「サッカー・カーボベルデ代表の戦術と可変フォーメーション徹底解剖」へようこそ。近年、アフリカネーションズカップでの躍進を通じて存在感を増すカーボベルデ代表は、シンプルに見えて緻密な“可変型”のプレーモデルを持っています。本記事では、公開映像や一般に入手できるデータから読み取れる傾向をベースに、フォーメーションの骨格、フェーズ別の具体、守備の中核、相手別プラン、練習への落とし込みまで、現場でそのまま使える目線で整理します。専門用語は噛み砕きつつ、原則と仕組みに焦点を当てて解説します。
目次
総論:カーボベルデ代表の現在地と戦術的アイデンティティ
近年の国際大会で見えた強みと課題
近年のアフリカネーションズカップでは堅実な守備ブロックと切れ味あるトランジションで上位に進出。グループ段階から強豪相手にも臆さず、要所での得点と粘り強いゲームマネジメントが光りました。強みは、(1)コンパクトなミドルブロック、(2)速攻の直進性と質、(3)セットプレーの破壊力です。一方で課題は、押し込んだ時間帯における崩しの再現性とクロス後の二次攻撃、そして終盤のゲームスピード管理にばらつきが出る点。保持時の厚みと再加速の設計を高められるかが、さらなる安定化の鍵です。
選手プールの多様性と戦術適応力
欧州各国リーグでプレーする選手が多く、役割の理解が早いのが特徴。複数ポジションをこなせる選手も多いため、相手や試合展開に応じて左右非対称な可変をかけやすい土壌があります。例えば、サイドバックが内側に入る偽SB、アンカーの降りての3バック化、ウイングの幅固定と内側化の切り替えなど、役割の交代をスムーズに行えるのが強み。多文化バックグラウンドゆえにプレー原則を共有すると一気に収斂する傾向があり、可変フォーメーションと相性が良いチームです。
堅実な守備ブロックと速攻の両立という基本哲学
ボール非保持では、4-4-2を軸にライン間を締める“堅実さ”が根底にあります。ボール保持では必要以上にこねず、最短距離の前進と外→中のスイッチを織り交ぜ、速攻と遅攻を切り替える二枚看板。守備の安心感があるからこそ、前進時は外→中→背後の直線的な加速を躊躇しない。これがカーボベルデのアイデンティティで、個の推進力と組織原則がブレンドされた実戦的なスタイルです。
基本フォーメーションと可変の骨格
ベースは4-3-3/4-2-3-1:配置と役割の大枠
スタート配置は4-3-3(IH×2)か4-2-3-1(ダブルボランチ+トップ下)。いずれも、WGは幅を取りつつ内側へ入る余白を持ち、CFは背負い・流れ・裏抜けを三位一体でこなします。SBは外幅を固定する場面と内側に絞る場面の両方を担い、中盤はアンカー(またはCH)が前向きの受けをつくり、前線の“縦関与”に火をつける役割。可変の出発点は、この標準配置の役割交差です。
ビルドアップ時の2-3-5/3-2-5化:レーン占有の原則
保持時は、(1)アンカーが最終ラインに落ちて3-2-5、(2)逆にSBが絞って2-3-5を作る二択が基本。いずれも5レーン(左外、左ハーフ、中央、右ハーフ、右外)の占有を崩さず、最終ラインで数的優位を維持します。ハーフスペースにはIHかWGの片方が立ち、縦パスの受け手を固定。もう片方が背後へ走ることで、相手CBとSBの意思決定を二者択一に追い込みます。
守備時の4-4-2/4-1-4-1への移行:ライン間圧縮の狙い
プレッシングを外されたら素早く4-4-2のミドルブロックへ。トップ下やIHが前線横並びにスライドし、ボールサイドに人数を寄せて縦の差し込みを不発にします。相手の中盤底に対しては斜めの影を作り、サイドへ誘導。4-1-4-1になる場面では、アンカーが釘として中央を管理。いずれもライン間の圧縮が狙いで、縦に入れさせず外回りにさせるのが基本思想です。
試合展開に応じた3バック化のトリガーと戻し方
