「自主練は続かない」「何をどれくらいやればいいの?」——そんな悩みを解決するために、毎日20分で完結する一人練の設計図を用意しました。短く、迷わず、成果が見える。小学生でも親子でも、今日からすぐに始められる内容です。特別な道具や広いグラウンドは不要。自宅前や公園の一角、室内でもできる工夫を詰め込みました。ポイントは、時間配分と質の管理、そして「記録」。やることが明確だと、習慣は驚くほど続きます。ここから、20分で技術が伸びる道筋を一緒に作りましょう。
目次
- サッカー小学生の自主練メニュー 失敗しない一人練の20分設計図(概要)
- 用意するものと安全チェック
- 失敗しない20分の全体タイムテーブル
- 0〜3分:ウォームアップ詳細
- 3〜8分:ボールタッチ5分メニュー
- 8〜13分:ドリブル強化5分メニュー
- 13〜18分:壁当てパス&トラップ5分
- 18〜20分:仕上げ2分
- レベル別バリエーション(初級/中級/上級)
- 狭いスペースでもできる一人練
- 雨の日・夜でも続ける室内メニュー
- よくある失敗と対策
- 成長を数値化するチェックリスト
- スマホでできる自己分析
- 保護者のサポートガイド
- 栄養・水分・休息のミニガイド
- 1週間の回し方(20分×5日の例)
- 次のステップ:チーム練習への橋渡し
- サッカー小学生の自主練メニュー 失敗しない一人練の20分設計図(概要の再確認)
- まとめ
サッカー小学生の自主練メニュー 失敗しない一人練の20分設計図(概要)
20分に凝縮する理由と効果
集中力が切れにくい時間が「約20分」。短時間でも目的を絞れば、技術は十分に伸びます。だらだら長くやるより、メリハリのある20分を積み重ねる方が習得が早いことは多くの現場でも実感されています。疲労やケガのリスクも下がり、勉強や家事との両立もしやすいのがメリットです。
一人練で伸びる技術領域と限界
一人練で特に伸びるのは、ボールタッチ、ドリブル、トラップ、パスフォーム、足元のコーディネーションです。逆に、対人の駆け引きや視野の共有、実戦の判断スピードはチームや対人練で補う必要があります。だからこそ、一人練では足元とフォームを磨き、試合では「迷いなく出せる技術」に仕上げるのが狙いです。
今日から始めるための前提(時間・場所・安全)
20分を「毎日または週5日」。場所は2〜5mの直線や2畳のスペース、壁1面があれば理想的。安全は最優先で、靴・地面・周囲(人・車・ガラス)を確認してから開始します。夜間・雨天は室内メニューへ切り替えればOKです。
用意するものと安全チェック
最低限の用具リスト(ボール・マーカー代用品・壁・時計)
- サッカーボール(号数は身長に合わせる。小学生は3〜4号が一般的)
- マーカー代用品(ペットボトル、落ち葉、小石、ガムテープで作る線など)
- 壁(コンクリート壁、ガレージシャッター等。キズや音に注意し、NGの場所では使用しない)
- 時計(スマホのタイマーで十分)
スペースの確保と周囲の安全確認
- 地面の状態:濡れ、段差、砂利、ガラス片をチェック
- 周囲の動き:人や自転車の動線、車の出入りを確認
- 壁利用時:反対側に人がいないか、騒音にならないかを事前に確認
- 靴:トレーニングシューズや運動靴(サンダルや革靴は不可)
ケガを防ぐ準備運動の基本
冷えた状態でいきなり速く動かないのが鉄則。関節を回し、軽く心拍を上げ、ボールに触れて神経を起こします。詳細は後述のウォームアップで説明します。
失敗しない20分の全体タイムテーブル
0〜3分:ウォームアップ(体とボールの準備)
関節可動+軽いステップ+ソフトなボールタッチで、ケガ予防と操作性の感覚をオンにします。
3〜8分:ボールタッチ(基礎テクニック)
イン・アウト、足裏、V字、ダブルタッチで「正確で速いタッチ」を作ります。
