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ロンド初心者向けバリエーションを目的→メニュー→チェックで攻略

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ロンドをはじめると「楽しいのに、うまく回らない」「試合で活きない」と感じやすいもの。この記事では、ロンド初心者向けバリエーションを「目的→メニュー→チェック」の順で整理し、最短で上達するための道筋をまとめました。人数やスペースが限られていても対応できる工夫、守備の基準、週次プランまで網羅。今日の練習からそのまま使える内容です。

導入:ロンドとは何かと初心者がハマる理由

ロンドの定義と得られる効果(技術・認知・判断・コミュニケーション)

ロンドは、数的優位でボールを保持し続ける小さなポゼッション練習です。狭いエリアでのパス&コントロールを中心に、以下の力が一度に鍛えられます。

  • 技術:ファーストタッチ、パススピード、ワンタッチ
  • 認知:首振り(スキャン)で状況把握、逆サイドの把握
  • 判断:2対1の最短解、前進か保持かの切替
  • コミュニケーション:支持の声、トリガーワード、視線の共有

試合に直結する要素が濃縮され、短時間でも密度の高いトレーニングが可能です。

初心者がつまずく3つの壁(間合い・体の向き・テンポ)

  • 間合い:守備に吸い込まれて距離が潰れ、パスコースが消える
  • 体の向き:半身を作れず、前進の選択肢が遅れる
  • テンポ:リズムが合わず、ミスが連鎖して自信を落とす

これらは「目的→メニュー→チェック」を徹底することで、確実に改善できます。

本記事の使い方:目的→メニュー→チェックで最短改善

各バリエーションで「何を伸ばすのか(目的)」→「どう行うか(メニュー)」→「できたかの判断(チェック)」を明確化。最後に「よくある失敗」と修正の言葉かけまで載せています。1つの目的に1つのチェックが対応する構造なので、迷いにくく、再現性の高い練習運営ができます。

準備:安全・環境・人数とサイズのガイド

人数とグリッドサイズの目安(3対1〜5対2)

  • 3対1:8〜10m正方形(技術の安定化に最適)
  • 4対1:10〜12m(テンポとワンタッチ導入)
  • 4対2:12m(数的優位下の判断)
  • 5対2:14〜16m(幅×奥行きの同時管理)

基準は「2〜3本で守備に触られないパススピードが出るサイズ」。遅いと感じたら縮小、雑になるなら拡大がセオリーです。

用具・スペース・時間配分(ウォームアップ→ロンド→ゲーム形式)

  • 用具:マーカー・ミニコーン・ボール2〜3球(予備含む)
  • スペース:グラウンドの一角、体育館でも可(滑りに注意)
  • 時間配分(例・90分):ウォームアップ15分→ロンド45分→ゲーム形式25分→振り返り5分

安全配慮と強度コントロール(休息・交代・負荷調整)

  • 休息:作業5分/休息1分を目安にサイクル化
  • 交代:奪取した守備と交代、または時間交代で公平性
  • 負荷:タッチ制限・サイズ・守備人数で段階調整
  • 足元:雨天・硬い地面ではボール選定(グリップ重視)、シューズの摩耗チェック

バリエーション1:3対1 基本ロンド

目的:基礎の角度と体の向き、2タッチの安定化

「三角形を崩さない移動」と「半身の受け」を最優先。2タッチで安定させ、ミスの原因を明確化します。

メニュー:四角8〜10m、外3人・中1人、2タッチ制限で10本つなぐ

  • 2タッチ限定。10本連続で1点
  • 守備が触れたらカウントリセット
  • ローテーション:1〜2分で守備交代

チェック:ファーストタッチの置き所・パススピード・受ける前の首振り

  • 置き所:次のパス方向へ45度に置く
  • パススピード:受け手が止まらない速さ(地を這うボール)
  • 首振り:受ける前に最低2回(ボール→周囲)

よくある失敗と修正コーチング

  • 止まって受ける→「三角形の角を保ちながらズレ続けよう」
  • ファーストタッチが近すぎる→「次の足で蹴れる距離に置こう」
  • 弱いパス→「地面に線を描くように、速くまっすぐ」

