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サッカー試合前日の食事メニューで90分動ける体に

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サッカー試合前日の食事メニューで90分動ける体に

試合で「最後のひと踏ん張り」が効くかどうかは、前日の食事でほぼ決まります。難しいテクニックや特殊なサプリではなく、炭水化物の積み上げ、水分と塩分の整え方、そして胃腸にやさしいメニュー選び。これらのベーシックを外さなければ、90分を走り切る体は作れます。この記事では、前日24時間のタイムラインと、朝・昼・夜それぞれの実例メニュー、体格やポジションに合わせた調整まで、明日に直結する実践方法をわかりやすくまとめました。

結論と要点

本記事の狙いと読み方

目的は「試合中にガス欠を起こさない体」を前日に準備すること。要は筋肉のガソリン(筋グリコーゲン)を満タンにし、胃腸への負担を抑え、体内の水分と電解質のバランスを整えることです。まずは「90分動くための前日食の結論サマリー」を確認し、その後にタイムラインや実例メニューで自分の1日に落とし込んでください。

90分動くための前日食の結論サマリー

  • 炭水化物は体重×6–8g/日を目安に分けて摂る(例:65kgなら390–520g)。
  • たんぱく質は体重×1.2–1.6g/日を維持、脂質は控えめ(特に夕食)。
  • 水分はこまめに合計目安30–40ml/kg/日。真水だけでなく適度な電解質も。
  • 食物繊維・辛味・揚げ物は減らし、消化にやさしい調理法(茹でる・蒸す・煮る)。
  • 前日の夜は「軽め高炭水化物・低脂質」を意識し、就寝2–3時間前には食べ終える。

90分動くための栄養の基本設計

エネルギー源の仕組み(筋グリコーゲンと血糖)

サッカーは持久とスプリントを繰り返す競技。爆発的な動きの燃料は主に筋グリコーゲンです。血糖(血液中のブドウ糖)は脳や神経の働き、そして一定強度の運動を支えます。前日に十分な炭水化物を入れておけば、試合中のペースダウンや集中力切れを防ぎやすくなります。

炭水化物・たんぱく質・脂質・電解質の役割

  • 炭水化物:グリコーゲンを満たす主役。白米・パン・パスタ・うどん・芋・餅など。
  • たんぱく質:筋の修復・維持。鶏むね・魚・卵・乳製品・豆類などを脂質控えめで。
  • 脂質:エネルギー源だが消化に時間。前日は量と質(揚げ物・こってり)を抑える。
  • 電解質(特にナトリウム・カリウム・マグネシウム):水分保持と筋機能をサポート。

炭水化物の目安量(体重×6–8g/日の考え方)

前日は「炭水化物を多めに、でも詰め込みすぎない」がコツ。体重×6–8g/日が実用的な目安です。例:60kg→360–480g、75kg→450–600g。1食で大量に入れず、朝・昼・夜・補食に分けて胃腸に優しく入れましょう。

消化と吸収スピードを意識する理由

走る前日に胃腸を疲れさせると、当日の朝食が入らなかったり、試合中に差し込みが出ることも。繊維・脂質・辛味は消化に時間がかかる傾向があるため、前日は量を控えめにして、調理法もシンプルに。

前日24時間のタイムライン戦略

起床〜午前:補給のスタートを切る

  • 起床直後に水か薄めのスポーツドリンクを200–300ml。
  • 朝食は主食しっかり+低脂質たんぱく+果物でスムーズに消化。

昼〜午後:グリコーゲンの積み上げ期

  • 昼は主食多め(ご飯大盛り・麺+おにぎりなど)。
  • 午後に小さな補食(おにぎり・バナナ・ヨーグルトなど)で分散。

夜:消化にやさしく仕上げる

  • 高炭水化物・低脂質・低刺激。揚げ物や濃厚ソースは避ける。
  • 就寝2–3時間前には食事を終える。

就寝前:胃腸を休めつつ枯らさない

空腹で眠れないなら、消化の軽い炭水化物少量(バナナ半分、カステラひとかけ、プレーンヨーグルト少しなど)。水分は一口ずつ。

前日朝食の実例メニュー

和食プラン(ご飯ベース+低脂質おかず)

