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ゴールエリアとは?わかりやすく意味・使い方・見落としがちなルール

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ゴールエリアは試合の勝敗を最も左右する「6ヤード」。でも、意味や使い方、ペナルティエリアとの違い、そして見落としがちなルールまで正確に理解できている人は意外と少ないはず。本記事では、競技規則に基づく客観的な説明と、現場で使える具体戦術・トレーニングをつなぎ合わせて、今日から役立つ知識に変えていきます。

この記事の結論(早わかり)

ゴールエリアの定義と役割を30秒で把握

ゴールエリアはゴール前の6ヤード(約5.5m)四角のスペース。ゴールキックをはじめ、守備側のフリーキックの再開地点、攻撃側の間接FKの位置調整など、再開手順に密接に関わります。エリア内は「特別に守られている場所」ではなく、通常のファウルやオフサイドが適用される点がポイントです。

プレーとルール、戦術の接点を押さえる

2019年の改正でゴールキックは「蹴って明確に動いた瞬間インプレー」に。守備はニア優先、攻撃は3レーン(ニア・中央・ファー)で侵入を整理。セットプレーでは6ヤードでの主導権争いが勝敗の分かれ目になります。

ゴールエリアとは?意味とサイズ

定義:ゴールポスト内側から5.5m、奥行き5.5mの長方形

各ゴール前に描かれる長方形がゴールエリアです。ゴールポストの内側からそれぞれ5.5m(6ヤード)の地点にラインを引き、そこからピッチ内に5.5m伸ばして、最後にゴールラインと平行に結んだエリアを指します。左右対称に1つずつ、計2つ存在します。

呼称の由来:6ヤードボックス=約5.5mのこと

海外中継でよく聞く「6-yard box」はヤード表記の名残。1ヤードは約0.9144mなので、6ヤードはほぼ5.5m。呼び方が違うだけで、意味は同じです。

ラインはエリアに含まれる(境界線の扱い)

競技規則では「ラインはそれが囲むエリアに含まれる」と定められています。つまり、ゴールエリアのライン上はゴールエリア内です。ミリ単位の差で再開位置が変わることもあるため、主審や副審の指示には従いましょう。

ピッチ規格と例外(大会規定での差異)

成人の11人制では5.5mで統一。一方、少年年代や小規模コート(8人制など)では大会要項により縮尺が異なる場合があります。公式戦前に要項・コート図の確認を。

ゴールエリアの役割と使われ方(ルールの観点)

ゴールキックはゴールエリア内のどこからでも再開できる

守備側のゴールキックは、ゴールエリア内の任意地点から再開可能。GKだけでなく、味方のフィールドプレーヤーが蹴ることも認められています。

守備側のFKが自陣ゴールエリア内で与えられた場合の取り扱い

攻撃側の反則で守備側にフリーキックが与えられた場合、直接・間接にかかわらず、ゴールエリア内のどこからでも再開できます。配置の自由度が高いので、ビルドアップの型とセットで準備しておきましょう。

攻撃側の間接FKが相手ゴールエリア内で与えられた場合の位置調整

相手GKの6秒オーバー、危険なプレー、阻止のない妨害などで攻撃側に間接FKが与えられた場合、キック地点は「ゴールエリアライン(6ヤードライン)の、反則地点に最も近い場所」へ移されます。直接FKに相当する守備側の反則はPKになるため、攻撃側がゴールエリア内で直接FKを蹴る場面はありません。

ボールインプレーの条件(2019年以降の再開ルール)

2019年の改正で、ゴールキックや自陣ペナルティエリア内の守備側FKは、ボールが「蹴られて明確に動いた瞬間」にインプレーとなります。ペナルティエリア外に出る必要はありません。対戦相手はボールインプレーになるまでペナルティエリア外にいなければならず、出る時間がなく残ってしまった相手はプレーに関与できません。

ドロップボールや他の再開との関係(関与が薄い場面)

プレーがペナルティエリア内で止まり、特定の反則がない場合は、守備側GKへのドロップボールで再開されます。ゴールエリア固有の手順はなく、ペナルティエリアの規定が優先されます。

ペナルティエリアとの違いと関係

ハンドやPKは“ペナルティエリア”の話(混同しない)

