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サッカー練習試合の振り返り方は3分割ノートで迷わない

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練習試合は「自分を試し、すぐ直せる」宝の時間です。でも、終わってからの振り返りは、思い出せない・書ききれない・続かない…になりがち。そこで使ってほしいのが“3分割ノート”。「事実」「原因」「次の一手」の3つに分けるだけで、迷いが減り、行動が早くなります。特別な才能は不要。簡単な型と短時間で、練習試合の価値を最大化しましょう。

導入:練習試合の振り返りは“3分割ノート”で迷わなくなる

練習試合が伸びしろを可視化する理由

  • 相手やメンバー構成が毎回違い、課題が浮き彫りになりやすい。
  • 勝敗の重圧が公式戦ほど強くないため、新しい挑戦を試しやすい。
  • プレー時間が比較的長く、サンプルが集まりやすい(特に交代制)。
  • チーム内での役割が変わることがあり、ポジション理解が深まる。

なぜ記憶だけの反省は続かないのか

  • 時間が経つと印象が強い1〜2プレーに引っ張られ、全体像を見誤る。
  • 感情が強い場面ほど記憶が歪みやすい(悔しさ・安心感)。
  • 「何から書くか」で手が止まり、習慣化が途切れる。

迷わない仕組み化が成長スピードを上げる

  • 書く枠が決まっていると、思考が整理され、時間短縮につながる。
  • 同じ型で蓄積すると比較がしやすく、変化が分かる。
  • 小さな達成(書けた・試せた)が自己効力感を育てる。

3分割ノートとは?3つの欄で思考を止めない

3つの欄「事実」「原因」「次の一手」の意味と役割

  • 事実:起きたことを具体的に。時間・場所・相手・自分の行動。
  • 原因:なぜそうなったかの仮説。技術・戦術・心理・体力の視点。
  • 次の一手:明日の練習で試す具体行動。誰が・いつ・どこで・どうやる。

KPTやPDCAとの違いと互換性

  • KPT(Keep/Problem/Try):Tryが「次の一手」に一致。Keepは「事実の中の成功」に吸収。
  • PDCA:P(試合前の目的設定)→D(試合)→C(事実・原因)→A(次の一手)で完全互換。
  • 違い:3分割はサッカーの現象に直結し、走り書きに強い(短時間・短文前提)。

守るべきシンプルなルール3つ(具体・短文・次アクション)

  • 具体:名詞と数字を入れる(例:自陣右サイド25m、3回)。
  • 短文:1行15〜30字で区切る。1項目3行まで。
  • 次アクション:すべて「明日の練習で試せる形」にする。

準備:誰でも使える3分割ノートのフォーマット作成

ページレイアウトと見出しテンプレート(見開きで完結)

  • 上段:試合情報(日時/相手/スコア/ポジション/出場時間/天候/ピッチ)。
  • 左ページ:事実(最大6項目)。右ページ上段:原因(最大6項目)。右ページ下段:次の一手(最大6項目)。
  • 欄外:観点タグ、RPE、今日のテーマ、個人スタッツ。
【試合情報】日付/相手/形式/出場/ポジション/天候/ピッチ【今日のテーマ】(1〜3)【RPE】(1〜10) 【体調】(良・可・不)【観点タグ】#技術 #戦術 #体力 #メンタル #コミュ

観点タグ(技術・戦術・体力・メンタル・コミュニケーション)

  • 技術:キック/トラップ/ヘディング/ステップ/体の向き。
  • 戦術:位置取り/優先順位/カバーシャドウ/幅と深さ/スイッチ。
  • 体力:スプリント回数/切り替え速度/持久/回復。
  • メンタル:集中/迷い/自信/ルーティン。
  • コミュ:コーチング/合図/視線/呼び込み。

紙かデジタルか:選び方と併用のコツ

  • 紙:記憶に残りやすく、視線の移動が少ない。練習場で強い。
  • デジタル:検索・タグ管理・バックアップが楽。動画リンクも可。
  • 併用:現場は紙で走り書き→帰宅後にデジタルへ清書・集計。

試合前3分:目的と指標を1〜3個に絞る

今日のテーマ設定シート(例:前進、守備の開始位置、切り替え)

  • 前進:中→前のラインを越える選択肢を増やす。
  • 守備の開始位置:プレスのスイッチと方向づけを明確にする。
  • 切り替え:奪われた瞬間3秒の圧縮、奪った瞬間3秒の前進。
テーマ(1〜3):①____ ②____ ③____今日の合言葉:例)「前向き3秒」「背後チラ見」「相手の利き足切る」

評価指標の決め方(成功数・割合・頻度・RPE)