  • 白米300g(お茶碗大盛り)
  • 鮭の塩焼きまたは鶏むねの塩麹焼き(皮は外す)
  • ほうれん草のおひたし(少量)
  • 味噌汁(具は豆腐・わかめなど脂控えめ)
  • みかんorバナナ

洋食プラン(パン・シリアルの使い分け)

  • 食パン2–3枚またはベーグル+はちみつ/ジャム
  • プレーンオムレツ(油少なめ)
  • 低脂肪ヨーグルト+バナナ
  • 100%オレンジジュース小コップ

コンビニで揃う朝食セット

  • おにぎり2個(鮭・昆布・梅など)+ゆで卵1–2個
  • カップ味噌汁
  • バナナ1本

時間がないときの5分プラン

  • レトルト白飯+ふりかけ
  • 飲むヨーグルト(低脂肪)
  • カステラorあんぱん少量

前日昼食の実例メニュー

主食たっぷり+低脂質たんぱくの黄金比

主食:おかず=6:4くらいの感覚で。たんぱく質は脂質の少ない部位を選ぶと胃が軽くなります。

麺類・丼物の選び方と量の目安

  • うどん(温)+おにぎり1個:消化が軽く炭水化物を積みやすい。
  • そば+温玉+小さめおにぎり:繊維はほどほど、かき揚げは避ける。
  • 親子丼(小〜並)+追いご飯小:脂質を抑えつつボリューム確保。

外食での安全な選択肢(ファミレス・学食)

  • ご飯大+鶏むねグリル/白身魚のソテー(油控えめ)+スープ
  • トマトソース系パスタ(オイル少なめ)+パン
  • カレーはルー少なめ・カツなし・野菜多すぎない

食物繊維と脂質の調整ポイント

生野菜てんこ盛り・豆たっぷりはお腹が張る人も。前日は温野菜を少量にし、ドレッシングやマヨは控えると安定します。

前日夕食の実例メニュー(仕上げのカーボ中心)

白米/パスタ/うどんの使い分け

  • 白米:日本人に馴染みがあり消化もスムーズ。おにぎり追加で調整しやすい。
  • パスタ:トマトベース・和風ベースで油少なめに。
  • うどん:温かけ・月見・わかめなど軽い構成が◎。

低脂質・低刺激の調理法(煮る・蒸す・茹でる)

  • 鶏むねの酒蒸し、白身魚のホイル焼き、豆腐の湯豆腐など。

寝つきを妨げない食べ方と量のコントロール

満腹は寝つきを悪くします。腹8分目で止め、ゆっくり噛んで食べる。夜遅くなるほど量を軽く。

消化に負担をかけない献立バランス

  • 例:白米300–350g+鶏むねの照り焼き(油少なめ)+温野菜少量+味噌汁
  • 例:うどん(温)+おにぎり1個+温泉卵
  • 例:パスタ(トマトソース・オイル控えめ)+パン小さめ+コンソメスープ

間食・補食の入れ方

おにぎり・果物・ヨーグルトの使い方

午後におにぎり1個、夕食までにバナナやヨーグルトなど、小分けで入れると総量を確保しやすいです。

甘味との付き合い方(和菓子・エナジーバー)

あんぱん・羊羹・カステラは脂質が少なく前日向き。エナジーバーは成分表示で脂質を確認(低めを選ぶ)。

タイミング別スナックの選択肢

  • 午前練後:おにぎり+乳製品(合う人)
  • 午後:バナナorもち、補食ゼリー
  • 就寝前:少量のカーボ(必要時のみ)

コンビニで買える“すべらない”補食

  • 塩おにぎり、鮭・昆布おにぎり、あんぱん、カステラ、バナナ、ヨーグルト(低脂肪)、ゼリー飲料、プレッツェル/せんべい(油控えめ)

水分・塩分・ミネラル戦略

前日に進めておく水分補給の指針

目安は合計で体重×30–40ml/日。色の薄い尿が続けば概ね良好。いっき飲みではなく、こまめに分散して飲みます。

ナトリウム・カリウム・マグネシウムの考え方

  • ナトリウム:発汗で失われやすく、水分保持に重要。スポーツドリンクや味噌汁・塩おにぎりで適度に。
  • カリウム:バナナ・芋・果物・野菜に多い。
  • マグネシウム:大豆製品・ナッツ(前日は食べ過ぎ注意)・穀類などに含まれる。