ハンドの適用範囲、PKの判定基準はペナルティエリアに紐づきます。ゴールエリアに入ったからといって特別扱いにはなりません。

バックパスの取り扱いもペナルティエリアに依存

味方からの意図的なキックをGKが手で扱うと反則(間接FK)ですが、これもペナルティエリア内か否かで判定・再開が変わります。ゴールエリアは“位置調整”の対象であって、反則の種類を変えるものではありません。

重なり方を言葉で整理:位置関係と境界線

ゴールエリアはペナルティエリアの内側に存在する“小さな長方形”。両エリアのラインはそれぞれのエリアに含まれます。混同しやすいときは「反則の種類=ペナルティエリア」「再開の位置調整=ゴールエリア」と覚えると整理しやすいです。

実戦で起こる混乱のパターンと解消法

  • 間接FKの位置がゴールエリア内→6ヤードライン上へ調整
  • ゴールキックは外に出なくてOK→相手が中に残っていても関与不可
  • PK相当の反則はDFKでなくPK→「直接FK」の看板に惑わされない

見落としがちなルールと誤解

“ゴールエリア内のGKは無敵”は誤り(通常のファウル適用)

ゴールエリア内でも通常のチャージや押し、ホールディングなどはファウル。GKが手でボールをコントロールしているとき(両手または片手で保持、地面との間に挟む、弾ませる・投げ上げて保持中)はチャレンジ不可ですが、それ以外の状況では正当な競り合いが認められます。

オフサイドはゴールエリアでも通常どおり判定される

ゴールエリア内にいるからといって免除されません。例外は再開方法によるもので、ゴールキック・スローイン・コーナーキックからはオフサイドになりません。

ゴールキックはエリア外に出なくてもインプレー(改正点の再確認)

「蹴って明確に動いた時点」でプレー続行。相手はペナルティエリア外に退く義務があり、残った相手選手はボールに関与できません。

直接FKとPKの関係:守備側ゴールエリア内は実質“間接FK”のみ

守備側の直接FKに相当する反則が自陣ペナルティエリア内(=ゴールエリアを含む)で起きればPK。よって攻撃側に与えられるのは実質的に間接FKのみです。

壁の位置と守備側のゴールライン上の立ち位置の正解

攻撃側の間接FKが守備側のゴールエリア内で与えられると、守備側はゴールライン上(ゴールポスト間)に並ぶ形が基本。通常の9.15mの距離が取れないための特例的な運用です。攻撃側は守備側の“壁”に1m以上近づけない(3人以上の壁の場合)点も忘れずに。

攻撃側の使い方:6ヤードを攻略する具体戦術

ニア・ファー・中央の3レーンで考える侵入ルート

クロス対応は6ヤードの3レーンで設計。ニアは最短到達で一歩目勝負、中央はGKとDFの間に落とす「ゾーン3」、ファーは背後でミスマッチを作る。各レーンに最低1枚ずつ、遅れて入る“トレーラー”を1枚準備すると厚みが出ます。

低いクロス(カットバック)と高いクロスの使い分け基準

  • 低いクロス:GKの重心が前、DFラインが深いときに効果的。ニアで触れば即得点。
  • 高いクロス:相手CBがボールウォッチで背後が空く、またはGKの出足が鈍いときに狙う。

迷ったら「速く、低く、GKとDFの間」を原則に。触れたら入るボールが最優先です。

第2の得点機会:セカンドボールを拾う立ち位置

6ヤードで弾かれた瞬間が最大のチャンス。ペナルティスポット〜6ヤードラインの間に1人、ファーサイド外側に1人、ボックス外の正面に一人の三角形で回収率を上げましょう。

キーパーの視野を遮らない合法的なスクリーン作り

オフサイドポジションの選手がGKの視界や動作に影響すると反則。合法的なスクリーンはボールとGKの間の“線上”ではなく、ゴールポスト側の“点”で競ること。動線が交差するだけで接触せず、進路妨害に当たらない位置取りを徹底します。

“0.5秒の先取り”を生む走り出しと体の向き

クロッサーの助走2歩目でスタート、ニアへ斜めインの角度は約30〜45度。体は常にゴールへ半身で、触る瞬間にアウトステップで面を作る。細部の反復が決定率を押し上げます。

