サッカーのリフティングは、最も身近でありながら奥深いトレーニングのひとつです。単にボールを落とさずに足で蹴り続ける…それだけと思われがちですが、その種類や技のバリエーションは想像以上に豊富です。今回は、高校生以上の男性プレーヤーや、サッカーに励むお子さんを持つ保護者のみなさまに向けて、「リフティング 種類」を深掘り。難易度別のトレーニングから実戦での活用法まで、今日から役立つ内容を丁寧かつカジュアルにご紹介します。
リフティングの基礎知識と重要性
リフティングとは何か?
リフティングとは、足や太もも、頭などを使ってサッカーボールを連続してコントロールし、地面に落とさずに何度も蹴り上げる技術です。多くの場合は試合とは関係ない遊びの一面もありますが、実は世界中のプロ選手も日常的に取り入れている基礎トレーニングです。シンプルに見えて、使う体の部位で感覚や難易度が大きく変わるのが特徴です。
リフティングがサッカー上達にもたらす効果
「リフティングができる=サッカーがうまい」と誤解されがちですが、必ずしもイコールではありません。とはいえ、リフティングには以下のようにサッカー上達と密接に関わる多くの効果があります。
- ボールタッチの感覚向上:足裏やインステップ、太ももなど、様々な部位でのタッチ力が向上します。
- バランス感覚UP:片足で蹴り続けることで体幹が鍛えられ、バランス良く動けるようになります。
- 集中力と持続力:落とさないように集中を持続させるトレーニングに最適です。
- 判断力や創造性:ボールの軌道を瞬時に判断し、次のタッチを工夫する創造性も養われます。
継続すれば身体的にも精神的にも成長できるのがリフティングの魅力です。
基本のリフティング種類とそのステップ
インステップリフティング
リフティングの王道とも言える「インステップリフティング」。足の甲(インステップ)でボールを蹴り上げます。ポイントは、つま先を上げて足首をしっかり固定し、ボールの芯をまっすぐ捉えること。最初はスニーカーよりもスパイクやトレーニングシューズを履くと感覚がつかみやすいです。
- 膝を軽く曲げて足をリラックスさせる
- 足首を固定し、地面と平行な角度でボールをミート
- 無理に力を入れず、“トン、トン”とリズムよくタッチ
ボールが変な方向に飛んでしまったら、まず姿勢を見直してみましょう。
インサイドリフティング
足の内側(インサイド)でボールを跳ね上げるリフティング方法。インステップよりもタッチ面積が広いので、ボールコントロールに自信のない初心者でも比較的始めやすいです。
- 両足を肩幅に開き、リラックスした姿勢で始める
- 足の内側でボールの下をしっかり捉える
- 膝を柔らかく使い、小さく弾ませるように蹴る
インサイドリフティングは、パスやコントロールの精度を高める練習としても有効です。
太ももリフティング
ボールを太ももの前面で受け止めるように跳ね上げるリフティング。蹴るというよりも、衝撃を吸収するイメージでボールタッチをします。
- 膝を90度くらいまで持ち上げ、太ももの上でボールを受ける
- 強く弾きすぎないよう、やさしく持ち上げる感覚を意識
- 腰を軽く落としてバランスをとる
トラップ技術が磨かれるので、試合中のコントロール力アップにもつながります。
ヘディングリフティング
額でボールを連続して上げるリフティングです。目線はやや上、バランスを保ち首をすばやく動かすのがコツ。ゴール前の競り合いや、空中戦に慣れる目的でも活用されています。
- 軽く膝を曲げて棒立ちにならない
- 額の中心でボールをとらえる
- 強弱を調整しながら高さを抑えてタッチ
一度に何回もうまくいかなくても、毎日続けることでコツがつかめてきます。
両足リフティングと応用のバリエーション
片足ずつ交互にリフティングする「両足リフティング」は、実践では頻出する動き。これがスムーズになるとボールを自在に操る感覚が身につきます。さらに、「アウトサイドリフティング」「背面リフティング」「足裏リフティング」などの応用技もおすすめ。自分だけのオリジナルのタッチやリズムを見つける楽しさもリフティングの醍醐味です。
難易度別おすすめリフティング技
初心者向け:まず覚えたい簡単なリフティング
リフティング初心者の方や小中学生、またリフティングが苦手な方は、まずはボールに慣れるところから始めましょう。取り組みやすいのは
- ワンバウンドリフティング:ボールを1回地面に落としてから蹴る。このやり方なら連続タッチの練習中でも「ボールに触る回数=上達スピード」につながります。
- インサイド・インステップ混合リフティング:無理に片足で続けず、右足・左足どちらでも良いのでとにかく数回成功させる経験を重ねましょう。
この段階で大切なのはフォームの癖をつけないこと。丁寧なタッチを意識してみてください。
中級者向け:ステップアップのための技
基本ができてきたら、少しずつ難易度を上げた技に挑戦しましょう。
- 足の甲→太もも→頭と順番にタッチを変えるリフティング:部位を変えることでボールへの対応力がグッと広がります。
- アウトサイドリフティング:足の外側(アウトサイド)で蹴り上げると、軸足側へのコントロールやフェイント技術の向上につながります。
- 足裏リフティング:足裏でボールを優しく持ち上げて、空中に浮かせてみましょう。予測しにくいボールタッチが感覚的に身につきます。
成果が数字で現れてくる頃なので、モチベーション維持や自己評価にも最適です。
上級者向け:高度なテクニックと連続技
リフティングの応用編として、上級者には下記のようなテクニカルな技もあります。
