国内の試合だけでなく、アジア全体を見渡すと「知らない名前が次の試合の流れを変える」ことがよくあります。サッカーのウズベキスタンはまさにその代表格。若手の台頭と欧州・ロシアを含む海外での経験値を備えた選手が増え、2026年に向けて存在感を強めています。本記事では「サッカーのウズベキスタン注目選手2026年W杯で覚えておくべき10人」を軸に、戦力の現在地から個別選手の特徴、試合での見どころ、練習に生かせるポイントまでを一気に整理。観る人、プレーする人、指導する人それぞれの視点で使える“実戦的なガイド”としてご活用ください。
目次
はじめに:なぜ今、ウズベキスタンの注目選手を押さえるべきか
2026年W杯のフォーマット変化と可視化される才能
2026年のW杯は出場国が48に拡大し、アジアの出場枠も増加します。最終大会は12グループ制(各4チーム)で、決勝トーナメントは32チームに拡大。大会そのものの母数が大きくなることで、これまで国際舞台でスポットを浴びにくかった選手にも光が当たりやすくなります。アジア二次予選・三次予選の放送機会も増え、試合映像やデータが追いやすくなるため、選手の実像に近づきやすいのが今のタイミングです。
中央アジア勢の台頭とウズベキスタンの競争力
ウズベキスタンは年代別代表の充実が顕著で、特にU-20世代は大陸大会で結果を出してきました。世代が上がるにつれ、A代表でも若手が主力に絡み、欧州や近隣リーグで揉まれる選手が増加。伝統的に堅実な守備組織と高い個の技術を持つ国で、近年はスピードとダイナミズムの面でもアップデートが進んでいます。アジアのなかで「組織と個の両面でじわじわ強くなっている」代表と捉えておくと、観戦や分析が楽しくなります。
ウズベキスタン代表の現在地と戦力概観
代表チームの強みと課題(守備組織・前進・決定力)
- 守備組織:自陣でのブロック形成とライン間の密度が高く、中央を締める基本が安定。CBと中盤の連携で前向きに奪える局面も多い。
- 前進(ビルドアップ~中盤の前進):CBやSBから縦パス・斜めの速い配球で一気にスイッチを入れるのが得意。ハーフスペースの使い方が上達しており、WG/AMの間受けがポイント。
- 決定力:多くのチーム同様、強度の高い相手に対し最後の局面で精度が落ちる場面が課題。ラストパスとシュートの選択を個人戦術レベルで突き詰められるかが鍵。
世代交代の進捗とポジション別の人材マップ
1999~2004年生まれの選手がA代表に定着し始め、若手・中堅・ベテランのバランスが良化。特に右SB、CB、WG、インサイドの層が厚く、GKにも将来性のある人材が育っています。一方、CFの絶対的な“点取り屋”は人選が絞られており、コンディション次第でチームの天井が変わる位置づけです。
選出基準と本リストの見方
実績・データ・伸びしろの三軸評価
- 実績:代表・クラブでの出場状況、国際大会・カップ戦での存在感、ビッグゲーム耐性。
- データ:シュート関与、プログレッシブパス/ラン、デュエル勝率、ボール奪回などの傾向。
- 伸びしろ:年齢、プレースタイルの汎用性、上位強度のリーグ/国際試合での適応力。
ここで挙げる10人は、現在の貢献だけでなく「2026年までに上振れし得る要素」を含む選手を優先しています。
ポジションバランスと役割の重なりをどう解釈するか
同一ポジションでも役割の違い(例:WGでもタッチライン型とハーフスペース型)があり、監督のゲームプラン次第で序列が変わります。複数ポジションを高い水準でこなせるユーティリティ性は、長期大会での価値が特に高いと考えてください。
2026年W杯で覚えておくべきウズベキスタン注目選手10人
エルドル・ショムロドフ(CF)— 代表の得点源になり得るストライカー
