サッカーの試合で「相手の意表を突く浮き球のパスが出せたらいいな」と思ったことはありませんか?ループパスは、ディフェンスの頭上をふわっと越え、瞬時に攻撃のリズムを変えることができる技術です。しかし、タイミングやフォーム、力の加減が難しく、うまく蹴るにはコツとトレーニングが必要です。本記事では、ループパス徹底解説として、その定義から実際の蹴り方、練習方法、よくあるミスの克服法まで具体的にご紹介します。「ループパスを自分の武器にしたい」「子どもに浮き球パスを習得させたい」と考えている方、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ループパスとは|その定義とサッカー戦術における役割
サッカーにおけるループパスの特徴
ループパスとは、地面を転がすグラウンダーパスや低い弾道のパスと異なり、ボールに上方向の回転をかけて相手選手の頭上を越すように弧を描くパスです。主に相手DFやプレスの頭上、ラインの裏、あるいは中盤でスペースへと浮き球を送る際に使われます。特徴としては、少し「山なり」のボール軌道になり、ダイレクトや空中での処理が求められるという点があります。シンプルですがゲームを一気に動かすチャンスを生み出す技術です。
ループパスと他のパスとの違い
ループパスは、地面に沿って速く転がすパス(グラウンダー)、スピードのある低い弾道のロングパス、そしてクロスとは異なり、精密なタイミングと浮遊感が魅力です。たとえばグラウンダーパスは味方の足元に正確に素早く届けるのが主な目的ですが、ループパスは相手の守備を一瞬で無効化し、“間”や“裏”のスペースを創出するための手段です。見方によっては、“優雅さ”と“冷静な計算”が同居するパスかもしれません。
現代サッカーでループパスが重視される理由
現代サッカーはプレッシングの強度が増し、足元へのパスだけではパスコースが消されやすい傾向にあります。そこでループパスが重要視されるのは、「高さ」や「スペース」を縦横に活用しながら相手の守備網を外すことができるからです。また、GKを含むビルドアップや、攻撃のスイッチを入れる場面、短い距離でリズムを変えるワンシーンなど、使いどころが広がっています。プロの試合を観ていると、特にボールの“浮き方”や“スピード”に工夫がみられ、技術の奥深さが感じられます。
ループパスが効果的な局面と使用例
プレッシング回避としての活用場面
現代サッカーでは、中盤や最終ラインから強く圧力をかけられる場面が多いです。足元へのパスコースが消され、近い距離で相手に詰められているとき、素早く「相手の頭上を越えて」プレッシングをかわす手段としてループパスが活躍します。たとえば自陣深くでボランチが寄せられた時、サイドバックやウイングの背後へふわっとボールを送ることで局面を打開できます。
ディフェンスラインの背後を狙うシーン
DFラインが高く設定されているチームとの対戦や、味方フォワードが裏へ抜け出そうとするとき、ディフェンスとGKの間のスペースにループパスを使うととても有効です。グラウンダーだとDFの足に引っかかりますが、絶妙な山なりのボールは瞬時にディフェンスの裏を突いて得点機に結びつきます。オフサイドに注意しながら使うのがコツです。
サイドチェンジやリスタートでの活用
セットプレーやスローイン後の展開、またはセンターライン付近で密集を避けるためのサイドチェンジにもループパスは有効です。味方選手がフリーになるスペースへ、相手DFと味方FWの間に浮き球を供給することで、全体の動きを一気に変えるきっかけとなります。「ピッチの幅と高さを自在に使う」ためにも、知っておくだけでなく実戦で使いこなしましょう。
ループパス習得のための基礎技術とポイント
インサイドとインステップの使い分け