  • 成功数:背後への抜け出し成功3回、前進パス通し5本など。
  • 割合:前向きで受けた回数/受けた総回数=◯%。
  • 頻度:スキャン/コーチング/プレス合図の1分間あたり回数。
  • RPE:体感強度(1〜10)。強度の自己管理と翌日の調整に活用。

ポジション別テーマ例(FW/MF/DF/GK)

  • FW:背後へのタイミング、シュート前の準備2動作、プレス開始合図。
  • MF:前進パス角度の作り方、スキャン頻度、ライン間での受け直し。
  • DF:カバーシャドウの角度、ラインコントロール、対人の体の向き。
  • GK:ポジショニング幅、ビルドアップ関与、コーチングのキーワード数。

試合中のメモ術:走り書きで“後から思い出せる”をつくる

ハーフタイム2分メモのポイント

  • テーマに関係した事実を3行だけ書く(良い/悪いを混ぜる)。
  • 数字を1つ添える(回数/分数/距離感)。
  • 次ハーフの「1つだけやること」を決める。

交代・ベンチ時に観察者として拾う情報

  • 味方の成功パターン(受ける角度、相手の嫌がるポイント)。
  • 相手の弱点(背後の反応、サイドチェンジへのスライド速度)。
  • 主審の傾向(接触の基準、カード基準)。

符号・略記で速く書く(→、×、△、◎、#タグ)

  • →(前進)/←(後退)/↑(押し上げ)/↓(撤退)。
  • ×(失敗)△(惜しい)◎(成功)!?(要検証)。
  • 略記:SB/CB/CH/SH/CF/GK、-(連携)、/(選択肢)。
  • #技術 #戦術 #体力 #メンタル #コミュ で紐づけ。

試合後15分:3分割で書き切る手順

事実欄:時間・場所・相手・自分の行動を具体化する

  • 例:「後半18分 右サイド中盤、相手8番に背中を取られ前向き許す」。
  • 地名はゾーンで十分(自陣/敵陣、中央/ハーフスペース/サイド)。
  • 動画があれば時刻をメモ「36:20」。

原因欄:技術・戦術・心理・体力の4視点で仮説化

  • 技術:「寄せの最後2歩が大股で止まれず」。
  • 戦術:「カバーシャドウの角度が内→外で逆」。
  • 心理:「失点後で慎重になりアタック遅れ」。
  • 体力:「スプリント後で心拍高く判断遅れ」。
  • 語尾は言い切らない:「〜だったかも」で検証余地を残す。

次の一手欄:翌練習で試す行動に落とし込む

  • 誰が・いつ・どこで・どうやる:「自分/明日/右ハーフ/寄せ2歩は小股→停止」。
  • セット数や回数まで書く:「1タスク3セット×5回」。
  • 検証方法を添える:「動画かコーチの合図でチェック」。

客観データを加える:簡易スタッツで再現性を高める

個人スタッツの基本(パス、デュエル、スプリント、シュート)

  • パス:前進パス本数/成功、横/後ろも区分。意図と結果を分けて記録。
  • デュエル:空中/地上を分ける。勝ち/負け/五分。
  • スプリント:全力走の回数(目安20km/h以上を意識)。
  • シュート:枠内/枠外/ブロック。準備動作の有無も一言。

RPEと主観コンディションの記録法

  • RPE(1〜10):10は「最大限」、5は「適度」。一貫性を重視。
  • 起床時の状態:睡眠時間、筋肉痛(0〜3)、集中度(0〜3)。
  • 怪我歴がある部位は一言メモして予防に活用。

トラッキングツール使用時の注意点(過信しない・目的に紐づける)

  • 数値は手段。今日のテーマに関係ない指標は眺めるだけにする。
  • 急な増減は要注意。背景(相手/ポジション/気温)とセットで解釈。
  • “比べる相手”は昨日の自分。チーム内比較は使い方に注意。

ポジション別:3分割ノートの書き分け例

FW:背後への動き出し、シュート準備、プレス開始位置

  • 事実:背後ラン成功2/6、シュート前のステップ不足で被ブロック2。
  • 原因:開始の一歩が相手と同方向、プレスの合図が曖昧。
  • 次の一手:逆足一歩→相手と逆へ、プレスは「合図→角度→距離」を声で統一。

MF:前進パス角度、スキャン頻度、ライン間での受け直し

  • 事実:スキャン平均1回/受け、縦パスは中央に偏り奪取2回。
  • 原因:半身不足で視野が狭い、角度作りの移動が遅い。
  • 次の一手:受け前1秒で左右→後方の3点スキャン、斜め外へ1.5mずれる。

