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サッカーのリフティング技の種類を上達順に厳選解説【保存版】

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サッカーのリフティング技の種類を上達順に厳選解説【保存版】

はじめに(リード)

リフティングは、試合の直接スコアに結びつくスキルではありません。ですが、ボールタッチの安定、身体操作、視野の確保、そして遊び心を育てるうえで、非常に効率の良い練習です。本記事は、基礎からトリックまでを“上達順”に並べ、迷わず積み上げられるように設計しました。無理なく、安全に、確実にうまくなるためのロードマップとして保存して活用してください。

リフティングが上達に与える影響と本記事の使い方

本記事の対象レベルと読み方

基礎(10回未満)からエキスパート(高度トリック連続)までをカバーします。まずは自分の現在地を確認し、同じセクション内の項目を「できる→安定→左右両足→無意識化」の順で潰していくのがコツ。行き詰まったら一段階前に戻るのが最短です。

上達順に学ぶメリット(安全・定着・応用の順序)

難度の段階を守ると、関節への負担を減らし、ミスの理由を特定しやすくなります。基礎→弱点克服→ストール→周回系→コンビネーション→精度追求の順で、動作が積み重なっていくため、応用技の習得スピードが加速します。

用語と略語の予備知識(ATW/HTW/DATW/TATW など)

  • ATW(Around The World):足をボールの周りに1周回す基本トリック(イン→アウト/アウト→インの2系統)。
  • HTW(Hop The World):軽く弾ませてから素早く周回するバリエーション。
  • DATW(Double ATW):1タッチ中に2周回す高難度技(イン/アウト)。
  • NATW(No Touch ATW):ボールに触れずに周回動作へ移る技。
  • TATW(Touzani ATW):トゥザーニの名前で知られる複合系ATW。
  • ストール:体の一部でボールを静止させる動作(フット/サイ/ネック/ヘッド)。

まず揃える環境と基礎姿勢

ボール・シューズ・スペースの選び方

ボールは公式サイズ(高校生以上は5号)で空気圧はやや低めから調整。シューズは足に合う薄手アッパーが感覚をつかみやすい。天井に余裕のある屋外または広めの室内、床はフラットで滑りにくい場所を選びましょう。

基本フォーム(足首固定・ヒザ角度・接触面)

足首は90〜100度で固定、ヒザは軽く曲げてクッションを使う。接触面は足の甲の平らなポイント。背筋は伸ばし、骨盤は正面。視線はボールの下半分→周辺視野へ移行していくのが理想です。

カウント方法と目標設定(回数・秒数・左右バランス)

回数カウントに加えて「30秒間のミス回数」を記録。左右片足カウント、交互、太もも、ストールなどカテゴリ別に小目標を設定し、週ごとに1〜2項目の更新を狙います。

初級編(基礎安定化)

片足リフティング(右/左)

同じ足で連続10回を目標。トウで突かず、甲のフラットで真下から支える。落下地点を一定に保ち、ミスは高さがバラついたサインと捉えて修正します。

交互リフティング(左右交互)

左右交互で20回。テンポは一定、落下の軌道が自分の体の中心上に来るようステップを微調整。足音がドスドスしないよう軽やかに。

太ももリフティング(片足・交互)

太ももの前面でクッション。膝は水平よりやや上、接触は太もも中央。足よりも簡単に感じる人は、足→太もも→足の往復を入れて切り替えに慣れましょう。

高さコントロール(膝下〜腰のレンジ)

低い高さ(膝下)で制御→腰付近まで高く→自由自在の順に練習。高さを意図的に変えることで、接触強度の微調整が身につきます。

回転コントロール(無回転・順回転・逆回転)

ボールの中心を真下から捉えると無回転、やや手前をすくうと順回転、前方を押すと逆回転。意図的に回転を作れると、次のタッチが読みやすくなります。

トラップからの立ち上げ(手→足/地面→足)

手持ちから落とし→1タッチ目の質を重視。地面からはバウンドの頂点で軽くすくい上げ、腰より下に抑えた高さで安定させます。

初中級編(弱点克服とリズム化)

弱い足のみでの連続リフティング

弱い足で連続20回→30回→1分の順で伸ばす。強い足を封印する時間を作り、フォームの差を動画でチェックします。

インサイド/アウトサイドタッチの導入

甲だけでなくインサイド・アウトサイドでも軽くリフティング。接触面の多様化は、試合のトラップと直結します。

足裏リフト(ソールリフト)からの開始

足裏でボールを後方から前へ転がし、つま先で軽くすくい上げる。無駄な跳ねを抑え、1発で安定高さに持ち上げるのが鍵です。

テンポ練(2タッチ・3タッチの一定化)