スポーツドリンクと水の使い分け

日中は水・麦茶をベースに、練習や発汗が多いときはスポーツドリンクを薄めて活用。甘さが気になる人は半々で割るのも手。

暑熱・寒冷環境での調整の目安

  • 暑い日はスポドリ比率をやや増やし、塩分も忘れずに。
  • 寒い日は温かい汁物や白湯で体を冷やさない。

体格・ポジション・試合時間でのアレンジ

体重・体脂肪率に応じた炭水化物量の調整

体重×6–8gはあくまで目安。体脂肪が多め・胃がもたれやすい人は下限から、消費が大きい選手は上限寄りで。

ポジション別の消費差に基づく微調整

  • MF/サイド:走行距離が伸びやすいので上限側へ。
  • FW/CB:中〜上限。スプリントが多い選手は積み上げ重視。
  • GK:やや下限寄りでもOK。ただし当日の集中力維持のため炭水化物は確保。

キックオフ時間(朝/昼/夜)での前日配分

  • 朝KO:前夜にカーボ多め。繊維は控えめに。
  • 昼KO:前日をバランス良く、当日朝食でしっかり。
  • 夜KO:前日昼・夕で積み、当日昼も主食多め。

連戦・遠征時の実践例

移動で食が乱れやすいので、常温で持てる主食(あんぱん、カステラ、クラッカー、レトルト白飯)を用意。到着後すぐに軽食でつなぐ習慣を。

避けたい食品とリスク管理

高脂質・高食物繊維・辛味の強い料理

  • 唐揚げ・カツ・こってりラーメン・大盛りサラダ(生野菜山盛り)・激辛料理は前日は避ける。

アルコール・カフェインの扱い

アルコールは睡眠や回復を妨げる可能性があるため前日は避けるのが無難。カフェインは当日の戦略に回し、前日は摂り過ぎない。

乳製品や豆類でお腹がゆるくなる人の対策

合わない食品がある人は前日は控えめに。乳糖不耐なら乳糖低減の乳製品に切り替えるなど自分の反応を基準に調整。

食中毒リスクを避ける衛生チェック

  • 生もの・半生肉を避け、持ち歩き時間に注意。弁当は保冷、再加熱を徹底。

サプリメントの安全な使い方

前日に有用なもの/不要なもの

  • 有用:電解質タブレット、炭水化物系のゼリーやパウダー。
  • 不要:初めてのサプリの試用(消化不良や眠りへの影響の可能性)。

電解質タブレット・マルチビタミンの考え方

汗の量が多い人は電解質タブレットを水と併用。マルチビタミンは不足が気になる人の補助に。過剰摂取は避けましょう。

カフェインの注意点(当日との関係)

カフェインは当日に戦略的に使う人が多いです。前日は量を控え、睡眠の質を優先。

認証制度を確認する(アンチ・ドーピング)

サプリは第三者認証(例:Informed-SportやNSF Certified for Sportなど海外の第三者認証)を確認。成分・原材料表示をよく読み、自己責任で管理しましょう。

アレルギー・嗜好への置き換えガイド

小麦を避けたい場合の主食代替

  • 白米・餅・米粉パン・十割そば・じゃがいも・さつまいも・コーン系シリアル

乳・卵・大豆アレルギー時のたんぱく源

  • 鶏肉・魚・豚ヒレ・牛赤身・ツナ(水煮)など、調理油は控えめに。

菜食ベースでも成立する前日メニュー

  • 主食(米・麺・芋)+豆・大豆代替(合う人)+ナッツ少量(脂質に注意)+果物

FODMAPに配慮したやさしい選択肢

  • 低FODMAP寄りの果物(バナナ・オレンジ・ぶどう)、白米、米粉麺、硬すぎない野菜を少量。

よくある誤解と正しい知識

“糖質は太る”の誤解と試合前日の例外

日常的な過剰摂取は体脂肪増につながりますが、試合前日は補給が目的。使うために入れる、が正解です。

“プロテインを飲めばOK”ではない理由

たんぱく質は大事ですが、90分のガソリンは炭水化物。プロテインだけではグリコーゲンは満ちません。

“水だけで十分”の落とし穴

大量の水のみは薄い体液(低ナトリウム)につながるリスク。適度な塩分と組み合わせましょう。

“前日だから揚げ物も大丈夫”が崩す計画

脂の消化は長引きます。胃もたれ→当日朝食が入らない→エネルギー不足、の連鎖に注意。

1週間前からの緩やかな準備

練習強度と食事の合わせ方

強度が高い日は炭水化物を増やし、回復日には通常量に戻す「波を合わせる」だけでも違います。

3日前からの微調整(繊維・脂質・刺激物)

