目次
- サッカー小学生練習メニューチーム向け90分丸ごと設計図
- サッカー小学生練習メニューチーム向け90分の全体設計図
- 準備物とグラウンド設定(チーム向け)
- 0〜10分:動的ウォームアップ+リアクション鬼ごっこ
- 10〜20分:ボールタッチ&コーディネーション
- 20〜35分:1対1の突破と守備の原則
- 35〜50分:パス&サポート(三角形で前進)
- 50〜65分:フィニッシュ(シュートと決定力)
- 65〜85分:条件付きゲーム(4対4+サーバー)
- 85〜90分:クールダウン&ふりかえり
- 人数・レベル・環境に応じた調整ガイド
- 記録と評価のテンプレート(チーム運営に活きる)
- よくある質問(サッカー小学生練習メニュー90分版)
- 次の練習へのつなぎと追加リソース
- まとめ
サッカー小学生練習メニューチーム向け90分丸ごと設計図
このページは、チームでそのまま使える「サッカー小学生練習メニュー(90分)」の丸ごと設計図です。指導経験の有無に関わらず現場で回せるよう、導線(移動のしやすさ)や用具の代替案、学年差・人数差への対応までを一体化しました。狙いはシンプルです。「安全に」「楽しく」「上達が見える」。技術・戦術・態度の3軸でKPI(指標)を置き、ゲームにつながる一貫性を持たせています。
チーム事情は千差万別ですが、90分の柱(ウォームアップ→ボールタッチ→1対1→パス&サポート→フィニッシュ→条件付きゲーム→クールダウン)を守ることで、練習が“点”から“線”になり、子どもたちの理解が深まりやすくなります。以下の設計図を、まずは一度そのまま回してから、翌週に微調整していくのがおすすめです。
サッカー小学生練習メニューチーム向け90分の全体設計図
この設計図の使い方(所要時間・目的・導線)
所要時間は合計90分。開始5分前から用具とコートをセットし、メニュー間の移動は最短で済むように同じエリアを回して使います。原則として「個→小集団→ゲーム」の流れで負荷と情報量を上げ、最後に今日の学びを振り返る構成です。
- ウォームアップで体温・心拍数を段階的に上げ、反応を活性化
- ボールタッチで個の技術と姿勢・視野を整える
- 1対1で間合いと重心・最初の一歩を習得
- パス&サポートで角度・距離・タイミングを体験
- フィニッシュで「認知→準備→実行」を高速化
- 条件付きゲームで今日のテーマをゲーム文脈で統合
- クールダウンとふりかえりで定着と安全を確保
導線のコツは「次のメニューの開始位置を、今のメニューのゴール側に置く」です。待ち時間を削減し、集中が切れにくくなります。
今日の到達目標(技術・戦術・態度の3軸KPI)
- 技術KPI:両足でのボールタッチ(片足30回/分を目安)、1対1の突破成功率30%以上、オンターゲット率50%以上
- 戦術KPI:三角形のサポート角度(45〜60度に立てる回数/10分で8回以上)、前進回数(自陣→中盤→相手陣へ運べた回数を10分で3回以上)
- 態度KPI:合図に即反応(3秒以内の集合)、声かけ(1人あたり5回以上のポジティブコール)
数値は目安であり、学年・人数・経験値で調整してください。「努力の方向が合っているか」を示す灯台として活用します。
90分の配分一覧(10分刻みタイムテーブル)
- 0〜10分:動的ウォームアップ+リアクション鬼ごっこ
- 10〜20分:ボールタッチ&コーディネーション
- 20〜30分:1対1(導入)
- 30〜40分:1対1(制約つき応用)
- 40〜50分:パス&サポート(三角形ロンド→ゲート)
- 50〜60分:フィニッシュ(カットイン/ワンタッチ)
- 60〜70分:フィニッシュ(リバウンド・連続性)
- 70〜80分:条件付きゲーム(4対4+サーバー)
- 80〜85分:条件変更でゲーム強度調整
- 85〜90分:クールダウン&ふりかえり
準備物とグラウンド設定(チーム向け)
必要な用具リストと代替案
- マーカーコーン:20〜30個(代替:ペットボトル、水筒カバー)
- フラットマーカー:10〜20枚(代替:ガムテープで地面マーキング)