バリエーション2:3対1 ゲート付きで角度を学ぶ

目的:パスコースを作る移動と三角形の維持

受け手が角度を作る意識を定着。守備の正面から外し続けます。

メニュー:コーンでゲート2箇所、ゲート通過で得点

  • ゲート幅1.5〜2mを2箇所設置
  • ゲート通過のパスで1点。連続性を重視

チェック:受け手の斜めサポート・守備者の逆を取る方向づけ

  • 受け手が斜めに顔を出せているか
  • パス方向が守備者の“背中側”へ向いているか

負荷調整:ゲート幅・タッチ数・制限時間

  • ゲート幅を狭める=難易度UP
  • 2タッチ→1タッチ混在へ
  • 60秒で得点ノルマ設定

バリエーション3:4対1(方向づけなし)でテンポを上げる

目的:テンポアップとワンタッチ導入

安全にボールを動かしながら、ワンタッチの質を段階的に高めます。

メニュー:四角10〜12m、外4人・中1人、1〜2タッチミックス

  • 原則2タッチ、余裕があればワンタッチ
  • 10本つないだらワンタッチ強化タイム20秒

チェック:ワンタッチの質・支持の声・3人目の関与率

  • ワンタッチの方向とスピードが適正か
  • 「ワンツー」「ターンOK」など明確な声
  • 3人目(受け手以外)の関与が連続で出ているか

難易度調整:タッチ制限・ボール種類・グリッド縮小

  • 2タッチ→1タッチ優先へ
  • 軟らかめのボール→公式球へ
  • サイズを10%縮小して反応速度UP

バリエーション4:4対2 基本(数的優位下の判断)

目的:数的優位での最短解の選択(2対1の連続)

常に2対1を作り直す視点を養い、最短距離でフリーを見つけます。

メニュー:四角12m、外4人・中2人、奪取で守備交代ルール

  • 守備が奪えば交代、保持側はすぐ再開
  • 10本連続で1点、縦差し成功は追加1点

チェック:2対1の認知速度・縦パス後のサポート・守備の連動

  • 最も近いフリーは誰かを即断できているか
  • 縦パス後、出し手が前へワンステップ出られるか
  • 守備がコース切り→寄せの順で連携できているか

守備者の基準(コース切り→寄せ)も共有

  • 外切り・内切りの意図を事前に統一
  • 1st守備が切り、2nd守備が奪いに行く

バリエーション5:4対2 ターゲット(方向づけロンド)

目的:前進の意図づけと縦パスの質

方向を持たせることで、試合の前進意識に接続します。

メニュー:左右にターゲット2人、縦通過で1点・リターンで2点

  • ターゲットは1タッチリターン推奨
  • 縦パス→落とし→前進で高得点を狙う

チェック:縦パスのタイミング・背後準備・サポートライン角度

  • 守備の重心がズレた瞬間に差し込めたか
  • ターゲットの受け準備(半身・足元/背後の両方)
  • 出し手のサポート角度が斜め前へ作れているか

発展:オフサイドラインの概念導入

仮想ラインを設定し、背後を取る動きと足元で受ける動きを選択させます。

バリエーション6:5対2 基本(幅と奥行きを同時に使う)

目的:幅×奥行きの同時管理と逆サイド展開

1つ先、2つ先を見据えて逆サイドへ素早く展開。

メニュー:四角14〜16m、外5人・中2人、3タッチ以内

  • 3タッチ以内で保持、逆サイド展開にボーナス
  • ボール2球運用は発展で

チェック:逆サイド認知頻度・展開スピード・ファーストタッチの体勢修正

  • スキャン回数:1プレー前に2回以上
  • 展開の所要時間:3本以内で逆へ届くか
  • 体勢修正:身体の向きで前進か保持かを即選択

負荷調整:守備休息比・得点条件・ボール2球運用

  • 作業3分/休息1分→強度に応じて2/1や4/1へ
  • 逆サイド1点、縦差し2点などルールで意図づけ
  • 2球運用で認知負荷UP(安全に配慮)

バリエーション7:二重ロンド(5対2+5対2を連結)

目的:ゾーン切替とボール循環の方向転換

グリッド間のスイッチで、局面転換のスピードを磨きます。

メニュー:2グリッド連結、中央ゲート通過で隣へスイッチ

  • 中央ゲート1〜2m、通過で隣へ移動
  • スイッチ後3本以内で前進すると加点

チェック:スイッチの合図・中央の人の役割・遅攻→速攻の切替

  • 声とジェスチャーの統一(「スイッチ!」)
  • 中央のリンク役が体の向きで進行方向を示せているか
  • 保持から前進への切替が3秒以内か

発展:守備2人を跨いだ3人目活用

守備ラインをまたぐ3人目の斜め走りを評価。縦→斜め→縦の連携を狙います。

バリエーション8:四角→菱形(ダイヤモンド)で体の向きを最適化

目的:半身の習慣化と前向き作り

受ける角度が自然に半身になる配置で、前進の第一選択を定着させます。

メニュー:菱形配置、縦の角をターゲット扱い

  • 縦角は1タッチ推奨
  • 斜め角は2タッチで方向づけ

チェック:半身角度・第一選択の前進・受け手の距離感

  • 受ける前のつま先が前を向けているか
  • 最初の選択が前進で、無理なら保持へ切替
  • 距離が近づきすぎていないか

注意:パススピードが落ちたらサイズ縮小

スピードが落ちたら1〜2m縮小して密度を戻しましょう。

バリエーション9:移動式ロンド(外→ワンツー→枠外移動)

