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サッカーのバックパスルールをわかりやすく:GK反則条件

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バックパスの反則は、知っているつもりでも試合中に迷いやすいテーマです。特にGKが関わると一瞬で危険な間接FK(IFK)を与えてしまい、流れが一変します。本記事では「サッカーのバックパスルールをわかりやすく:GK反則条件」というテーマで、競技規則(IFAB Laws of the Game)に沿って、判定の考え方から実戦での回避術、トレーニング方法までをまとめました。試合で迷わないための基準を、具体例とともに整理していきます。

まずは要点:バックパス反則はこの2つ+関連注意

反則1:味方が足で意図的に蹴ったボールをGKが手で扱う

味方が「足」で「意図的に」蹴ったボールを、GKが自陣ペナルティエリア内で手や腕で触れると反則です。トラップやワンタッチでの収め直しの後でも、最終的に手で触れれば反則の対象になります。

反則2:味方のスローインを直接GKが手で扱う

味方のスローインが他の選手に触れずにGKへ届き、GKが手や腕で扱うと反則です。ワンバウンドしていても「直接」に該当します(誰にも触れていなければ同じ扱い)。

罰則:相手ボールの間接フリーキック(IFK)

どちらの場合も再開は相手チームの間接フリーキック。反則場所は基本的にGKが手で触れた地点です(ゴールエリア内ならゴールエリアライン上の最近点にボールを設置)。

意図と偶発の切り分けが最重要

キーワードは「意図的」。味方が足で「はっきり蹴ろうとした」かどうかが軸であり、意図せず当たったボール(リフレクション)は対象外です。ここを外さなければ大半の判定はブレません。

バックパスとは何か(競技規則の基礎)

「意図的に足で蹴る」の定義と範囲

競技規則の文脈で「kick(蹴る)」は「足でボールをプレーする」ことを指します。足は一般的に足首より下(つま先・甲・インサイド・アウトサイド・かかと等)で、膝・すね・太ももは含みません。「意図的」とは、方向と強弱を選んでプレーしたかどうか。クリアやパスの意思が見えるかがポイントです。

「GKが手で扱う」の意味(手・腕の扱い)

GKの「手で扱う」は手や腕でボールに触れる行為全般です。腕の範囲は肩から脇下のライン(腋窩下端)より下の部分と解釈されます。キャッチ、ボールを地面にバウンドさせる、叩く、支えるといった行為を含みます。

『GKへ向けて』の解釈:場所・相手との競り合いを含む考え方

規則の原文は「ゴールキーパーに意図的に蹴られたボール」と表現します。明確にGKへ戻す意図があると判定されれば対象。たとえば、相手のプレス回避で自軍のGKが回収できるスペースへ意図して蹴った場合も、結果としてGKに向けた戻しと見なされやすいです。一方、前方へのパスミスや意図しない当たり損ねがたまたまGK方向へ流れた場合は原則として対象外です。

反則になる具体条件をかみ砕く

味方が足で意図的に蹴り、GKがキャッチまたは触れる場合

最も多いケースです。DFがインサイドでGKへ戻し、GKがキャッチする行為は典型的な反則。GKが一度足でコントロールしてから拾い上げても「元のプレーが故意のキック」なので反則が消えることはありません。

味方のスローインを直接キャッチした場合

スローインが誰にも触れずにGKへ届き、GKが手で扱えば反則。浮き球でもワンバウンドでも同じです。味方や相手が触れた後にGKがキャッチする分には問題ありません。

規則回避のトリックプレー(胸や頭への持ち替え等)と警告の対象

足でボールを持ち上げて故意に頭・胸・膝に当て、GKが手で扱える形にする「抜け道」的プレーは、規則を回避する故意のトリックと見なされ、当該プレーヤーが反スポーツ的行為で警告(イエローカード)となります。再開は間接FKで、「トリックが行われた地点」から。GKはこの場合、手で触れていても通常は罰せられません。

反則地点の判定とIFKの再開位置

通常のバックパス反則は「GKが手や腕で触れた地点」。ゴールエリア内での反則は、ボールはその地点に最も近いゴールエリアライン上(ゴールラインと平行)へ移動して再開します。トリックプレーは「トリックが実行された地点」が反則地点になります。

反則にならない主なケース

意図せず足に当たった・こぼれた・クリアミスのボール

混戦で足に当たってGK方向へ転がった、急なバウンドで芯を外したクリアがGKの方へ流れたなどは「故意ではない」ためOK。GKは手で扱えます。

足以外(頭・胸・膝等)でのプレーからのキャッチ

味方がヘディングでGKへ戻し、GKがキャッチするのは問題ありません。胸トラップからのヘディング戻しもOK。ただし、前述のように「足で持ち上げてから頭や胸に付け替える」などのトリックはアウトです。