8〜13分:ドリブル(運ぶ・抜くの基礎)
直線とジグザグ、方向転換。細かいタッチと大きな運びを切り替える練習です。
13〜18分:壁当てパス&トラップ(コントロール)
インサイドのフォーム確認、ワンタッチ連続、方向づけトラップで試合に直結する基礎を固めます。
18〜20分:仕上げと記録(振り返り)
10回チャレンジで技術テスト→クールダウン→メモ。伸びを数字で見える化します。
0〜3分:ウォームアップ詳細
関節可動&ダイナミックストレッチ
- 足首・膝・股関節・肩を大きく回す(各10回)
- 前後レッグスイング/サイドレッグスイング(左右各10回)
- ランジで股関節を伸ばす(左右各5回、反動少なめ)
低強度コーディネーション(スキップ・サイドステップ)
- 前向きスキップ20m or 20秒
- サイドステップ左右10mずつ or 20秒
- つま先立ち小走り10m+かかと着地小走り10m
ボールタッチでの神経起こし(足裏転がし・軽いジャグル)
- 足裏で前後コロコロ各20回
- 両足インサイド交互タッチ30回
- 軽いジャグリング(膝・足で合計20回を目安。回数よりリズム重視)
3〜8分:ボールタッチ5分メニュー
インサイド/アウトサイド連続タッチ
左右の足でイン→アウトを交互に小刻みに。腰が立っているか、膝が軽く曲がっているかを意識。30秒×3セット。
足裏ロールとV字(プル・プッシュ)
足裏で引いて、同じ足のインサイドで前に押し出すV字。左右各30秒×2セット。ボールが足から離れすぎないように。
ダブルタッチとリズムチェンジ
右足イン→右足アウトで1人かわすイメージのダブルタッチ。30秒行ったら、次の30秒はタッチ幅を大きくしてスピードアップ。
レベル別の回数目安と質のチェックポイント
- 初級:30秒で50〜70タッチ目標。ボールを見てOK、まずはミスを減らす。
- 中級:30秒で80〜100タッチ。視線は時々前へ。つま先立ちで軽やかに。
- 上級:30秒で100タッチ以上。弱い足多め、体の向きを変えながら。
質のチェック
- 音が軽い(強く叩かない)
- 重心が前(かかと体重にならない)
- 1タッチごとに体が止まらない(流れがある)
8〜13分:ドリブル強化5分メニュー
直線ドリブルとジグザグ(マーカー3〜5個)
3〜5mにマーカーを置く。直線は2歩に1タッチ、ジグザグはマーカー間を2〜3タッチで抜ける。各3往復。
細かいタッチと大きな運びの切り替え
最初の半分を細かいタッチで、後半は前方へ一気に運ぶ。切り替え時に体を前に運び、腕を振る。片道で2回切り替えを入れる。
方向転換(クライフターン/ダブルタッチ)
- クライフターン:踏み込んだ足の内側から後方へ引く。つま先が外を向かないよう注意。
- ダブルタッチ:イン→アウトでマーカー脇を通過。軸足の向きが進行方向へ変わっているか確認。
タイム計測と自己ベスト更新のすすめ
往復1本のタイムを計測し、メモに残す。狙いは「ミスゼロでタイム更新」。速さだけを追ってフォームが崩れたら、一度スピードを落として質を戻すのがコツです。
13〜18分:壁当てパス&トラップ5分
インサイドパスのフォーム確認
- 軸足のつま先は狙いの向き
- 足首は固定、ボールの中心を面で押す
- 蹴った後に体が前へ流れる(蹴り足で小さく一歩)
片足ワンタッチ連続と両足交互
- 片足ワンタッチ:右足だけで10回→左足だけで10回。2セット。
- 両足交互:右→左→右→左…20回をミスなしで。慣れたらテンポアップ。
トラップ→方向づけコントロール
壁にパス→戻りをインサイドで「次に行きたい方向」へ1m転がす。右へ5本、左へ5本。体と視線を先に向けると成功しやすいです。
反発の弱い壁・屋外環境の代替案
- 壁なし:自分で前方へ軽く蹴る→2歩下がって方向づけトラップ
