サッカーの華麗な足技といえば、やはり「エラシコ」は欠かせません。独特なリズムで相手を翻弄し、一瞬で抜き去るその動きに憧れる選手も多いはず。しかし、見た目が華やかな分、難易度が高いと感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、初心者でも着実にステップアップできる「エラシコ練習方法」と、実戦で使いこなすためのコツ・ポイントを丁寧に解説。基礎トレーニングから応用、セルフチェックの方法、プロ選手の映像の活用まで、高校生以上のサッカー愛好者やお子さんをサポートしたい保護者の方に向けて、役立つ内容を徹底解説します。さぁ、あなたも“抜ける一歩”を手に入れて、プレーの幅を広げてみませんか?
エラシコとは?技の特徴と魅力を解説
エラシコの歴史と由来
エラシコは、ポルトガル語で「輪ゴム」を意味します。その名の通り、輪ゴムのようなしなやかな動きでボールを扱い、相手を抜くフェイント技です。発祥はブラジルで、90年代には多くの名選手が使い始めました。ロナウジーニョ選手などが世界舞台で披露したことで、圧倒的な知名度を誇るようになりました。
エラシコの基本的な動き
エラシコのムーブは、足の外側でボールを外に押し出すフェイントを見せ、そのまま内側(親指側)でボールを逆方向へ一瞬で運ぶという2段階のタッチが核です。このとき、体重移動やタイミングが極めて重要で、見た目以上に繊細なコントロール能力が求められます。
他のフェイントとの違い
エラシコは、シザース(足をまたぐフェイント)やダブルタッチのような明確なステップよりも、一つの流れるような連続動作で相手の逆を取るのが特徴です。一瞬のキレと独特なボールタッチが、他のフェイントとは一線を画す理由です。
エラシコを習得するメリット
相手を抜くための武器になる
エラシコの最大の利点は、少ないタッチかつ短時間で相手の意表を突けることです。読まれにくく、俊敏な相手にも有効な「切り札」になります。下半身の動きが自然なので、ディフェンダーに“次の一歩”を予測させません。
視野と状況判断力の向上
エラシコで相手を抜くには、タイミングや相手の重心を一瞬で見抜く力が必要です。練習を重ねることで、自分の目線やフェイク動作も磨かれ、状況を読む感覚がどんどん高まります。
オフェンス力強化への貢献
ペナルティエリア付近だけでなく、サイドや中盤で使える場面が多いので、攻撃パターンが増えて得点に直結しやすくなります。個人の突破力に加え、仲間のチャンスメイクにも繋がります。
エラシコ習得のための基本練習
エラシコ動作分解:ボールタッチのポイント
まずはエラシコの「外-内」タッチを分解して行いましょう。
1. 軽くボールの横に立ち、片足(例:右足)を使います。
2. 足の外側でボールを体の外(月側)方向へ押し出す意識でタッチ。
3. すぐに同じ足の内側(親指側)で、逆サイドへ一気にボールを動かします。
この“2タッチ”をスムーズにつなげる感覚を反復しましょう。
基礎反復トレーニングメニュー
- 最初は止まったまま、片足だけで「外タッチ→内タッチ」50回×3セット
- 次は歩きながら、ゆっくりしたスピードで同様の動きを繰り返す
- 慣れてきたら、軽いランニング状態でエラシコ動作を10m区間で反復
- 左右交互に練習し、両足での習得を目指す
最初は足の甲、外側・内側の骨や筋肉の使い方を意識しましょう。膝は少し曲げ、力を抜いてリラックスした状態で反復を重ねることが大切です。
フォームチェックとセルフ動画録画の活用法
自分のフォームを客観的に見ることで、変な癖やズレに気付きやすくなります。スマホで横や前、斜め後ろから動画を撮影し、プロ選手の動画と比較するのもおすすめです。
チェックポイント:
- 2タッチの間に膝が浮いていないか
- 体重移動とドリブルのスピード感が途切れていないか
- フェイク後の上半身の動き
- 視線・上体の“キレ”
エラシコが上達する応用トレーニング
動きを加えたエラシコ練習(ステップ/方向転換)
単純な場所での反復が身についたら、エラシコ後にスプリントやクイックターン(例:90度、180度)を加えてみましょう。
・コーン(マーカー)を設置し、エラシコで交わしてから加速する練習
・エラシコ⇒アウトサイドターン、エラシコ⇒クロスオーバーなどアレンジも有効です。
対人練習でのエラシコ
実際の相手を前にして反復練習することが大切です。
-固定パートナーをディフェンダー役にして前方1mでフェイントを繰り返す
-相手の重心を観察し、リアルな圧や間合いの狂いにも慣れる
失敗しても大丈夫。チャレンジを繰り返す中で、自然と“自分らしいエラシコ”が見えてきます。
試合形式練習での活用方法
少人数での4対4や5対5などミニゲーム形式の中でエラシコチャレンジを組み込みましょう。守備の枚数・位置が変化する試合の流れで、「ここぞ!」という場面で使う体験を重ねることで、“決め技”として定着します。
よくある失敗とその克服法
ボールコントロールミスの原因と改善策