- ビブス:2色×各6〜8枚(代替:帽子・タオルの色分け)
- ミニゴール:2〜4台(代替:コーン2本でゲート)
- ボール:人数分+予備2球
- ホイッスル、ストップウォッチ、メモ用紙またはスマホ
- 救急セット(テーピング・冷却材・絆創膏)、飲料水、日よけ
コートレイアウトの口頭図解(マーカー配置と導線)
長方形コートを縦に2分割します。右半面は「ボールタッチ→1対1→フィニッシュ」の直線導線。左半面は「ロンド→条件付きゲーム」。
- 右半面手前:3×12mのレーンを2本(ボールタッチ)
- 右半面中央:1対1エリア8×12m(左右にスタートマーカー)
- 右半面奥:ミニゴールを2台(フィニッシュ)
- 左半面手前:6×6mのロンド枠を2面
- 左半面奥:4対4+サーバー用コート20×25m、タッチラインにサーバーゾーン
移動は常に“奥へ”進む流れ。列が伸びたら同じ設計の面を複製して分散させます。
人数別の初期配置と役割分担
- 8〜10人:1面で回す。1対1は2列、ゲームは4対4+サーバー2人。
- 11〜16人:2面で回す。上級・初級で分け、テーマは共通。
- 17〜20人:3グループのローテーション(技術面/対人面/ゲーム面)。
- 役割分担:キャプテン(集合と整列)、タイムキーパー(ストップウォッチ)、用具係(マーカー回収)。役割は週替わりで経験させる。
0〜10分:動的ウォームアップ+リアクション鬼ごっこ
目的と効果(ケガ予防・反応速度・楽しい導入)
関節の可動域を広げ、筋温を上げ、神経系を起こします。色・音・ジェスチャーへの即時反応を入れると、集中スイッチが入りやすく、ケガ予防にもつながります。
進め方と合図の工夫(色・音・ジェスチャー)
- 動的ストレッチ(2分):足首回し→股関節→ランジ→肩回し→軽いスキップ。
- モビリティ走(3分):サイドシャッフル、オープン/クローズ、バウンディング。
- リアクション鬼ごっこ(5分):コーチがコーンを掲げる色=進行方向。ホイッスル1回=方向転換、2回=しゃがむ、両手上げジェスチャー=ジャンプ。
コーチングポイントと安全配慮
- 姿勢:胸を張り、膝は柔らかく。視線は前。
- 接触回避:スペース認知を促す「右見てOK、左見てOK」の声かけ。
- 強度:最初の2分は低〜中、後半で中強度へ。
学年別/人数別バリエーション
- 低学年:合図は1つずつ。色→音の順で難易度アップ。
- 高学年:フェイント動作(ストップ、切り返し)を合図に追加。
- 多人数:鬼を2人に増やし、捕まったらその場スクワット3回で復活。
10〜20分:ボールタッチ&コーディネーション
目的(両足化・姿勢・視野)
両足での操作、体幹の安定、周辺視野の確保を同時に磨きます。ボールタッチは“早さよりフォーム”。
ドリル手順(足裏・インアウト・Vターン)
- 足裏ローリング:その場で左右30回→前進10m→戻り10m。
- インアウト:片足で内外リズム30回→交互に前進10m。
- Vターン:足裏で引いてインサイドで押すを左右10回ずつ→前進。
- 視野刺激:コーチが数字/色カードを掲げ、見えたら口で復唱。
成功指標(回数・フォーム・視線)
- 回数:60秒で左右各30回(低学年は各20回)
- フォーム:つま先は軽く下向き、膝は柔らかく、上体は前傾しすぎない
- 視線:ボール8、周囲2の割合から、徐々に7:3へ
GKの関わり方と配慮ポイント
- GKはボールタッチ後に両手キャッチ→スロー(胸の前で受け手にやさしく)
- 片足立ちキャッチやステップワークを挟み、可動域とバランスを確保
20〜35分:1対1の突破と守備の原則
目的(間合い・重心・駆け引き)
攻撃は“最初の一歩で前を向く”、守備は“間合いと体の向きで遅らせる”を体感します。
ドリル設計(左右非対称スタートと制約)
- エリア:8×12m。攻撃はサイドからボール持ち、守備は中央やや後ろから。
- 条件:攻撃は最初のタッチで前へ。守備は2mの距離を素早く詰め、利き足側を切る。
- 終了条件:ゴール通過で1点、タッチライン外は守備の点。
