サッカーセンターバックのビルドアップのコツとプレスの剥がし方

センターバックの一手でチームの呼吸が整い、相手のプレスが空回りする。そんな試合を増やすために、本記事では「サッカーセンターバックのビルドアップのコツとプレスの剥がし方」を、現場で明日から使える形で解説します。むずかしい専門用語は避けつつ、なぜうまくいくのか、どの順番で考えるのか、どこに立ち、どこに出すのかまで具体的に。練習メニューや計測の指標までセットでまとめるので、個人でもチームでも導入しやすいはずです。

序章：現代のセンターバックに求められる「ビルドアップ力」とは

センターバックが試合のテンポと方向を決める理由

ビルドアップの最初の決断は多くの場合センターバックに委ねられます。ここで「速く縦に差すのか」「一度保持して相手を動かすのか」の選択が、試合のテンポや進行方向を決めます。CBの一歩の運び、半身の向き、パス1本の角度が、相手の陣形を開かせたり固めたりします。後方の判断が丁寧だと、前線は無理をしなくて済み、攻撃が連続します。

プレッシング高度化時代の“プレス耐性”という価値

近年はFWから一気にハイプレスをかけてくるチームが増えています。その中で、CBが落ち着いて前を向ける、相手の足元を見て逆を取れると、それだけで数人分の仕事価値があります。プレス耐性はテクニックだけでなく、受ける角度、スキャンの質、仲間との合図で大きく伸ばせます。

勝敗に直結する前進・脱出の質

ただつなぐだけでは意味がありません。「前進」して相手のラインを越える、「脱出」して圧力から安全に抜ける。この2つの質が上がると、ボールロストが減り、チャンスの回数が増えます。結果として失点も減り、勝率が上がりやすくなります。

用語整理：ビルドアップ／前進／脱出／プレスを剥がす の違い

ビルドアップ＝後方の組み立て、前進＝ラインを越える行為

ビルドアップは主に自陣での組み立て全般。前進は相手の1stライン、2ndラインをパスやドリブルで越える行為を指します。言い換えると、ビルドアップは準備、前進は突破のフェーズです。

脱出＝圧力下からの安全な抜け出し、剥がす＝相手の意図を外す

脱出はピンチをゼロに戻す動きで、リスク低減が目的。剥がすは相手の狙い（寄せ、誘導）を逆手に取って優位を作る行為です。同じ後方でのプレーでも、目的が違うと選ぶ技術が変わります。

“保持”と“加速”の切り替えポイント

相手のプレス密度が高いときは保持で相手を動かし、密度が薄くなった瞬間に加速（縦・対角）。切り替えの合図は「相手の体の向きが揃った時」「誰かが2人引きつけた時」「逆サイドのウイングがフリーを作れた時」です。

ビルドアップの原理原則：優先順位と判断基準

原則1：前進＞保持＞リスク回避（ただし順序は可変）

基本は前進できるなら即前進。無理なら保持で相手を動かし、危険ならリスク回避（戻す・蹴る）。ただし試合状況や時間帯で優先度は反転します。リード時は保持・回避を優先、追う展開なら前進優先です。

原則2：対角線を常に意識し続ける

対角は最も一気に局面を変えられるルート。見るだけでも相手のスライドは遅れます。自分の体の向きを45度に開けば、縦と対角の両方を保持でき、相手は読み切れなくなります。

原則3：数的・位置的・質的優位のいずれかを作る

数的優位（人数で上回る）、位置的優位（ライン間や背後に立つ）、質的優位（1対1で勝てる配置）をどれか一つでも作る。CBは自分の運びやパスでその優位を生む起点です。

原則4：同一線禁止（受ける高さと角度のズラし）

味方が同じ縦線・横線に並ぶと、相手は一度に二人を消せます。半身で受ける高さを1〜2歩ずらす、角度をずらすだけでパスコースが増え、プレスは遅れます。

立ち位置の設計：幅・深さ・角度でプレスラインを歪める

相手1stラインの“外側”と“背後”に同時アクセスする

片方のCBがタッチライン寄りに広がると、相手のFWは外を切るか中を切るか選ばされます。外側に出して背後（縦の裏）へのリターン角度を残す配置が、1stライン突破の鍵です。

