目次
- サッカーオフシーズントレーニング計画を科学する90日設計術
- 序章:なぜオフシーズンは“伸び代の季節”なのか
- 設計の土台:オフシーズントレーニングを支える科学原則
- 初日アセスメント:現状把握のための評価バッテリー
- 目標設定とKPI:結果目標を行動目標に落とし込む
- 90日ロードマップ:3つのメソサイクルで積み上げる
- フェーズ1(週1–4)詳細:回復・可動性・基礎の再構築
- フェーズ2(週5–8)詳細:筋力最大化・プライオ導入・加速強化
- フェーズ3(週9–12)詳細:速度・パワー最優先と統合
- 週間テンプレート例:高−低−中−休の波で整える
- 補強トレの核:競技力に直結する種目群
- スプリントメカニクス:速く・安全に走る基礎
- プライオメトリクス設計:量より質で跳ねる
- 持久力・コンディショニングをサッカー化する
- 技術・戦術トレの統合:“走りながら上手くなる”設計
- 怪我予防とリカバリー:故障しない体を作る
- 栄養・水分・サプリメント:成果を最大化する補助線
- メンタル・習慣設計:継続を科学する
- データモニタリング:見える化で賢く伸ばす
- 自宅・公園でできる代替メニュー
- ポジション別アクセント:強みを尖らせる
- よくある失敗と修正:伸びを止める落とし穴
- 90日サンプル:各メソサイクルの数値目安
- 再評価とプレシーズンへの橋渡し
- まとめ:明日から始める最小アクション
サッカーオフシーズントレーニング計画を科学する90日設計術
試合がないオフシーズンは、誤魔化しがきかない“伸び代”と正面から向き合える時間です。本記事では、サッカー選手のためのオフシーズントレーニングを、科学的な原則に基づいて90日間で設計。強く、速く、うまくなるための道筋を、現場で使える言葉と手順に落とし込みました。必要なものは、適切な計画、継続、そしてシンプルな記録だけ。今日から動ける具体案を詰め込みました。
序章:なぜオフシーズンは“伸び代の季節”なのか
試合がない期間にこそ差がつく理由
シーズン中は試合に合わせた調整が中心で、根っこの能力(筋力・可動性・速度・技術の土台)を大きく伸ばす余地が限られます。オフシーズンは「負荷→回復→適応」のサイクルを意図的に回せるため、基礎能力の底上げに最適です。また、痛みや動きのクセを整える時間が確保できるのも利点。結果として、翌シーズンの怪我リスクを下げつつ、プレー強度を1段上げられます。
科学的アプローチの利点と誤解
科学的といっても難しい装置は不要です。原則は「狙いを絞る」「量と強度を管理する」「反応を観察して調整する」こと。誤解されがちなのは、科学=万能ではない点。個人差は必ずあり、データは意思決定を助ける材料にすぎません。大事なのは、ルールに縛られるのではなく、ルールを使いこなすことです。
90日設計術の全体像と成果指標
90日は3つのメソサイクル(4週×3)に区切り、段階的に強度を高めます。成果の指標は、スプリントタイム、ジャンプ高/RSI、Yo-YoやMAS、加速・減速の映像、技術の成功率(例:非利き足パスの成功本数)など。数値と映像をセットで追うと、現実的でブレません。
設計の土台:オフシーズントレーニングを支える科学原則
SAID原則・超回復・漸進性の基本
SAID原則(適応は課した刺激に特異的):速くなりたいならスプリント、当たり負けを減らしたいなら筋力、という具合に狙いを明確化。超回復は「負荷→休養→少し強くなる」の波。漸進性は、週ごとに少しずつ負荷を上げる考え方です。
期分け(マクロ/メソ/マイクロ)と疲労管理
90日=マクロ。4週単位=メソ。1週間=マイクロ。目的をフェーズごとに変え、週内では高・低・中・休の波を作って回復を守ります。
フィットネス−疲労モデルとデロードの必要性
強度を上げるほど疲労も蓄積します。計画的に「軽くする週(デロード)」を入れ、反跳効果を引き出します。
主観的運動強度(RPE)と自動調整
