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サッカー審判のサインの意味と旗の動きの理由

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サッカー審判のサインの意味と旗の動きの理由

サッカー審判のサインの意味と旗の動きの理由

審判のサインは、試合中に起きていることを「一瞬」で伝えるための共通言語です。合図が読めると、抗議の時間が減り、次の一手に移るスピードが上がります。この記事では、主審の手のサイン、副審(アシスタントレフェリー)の旗、オフサイドの旗の上げ方、ホイッスルとの合わせ技、VARの合図まで、プレーに直結するポイントだけを整理してお届けします。図や画像は使わず、実戦でそのまま活きる言葉でまとめました。

なぜ「サッカー審判のサインの意味と旗の動きの理由」を理解すべきか

サインは試合の共通言語:選手・指導者・観客の意思疎通を速く正確にする

サッカーは進行が止まりにくいスポーツです。だからこそ審判は、腕や旗、ホイッスルの音で、瞬時に情報を共有します。サインの意味を知っている選手は、審判の意図を先に受け取り、数秒早く動けます。これは1試合通すと、何回も小さなアドバンテージになります。

抗議や無駄なファウルを減らし、プレー機会を最大化する

合図が読めないと「いま何の反則?」と疑問が残り、集中が切れます。サインを理解していれば、判定理由に納得がいかなくても、次のプレーへスムーズに移れるため、ボールに触れる機会が増えます。結果として自分もチームも助かります。

意思決定の先読み:サインを読むことで次の一手が速くなる

たとえば主審が腕を上げ続けていれば「間接FK」。副審が旗を持ち替えた瞬間に「スローイン方向」がわかる。こうした“先読み”は守備のポジショニング、攻撃の走り出しに直結します。審判のサインは“敵”ではなく“味方のナビ”として使いましょう。

公式シグナルの基礎知識

IFAB競技規則と実務ガイドラインの位置づけ

審判のサインは、IFAB(国際サッカー評議会)の「サッカー競技規則」と、その運用を補う実務ガイドラインに基づきます。世界共通の原則があり、どの大会でも大枠は同じです。細かな運用は大会要項やレフェリングカンファレンスの通達で補強されます。

音(ホイッスル)・視覚(手・旗)・口頭の組み合わせ

判定は「音」「視覚」「口頭」を組み合わせて伝えます。ホイッスルは中断と再開の合図、手のサインは種類と方向の明示、旗は遠距離でも目立つ視覚信号。口頭は近距離の補足に使われます。これらが一貫すると、選手の迷いは最小化されます。

大会・カテゴリーによる運用差と共通原則

ユースやアマチュアでは、コミュニケーション機器の有無、第四の審判の有無など差が出ます。それでも「主審が最終決定者」「サインはシンプルに明確に」という原則は変わりません。

主審の手のサイン:意味と意図

スローイン:腕で方向を明確に示す理由

主審はスローインの方向を、肩の高さ付近で腕を伸ばして指し示します。迷いのない角度で示すことで、不必要な持ち替えや異議を防ぎ、再開を早めます。副審の旗と一致しているかを無意識に確認する癖をつけると、速攻の初動が早まります。

ゴールキックとコーナーキック:判定の基準と指し方

ボールがゴールラインを越えた時、最後に触ったのが攻撃側ならゴールキック、守備側ならコーナーキック。主審はゴールキックならゴールエリア側を、コーナーならコーナーアークを、手で明確に示します。副審は旗で同様に方向を示し、主審の視界に入れて整合を取ります。

直接・間接フリーキック:間接FKは腕を上げ続ける根拠

直接FKは腕のサインなし。間接FKは、主審が腕を頭上に上げて保持します。これは「このままでは直接得点できません」という合図で、ボールが他の選手に触れるか、プレーが切れるまで維持します。キッカーと味方は、この腕が下がる前にシュートを直接狙っても得点にはなりません。

アドバンテージ(プレーオン):流す判断と安全管理

ファウルがあっても、被害側が有利にプレーできるなら、主審は両腕を前方へ広げて「プレーオン」。数秒内に有利が消えたら戻して元の反則で再開します。荒れそうな試合では、無理に流さず安全を優先する傾向があります。合図が出た瞬間に「続ける」スイッチに切り替えましょう。