ループパスを蹴る際、主に使う足の部位はインサイドとインステップです。インサイドは短い距離でのコントロール重視、インステップは距離を伸ばしたい時に適します。どちらも「ボールの中心よりやや下」を正確にミートすることが重要。足首を固めてリラックスしたフォームで振り抜き、高さをコントロールしましょう。最初は止まったボールで感覚をつかむのがおすすめです。
ボールコントロールと身体の使い方
ループパスで大切なのは、単に“蹴る”だけではなく、「タイミング」と「身体全体のしなやかな使い方」です。膝を柔らかく使い、軸足をしっかり地面につけ、蹴る足がボールをしなやかに持ち上げるイメージを持ちましょう。力任せに蹴るのではなく、スナップを効かせることで“ふわっと”浮かせることができます。視線も大事で、蹴りたい高さと味方の位置を冷静に見定めるクセをつけましょう。
タイミングと視野の重要性
ループパスの成否を分けるのは、技術だけでなく「いつ・どこに・誰へ」という判断です。相手DFの動きやラインの高さ、味方の抜け出しを一瞬で見て、決断・実行に移す観察力が求められます。パスを出す前から広い視野を保つ、ルックアップのクセを徹底しましょう。ボールを持ったらすぐに下を向いてしまうとせっかくのループパスのチャンスを逃してしまいます。
実践!ループパスの蹴り方|基本フォームと蹴り分け
正しいフォームのつくり方
フォーム作りで気をつけたいのは、「蹴る前に身体のバランスを整える」「軸足の位置」「ボールへの足の入れ方」です。蹴り足の振り下ろし始めで少ししゃがむイメージになり、膝を使って自然な振り抜きとバーンと浮かせる感覚を持ちましょう。蹴り足の甲や内側を地面と平行になるように当て、決して無理な力みが入らないようにリラックスしてください。フォームの安定が“再現性の高いループパス”への近道です。
相手との距離別:ショート・ミドル・ロングループパス
- ショートパス(10m以内):主にインサイドを使い、軽くボールを持ち上げるイメージ。軸足はボール横に置き、小さな振り幅でOK。
- ミドルパス(10〜25m):ややパワーを加え、インサイドとインステップの中間を使用。助走をつけ、蹴り足を高めに振り抜くとボールがキレイに浮きます。
- ロングパス(25m以上):インステップでしっかり足を振り、ボールの下側中心をやや斜め下からすくい上げる。軸足はやや後ろに置くことで、より高く・遠くに飛ばせます。
味方との意図を合わせるためのサイン
ループパスは「出し手」と「受け手」のタイミングがズレると、思わぬミスになりがちです。例えば、目線やジェスチャー、事前の声かけ、練習時の合図(腕を上げる、アイコンタクトなど)を意識しましょう。味方の特徴や動き出しの癖も把握し、「どこに・どんなボールを蹴ればいいか」を擦り合わせておくことが大切です。特に壁パスやワンツーリターンなど複数人の動きの中でも役立ちます。
ループパス上達のためのおすすめトレーニングメニュー
ひとりでできる基礎練習
1人でもループパスの感覚は養えます。まず固定された的(マーカーやコーンなど)に向かって、連続して「浮き球で越す」練習をしましょう。マーカーをDFの頭や背丈に見立てて、その「上を」狙います。高さ・距離・スピードを変えて繰り返しましょう。また、壁やゴールポストに当てて跳ね返るボールを浮き球でコントロールする“トラップ”の練習もおすすめです。
2人組・小グループでの実践練習
2人なら、「DF役と受け手役」を分け、DFの頭上を越すパスをお互い出し合いましょう。人数が多ければ、4対2や5対2の“鳥かご”で強制的に相手の間や上を通す条件付きロンドメニューも有効です。実践的な動き出し(抜け出しのタイミング、逆を突く動き)も意識してください。グループトレーニングでは「制限エリア」を作り、その中だけ浮き球が使えるルール練習も効果的です。
トレーニング効果を高めるポイント
・フォームと当てる位置を毎回意識
むやみに回数をこなすのではなく、「なぜ今うまく浮かなかったか」「どこを直すべきだったか」を仲間同士や自分自身で振り返りながら行いましょう。
・ゲーム形式の応用を!
