合をチェックしましょう。

スパイク・トレシューの選び方(グラウンド別)

  • 天然芝:FG/SG。スタッドが長すぎると引っかかるので注意。
  • 人工芝:AG/TF。均一な摩擦で足裏タッチが安定。
  • 土:HG/TF。土ぼこりで滑る日は、タッチ前に面を大きく作る意識を強める。

成長期の配慮:距骨・膝への負担と練習量管理

成長期は関節に負担が出やすい時期。連日強度の高い対人は避け、週2日は“基礎と回復”の日に。違和感が出たら、強度を落としてフォーム確認に切り替えましょう。

試合で使う判断基準—軸足トラップを“使う/使わない”の見極め

使うべき場面:背負って受ける・縦を隠したい・相手の寄せが速い

寄せが速いほど、足裏で“隠してずらす”価値が上がります。背負い時の第一選択肢にしやすい技術です。

避けるべき場面:前向きで広いスペースがある・足裏禁止の環境

前向きで空いているなら、インサイドで前進が最短距離。チームや指導方針で足裏トラップを制限するケースもあるので、事前に確認しましょう。

味方との約束事:サポート角度と“出口”の共有

受け手が半身なら、パサーは“逆側の出口”にサポート。合言葉は「出口見える?」。出口の共有があると、ワンタッチで外せます。

ビルドアップ/前進の中での役割

  • ビルドアップ:最初にプレスを外す“止めの質”が命。
  • 前進:軸足で隠して、前向きの味方へ角度を作る。

家でできる時短メニュー—毎日5分の積み上げ

朝の3分:足首・股関節の準備運動

  • 足首ぐるぐる(各20回)→背屈壁ドリル(左右各10回)
  • 90/90シット(左右30秒)

放課後5分:壁当て×軸足トラップ(本数・目標)

  • 3m・中強度・45度×各20本(左右)。成功率80%を目指す。

試合前:低強度のタッチ確認ルーティン

近距離で弱パス×10本→ずらし止め×10本。足裏の感触と吸収距離の最終チェック。

4週間習得プランとチェックリスト

Week1:フォームと置き所の固定化

「半身」「ボール半個外」を徹底。壁当て合計200本/週。

Week2:半身とシールドの質向上

肩・前腕・お尻の“面づくり”練習。二人練習15分×3回。

Week3:対人・制限付きゲームへの移行

背後圧1枚・2タッチ以内・出口指定で、奪われない受けを実戦化。

Week4:試合での使用回数と成功率の記録

出場時間内での「軸足受け回数」「成功(奪われない)率」を記録。次週の課題に反映。

チェックリスト:奪われない止め方の到達指標

  • 受ける前に最低2回スキャンできたか。
  • ボール半個外で止められたか。
  • 相手の寄せで置き所を変えられたか。
  • 1タッチ目で“ずらし止め”ができたか。
  • 逆足でも同じ質で行えたか。

保護者・指導者のサポート方法

声かけ例:観る・向く・置くを整える言葉

  • 「今、何が見えた?」(スキャンの促し)
  • 「出口はどっち?」(半身と角度の確認)
  • 「外で止めよう」(置き所の固定)

観察ポイント:受ける前後の首振り・体の傾き・接触の質

首振りの回数、半身角度、接触時のブレの少なさをチェック。映像があれば“止めた瞬間の静止画”で確認すると、置き所のズレが分かります。

練習環境づくり:スペース・ボール・壁の工夫

3〜7mの直線が取れるスペース、反発のある壁やリバウンダー、空気圧が安定したボールを用意。地面が滑る日は負荷を下げ、フォーム確認に切り替えましょう。

よくある質問(Q&A)

足裏トラップは“禁止”と言われることがある?使い分けの考え方

チーム方針や年代によっては、足裏の多用を避ける指導がある場合もあります。ポイントは“状況で使い分ける”こと。前向きに広いスペースがあるならインサイド、背負って寄せが速いなら足裏。目的は「奪われない・前進できる」ことです。

室内や狭い場所での練習方法は?

短い距離(2〜3m)で弱パスの壁当て、ボールタッチラダー(足裏→インサイド→足裏)を30秒×3。床が滑る場合は、シューズのソールを乾いた布で拭いて摩擦を確保しましょう。

小学生でも取り組めるアレンジは?

「止めたらコーンタッチ」など、動作をシンプルに。合言葉は「見る→向く→外で止める」。回数は少なめ(各10本)で成功体験を重ねるのがコツです。

まとめ—“奪われない”軸足トラップを武器にするために

習得の鍵:体の向き・視野・置き所の一貫性

半身で受ける→受ける前に見る→ボール半個外に置く。この3点が揃えば、相手の寄せが速くても奪われにくくなります。足裏は“当てて吸収”。強いパスほど落ち着いて、引く距離で調整しましょう。

次のステップ:受けながら運ぶ・方向転換への接続

ワンタッチ目で“ずらし止め”→即一歩で運ぶ、またはシールドで隠して味方へ。4週間のプランとチェックリストで振り返りを続ければ、試合での使用回数と成功率は着実に伸びます。毎日の5分を積み上げ、軸足トラップをあなたの“奪われない止め方”の武器にしてください。

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