- 音対策:厚手の布やマットを壁に当てて反発を弱める(許可がある場所のみ)
- 狭い場所:ワンバウンドパス(床に当てて返す)で音と反発を調整
18〜20分:仕上げ2分
10回チャレンジでの技術テスト(タッチ・パス・ドリブル)
- タッチ:30秒でミス何回?(0〜2回を目標)
- パス:両足交互10本をミスゼロで
- ドリブル:指定コース1往復でコーンタッチゼロ
呼吸を整えるクールダウン
鼻から吸って口から吐くを5回、ふくらはぎ・モモ裏の軽いストレッチ各20秒。心拍と気持ちを落ち着かせます。
今日の記録と気づきメモ
回数、タイム、ミス数、気づきを20〜40文字で。例:「左足アウトが弱い」「視線が落ちる」など具体的に。
レベル別バリエーション(初級/中級/上級)
初級:回数・距離を短くして正確性重視
- 時間はそのまま、回数を7割に
- ドリブル距離を2〜3mに短縮
- パスは近距離でフォーム確認を優先
中級:弱い足の比率アップと視線アップ
- 弱い足6割・利き足4割
- タッチは前方や空間を見る練習を組み込み
- 方向づけトラップの精度を1m→50cmへ
上級:スピード変化と限定タッチで負荷
- 3タッチ以内で方向転換、ワンタッチ多用
- 5秒全力→10秒リズム、の繰り返し
- ドリブルは「片足のみ」「イン限定」など制限付き
狭いスペースでもできる一人練
2畳メニュー(足裏・インアウト限定)
- 足裏V字×30秒×3
- インアウト連続×30秒×3
- その場クライフターン左右10回ずつ
廊下・駐車場の直線活用
- 5〜7mで直線ドリブル往復3本
- マーカー2個でゲート通過ドリブル×5本
室内での音・安全対策
- やわらかめの練習用ボールやフットサルボールを使用
- 家具やガラスから1m以上離れる
- 床は滑りやすいのでスピード控えめ、靴下は避ける
雨の日・夜でも続ける室内メニュー
足裏テクニック集中セット
- 足裏ロール(前後・左右)各30秒
- 足裏V字×40秒×2
- 足裏→インの方向づけトラップその場で10回
壁なしコントロール(セルフトラップ)
- 膝上30cmへ軽くトス→インサイドで1m前に落とす×10回
- アウトサイドで前方斜めに落とす×左右各10回
ラダー代替(テープ・線)でのフットワーク
- 床にテープで4マス作成→インインアウトアウトを20秒×3
- 前後ジャンプ→サイドジャンプ→前後の順で20秒ずつ
よくある失敗と対策
速さ重視でフォームが崩れる:基準の作り方
「ミス0でできる速さ」をまず基準に。1回でも崩れたら10%スピードダウン→再び安定したら5%アップのルールで上げ下げします。
利き足偏重:弱い足ルールの導入
ボールタッチは弱い足6割、パス練は1セット目を弱い足限定に。メモに「今日の弱い足タッチ数」を必ず記録。
強く蹴れない:軸足と体の向きの修正
- 軸足のつま先=狙う方向
- ボールの横に軸足を置く(近すぎない)
- 蹴り足は足首固定、体は前へ
続かない:ハードル設計と小さなごほうび
- 1日1記録=OK。0を作らない。
- 週3達成でお気に入り練習を1つ追加できる権利。
- 開始時間を固定(例:夕食前の20分)。
成長を数値化するチェックリスト
30秒タッチ回数/5mドリブルタイム
- 30秒タッチ:回数+ミス数
- 5m往復ドリブル:最速タイムと平均タイム
連続ワンタッチ回数(壁当て)
両足交互の連続記録を更新していく。目標は「20→30→40…」の階段。
ミス率と成功率の記録方法
本数とミス数をセットで記録(例:20本中ミス3=成功率85%)。伸びが実感しやすくなります。
週次レビューのやり方
- ベスト記録、平均値、今週の気づきを1行で
- 来週の「1テーマ」を決める(例:方向づけトラップ)
スマホでできる自己分析
撮影の角度・距離と安定化のコツ
