オフの間に伸びる選手には共通点があります。感情ではなく事実から逆算し、限られた時間と体力を最も伸びる所に投資していること。この記事では「サッカーのオフシーズントレーニングで差がつく逆算メニュー」をテーマに、測定→目標→期分け→週次→1日の流れまで、コピペして自分用に調整できるレベルで具体化します。科学的に妥当で、現場でも回せるシンプル設計。派手さは不要、再現性が勝ちです。
目次
- オフシーズンに差がつく理由と全体像
- 逆算思考の基本フレーム
- ベースライン測定とKPI設定
- 期分け設計(4〜8週間プランの作り方)
- 週次テンプレート(例:週5日の逆算メニュー)
- 1日のセッション設計
- フィジカル強化:最大筋力ブロック
- フィジカル強化:スプリント・アジリティ
- フィジカル強化:持久力・反復スプリント能力
- テクニック矯正:弱点別ドリル集
- 戦術理解と認知・意思決定
- ポジション別逆算メニュー
- 怪我予防・モビリティ
- 栄養・補食・水分戦略
- メンタル・習慣化の仕組み
- 親のサポートガイド
- 自己管理ツールとデータ活用
- よくある失敗と対処法
- 逆算テンプレートとチェックリスト
- 事例:4週間の逆算プラン例
- FAQ(よくある質問)
- まとめと次のアクション
- あとがき
オフシーズンに差がつく理由と全体像
シーズンの疲労回復と再構築のバランス
オフは「休むか鍛えるか」の二択ではありません。ポイントは、まず深い疲労を抜いてから土台を再構築すること。前半1〜2週は睡眠・栄養・軽い有酸素・モビリティ中心で神経系と関節を回復。そこから徐々に強度を上げ、筋力・スプリント・技術の優先課題へ。疲労を抜かないまま追い込んでも、伸び幅は小さく、故障率が上がります。
一般的準備期と競技特異的準備の違い
一般的準備期(GPP)は、体をまんべんなく強くする時期。可動性、基礎筋力、基本の走力。競技特異的準備(SPP)は、ポジションや役割に直結する質の鍛錬。加速、減速、方向転換、判断スピード、弱足の精度など。オフはGPPで土台をつくり、SPPで勝負所を磨く。この切替ができると、シーズン再開の「効く練習」が段違いになります。
逆算のメリット:ブレない計画と再現性
逆算とは「期日→KPI→週→1日」の順で設計すること。感覚で積み重ねるより、同じ条件で繰り返せるから再現性が高い。さらに、途中で予定が崩れても「どの優先順位を残すか」が明確です。オフごとに同じ型で検証→改善を回せることが、長期の成長速度を上げます。
目標設定の落とし穴と成功パターン
- 落とし穴:抽象目標(「走れるようになる」)→行動に落ちない。
- 成功パターン:具体目標(「30m 4.2秒→4.05秒」「弱足パス90%」)→KPIに連動。
- 落とし穴:やみくもな追い込み→疲労で技術が崩れる。
- 成功パターン:強度と回復の周期化→テストで伸びを確認。
逆算思考の基本フレーム
期日から逆算するゴール設計
期日(例:キャンプ初日)から逆算して、4〜8週間の窓を決めます。ゴールは「数字×行動」で表現します。例:30mスプリントを4.20秒→4.05秒、弱足ショートパス成功率80%→92%、Yo-Yo IR1レベル17→19。
ゲームモデルからKPIを抽出する手順
- 自分の役割を一言で:例「WG:縦突破とカットインでシュート/クロス」
- 役割を行動に分解:0-10m加速、減速→カットイン、弱足クロスの質、スキャン頻度
- KPI化:10mタイム、方向転換角度の安定、クロス精度(10/10本で目標本数)、スキャン/分
SMART/WOOPで目標を行動に落とす