RPE(10段階評価)をセットごと・セッションごとに記録。睡眠不足や筋肉痛が強い日は、RPEベースで重量・距離・本数を微調整します。
急性・慢性負荷の考え方とリスク低減
直近1週の負荷(急性)と過去4〜6週の平均(慢性)のギャップが大きいと怪我リスクが高まりがち。急に頑張りすぎず、慣らしながら上げます。
初日アセスメント:現状把握のための評価バッテリー
体組成・可動性・アライメントのチェック
体重・ウエスト、前屈や股関節内外旋、足首背屈、片脚スクワット動画で膝の向き(ニーイン)を確認。左右差の把握が狙いです。
スピード/加速・減速・方向転換テスト
10m・30mのタイム計測、5−0−5テスト(方向転換)。加速区間のフォームは横から動画で記録。
パワー・ジャンプ(CMJ・RSI)評価
カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)で高さ、ハードルや台を使った反発系で接地の短さ(RSIの代替感覚)を観察。安価なアプリでも十分です。
持久系(MAS・Yo-Yo)測定のやり方
MAS(最大酸素摂取に近い速度の目安)はタイムトライアルで推定。Yo-Yo IR1/IR2はコートで実施可能。どちらか一方でもOK。
技術・スキル診断(ファーストタッチ・非利き足・キック)
壁パス100本の成功数、非利き足での連続パス、ロングキックの再現性、ファーストタッチからの前進成功率をカウント。
ケガ歴・痛みのスクリーニングとリスク要因
ハム・内転筋・膝・足首の既往歴、現在の痛み部位、再発しやすい動き(急停止・着地など)をメモ。予防メニューの優先順位が決まります。
目標設定とKPI:結果目標を行動目標に落とし込む
SMARTゴールと週次アクションの設計
例:30mスプリントを0.15秒短縮(Specific/Measurable)。週2回の加速ドリル+プライオを実施(Achievable/Relevant)。8週後に中間測定(Time-bound)。
ポジション別KPI例(速度・RSA・デュエル等)
FW:初速10m、シュート本数と枠内率。MF:Yo-Yo、前後左右スプリント反復。DF:減速制動距離、空中戦勝率。GK:反応時間、着地安定性など。
KPIから逆算する練習量・強度の配分
初速を伸ばすなら、下肢高強度+加速スプリントを週2で最優先。Yo-Yoを伸ばすならMASベースのインターバルを週2に配置、前後に軽い日を置きます。
90日ロードマップ:3つのメソサイクルで積み上げる
フェーズ1(週1–4):回復と土台づくり
可動性・姿勢再学習、基礎筋力、有酸素ベース、技術のリセット。強度は低〜中、量は中〜やや多め。週4の軽減で整えます。
フェーズ2(週5–8):筋力最大化と出力の器づくり
主要リフトで筋力を押し上げ、プライオと加速の橋渡しを開始。方向転換の基本形も磨きます。週7はデロード。
フェーズ3(週9–12):速度・パワー特化と競技特異性
短い高品質スプリントと高出力プライオを優先。小規模ゲームで技術・戦術と統合。最終週はテーパリングでピークを作ります。
プレシーズン移行:テーパリングとコンディショニング調整
量を減らし強度は維持。チーム練習の内容に合わせて、個人の補強は不足分を埋める程度に調整します。
フェーズ1(週1–4)詳細:回復・可動性・基礎の再構築
週あたりの目的・量・強度(低→中)
週4–5回。RPE6–7目安。フォーム徹底と可動域の確保を最優先。疲れをためない設計にします。
モビリティ/スタビリティと姿勢再学習
足首背屈、股関節内外旋、胸椎回旋。呼吸と骨盤位置のリセット、ニーイン抑制の片脚バランス。1セッション10–15分でOK。
基礎筋力(ヒンジ・スクワット・プッシュ・プル・片脚)
例:ヒップヒンジ、ゴブレットスクワット、プッシュアップ、ロウ、ランジ。8–12回×3セット、丁寧に。
有酸素ベース(テンポ走・MAS導入)
テンポ走15–25分、息が上がりきらない範囲。週1でMAS推定のショートインターバルを軽く導入。
技術リセット(ファーストタッチ・非利き足)