守備側の使い方:6ヤードを守る原則とトレーニング

ニア優先の原則と背後管理(ボール・ゴール・相手の三角形)

6ヤードを守る合言葉は「ニアは命」。最初の一歩でニアを封鎖し、視線はボール→ゴール→相手の順でスキャン。肩越しに相手を感じ、背後のランには腕と体でレーンを閉じます。

クリアの方向と再整列の合図(トランジションの最短化)

ニア側はタッチライン外へ、高さを出す。中央は外側45度へ、ファーは逆サイドの外。クリア直後に「アップ!」のコールでラインを一気に押し上げ、セカンド回収の陣形へ。

GK–DFの声かけルール(コールの言語化)

  • 「キーパー!」=GKが出る。DFはブロックと相手抑え。
  • 「クリア!」=DF優先で弾く。GKは次のセーブ準備。
  • 「時間!」=1タッチ不要。落ち着いて収める。

単語をチームで統一しておくと混戦での迷いが消えます。

体を入れる/入れ替えられないポジショニングのコツ

相手とゴールの間に半身で立ち、手で相手の位置を感じながら視線はボール。ボールの移動中に一歩前で触る“先触り”を習慣化します。

練習ドリル例:クロス対応・混戦処理・セカンド回収

  • ニア封鎖ドリル:サイドから速いボール、DF2枚でニアと中央を分担。
  • 混戦対応:GKのパンチング→即時ラインアップ→セカンド回収の連続。
  • 制限時間守備:6ヤード内3対3+GKで5秒耐える→クリア方向指定。

セットプレーでのゴールエリア活用(CK・FK・ゴールキック)

コーナーキック:6ヤード狙いの5パターン(ニア流し・ファー詰め ほか)

  • ニアフリック:ニアでそらして中央へ。
  • ファーバンド:ファーで競って押し込む。
  • GK前スクリーン:合法的な動線交差でスペース創出。
  • リバース(ショートCK):一度外して角度を作り直す。
  • セカンド設計:ボックス外のシュート待ちを必ず配置。

間接FKが相手ゴールエリア内:リスタート位置と壁配置のセオリー

ボールは6ヤードライン上へ。守備側はゴールライン上でブロック、GKは視界確保と一歩目の準備。攻撃側はダイレクトで触れる位置と“触らせ役”を明確に分けます。

ゴールキックのビルドアップ:相手のプレスを外す初期配置

  • 2CB+GKの三角形を広く、アンカーは背後の窓で受ける。
  • SBが低い位置を取る場合はウイングが内側に絞って数的優位。
  • 相手がマンツーマンならロングのセカンド回収を事前に設計。

ロングスローやセカンドボール設計との組み合わせ

相手陣でのロングスローは6ヤード内の混戦を作る有効手段。逆に自陣では、はね返し後の2本目のボールに備えたクリア方向の共有が生命線です。

GKの立ち位置と意思決定

クロス対応の基準点:出る・待つの判断フレーム

基準は「高さ・速さ・到達点」。ボールがゴールエリア内で落ち、かつ無人のゾーンへ入るなら“出る”。相手と同時到達や逆回転の強いボールは“待つ”。一歩目の方向は迷わないことが最重要です。

キャッチかパンチングか:リスクと確率で決める

接触予測が高い、もしくは逆回転で落ちる軌道ならパンチング優先。キャッチ狙いは確保率が高く、ファストブレイクの起点にもなりますが、落球のリスクを冷静に天秤にかけて選択を。

セットプレー前の“合図”とDFラインの同期

セッターの助走が始まる前に「出る/待つ」を宣言。DFラインはGKのコールに同期して一歩押し上げるか、ゴールラインを固めるかを即断します。

セービング後の次アクション(ファストブレイクの起点)

キャッチ後3秒以内に配球判断。サイドバックの高い位置、ウイングの内側ラン、またはアンカーへの早い縦パスで一気に相手の背中へ。

審判の視点:ファウル基準とマネジメント

GKへのチャレンジの許容範囲(ボール支配の定義)

GKが手でボールをコントロールしている間はチャレンジ不可。片手での保持、地面との間に挟む、弾ませ中・投げ上げ中も含まれます。手から離れた瞬間は通常の競り合いが適用されます。

