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サッカー試合分析シートを紙1枚で自作する方法と項目例

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動画やデータがなくても、現場で気づきを拾い、次の試合に生かす。紙1枚の試合分析シートなら、それができます。本記事では「サッカー試合分析シートを紙1枚で自作する方法と項目例」をテーマに、A4横1枚で回せるレイアウト、記入ルール、数え方、チェック項目、運用のコツまでを一気に整理しました。印刷や複写が前提なので、図や画像なしで完結できるようにしています。高校・大学・社会人の現場はもちろん、親御さんやジュニア指導でも使える形にしています。

紙1枚でできる試合分析の価値と前提

紙1枚が有効な理由(現場対応力・即時性・習慣化)

  • 現場対応力:ピッチサイドでもベンチでも書ける。電池切れ・通信なしでもOK。
  • 即時性:ハーフタイムにパッと見返し、すぐフィードバックできる。
  • 習慣化:A4横1枚に縛ると、見る観点が洗練される。続けやすい。

紙1枚の制約が、むしろ「何を見るか」を磨いてくれます。記録は少なくシンプルに、判断は素早く、が鉄則です。

どのレベルでも共通する観点とレベル別の差

  • 共通:時間帯の流れ、攻守の切替、セットプレー、決定機の数と質。
  • レベル差:精度(例:高校=前進の回数重視、大学・社会人=前進の質や再現性)。

同じフォーマットで、見る深さだけ変えればOK。ジュニアは観点を絞り、上のカテゴリーでは粒度を上げます。

客観記録と主観メモの使い分け

  • 客観:数や位置、タイムスタンプ。誰が見ても同じはずの事実。
  • 主観:意図や狙いの成否。「良い」「悪い」ではなく、根拠つきで。

紙面上で色や欄を分けると、感情の混入を防げます。

準備物とレイアウト設計の基本

用紙サイズと向き(A4横推奨)の理由

A4横にすると、上段に試合情報と意図、中段にKPIや個人、下段に時間軸ログを横長に配置でき、視線移動が少なくなります。A4はクリップボードに収まり、持ち運びも楽。

記入用具(2色/3色ペン・クリップボード)

  • ペン:最低2色(黒=客観、赤=主観)。可能なら3色(青=守備、緑=攻撃、赤=メモ)。
  • クリップボード:立ったまま書ける硬い板。雨天はクリアポケット併用。

観戦位置と視野の確保

斜め上から全体が見える位置がベスト。ベンチならタッチライン側で縦ズレを確認、スタンドならライン間の距離やブロック幅が見やすい。前半後半で逆サイドに移ると死角を減らせます。

略号・記号のルール化(凡例を作る)

紙の右上などに自分用の「凡例」を固定化。記号がブレないほど、あとで見返しても意味が通ります。

紙1枚テンプレートの全体構成(俯瞰図)

上段:試合情報・狙い・スタメン/配置

  • 試合情報:対戦相手、日時、気温/風、ピッチ状態、スコア。
  • 狙い:攻守各1~2個。曖昧語を避け、観察可能な表現に。
  • 配置:自チームの基本配置をミニピッチで。番号のみで簡略。

中段左:チームKPIとフェーズ別チェックリスト

攻撃/守備/トランジション/セットプレーの各KPI(後述)を小さなチェックボックスとカウント欄で。走り書きでも数が追える設計にします。

中段右:セットプレー専用欄と個人評価欄

  • SP欄:CK/FK/Throw/PKの本数と結果、狙い(In/Out/2nd)。
  • 個人欄:ポジション別に2~3項目の達成チェック。

下段:時間軸ログ(15分帯)と要点メモ

0-15/16-30/31-45/46-60/61-75/76-90の帯に分け、得点・決定機・危険なロスト・カードなどのキーモーメントを簡記。右端に「要点3行メモ」欄を確保。

余白の作り方(試合展開に応じて可変)

「右下の白地=当日の自由帳」に。相手の特徴や風向きの影響など、予定外の観点を書ける余白を10~15%残します。

最短で機能する必須5ブロック

試合情報と事前目標(3つまで)

  • 例:①右サイド経由の前進3回/前半、②自陣での被ロスト2回以下、③CKからのシュート2本。

時間帯ごとのキーモーメント記録

時刻+略号だけで十分。例「12’ CK→H(枠)」「27’ 右SBロスト→カウンター被」「33’ ★決定機(2v1)」。

攻守トランジション評価(矢印・記号の使い分け)