相手が明確にプレーしてからGKが手で扱う場合

味方のキックが相手に「意図的にプレー」され(コントロール、タッチの選択があった)、その後にGKが手で扱うのはOK。相手に当たっただけの単なる「ディフレクション(偶発的接触)」ではリセットされません。

スローインが他の選手に触れてからのキャッチ

味方のスローインが誰かに触れ、その後にGKがキャッチするのはOKです。触れたのが相手でも味方でも構いません。

グレーゾーンと誤解を解消する判定ポイント

膝・太ももは『足』に含まれるのか

含まれません。膝・太もも・すねは「足によるキック」の範囲外。したがって膝での戻しからのGKキャッチは原則OKです(ただしトリック目的の持ち替えは警告対象)。

弱い戻し=自動的にバックパスではない

弱いボールでも、意図してGKへ蹴っていれば反則の条件に当てはまります。逆に弱いこぼれ球でも意図がなければ反則ではありません。強弱ではなく「意思」が鍵です。

プレッシャー下でも『意図』は評価される

強いプレスを受けていても、「GKへ戻して落ち着かせる意思」が読み取れれば故意のキック。プレッシャーは免罪符ではありません。

主審が見る材料:視線・体勢・キック方向・速度・周囲状況

審判は、キッカーの体の向き、視線、振り抜き、ボールの方向・スピード、GKとの相対位置、他の選手の有無などを総合して「意図」を判断します。迷う局面ほど、プレーの文脈が重視されます。

GKの関連反則(間接FK)との違いも押さえる

6秒ルール(ボール保持の制限)

GKはボールを手や腕でコントロールしてから「おおむね6秒以内」に放す必要があります。超過は間接FK。バウンドさせたり片手で押さえている時間も保持に含まれます。

放した後に再び手で触れる場合

GKが手から放したボールを、他の選手に触れずに再び手で触れると間接FK(いわゆるダブルタッチ)。キャッチ→ドリブルで少し運ぶ→すぐ拾い直す、も対象になり得ます。

バックパス反則との併発シーンと整理の仕方

たとえば味方が足で戻したボールをGKが一度足で受け、次に手で拾い上げた場合は「バックパス反則」が適用されます。どの反則が先に成立したかで再開と理由が決まります。

実戦判断と戦術:安全にGKを使うために

合図と共有(声・ジェスチャー・キーワード)

チーム内の合図を明確化しましょう。例:
・「預ける=フィート!(足で)」:GKは手を使わずに繋ぐ前提
・「キャッチOK!」:足以外経由の戻しや相手接触後を想定
・ジェスチャー:手の平を下に振る=ゆっくり、指差し=スペース指定

選択肢整理:蹴る/預ける/外すの優先順位

プレスを正面から受けた時は、まず前進ルート(縦or逆サイド)を探す→無ければGKへ「足で預ける」→それも危険ならタッチラインの外へ。GKへ戻すと決めたら、GKは足での次プレーを準備しておきます。

ピッチ・天候が悪い時のリスク管理

雨や荒れた芝ではバウンドが不規則。戻しは浮きすぎ・弱すぎのリスクが上がります。GKの利き足側へ強め・低めで、角度はゴールから外れる安全エリアへ。合図は早めに。

終盤やリード時に起こりやすい典型シーン

時間を使いたい心理で、無意識にキャッチしたくなる瞬間が増えます。リード時ほど「戻し=足で繋ぐ」原則を徹底。サイドバックの深い位置からの戻しは角度が難しいので要注意。

反則を避けるトレーニングドリル

GKと最終ラインのコールワーク

3〜4人でのロンド形式にGKを組み込み、戻しの合図(ワード)とファーストタッチの方向付けを反復。コーチは「今のはキャッチ可/不可」を即時フィードバックし、意図の基準を共有します。

身体の向きとファーストタッチで外す練習

DFの受け手は半身の角度でオープンに。戻す場合も「GKの利き足へ」「ゴールを外すラインへ」。2タッチ以内でプレッシャーを外す制約をかけ、判断スピードを高めます。

足以外への付け替え(ヘディング・胸)の実戦化

相手の寄せが早いときは、ワンタッチのヘディングでGKへ返してキャッチさせる選択肢も有効。浮き球の質、GKのスタートポジション、相手FWの距離を想定して強度と角度を合わせます。

スローインの再開設計と約束事

自陣深い位置のスローインは、原則「GKへ直接は返さない」。受け手→中盤のサポート→逆サイドの展開という2手3手のテンプレを持ち、GKへ戻すなら一度他の選手を経由することを徹底します。