CB間距離の基準（広げて誘う／締めて突破）

広げる（大きく幅を取る）と相手は横スライドが増え、プレス距離が伸びます。締める（距離を詰める）とワンツーや壁パスで縦を抜けやすい。相手の出足が速い時は広げて誘い、足が止まる時間帯は締めて中央突破を狙います。

縦ズレの活用：片側CBを一段前に出す意味

片側のCBが一歩前に出るだけで、相手はマークの基準を失います。前に出たCBは運ぶ脅威を提示し、残るCBはカバーとスイッチの角度を確保。これで1stラインの背中で受ける中盤がフリーになりやすくなります。

相手のカバーシャドーを外す角度の作り方

相手の背中側に立つ味方へ、相手の影（カバーシャドー）を外すためには、ボール保持者の位置を半歩ずらし、パスコースを作ることが重要。受け手は相手の肩のラインを跨ぐ角度に顔を出し、CBは逆足側にボールを置いて通します。

体の向きと視野の確保：スキャン、オープンスタンス、フェイク

受ける前のスキャン回数とタイミング（直前の更新が要）

理想は受ける前に最低3回。味方の準備、相手の寄せ、背後の出口を「受ける直前」に更新することが最重要です。早すぎるスキャンは情報が古くなるので、ボールが移動中とトラップ直前に再チェックします。

45度のオープンスタンスで“2つの出口”を保持

体を45度に開くと、縦と対角の両方が見えます。完全に正面を向くと戻ししかなくなり、真横を向くと縦しか見えません。45度ならプレス方向に応じてどちらにも行ける構えが作れます。

ヒップフェイクと視線の嘘でプレス方向をずらす

腰だけを軽く振って縦を見せ、実際は対角へ。視線を一瞬だけSBに落として、内側のボランチへ差すなど、相手の一歩目を逆に動かします。大きなフェイントは不要、小さな嘘で十分です。

最初の一歩を出す足と重心コントロール

遠い足で触って重心を前に置くと、次の一歩が出やすい。近い足で止めると詰まりやすく、体が被って選択肢が狭まります。重心をやや低く保ち、どちらにも切り返せる余白を残しましょう。

ファーストタッチの質：ボールと相手を同時に動かす

第一タッチで“前を向くor相手を外す”を決める

トラップは止めるためではなく、次のプレーを決めるためにあります。前を向けるなら前へ置く、寄せが強いなら相手の足から遠ざける方向に置いて剥がす。第一タッチで優位を確定させましょう。

遠い足で触る／ラインにボールを置く

プレスから遠い足で触ると相手は届きにくい。ボールは自分の体と相手の間の「ライン上」に置くと、相手が触るとファウル、触れないと距離が空く状況を作れます。

触る位置のミスが招く詰まりのメカニズムと修正

足元に止めると視野が下がり、次の一歩が遅れます。修正は「置く」意識と半歩前のスペースにタッチすること。ミスしたら即リセットで戻すのも判断の一つです。

運ぶドリブルと保持ドリブルの使い分け

運ぶドリブルは相手を引きつけてパスコースを開ける目的。保持ドリブルは時間を作り、味方のポジション調整を待つ目的。同じ前進でも、何のために運ぶのかを明確にしましょう。

パスの質と種類：縦・斜め・スイッチ・差し込みの使い分け

縦パス（ラインブレイク）と“差し込み”の違い

縦パスは単に前へ通すこと、“差し込み”は相手の逆足側や視野外に入れる精度の話です。相手の足の向きと体重移動を見て、差し込みなら一人目を無力化できます。

パススピードと回転（バウンス・ドライブ）の設計

強いドライブはプレスを切り裂き、バウンドさせると受け手が前向きになりやすい。濡れたピッチや荒れた芝では転がり方が変わるので、ウォームアップで感覚を合わせておきましょう。

斜めのギャップ通しと3人目の関与

斜めに通すと受け手は前を向きやすく、次の3人目（ワンツーの出口）が自然に見えます。CB→IH→SBのように、最初から3人目の関与を想定した角度で通すとミスが減ります。