押さえる・掴む・ブロックの反則境界線

ジャンプ時の腕のロック、進路の連続的な遮断、ユニフォームを引く行為は反則の対象。合法的な身体接触はボールにプレーする意図が明確で、相手の自由を不当に制限しない範囲に限られます。

ゴールエリア周辺で起きる典型事例と判定の着眼点

  • GKへの軽微な接触+得点:接触の質と影響度を精査。
  • 攻撃側のスクリーン:オフサイド位置からの影響有無を確認。
  • セカンドボール時の手押し・ホールディング:ボールから目が離れているか。

VAR介入が生じやすいシーンの特徴

ゴール前の反則(押し・掴み)、GK妨害、ハンドの見落とし、オフサイドによる視界妨害などはVARチェックの対象になりやすい場面です。

年代別・競技規則の補足(ユース・地域差)

少年年代のコートサイズとゴールエリア運用(大会要項の確認)

小学生年代や8人制ではゴールやエリア寸法が異なるケースが一般的。再開の考え方(位置調整やゴールキックの条件)は共通でも、数値は大会要項に従います。

学校・地域でのラインマーキングの注意点

ゴールエリアはペナルティエリアの比率に依存しません。測量の起点は「ゴールポスト内側」。誤った基準で引くと競技規則に合致しなくなるため、設営時は複数人でダブルチェックを。

男女・アマチュア・プロでの実務的な運用差(基準は同一)

判定基準は同一ですが、試合のスピードや接触の強度が違うため、マネジメントの難易度は変化します。どのカテゴリーでも「ルールは同じ、準備の質で差が出る」と捉えるのが良い整理です。

よくある質問(FAQ)

相手ゴールエリア内で間接FKが与えられたらボールはどこに置く?

反則地点に最も近い6ヤードライン上(ゴールエリアライン)に置いて再開します。

ゴールキックを味方が受けてすぐリターンしても良い?

可能です。2019年以降はボールが蹴られて明確に動いた瞬間にインプレー。相手はペナルティエリア外にいなければなりません。

GKが手でボールを押さえている時に触れたら反則?

はい。GKが手でコントロールしている間(保持、弾ませ中、投げ上げ中)はチャレンジ不可です。

ゴールエリアの線上はインかアウト?

イン(エリアに含まれます)。

なぜ“6ヤードボックス”と呼ばれるの?

ヤード表記の名残で、6ヤード=約5.5mだからです。

オフサイドとゴールエリアの関係に例外はある?

ゴールエリアによる例外はありません。オフサイドの例外は再開方法(ゴールキック・スローイン・コーナー)に依存します。

まとめと今日からできる練習

要点チェックリスト(攻守各5項目)

攻撃

  • 6ヤードの3レーンに必ず人を配置できているか
  • クロスは「速く・低く・GKとDFの間」を基準に
  • セカンド回収の三角形を事前に設計
  • 間接FKの再開位置と合図(触らせ役)を共有
  • オフサイドによるGK妨害をしない位置取り

守備

  • ニア優先と背後管理の徹底
  • クリア方向を状況別に統一
  • GK–DFのコール統一(出る/待つ/クリア)
  • 混戦時の身体の向きと先触り
  • ゴールキックの型(ショート/ロング)の即断

個人とチームそれぞれの即効ドリル3選

個人

  • ニアへの斜めイン走:助走2歩目でスタート→ファーストタッチで枠
  • ヘディング面作り:5本中3本は“面を作ってコースへ”を合格基準に
  • セカンド反応:コーチの合図で左右どちらかのボールに即時アタック

チーム

  • CK5パターンの固定化と合図の統一
  • ゴールキックの2択(ショート/ロング)を相手形で選ぶ反復
  • 6ヤード内3対3+GKの守備耐久→カウンタースタート

次の試合で試すべき1つのアクション

クロスが入る前に「ニアへ最速で一人」。これだけで6ヤードの確率は一段上がります。味方の動きが連鎖し、セカンドも生まれます。

あとがき

ゴールエリアは、単なる“線で囲まれた場所”ではなく、再開のルールと勝負所のディテールが濃縮された領域です。正確な理解があれば、攻守の意思決定が速くなり、6ヤードでの一歩目に迷いが消えます。今日の練習から、小さな合図と言葉の統一、そして再開位置の精度にこだわってみてください。得点も失点も、きっと変わります。

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