プレースタイル
背後への抜け出しとポストワークを併せ持つ万能型のCF。最終ラインの間や背後を狙うランでフィニッシュに直結。セットプレーやクロス対応の空中戦も強みで、前線の“的”を作れる存在です。
W杯に向けたチェックポイント
- ニア・ファーの走り分けとシュートコースの作り方
- 落としから二列目のシュートを引き出す連携
- 90分を通した守備の寄与(プレスのスイッチ役)
アッボスベク・ファイズラエフ(WG/AM)— 仕掛けと創造性に優れたアタッカー
プレースタイル
低重心のドリブル、狭い局面での方向転換、スルーパスの精度が光る突破型アタッカー。右サイドからの内切り、ハーフスペース受けからの前向きアクションが得意で、年代別代表での実績も折り紙付きです。
W杯に向けたチェックポイント
- 1対1での間合い管理とフェイントの多様性
- クロスとカットバックの使い分け
- 守備時のスイッチと戻りの速さ
アブドゥコディル・フサノフ(CB/RSB)— 欧州で磨かれる対人と前進力
プレースタイル
前向きの守備でボールにアタックでき、奪ってからの縦パス・持ち運び(キャリー)で局面を前進させる現代型DF。CBを本職に、状況次第でRSBも対応可能なフレキシビリティを持ちます。
W杯に向けたチェックポイント
- 最終ラインからのプログレッシブパスの頻度と成功率の傾向
- 背後のカバーリングとラインコントロール
- 対人デュエル(地上・空中)の安定感
アブドゥヴォヒド・ネマトフ(GK)— 反応速度と安定感のある守護神候補
プレースタイル
近距離のシュートストップに強く、キャッチか弾くかの判断が的確。足元の配球も落ち着いており、ビルドアップでCBと連動して前進ルートを作れます。試合を通じた安定感が評価ポイントです。
W杯に向けたチェックポイント
- 枠内シュートへの反応速度とセービングフォーム
- クロス対応のポジショニング
- ハイライン背後のスイーパー対応
イブロヒムハリル・ユルドシェフ(RSB)— 上下動と配球が持ち味の現代SB
プレースタイル
運動量豊富で、外からのオーバーラップだけでなく内側のインナーラップも使い分けられるSB。アーリークロスとグラウンダーのカットバック、逆サイドへの展開力が武器です。
W杯に向けたチェックポイント
- サイド圧縮時の対人守備と体の向き
- ビルドアップ時の内側立ち位置(偽SB的ふるまい)
- クロスの質とタイミングの一貫性
オタベク・シュクロフ(CM/DM)— 中盤の配給と守備バランスを司る
プレースタイル
6番/8番をこなし、最終ライン前での配球とゲームコントロールが持ち味。セカンドボール回収やスペースの消し方が巧く、ガチャつく展開を落ち着かせるタイプです。
W杯に向けたチェックポイント
- 前向きで受けるための事前のスキャン(首振り)
- 縦パスの差し込みとリスク管理
- 守→攻、攻→守の切り替え速度
オディルジョン・ハムロベコフ(CM)— ボール奪取とリンクの要
プレースタイル
球際の強さと機動力が武器のインテンシティ型CM。相手の前進を止める局面介入に加え、奪ってからのシンプルな前進パスで攻撃のスイッチ役も担います。大崩れしにくい安定感が魅力。
W杯に向けたチェックポイント
- カバーシャドウでのパスコース切り
- 二人目・三人目の連動を引き出すワンタッチ配球
- ファウルコントロール(危険地帯での対応)
ルスタム・アシュルマトフ(CB)— 対空・対人に強い最終ラインの柱
プレースタイル
空中戦と対人守備に強く、セットプレー攻守の要。ラインコントロールと周囲へのコーチングで最終ラインをまとめる存在です。前に出て潰す守備と、下がって跳ね返す守備の使い分けが的確。