  • ポジトラ:↑=前向きで運べた、→=横ずれ、×=ロスト。
  • ネガトラ:◎=5秒内回収、△=遅れ、!=危険な背後。

セットプレー記録(CK/FK/Throw/PK)

「CK(L/In)→2nd→S(ブロック)」のように流れを1行で。再現性の検証がしやすくなります。

次戦アクション(行動3点)

結果ではなく行動で書く。例「CKはNear優先の合図を共通化」「ネガトラはボールサイド3歩寄る」「右SBの縦運びは1本目を味方に知らせる」。

フェーズ別の分析項目例

攻撃:ビルドアップ/崩し/フィニッシュの指標例

  • ビルドアップ:第1ライン突破数、前向きパス成功、GK経由の前進。
  • 崩し:アタッキングサード侵入、幅と深さの同時確保回数、逆サイド展開。
  • フィニッシュ:枠内率、ペナルティエリア内シュート比、リバウンド回収。

守備:プレッシング/ミドル/ローブロックの指標例

  • プレス:開始合図の統一、誘導方向の一致、回収ゾーン。
  • ミドル:ライン間距離、縦パスへの圧力、カバーシャドーの角度。
  • ローブロック:クロス対応(人数/優先順位)、クリア後の押し上げ。

ポジトラ/ネガトラ:初動・サポート・幅と深さ

  • ポジトラ:奪ってからの1stパス角度、サポート2人目の距離、外→中/中→外の切替。
  • ネガトラ:即時圧力の人数、遅らせの基準、背後カバーの役割共有。

リスタート:攻守の再現性とバリエーション

同じ合図・同じ走路で何回再現できたか、相手対応に応じた2ndプランが出せたかをチェック。

役割別(ポジション別)チェック項目

FW:裏抜け・ポスト・プレスのスイッチ

  • 裏抜けのタイミング(視線・助走・オフの駆け引き)。
  • ポストの角度と落としの質(前向きにさせる)。
  • プレスの合図(GK/CBトリガー時の一歩目)。

MF:前進パス選択・体の向き・逆サイド認知

  • 前進志向のパス選択率、受ける前の半身づくり。
  • 逆サイド確認の頻度(首振り回数)。
  • ライン間での受け直し(落ちて受ける/我慢して受ける)。

DF:ライン統率・カバーシャドー・1v1対応

  • 最終ラインの高さと連動、オフサイド管理。
  • 縦パス遮断の影、奪った後の前進一歩目。
  • 1v1での身体の向き・間合い・遅らせ。

GK:ビルド参加・守備範囲・セットプレー統率

  • 逆サイド展開のスイッチング、背後カバー。
  • ハイボールの出る/出ない基準、コーチングの明確さ。

チーム指標と個人指標のバランス設計

チームKPI例:進入回数・シュート質・前進成功率

  • 最終3分の1進入回数/ハーフ。
  • 枠内率=枠内シュート/総シュート。
  • 前進成功率=(自陣→中盤→最終3分の1到達)/保持回数。

個人KPI例:関与回数・デュエル・決定機創出

  • ボール関与回数(受ける/出す/運ぶ)。
  • 地上/空中デュエル勝率。
  • キーパス・ラストアクションの回数。

観察負荷を下げる優先順位の決め方

勝ち筋につながる3項目に絞る。例:相手が中央を締めるなら「逆サイド展開」「サイドでの2v1」「クロス後の2nd回収」。

紙でできる簡易ビジュアライゼーション

ショットマップの描き方(位置・足/頭・結果)

  • ミニゴール図を描き、〇=枠内、△=枠外、■=ブロック、☆=得点。
  • 右上にR/L/Hで部位、数字で時刻。

パス回数ヒート/簡易ネットワークの作図

布陣の位置に丸(選手)を置き、パスが多い組合せに線を重ねて太く。3回=細線、6回=中、10回=太線という具合。

プレス開始ライン・回収ゾーンの記録法

センターラインと相手PA前で2本の仮想線を引き、「▲」でプレス開始位置、「×」で奪取位置を記録。時間帯ごとの偏りを見る。

守備ブロックの高さと幅の変化メモ

前半/後半でラインの高さを矢印で。例:前半→中盤ライン-5m、後半→最終ライン+8m。

簡易指標の数え方・計算方法(その場で可能)

シュート関連(枠内率・決定機数・二次攻撃回収)