スイッチ（対角）で一気に空間を変える条件

相手のスライドが片側に寄った、逆サイドのウイングがフリー、GKやボランチに余裕がある。この3つのうち2つが揃えばスイッチの合図。浮かすのか強く通すのかは受け手の体勢で決めます。

GKを起点にした可変：2-3、3-2、3-1-3の使い分け

GK中央化で3枚化する狙いとリスク

GKを中央に上げて3枚化すると、1stラインの数的優位を作りやすい。一方で背後のスペース管理が甘いとロスト時に即ピンチ。GKとCBの距離、戻しの強度は事前に統一します。

片側3枚（CB+SB+GK）で時間を作る手順

片側に3人を配置し、ゆっくり回して相手を寄せる→最後は逆サイドへ対角。中で一度ボランチを経由すると、相手の軸がさらにズレ、逆サイドが完全に解放されます。

CBの“運び出し”とGKへのリターン角度

CBが運んで相手を食いつかせたら、GKへの戻しはゴール正面ではなくやや斜めへ。次の対角を蹴りやすい角度で返すと、GKの一発でプレスを外せます。

相手のトリガーを見て形を即時切替

相手がSBに出たら3枚化、ボランチに出たら2-3へ、FWが二人で内切りなら3-1-3で外を使う。相手のプレス合図に合わせて即切替える柔軟性が鍵です。

サイドバック・ボランチとの連携：役割分担と合図

SBインナー化／ハーフスペース立ちで内側を確保

SBが内側に立つと、中盤の出口が増えます。外のウイングが幅を取り、SBは内側で受ける選択肢を作る。CBはSBの背中に入る相手を視界に入れておきます。

ボランチの“落ちる・出る”の同調と背中取り

ボランチがCB間に落ちるのか、前に出てライン間を取るのか。CBはその動きに合わせて縦パスか横パスを選択。相手の背中で受ける瞬間を逃さないよう、視線とパス準備を早めに。

偽SB・偽ボランチの可変でズレを生む

SBが中盤化、ボランチが最終ライン化など可変で相手の基準を崩します。合図は簡単に、指一本やコールで十分。複雑にしすぎるとミスが増えます。

合図と言語化（事前合意のキーワード）

「時間」「ターンOK」「寄れ」「離れ」など短い言葉を事前に決め、誰が言うかも統一。CBが発信役になると、全体が落ち着きます。

プレスの剥がし方：タイプ別対策（マンツーマン／ゾーン／ハイプレス）

マンツーマン対策：一人剥がして空いた選手を突く

一人をドリブルで外すと、必ず一人が浮きます。外した直後に空いた相手のマーク選手へ素早く差し込み、前進の連鎖を作ります。動き直しの質が勝負です。

ゾーン対策：ライン間レシーバーの出入りで揺さぶる

ゾーンはポジション基準で守るので、ライン間に一度入ってから背中へ抜ける動きが効きます。CBは斜めの差し込みを準備し、受け手は正面で触らずワンタッチで落とすと前進がスムーズ。