攻撃側の誘発術:間接FKを狙う守備のかけ方

プレス角度で『意図的なキック』を引き出す

CBの利き足を切り、GK方向しか見えないように寄せると「明確な戻し」の形を作りやすいです。その上でGKの前進ルートをカバーして「キャッチ誘惑」を演出します。

タッチライン・ゴールラインを使った追い込み

サイドでボールを囲い、バックパス以外の選択肢を消す配置に。戻しが弱くなりやすいため、GKのファーストタッチを急かし、ミス誘発やIFK狙いの判断材料にします。

主審へのアピールの適切なタイミングと注意点

アピールは「GKが手で触れた瞬間」に短く。過剰な抗議は逆効果です。相手に触れているか(単なる当たり vs 明確なプレー)は、気持ちではなく事実で主張しましょう。

ペナルティエリア内の間接FKの実務

ボール設置位置とゴールエリア線の特例

守備側のゴールエリア内で攻撃側のIFKとなる場合、ボールは反則地点に最も近いゴールエリアライン上(ゴールラインと平行)に置かれます。これは直接FKでもIFKでも同様の特例です。

壁と守備位置:9.15mの基準と例外

IFKでも基本は9.15mの距離が必要。ただし自陣ゴール近くのIFKでは、守備側はゴールライン上(ゴールポスト間)に立てます。キッカーはボールが動いた瞬間にプレー可能です。

攻撃側のセットプレー定石と変化

IFKは直接ゴールにならないため、短いタッチでワンタッチ目の選手が少し動かし、2人目がシュートという形が定石。壁の脇を通す低いボールや、リターンの変化で時間差を作るのが有効です。

背景知識:ルールの成り立ちと現代GK像

1992年の改正背景と試合テンポの変化

1992年にバックパスルールが導入され、時間稼ぎ防止と試合テンポの向上が狙われました。以後、GKは手だけでなく足元の技術が必須に。現代サッカーのスピードアップに大きく寄与しています。

ルール後に求められるGKスキル(足元・配球)

プレッシャー下でのファーストタッチ、両足のパス精度、角度作りのポジショニングが重要に。DFからの戻しをスイッチにしたサイドチェンジや、縦打ち込みの判断力も差になります。

スイーパーキーパー時代の意思疎通

GKが裏のスペースを管理するほど、DFとの声掛け・視線共有が価値を持ちます。「触る/触らない」「戻す/外す」を一声で合わせられるチームは、リスクなく前進できます。

カテゴリー別の指導ポイント

ユース年代への教え方(合図と言語化)

用語の統一が第一歩。「キャッチ不可」「足で」「一枚経由」など短い言葉で意思決定を支援。トリックの禁止理由(フェアプレー)もセットで教え、判断のモラルを育てます。

アマチュアとプロでのリスク許容の差

技術とフィジカルの差により、許容できる戻しの角度・強度は変わります。アマチュアは基本をシンプルに、プロはビルドアップの型を増やして可変対応を。いずれも「反則しない戻し」を最優先に。

別競技(フットサル等)との規則混同に注意

フットサルはGKへのバックパス制限が別にあります。サッカーと混同して判断を誤らないよう、競技ごとの規則を確認してください。

競技規則の根拠と最新情報の確認

IFAB競技規則(Law 12)該当箇所の読み方

バックパスはLaw 12(ファウルと不正行為)で、GKの間接FKとなる反則として明記されています。用語(deliberately kicked, directly from a throw-in)の意味を正確に捉えるのがコツです。

最新版の反映とローカルルールの扱い

競技規則は毎年更新の可能性があります。大会規程や学年別のローカルルールがある場合もあるため、参加大会の要項と最新のLaws of the Gameを必ず確認しましょう。

信頼できる情報源リストとアップデート習慣

公式の競技規則(IFAB公開資料)、各協会の通達、審判講習会資料は信頼性が高い情報源です。シーズン前に更新点をチェックする習慣をつけると安心です。

Q&A:現場でよくある疑問に短く答える

相手に軽く当たった後はOK?(プレーと単なる接触)

相手が「意図して」プレーすればOK。単なる当たり(ディフレクション)ならNGのままです。

味方の意図はどこで判断される?

体の向き、視線、助走、ボールの方向・強さ、周囲の選択肢などを総合評価。明確に「戻す意思」があれば故意と見なされます。

GKが一度足で受けてから手で触るのは?

元のプレーが「味方の足による故意のキック」なら、足で受けても後で手で触れば反則です。

ゴールキック・フリーキックをGKが受ける時の注意点

味方が蹴ったボールをGKが手で扱うと、故意のキックに当たるため反則になり得ます(スローイン直後の扱いも同様)。GK自身が行ったゴールキックやFKのボールを、他の選手に触れる前に手で触るのもNG(ダブルタッチ)。

まとめ

バックパスの反則は、実はシンプルに「故意に足で蹴られたボール/味方のスローインを直接受けたボールを、GKが手で扱うとNG」という2本柱です。判断の肝は「意図」。偶発か、はっきり戻したのか。ここをチームで共通理解し、合図・配置・技術の3点を磨けば、IFKを与えるリスクは大きく減らせます。GKと最終ラインの意思疎通を日常化し、試合では“キャッチしていいボール”と“足で処理するボール”を迷わず仕分けること。ルールを正しく味方につけたチームは、守備でも攻撃でも一歩先に進めます。

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