SMARTは具体・測定・達成可能・関連・期限。WOOPは願望→障害→対策→計画。「雨でグラウンド不可」という障害に「屋内ドリルへ差し替え」をあらかじめ用意すると、継続率が跳ね上がります。
ギャップ分析:いま足りない能力の可視化
現状測定→ターゲット→差分(ギャップ)→優先順位。ギャップが大きく、ゲームへの影響が大きい項目から埋めます。迷ったら「加速・減速・弱足」を最優先。勝負所のプレー頻度が高いため、費用対効果が高いです。
ベースライン測定とKPI設定
スピード:10m/30mスプリント計測
- 計測方法:スマホのスローモーション+ライン引き。2人いれば前後から映像。
- 試技:3〜4本、ベスト記録採用。追風・向風の影響が大きいので同方向で。
- KPI例:10m(加速)、30m(最高速への移行)。
持久力:Yo-Yo IR1・反復スプリントテスト
Yo-Yo IR1は試合の上下動に近い能力を把握しやすいテスト。反復スプリントは20m×6〜10本(20〜30秒休息)でタイムの落ち幅を記録。どちらも同条件での再テストが大切です。
パワー:CMJ(垂直跳び)・立ち幅跳び
CMJは両手を腰に当て、反動少なめで3回。スマホアプリで推定跳躍高の計測可。立ち幅跳びは3回、ベスト採用。スプリントの伸びと連動しやすい指標です。
可動性/安定性:片脚スクワット・FMS系チェック
片脚スクワットは膝の内外ブレ、骨盤の安定、深さを撮影で確認。左右差が大きければ、片脚ヒンジやグルート活性を優先。FMS系の動作チェックも参考になります。
技術指標:弱い足パス成功率・1stタッチ・1v1勝率
- 弱足パス:10mのマーカー×20本×3セット、成功率と軌道の安定。
- 1stタッチ:壁パス→方向づけタッチ→次アクション(3秒以内)の成功数。
- 1v1:小スペース(8×12m)での勝率を記録(相手がいなければコーン抜けで代替)。
ゲーム指標:パス前進数・デュエル勝率(映像メモで代替)
練習試合や過去映像で、自分の前進パス数、被奪取、空中戦の勝率をカウント。最低でも10アクション分を記録すると変化が見えます。
計測環境がない時の代替方法と誤差管理
- 芝・土の差→同じ場所・同じシューズで統一。
- タイム計測は「スタート合図→ゴール通過の静止画切り出し」で誤差を小さく。
- 1回の数値より、同条件での推移を重視。
期分け設計(4〜8週間プランの作り方)
デロード週の設置と進捗の守り方
3:1のリズム(3週積む→1週軽く)を基本に、デロード週はボリュームを30〜50%に。可動性・弱点技術の精度を上げる時間に充てると失速しません。
基礎構築期:土台づくりの優先順位
- 最大筋力の基礎(スクワット/ヒンジ/プル)
- 加速スプリントのフォームづくり
- 弱足パス・1stタッチの反復
最大化期:強度と質を引き上げる
重量は安全範囲で漸進、スプリントはレストを長めに確保して「速く走る」を最優先。技術は試合に近い制約を入れます(時間制限、片側プレッシャーなど)。
統合期:フィジカル×技術×認知の接続
小規模ゲーム(3v3, 4v4)とポジショナル要素を組み合わせ、KPIに直結した認知課題(スキャン頻度、優先パスの角度選択)を意識します。
再テストと計画の微修正
2〜4週に一度、同条件で再テスト。伸びないKPIは原因を「疲労・技術・プログラム」の3つに分けて修正します。
週次テンプレート(例:週5日の逆算メニュー)
月:最大筋力+短時間テクニック
- ウエイト:下半身メイン(重め・低回数・長レスト)
- 技術:弱足パス20分、1stタッチ10分
火:技術・認知(弱点矯正)+補助筋