主なトリガーは「相手2トップ+IHのジャンプ」で最終ラインが数的不利になった瞬間、または自チームが前進できない時間帯に安定を取り戻したいとき。アンカーが降りるか、片側SBを内側化して3枚化します。戻し方は、相手の前線枚数が落ちた、または自陣での前向き受けが増えたタイミングで、アンカーを再び中盤へ押し上げるのが基本。可変はあくまで手段で、相手の枚数と圧力に応じて柔軟に行き来します。
フェーズ別の戦術ディテール
自陣ビルドアップ:GK起点の短長ミックスと第一ライン突破
GKは短い縦パスでアンカーやIHの足元を刺す配球と、タッチライン際のWG・SBへ伸びるロングをミックス。ショート一辺倒にせず、最初の2本で相手のプレス高さを測るのがコツ。第一ライン突破は、(1)CB→IHの縦刺し、(2)CB→SB→IHの外経由、(3)GK→WGのダイレクト。縦を示して外で仕上げる、外を見せて中に入れるのが基本的な揺さぶりです。
中盤前進:ハーフスペース活用と偽サイドバックの内側化
前進はハーフスペースでの前向き確保が肝。SBの片側が内側化してアンカー脇に立つと、CB—偽SB—IHの三角形ができ、相手の2列目を動かせます。IHは背中のマークを感じたら一度落ち、CFが空けたスペースへWGもしくは逆IHが差し込む。受け手と走り手を明確にし、レーンを踏み替えながら加速するのが原則です。
サイド攻略:外幅固定と内走り(インナーラップ)の使い分け
サイドの優位は「外幅固定」と「内走り」の二択で作ります。WGが幅を取りSBが内走りすると、相手SBは外か中のどちらかを捨てざるを得なくなる。逆にSBが幅を取りWGが内側へ絞れば、IHが外へ抜け出す余白が生まれます。いずれもボールホルダーの前向きでの受けと、3人目(サードマン)の“もう一歩”が局面を決める要素です。
最終局面:カットバック優先とミドルレンジの打開
ボックス内の人数が揃わないときは無理にクロスを増やさず、エンドラインまで運んでのカットバックを最優先。PAアーク周辺にミドルレンジの脅威を常に置いておくと、相手の最終ラインは引き切れません。クロスはニアをえぐる低い弾道と、ファーへの巻きクロスを使い分け、中央で競る役とセカンド回収の役を事前に分担しておきます。
トランジション攻撃:奪って3秒の縦パスと斜めの走り出し
奪回後3秒は最速で前進。縦パスの初速を上げ、同時にWGとIHが斜めに背後へ。CFは最初の動き出しで相手CBを外し、2本目のパスで抜けるイメージ。追走の3人目が外を踏むことで相手SBを外へ貼り付きにさせ、中のレーンを開けます。速さと同時に、最初のパスの質が決定的です。
トランジション守備:即時奪回と遅らせ(ディレイ)の判断基準
即時奪回はボール周辺3人(ファースト・セカンド・サード)で三角形を作り、縦を殺して外へ追い込む。奪い切れないと判断したら、素早く遅らせに切り替え、背後のスペースを最優先で消します。帰陣ラインは自陣PA手前の横一線を目安に、中央を閉じて外回りを誘うのがカーボベルデ的な安全策です。
セットプレー攻守:ターゲット配置とセカンド回収の設計
攻撃はニアのターゲットで触り、ファーで仕留める二段構え。キッカーは速い球種と巻き球を使い分け、相手GKの踏み直しを狙います。守備はゾーン主体にマンマークを一部混ぜ、ニアでのクリア方向をチームで統一。セカンド回収はPA外弾きの“定位置”を決めておくと、波状攻撃を受けづらくなります。
可変フォーメーションの具体像
右肩上がりの非対称3-2-5:SBの内外可変とIHの縦関与
右SBを内側化し、左SBは幅を固定する非対称の3-2-5は再現性の高いパターン。右IHが縦関与(背後への差し)を繰り返すと、相手の左SB—左CB間にギャップが生まれます。右WGは幅固定でタッチラインを踏み、CFは逆サイドのCBに寄って背中から抜ける。右に寄せて左で仕留める、または右で突破してカットバックの2択が常に出ます。
左サイド起点の偽SB運用:アンカー脇の前進ルート創出
