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定期テスト期間の練習、どうする?点を落とさずキレも保つ実践術

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定期テスト期間でもサッカーの「キレ」を落とさず、かつ点数も落とさない。そんな現実的なやり方があります。鍵は「最小有効量で神経を維持し、代謝的疲労を避ける」こと。この記事では、2週間前から当日までの具体的なスケジュール、1回20分で完了する実践セッション、屋内でできる代替案、怪我予防、勉強との両立テクニックまで、すぐ使える形でまとめました。忙しいテスト週を“軽やかに”乗り切るためのガイドとして使ってください。

結論と原則:テスト期間は“最小有効量”でキレを切らさない

学習と競技の優先順位フレーム

テスト週の主目標は「学習の成果を出しつつ、競技の神経的キレを維持する」こと。点を取りにいくのはテスト、維持に徹するのはサッカー。練習の評価軸は“終わったときの軽さ”です。「疲れないのに速く動ける感覚」を残せていれば成功。

  • 必須ライン:学習時間の確保、睡眠の確保、怪我ゼロ
  • 維持ライン:スプリントの出だし感、方向転換の切れ味、ボールタッチの精度
  • 捨てるもの:持久走の量・長時間のゲーム形式・筋肉痛を狙う追い込み

最小有効量(MED)の考え方と安全域

最小有効量(Minimum Effective Dose)は「効果が出る最少の刺激」。テスト週は「効き始めの手前」で十分です。安全域を決めて、わざと余力を残しましょう。

  • 時間の上限:1日20分(週3〜5回)。最短は10分でもOK。
  • 呼吸の上限:息切れ最大でも“会話できる程度”。
  • 翌日感覚:筋肉痛なし、眠気なし、軽快感あり。

神経系は維持し、代謝的疲労は避ける

キレ=神経系(速い動作のオン・オフ・反応)。落ちやすいのは「速く動く回路」。テスト週はこの回路に短時間のスイッチを入れ続けます。一方で乳酸が出るような代謝的疲労は避けます。

  • 短く速く(6〜8秒以内)
  • 完全回復に近い休憩(30〜90秒)
  • 反応・初速・方向転換・精度の4要素を薄く回す

やってはいけない練習の特徴

  • 10分以上続く持久的走り込み
  • 試合形式(2対2以上)での長時間
  • 新しいシューズの試し履きなど“変化が大きいこと”
  • 痛みを我慢する反復(特にハム・ふくらはぎ・すね)

スケジュール設計:テスト2週間前〜当日までのマイクロサイクル

T-14〜T-8日:量を絞って質を整える準備期

テーマは「質へ切り替え」。練習は60→30分へ、局所化。週に2回だけ少量のスプリント刺激を入れ、フォームと反応を整えます。

  • 週3〜4回の技術(各20〜30分):ボールタッチ、キック精度
  • 週2回の短距離刺激:10〜20mの加速×3〜4本(フルレスト)
  • 筋力は維持:自重中心(ノルディック3×3、コペンハーゲン左右2×6など)

T-7〜T-4日:神経刺激の維持に集中

いよいよ勉強がメイン。動きは1回20分でOK。2〜3日に1回の頻度でキレ維持。

  • 反応×加速(6秒以内)+ボールタッチ精度(計20分)
  • 走り込みゼロ、筋肉痛ゼロを徹底

T-3〜T-1日:疲労ゼロの微刺激のみ

試験直前は「スイッチ入れ」だけ。心拍が上がりすぎない範囲で軽く。

  • 10〜15分:反応ドリル+ショートダッシュ2〜3本+ドリブル触球
  • ストレッチ・呼吸で睡眠最優先

試験当日〜最終日:超短時間・超低疲労の維持ルーチン

  • 朝 or 休み時間:目・首のリセット、軽いジャンプ2〜3回、呼吸調整
  • 帰宅後10分:ボールタッチ100〜200回、軽いモビリティ

1回20分で完結する「キレ維持」セッション設計

ウォームアップ6分:関節→リズム→短距離活性

  • 関節3分:足首円運動、股関節サークル、T字バランス
  • リズム2分:スキップ、サイドシャッフル、リズムステップ
  • 短距離活性1分:10m流し×2、3歩ダッシュ×2