- 正面と斜め45度の2パターンが基本
- 距離は全身+ボールが常に入る位置(3〜6m目安)
- 三脚や壁に立てかけてブレを防ぐ
確認ポイント(姿勢・視線・タッチ位置)
- 姿勢:背中が丸まりすぎていないか、重心は前か
- 視線:ずっとボールだけ見ていないか
- タッチ位置:足のどこで触っているか、ボールの中心を捉えているか
無料アプリでのスロー再生・タイム計測
スマホ標準のスロー機能で十分。ストップウォッチでタイム、メモ帳で気づき記録。撮影は週1回でOK、やりすぎる必要はありません。
保護者のサポートガイド
声かけと環境づくり(安全・継続・記録)
- 開始前:靴・場所・周囲の安全チェックを一緒に
- 終了後:「今日の1つのよかった点」を具体的に伝える
- 記録は子ども本人に任せ、見守る
過度な介入を避ける観察の姿勢
成功・失敗の声かけは「事実→感想→問い」。例:「今日は左足の回数が増えたね。うれしいね。どうやったらもっと増えそう?」
練習前後の送迎・水分・片付け
- 暗い時間帯は送迎を検討
- 水分・タオルは先に用意、終わったら片付けまでセットで習慣化
栄養・水分・休息のミニガイド
練習前後の軽い補食例
- 前:バナナ、ヨーグルト、カステラ、ミニおにぎり(30〜60分前)
- 後:牛乳+バナナ、ツナおにぎり、チーズ+クラッカー(30分以内)
水分摂取のタイミングと量の目安
- 前:コップ1杯
- 途中:数口ずつこまめに
- 後:コップ1杯+汗量に応じて追加
疲労サインと休む判断
- 頭痛、めまい、気持ち悪さ、関節痛は無理をしない
- 痛みがある日や睡眠不足の日は、室内の足裏メニューに切り替えるか休む
1週間の回し方(20分×5日の例)
曜日別テーマ設定(タッチ/ドリブル/パス)
- 月:ボールタッチ集中+壁当て少なめ
- 火:ドリブル集中(方向転換)
- 水:壁当てコントロール+セルフトラップ
- 木:弱い足デー(全メニュー弱い足比率アップ)
- 金:混合メニュー+ミニテスト
復習日と休養日のバランス
5日練習+2日休養(または軽い調整)を基本に。疲れが強い週は4日でもOK。続けることが最優先です。
週末のミニテストと目標更新
- 30秒タッチ、5mドリブル、壁当てワンタッチの3種目
- 先週比で1つでも更新できたら合格
- 翌週の重点テーマを1つだけ決める
次のステップ:チーム練習への橋渡し
一人練の成果を試合で生かす場面
- 初タッチで前を向く(方向づけトラップ)
- 詰まった時のクライフターンでの方向転換
- 速いテンポのパス交換(インサイドの面づくり)
コーチに相談したいポイント
- ポジションで必要な形のトラップと体の向き
- 苦手足の使い方を試合で増やす場面
- 家での練習内容の微調整(チームの課題に合わせる)
短期・中期・長期の目標設計
- 短期(1〜2週間):30秒タッチ+10回、壁当て+5回
- 中期(1〜3ヶ月):弱い足での実戦タッチを増やす
- 長期(半年〜):試合での「最初の1タッチ」を安定させる
サッカー小学生の自主練メニュー 失敗しない一人練の20分設計図(概要の再確認)
20分の核は「①準備→②タッチ→③ドリブル→④パス&トラップ→⑤テスト&記録」。足元の技術を毎日少しずつ磨き、数字で伸びを確かめる。この繰り返しが、試合で効く1タッチと運びを作ります。スペースや天候に合わせてアレンジ可能。無理なく、でも手を抜かず、今日から動き出しましょう。
まとめ
一人練は、やることを決めてしまえば続きます。20分という短さは「やる勇気」をくれます。足元が整えば、プレーの選択肢は増え、試合はもっと楽しくなります。迷ったら、まずはタイマーを20分にセット。終わったら、1行だけ記録。小さな前進の積み重ねほど、確かな近道はありません。あなたの20分が、明日の自信になります。
