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サッカー筋トレメニュー中学生向け|ケガなく伸びる成長期プラン

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サッカー筋トレメニュー中学生向け|ケガなく伸びる成長期プラン

「速く走りたい」「当たり負けしたくない」「ケガを減らしたい」。中学生のサッカー選手にとって筋トレは、その全部を叶える強力な味方です。ただし、成長期は“やり方”がすべて。フォームと安全性を最優先すれば、身長への悪影響も避けられ、むしろプレーの土台が安定します。本記事は、器具なしから始められる具体メニューと、ミニバンド・軽ダンベルへの発展、週2〜3回で続けられる現実的な計画までを、ケガなく伸びる視点で整理しました。

中学生のサッカー選手が安全に筋トレを始める前に知っておくこと

目的と効果の整理:怪我予防・スピード向上・キック力の土台づくり

  • 怪我予防:着地や減速のコントロール、股関節まわりの安定で膝や足首のリスクを下げる。
  • スピード向上:ヒップ(お尻)を使った伸展力=スタート・加速の改善。
  • キック力の土台:体幹の安定+股関節の回旋で力をロスなくボールに伝える。
  • 姿勢と呼吸:胸郭と骨盤の整え方を覚えると、フォーム全体が安定する。

ケガなく続けるための安全原則5か条

  1. フォーム>回数>重さ:順番を守る。痛みゼロが前提。
  2. 反動禁止:スピードを上げるのは「コントロールできる範囲」だけ。
  3. ウォームアップ徹底:体温を上げ、股関節・足首・胸椎を動かしてから本編へ。
  4. 疲労の見える化:RPE(きつさ)と体調メモを残す。無理はしない。
  5. 段階的に増やす:いきなり強度・量を上げない(小さく足す)。

避けたいNG行動とリスクのある負荷設定

  • 痛みを我慢して継続すること。
  • 高回数のジャンプ連続や、硬い地面での着地反復。
  • 重量優先でのフォーム崩れ(背中の丸まり、膝が内に入る)。
  • 試合直前48時間以内の高負荷下肢トレ。
  • 急な練習量増(走行距離、ジャンプ回数、スプリント本数)。

成長期の体の特徴と筋トレの考え方|ケガなく伸びるための基礎知識

成長板(骨端線)と過度な負荷の関係

成長板は骨の端にある軟らかい組織で、過度の衝撃やねじれは負担になります。安全なフォームと適切な強度であれば、筋トレは一般的に身長の伸びを妨げる証拠は示されていません。関節に不快感や痛みが出る負荷・着地衝撃は避け、段階的に強度を上げましょう。

神経系の発達を活かした“動きの質”重視のトレーニング

中学生は神経系の伸びしろが大きく、フォーム習得のゴールデンタイム。重さより「どう動くか」を磨くことで、スピード・敏捷性・ボディコントロールが一気に良くなります。

個人差への配慮:身長・体重・成熟度の違いを前提にする

同じ学年でも発育の差は大きいです。回数・セット数は目安に過ぎません。疲労や動きの質を観察し、RPEやRIR(余力回数)で調整しましょう。

ウォームアップとモビリティ:ケガ予防に効く準備運動の流れ

体温を上げる全身ムーブ(動的ストレッチ)

動作例(各20〜30秒)

  • ジョグ+スキップ
  • レッグスイング(前後・左右)
  • アームサークル(肩回し)
  • ハイニー・バットキック

合計3〜5分でうっすら汗ばむ程度を目安に。

股関節・足首・胸椎のモビリティドリル

推奨ドリル(各6〜8回)

  • ワールドグレイテストストレッチ(股関節+胸椎回旋)
  • アンクルロッカー(壁に向かって膝をつま先越しに前へ)
  • 90/90ヒップローテーション(内外旋)

着地・減速・方向転換の基礎(低衝撃ドリル)

  • スティックランディング:小ジャンプ→静かに着地して2秒静止×3〜5回
  • 前進→3歩で減速→停止×3〜4本
  • 軽いサイドシャッフル→停止→向き直り×2〜3往復

サッカー筋トレメニュー中学生向け(自重・器具なし)

下半身:スクワット、ヒップリフト、リバースランジ、カーフレイズ

回数・セット目安

  • スクワット:8〜12回×2〜3セット(RPE6〜7)
  • ヒップリフト:10〜15回×2〜3セット
  • リバースランジ:左右各6〜10回×2〜3セット
  • カーフレイズ:12〜20回×2〜3セット(ゆっくり)

キュー(合図)