- クロスオーバーリフティング:片足を交差させながらボールをすばやくタッチ。リズムと柔軟性が求められます。
- アラウンド・ザ・ワールド:足を回転させてボールを一周させる技。フリースタイルリフティングの代表格ですが、軸足でバランスを保ちながら成功させるのは相当の練習が必要です。
- 背面リフティング:背中の後ろにボールを回して蹴り上げる動作。周辺の空間把握と柔軟な発想がポイントです。
- ノーバウンド連続難度アップ:太もも→足の甲→頭→肩など、複数の部位を連続して使うことで、集中力や身体操作のすべてが試されます。
これらを遊び感覚で習得できると、競技としての自信もぐっと深まります。「自分だけのオリジナル連続技」を目指すのも楽しい挑戦です。
リフティングトレーニングのコツと上達法
フォームを意識した反復練習
どんなリフティングも「綺麗な基本フォーム」が全ての土台です。足首の角度や膝の高さ、上半身のバランス、視線の置き方など細かい部分に気を配りましょう。
- 毎回同じ体の動かし方を意識して「フォームの再現性」を重視
- 集中が切れたら、一旦休むのもOK。疲れたまま続けるより、質の良いトレーニングを少しでも積み重ねる方が上達につながります。
- 上手な人の動画などを見て、自分のフォームと比較してみる習慣も◎
最初は難しいかもしれませんが、小さなフォーム修正の積み重ねが大きな飛躍につながります。
失敗を恐れずにチャレンジし続ける心構え
リフティング練習で避けて通れないのが「失敗」です。一度テレビの前でボールを落としたり、公園で数回しか続かなかったり…誰もが通る道です。「落とすこと=恥ずかしい事、ダメな事」ではありません。むしろ、失敗を重ねるほど修正ポイントが見つかるものと捉えてみてください。
- 回数ではなく、ボールとの向き合い方に成長軸を置いてみよう
- 1日1歩の「昨日よりプラス1」が確実に自信に変わります
- たまに動画で成長記録を残すと「見える成果」として励みになります
できない時間が長いほど、できるようになった時の喜びは大きいものです。
自主練での工夫:目標設定と進捗管理
リフティングが上手な人ほど、練習に「意味」を持たせています。たとえば…
- 最初は「今日は両足で10回」をやり切る
- 「1セット25回・3セットやったら終了」など期間と量を具体的に設定
- 部位ごとの記録表を作り、1週間ごとの伸びを見てみる
目標をシンプルにするほど習慣化しやすく、積み重ねた結果に驚くことも。自分がワクワクできる工夫を盛り込みながら、成長を実感しましょう。
リフティング技術の実戦活用と応用
試合中に活きるリフティングの場面
「リフティングは試合に使わないから必要ない」と思う方もいますが、実戦で役立つ場面は想像以上にあります。
- 高く弾んだボールをワンタッチでコントロール
- 味方への浮き球パス時のタッチミス回避
- 相手DFをワンタッチでかわす“リフティングドリブル”の応用
- 胸トラップ後の落下ボール処理や、頭上のボールをキープする場面
試合中のほんの一瞬、リフティングで培ったボールコントロールが決定的な違いを生むことも珍しくありません。
親子で取り組むリフティングトレーニング
小学生や中学生のお子さんに「リフティングを練習させたいけど、どう関わったら…」と悩む親御さんも多いようです。そんな時は、親子で時間や回数を決めて『ゲーム感覚のリフティングチャレンジ』はいかがでしょう?
- 1人ずつ挑戦して、最高記録を競う
- 親子で交互にパスリフティング(バウンドありもおすすめ)
- 目標達成でご褒美ルールを作る
家庭でのコミュニケーションにもなり、自然とボールに触る時間が増えます。家族内で「できた!」「惜しい!」と声を掛け合えば、楽しくモチベーションアップできます。
よくある質問とリフティング上達のヒント
手が小さい/脚力が弱いと不利?
よく「手が小さいとボールを扱いにくい」「脚力がないとリフティングは難しい」と言われることがありますが、リフティングにおいて必須なのは“正しいタッチ”と“タイミング”です。体格差や筋力差は多少の影響はあれど、リフティングの上達に絶対的な壁にはなりません。むしろ、自分の体格に合わせてフォームや蹴り方を微調整する能力こそ大きな強みになっていきます。
うまくなるために避けるべきNGパターン
リフティング練習でよく見かけるNG例を挙げてみます。
- ボールを見すぎて首や体が固まってしまう
- とにかく強く蹴りすぎ、安定感よりもパワーに依存する
- 失敗した回数ばかり気にして、1つのミスで自信をなくす
- 基礎フォームが崩れているのに回数ばかり増やそうとする
フォームの見直しや、リラックスした状態でのリフティングがとても大切です。「あ、今のはミスした」という時は、立ち止まって振り返る時間を作ることが、遠回りに見えて実は最短ルートです。
まとめ:リフティングを「楽しみながら」伸ばそう
サッカーのリフティングは、シンプルな動作の中に驚くほど多彩な種類や奥深さがあります。練習内容も、初心者から上級者までレベルに応じて変化させられるため、自分に合った目標やステップを自由に設定できる点も魅力。一番大切なのは“楽しい”と思える気持ちを忘れないこと。「今日も昨日より1回多く続いた」「新しい技ができた」「親子で挑戦して笑いあえた」。そんな日々の積み重ねが、サッカーの技術だけでなくメンタルや成長意欲にまで好影響をもたらします。ぜひ、日々の自主練や家族のコミュニケーションの一部として「自分らしいリフティング」を育んでいってください。