サッカーをしていて「練習ではパスが通るのに、試合になるとうまく味方にボールが繋がらない…」そんな悩みを持つ高校生や大人のプレーヤー、またはお子様の成長を見守る親御さんは多いのではないでしょうか。パスはサッカーの基本であり、試合を左右する大切な技術。しかし「試合で通るパス」には、いくつか押さえるべきコツとポイントがあります。本記事では、実戦でパスが通る選手の特徴から、即効性ある技術練習、状況ごとの応用まで、客観的な事実と筆者自身の体験を交えて徹底解説します。今日から実践できるアクションも最後にまとめていますので、一歩ずつ出来ることから取り組んでみてください。
なぜ試合でパスが通らないのか?
試合と練習の違いを理解しよう
グラウンドで思い通りにパスを回せるのに、いざ試合となると一変して通しづらいと感じる経験は多くの人に共通するもの。まず知っておきたいのは「試合と練習は大きく違う」という事実です。練習では、相手のプレッシャーも限られ、意図した状況を作りやすい。しかし、試合では相手チームが本気でボールを奪いにくるため、判断する時間やスペースが圧倒的に少なくなります。この違いを理解することが、次の対策につながります。
相手ディフェンスの質とプレッシャー
試合では相手ディフェンダーも本気です。ラインの上げ下げやボールホルダーへの寄せ、パスコースの限定など、守備側のプレッシャーは想像以上。たとえば、パスを出す瞬間の「間合い」や、相手の読みが鋭いとワンテンポ遅れただけでカットされることもしばしば。相手守備の質が高くなるほど、パスの質・判断の速さが直接要求されます。
パスミスの主な原因
パスが通らない原因としては、大きく3つ挙げられます。一つ目は「周囲の状況を十分に見ていないこと」。二つ目は「技術的なミス」。三つ目は「味方との意思のズレ」です。特に試合で多いのが、焦りからくる判断の遅れや、無理な体勢で蹴ってしまうこと。これらのミスをどう防ぐかは、次項で深掘りします。
パスが通る選手の共通点
観る力:パスの前にできる準備
パスが上手い選手ほど「ボールを受ける前に全方向を見ている」のが特徴です。これを「首を振る」と表現する指導者も多く、プロの試合を観ていてもサッカーIQの高い選手ほど常に“情報”を集めています。味方だけでなく敵の位置、スペース、相手の出足の早さまで観察することで、最善のパスコースを選びやすくなります。
判断力と決断の早さ
どんなに技術があっても、「出すべきタイミング」「回避すべきリスク」を瞬時に見極める判断力が無ければパスは通りません。例えば、相手が寄せてくる前に通す“速い判断”こそが、パスをカットされるミスを減らします。優れた選手ほど、次の一手を頭に描きながらプレーしています。
ボールコントロールと体の使い方
一度でも足元が乱れれば、相手の寄せる時間を与えてしまいます。ファーストタッチで「パスが出せる体勢」にボールを置くこと、身体の向きを工夫して様々な方向にパスを出せる準備をすることが重要です。これは日々の反復練習がものを言います。
コミュニケーションの重要性
パスは“会話”であり、味方とのコミュニケーションが不可欠です。声や手のサイン、アイコンタクトなど、意思疎通の手段はさまざま。試合中、目線やジェスチャーで「今欲しい」「こっちに動く」という情報を伝え合えるチームは、格段にパス成功率が上がります。
試合で通るパスのための技術的コツ
インサイドパスの正確性を磨く
どのレベルでもパスの基本は「インサイドキック」。足の内側で転がすパスはコントロールがしやすく、細かい調整も可能です。精度を高めるコツは、膝を少し曲げて身体の軸を安定させ、インパクトの瞬間にしっかり軸足を踏み込みます。蹴り足の面は、運びたい方向にしっかり向けましょう。「フォームの確認→精度の追求→意図的にスピードや距離を変える」この3段階を意識した練習が推奨されます。
パスの強弱とタイミング
強いパスほどカットされにくい一方で、受け手が扱えなければ意味がありません。相手との距離や、走り出した味方の速度に合わせて、出すボールの勢いを使い分けましょう。また、“パスを出すタイミング”も極めて重要。味方がフリーになった瞬間を見逃さず、相手DFが寄せてくる前に出せればパスが通る確率は格段に上がります。
ダイレクトパスとワンタッチの使い分け
守備の寄せが早い場面では、ワンタッチのダイレクトパスが有効です。受けてから止めて蹴る時間がない状況でも、足元に意識を集中させすぎず「次の動作」をイメージしながら捌きます。もちろん、状況によっては一度トラップして状況を観察し直す選択も賢明です。状況に応じてダイレクトとキープをしっかり判断しましょう。
逆足を使ってプレーエリアを広げる
“右利きなら右足で”、と決めつけていませんか?現代サッカーでは両足で蹴れる選手の評価が上がっています。反転した際や相手DFをかわす時、逆足で素早くパスを出せると相手の意表も突けます。日々の自主練で逆足パスを意識的に取り入れることで、プレーエリアが一段と広がります。
味方との連携で通すパス
味方の動きを予測する
「今どこに動くか」「どのスペースを狙っているか」味方選手の動きを予測する観察力と想像力は、連携パスの要です。常に“自分が出したいタイミング”ではなく、“味方が受けたい瞬間”まで意識を高める。これだけでタイミングのズレによるミスはグッと減ります。