「タッ・タッ」「タッ・タッ・タッ」と声に出しながら一定テンポを維持。リズムが崩れたら高さか接触がズレています。

ステップワーク併用(前後左右・円運動)

小さく前後左右に移動、または時計回りに円運動。体の下に常にボールをキープし、姿勢と重心の制御を鍛えます。

中級編(シンプル技へのブリッジ)

フットストール(足の甲で止める)

落下の頂点でソフトに受け、甲のくぼみに静止。受けた瞬間に足首を固め、膝でショックを吸収します。解除は軽いすくい上げ。

サイストール(太ももで止める)

太ももを水平〜やや上にセットし、面を作って静止。足への戻しをスムーズに行えると連携が広がります。

ネックストール(首で受ける→足に戻す)

上体を前傾、首の後ろでU字を作って静止。戻しは前方へ軽く押し出し→太もも→足の順で。首の柔軟性と段階的な高さがコツ。

ヘッドストール(頭で止める基礎)

前頭部で支え、膝と体幹で微調整。長時間は首に負担がかかるため短時間で区切って練習します。

アラウンド・ザ・ワールド(ATW:イン→アウト/アウト→イン)

足で軽く上げた直後、足をボールの周りに1周。小さく素早い円を描き、タッチは薄く。まずは得意方向から確実に。

ホップ・ザ・ワールド(HTW)

軽いホップで無重力の瞬間を作り、周回を短時間で完了。ATWよりテンポが速く、リズム感が重要です。

クロスオーバー

蹴り足を軸足の前(または後ろ)にクロスしながらタッチ。腰の回しすぎに注意し、上半身は正面を維持します。

ニーリフト→フット(膝から足への連携)

太ももで上げたボールをそのまま足で受ける。面の切替えを素早く、落下点の予測を身体で先取りしましょう。

上級編(連続技とコンビネーション)

ダブルATW(DATW:イン/アウト)

1タッチ中に2周。ボールを必要以上に高く上げず、周回は最小軌道。足の引き上げ速度が鍵です。

ノータッチATW(NATW)

接触なしで周回動作へ移るタイミング技。落下スピードと足の軌道が合うと負荷が下がります。視線はボールの下縁に。

トゥザーニATW(TATW)

外回しと内回しを組み合わせる人気技。股関節の可動と腹圧で体幹を安定させ、最後の支えタッチをミスしないこと。

ミッドATW(MATW)

中腹(膝〜腰の中間)でのATW。高さが一定でないと難度が跳ね上がるため、事前に高さコントロールを固めてから挑戦。

コンビ例:ATW→クロスオーバー→HTW

3手のコンビ。各技の終わりの足位置を次の始動位置に合わせる“置き土産”が成功率を上げます。テンポは「遅→速→締め」。

ストール連携(足→太もも→首→足)

フット→サイ→ネック→フットの循環。移動距離を最小化し、面づくりと高さの橋渡しを丁寧に行います。

シットダウン・リフティングの基本(座位)

座位で足首と股関節の可動を鍛えるメニュー。足裏タッチとインステップの切替えでリズムを作り、床反力に頼らないコントロールを養います。

エキスパート編(精度・難度の追求)

連続ATWと方向切替(片足→逆足)

同方向の連続→左右の切替→方向反転を滑らかに。足だけでなく骨盤の回旋スイッチを意識して流れを途切れさせない。

ウィークフットでのDATW/HTW挑戦

弱い足で高難度に挑戦。回数より“失敗の同じ原因を繰り返さない”ことを評価基準にします。1本の質を磨く意識で。

無音タッチ(サイレントコントロール)

接触音が小さいほど面が正確で接触が短い証拠。静かに触れる練習は試合のファーストタッチ質にも直結します。

ミス許容率を下げるための再現性トレーニング

同条件で10本中何本成功したかを記録。成功1本より、「8/10を連続で」を目標にし、負荷は5〜10%ずつ段階的に上げます。

各技の習得目安と合格ライン(上達順チャート)

30秒テストと回数基準の作り方

30秒でのミス数、最高連続回数、左右差を記録。3週平均で上向きなら負荷アップ、停滞なら一段階戻す判断材料にします。

技ごとの推奨到達指標(例:ATW左右各5回など)

  • 片足リフティング:左右各30回
  • 交互リフティング:連続100回
  • フットストール:静止3秒×左右各3回
  • ATW:左右各5回連続(イン→アウト/アウト→イン)
  • HTW:左右各3回連続
  • DATW:片足で1回安定×3セット
  • コンビ(ATW→クロス→HTW):成功3/5本