ハイプレス対策：背後スペースの即時活用と蹴り分け

背後が空くのがハイプレスの宿命。初手で背後へ蹴る姿勢を見せると相手は一歩下がり、足元の時間が生まれます。ロングと足元の蹴り分けが最大の抑止力です。

ミドルブロック対策：運ぶ脅威と引き付けのバランス

中盤の前で止められやすいので、CBが運ぶ脅威を見せて相手の中盤を引き出し、空いたライン間へ差し込みます。運ぶ長さは5〜15mを目安に、出過ぎず出なさすぎず。

プレスを“誘って剥がす”罠の作り方と出口の設計

片側固定で相手を寄せ、逆サイドで仕留める

意図的に片側でゆっくり回して相手を集め、最後は対角で一気に脱出。逆サイドの準備（幅・高さ・角度）を先に作ってから誘うのがコツです。

縦パス偽装からの対角スイッチ（身体の向きで仕込む）

体を縦に向けて相手を内側に寄せ、実際はアウトサイドやインステップで対角へ。向きと助走で事前に仕込み、相手の一歩目を縦へ釣ります。

ダイレクトで出口を確保する“二手先”の配置

剥がす時は2枚目の壁役を用意。CB→IH→SBのダイレクトなど、二手先までを最初から設計しておくと成功率が上がります。

3人目・背中取り・壁パスの自動化

「差す→落とす→前向き」の三段セットを自動化。背中で受ける役割、壁役、最終出口を練習で固定しておくと、実戦で迷いません。

相手別・状況別のビルドアップパターン

試合序盤：相手のトリガー確認と早期の対角提示

序盤は相手の出足やトリガー（誰が出てくるか）を観察。早めの対角を一発見せて牽制し、プレスの強度を落とさせます。

リード時：時間の管理と安全弁の位置取り

無理な縦は控えめに。逆サイドの安全弁（必ず空いている選手）を常に作り、戻しとやり直しで相手を走らせます。

劣勢時：リスク許容度の調整と前進の強度

点が必要なら、差し込みや運ぶ距離を増やしてリスクを許容。ロスト後の即時奪回の位置も同時に上げます。

終盤：ロングの二次回収プランと陣形の圧縮

終盤はロングを使う場面が増えます。蹴る前に二次回収の位置を整え、陣形を圧縮してセカンドを拾いましょう。

前進から侵入・定着へ：ライン間攻略のブリッジ

第1局面（後方）→第2局面（中盤）への橋渡し

CBの差し込み→落とし→前向きという橋渡しが安定すると、ライン間へスムーズに侵入できます。最初の差し込みの角度と強度が命です。

ライン間レシーバーの“顔出し”とタイミング

顔出しはボールホルダーの視界に入る瞬間に。早すぎるとマークされ、遅すぎるとコースが消えます。CBは視線で合図を送り、同時にパスモーションに入ると通りやすい。

侵入後の定着（リターンラインの確保）

侵入できても、戻しのライン（安全弁）がないとすぐに詰まります。CBの誰か、またはGKがリターンラインを確保しておくと、二度三度と攻撃を継続できます。

縦への加速と一旦の停滞を織り交ぜる

常に速いと読まれ、常に遅いと詰まります。速い前進と一旦の停滞を織り交ぜて、相手のリズムを崩しましょう。

リスク管理とセーフティ：ボールロストの最小化

カバーシャドーで消す相手と消せない相手を見極める

自分の体で消せるコースは積極的に消す。消せない相手（逆サイドのフリーなど）は味方に共有し、ライン全体で対応します。

逆サイドの安全弁と“最後の出口”の共有

常に誰か一人はフリーでいる設計に。最後の出口（GKや逆SB）を全員で共有しておけば、無理せずやり直せます。

バックパス／クリア／縦ズドンの蹴り分け基準

中央で背向き・相手が密→クリア。外で数的優位→保持。中央で前向き→縦ズドン。基準をチームで持つと判断が速くなります。

即時奪回の位置と役割（再奪取の準備）

前進時こそロストに備える。近い選手は即時圧力、遠い選手は縦パスコースを切る。CBは背後管理と跳ね返りの予測位置を取りましょう。

コミュニケーションと言語化：一言コールと事前合意

“時間／ターンOK／寄れ／離れ”の短いコール

短く、誰でも同じ意味で使える言葉を使います。声の主はCBが担うと全体が揃います。

相手のトリガー共有（足元・背向き・密度）

「SBに入ったら出てくる」「背向きは挟まれる」「中央密度が高い」など、相手の癖やトリガーを共有。これだけでロストが減ります。

前日ミーティングでのプランと例外対応

基本形と例外（押し込まれたら、風が強い日は、など）を事前に話す。例外を一つ決めておくだけでも安心感が出ます。

誰が“スイッチ担当”かを明確化

対角のスイッチを誰が蹴るか、合図は誰が出すかを明確に。迷いを消すことが質の第一歩です。

