サッカーの試合中、一瞬で相手を抜き去る華麗なフェイント「マルセイユルーレット」。その美しい回転と流れるような身のこなしに憧れて、チャレンジしたいと思う方は多いはずです。しかし、実際にやってみると「難しい」「試合で使えない」と感じることも少なくありません。
この記事では、高校生以上の現役サッカー選手や、これから技術を磨きたい親子に向けて、マルセイユルーレットのやり方を徹底的に解説します。技の歴史やコツ、成功するための練習メニュー、実戦で活きるメンタルまで、具体的&実用的な情報をお届けします。
「いつかあの技をモノにしたい!」と考えている方に、この記事が新たな一歩となれば幸いです。
1. マルセイユルーレットとは?〜技の基本を理解する
1-1. 歴史と由来:なぜ“マルセイユルーレット”と呼ばれるのか
「マルセイユルーレット」とは、ボールを足裏で引きながら半身を回転させるドリブルテクニックのこと。サッカー史に名を刻んだフランス人選手、ジネディーヌ・ジダンによって世界的に有名になりました。
この名前の由来には説があり、「マルセイユ」はフランス南部の都市で、ジダンの出身地です。また「ルーレット」とはフランス語で“回転”を意味します。海外では「ルーレット」、「スピンムーブ」、「ジダンスピン」など様々な呼ばれ方をしますが、日本では「マルセイユルーレット」が一般的です。
1-2. プロサッカー選手も愛用するドリブル技
マルセイユルーレットは、ジダンだけでなく多くのプロ選手が実戦で使ってきた技です。相手DFと接近した状況で素早く方向転換しながら抜け出すことができ、ボールを守りやすいのが強み。
実際に欧州やJリーグの試合映像を見れば、各国のトップ選手がこの回転技をさらりと繰り出している場面がたびたび登場します。それだけ汎用性が高く、相手に読まれにくい武器だと言えます。
1-3. この技が有効なシチュエーションとは
マルセイユルーレットが最も効果を発揮するのは、DFとの距離が近い場面や、相手と身体がぶつかる(コンタクト)直前の状況です。特にサイドライン付近やペナルティエリア内、前を塞がれた時など、一瞬の隙を突いて前方または横へ抜け出す際に非常に有効。
また、体格差で不利な状況やプレッシャーの強い局面でも、ボディバランスが良ければ比較的安全にボールをキープできるため、ジュニア世代から大人まで幅広く活用されています。
2. マルセイユルーレットのやり方【STEP分解&詳細解説】
2-1. 必要な前提スキルと準備
まず、マルセイユルーレットを習得するために押さえておきたい基本スキルが2つあります。
1つめは「足裏トラップ」。ボールを足の裏で柔らかくコントロールできることが最重要ポイントです。
2つめは「重心移動に合わせた体の回転」。普段のステップワークで、身体を横や後ろに素早く動かす感覚とバランスを身につけておきましょう。
また、トレーニングの際はボール・動きやすいウェア・平坦なスペースを確保してください。インドアや公園の芝生など、ケガをしにくい場所が理想です。
2-2. 実践!3ステップで覚えるマルセイユルーレット
それでは実際のやり方をステップで解説します。
STEP1:ボールを足裏で引く
・進行方向と反対側の足裏(例:右利きなら右足)で、ボールを自分の後方へ引き寄せます。
・身体を少し前傾させ、軸足でしっかりバランスを取るのがポイント。
STEP2:体を回しながら逆足に持ち替える
・引き寄せたボールに合わせて、体を180度回転(ほぼ背を向けるイメージ)させます。
・回転の途中、逆の足裏(例:左足)をボールに乗せ、同時にボールを引き続き転がします。
STEP3:回転後、進行方向へボールを押し出す
・回り終えた瞬間、体と一緒に進行方向を変えてボールを押し出します。
・スムーズに蹴り出せると、相手を一気に振り切ることができます。
スローモーションをイメージして、最初は動作とボールタッチを分解して練習するのがコツです。
2-3. ボールタッチのコツと体の使い方
足裏でボールを引くとき、力加減が強すぎるとコントロールが難しくなります。大切なのは「指の下部(つま先より)」でフワッと引きつける感覚。
また、腰と膝を柔らかく使うことで、回転中も安定した姿勢が保てます。上半身のリラックスも意識しましょう。
もしボールが身体から離れてしまう場合は、重心が浮いているか、足裏の使い方が雑になっていることが多いです。
一連の動作がつながると、滑らかな回転になり、相手の目からボールを消すような仕上がりになります。
2-4. 実際の試合で使うためのアドバイス
いきなり試合で使うと失敗することが多いですが、コツは「相手DFの距離」と「自分のスペース」をしっかり把握しておくことです。
DFが自分の間合いに入ってきた瞬間や、追い詰められたタイミングで初めて繰り出します。
一点気をつけたいのは、回転動作中に視野が狭くなりがちなこと。周囲の味方や次の展開にも意識を向け、練習の段階では「首を振りながら」プレーするクセをつけましょう。
「練習では反復、試合では“ここぞ”という場面で!」これが本番で活かすコツです。
3. よくある失敗例とその克服法
3-1. 足元のボールコントロールで起こりがちなミス
習得初期に多いのが、ボールが足元から離れてしまうミスです。
・ボールを引く動作が強すぎて体から離れる
・体の回転にボールがついてこず置き去りになる
これらは、「足裏タッチの強さ」と「回転のタイミング」のズレが原因です。改善には、ゆっくりした動作で1回ごとにボールの動きを確認し、感覚を掴むことが効果的です。
3-2. 相手ディフェンダーに読まれる原因