停滞期の突破法(基礎に戻す/難易度の刻み幅調整)

高さを10%下げる、空気圧を微調整、動画で接触位置の誤差を特定。成功条件を分解して「部分成功」を積み上げます。

練習ドリル(週3〜5回のモデルプラン)

ウォームアップ10分(関節・腱の準備)

  • 足首・股関節の可動域ドリル(各1分)
  • カーフ・アキレスの軽いストレッチ(反動なし)
  • 低いリフティングで感覚合わせ(2分)

スキルブロック(基礎→トリック→連携)

  • 基礎10分:左右片足→交互→太もも
  • トリック10分:ATW/HTW/ストール(1種集中)
  • 連携10分:ストール→トリック、3手コンビ
  • 再現性5分:同条件10本チャレンジ

クールダウンと記録方法(ログ・動画・チェック項目)

ふくらはぎ、股関節、腰回りの静的ストレッチ。練習後に「成功率・左右差・高さ・回転・気づき」をメモ、週1で動画を見返して修正点を抽出します。

よくあるつまずきと修正ポイント

ボールが横に逸れる(軸足・骨盤の向き)

軸足が外を向くと横流れが発生。骨盤正面、膝の向きと足の甲の面を一致させ、接触時に肩が倒れないよう意識します。

足首が緩む(固定角度・接触時間)

足首は固定、膝でクッション。接触時間を短く“吸って押す”感覚に。音が大きい場合は面が立ちすぎです。

回転が制御できない(接触位置と押し出し方向)

中心からズレた接触が回転の原因。ボールの赤道を意識し、真下から支える。逆回転は前面を軽く押し出すだけに留める。

メンタル・集中切れ(短時間集中の回し方)

5分サイクルでメニューを切替。成功3本で次へ進む“ミニ成功体験”を作ると、集中が持続します。

安全面とケガ予防

ふくらはぎ・アキレス腱のケア

練習前は軽い動的ストレッチ、練習後は静的ストレッチを30秒×2セット。違和感が出たら休む判断を優先します。

股関節・腰の負担軽減(可動域と体幹)

股関節の内外旋ドリル、プランク系の体幹補強を週2〜3回。可動域が広がるとトリックの無理な反動が減ります。

成長期の留意点(回数と休息のバランス)

成長痛や疲労のサインに敏感に。高回数より短時間の頻度を増やし、週に1〜2日は完全休養を設けましょう。

グラウンドスキルへの転用

ファーストタッチの質向上にどう効くか

面づくりと接触時間の短さが、試合のファーストタッチに直結。無音タッチ練習はトラップの減速&置き所に効果的です。

浮き球処理とキック精度への波及

回転の意図的操作ができると、浮き球の処理とキックの回転選択に自信がつきます。高さコントロールも共通基盤です。

視野確保と身体操作(ボールを見ない時間を作る)

一定リズムでのリフティングは、周辺視野での把握時間を増やします。数タッチに1回、顔を上げる習慣を作りましょう。

学習を加速するためのチェックリスト

週次で確認する5項目(量・質・左右・高さ・回転)

  • 量:合計練習時間・本数
  • 質:成功率・無音タッチ率
  • 左右:弱い足の進捗
  • 高さ:レンジの自由度
  • 回転:意図通りの再現率

動画で可視化する観点(角度・接触時間・リズム)

正面・斜め・横の3角度が理想。接触前後の足首角、膝の沈みと戻り、テンポの乱れポイントをフレーム単位で確認します。

目標設定とご褒美設計(継続の仕組み化)

「2週でATW左右各3回」など具体化。達成で新シューズ紐や練習用ソックスなど小さなご褒美を設定し、習慣化を後押しします。

まとめ・次の一歩

上達順の意義と振り返り

上達順で進めると、ケガを避けながら“できる理由”が積み上がります。壁に当たったら一段階戻り、原因を1つずつ消していきましょう。

次に習得したい技の選び方

基礎が安定→ストール→周回系→コンビ→精度と、現在地の一段上を選ぶ。左右差が大きい場合はまず弱い足の底上げを優先。

継続のための習慣化ヒント

1日10分×2回のスプリット練習、週1の動画チェック、月1の空気圧・シューズ見直し。小さな積み重ねが大きな差を作ります。

あとがき

リフティングは「自分の体とボールの会話」を滑らかにする最高の練習です。今日の1分が来月の大きな変化につながります。焦らず、でも淡々と。保存して、マイペースに育てていきましょう。

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