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サッカーのチュニジア注目選手|2026年W杯で欧州組が躍動

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サッカーのチュニジア注目選手|2026年W杯で欧州組が躍動。そんなテーマで、いま欧州クラブでプレーする主力・新鋭の実像を、代表のゲームモデル(戦い方)と結びつけながら整理します。守備ブロックとトランジションに強みを持つチュニジアにとって、欧州組の「基礎強度×判断の速さ」は価値が高い資産。予選を経てどこに上積みが必要なのか、どんな選手がハマりやすいのか、ポジション別の起用プランやデータ指標の見方まで、現場感覚でわかりやすく解説します。

イントロダクション:なぜ今、チュニジアの欧州組に注目が集まるのか

2026年W杯に向けた文脈と期待値

アフリカ予選は長期戦です。コンディションの波、移動負荷、短期合流の難しさなど、代表特有のハードルは常に存在します。そこで強みになるのが、欧州主要リーグで日常的に高強度の試合をこなす選手たちの「当たり前の基準」です。球際のスピード、寄せの角度、判断のタイミングが一段高いレベルで標準化されており、予選のアウェーでもパフォーマンスがブレにくい傾向があります。2026年を見据えれば、欧州組の稼働率とコンビネーション構築が、そのまま代表の競争力に直結すると考えられます。

欧州クラブで磨かれる再現性の高いスキルセット

注目すべきは「再現性」。個人の一発の輝きより、毎試合ほぼ同じ品質で実行できるプレーです。例えば、守備ではプレスのトリガーを共有できること、中盤では前向きでのボール前進、サイドではハーフスペースで受けてからの内外の判断。欧州組はこれらを「型」として身につけており、代表に持ち込むだけでチーム全体の意思決定速度が一段上がりやすい。チュニジアが得意とするコンパクトな守備+切り替えにも自然にフィットします。

チュニジア代表の現在地とゲームモデル

予選の戦い方と直近トレンドの整理

直近の代表チュニジアは、ミドルブロックを基調に、相手のビルドアップに対して外誘導→サイド圧縮で回収、そこからの速いトランジションでゴールに迫る手順が軸になりがちです。相手に持たせて主導権を握る「守る設計の能動性」が特徴で、カウンターの出足やセカンド回収の反応はアフリカでも上位レベル。対して、ボール保持を増やした試合では、最終局面の質(クロスの質やペナルティエリア内の枚数管理)が課題として残りやすい傾向があります。

ベースの布陣と可変(4-3-3/4-2-3-1/3バック)

基本形は4-3-3や4-2-3-1。相手の2トップに対しては3枚化して前進(SBの一枚を内側に絞って3-2化、もしくはアンカー落ちで疑似3バック化)する可変も見られます。守備では4-1-4-1や4-4-2に収斂しやすく、前線の一枚が相手アンカーを消しつつ、サイドハーフと連動して外切りのプレスラインを作るのがベース。相手の圧力が強い場合は、ロングを織り交ぜセカンド勝負に寄せる柔軟性もあります。

強み(守備ブロック・トランジション)と課題(ビルドアップ・フィニッシュ)

強みはコンパクトな守備と切り替え。プレスバックの速度、スライドの連動、カウンター時の縦関係の作り方が安定しています。一方で、低い位置からの前進(特に相手のハイプレス下)と、押し込んだ後の崩しでの「最後の一手」は引き続き磨きどころ。欧州組の中盤・SB・2列目が、この部分をどこまで引き上げられるかが鍵です。

欧州主要リーグで躍動する注目選手(確度高)

エリース・スキリ(MF/ドイツ)—運動量と配球で試合を制御

ドイツ1部で継続して存在感を見せる中盤の心臓。90分通して落ちない運動量、ボール奪取後の一手目の配球が光ります。アンカーでもインテリオールでも機能し、相手の10番を消しながらテンポを作れる希少なタイプ。

  • 強み:カバー範囲、守備の予測、前向きでの配球の安定感
  • 代表での役割:アンカー基点/中盤の秩序づくり、試合の落ち着かせ役
  • 観戦ポイント:奪った直後の視線と体の向き、スイッチパスの質