目的:受ける前の移動とパス&ムーブの自動化

「出したら動く」をルールで強制し、無意識レベルにまで刻みます。

メニュー:パス後にゲート通過義務、ワンツー得点2倍

  • 外側に小ゲートを設置し、パス後に通過
  • ワンツー成功で2点、通常保持1点

チェック:パス後の最短移動・視野確保・三角形維持率

  • 出した瞬間に動き出せているか
  • 移動中も首を振れているか
  • 三角形の形が崩れず続いているか

強度調整:ゲート位置・移動制限時間

  • ゲートを遠ざける=走行距離UP
  • パス→ゲート通過まで2秒制限などで反応速度UP

バリエーション10:スイッチロンド(外→中→外の3人目)

目的:3人目の関与を常態化

「外から中を経由し、別の外へ」の型で、3人目の関与を習慣化します。

メニュー:中央フリーマン1人、外から中経由のみ得点

  • 中を経由しない前進はノーカウント
  • 中は1タッチ優先、向きで前進を合図

チェック:中の体の向き・縦スイッチの速度・背中の情報共有

  • 中が半身になって受けているか
  • 中経由から外へのスピードに淀みがないか
  • 背中側の味方へ声で情報が届いているか

守備:縦スイッチへのトリガー設定

中への縦パスに同時圧力。片方が背後を切り、もう片方が奪いに行くルールで強度を上げます。

バリエーション11:テンポ制限(メトロノームロンド)

目的:テンポ管理とリズム変化の習得

テンポを外部化し、全員で同じ拍を共有。速いだけでなく「変化」を学びます。

メニュー:拍手やコールでBPM設定、1タッチ主体でテンポ合わせ

  • BPMをコーチがコール(例:90→110→90)
  • アクセントで縦差しの合図

チェック:テンポ逸脱率・アクセントの使い分け・声の質

  • テンポから外れる回数を最小化
  • 通常拍とアクセントの区別ができているか
  • 短く具体的な合図(「ヘイ」「ターンOK」など)

発展:テンポ変化をトリガーに縦差し

テンポが上がった瞬間に縦差しルールで、変化→前進を結びます。

バリエーション12:カウントロンド(10本保持→3本で縦通し)

目的:目的の段階化(保持→前進決断)