加速・減速・方向転換(合計60〜90秒の実働)

  • 10m加速×3(各5〜6秒、休憩45〜60秒)
  • 5m減速→切り返し5m×2(各6〜8秒)
  • 反応スタータ(合図でスタート)×2

ボールタッチ高品質ドリル(触球数×意図)

  • インアウト・V字・ソールロール・ボールピックアップ各30秒×2
  • 1タッチ方向づけ(コーン1つ)左右各30秒×2
  • 合計触球200〜300回を目安に、精度重視

キック・シュートの代替刺激(場所がない時の工夫)

  • 壁当て(中強度)8〜12本:フォームとミート位置だけ確認
  • シャドーキック10本×2:助走・軸足・体の向きの感覚合わせ
  • ミニゴール or ターゲットに“置く”パス 10本

クールダウンとモビリティ4分

  • ふくらはぎ・ハム・内転筋の静的ストレッチ各20〜30秒
  • 呼吸1分:4秒吸う→6秒吐く×5

目的別ミニセッション集(10〜25分)

反応速度・認知負荷ドリル

  • 色 or 数字コールでスタート→5mダッシュ×6
  • 視線→別方向加速(フェイント)×6

スプリント神経刺激(フライング・アクセル)

  • フライング10m(助走5m→10m加速)×3
  • 立ち上がり姿勢からの3歩全力×4

キック精度・レンジ維持

  • 片足立ちフォーム→ミート→フォロースルーの分解×各10回
  • レンジ確認:短中距離のパスターゲット左右各10本

体幹・股関節の安定化(グルート主導)

  • ヒップエクステンション20秒×3
  • モンスターウォーク横10歩×2
  • 片脚ブリッジ10回×2

上半身・肩甲帯でボール保持を支える

  • プッシュアップ8〜12回×2
  • プランク20〜30秒×2
  • 肩甲骨寄せ(バンザイ壁スライド)10回×2

怪我予防の“守備的”筋力トニック

  • ノルディックハム 3×3(補助あり、ゆっくり)
  • コペンハーゲン・アダクション左右2×6(膝寄りサポートで軽め)
  • カーフレイズ12回×2(膝伸ばし/曲げ)

ポジション別アレンジ

FW:初速とフィニッシュ決断

  • 背後抜け10m×3、ターン→シュートの動作分解
  • ワンタッチ方向づけ→キック決断0.5秒以内意識

MF(ボランチ/インサイド):認知・ターン・配球

  • スキャン→ワンタッチ配球(壁/ターゲット)
  • 半身受け→オープンターン→2タッチ配球

SB/CB:対人準備・リカバリー走

  • 後退→サイドステップ→前進の切替5m×6
  • ロングタッチ対応の斜め加速10m×3

WG:レンジスプリントとカットイン

  • タッチライン沿い15m流し×3(8割)
  • 内側カット→ミドルのフォーム確認

GK:フットワークと反応キープ(最小有効量)

  • サイドステップ→前ステップ→キャッチ動作分解
  • 反応キャッチ(近距離ソフトスロー)10本×2

屋内・スペース制限下の代替案

室内ドリブル&コーディネーション

  • ボールマスタリー(インアウト、V字、ソール)各30秒×3
  • 片脚バランス+タップ20回×2

廊下・階段・駐車場の安全な使い方

  • 人通りゼロ・段差/濡れなし・周囲確認の徹底
  • 階段は登りだけを低強度で、下りダッシュはしない

オフフィート有酸素(自転車・縄跳び)

  • 5〜10分の軽いサイクリング or 縄跳び1分×3(間60秒)