アイサ・ライドゥニ(MF/ドイツ)—デュエルと前進力

対人の強さとボールを前に運ぶ推進力が武器。セカンド回収から前向きに差し込む、もしくは自ら運ぶことで攻撃の温度を上げられます。守備でも寄せの角度が良く、中盤のストッパーとして効く存在。

  • 強み:デュエル勝率、ボールキャリー、強度の継続
  • 代表での役割:狩りどころの設定、トランジション時の最短ルート確保
  • 観戦ポイント:前向きで受ける準備、縦パスの後のリターン受け

モンタサル・タルビ(CB/フランス)—空中戦と予測の守備

空中戦の信頼度が高く、ライン統率もできるセンターバック。前に出て潰す守備と、背後ケアのバランスが良いタイプです。セットプレーでも得点源になり得ます。

  • 強み:空中戦、カバーリング、対角のロングフィード
  • 代表での役割:最終ラインの基準点、守備ブロックの安定化
  • 観戦ポイント:相手CFへの初動、背後のスペース管理

ヤン・ヴァレリー(SB/フランス)—縦への推進力

一気に縦へ運ぶ推進力と、縦パス→追い越しの反復が魅力の右SB。対人守備も粘り強く、アップダウンの量でサイドの主導権を奪えます。

  • 強み:スプリント回数、縦突破、運ぶドリブル
  • 代表での役割:右サイドの前進ルート確保、トランジションの出口
  • 観戦ポイント:内外の使い分け、アーリークロスの選択

モハメド・ドラゲル(SB/スイス)—アップダウンとクロス精度

右サイドでハイテンポに往復し続ける走力と、ニアゾーンからの鋭いクロス。ウイングバック気味の配置でも活きます。

  • 強み:ハイボリュームのラン、速いクロス
  • 代表での役割:幅の確保とラストパス供給
  • 観戦ポイント:ファーを狙う配球、逆サイドへの展開

アリ・アブディ(LB/フランス)—オーバーラップの迫力

左サイドでのオーバーラップの迫力が抜群。二列目との連携で内外を使い分け、クロスだけでなくカットインからのシュートも持っています。

  • 強み:走力とタイミング、フィニッシュ意識
  • 代表での役割:左の押し上げ、エリア内の枚数確保
  • 観戦ポイント:SBの立ち位置調整、インナーラップの使いどころ

ハンニバル・メイブリ(MF/イングランド/スペイン)—強度と創造性

ハイプレス対応の基礎強度と、スイッチを入れる縦パス・スルーパスの創造性を併せ持つ2列目。トップ下でもインサイドでも機能し、守備での寄せとファウルコントロールも改善傾向です。

  • 強み:強度×アイデア、前向きでの配球、セカンド反応
  • 代表での役割:保持時の加速役、カウンター初動の質を上げる
  • 観戦ポイント:受ける前の体の向き、最終局面でのラストパス選択

アニス・ベン・スリマネ(MF/イングランド)—二列目のダイナミズム

二列目からの飛び出し、局面のスピードを変える運びに長けたMF。右でも中央でも起用可能で、トリガーに反応した連続ダッシュが魅力です。

  • 強み:ボックス侵入、守備の切り替え、柔軟なポジショニング
  • 代表での役割:セカンドラインの推進力、フィニッシュへの関与
  • 観戦ポイント:PA周辺での受け直し、シュートの準備動作

モハメド・アリ・ベン・ロムダン(MF/ハンガリー)—ボックス・トゥ・ボックス

攻守の往復が利くBtoBタイプ。欧州カップ戦でも揉まれており、球際・運ぶ・さばくのバランスが良い。相手の嫌なスペースに顔を出せます。

  • 強み:運動量、二次攻撃の厚み、スイッチの察知
  • 代表での役割:縦ズレの作成、セットプレーセカンド回収
  • 観戦ポイント:ライン間での身体の向き、遅れない寄せ