よく見られる失敗として「思った方向にボールが転がらない」「タッチが大きくなりすぎる」などがあります。これらは足首が硬かったり、足裏・足指の使い方に慣れていなかったりする場合が多いです。
改善策としては、
・足裏トラップやリフティングで柔軟性を高める
・小さいコーンを目印に、とにかく“距離感”を身体にインプット
が有効です。
身体のバランスを崩す場合の対策
動作の途中で上半身がブレる、バランスを崩してしまう…そんなときは「踵重心」になっていないかチェックを。体重はやや前(つま先寄り)に置き、膝は軽く曲げ、腰が落ちすぎていないフォームを保つことで、安定した軸ができます。
プレッシャー下で失敗しないための練習方法
試合になると焦りや緊張でエラシコが“固く”なりがちです。
-友人に声をかけて、リアクションや圧力をわざと再現してもらう
-自分でカウントダウンしながら即興的に動作を入れる
など、実戦に近い「緊張下」で数多く反復し、心技両面で慣れていきましょう。
実戦でエラシコを使うコツ
使うべきタイミングとエリア
エラシコは相手1人を外すシーンに最適ですが、使うタイミングを間違うとボールロストのリスクも。主にサイドライン際やペナルティエリア付近、相手がディレイ(時間稼ぎ)してくるときなど、「スペースがある瞬間」「相手の重心が片方に寄った瞬間」を狙いましょう。
相手ディフェンダーの特徴別・使い分けのヒント
相手が
-足を出しやすいタイプ→直前でタイミングをズラして“深め”のエラシコが有効
-距離を詰めてこないタイプ→一度距離を取り、スピードで仕掛ける
-敏捷なカバー型→エラシコの“振り”を前段階に大きく入れて逆に抜く
など、状況に応じてエラシコの振り幅やリズムを変えると、より成功率が高まります。
エラシコ後の動き出しと次のプレー選択
エラシコを仕掛けた後、すぐにスピードアップして相手を置き去りにすることが理想ですが、見切られてしまった場合に備えてパスやシュートの準備も重要です。
一瞬の意図切り替えが、あなたのプレーに新たな武器となります。
エラシコを極めるためのセルフトレーニングと日常の工夫
自主トレーニングアイデア
・自宅や学校グランドの片隅で10分だけ“外-内”タッチを反復
・鏡を前にフォームチェック練習
・階段や段差で「ステップワーク+急停止」練習(足の柔軟性や膝のバネ向上に効果的)
イメージトレーニングの取り入れ方
映像を見るだけでなく、頭で「エラシコ→ドリブル→シュート」の流れを何度もシミュレーションしてみましょう。心の中で完璧な動作イメージを描き、反復することで実際の動きも洗練されます。
スキル定着に役立つ習慣
・日ごろから足首や足指のストレッチを行い、ケガ予防としなやかな動作をキープ
・練習後は必ずリカバリー(アイシング、軽いマッサージなど)をルーティン化
・週ごとにチェックポイントを書き留めて、課題を「見える化」する
こうした小さな習慣の積み重ねが、上達への近道です。
有名選手のエラシコ動画・プレー解説と学び方
プロ選手が使うエラシコ:実例紹介
実際にトップレベルの選手が公式戦で仕掛けたエラシコは、スローモーションやリプレイで研究する価値があります。ロナウジーニョ選手やネイマール選手、現代ではビニシウス・ジュニオールなどが印象的なエラシコを披露してきました。彼らのプレーには「予備動作」「目線の使い方」「繊細なタッチ」等、本質的なヒントがたくさん詰まっています。
プレー動画を活用した練習法
YouTube等で好きな選手のエラシコを繰り返し再生。
・一時停止し、タッチの“間”やフェイクの強さなどを観察
・フットサル用の細かいエラシコや、サイドでのダイナミックな型もチェック
・お気に入りのワンシーンを“自分のフォームと比較”
動画視聴→練習→動画視聴…と繰り返すことで、イメージと実際の動きが一致しやすくなります。
真似から自分の武器へ昇華するコツ
プロの動きをそのまま真似るだけでなく、
・自分の身長やスピード感に合う“やりやすい型”にアレンジ
・友人とお互いの動きを見比べて、良い点悪い点を意見交換
することで、「自分流のエラシコ」へと昇華できます。真似は成長の第一歩。失敗を恐れずチャレンジを重ねましょう。
まとめ:継続がエラシコ上達のカギ
練習の積み重ねと成長実感
エラシコは一朝一夕で身につく技ではありません。しかし、反復練習や応用チャレンジ、小さな失敗と気付きの積み重ねが、必ず大きな自信と実力につながります。「昨日より一歩進んだ感覚がある」――そんな小さな成長を味わえるのも、サッカーの魅力のひとつです。
エラシコを活かしてプレースタイルを進化させよう
最初は「難しい」「無理そう」と思うかもしれません。でも、続けていけば必ず「ここ一番」の勝負所で武器になります。あなたのサッカーが、エラシコをきっかけにさらに自由で、創造的なものへと進化することを応援しています。
この記事の内容を日々の練習に取り入れて、ぜひ“自分史上最高のフェイント”を完成させてください。ライバルの意表を突き、観客を唸らせるエラシコを身につけて、サッカーライフをもっと楽しくしていきましょう!