「守る」から「刺す」へ。段階の切替を数で明確にします。

メニュー:10本保持で1点、その後3本以内に縦通しで追加点

  • 10本達成で“攻撃権”獲得
  • 3本以内に縦通し成功で+2点、失敗でリセット

チェック:保持と前進の切替タイミング・リスク管理・役割分担

  • 10本の終盤に縦の準備が始められているか
  • 安全な方向転換とチャレンジの両立
  • 刺す人・落とす人・カバーの役割が明確か

難易度調整:本数変更・縦パス条件追加

  • 保持8本→12本に変更でコントロールUP
  • 縦パスは1タッチリターン必須など条件付与

目的別カスタマイズ早見

対人プレッシャー耐性:4対2・5対2で寄せ速度を段階化

守備の寄せ速度を合図で変化(遅→中→速)。保持側は初速の整理と処理スピードを上げます。

視野拡大:スキャン回数を数えるルール化

「受ける前に2回首振りで+1点」など得点化。数えることで習慣化します。

ファーストタッチ質:2タッチ固定→方向付き条件

「前向きへ置けたら+1点」「内側へ置いたら-1点」など、置き所に意味を持たせます。

奪い方(守備):コース切り→圧縮→奪取の共有

守備トリオの役割を固定し、評価ポイントを奪取だけでなく「切る→寄せ→回収」に分解します。

声と合図:トリガーワードの統一

「ターンOK」「戻せ」「スイッチ」など、チームの辞書を作成。情報共有の精度が上がります。

フィジカル内包:作業率と休息比の設計

作業と休息の比率を2:1→3:1へ段階化。移動式やゲート義務で走行距離を調整します。

セッション設計テンプレート(90分):目的→メニュー→チェックの流れ

ウォームアップ(目的:体の向きとスキャン)→メニュー→チェック

  • 目的:半身・首振りの習慣化
  • メニュー:パス&ムーブ+スキャンコール(受ける前に「見た!」)
  • チェック:1プレー2スキャン、前向きの初手

ロンド基礎1(3対1)→メニュー→チェック

  • 目的:2タッチの安定と角度
  • メニュー:10本保持1点、2分×3セット
  • チェック:置き所・パススピード・声

ロンド応用(4対2ターゲット)→メニュー→チェック

  • 目的:前進と縦差しの質
  • メニュー:ターゲット2人、縦通過1点・ワンツー2点
  • チェック:縦のタイミング・サポート角度

ゲーム形式(方向づけ保持→4対4+3)→メニュー→チェック

  • 目的:ロンドの原則を試合に移植
  • メニュー:中立3人(フリーマン)、前進で得点
  • チェック:3人目関与数・テンポ・縦差し数

チェック指標と測定法

定量:成功本数・縦パス本数・奪取までの秒数・タッチ数分布

  • 10本保持回数/セット
  • 縦差し本数/分
  • 奪取までの平均秒数(守備の評価)
  • 1タッチ・2タッチ比率

定性:体の向き・サポート角度・声・守備の連動

コーチ目線での短評を残し、次セットの目的に反映。良い事例を即口頭で共有すると定着が早まります。

動画セルフレビューのコツ(カメラ位置・チェックリスト)

  • 斜め上から全員が入る位置に設置
  • チェックリスト:首振り回数/前進選択/3人目関与/ミスの原因

保護者・指導者の観点(観察ポイントと声かけ)

  • 観察:受ける前の準備、ボールがない時の移動
  • 声かけ:「今の前進いいね」「首を振って準備しよう」

よくある課題とQ&A

受け手が止まる:移動義務ルール化とゲート活用

「パス後ゲート通過」を導入し、三角形維持を意識。止まり癖を消します。

ミスが怖くて出せない:成功条件の再設定と段階負荷

「アイデアに+1点、失敗は-0点」など、挑戦を評価。サイズ拡大で成功体験を作ります。

守備が緩い:トリガー明確化と交代ルールの競争性

「縦パスに同時圧力」などトリガー設定。奪取でポイント、最下位ペアは次セット最初に守備など競争性を付与。

少人数・狭い場所の工夫:ミニロンドと壁パス代替

2対1+壁(マーカー反射)で代替可能。壁役をターゲット扱いにして方向づけを保ちます。

雨天・硬い地面での注意:ボール選定と接地時間調整

滑りやすい日は接地時間を長めに設定、バウンドが高い日は2タッチ優先で安定化します。

上達を加速する週次プラン(4週間)

Week1:3対1基礎+ゲートで角度形成

目的:置き所・角度・スキャン。メニュー:3対1→ゲート付き3対1。チェック:首振り2回、10本保持。

Week2:4対1〜4対2でテンポと数的優位

目的:ワンタッチ導入・2対1の連続。メニュー:4対1→4対2。チェック:3人目関与、縦パス数。

Week3:方向づけ・ターゲット・スイッチ導入

目的:前進意図・方向転換。メニュー:4対2ターゲット→スイッチロンド。チェック:スイッチ後3本以内の前進。

Week4:二重ロンド・カウントロンドで試合接続

目的:切替と決断。メニュー:二重ロンド→カウントロンド→小ゲーム(4対4+3)。チェック:保持→前進の切替速度。

試合への接続(トランスファー)

ロンド→同数保持→数的優位へ:段階設計

ロンドで得た原則を、同数の小ゲームへ移植し、そこから数的優位を作りにいく流れで接続します。

キースキルの移植(縦パス・3人目・背後取り)

縦差し→落とし→3人目の前進、背後を狙う動きはそのまま試合の得点パターンに直結します。

守備のトリガー(外切り・内切りの使い分け)

相手の得意足やサイド状況でトリガーを選択。ロンドで基準化しておくとゲームで迷いません。

まとめと次の一歩

目的→メニュー→チェックの現場用チェックリスト

  • 目的が1つに絞れているか
  • メニューが目的に合致しているか(サイズ・人数・制限)
  • チェックが行動で測れるか(首振り回数、パス本数など)
  • うまくいかなければ制限かサイズを先に調整

次に挑戦する上級バリエーション(方向制限・中間フリーマン2枚)

二重ロンドに方向づけを加えたり、中間フリーマンを2枚にして“間で受ける”難度を上げると、試合強度に近づきます。

継続のコツ:データ記録と小さな成功の積み上げ

「10本保持回数」「縦パス本数」「ワンタッチ比率」を週次で可視化。小さな成功を記録し、次の目的を1つだけ設定。ロンド初心者向けバリエーションを目的→メニュー→チェックで攻略する姿勢を継続すれば、プレーは確実に洗練されていきます。

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