  • スクワット:股関節から座る・膝とつま先の向きをそろえる・足裏3点荷重
  • ランジ:前脚で踏み込まず、後ろ脚を引いて腰を落とすと膝に優しい

体幹:フロントプランク、サイドプランク、デッドバグ、バードドッグ

  • フロントプランク:20〜40秒×2セット(呼吸を止めない)
  • サイドプランク:左右15〜30秒×2セット
  • デッドバグ:左右各6〜10回×2セット
  • バードドッグ:左右各6〜10回×2セット

バランス&股関節:シングルレッグヒップヒンジ、Yバランス風ドリル

  • 片脚ヒップヒンジ:左右各5〜8回×2セット(お尻を後ろへ、背中フラット)
  • Yバランス風:片脚立ちで前・斜め前・横に軽く触れる×各3回

初級プライオメトリクス:ロープジャンプ、ソフト着地のドロップ着地

  • なわ跳び:30〜45秒×2〜3セット(静かに着地)
  • ドロップ着地:台10〜20cmから降りて静止×3〜5回×2セット(連続ジャンプはしない)

アジリティ&スプリント基礎:加速10m・減速・シャッフル(ラダー不要)

  • 10m加速:4〜6本(完全歩行回復)
  • 5〜8m減速ドリル:3〜4本(姿勢を保って止まる)
  • サイドシャッフル:10〜15m×2往復×2セット

呼吸と姿勢のセットアップ(胸郭・骨盤の整え方)

  • 肋骨を軽く下げ、骨盤はややニュートラル(反り腰・猫背を避ける)
  • 鼻から吸ってお腹と脇腹を360度ふくらませ、口から長く吐く
  • セットごとに2〜3呼吸リセットでフォームが安定

ミニバンド・軽ダンベルを使った安全な強度アップ

ミニバンド:モンスタウォーク、クラムシェル、サイドステップ

  • モンスタウォーク:10〜15歩×2セット
  • クラムシェル:左右各10〜15回×2セット
  • サイドステップ:左右10歩×2セット(骨盤水平をキープ)

軽ダンベル:ゴブレットスクワット、RDL(ヒップヒンジ)、ルーマニアンランジ

  • ゴブレットスクワット:6〜10回×2〜3セット(2〜6kg目安)
  • ダンベルRDL:8〜12回×2〜3セット(背中フラット)
  • ルーマニアンランジ:左右各6〜10回×2セット(前脚主導でヒップ狙い)

メディシンボールがあれば:チェストパス・ローテーションスロー(低反復)

  • チェストパス(壁):3〜5回×2セット(重さは軽め)
  • ローテーションスロー:左右各3〜5回×2セット(フォーム重視)

器具導入の基準と重量目安(フォーム優先・痛みゼロ)

  • 基本は自重でフォームが安定してから。
  • RPE6〜7(あと2〜4回できる余力)をキープ。
  • 関節に痛み・違和感があれば中止、原因を確認。

週2〜3回で効果を出すトレーニング計画例(部活・クラブと両立)

週2回:全身A/Bスプリットの例(45分×2)

A:下半身+体幹+スプリント軽め

  • ウォームアップ(5分)
  • スクワット/ヒップリフト/カーフレイズ
  • プランク系(フロント&サイド)
  • 10m加速×4、スティックランディング

B:ヒップヒンジ+ランジ+アジリティ

  • ウォームアップ(5分)
  • RDL動作(自重→軽ダンベル)/リバースランジ
  • デッドバグ/バードドッグ
  • シャッフル、減速ドリル

週3回:全身ライト×2+スピード&体幹デー(30〜40分)

  • Day1:下半身メイン(中負荷)+体幹少量
  • Day2:スピード・アジリティ特化(本数は少なく質重視)
  • Day3:ヒップヒンジ・股関節メイン+ミニバンド補強

試合週の調整:48時間前は高負荷を避ける・前日は神経系の活性のみ

  • 48時間前:ボリューム半減、下半身の高負荷は避ける
  • 前日:モビリティ、なわ跳び軽め、10m流し×3本

宿題・疲労・移動時間を考慮した“現実的な運用”

1回を短くしてもOK。10〜20分のミニセッションを積み上げる発想で、週合計の質を確保しましょう。

強度設定と進め方|RPE・RIRで無理なく成長させる

反復数・セット・休息の基本(8〜12回×2〜3セット/60–90秒)

多くの種目は8〜12回×2〜3セット、休息60〜90秒が目安。プランクなどは時間指定で。

RPE(主観的運動強度)とRIR(余力回数)の簡単な使い分け

  • RPE6〜7=あと2〜4回できる。成長期の基本はここ。
  • RPE8以上はイベント期を除き頻度少なめに。

停滞しないための漸進(回数→セット→テンポの順)