左SBが内側に入り、アンカー脇で受けると、相手の2列目のカバーシャドウを超える前進ルートが作られます。左IHが外へ流れて幅を担い、左WGは内側で最終ラインの背中を狙う。中央に人を集めすぎないように、逆サイドWGの幅固定でバランスを取るのがポイントです。
9番の降りる動きと2列目の背後抜け:役割交代のメカニズム
CFが一度降りて相手CBを引き出し、その背後をIHやWGが突く“役割交代”はこのチームの十八番。降りる動きが見えた瞬間、2列目の選手は“背後の予約”を早めに取り、縦パスと同時に走り出します。CFは落としで完結させず、ワンテンポ遅れて背後へ走り直すと、二段ロケットでの決定機が増えます。
ウイングのワイド固定 vs インサイド化:相手SBの意思決定を揺さぶる
WGがワイド固定ならSBは内側化、WGが内へ入るならSBが幅取り。これにより相手SBは「内を閉じるか、外を抑えるか」で迷い続けます。迷いを生んだ瞬間にIHが縦に差し込み、逆サイドのWGをファーで待たせる。配置のシンプルな入れ替えが、最終局面の決定力に直結します。
守備戦術の中核
ミドルブロックの間合い管理:縦スライドと横スライドの連動
最終ラインと中盤の距離は、ボール保持者に前を向かせない“半歩前”。前に出る縦スライドと、サイドへずらす横スライドをセットで行い、楔(くさび)を断ちます。チャレンジ&カバーの優先順位を共有し、最終ラインは決して横一列で出ない。半身で内側を締めて、相手の前向きを遅らせます。
サイド圧縮の罠:タッチラインを第12のDFにする方法
ボールを外へ誘導したら、内側のコースを消しつつ外で囲い込む。タッチラインは“壁”なので、守備側は1枚少なくても数的優位に近い状況を作れます。縦運びを許しても内側を閉じ、戻しパスの瞬間に一気に押し上げると、相手は苦しいボール循環を強いられます。
前線プレスのスイッチ:背後保険とアタック方向の統一
プレス開始の合図は、相手CBの弱い足へのトラップやGKへの戻し。縦に切る足を統一し、前進方向を“片側”に固定します。そのうえで最終ラインの背後保険(カバーリング)を整えてからアタック。スイッチの共有が遅いと、一枚目が剥がされた瞬間に全体が崩れます。
被ロングボール対応:CBの競り・CHの回収・SBの絞り
ロングボールには、CBが競り、CHが着地点の二次回収、SBは内側へ絞ってセカンドのこぼれをケア。WGは即座に外へ開いてカウンターの出口を準備します。競り勝てない相手でも、二次回収の初速と絞りで優位を作れば、波状攻撃を受けにくくなります。
相手別ゲームプランの傾向
ポゼッション志向の強豪に対するミドルブロック+速攻
中盤を締め、外誘導からの回収→速攻が基本。保持に固執せず、奪った瞬間の一撃でゴール期待値を高めます。サイドで奪ったらカットバック、中央ならスルーパスの選択肢を優先。強豪相手ほど“少ない回数で点を取る”設計を重視します。
ロングボール主体へのセカンドボール管理とリスタート警戒
相手CFへの放り込みには、落下点に人を先に置き、回収後のファウルやスローインを怖がらない。リスタートのテンポを崩されないよう、スロー・FK・CKすべてで配置を素早く整えます。相手の“間”を許さないことが、消耗戦での勝ち筋になります。
ハイプレス相手への第三者(サードマン)を使った出口設計
背中を取られやすいハイプレスには、縦→落とし→裏の“三人目”を反復。GKも含めた3+2の出口を作り、タッチライン際に時間を生みます。1本目の縦が通れば、相手は一気に背走を強いられます。
同格・格下相手での主導権確保:押し込み時の圧力維持
押し込んだときは、逆サイドのWGがファーで幅を維持し、IHの一人は常にミドルレンジの脅威。クロスの本数を増やす前に、カットバックと折り返しの質を上げる。回収部隊をPA外に二人置くと、二次波の継続力が上がります。
データ視点(公開情報から読み解ける傾向)
得点パターンと時間帯の偏り