W杯に向けたチェックポイント
- 自陣PA内でのクリアの方向性と二次対応
- ロングボール対応時の体当てとセカンド回収
- オフェンスセットプレーでのターゲット能力
ホジマト・エルキノフ(WG/AM)— スペース活用と二列目の推進力
プレースタイル
サイドでも中央でも機能するセカンドアタッカー。ハーフスペースに顔を出し、受けてからの前進ドリブルやミドルレンジのシュートが脅威。相手の最終ライン間に刺さる動き出しも巧みです。
W杯に向けたチェックポイント
- 受ける位置の工夫(ライン間・背中取り)
- ファーストタッチでの前を向く角度作り
- プレスバックの継続性
ウマルアリ・ラフモナリエフ(CM)— 将来性豊かなレジスタ/ボックストゥボックス
プレースタイル
ゲームを作れる“レジスタ”的資質と、前後に走れる“ボックス・トゥ・ボックス”の運動量を併せ持つ若手CM。縦に速い展開の中で、落ち着いて最適解を選べる判断の良さが魅力です。
W杯に向けたチェックポイント
- プログレッシブパスの角度と強弱
- 守備での体の向き(内外を切る足の運び)
- 終盤の運動量維持とミスの少なさ
注目選手から学べるスキルとトレーニングのヒント
フィニッシャーの駆け引きとシュート選択(例:ショムロドフ)
練習ポイント
- ニア・ファー・足元の3択を同じ助走で打ち分ける反復
- DFの視線を外すステップワーク(体の向きと肩の入れ方)
- 落とし→リターン→ワンタッチフィニッシュの連携ドリル
内外のレーンを使い分けるドリブル/カットイン(例:ファイズラエフ)
練習ポイント
- 縦突破と内切りを同一モーションから出すフェイント作成
- カットイン後の“見てから蹴る”グラウンダークロスの精度
- 狭い局面の方向転換(アウト→インのタッチ連続)
前進パスとキャリーの質を高めるCB/SBの判断(例:フサノフ、ユルドシェフ)
練習ポイント
- 縦・斜め・横の三方向スキャン→最短最速の前進選択
- 一列飛ばしの配球と、インターセプト対策のパススピード
- 運ぶ/出すの判断切り替え(相手の出足で決める)
中盤の守攻両面:プレス回避と即時奪回(例:シュクロフ、ハムロベコフ)
練習ポイント
- 背後からの圧力に対する半身受けとワンタッチ逃がし
- こぼれ球の予測と二人目の連動(ライン間管理)
- 失った直後の3~5秒プレス(奪い返しの共通言語)
空中戦と守備統率、セットプレーの攻守(例:アシュルマトフ)
練習ポイント
- 跳ぶ前のアタック角度と落下点先取り(ステップ~体当て)
- ゾーン基準のマーク受け渡しと声かけルール化
- 攻撃セットでのスクリーン動作とターゲットの分散
若手タレントの武器を伸ばす練習設計(例:エルキノフ、ラフモナリエフ)
練習ポイント
- 得意形の反復(型)と試合に近い“崩し問題”の両立
- 強度高めの小規模ゲームで判断スピードを鍛える
- 動画でのセルフレビュー→行動目標1つに絞る運用
戦術的マッチアップのポイント
ビルドアップの癖を突くプレッシング設計
CB→IHの縦刺しを好む相手には、内側を切る圧力で外回しを強要。SBが内側に立つ“偽SB”化には、ウイングの背後取りで釘付けに。相手の一番強い前進ルートを先に消すのが肝です。
トランジション勝負での走力・縦圧力への対処
ロスト直後の前向きスプリントが速いチームなので、奪われた瞬間の“ファウルにしない遅延”と安全地帯へのクリアを共通認識に。自陣での被ショートカウンターを最小化します。
セットプレーの脅威とマーキング/ゾーンの最適化
対空に強いCBやCFがいるため、CK/FKではゾーン1列+マンマークのハイブリッドが有効。キッカーの球種に応じてニア/ファーの数的優位を微調整し、二次球の回収班を明確にしましょう。