壁パス、方向づけタッチ、非利き足のパス&トラップ各5–10分。毎回少しでも触れることがコツ。
デロード週の設計指針
週4はボリュームを30–40%減。フォーム確認中心に切り替えます。
フェーズ2(週5–8)詳細:筋力最大化・プライオ導入・加速強化
最大筋力と筋肥大の両立(主要リフトとRPE)
スクワット/デッドリフト系、ベンチ/ロウをRPE7–9で3–5回×3–5セット。補助は6–10回でボリューム確保。
エキセントリック(ノルディック・Copenhagen)の活用
ハムと内転筋の怪我予防に有効とされる代表格。週2で少量から。質重視で丁寧に。
プライオメトリクス初中級(接地時間・コンタクト数管理)
ボックスジャンプ、ホッピング、スキップ。1セッション40–80コンタクト目安、疲れたら打ち切り。
加速・減速スプリントとメカニクス修正
10–20m加速、減速は進入スピードを抑えて距離短く。動画で前傾、腕振り、接地位置を確認。
サッカー向けHIIT(シャトル・方向転換・MAS割合)
MASの100–110%で15–30秒走り、同時間レスト×6–10本。週1–2回。方向転換を混ぜ、現実の負荷に寄せます。
週7のデロード:量と強度の落とし方
強度は7–8割、ボリュームは半分程度。プライオとスプリントは本数を削減し、キレを保ちます。
フェーズ3(週9–12)詳細:速度・パワー最優先と統合
速度・パワーを最優先するセッション設計
完全回復で短距離スプリント(10–30m)を高品質で。プライオは反発重視、セット間休息は長めに確保します。
アジリティ:変方向と意思決定の結合
コーチの合図、色・数刺激、対人を使い、リアクション込みの方向転換へ。足元の安定と視線の使い方を意識。
反復スプリント能力(RSA)強化プロトコル
20–30mのスプリントを15–20秒サイクルで6–10本×2–3セット。フォーム崩れたら打ち切り。
ポジション別コンディショニング微調整
FWは初速とフィニッシュ前の心拍高い状態に慣れる設定、MFは方向転換込みの反復、DFは減速&再加速の質を最優先。
小規模ゲームでの技術戦術統合
3v3〜5v5、ピッチサイズや制約(タッチ制限、ゴール条件)で狙いを明確に。運動量と意思決定を同時に鍛えます。
最終週テーパリングとチェックリスト
量を30–50%カット、強度は維持。睡眠・栄養・軽い技術反復で仕上げ。再測定に備えます。
週間テンプレート例:高−低−中−休の波で整える
月:高強度下肢+加速スプリント
主要リフト(下肢)+10–20m加速×6–10本。プライオ軽め。
火:低強度モビリティ+技術反復
可動性・安定性20分、壁パス・ファーストタッチ・非利き足各10分。
水:中強度全身+HIIT/テンポ
全身補強+MASベースのインターバルorテンポ走。RPE7目安。
木:休養(アクティブリカバリー・可動性)
散歩、軽いバイク、呼吸法。睡眠優先。
金:高強度パワー+アジリティ
プライオ(反発系)+反応アジリティ。短くキレよく。
土:技術・戦術統合(小規模ゲーム)
3v3〜5v5、制約つきで狙いを強調。終了後はクールダウン。
日:完全休養とレビュー
週の感じたこと、数値、体調を3分で記録。
補強トレの核:競技力に直結する種目群
ヒンジ(デッドリフト系)と股関節主導
ルーマニアンDL、ヒップスラスト。地面を押す力とスプリントの伸びに直結。
スクワット(前・後・片脚)と深さの管理
ゴブレット、フロント、スプリット。可動域を保ちながら膝と腰を守る深さで。
プッシュ/プル(上半身)と体幹連動
プッシュアップ、ベンチ、ロウ、チンアップ。押す・引くのバランスを取る。
コア(アンチローテーション・アンチエクステンション)
デッドバグ、プランク、パロフプレス。崩れない軸は走りと対人に効きます。
下腿・足部(ふくらはぎ・アキレス・足底)
カーフレイズ(膝伸展/屈曲)、片脚バランス、フットドリル。接地品質の土台。
ハム・内転筋の予防(ノルディック・Copenhagen)
少量高質で継続。違和感があれば即調整。
スプリントメカニクス:速く・安全に走る基礎