公開情報の範囲では、後半に得点が伸びる試合が目立ちます。理由はブロックでの消耗戦に勝ち、交代で推進力を足せること。オープンプレーとセットプレーを行き来し、終盤にギアを上げる傾向があります。
PPDA・被シュート数とブロック形成の関係
最前線からの連続ハイプレスを常用するタイプではなく、PPDAは“ミドルブロック中心のチームに見られる帯域”に収まることが多い印象。被シュートは外からを許容し、ブロック内の真正面を減らす考え方です。ライン間を詰める構造が数字にも反映されがちです。
セットプレーの得点比率とキックの配球傾向
直接FK、ロングレンジのキック、CKからの得点が目立つ試合もあり、セットプレーを強みにできる選手構成があると読み取れます。配球はニア・ファーを使い分け、相手GKの重心を動かす球種を選ぶ傾向があります。
キープレイヤーの役割類型(特定個人名に依らない機能評価)
GK:ショート配球とロング展開の二刀流
ビルドアップの入口としてCB—アンカーへの短い配球を安定させつつ、WGやCFへ速いロングで一気に局面を前進させます。ハイボール処理と前に出る勇気がトランジションの質を左右します。
CB:対人強度と前方パスのバランス
競り合いと背後管理に加えて、縦刺しのパスが打てるかが重要。片方はロングの精度、もう片方は運び出しで前進を作れると、可変の幅が一段広がります。
SB:外幅維持と内側化の判断基準
相手WGの位置、味方WGの立ち位置、アンカーのサポート状況で内外を決めます。幅取り時は高い位置でプレーし、内側化するときはアンカー脇で前進の土台に。切り替えの速さが生命線です。
アンカー/CH:ボール循環とセカンド回収の要
前を向くための“一つ先を見る”体の向きが必須。守備ではセカンドボールの回収位置をチームに示し、攻撃では縦と横のパス速度でリズムを決めます。降りて3枚化する判断も担います。
WG/SH:幅取り・内走り・守備の後追いの三役
幅を取って相手SBを固定し、内走りで背後を刺し、ロスト後はSBの背中を守る後追いで即時奪回に参加。得点と守備をつなぐ“バランサー”です。
CF:背負う・流れる・裏抜けの三位一体
背負って落とす、サイドへ流れて数的優位を作る、裏へ抜けて最終ラインを伸ばす。この三拍子のうち二つ以上を90分通して示せると、チームの可変が機能しやすくなります。
プレーモデルの再現ポイント(練習での落とし込み)
5レーン管理ドリル:ワイド固定とハーフスペース占有
ピッチを5レーンに分け、各レーンの“最低1人”をルール化。WGが幅固定、IHがハーフスペース、CFは中央と背後を管理。ボールサイド3人の三角形を常に作るドリルで定着させます。
ミドルブロックの横スライド:8人連動の幅圧縮
4-4のラインで幅を詰める反復練習。ボールが外へ出た瞬間、逆サイドのSHはペナルティスポットまで絞るイメージ。内→外のパスに合わせて一歩前に出る“半歩の勇気”を浸透させます。
即時奪回の3秒ルール:ファースト・セカンド・サードマン
失った瞬間の3秒で方向を決め、三角形で囲い込む。足を出す人、戻しを切る人、背後を保険する人を役割分担。ボールが外へ出たときのスイッチも合わせて反復します。
カウンターの質を高める3本パス原則
奪回→縦→斜め裏の3本で仕留める原則を徹底。1本目の縦は“通す”ではなく“前を向かせる”強度、2本目で相手の向きを変え、3本目でゴールへ。走る順番と角度を合わせます。
セットプレー設計:ニアで触る・ファーで仕留める・外で撃つ
CKはニアのターゲットとファーの決定力をセットに。PA外に2人を常駐させ、こぼれのミドルと再投入を準備。FKは直接と合わせの二枚看板で相手の壁の作り方を迷わせます。
試合中の可変コーチングとゲームマネジメント
リード時:5バック化と遅攻への切り替え
SBの一枚を最終ラインへ落として5-4-1気味にし、外回りを誘導。ボール保持では横幅を取りながらテンポを落とし、スローインやFKで時間を管理。敵陣でのファウルを増やして試合を遠ざけます。