- ポジション技術ドリル40〜60分
- 補助:ヒップヒンジ、肩甲帯、体幹アンチ系
水:スプリント・アジリティ+プライオ
- 0-10m加速×6〜8本、20-30m×4〜6本(十分な休息)
- プライオ:低量・高質(着地重視)
木:オフ/モビリティ・回復セッション
ウォーキング、軽いサイクリング、ストレッチ、睡眠の強化。
金:反復スプリントHIIT+ポジショントレーニング
- RSA:20m×6〜10本×2セット(セット間3〜4分)
- 役割別技術→小ゲーム
土:ゲーム形式(小規模→中規模)+対人
3v3→5v5→7v7の順で負荷を上げつつ、KPIに直結する制約を追加。
日:完全休養と振り返り
トレーニング日誌、簡単なメンタルチェック、翌週の計画更新。
1日のセッション設計
RAMPウォームアップ(可動・活性・ポテンシエーション)
- R(Raise):軽いジョグ、ダイナミックストレッチ
- A(Activate):グルート、コア、肩甲帯
- M(Mobilize):股関節・足首の可動
- P(Potentiate):短いスプリント/バウンディングで神経系を起こす
神経系優先:スプリント→プライオ→ウエイトの順序
最も速さと集中が必要な順に実施。疲れてから速くはなれません。
メイン1(ゴール直結課題)/メイン2(補強課題)
メイン1はKPI直結(例:加速、弱足クロス)。メイン2は弱点補強(可動、体幹、安定化)。
コンディショニングの量と強度の管理
高強度日は短時間で質重視、低強度日に量をとる。RPEとセッションRPEで管理します。
クールダウン・セルフケア・日誌記録
5〜10分の軽い有酸素、ストレッチ、トレーニング日誌(客観×主観)で締めます。
フィジカル強化:最大筋力ブロック
原則:大筋群・低回数・十分なレスト
3〜5回×3〜5セット、レスト2〜3分。フォーム最優先。翌日に響く痛みが出たら見直し。
下半身:スクワット/ヒンジ/片脚系の設計
- スクワット系:フロント/バック
- ヒンジ系:デッドリフト、ヒップスラスト
- 片脚:ブルガリアン、リバースランジ
上半身:プッシュ・プルのバランス
プッシュ(ベンチ/プッシュアップ)とプル(ロウ/プルアップ)を1:1で。肩の健全性を守る配分です。
体幹:アンチローテーション・アンチエクステンション
デッドバグ、パロフプレス、ハーフニーリングロウなど。動かない力が、動きを安定させます。
進捗管理:%1RM/RPE/リニア進法
週ごとに2.5〜5kgの漸進、またはRPE7→8→9→デロード。疲労でフォームが崩れる前に止める。
ジムが使えない場合の自重・バッグ代替
- バックパックに水/砂で加重スクワット
- 片脚ヒップヒンジ、段差ブルガリアン
- タオルロウ、ドアフレームプル、遅いテンポで強度確保
フィジカル強化:スプリント・アジリティ
加速(0-10m)とトップスピード(20m+)の分離強化
- 加速:0-10m×6〜8本(完全休息)
- 最高速:20-30m×4〜6本(フォーム重視)
ポイント
- 前傾角度、足の真下接地、腕振りのリズム
- 1本ごとに動画確認→微修正
プライオメトリクス:量と着地の質
ジャンプは少量高質(計40〜60コンタクト/日)。静止→跳ぶ→静止で制御。着地で膝が内に入らないことを徹底。
方向転換(COD)と減速スキル
減速は怪我予防と1v1の要。5-10-5、Tテスト、角度90°の切り返しをゆっくり→速くの順で。足首と股関節の曲がりを意識し、上体はブレずに。
反応ドリル:視覚・音・判断の組み込み
色コーンでランダム指示、相手の動きに対する反応スタート、音合図スプリント。認知→決定→実行をつなぎます。