攻守のコーチングポイント(最初の一歩/身体の向き)
- 攻撃:最初の一歩を大きく/速く。ボールは身体の外側に置き、肩を入れて抜く。
- 守備:半身で構え、内側を締める。足を出すのは相手のタッチ直後。
よくある課題と修正の声かけ例
- 課題:足が止まる→「小刻みに動き続けよう」
- 課題:正面でぶつかる→「半身で内側を消すよ」
- 課題:視線が下→「ボールは足の感覚で、顔は上」
進度別アレンジ(初級・中級・上級)
- 初級:守備の距離を4mに広げ、攻撃有利に。
- 中級:攻撃は2タッチ以内で前へ向く制約。
- 上級:フィニッシュ前にフェイント必須、守備は奪ったらカウンター可。
35〜50分:パス&サポート(三角形で前進)
目的(角度・距離・タイミング)
三角形の基礎を通して、受け手の前進角度、適切な距離、ボールと味方/相手を見たタイミングの一致を習得します。
ドリル手順(3人組ロンド→ゲート突破)
- 3人ロンド(6×6m):2対1。守備はパスカット狙い。10本連続で成功を目標。
- ゲート突破(10×15m):3人対2人。中央ゲート(幅2m)を通してゴール方向へ前進。
制約ゲームの例(ワンタッチ・縦パス加点)
- ワンタッチボーナス:連続ワンタッチ3本で+1点。
- 縦パス加点:縦に入れて前向きで受けられたら+1点。
- オフサイドは簡略化(GK線を越えた受けは不可など)
初心者と上級者の同時進行の工夫
- 初心者:コーンを目印にサポート角度を可視化。
- 上級者:逆足限定やダイレクト縛りで情報処理を上げる。
50〜65分:フィニッシュ(シュートと決定力)
目的(状況認知→準備→実行)
シュートは「いつ」「どこに」「どう蹴るか」。状況認知から助走・軸足準備、インパクトまでを連続で磨きます。
ドリル手順(カットイン/ワンタッチ/リバウンド)
- カットイン:サイドからボール保持→内に運びインステップでファーへ。
- ワンタッチ:中央サーバーからのパスをダイレクトで枠内へ。
- リバウンド:GKが弾いたボールに最短で反応し、セカンドを押し込む。
キーパー練習との連携方法
- GKは正面→左右へのステップ→倒れ込みの順で難易度調整。
- シューターはコース優先(強さより枠内)。GKはキャッチ/弾くの判断を明確に。
指標と記録方法(オンターゲット率・決定率)
- オンターゲット率=枠内/総シュート
- 決定率=得点/総シュート
- 各自5本×2セットで記録。週ごとの変化をメモ。
65〜85分:条件付きゲーム(4対4+サーバー)
目的(ゲームモデルの片鱗を体験)
今日のテーマ(前進、サポート、フィニッシュ)をゲーム文脈で確認します。4対4はボールタッチ数が増え、判断機会が多いのが利点です。
ルール設定案(幅・スイッチ・トランジション加点)
- サーバーは両サイドライン外に配置。攻撃側のみ使用可。
- 幅の使用:サイド経由の前進で+1点、中央だけは加点なし。
- スイッチ:逆サイドへの展開が入ると+1点。
- トランジション:ボール奪取から5秒以内のシュートで+1点。
観察する指標(前進回数・ボール奪回地点)
- 前進回数:自陣→中盤→相手陣に入った回数/5分
- 奪回地点:自陣or中盤or相手陣での奪取数
- サポート角度:受け手が前向きになれたパスの本数
コーチング介入のタイミング
- プレーオンが基本。2〜3分ごとに“凍結コーチング”(一時停止)で1点だけ指摘。
- 合図は短く具体的に:「角度つけて前向き」「最初の一歩を速く」
フェアプレーと安全管理
- 接触プレーは肩から上の接触NG、後方からのチャージNGを徹底。
- 熱中症対策:途中で30〜60秒の給水を挿入。
85〜90分:クールダウン&ふりかえり
身体の整理(呼吸・関節可動)
- 呼吸:4秒吸う→6秒吐くを5回。
- ストレッチ:ふくらはぎ、ハムストリング、股関節、背中を中心に。
今日の学びを言語化(個人→グループ)
- 個人:今日できたこと1つ、次回やること1つを声に出す。
- グループ:前進が増えた理由/減った理由を1つずつ共有。
宿題ドリルの提示(自宅3分メニュー)
- 足裏Vターン30秒×3セット