ビハインド時:2トップ化とクロス本数の管理
CF+WG(もしくはサブCF)で2トップ化し、IHを一枚前進。クロスは本数ではなく質(カットバックとニア叩き)を管理。ミドルレンジを一枚常駐させて、跳ね返りの再侵入で二次波を作ります。
交代カードの機能別運用(推進力・制圧・時間管理)
推進力カードは縦加速、制圧カードは空中戦とセカンド回収、時間管理カードは保持とゲームテンポの制御。交代の意図をベンチとピッチで共有し、狙いを一つに絞ると効果が出ます。
主審傾向とプレッシングファウルの許容度調整
接触に厳しい主審なら前線の当たりは“角度と腕”を徹底し、遅らせ優先に。流す傾向の主審なら即時奪回の強度を一段上げてOK。許容度の見極めが切替の勢いに直結します。
スカウティング視点:対策の糸口
ストロングとウィークのチェックリスト
- ストロング:コンパクトなミドルブロック、速攻の破壊力、セットプレーの迫力
- ウィーク:押し込まれた際の外→中スイッチ、押し込み時の再加速の再現性、終盤のゲーム速度管理
ビルドアップ抑制:アンカー封鎖と外誘導の両立
アンカーを消してCBから外へ誘導、SB受けの瞬間に圧力をかけます。IHの背中にボールが入らないよう、カバーシャドウの角度を統一。縦刺しを断てば、前進の質は確実に落ちます。
サイド圧縮対策:素早いスイッチとリターンラン
外でハメられたら、戻し→逆サイドへの展開を“ワンタッチ多用”で実行。クロスに対してはPA外の回収を厚くし、セカンドを拾って逆を突く。戻りのラン(リターンラン)の質が肝です。
セットプレー対応:マンツー+ゾーンのハイブリッド
ターゲットへのマンマークと、ニア/中央/ファーのゾーンを併用。キッカーの球種に応じてラインの出足を調整し、GKの視界を確保。セカンドボールの落下点を事前に共有します。
よくある誤解と注意点
「カウンター専用」ではない保持時の厚み
速攻が目立つ一方で、保持の設計も持っています。2-3-5/3-2-5でのレーン占有と、IH—WG—CFの役割交代があるからこそ、押し込んだときにも崩せます。
ブロックの高さ調整は受け身ではなく選択
低く構えるのではなく、相手の性質に合わせて高さを選ぶ発想。中盤での奪回が狙える相手には一段高く、背後狙いのロングが多い相手には低めでセカンド回収を重視します。
個の強さと組織原則の噛み合わせの重要性
推進力あるドリブルや強い対人は大きな武器ですが、レーン管理と三人目の関与がセットになって初めて再現性が生まれます。個と組織の接点を練習で作りましょう。
まとめ:可変フォーメーションを自チームに翻訳する
即実践できるチェックポイント10
- 5レーンを常に誰が踏んでいるかを可視化
- SBの内外可変は“相手SBの位置”で判断
- CFが降りたら2列目は即座に背後予約
- カットバックの受け手をPA内外に最低2人
- 奪回後3秒は縦→斜めの2本で前進
- ミドルブロックの横スライドは逆SHの絞りが合図
- プレスのスイッチは“弱い足”と“GK戻し”で統一
- セットプレーはニア触りとPA外回収をセットで準備
- 交代カードは推進・制圧・時間のどれを狙うか明文化
- 主審の許容度に合わせて当たりの強度を前半で調整
週次トレーニングへの組み込み方
週頭は5レーン管理とサードマンの型作り、中日でミドルブロックの横スライドとトランジション反復、試合前はセットプレーと終盤用の可変(5バック化/2トップ化)を確認。各メニューに“何を捨て、何を残すか”の優先順位をつけ、時間配分を明確にします。
さらなる深掘りのための観戦・分析の視点
(1)SBの内外が切り替わる合図、(2)IHの縦関与の回数とタイミング、(3)トランジション3秒での選択、(4)セットプレー後の二次配置。この4点をチェックすると、カーボベルデの可変の仕組みが立体的に見えてきます。自チームの特性に置き換えながら、一つずつ再現していきましょう。