フィジカル強化:持久力・反復スプリント能力
フィールドHIIT:時間配分とレスト設計
例:15秒全力→45秒ゆっくり×10〜16本。週1〜2回。質が落ちたら終了、翌日に残さない。
シャトル走・折り返しの競技特異性
10-20-10mの折り返しで減速・方向転換を伴う心肺負荷。フォームが崩れない範囲で本数を管理。
Yo-Yoテスト対策の練習法
短い往復に慣れることが対策。テンポ走(20m往復×20〜30本、合図付き)でペース感を作ります。
回復走とアクティブリカバリー
低強度のジョグやサイクリング20〜30分、呼吸を整える。翌日の質を上げるための回復は練習の一部です。
テクニック矯正:弱点別ドリル集
弱い足のパス・クロス精度を上げる反復
- 10m×20本×3セット、目標は軌道と速度の再現性
- 弱足クロス:ミニゴールへ10本×3セット(角度を3種)
1stタッチ(体の向き・接地・次アクション)
壁パス→オープン受け→方向づけタッチ→次のパス/シュート。3秒ルールで素早さを測る。ボールの接地面と足首の固定を意識。
1v1突破と守備:間合い・誘導・身体操作
攻撃は「肩をずらす→一歩で抜く」。守備は「片足リード→外へ誘導→遅らせる」。ミラードリル(相手の動きに遅れて追随)で身体の使い方を磨く。
フィニッシュ:インステップ/インサイドの使い分け
インステップは威力、インサイドはコントロール。距離・角度で使い分けのルールを自分に作ると迷いが減ります。
ロングキック:助走・軸足・接触点の整理
助走角度はボールに対して斜め、軸足はボール横、接触は足の甲の硬いエリア。動画で軸足の位置と上体の倒れをチェック。
戦術理解と認知・意思決定
自分のゲームモデルを言語化する
攻撃・守備・トランジションで「自分は何を優先するか」を一文で書く。意思決定の基準が明確になり、迷いが減ります。
ポジショニングゲームで原則を体現する
3色トレーニングやロンドで、角度・距離・ライン間を意図的に取る。制約(2タッチ、縦優先)で原則を染み込ませる。
スキャン頻度とタイミングの習慣化
「ボールが動く前・受ける前・受けた直後」に1回ずつ視線を外へ。1分で5〜6回のスキャンを目安に。
映像レビュー:個人KPIの抽出と改善サイクル
自分の関与シーンだけを切り出し、良否の理由を書き出す。次の練習で検証→再映像化の循環を回すと伸びが加速します。
ポジション別逆算メニュー
GK:反応・1対1・キック精度の優先順位
反応ステップ、ブロッキング姿勢、スロー/キックの到達点再現性。片脚バランス×キックは必ず組み合わせて。
CB/SB:空中戦・対人・ライン統率
ジャンプ→着地→2歩目でアタックの流れ、対人の遅らせ→刈り取り、外向きの誘導。縦スプリント10〜20mの反復も。
CM:スキャン・前進パス・切り替え強度
受ける前のスキャン回数、縦/斜めの前進パス本数、ロスト後の3歩ダッシュをKPI化。
WG:加速・縦突破/カットイン・クロス質
0-10m加速、切り返し90°、弱足クロスの精度。左右サイドでの同一ドリルで再現性を作る。
CF:裏抜け・ポストプレー・フィニッシュ多様性
オフサイドラインの駆け引き、体の向きで収めるポスト、1タッチ/2タッチの使い分け。マイナスのパスへのステップ調整も練習。
怪我予防・モビリティ
ハムストリング予防:Nordic・加速後ケア
週2回のノルディック×2〜3セット(低回数)。スプリント後は軽いハムの収縮運動→ストレッチでケア。
足首可動性と減速時の安全性
カーフストレッチ、足関節の曲げ動作の確認。減速時は膝だけでなく股関節と足首で吸収する意識を。