- 壁パス(片足ワンタッチ)30回×左右
- 視野トレ:テレビを見ながらボールタッチ、画面の数字/英字を声出し
人数・レベル・環境に応じた調整ガイド
人数不足/過多の切替(2〜20人対応)
- 2〜4人:1対1+サーバー1、もしくは2対1。ゲームは2対2で小コート。
- 5〜8人:3対1ロンド、2対2+フリーマン。
- 9〜12人:4対4+サーバー、同じコートを二面化。
- 13〜20人:ステーション制(技術/対人/ゲーム)で渋滞回避。
狭いスペース・雨天・屋内版の代替案
- 狭小:ゲートを多用し、短い往復導線。長いドリブルを避ける。
- 雨天:グリップの効く靴、滑りやすいフェイントは抑え、パス中心。
- 屋内:壁パスを積極活用。強度は間の給水で調整。
学年別の強度調整(低学年/中学年/高学年)
- 低学年:説明は10〜20秒、回数は少なく回転を早く。成功体験を多めに。
- 中学年:制約を1つ追加(逆足、タッチ制限)。
- 高学年:時間/空間の圧縮、カウントダウンで判断速度を上げる。
怪我予防と熱中症対策の基本
- ウォームアップの段階化、クールダウンの徹底
- こまめな給水(のどの渇き前に)
- 直射日光下では帽子・日陰の活用、休憩の挿入
- 違和感を申告しやすい雰囲気づくり(痛みは合図で即ストップ)
記録と評価のテンプレート(チーム運営に活きる)
週報・個人カードの項目例
- 出欠・体調・体温(必要時)
- 技術:オンターゲット率、1対1突破/奪取回数
- 戦術:前進回数、サポート角度の良い場面数
- 態度:声かけ回数、集合時間、用具片付け
- 所感:できた/次回やる、コーチコメント
チームKPI例(前進・奪回・フィニッシュ)
- 前進:1試合(または10分ゲーム)で5回以上
- 奪回:相手陣での奪取を2回以上
- フィニッシュ:枠内シュート率50%以上
保護者への共有フォーマット(簡易レポート)
- 今日のテーマと観察:例「前進の回数が増え、サイドの活用がうまくなった」
- 個人の良かった点:1人1行
- 次回予告:練習の狙いと持ち物
よくある質問(サッカー小学生練習メニュー90分版)
走り込みは必要?ゲーム強度で代替する考え方
持久力はゲームに近い動きの中でも十分鍛えられます。インターバル性の高いロンドや小人数ゲームで“走る意味”を持たせると、時間対効果が上がります。
GKが一人しかいない場合の回し方
5分ごとに交代でGK体験を入れつつ、正GKはフィニッシュで優先参加。シュート本数が多い時はターゲットゴール(ゲート)も併用し、負荷を分散します。
途中参加や遅刻者のスムーズな組み込み方
まずはボールタッチレーンで2分間の合流メニュー→1対1の守備役から入れると安全かつ流れに乗りやすいです。
ゲーム中心とドリル中心のバランス
基本は「個→小集団→ゲーム」。ゲーム時間を20分以上確保しつつ、前段で“今日試したい技術/戦術”を仕込みます。結果としてゲーム中心でも学びが残りやすくなります。
次の練習へのつなぎと追加リソース
今回の復習ポイントと次回予告(守備の連動へ)
- 復習:最初の一歩、サポート角度、枠内意識。
- 次回:2人目・3人目の守備(連動してボールを奪う)をテーマにします。
家庭でできる準備(ボールタッチ・視野トレ)
- 足裏Vターン、インアウト各1分
- 壁パス(ワンタッチ/ツータッチ)各30回
- 視野:家族に数字カードを掲げてもらい、見えた数を言いながらタッチ
参考になるガイドライン・資料の探し方
- 地域協会や連盟の育成ガイドライン
- 育成年代指導に関する公開講習会やセミナー資料
- 信頼できる指導者の発信(指導意図と安全配慮が明確なもの)
まとめ
サッカー小学生練習メニューチーム向け90分丸ごと設計図は、「安全・楽しい・上達が見える」を1本の線でつなぐための枠組みです。導線をそろえ、数分単位の待ち時間を減らし、KPIで学びを可視化する。これだけで現場の空気は変わります。まずは一度この設計図どおりに回し、来週の自分たちに合うよう小さく修正してください。チームの文脈に寄り添った“継続”こそが、子どもたちの成長を最速で引き出します。