相手に技を読まれてしまう最大の要因は、動作が大きすぎたり予備動作が明確すぎることです。
・ボールを引く前に身体が浮く
・「今からルーレットします」と伝わる溜めや間が長い
こうしたクセを直すためには、「シンプルでコンパクトな動き」「他のドリブルと組み合わせて使う」ことを意識してみましょう。一つのパターンに固執せず、状況ごとに自然に使い分けるのが理想です。
3-3. 安定した回転動作を身につけるトレーニング
回転時の軸がブレるとバランスを崩しやすくなります。
・片足で立ったままの“だるま回転”練習(ボールなし)
・小さな円を描くように足裏でボールをクルクル回す
こういった基礎動作で、自分の重心の“真ん中”がどこかを知り、体の軸を維持できるようになることが重要です。鏡を使って確認したり、動画撮影してフォームを見直すのもおすすめです。
4. マルセイユルーレット上達のための練習メニュー
4-1. 一人でできる基礎練習方法
まずは一人で反復できる基本メニューから。
・足裏ボール引きのみ:ボールを前後、左右へ引いて足裏のコントロールを鍛えます。
・その場回転ルーレット:移動せずにその場でゆっくり回転、足の位置・ボールの位置を確認しながら繰り返し練習します。
・円を描きながらドリブル:円形に歩きながら一定リズムでマルセイユルーレットを組み込んでみましょう。
焦らず一つひとつ丁寧なフォームづくりを心がけるのが上達の近道です。
4-2. 仲間と取り組む実践的な対人練習
対人(1on1)での練習は実戦に近い感覚が身に付きます。
・DF役との“間合い勝負”:DFとの距離やタイミングに意識を置き、抜くための“間”を体得します。
・サイドラインorゴールライン限定状況:スペースの無い場面で繰り出せるよう、ライン際で狭い局面でのチャレンジも行いましょう。
・制限時間ドリル:5秒間で2回ルーレット発動、など条件を設けて瞬発的な判断力も鍛えます。
仲間からフィードバックをもらうことで、実践的な使い方や改善点を早く知ることができます。
4-3. フィジカル強化と組み合わせる応用トレーニング
走力やバランス感覚を総合的に高めるトレーニングも効果的です。
・ラダードリル+マルセイユルーレット:細かいステップワークと同時にルーレットを繰り返します。
・体幹トレーニング:プランクや片足スクワットなども組み合わせて安定感UPを目指しましょう。
こうした“動きの中での発動”を習慣化すると、試合でも自然に出せるようになります。
5. 成功に導く“メンタル”のポイント
5-1. 試合で自信を持って使うための思考法
練習でいくら完成度を上げても、「失敗したらどうしよう」「味方に怒られたら…」と不安が強いと実戦で発揮できません。
まずは「まず1回やってみよう」「完璧でなくてもチームの可能性を広げる」という前向きな姿勢が大切です。
たとえ失敗しても、技に挑戦すること自体が自分の成長につながる――そんな視点で、試合に臨んでみてください。
5-2. プレッシャー下でも冷静に動ける心の作り方
DFが目の前に迫る試合中は誰でも緊張します。
そんなときは「緊張しても当たり前」「今、自分は成長の場に立っている」と一歩引いて自分を観察するクセをつけましょう。
また、普段の練習で「ルーレットを出す場面」をイメージトレーニングするのも有効。成功・失敗どちらのシーンもしっかり頭の中で再生しておくと、本番で慌てず自分の動きを出しやすくなります。
6. マルセイユルーレットで広がるサッカーの可能性
6-1. 上達がもたらすメリットと楽しさ
マルセイユルーレットを習得すると、単なる“抜くだけの技”以上のメリットがあります。
・身体のバランス感覚や柔軟性が飛躍的に向上する
・自信を持ってボールをキープできる“武器”ができる
・見ている人の印象に残る個性的なプレーヤーになれる
自分だけの“必殺技”を持っていることは、サッカー生活に新しい楽しみを加えてくれるはずです。
6-2. 他のフェイントやドリブルとの組み合わせ例
「マルセイユルーレット」は様々なドリブル技と組み合わせて発展させることができます。
例えば…
・シザースやエラシコを使ってDFの重心をずらし、直後にルーレットで抜け出す
・ボディフェイントから一度バック方向へ引きつけて素早く回転する
・相手ゴール近くで“引き込み”からの“ルーレット→シュートコースの確保”など
このようなバリエーションを持つことで、相手も簡単には対応できなくなります。
6-3. 子どもや初心者にもオススメできる理由
一見難しい技に見えますが、足裏の使い方はとてもシンプルで、コツコツ練習すれば小学生でも十分習得可能です。
・スピードや体格より「丁寧なボールタッチ」が重視されるので、始めやすい
・成功した時の達成感が大きく、サッカーへの自信につながる
・身体の使い方を学ぶことでケガ予防や他技術の上達にも活かせる
こういった理由から、“今できなくても”毎日少しずつチャレンジしてみることをおすすめします。
7. まとめ:自分のスタイルにマルセイユルーレットを取り入れよう
マルセイユルーレットは、ただの派手なフェイントではありません。
足裏技術を磨き、身体操作と勇気を組み合わせて生まれる本格派のドリブルです。
確かな基礎・繰り返しの練習・メンタルトレーニングを積めば、誰でも“自分らしいルーレット”を手にすることができます。
試合で使いこなせるようになれば、新しい景色が見えてきます。
自分のスタイルに合った使い方を見つけて、サッカーの楽しみと可能性をぐっと広げてみてください。
あなたの挑戦がより充実したものになりますように!