スカウティングと分析で見るべき指標
攻撃指標:xG/xA、プログレッシブパス/ラン、侵入回数
- xG(期待得点)、xA(期待アシスト):チャンスの質を可視化
- プログレッシブパス/ラン:どれだけ前進に寄与しているか
- PA侵入回数/ハーフスペース侵入:崩しの回数と位置
守備指標:デュエル勝率、ボール回収、守備アクション密度
- 対人勝率(地上/空中):マッチアップの信頼度
- ボール回収・インターセプト:予測力と読み
- 守備アクション密度:守備関与の多さと継続性
稼働率と負傷歴、試合強度の文脈化
連戦での稼働率、負傷復帰後のパフォーマンス推移は必ず確認。リーグや対戦相手の強度を加味し、データの“重み”を文脈化することでミスリードを防げます。
観戦ガイド:最新情報の追い方と試合の見どころ
代表発表・直近フォーム・起用法のチェックリスト
- 直近5~10試合の出場時間とポジション
- 代表招集の有無と練習合流のタイミング
- ベンチ入り/スタメンの推移(監督の意図を推測)
クラブと代表での役割差をどう見るか
クラブでWGでも代表でAM、CBでも代表ではRSB兼任など役割差がある選手が多め。得意形の“移植”ができているか、周囲の関係性が整っているかに注目しましょう。
ダイジェストでは見えないオフボールの動きに注目
ライン間のチラ見せ(フェイント)、相手の逆を取る身体の向き、三人目の連動はハイライトでは映りにくい要素。フルタイム観戦でこそ価値が見えます。
よくある質問(FAQ)
ウズベキスタンの世代交代はどこまで進んでいる?
若手~中堅がA代表で実戦機会を得ており、複数のポジションで主力化。特に右SB、CB、WG、CMは競争が活発です。大会前の数カ月でコンディション次第の入れ替わりが起こり得ます。
日本と当たった場合のキープレーヤーは誰?
前線ならショムロドフの決定力、二列目のファイズラエフ/エルキノフの推進力、後方ならフサノフやアシュルマトフの守備と前進力が要注意。セットプレーの守備対応は試合のカギになりやすいです。
次点のブレイク候補は?(ポジション別に簡潔提示)
- GK:安定感のある若手候補(出場時間の伸びに注目)
- DF:左利きCB/LBの台頭(ビルドアップの幅を広げる)
- MF:レジスタ型の若手と、縦に運べる8番タイプ
- FW:サイドも中央もできる汎用型のアタッカー
まとめ:2026年に向けたチェックポイント
注目10人の要点復習とアップデートの優先順位
- CFの決定力と二列目の推進力が得点源。ショムロドフ、ファイズラエフ、エルキノフは都度フォーム確認。
- 後方の前進力(フサノフ、ユルドシェフ)で試合の主導権を握れるかが見どころ。
- 中盤のバランス(シュクロフ、ハムロベコフ)とCBの安定(アシュルマトフ)、GK(ネマトフ)の出来が失点抑制の鍵。
- 若手の伸びしろ(ラフモナリエフ)は大会直前に評価が跳ねる可能性あり。
学びをトレーニングと試合分析に落とし込む方法
- 「得意形を増やす→強度を上げる→意思決定を速める」の順でドリル設計
- フルタイム映像で“ボールに映らない仕事”のチェックリスト化
- 数値(xG/xA/デュエル)と映像の突合で、良い/悪いの原因を言語化
大会までの時間は、選手にとって実力を積み上げるフェーズであり、観る側にとっては“変化を捉える楽しみ”が詰まった期間です。ここで挙げた10人を軸に、起用法や役割の変化、フォームの波を追いかけてみてください。データと映像、そして現場の文脈を丁寧に重ねれば、ウズベキスタン代表の理解はきっと一段深まります。次のキックオフが待ち遠しくなるはずです。