姿勢・骨盤角度・地面反力の基本
頭〜かかとが一直線、骨盤は過度に反らさない。地面を強く後方へ押す意識。
Aスキップとリズム・剛性づくり
軽快なリズムで接地短く。週2–3分でも積み重ねが効きます。
ウォールドリルでの初速姿勢
壁に手を置き前傾を作り、膝ドライブと足裏の押し出しを学ぶ。
スタートと前傾角の作り方
最初の3歩で地面を長く強く押す。前方に倒れる勢いを活かす。
タイム計測と進捗モニタリング
10m・30mを定点計測。週1回、同条件で記録すると変化が見えます。
プライオメトリクス設計:量より質で跳ねる
コンタクト数・強度・回復の管理
1回40–120接地範囲。高強度日は少なく、休息長めで品質を死守。
低→中→高の段階的進行
スキップ→ボックスジャンプ→ドロップジャンプのように段階を踏む。
片脚着地・リバウンドのコントロール
片脚着地で膝が内に入らない。静止→反発の切り替えを滑らかに。
メディシンボール投擲で全身連鎖を学ぶ
チェストパス、ローテーションスローで股関節→体幹→上肢の順序を体で覚える。
持久力・コンディショニングをサッカー化する
MASの算出とインターバル設定
タイムトライアル(例:5–6分全力)から推定し、90–120%の範囲で設定。短時間高品質を優先。
Yo-Yo改善プロトコルの活用
週1–2回、段階的に目標距離を更新。方向転換に慣れることが試合で生きます。
テンポ走・シャトル走・階段の使い分け
テンポ=ベース作り、シャトル=競技特異、階段=衝撃低めで心肺&下肢刺激。
小規模ゲームでの代替と制約設計
ルールで運動量をコントロール。連続攻撃可、タッチ制限など工夫します。
技術・戦術トレの統合:“走りながら上手くなる”設計
ファーストタッチと方向づけの徹底
受けた瞬間に次のプレーが決まる角度へ。両足での方向づけをルーティン化。
非利き足強化の反復設計
1日5分でもOK。壁パス、インサイド・アウトサイド交互、ショートロングを混ぜる。
パス&サポートの原則と角度作り
出したら動く、三角形を作る、相手の背中側を取る。小ゲームで意識づけ。
シュート反復とxG的思考の導入
高確率ゾーンでの反復、逆足のワンタッチ、GKの重心を見てコース選択。
1v1守備:遅らせ・角度・間合い
一発で奪いにいかず、内側を切る、踏み込みで勝負。映像で距離感を確認。
怪我予防とリカバリー:故障しない体を作る
FIFA 11+の活用と置き換え案
ウォームアップに採用し、種目は状態に合わせて置き換え。継続が鍵です。
ハム・膝・足首のリスク低減ポイント
ハム=エキセントリック、膝=片脚安定、足首=背屈確保とカーフ強化。段差の降り動作も丁寧に。
睡眠・栄養・ストレスの優先順位
睡眠は最優先の回復戦略。炭水化物とたんぱく質を不足させない。予定を詰め込みすぎない。
ストレッチと可動性の使い分け
動く前は動的、終わりは静的+呼吸。痛みが出る伸ばし方は避ける。
アイス・マッサージ等の知見と注意点
腫れ・炎症のコントロールには有用な場合あり。使いすぎは回復反応を鈍らせることもあるため目的を明確に。
栄養・水分・サプリメント:成果を最大化する補助線
1日のマクロ目安と食事タイミング
たんぱく質は体重×1.6–2.2g目安、炭水化物はトレ量に応じて増減、良質な脂質も適量。起床後・練習後は優先。
トレ前・中・後の補食戦略
前:軽い炭水化物+水分。中:長めなら水分・電解質。後:炭水化物+たんぱく質でリカバリー。
水分・電解質・発汗量の管理
色の濃い尿は要注意。練習前後の体重差で発汗量を把握し、電解質も補う。
鉄・ビタミンDの注意点
疲れやすさや持久力低下が続く時は不足の可能性も。必要なら医療機関で確認。
クレアチン・カフェイン等の使い方と留意事項
クレアチンは出力系の後押しで知られます。カフェインは個人差が大きいので少量から試す。いずれも用量とタイミングを守る。
メンタル・習慣設計:継続を科学する
ルーティン化と習慣トラッカー
時間と場所を固定し、チェックボックスで可視化。小さな継続が最大の武器です。
可視化・セルフトーク・呼吸法