ボール禁止日の“非ボール”刺激パッケージ

  • 反応ダッシュ(合図→3歩)×6、スキップ、モビリティ合計10分

怪我リスク管理とコンディショニング

ハムストリング:低容量ノルディックの使い方

  • 週1〜2回、3×3回。フォーム重視、無理に下げない

内転筋:コペンハーゲン・アダクションの段階化

  • 膝寄りサポート→脛→足首へ段階的に。左右差が出たら量を減らす

足首・ふくらはぎ:着地衝撃と可動域管理

  • カーフレイズ、足首円運動、前脛ストレッチ
  • 硬い路面でのダッシュは短く、回数少なめ

シンスプリント対策:路面・量・代替

  • 芝・ゴムチップ優先、アスファルトは避ける
  • 痛み兆候→走りは中止、サイクリング等に切替

RPE・睡眠・主観回復度のモニタリング

  • RPE(主観的きつさ)5/10以下、睡眠7時間以上を目安
  • 朝の重さ・集中力の質を1〜5で自己採点

学習×練習の時間管理

タイムブロッキング(90/20/10の型)

  • 学習90分→軽運動20分→復習10分で1セット

ポモドーロ×アクティブレストで血流維持

  • 25分勉強+5分:首回し、深呼吸、立ち歩き、軽いタッチ

朝・夜どちらで動くべきかの判断基準

  • 朝型:眠気が少なくなる人向け、10〜15分の微刺激
  • 夜型:就寝2時間前まで、心拍が上がりすぎない軽運動

集中切替ルーティン30秒メニュー

  • 吐く6秒×3→目線を遠く→肩をすとんと下ろす→指先をこする

スマホ・ゲームの刺激管理とごほうび設計

  • 勉強セット完了→10分だけOK。時間はタイマー必須

栄養・睡眠・回復の実践

テスト週の食事方針:安定血糖と消化性

  • 主食+たんぱく質+野菜/果物。脂っこいものは控えめ
  • 小腹対策:バナナ、ヨーグルト、オニギリ、ナッツ少量

試験当日の朝食プラン(例)

  • ごはん or トースト+卵 or ツナ+果物+味噌汁/スープ

水分・電解質・カフェインの適切な線引き

  • 水/お茶をこまめに。長時間なら少量の電解質
  • カフェインは控えめに。遅い時間は避けて睡眠優先

睡眠ルーティン:短時間で質を上げる工夫

  • 就寝前30分は画面オフ、ぬるめの風呂、呼吸4-6法

目・脳のリカバリー(視覚休息・呼吸)

  • 20-20-20ルール:20分ごとに20秒、6m先を見る

チーム・家族・学校との調整

コーチに伝えるべき3ポイント(目標・制限・代替)

  • 目標:テスト中は維持優先、疲労は残さない
  • 制限:練習は20分、持久走なし、痛みが出たら中止
  • 代替:個人ドリルと短距離刺激で補う

家族のサポートをお願いする言い方

  • 「この1週間だけ20分の運動時間を作りたい。終わったらすぐ机に戻る」

校則・施設利用の確認とマナー

  • ボール使用可否、時間帯、騒音に注意。ゴミゼロ、挨拶あり

友人とやる“共同ミニセッション”の作り方

  • 役割分担(タイマー係/コール係)、10〜15分で解散

テスト週7日モデルプラン(在宅学習中心の例)

Day1(月):計画と初動の質を作る

  • 学習ブロック作成、夜に20分セッション(加速+タッチ)

Day2(火):反応×ボールタッチ短時間

  • 10〜15分:反応スタータ+触球200回+呼吸

Day3(水):下肢休め+上半身・体幹

  • プッシュアップ、プランク、肩回り、モビリティ計15分

Day4(木):スプリント微刺激+技術精度

  • 10m×3、切り返し×2、壁当て10本、合計20分

Day5(金):負荷最小の流し

  • スキップ、リズム、ボールタッチ100〜150回で10分

Day6(土):試験直前の覚醒ルーチン

  • 朝に反応+3歩ダッシュ、夜はストレッチと呼吸で早寝

Day7(日):最終調整と回復

  • 5〜10分だけ軽く動いて、勉強集中。散歩も可

動画学習・戦術の仕込み(机上でうまくなる)