股関節・骨盤安定:グルート活性
クラムシェル、ヒップエクステンション、ミニバンド歩行。片脚着地の安定が上がります。
コンタクト対策:頸部・肩甲帯の準備
アイソメトリックの首トレ、Y-T-Wの肩甲トレ。接触での姿勢保持に役立ちます。
睡眠・荷重管理でリスクを下げる
睡眠はまず時間を確保(目安7〜9時間)。週の総走行距離と高強度回数を急に増やさない。
栄養・補食・水分戦略
エネルギーバランスと体組成の目標設定
筋力を伸ばしたい時は軽いプラス、体を絞りたい時は軽いマイナス。極端はNG。週の体重推移で調整します。
タンパク質摂取目安とタイミング
目安は体重1kgあたりおおよそ1.6〜2.2g/日を複数回に分けて。運動後の早めの補給は回復を助けます。
炭水化物の周期化(強度に合わせる)
高強度日は多め、オフ日は控えめ。トレ前後に配分し、練習の質を落とさない設計に。
鉄・ビタミンD・カルシウムの留意点
不足はパフォーマンスに影響することがあります。食事のバランスを意識し、不安があれば専門家に相談を。
練習前後の補食例と水分補給
- 前:バナナ+ヨーグルト、握り飯
- 後:牛乳/豆乳+サンド、和食の定食
- 水分:練習中はこまめに、長時間なら電解質も。
メンタル・習慣化の仕組み
プレパフォーマンス・ルーティン
同じ順番で準備→集中のスイッチを作る。呼吸3回→キーワード→1本目のルーティンなど。
セルフトークと注意の向け先
「速く」より「大きく腕を振る」のように行動に向ける言葉を使うと動きが安定します。
日次チェック項目と習慣トラッカー
- 睡眠時間、RPE、痛みの有無、練習の満足度(1〜5)
- 3日続けたら見える化、7日続けたら小さなご褒美
モチベ低下時のリカバリ・プラン
「5分だけやる」「道具だけ持つ」など開始のハードルを下げる。音楽や仲間との約束も効果的。
デジタルデトックスで集中を守る
練習前後30分は通知オフ。記録は終わってからまとめて。
親のサポートガイド
練習環境・時間の確保を支える
場所と時間が決まれば習慣化しやすい。家族の予定と共有して前日に準備を済ませるサイクル作りをサポート。
食事・送迎・睡眠の現実的サポート
練習後30〜60分での食事、就寝時間の固定、過密日程の送迎負担の調整など、生活の土台を整えることが最大の援護射撃です。
過干渉と見守りの線引き
自分で決める余白を残し、質問で気づきを促す。「今日はどこが良かった?」が効果的です。
ポジティブなフィードバックの言い方
結果より過程(準備、姿勢、集中)を褒める。継続が最も価値のある能力だからです。
自己管理ツールとデータ活用
トレーニング日誌の書き方(量×質×感覚)
「やったこと(量)」「今日の質(主観/客観)」「次回の修正点」を短く。写真や短動画も役立ちます。
RPE/セッションRPEで負荷管理
RPE(主観的きつさ)×時間=セッションRPE。週合計で急増を避ける指標になります。
HRV・睡眠データの読み方(可能なら)
低下や乱れが続けば強度を調整。数字は参考、体感と合わせて判断します。
動画記録でフォームと意思決定を可視化
正面・側面の2方向が理想。小さな変化も見逃さなくなります。
テスト結果の比較表で進捗確認
初回→2週→4週の表を作り、伸びたKPI/停滞KPIを色分け。次の一手が明確になります。
よくある失敗と対処法
やりすぎ・故障リスクの増大
痛みは警告。翌日に残る強い痛みや違和感が続く場合は負荷を下げ、必要なら専門家へ相談を。
強度と量のミスマッチ
高強度×高ボリュームは続きません。高強度は短く、低強度日は長く。
目的喪失:練習が目的化する問題