ペナルティキック:指し示す先と再開管理

ペナルティエリア内の直接FKファウル等があれば、主審はペナルティマークを力強く指します。必要なカードは原則として再開前に示し、ゴールキーパーの位置、侵入、キッカーのフェイント等を管理します。笛がなければ蹴らないのが基本です。

ドロップボール:再開の手順と周囲の距離確保

偶発的な接触や外的要因で止まった場合はドロップボール。ボールが地面に触れた瞬間にインプレーです。ペナルティエリア内で止まったなら守備側GKにドロップ、その他は最後にボールに触れたチームの1人にドロップし、他の選手は4m以上離れます。主審は手で位置を示し、周囲の距離を声と手で確保します。

再開を待たせる合図(笛が必要なリスタート)

以下は笛が必要です。主審が手で「待て」を示し、整ったら笛で再開します。

  • キックオフ
  • ペナルティキック
  • 警告・退場、負傷、交代等で一度中断した後の再開
  • フリーキックで主審が壁の距離を管理する場合(セレモニアル)

警告・退場のシグナル

イエローカード(警告):対象の特定と記録

主審はプレーを止め、対象選手を視覚的に特定し、カードを胸の高さで明示します。背番号の記録、タイミング、理由の整理を素早く行い、再開方法を明確にします。味方は割り込まず距離を取り、次の再開に備えるのが得策です。

レッドカード(退場):手順と安全の確保

レッドカードは試合の安全管理が最優先。主審は状況を落ち着かせ、対象を明確にし、必要なら他の審判と情報を合わせてから提示します。チーム側は感情的にならず、代わりの役割分担を即座に再編しましょう。

アドバンテージ後の懲戒処置の伝え方

アドバンテージを適用しても、のちほどプレーが切れた時点でカードを提示することがあります。主審は合図で「後で対処する」意思を示す場合があるため、プレー後に呼び止められたら落ち着いて対応を。

副審(アシスタントレフェリー)の旗の意味

対角線システムと副審の基本任務

主審と副審2名は「対角線システム」でエリアを分担します。副審の主な任務は、ボールが出たか、スローイン方向、オフサイド、目の前のファウルの補助、交代の手続きなど。旗は遠目でも識別できるため、主審が見逃した情報を補います。

スローイン方向の旗:持ち替えと角度の使い分け

副審は旗を攻撃方向の手に持ち替え、斜めに明快に示します。持ち替えの速さと角度の明瞭さが、選手の初動を左右します。迷ったときは主審とアイコンタクトし、矛盾を避けます。

ゴールキック/コーナーキックの補助

ゴールラインを越えた際、副審は旗でコーナーアークを指す、またはゴールエリア方向を指して主審をサポートします。ゴール判定では、ゴールラインを完全に越えたか(ボール全体)を最優先に確認します。

ファウル・ハンドの補助:旗で主審の注意を引く手順

主審の死角で起きた明確な反則は、旗を強く振って注意喚起し(必要なら振幅を大きく)、主審の笛に合わせて旗を固定して方向を示します。選手は旗が揺れたこと自体で「今は主審と副審が確認中だ」と理解し、プレーが止まるまでは続けましょう。

交代手続き支援と第4の審判との連携

副審はタッチライン中央付近で交代希望を確認し、主審に合図。第4の審判がいる試合では、装具チェック、ボード表示、出入順の管理を第4の審判が行い、副審はオフサイドラインから離れすぎないよう配慮します。

オフサイドの旗:上げ方・位置・タイミングの理由

ウェイト・アンド・シー(遅延判定)の考え方

副審は「攻撃側にオフサイド位置の選手がいても、反則になるかは別」という考えで、実際に関与(干渉)が起きるまで旗を遅らせます。守備がボールをプレーできる可能性があれば待ち、明確に干渉があった瞬間に旗を上げます。これが攻撃の継続性と正確性の両立につながります。

近・中・遠の3段階旗位置で場所を伝える

オフサイドを示すとき、副審は旗の高さで位置を伝えます。

  • 近い側(副審寄りのエリア):旗を斜め下(約45°下)
  • 中央エリア:旗を水平
  • 遠い側(反対側タッチライン寄り):旗を斜め上(約45°上)

これで主審はフリーキックの大まかな位置を素早く把握できます。

干渉の要件(プレー・相手への干渉・優位性)