  1. 回数を1〜2回増やす
  2. セットを1セット追加
  3. 下ろしを3秒などテンポで刺激を変える

3〜4週に1回の軽め週(デロード)で回復を最適化

総量を30〜50%落としてフォーム確認や可動性に時間を使うと、次の伸びが出やすいです。

ケガ予防に直結する部位別ケア|オスグッド・シンスプリント・足首捻挫

オスグッド(膝下の痛み):大腿四頭筋のケアとジャンプ量管理

  • 太もも前のやさしいストレッチ、フォームローラー
  • ジャンプ・坂ダッシュの量を一時的に減らす
  • 痛みのない範囲でヒップ主導の動作を優先(スクワット深さ調整)

シンスプリント:ふくらはぎ・すねのケアと走行距離の段階的増加

  • カーフ(腓腹筋・ヒラメ筋)強化、足指グーチョキパー
  • 週あたりの距離・本数は10〜15%以内で増やす
  • 硬い路面の連続は避け、シューズの状態をチェック

足首捻挫:片脚バランス・エバージョン強化・着地アライメント

  • 片脚バランス30秒×2(慣れたら目をつぶって20秒)
  • 外返し筋群(腓骨筋)のバンド外向き押し×10〜15回
  • 着地で膝が内に入らないよう股関節で吸収

痛みが出たときの初期対応と受診の目安(無理をしない線引き)

  • 鋭い痛み、腫れ、荷重困難、夜間痛は練習を中止し医療機関へ。
  • 軽い違和感は「痛みゼロの動作」で様子見。悪化すれば相談。

リカバリーと栄養・睡眠|成長期の“伸びしろ”を最大化する習慣

食事:炭水化物中心+タンパク質の目安とタイミング

  • 主食(ご飯・パン・麺)をしっかり。練習後は早めの補給。
  • タンパク質目安:体重1kgあたり約1.2〜1.6g/日(状況により前後)。
  • 間食に牛乳、ヨーグルト、チーズ、卵、ツナ、納豆など。

水分・電解質:練習前後のとり方と暑熱対策

  • 開始30〜60分前に200〜400ml、以降は15〜20分ごとに150〜250ml。
  • 暑い日は電解質入りドリンクを活用。
  • 練習後は喉の渇きに頼らず計画的に補給。

睡眠:時間・就寝前ルーティン・画面時間のコントロール

  • 8〜10時間を目安に確保。
  • 就寝1時間前は画面オフ、照明は少し暗く。
  • 寝る前の深呼吸やストレッチで副交感神経モードへ。

ストレッチ・入浴・アクティブリカバリーの組み合わせ

  • 入浴で体を温めた後、軽いストレッチ。
  • 翌日は10〜20分の軽いジョグやウォークで血流促進。

スピード・キック力を安全に伸ばすサッカー特化アプローチ

ヒップ伸展とトリプルエクステンションの基礎作り

RDL、ヒップリフト、カーフレイズで股関節・膝・足首を連動させて押し出す感覚を磨きます。

股関節の回旋と体幹の連動(コーディネーション)

  • 立位ローテーション(骨盤→胸郭の順で回す)
  • メディボールの軽い回旋スロー(低反復)

短い全力ダッシュの質を上げるドリル選び

  • 10mまでの加速で、前傾・腕振り・地面を押す感覚を確認。
  • 本数は少なく、休息十分で常に「ベストの質」を狙う。

ボールを使った抵抗の少ない出力練習(フォーム重視)

  • インステップの素振り→軽いキックで軸足安定を確認。
  • 壁当て:コントロール重視で10〜20本(疲れたら終了)。

フォームのキューとセルフチェックリスト

スクワット:膝とつま先の向き・股関節から座る・足圧の3点

  • 胸を張りすぎず肋骨は下げる、膝はつま先の方向へ。
  • かかと・母趾球・小趾球の3点で床を押す。

ヒップヒンジ:お尻を後ろへ・背中はフラット・みぞおちと骨盤の向き

  • みぞおちと骨盤を向かい合わせに保つ。
  • もも裏に軽い張りを感じたら戻る(無理に深くしない)。

プランク:肋骨をしまう・おへそを背骨へ・呼吸を止めない

  • 肩はすくめない、腰は反らない。
  • 吐き切る→軽く吸うのリズムで安定。

ジャンプ着地:静かに・膝は内に入れない・股関節で吸収

  • つま先と膝の方向を揃える。
  • 音が小さい=衝撃コントロールできているサイン。

自主トレのモニタリングと安全なパフォーマンステスト

月1回のチェック項目:片脚バランス・垂直跳び・10m加速

  • 片脚バランス(秒数の左右差)
  • 垂直跳び(両手で壁に印を付けて高さ比較)
  • 10mタイム(スタンディングスタート)

フィールドでできる簡易測定の方法(安全第一)

十分なウォームアップ後、2〜3回の試技でベスト記録を採用。疲労が強い日は無理をしない。

トレーニングログのつけ方:種目・回数・RPE・体調メモ

  • 例:スクワット 10×3 RPE6/睡眠7h/膝違和感なし
  • 振り返りやデロード判断に役立つ。

よくある誤解Q&A|“背が伸びない”は本当か?毎日やるべき?