最終的には実戦で使えるループパスへと進化させることが重要です。ミニゲームやポゼッション練習で積極的に狙ってみてください。はじめは失敗しても、狙った意図があれば成長の糧になります。
よくあるミスと改善方法|成功率を高めるコツ
ループパスが浮きすぎる・飛びすぎるとき
「思ったより高く上がりすぎた」「味方の頭を大きく越えてしまった」場合は、蹴る足の入り方や力加減を見直しましょう。足の甲やインサイドの使い方が大きすぎたり、力みすぎるとオーバーキックになります。コツは、ボールの下側ばかりを気にしすぎず、やや中央より下の“面”を意識して蹴ること。フォームの調整や助走の長さにも気を配ると改善が見込めます。
逆に届かない・勢いが足りない場合
「浮かせたいのに手前で落ちる」「距離を伸ばせない」というミスもよくありがちです。原因は、蹴り足が途中で止まったり、身体の体重が乗っていないケース。ボールをすくい上げるだけでなく、腰・膝・足首の連動を意識して押し出すように蹴ることがポイントです。自信がつくまで、ショートレンジで正確なフォーム作りを徹底しましょう。
相手に読まれないためのコツ
ループパスは読まれるとインターセプトされやすい技術。バリエーションを持たせることが大事です。たとえば、
- 眼球フェイントや視線で“浮き球を蹴ると見せて他のパス”を織り交ぜる
- 蹴るモーションをやや小さくする(タイミングのずらし)
- ワンタッチでパス方向を変える
こうした工夫を混ぜることで、パターン化を避けることができます。最終的には「相手の足元を見る」「逆を突く」駆け引き力も重要です。
上級者へ|試合で生きるループパスの応用術
駆け引きの中で使うループパス
上級者ほど相手DFとの読み合い=“駆け引き”がポイントになります。「足元パスを装って浮き球」「わざとボールを止める素振りからループ」など、判断を遅らせて相手の重心をずらす工夫を取り入れてみましょう。また、守備のプレスを一度引きつけてからスペースに浮き球を送ると、味方も走り出しやすくなります。ループパス→ワンツーや、サイドチェンジへのループフィードなども、意図が伝わった時には観客も唸るプレーになります。
スペース認識能力を高めるトレーニング
正確なループパスには、ピッチ上の「空いている場所」を瞬時に察知する能力=スペース認識力が不可欠です。トレーニング例としては、
・ボールなしでピッチ全体を歩き、「どこが空いているか」を常に予測する
・攻守の切り替えで味方・相手の位置を数秒ごとに声に出して伝える
・普段からプロの試合映像で「次にパスが出るのはどこか?」を予測してみる
こうした積み重ねが、“創造的なループパサー”への第一歩です。
プロ選手の映像から学ぶ実践テクニック
日本や海外のプロ選手によるループパスの実例は、非常に参考になります。たとえば、欧州のトップリーグや日本代表戦でのループパス集をYouTubeで観察すると、「足の振り」「体の倒し方」「味方FWとの合わせ方」など至る所にヒントが詰まっています。自分のポジションや役割に近い選手の“ループパスの質”や“使うシーン”を真似てみるのも上達への近道です。ただし、映像の真似だけでなく、練習で実際に何度もチャレンジすることが成長につながります。
まとめ|ループパスを武器に変えるために
継続的な練習の重要性
ループパスの習得には、短期間で一気に上達する“魔法”はありません。一見シンプルな浮き球にも、地味で繰り返しの練習が必要です。しかし、毎日のトレーニングで「自分なりの蹴り方」「理想の高さと距離」をコツコツ追求することで、気づいた時には試合を決める必殺技に育っています。「失敗を恐れず、積極的にチャレンジする」精神もまた、ループパス上達の原動力です。
自分のサッカースタイルに合わせた使いどころ
ループパスは、FWとして裏狙いのパスやワンタッチでの柔らかい展開、中盤ならプレッシング回避や展開力強化、DFやGKにもゲームメイクで必要な技術です。自分がどのポジションで、どんなサッカーをしたいかをイメージしながら磨いていきましょう。万能な技術ですが、状況と味方の強みを見極めて使えば、チームにも自分にも大きな武器となります。
最後までお読みいただきありがとうございます。ループパスは「センス」「技術」「勇気」のすべてを要求される奥深いプレーです。迷ったらぜひ、本記事で説明したポイントを意識しながら、日々のトレーニングから実戦の一歩手前まで繰り返しチャレンジしてみてください。「浮き球が蹴れるようになるとサッカーがもっと楽しくなる!」そんな体験を、ぜひあなた自身で味わってください。