反則になるのは、オフサイド位置の選手が「ボールをプレーする/相手を妨げる/リバウンド等で優位を得る」場合。相手の明確な「意図的なプレー」があればオフサイドはリセットされますが、「セーブ(ゴール防止のプレー)」は別扱いでリセットされません。細部は状況判断なので、旗が遅れても驚かないでください。

守備側のプレー可能性と攻撃の継続性を守る意図

早すぎる旗は、守備のチャンスも攻撃のチャンスも奪います。遅延旗は、正確さを優先して“プレーを壊さない”ための工夫です。選手は旗が上がるまで集中を切らさないことが重要です。

旗の動きと角度に隠れた理屈

視認性の最大化:スタンド・ベンチ・主審の視線を意識

旗は高く、体から離して、背景と重ならない角度で見せます。これは主審だけでなくスタンドやベンチにも情報を届かせ、余計な混乱を防ぐためです。

最小限で明確に:余計な動きを避ける理由

必要以上に振ると、誤解や感情的な反応を招きます。最小限で、でもキレ良く。これは選手のジェスチャーにも通じる「伝わる動き」の原則です。

旗を振る/静止する:注意喚起と確定の違い

強く振るのは主審の注意を引くため。判定が確定したら、旗は静止して方向を示します。選手は「揺れている=まだ呼び込んでいる途中」と理解し、笛が鳴るまでプレーを止めないこと。

ライン・オブ・サイト(見通し)の確保

副審は常に主審と視線を結べる位置を取り、旗が隠れないようにします。選手も再開直前は審判の見える場所に立つと、合図を取りこぼしにくくなります。

ホイッスルと手・旗の合わせ技

笛の長さ・回数で強度を変える意図

軽微な反則は短く一回、危険な反則や退場級は長く強く、複数回。音の強度で「重大さ」と「緊急度」を伝えています。音が強いほど、周囲の安全確保が優先だと受け取りましょう。

主審の笛が優先:副審の旗との整合

副審が旗を上げても、主審が笛を吹くまではプレーは続きます。最終決定は主審。旗と笛が一致した瞬間に行動を切り替えるのがポイントです。

素早いリスタートと『待て』のコントロール

ファストリスタートは有効ですが、主審が壁を管理する意図を見せたら待つべきです。手で「待て」を示されているのに蹴るとやり直しや警告の対象になり得ます。

第4の審判とボードの表示

交代の表示:出入順と選手確認

第4の審判は交代ボードで「OUT/IN」を表示し、番号と順序を明示します。交代選手はハーフウェーライン付近で主審の許可を得て入場します。装具に問題があれば、この段階で止まります。

追加時間の掲示:誰に向けて何を伝えるか

後半や前半の終盤に掲げる追加時間ボードは、最低限の追加分を示します。選手は「最低○分」と理解し、笛が鳴るまでプレーに集中しましょう。

技術エリア管理とコミュニケーションの橋渡し

第4の審判はベンチと審判団の間をつなぎ、感情のエスカレートを防ぎます。冷静なやり取りが、結果的に自チームの利益にもなります。

テクノロジー時代のシグナル:VARとゴールラインテクノロジー

VARのジェスチャー(モニターレビューの合図)

主審が手で四角形(テレビ画面)を描く仕草は「映像によるレビュー」を示します。これは得点、PK、レッドカード直接適用、選手間違いに関わる重大事象が対象です。

オン・フィールド・レビューと最終決定の示し方

ピッチ脇のモニターで確認した後、主審は再び四角形を描き、最終決定のサイン(ゴール、PK、カード、再開方法)を明確に示します。合図が出るまで感情をコントロールし、再開の準備を静かに整えましょう。

GLTの通知と主審のゴールシグナル(センターサークル指示)

ゴールラインテクノロジー(GLT)は、ボール全体がゴールラインを完全に越えたかを主審のデバイスに即時通知します。主審は得点を示し、センターサークル方向を指してキックオフ再開を明示します。

審判団の通信機器:旗・声・無線の役割分担

近年は無線での常時通話が一般的になっています。無線で整合を取りつつ、最終的には旗と手、笛で全員に伝える。プレーに関わるのは“見える合図”だと覚えておくと良いです。