成長期の筋トレと身長の関係:何がリスクで何が安全か

適切なフォーム・強度・段階性が守られていれば、身長の伸びを止めるという根拠は一般的に支持されていません。リスクは「過度な衝撃」「痛みを無視」「無理な高重量」。ここを避ければ安全性は高まります。

筋肉痛は必要条件ではない:疲労と適応の考え方

筋肉痛がなくても強くなります。狙いは“質の高い反復”を積むこと。翌日にプレーのキレがあるかを指標に。

中学生の負荷設定:重りは使って良いのか、条件と前提

自重でフォームが安定し、痛みゼロで操作できることが条件。使うなら軽量(ミニバンド・軽ダンベル)から、RPE6〜7で。

有酸素だけでは足りない理由:加速・減速・当たりの強さ

サッカーはストップ&ゴーの連続。筋力・パワーがないと減速や接触で不利になります。走るだけでなく、ヒップ・体幹・足首の強化が必要です。

保護者・指導者のためのサポートガイド

観察すべきサイン:痛み・動きの左右差・疲労の蓄積

  • 膝下やすねの繰り返す痛み、片脚バランスの極端な差
  • 睡眠不足や食欲低下が続くときは負荷を下げる

声かけのコツ:努力のプロセスを称賛しフォームを優先

回数や重さより「静かな着地」「きれいな姿勢」をほめると安全性が上がります。

過度な追い込みや体罰的指導の回避と環境づくり

痛みの申告を歓迎する雰囲気づくりが、長期的な成長とパフォーマンスに直結します。

学校・部活・医療機関との連携ポイント

痛みが長引く、腫れがある、動きに制限が出る場合は早めに相談。情報共有で復帰をスムーズに。

競技期・オフ期の切り替えと期分け(中学生版)

オフ期:基礎筋力・可動性・ボリュームを確保

週3回ベースで、ヒップヒンジ・スクワット・体幹・バランスを満遍なく。走りは質と量を計画的に。

試合期:維持とリフレッシュ(短時間・低疲労)

週2回・20〜30分でOK。可動性+低量の全身トレでキレを保つ。

試験期間や連戦時の負荷軽減プラン

  • 10〜15分のミニワークアウト×2回に縮小
  • プライオは削り、モビリティと体幹中心に

家でもできる“器具なし”サッカー筋トレメニューまとめ

時間別メニュー(10分・20分・30分)

10分(急ぎ)

  • 動的ストレッチ2分 → スクワット10×2 → プランク30秒×2 → 10m流し×2

20分(標準)

  • ウォームアップ3分 → ヒップリフト12×2 → リバースランジ各8×2 → バードドッグ各8×2 → なわ跳び30秒×2

30分(しっかり)

  • ウォームアップ5分 → スクワット10×3 → RDL動作10×2 → カーフレイズ15×2 → デッドバグ各8×2 → 10m加速×4

スペース別メニュー(自室・リビング・校庭)

  • 自室:体幹+ミニバンド
  • リビング:スクワット・ランジ・なわ跳び
  • 校庭:スプリント・減速・シャッフル

続けるためのコツ:トリガーハビットとチェックマーク

  • 帰宅→手洗い→5分モビリティを習慣化(トリガーを決める)
  • カレンダーに記録(◯×だけでもOK)

まとめ|サッカー筋トレメニュー中学生向けの最短ルートは“安全第一×継続”

今日から始める3ステップ(準備・実行・記録)

  1. 準備:メニューを3種に絞る(下半身1・体幹1・スプリント1)
  2. 実行:RPE6〜7でフォーム最優先
  3. 記録:回数・RPE・体調を一言メモ

ケガなく伸びるための合言葉:フォーム>負荷>頻度

質が上がれば、自然と速さも強さもついてきます。焦らず、小さく、積み上げる。

次のステップ:3か月後の見直しと小さなアップグレード

  • 自重が安定→ミニバンド/軽ダンベルを少量導入
  • スプリントは本数を増やすのではなく、休息をしっかり取って質を上げる

成長期の今こそ、正しいやり方で土台を作るチャンス。ケガなく、強く、しなやかに。今日から一歩進めましょう。

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