毎回メイン1つだけにフォーカス。「今日は加速」と決めてから始める。
痛みの無視・我慢文化への対抗策
違和感レベルで止める勇気。代替メニュー(上半身・技術・モビリティ)を用意しておく。
SNS情報に振り回されない基準作り
自分のKPIに効くかどうかで判断。映えるより、伸びる。
逆算テンプレートとチェックリスト
目標・期日・KPIの記入欄
- 期日:
- 主要KPI(3つまで):
- 数値目標:
ベースライン測定とターゲット値
- 10m:現状/目標
- 30m:現状/目標
- Yo-Yo IR1:現状/目標
- 技術KPI(弱足・1st・1v1など):現状/目標
週次プラン(強度・焦点・休養)
- 高強度日(2〜3日):スプリント/筋力
- 中強度日(1〜2日):技術/認知
- 回復日(1〜2日):モビリティ/睡眠強化
1日セッション構成テンプレ
- RAMP→神経系→メイン1→メイン2→コンディショニング→ケア→記録
再テスト日程と振り返り項目
- 再テスト日:
- 伸びた点/停滞点/次の修正:
事例:4週間の逆算プラン例
高校MF:スキャン頻度と前進パスの強化
- KPI:スキャン/分5→7、前進パス本数+30%、Yo-Yo+1レベル
- 週構成:火・金はポジショナル+前進制約、月に下半身筋力、水にスプリント短段階
- 評価:練習試合で前進パスをカウント、映像でスキャン回数を測定
社会人FW:加速とフィニッシュ反復の両立
- KPI:10mタイム-0.05秒、1タッチフィニッシュ決定率+15%
- 週構成:水に加速スプリント、金にRSA+PA内フィニッシュ、月に片脚筋力
- 評価:30本の決定率、走動画の開始2歩での前傾角
育成年代DF:減速スキルと対人の質向上
- KPI:方向転換テストの安定、対人勝率+15%、立ち幅跳び+10cm
- 週構成:火にCOD/減速、水にプライオ低量、土に対人→7v7
- 評価:映像で膝の内反チェック、対人の被突破数を記録
FAQ(よくある質問)
ジムが使えない場合の代替案は?
加重バックパック、片脚種目、テンポ(ゆっくり下ろす)で十分強くなれます。フォームの質を最優先に。
時間がない日は何を削る?
メイン1だけ残す。RAMP→メイン1→ケアで25〜35分のショート版に。
天候が悪い日のメニューは?
屋内でモビリティ+弱足パス(短距離)+体幹。スプリントは翌日に回す。
回復が遅い・常に疲れている時は?
睡眠時間の確保、強度の一時調整、栄養の見直し。痛みが続く場合は無理をせず専門家に相談を。
体が硬い人の最優先課題は?
毎セッションのRAMPで足首・股関節・胸椎を固定メニュー化。動きやすい体が全ての土台です。
まとめと次のアクション
逆算の3ステップを再確認
- 1)期日から目標とKPIを決める
- 2)ベースライン測定→期分け→週/日設計
- 3)2〜4週で再テスト→微修正
今週始める3つの行動
- ベースライン5種を測る(10m/30m、Yo-Yo、CMJ、弱足パス)
- 週5日のテンプレを自分の予定に合わせて調整
- 日誌を作り、RPEと睡眠時間を毎日記録
再テストの予約と習慣化のコツ
2週後と4週後にカレンダー予約。小さな達成を見える化し、継続の報酬にする。逆算は「今日何をやるか」をシンプルにします。
あとがき
オフは静かに自分を変える季節です。派手さよりも、測る→直す→また測るの地味な繰り返しが、シーズンの1プレーに効いてきます。自分のKPIに効くことだけをやる。これが「サッカーのオフシーズントレーニングで差がつく逆算メニュー」の核心です。無理のない範囲で安全に、着実に進めていきましょう。