胃腸が敏感な人は、3日前から繊維・脂質・辛味を少しずつ控え、当日に向けて整えると安定。

前日の最終リハーサルとしての食事

大会前に「前日メニュー」を何度か試し、自分の相性を確認しておくと失敗しにくいです。

個人差を見極めるためのテスト方法

  • 練習試合や強度の高い練習前日に、この記事の通りに食べて体感を記録。

買い物リストと作り置きアイデア

主食・たんぱく・フルーツのストック術

  • 主食:米、レトルト白飯、うどん、パスタ、餅、米粉パン
  • たんぱく:鶏むね、白身魚、ツナ水煮、卵、低脂肪ヨーグルト(合う人)
  • フルーツ:バナナ、みかん、ぶどう、キウイ(合う人)

5分でできる下味冷凍・作り置き

  • 鶏むねの塩麹漬け、白身魚の味噌漬け(焼くだけ)、蒸しささみ

遠征・持参に便利な常温アイテム

  • あんぱん、カステラ、クラッカー、せんべい(油控えめ)、ゼリー飲料、レトルト白飯+ふりかけ

コスパを意識した選び方

米と卵、鶏むね、旬の果物、乾麺(うどん・パスタ)はコスパ良。まとめ買いで迷わない仕組み作りを。

当日朝につながるブリッジ食

起床時〜出発前の軽食プラン

  • 起床直後に水分。軽くバナナやカステラ、前夜の残りおにぎりなど。

試合開始3–4時間前の食事と前日夕食の関係

前夜を軽め高炭水化物にしておくと、当日3–4時間前の食事が入れやすい。主食中心+低脂質たんぱく+少量の果物で。

胃腸トラブルを避ける最後のチェック

  • 辛い・脂っこい・新しい食べ物は避ける。
  • 水分はこまめに、小分けで。

食事と体調のログの取り方

何を記録すべきか(量・時間・体感)

  • 食べたものと量、時間、トイレの状態、体の軽さ/重さ、睡眠の質、翌日のパフォーマンス感

再現性を高める振り返りテンプレート

  • 前日朝:メニュー/量/体感
  • 前日昼:同上
  • 前日夜:同上(就寝までの間隔も)
  • 当日朝〜試合:食事・補食・水分/体感
  • 試合後:足つり・集中力・走り切れたか

チームで共有する場合の注意点

個人差が大きい分野。共有は参考にとどめ、最終判断は自分の体の反応で。

まとめ:明日に効く前日メニューの作り方

最小ステップで実行する3つのアクション

  • 主食の量を増やし(体重×6–8g/日の炭水化物)、3–4回に分散。
  • 脂質と繊維、辛味を控え、消化にやさしい調理法に切り替える。
  • 水+電解質をこまめに補給して、色の薄い尿を目安に整える。

失敗しにくい“型”で継続するコツ

朝:主食+低脂質たんぱく+果物/昼:主食多め+低脂質たんぱく/補食:おにぎり・バナナ/夜:軽め高炭水化物+油控えめ。この型に、自分の好みと体調を少しずつ足していくのが続ける近道です。

次の試合に向けた改善ポイント

  • 当日の入りが鈍かった→前夜の炭水化物と就寝2–3時間前ルールを見直す。
  • 腹部の不快感→繊維・脂質・辛味・乳製品の量とタイミングを記録し調整。
  • 後半の足つり→電解質と水分の分散補給、塩分の取り方を再確認。

特別なことをしなくても、前日の積み方を整えるだけで走り切れる確率は上がります。自分の“勝ちパターン”を見つけて、毎試合を安定させていきましょう。

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