DF:カバーシャドウ、ラインコントロール、対人の体の向き

  • 事実:内切りを許しPA角で1対1×2回。
  • 原因:半身が遅く利き足外しができない、ラインの声が減少。
  • 次の一手:入りはサイドへ身体の矢印、3秒ごとにラインチェックの声。

GK:ポジショニング、ビルドアップ関与、コーチング

  • 事実:クロス対応で1歩後ろ、背後カバーの呼吸が合わず。短いビルド3本カット。
  • 原因:最終ラインとの距離一定化できず、合図の語彙がばらつき。
  • 次の一手:CB基準で+3m前へ、合図は「縦/横/戻」で統一して回数10回以上。

チーム戦術と個人課題をつなぐ翻訳スキル

監督の意図を自分の行動に落とす“翻訳”の手順

  • 意図の抽出:「何を優先して何を捨てるか」を1文に。
  • 自分の役割に変換:その優先を自分のゾーンとタイミングに当てはめる。
  • 合図に変換:キーワードやジェスチャーにして味方と共有。

セットプレー・ビルドアップでの個人目標の立て方

  • セットプレー:マーカーの取り方(内/外/背中)、初動の向き、二次回収位置。
  • ビルドアップ:三角形の角度、サポートの距離(8〜12m)、背後確認回数。

練習メニューへのブリッジ(タスク化と優先順位)

  • タスク化:1テーマ=1ドリル(例:半身+前進角度の壁当て→対人)。
  • 優先順位:勝ち試合でも「成功の再現」を最優先に残す。
  • 検証:次の練習で1回は動画/他者フィードバックを入れる。

失点・決定機の3分割分解:感情に流されない方法

失点シーンの分解手順(起点→進行→フィニッシュ)

  • 起点:ボールロスト/配置のズレ/相手の狙い。
  • 進行:運ばれ方(内外/縦横/速度)、ブロックのスライド。
  • フィニッシュ:シュートの自由度(体勢/角度/プレッシャー)。

“責任探し”ではなく“再現可能な改善”に変換する

  • 個人の失敗→役割と合図の改善に置き換える。
  • 言葉の型:「次回は◯◯で止める」「◯秒前の合図を足す」。

ポジション間の連鎖を可視化する書き方

SB遅れ→CH外切れず→CB前進できず→GK視野遮断→失点次の一手:SB初動「外」→CH内切り→CBライン1m前→GK「寄れ」合図

保護者・指導者の関わり方:続くノートにする支援

良い声かけ例(観察ベース・質問型)と避けたいNG例

  • 良い例:「前半は背後への動きが増えたね。どのサインで出た?」
  • 良い例:「次の練習で1つ試すなら何を選ぶ?」
  • NG例:「なんで決められないの?」「気持ちが足りない。」

親子ノートの書き分け(選手が主体、保護者は聞き役)

  • 選手:3分割で本体記入。
  • 保護者:余白に質問1つと感想1つだけ。
  • 約束:「否定しない・アドバイスは求められたら」。

チーム全体での活用(共有ルールとプライバシー)

  • 共有は「次の一手」だけ。原因の詳細は個人に残す。
  • ミーティングは1人30秒ピッチで発表し、拍手で終える。

よくあるつまずきと解決策

反省が感想文になる問題:事実→行動の型で解決

  • 感想「もっと頑張る」→事実「後半15分、戻り遅れ3回」→行動「切替3秒の声を合図」。
  • 1行目は必ず「時間+場所」から書くルールにする。

書くことが多すぎて続かない:項目の断捨離ルール

  • 各欄最大6行。迷ったらテーマ外は後回しタグに。
  • 時間制限15分。タイマーで切る→未完でも次の一手は必ず書く。

メンタルが落ちた時:成功のミクロ記録で回復させる

  • 1プレーの成功を拡大鏡で記録(体の向き/一歩目/声)。
  • 「自分がコントロールできたこと」に丸を付ける。

1週間サイクル:ノートを勝利習慣に変える運用法

試合→練習→再評価のループ設計

  • 試合当日:3分割を15分で書き切る。
  • 次練初日:次の一手を最初の15分に必ず実行。
  • 週中:ミニ振り返り1回(3行)。

週末レビューと月次テーマの更新

  • 週末:同じタグを横串で比較しベスト3・ネクスト1を決定。
  • 月初:テーマを1つだけ更新(増やしすぎない)。

アーカイブと見返しのコツ(タグ・索引・見返し日)

  • タグ索引ページを1枚作る(#戦術 #技術…)。
  • 見返し日は固定(毎週日曜夜など)。

具体的な記入例(テキストのみ)