ディラン・ブロン(CB/欧州)—対人守備とビルドアップ

欧州での経験が豊富なCB。前に出て潰す強さと、ビルドアップでの縦打ちが武器。3バックの右でもプレー可能です。

  • 強み:対人、前進パス、セットプレー守備
  • 代表での役割:配置の可変対応、ラインコントロール
  • 観戦ポイント:チャレンジ&カバーの判断、リスク管理の声かけ

ポジション別に見る「欧州組」起用プランと競争軸

センターライン(CB/DM/CM)での安定と上積み

センターラインはチームの体幹。CBではタルビ、ブロンの組み合わせに、ビルドアップで縦打ちできる人材を絡めたい。DM/CMではスキリ+ライドゥニ(またはベン・ロムダン)のトライアングルで、守備の重心を安定させつつ、前進の「最短」を見つける役割分担が鍵です。縦パスの後のサポート角度をチームで共有できるかが、ビルドアップ改善の第一歩になります。

サイドバックのローテーションと役割分担

右はヴァレリーとドラゲルで、相手に応じて「幅×推進」か「内側の前進」を使い分ける。左はアブディの推進力を基準に、2列目との連係でハーフスペース攻略を増やしたい。ローテーションは「90分の強度維持」という視点で、交代前提のゲームプランを持っておくと機能しやすいです。

2列目の創造性と守備強度のバランス

2列目はメイブリ、ベン・スリマネを中心に、創造性とリトリート時の強度を両立。相手SBの背後やハーフスペースで前向きに受ける回数を増やせば、フィニッシュの再現性が上がります。守備では最初の寄せで外に誘導、内通しを消す役割を徹底するのがポイントです。

伸びしろを感じる若手・新顔(台頭候補)

欧州アカデミー発のU23タレント像

欧州アカデミーで育ったU23は、基礎技術と戦術理解が標準化されているため、代表へのソフトランディングがしやすい層です。特に、IH/WGで「背中で受けて前を向く」「ワンタッチで前進させる」動きがデキる選手は、いきなり戦力化しやすい。U23のうちはプレー強度を引き上げることにフォーカスしつつ、出場時間のコントロールで怪我を回避する計画性が重要です。

二重国籍プレーヤーの動向と合流シナリオ

二重国籍の選手は、ユース代表からA代表への移行期に最も揺れやすい層。クラブで出場が増えたタイミング、または国際Aマッチでの役割が明確化された時期に合流が進むケースが多いです。早期にキャンプへ招集し、役割と期待値を明確に伝えることがスムーズなスイッチの鍵になります。

プレースタイル別のブレイク候補プロファイル

  • IH型(前進装置):ライン間で前を向き、縦パス一本で局面を進めるタイプ
  • WB/SB型(幅の圧力):運ぶ×クロスでPA内の枚数を増やすタイプ
  • BtoB型(走力の底上げ):セカンド回収と押し上げで、攻守の継ぎ目を太くするタイプ

国内組・中東組との補完関係

キャプテンシーと試合運びを担うベテラン

国内組・中東組には、ロッカールームの求心力や試合運びの巧さを持つベテランがいます。アフリカ特有のアウェー環境での「温度調整」や、ゲームの止め方・進め方を理解している存在は代えが利きません。欧州組の推進力に、ゲームマネジメントという錨を加えることで、勝ち点の取りこぼしを防ぎやすくなります。

セットプレー要員と交代カードの幅

高さ、キッカーの質、ロングスローなど、セットプレーの武器は国内外の選手で分担可能。終盤に高さを加える、あるいはキッカーを入れ替えるだけで、0.5点ぶんの期待値を積み増せることがあります。交代カードに意図を持たせ、相手の弱点(マンツーマンのマークずれ、ゾーンの端の対応)を突ける準備をしておきたいところです。

データで読み解く注目ポイント

守備KPI(PPDA/被xG/空中戦勝率)

PPDA(相手のパス数あたりの自陣での守備アクション)は、前から行けているかの指標。数値が低いほど能動的な守備傾向を示します。被xGは守備の最終的な失点期待値で、シュート質をどこまで抑え込めているかを表します。空中戦勝率はセットプレーを含むキーマッチアップの健康診断。CBやDMの数値を合わせて見ると、ブロックの安定度が把握しやすいです。

攻撃KPI(プログレッシブ指標/チャンス創出)