自分のプレー振り返りテンプレート

  • 良かった3つ/直す1つ/次の1つ(1-3-1法)

相手・リーグ傾向の見方(客観→主観)

  • 客観:配置・スピード差・狙い所→主観:自分の選択

セットプレーの記憶定着法

  • 紙に図解→声出しで手順→目を閉じて再生

メンタルリハーサル:情景×感覚×決断の順

  • 情景(位置)→感覚(触球)→決断(パス/シュート)

よくあるミスと対策

量を減らしすぎて神経が鈍る

  • 対策:1日10分でも反応+初速を入れる

短時間で高強度をやりすぎて疲労が残る

  • 対策:6〜8秒以内、休憩長め、翌朝の軽さをチェック

寝不足をカフェインでごまかす

  • 対策:昼寝15〜20分、就寝前ルーティン徹底

目標が曖昧で“やった感”だけ残る

  • 対策:セッション目標を1行で決めてから開始

フィジカルが落ちた“気がする”錯覚への対応

  • 対策:10m/30mの簡易測定で事実確認。多くは維持できている

チェックリスト(前日・当日・最終日)

前日:準備と微調整

  • 筆記用具・時間割確認、10分だけ軽く動く、早寝

当日:覚醒と安定

  • 朝食、軽いモビリティ、深呼吸。水分を忘れない

最終日:回復とリスタート設計

  • 軽い運動→睡眠→翌週の練習再開プランを決める

Q&A:よくある疑問に実務的に回答

走り込みは必要?どれくらい?

テスト週は基本なしでOK。必要なら流し(70〜80%)10〜15秒×3程度にとどめます。

テスト期間に体力は落ちる?どの指標を守る?

落ちやすいのは「キレの感覚」。守る指標は10m初速、切り返しの精度、睡眠時間。これが保てれば十分。

雨・台風・外出不可のときは?

室内タッチ、反応ドリル、体幹、モビリティで10〜15分。ジャンプやダッシュは控えめに。

受験生はどう最適化する?

頻度を週2〜3回・各10分に圧縮。朝に軽い反応+呼吸、夜はストレッチで睡眠確保を優先。

成果測定とフィードバックループ

10m/30mスプリントの簡易測定

  • スマホタイマーで2本ずつ。目安でOK、記録を残す

反応テスト(光・音・コール)

  • 家族や友人の合図でスタート。主観の速さを1〜5で記録

ボールタッチ数と精度ログの付け方

  • 触球数、成功率、難しかった点を一言メモ

学習進捗の見える化と相乗効果の確認

  • 90/20/10の完了数、眠気、集中度を並べて見る

ケース別対応:部活停止・指定禁止日の過ごし方

完全休養日の価値を最大化する

  • 散歩、ストレッチ、睡眠。あえて何もしない勇気

アクティブリカバリーの安全ライン

  • 心拍がすぐ落ちる強度のみ。会話が普通にできるレベル

罪悪感の扱い方(認知の切替)

  • 「維持が目的。今の最短がベスト」へ言葉を置き換える

再開48時間プラン(戻しすぎ禁止の型)

  • Day1:20分(反応+触球)→Day2:30〜40分(技術+小ゲーム)

まとめ

テスト期間は、練習量を減らすことでむしろ「キレ」を保ちやすくなります。短時間・高品質・低疲労の三拍子を守れば、勉強の集中力も上がり、試験が終わったときにスッと競技へ戻れます。大切なのは「最小有効量で神経をさびさせない」「睡眠と安全を最優先」「事実で進捗を確かめる」の3つ。今日から10〜20分のミニセッションをあなたの1日のリズムに差し込み、点を落とさず、ピッチでも切れ味鋭くいきましょう。

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