トライアングルを意識したポジショニング
パス回しの基本は「三角形の関係=トライアングル」に集約されます。縦・横・斜めで三角の位置関係を常に意識すると、複数のパスコースが生まれ、相手が守りにくい状況を作れます。自分がパスを出したら、そのまま立ち止まらずに新しい三角形を作りに動くのが理想です。
ワンツー・壁パスを効果的に使う
「壁」となる味方を使ってディフェンスの間を突破するワンツーパス(いわゆる“壁パス”)は、敵のプレスを一気にかいくぐれる武器。出し手と受け手が意図を共有し、動き出しとパスがシンクロした時の爽快感は格別です。練習から細かく打合せし、試合での使いどころを探りましょう。
パスコースを増やすオフザボールの動き
ボールを持っていない時こそ、「次に自分がパスを受けられる場所」を探し続けましょう。足を止めてしまうとパスコースが限定され、相手に読まれます。スペースに動く、視線や身振りでボールを要求する、マークを外す…チーム全体でこれができると、パス成功率は飛躍的にUPします。
状況別・試合で有効なパス
縦パスを通すタイミング
縦パスは、フィールドを一気に前進させる攻撃の起点。ただし相手のDFラインがしっかり整備されている状況では、縦パスの出しどころが非常にシビアです。味方FWや中盤選手が相手の背後に抜ける一瞬、あるいは相手のラインがずれたタイミングを狙って、素早くボールを入れましょう。欲張って出すのではなく、“通るとき”を見極める冷静さが重要です。
サイドチェンジで展開を変える
相手がボールサイドに人数をかけている時は、思い切ったサイドチェンジが効きます。ボールを大きく逆サイドに送ることで、味方が余裕を持って攻撃に移れることがよくあります。コツは、「浮き球」と「グラウンダー」を使い分け、受け手の足元に正確に届けること。大きい展開ほどミスを恐れずチャレンジする価値ありです。
裏を狙うスルーパスのコツ
相手DFの背後を狙うスルーパスは、得点チャンスを一気に作り出せる“必殺技”的存在です。スルーパス成功のポイントは、味方の動き出しと相手DFの重心が前か後ろかをよく観察すること。スペースにボールを流す場所、タイミング、パスの強さまで計算に入れながら、味方が走り込みやすい“絶妙な場所”に転がす意識を持ちましょう。
リスクとリターンを見極める
「通ればチャンス」「失敗すればピンチになるパス」。この見極めができる選手ほど、監督やコーチから重宝されます。つねにリスクとリターン(=得られる成果と危険性)を比較し、むやみにギャンブル的なパスを選ばない慎重さも試合では武器です。攻撃的なチャレンジも必要ですが、自陣深くでの無理なパスは極力避けましょう。
練習で意識すべきこと
実戦形式のトレーニングのすすめ
パス練習=ひたすら1対1の往復だけになっていませんか?試合の難しさを再現するには、「実戦形式の練習」(例えばミニゲーム・6vs6、相手プレッシャー有りでのパス回し)が圧倒的に有効です。相手DFがいる前提で判断を求め続けることで、実戦感覚が徐々に身についてきます。
パス練習で意識する3つのポイント
1つ目は「蹴る前に必ず周囲を見る(首を振る)」。2つ目は「出す方向と強さを意図的に選択する」。3つ目は「受け手が受けやすい位置に出す」。シンプルなようで、これを毎回徹底して練習する選手は意外に少ないですが、基本動作の質を高めるのが最短ルートです。
ゲーム中のミスを恐れないメンタル
ミスをしない選手はいません。しかし、失敗を恐れて消極的になると本来通るはずのパスも出せなくなります。練習や試合でミスしたときは、「なぜミスになったか」を冷静に観察・分析。ポジティブな声がけや、良いプレーが出たときのフィードバックも、気持ちを前向きに保つために大切です。
まとめ:今日から試せるパス改善アクション
自分のパスを客観的に分析する
まずは自分のパスが「なぜ通ったのか」「なぜカットされたのか」、動画撮影や第三者の意見を活用して、冷静に振り返りましょう。主観だけでは気付けない立ち位置、タイミング、身体の使い方など成長のヒントが必ず見つかります。
プレー後の振り返りと成長のサイクル
トレーニングや試合の後、「1日1つだけ技術テーマを決めて」「成功例・失敗例を書き留める」習慣を作ってみてください。短期的な反省→明日への修正→少しずつ成功体験を積み重ねる流れが、着実なスキルアップを後押しします。
成功体験を積むための工夫
いきなり完璧を目指さず、「今日は逆足でパスを5本成功させる」「1回だけでもダイレクトパスをチャレンジする」など、手が届く目標を設定します。できたら自分を褒め、次はもう1段階上の課題へ。こうした積み上げが、長い目で見て一流選手と“差をつける土台”になります。迷ったらまず「観る・判断する・正確に蹴る」この3つを意識してグラウンドに立ってみましょう。
パスはサッカーの根幹。技術だけでなく、観察力・判断力・仲間との信頼、その全てが掛け合わさって「試合で通るパス」へとつながります。誰もが今から成長できる分野だからこそ、焦らず一歩ずつ、自分の課題と向き合ってみてください。あなたのチャレンジが、明日の大きな一歩として実を結びますように。グラウンドでお互いにレベルアップしていきましょう!