前進パス・キャリーの数と距離(プログレッシブ指標)、キーパスやショットクリエーションアクション(SCA)などが、保持での「進む力」を可視化します。SBとIHの前進量が増えると、2列目のラストパスの成功率も自然と上がる関係があります。

セットプレー効率とセカンドボール回収

CK/FKのxG効率に加え、跳ね返りのセカンド回収率を追うと、再波状の持続性が見えてきます。高い位置で回収→すぐ二度目のクロス、という二段構えが作れると、拮抗ゲームでの先取・追加点に直結します。

スカウティング視点の観戦ガイド

テレビ・配信でチェックすべきプレーの指標

  • 守備:寄せる角度とトリガーの共有(誰が合図を出しているか)
  • 前進:縦パス後の3人目の動き(受け直しの質)
  • サイド:SBの立ち位置(幅を取るのか、内側で前進装置になるのか)
  • フィニッシュ:PA内の枚数管理とニア・ファーの使い分け

90分を通じた「強度」と「判断」の見極め方

序盤・中盤・終盤で強度が落ちないか、判断が遅れないかは重要なチェックポイントです。特に2列目とSBはスプリント総量がパフォーマンス直結。終盤に運動量を落とさず、かつファウルコントロールできている選手は、国際大会で信頼されやすい傾向があります。

リスク管理とシーズン通期の注目トピック

負傷・移籍・コンディションの影響

欧州組は過密日程と移動でコンディションが崩れやすい層です。筋系の軽傷でも、代表期間と重なると影響は大。クラブでの役割変更(ポジションや戦術の変化)も、代表での使い方に波及します。稼働率の把握と、代替プランの早期整備が必要です。

代表合流時のコンビネーション構築

連携は「ペア」「トライアングル」単位で設計するのが効率的。例えば、右のCB—SB—IH、左のSB—IH—WGなど固定の関係性を作り、パス交換と立ち位置のルールを最小限に絞って共通化すると、短期合流でも機能しやすくなります。

よくある質問(FAQ)

欧州組の比率は増えるのか?

長期的には増える可能性があります。理由は、欧州で育成・競技環境を経験した選手の基準値が、代表での再現性に直結しやすいからです。ただし、比率が増えること自体が目的ではありません。国内組・中東組との補完関係を保ち、最適解を探ることが重要です。

注目試合はどこをチェックすべき?

注目選手が所属するリーグ戦はもちろん、欧州カップ出場クラブの試合は評価が上がりやすい材料になります。強度が高い試合での振る舞い(判断の速さ、守備の強度、終盤の運動量)を確認すると、代表での適応が見えます。代表ウィークの親善試合では、配置の可変やビルドアップの狙いを重点的に観るのがおすすめです。

若手の起用はW杯へ向けて加速する?

起用は段階的に進む可能性が高いです。まずは途中出場で強度の基準を共有、その後に先発機会を増やす流れが一般的。連戦期を避けて少しずつ負荷を増やし、怪我のリスクを抑えながら土台を作るのが現実的です。

まとめ:2026年W杯で欧州組が躍動するための条件

キープレーヤーの稼働率と連携の成熟

スキリ、ライドゥニ、タルビらセンターラインの稼働率が、そのまま代表の安定度の指標になります。ペア/トライアングル単位の連携を固定し、短い合流でも迷いなく再現できる「型」を共有することが、シーズンを通じたブレを減らす近道です。

対上位国に通用する『基礎強度×再現性』の確立

ハイプレス耐性、切り替え速度、ラストサードの精度。この三つの再現性を欧州組で底上げできれば、対上位国でも競争力を維持できます。セットプレーの期待値を積み増し、終盤の交代で強度を落とさない設計ができれば、2026年に向けて現実的な勝ち筋が見えてきます。

サッカーのチュニジア注目選手は、単に名前を追うだけでは価値が半減します。チームのゲームモデルと結びつけて「どの局面で、どの強みが、どう効くのか」をイメージできると、観戦の解像度は一気に上がります。欧州組の経験値をチーム全体の再現性へ。これが2026年へ続く最短ルートです。

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