  • 枠内率=枠内/総シュート(%)。
  • 決定機=GKと1v1、PA中央フリー、速攻2v1など明確な基準を事前に定義。
  • 二次攻撃回収率=シュート後のこぼれを自チームが拾った回数/シュート数。

簡易PPDA(相手陣地での守備アクション/相手パス)

目安として「相手の自陣外パス本数」に対する「自チームの守備アクション(タックル・インターセプト・プレッシャー・ファウル)」の比。値が大きいほどボール保持への圧力が高い目安になります(簡易版)。

前進率(自陣→中盤→最終3分の1の到達率)

自陣での保持開始を1カウントとし、最終3分の1に到達した割合を%で。到達までのパス本数や秒数も余白に。

セットプレー生産性(1本あたりのチャンス創出)

セットプレーからの「シュート」「決定機」「得点」を階層化。例:CK10本でシュート4本・決定機2・得点1なら、生産性=0.4/0.2/0.1。

時間軸ログの書き方とハーフタイム要約

15分帯のイベント記録ルール

各帯に3~5行まで。優先は「得点/被得点→決定機→危険ロスト→カード」。書きすぎは見逃しの元。

流れの転換点を可視化する合図(△/★/!)

  • ★=試合を動かした場面(得点/決定機/ビッグセーブ)。
  • !=危険(数的不利の被カウンター、背後)。
  • △=相手/味方の修正が入った合図(配置変更、プレッシングの高さ)。

ハーフタイム用の3行サマリー

  • 良い:狙いどおり/予定外のプラス。
  • 課題:再現性がない/相手の上回り。
  • 行動:今すぐやめる/続ける/始めるを1つずつ。

修正の優先順位付け(効果×実行可能性)

大きく効く×すぐできる=最優先。後半0~5分に反映できるものを選びます。

試合後の振り返りテンプレート

勝因/課題の分解(What-Why-How)

  • What(事実):KPIの数値、時間帯ごとの流れ。
  • Why(要因):配置/相手変化/コンディション。
  • How(次):トレーニング項目へ翻訳。

練習メニューへの落とし込み(翌週の設計)

例:ネガトラ遅れ→5秒間の即時奪回ゲーム、CKのNear強化→ニアゾーンのブロックとセカンド回収の反復。

次戦アクション3点と検証方法

行動と測り方をセットで。例「逆サイド展開3回/前半(チェック欄でカウント)」。

再現したいプレー事例の抜粋メモ

時間と状況だけで後日思い出せるように。「52’ 右→内→外の3人目」など簡潔に。

ジュニア用の簡易版と高校・大人向け拡張

小中学生向け:観点を3つに絞る方法

  • 攻撃=前を向く回数、守備=ボールへ寄る3歩、切替=声の数。
  • 記号は◎/○/△だけ。数より合図づくり。

高校/社会人向け:追加指標と詳細化のコツ

  • ライン間受け回数、逆サイド展開、回収ゾーン分布。
  • セットプレーは配置図ミニスケッチを追加。

学習段階に応じたチェック数の最適化

初級=3項目、中級=5項目、上級=7項目が目安。増やしすぎると観察が粗くなります。

記入のコツと運用ルーチン

2色/3色ペン運用(攻撃/守備/トランジション)

例:緑=攻撃、青=守備、赤=トランジション・主観メモ。色パターンを固定して視認性UP。

観察と記録の分担(複数人での活用)

  • 1人目=時間軸ログ、2人目=KPIカウント、3人目=個人チェック。
  • ハーフタイム前に30秒で要点共有。

試合前/HT/試合後のルーチン化

  • 試合前:狙いとKPIの空欄を準備。
  • HT:3行サマリー→行動1つ。
  • 試合後:What-Why-Howで5分振り返り→撮影→共有。

雨天時やナイターでも読める工夫

  • 太字ペン、耐水紙またはクリアポケット。
  • 文字は大きめ、略号中心、線は太く。

よくある失敗と対策

記録しすぎで見逃す問題(選択と集中)

1本のシートに最大7観点。時間帯ログは5行まで。勇気を持って捨てる。

主観の偏りへの対策(ルーブリック化)