トレーニングメニュー：個人→ユニット→チームの段階的ドリル

個人：スキャン習慣化ドリルと45度受け

コーチが手で数字を示し、受ける直前に声で数字を言う「スキャンチェック」。45度で受けて、縦と対角の2方向へ1タッチで出す反復をセットで行います。

ユニット：2対1+GK／3対2の圧力下前進

小さな角度のズラしと壁パスの自動化を狙います。守備側は内切り・外切りを指示して負荷を変え、実戦に近づけます。

チーム：片側誘導→逆サイド解放の自動化

片側で10秒保持→対角一発→ゴールに直結、の一連を繰り返し。時間の合図と最終パスの質を徹底します。

制約付きゲームで“出口”の質を磨く

「縦一本で2点」「対角スイッチで1点」といった制約を設け、意思決定のスピードと精度をゲームの中で鍛えます。

映像・データの活用：自己評価と改善のKPI

受ける前のスキャン回数と更新タイミング

1ポゼッションにつきスキャン回数をカウント。特に受ける直前の更新ができたかをチェックします。

ラインブレイク数／前進パスの成功率

CB発の縦差しとライン越えパスの本数・成功率を記録。相手レベルで補正して比較すると実態が見えます。

パス速度・受け距離・角度の相関（プレス抵抗）

パス速度が上がると成功率がどう変わるか、角度がつくとロストが減るかを簡易に記録。自分の“効く”領域を把握しましょう。

ロスト位置のヒートマップと失点相関

奪われた位置と失点の関係を見ると、避けるべきエリアや時間帯が分かります。次節のプランに直結します。

よくある失敗と即効の修正ポイント

同じ線で受けて詰まる→縦ズレと角度の再設計

受け手の高さを半歩ズラし、45度で受ける。コールで「ズラす」を合図にしましょう。

ボールを止める→止めずに置く・運ぶの習慣

トラップで止めない。置く、運ぶ、前を向く。練習から声に出して意識化します。

距離が近すぎ／遠すぎ→“関係距離”の目安共有

CB-SB間は15〜22mを目安に。相手のスピードで調整し、常に2タッチで届く距離感を保ちます。

合図不足→固定ワードの採用と反復

言葉を揃えるだけで質は上がります。毎回同じワードを使い、短く強く伝えます。

年代・利き足・戦術による調整：高校〜社会人、左右CBの違い

高校年代：ピッチサイズとフィジカル差の補正

縦に速い展開が増えるため、背後ケアとロングの蹴り分けが重要。対角は地を這う強いボールで通す意識を強めます。

社会人・大学：プレス強度と判断速度の最適化

出足が速く読みも鋭いので、第一タッチの方向とパススピードが鍵。2タッチ以内で前向きに進める設計を徹底します。

右CB／左CBの角度と逆足時の工夫

利き足側に開くと対角が見やすく、逆足側は縦が速い。逆足での差し込みはボールを半歩前に置き、面ではなく軸で通すイメージが有効です。

チームの型（2-3/3-2）に合わせた個の最適化

型に個を合わせるのではなく、個の強み（運ぶ、配球、守備範囲）で型を微調整。相手に合わせて週ごとに最適化します。

メンタルとゲームマネジメント：静かな勇気を持つ

プレッシャー下での呼吸とルーティン

受ける前に一呼吸、視線を対角へ、足を開く。3ステップのルーティンで心拍を整えます。

ミス後のリセット手順（次の“簡単”で整える）

ミスの直後は“簡単”を一回。安全な戻し、短い横パスでテンポを戻し、次のチャレンジへ切り替えます。

リスク許容の線引きとチーム合意

どこで縦を差すか、どこで蹴るかの線を試合前に共有。線が明確だと迷いが消えます。

試合の温度を下げる・上げる判断

相手が勢いに乗ったら保持で温度を下げ、相手の足が止まったら対角と縦で温度を上げる。CBが温度計の役割を担いましょう。

まとめ：明日から変わる3つの実践チェック

受ける前のスキャン“最低3回”

移動中、直前、トラップ前。3回の更新で情報の鮮度を保つ。

45度の受け角度と“出口を2つ”持つ

縦も対角も出せる半身を作り、相手の読みを外す。

片側で誘って対角へ——毎試合の最初の合図を決める

「片側10秒→対角」の合図を最初に共有。試合の主導権を握りやすくなります。

あとがき

センターバックのビルドアップは、特別な“魔法”よりも、小さな原則と共通言語の積み重ねで安定します。今日紹介した「立ち位置」「45度」「対角」「短いコール」の4点は、どのカテゴリーでも即効果を感じやすい要素です。焦らず、しかし大胆に。静かな勇気を持って、一歩目の質と一言の合図からチームの流れを変えていきましょう。