高校生サイドバックの例:前進と守備の優先順位

【試合情報】4/7 練習試合 vs◯◯高校 30×3本 出場60分 右SB 晴 芝【今日のテーマ】前進の角度/外切りの守備【RPE】7  【観点タグ】#戦術 #技術 #コミュ[事実]・前半12分 自陣右サイド→CHへ縦刺し× インターセプト1・前半25分 右外→SHへ斜め通し◎ 前進成功2/3・後半10分 内切り許す→PA角で1対1×[原因(仮説)]・縦刺し時、CBの支持待ちで0.5秒遅れ(#メンタル)・外で受けた時の体の向きが内(#技術)・外切りの角度が浅い→中切られる(#戦術)[次の一手]・壁当て→外向き半身→斜めパス10本×2(明日)・外切りの入り:最初の2歩でタッチライン側へ体の矢印(対人ドリルで確認)・CBと合図「出る/待つ」を固定ワードで10回

中学生ボランチの例:スキャン頻度とパス選択

【試合情報】4/14 vs△△中 25×3本 出場50分 CH 曇 土【今日のテーマ】スキャン2回/受け 前進角度作り【RPE】6  【観点タグ】#戦術 #技術[事実]・スキャン平均1回/受け(目標2)前向きで受け4/11・縦パス中央→カット2回(前半18分/後半6分)[原因(仮説)]・受け直しで1.5mのズレが遅い(#体力/俊敏)・半身が遅く背中の情報不足(#技術)[次の一手]・受け直しの1.5m移動→壁当て3方向×各10・受け直し前に「右→左→背後」スキャンを合図化・中央縦は原則「縦→斜め→縦」の順で選択

小学生FWの親子ノート例:シュート前の準備行動

【試合情報】4/21 TRM 15×3本 FW 出場30分【今日のテーマ】シュート前の1歩と顔上げ【RPE】5  【観点タグ】#技術 #メンタル[事実]・右からのパス→トラップ後すぐ打てずブロック2回・背後ランでGKと1対1◎1点[原因(仮説)]・ボールに近づきすぎて足が振れない・顔上げる前に打とうとして焦り[次の一手]・トラップ後に足1本分ボールを前へ出す練習×10・受けたら「1上げ→2前」の合図で落ち着く

チェックリストとテンプレート(コピペで使える)

試合前チェック(目的・指標・役割確認)

  • テーマは1〜3個に絞ったか。
  • 成功の指標を数字で決めたか。
  • 自分の役割と合図は明確か。

試合後チェック(事実・原因・次の一手)

  • 事実は時間・場所・相手・自分で具体化したか。
  • 原因は技術/戦術/心理/体力で仮説化したか。
  • 次の一手は明日の練習で実行できる形か。

次練準備チェック(タスク・時間配分・検証方法)

  • タスクは3つ以内に絞ったか。
  • 練習の最初15分で実施できるか。
  • 検証方法(動画/合図/コーチ依頼)を決めたか。
【試合情報】【今日のテーマ】①__ ②__ ③__【RPE】_/10 【体調】__【観点タグ】#__ #__[事実]・__・__・__[原因(仮説)]・__(#技術)・__(#戦術)・__(#メンタル/#体力)[次の一手]・__(誰が/いつ/どこで/どうやる)・__(回数/セット/検証方法)

FAQ:よくある質問に答えます

時間がない時はどうする?(最小セット3行)

  • 事実1行・原因1行・次の一手1行。これで終了でOK。
  • 後で追記するなら「タグ」だけ先に付ける。

チームの要求と自分の強みがズレた時の書き方

  • 「要求に合わせる1つ」と「強みを出す1つ」を併走させる。
  • 次の一手も2本立てで書く(両立の設計)。

継続のコツは?(トリガー設計とごほうび設計)

  • トリガー:試合後の靴を脱ぐ→ノートを開く、の固定ルーティン。
  • ごほうび:書けたら好きな音楽/ドリンク解禁など小さく。

まとめ:3分割ノートで迷いを減らし、次の一歩を早くする

“事実→原因→次の一手”が習慣になると何が変わるか

  • 反省が「行動」へ直結し、練習の質が上がる。
  • 成功と失敗の再現性が上がり、安定感が出る。
  • チームの意図と自分の強みを両立しやすくなる。

明日から始めるための最初の1ページ

・ノートを見開きで3分割に線を引く・今日のテーマを1〜3個書く・試合後15分、事実→原因→次の一手を各3行で・次の練習の最初15分で1つ実行

「うまく書けたか」より「明日1つ試せるか」。3分割ノートで、迷いを減らして一歩を早く。練習試合のたびに、確実に前へ進みましょう。

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