「決定機」「危険」の定義を事前に文字化。迷ったら「?」で保留、後で動画があれば確認。

ボールウォッチングを避ける視点切替

5分に1回、ボールから視線を外し、ライン間・逆サイド・背後をチェックする「アラーム」を自分に設定。

相手分析と自分たちの基準を混同しない

相手の強み弱みは別欄に。自分たちのKPIは固定し、比較可能性を担保します。

チーム共有とアーカイブ

スマホ撮影→共有→議事録化の流れ

  • 試合後に撮ってグループで共有。
  • その日のうちに3行サマリーをテキスト化。

ロッカールーム掲示用の要点抜粋

次の試合までにA5サイズで「攻守の行動3つ」だけ抜き出して掲示。迷いが減ります。

タグ付けと検索性(相手/システム/天候)

シート写真のファイル名に「日付_相手_システム_天候」を入れるだけでも効果的。

継続比較で見える傾向の残し方

KPIの推移表を月1で作ると、改善と停滞が一目でわかります。

無料テンプレートを自作する手順

罫線/グリッドの引き方と余白設計

  • 上段25%:試合情報・狙い・配置。
  • 中段45%:左=KPI、右=SP/個人。
  • 下段30%:時間軸ログと要点メモ。

複写・印刷設定(モノクロ前提)

モノクロで見やすいように線は3段階の太さ。余白の凡例はグレーで薄めに。

耐水性・耐久性の工夫(クリアポケット等)

クリアポケット+ペン先は0.7mm以上。雨天は上からでも書ける油性ペンを1本携帯。

現場で微修正するための余白運用

相手の特殊なセットプレーや配置変更に備え、右下にフリースペースを確保。

略号・記号の例(凡例)

攻守トランジションの記号例

  • ↑=前向き前進、→=横ずれ、×=ロスト、◎=即時回収、△=遅れ、!=被カウンター危険。

チャンスレベル・危険度の表現

  • ☆=得点、★=決定機、◆=枠内、◇=枠外、!=大ピンチ。

セットプレーの略記(In/Out/2nd)

  • CK:L/R、In/Out、Near/Far。2nd=こぼれ回収。
  • FK:D(直接)/I(間接)、C(クロス)/S(シュート)。
  • Throw:Th、Long/Short。
  • PK:PK、S(成功)/M(失敗)。

個人評価の簡易スコアリング

  • +1=狙いの体現、0=可も不可もなし、-1=原則違反。3回で合計点。

ケーススタディ:1試合分の記入例(想定)

事前目標→試合展開→修正点の流れ

目標:①右サイドからの前進3回/前半、②ネガトラ5秒回収3回/前半、③CKからシュート2本。

前半:12’ CK(R/In)→2nd→◆、27’ 右SBロスト→!被決定機、33’ ★2v1外す、41’ ☆左から先制。HT要約:良=左の崩し、課題=右サイド前進不足、行動=右IHの立ち位置を高く。

後半:52’ ★逆サイド展開→決定機、66’ 被CK→失点、78’ CK(L/Out)→Near→☆。最終2-1。

KPIの実測値と要因分析

  • 最終3分の1進入:前半6/後半9(右IHの位置修正が効いた)。
  • 枠内率:5/11=45%。決定機:前半2/後半2。
  • 簡易PPDA比:0.32→0.45(後半の前プレスが増)。

次戦アクションの設定と検証計画

  • 右IHの立ち位置固定の合図(合言葉)を決める→前半の右前進3回を目標。
  • CK Nearの再現2パターン→SP生産性0.5以上を目指す。
  • ネガトラ5秒回収は時間帯ごとに最低1回をカウント。

FAQ

ポゼッションは数えるべき?簡易代替は?

正確な保持率は現場で難しいので、代わりに「前進率」「最終3分の1進入」「ショット数/質」で実効性を見ましょう。

1人で記録しながら観るコツは?

  • 書くのはキーモーメントだけ。KPIはハーフでざっくり集計。
  • 記号化を徹底して1行3~5秒で書ける形に。

何試合分を蓄積すると傾向が見える?

最低5試合。同一相手・同一システムで3試合あると、再現性のある傾向が見えます。

選手として出場時にどう活用する?

親やスタッフに記録を頼むか、ベンチ時に自分の役割欄だけ書く。翌練習で「次戦アクション3点」を個人目標に落とし込みます。

まとめ

サッカーの試合分析は、紙1枚あれば十分に機能します。A4横に「狙い・KPI・時間軸ログ・セットプレー・個人チェック」を収め、記号とルールで迷いなく書く。数はシンプルに、行動へ直結させる。続けるほど、チームの言語が揃い、再現性が上がります。まずは今日の試合から、あなたの現場に合わせた1枚を作ってみてください。必要なのは、ペンと紙、そして継続だけです。

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