理想動作をイメージ→短い肯定ワード→呼吸で緊張のボリューム調整。実戦で効きます。
学業・仕事との両立と時間設計
「高強度は45–60分で切る」「通学通勤をウォームアップ化」など、生活に溶かす工夫を。
データモニタリング:見える化で賢く伸ばす
sRPE×時間での負荷管理
セッション後にRPE×分数で数値化。週合計を俯瞰し、急な増加を避ける。
安静時心拍・HRV・睡眠ログ
朝の心拍や主観睡眠スコアを簡易記録。低調が続けば負荷を調整。
ジャンプテストでの神経疲労指標
CMJの高さや接地時間の感覚が落ちていれば、パワー系は軽めに切り替え。
急性−慢性負荷比の活用上の注意
比率は目安。体感・痛み・睡眠の情報とセットで判断します。
手元でできる記録テンプレート例
日付/セッション内容/RPE/分数/睡眠/痛み0–10/メモ。この6項目で十分。
自宅・公園でできる代替メニュー
器具なし筋力(自重・ユニラテラル)
片脚スクワット準備、ヒップリフト、プッシュアップ、バックエクステンション、プランク。
狭いスペースのスプリント代替ドリル
高ケイデンスのマーチ&スキップ、チューブ抵抗のもも上げ、短距離の加速姿勢作り。
雨天・オフ日のプランB(循環トレ・可動性)
30–40秒動く+20–30秒休むのサーキットを5–8種目。最後は呼吸でクールダウン。
ポジション別アクセント:強みを尖らせる
FW:初速・フィニッシュ・対人
10m加速+ゴール前反復。背負いの体幹安定と着地→打つの速さを磨く。
MF:反復走力・スキャン・配球速度
シャトルインターバル+スキャン回数の自己カウント。ワンタッチ配球の速度をKPI化。
DF:減速・対人・空中戦
減速制動距離の短縮、身体の向きでコース誘導、ジャンプ&着地の質を最重視。
GK:跳躍・再加速・投擲/キック
反発系プライオ、ダイブ後の再加速、正確なスロー&ロングキックの再現性。
よくある失敗と修正:伸びを止める落とし穴
走り込み偏重で遅くなる問題
長距離ばかりはスピード低下の原因に。短く速くを週2で確保。
痛みの放置とフォーム劣化
痛みは早めに対処。負荷を落としてフォームを守る方が結果的に伸びます。
量を増やし過ぎて質が落ちる
高強度セッションは短く、回復を挟む。欲張らない設計が最短ルート。
上半身・足部の軽視
押す/引くと足部は走力と対人の土台。週2で触れる。
食事・睡眠の軽視と停滞
足らないのは根性でなく回復が多い。まず寝る、食べる。
90日サンプル:各メソサイクルの数値目安
週1–4:ボリューム重視・強度控えめ
筋トレ総セット/週:30–45、スプリント本数/週:10–20(短距離)、プライオ接地/週:60–100、コンディショニング:低〜中。
週5–8:強度高め・ボリューム中庸
筋トレ総セット/週:25–35(高強度)、スプリント:20–30、プライオ:80–120、HIIT:週1–2。週7デロードで−40%。
週9–12:強度最優先・テーパリング
筋トレ:高強度・低ボリューム、スプリント:品質最優先で15–25、プライオ:60–100。最終週は量を−30–50%。
再評価とプレシーズンへの橋渡し
再テストとKPI達成度の確認
初日と同じ条件で再測定。タイム・距離・ジャンプ・技術成功率を比較し、成果を可視化。
強み・弱みの棚卸しと次期計画
伸びた指標は維持戦略へ、伸び悩んだ指標は次期の最優先に再設定。
チーム練習への適応(負荷・役割・連携)
チームの負荷が上がる期間は個人の強度を少し落とし、怪我ゼロでシーズンインを狙います。
まとめ:明日から始める最小アクション
1週間の最小プラン例
月:下肢+10m加速×8、火:可動性20分+壁パス10分、水:全身+テンポ20分、木:休、金:プライオ+アジリティ、土:小ゲーム、日:休+記録。
セルフチェックリスト
睡眠7時間以上/RPE記録/痛み0–10/水分・体重差/技術10分/翌日の元気度。5つ以上OKで合格。
継続を助ける環境づくり
トレ時間を固定、道具は見える場所に、仲間と共有。小さな仕組みが大きな差になります。