選手がサインを戦術に活かす方法

間接FKの腕上げを見逃さない:キッカーと走り込みの工夫

主審の腕が上がっている間は直接得点不可。キッカーはワンタッチで味方に当ててからの素早いミドル、走り込みはオフセットの角度を作るなど、「二人目の一撃」を設計しましょう。守備は腕が上がっている間、壁の飛び出しを遅らせず詰めるのが有効です。

アドバンテージ下の判断:リスクとリターンの見極め

プレーオンの合図が来たら、ファウルを求めるよりも“今の数秒を取りにいく”。パス1本、ドリブル2歩、シュート1本。これで相手の戻りを上回れます。無理なら安全に預けて、遡及を期待しない割り切りも重要です。

オフサイドの『遅延』を読む:走る/止まるの判断軸

旗が遅れる前提で、オンサイドの味方が触れる可能性があるなら最後まで走る価値があります。自分がオフサイド位置なら、相手のプレーを妨げない“関与しない”動き方(ボールや相手から離れる、視線を切る)で反則を回避できます。

再開の初動を速くする視線配分(審判→ボール→相手)

判定直後はまず審判のサイン確認、次にボール位置、最後に相手の並び。たった1秒の順番の違いが、クイックリスタートとカウンター阻止を分けます。

指導者・親が知っておきたい観戦と声かけ

旗が上がっても笛が鳴るまでプレーを止めない理由

最終決定者は主審。副審の旗は重要な情報ですが、主審の笛が鳴るまでは続行が原則です。早止めは失点の原因にもなります。

VAR待ち・副審待ちの時間に過度に煽らない

レビュー中は、選手が集中を保てる声かけを。感情的な言葉は判断を狂わせます。次の再開に向けた整理(マーク、キッカー、セカンドボール担当)を促す方が効果的です。

子どもへの声かけ:サインを見て自分で判断する習慣

「笛と手を見る」「旗を見る」「止めるのは主審の笛」という3点セットを習慣化すると、プレーの自立が早く進みます。

ケーススタディ:典型シーンのサインの流れ

オフサイド疑い→守備がプレー→遅延旗→間接FK

攻撃の裏抜けでオフサイド位置の選手が走る→守備がボールに触れるが、明確な「意図的プレー」でない(デフレクション)→攻撃側のオフサイド選手が関与→副審が遅れて旗→主審が笛→間接FK。攻撃は「待ち」が入る前に、オンサイドの選手を関与させる工夫がカギ。

ペナルティエリア内のファウル→PK→カードの順序

主審がPKスポットを指示→状況が落ち着いたら必要なカードを提示→GKとキッカーの準備を確認→笛で再開。選手は列立ちや侵入に注意。守備側はGKの片足がライン上に残っているかなど、反則をしない範囲で細部を管理します。

守備側FKの素早い再開と主審の制御(壁設定の有無)

守備側はクイックで蹴る権利があります。主審が壁を管理する意図(手で「待て」)を示さなければ即時再開可能。攻撃側は壁の距離を取らないと警告対象になる場合があるため要注意。

アドバンテージ適用後の警告提示までの一連の流れ

中盤で遅延戦術のホールディング→主審が両腕を広げてプレーオン→攻撃がシュートで終わる→ボールが切れた瞬間に主審が遡及で警告提示。選手は「後で出る」可能性を理解して、流れの中で集中を切らないこと。

よくある誤解と正しい理解

『副審の旗=即時中断』ではない:最終決定者は主審

旗は重要な合図ですが、プレーが止まるのは主審の笛です。止める・続けるの判断は笛で統一されます。

間接FKは直接得点不可:腕サインが消える条件

間接FKは、ボールが他の選手に触れるか、プレーが切れるまで主審の腕が上がります。腕が下がる前に直接シュートが入っても得点にはなりません。

ハンドの基準は腕の位置と影響:『意図』だけではない

ハンドは腕の位置、身体のサイズを不自然に大きくしたか、ボールへの影響などが重視されます。単純な「意図の有無」だけで決まりません。

オフサイド位置=反則ではない:干渉が必要

オフサイド位置にいるだけでは反則ではありません。ボールや相手への関与が起きて初めて反則になります。副審が旗を遅らせる理由はここにあります。

最新の競技規則アップデートを追う方法

IFAB公式資料と国内協会発信の確認ポイント

毎シーズンの競技規則改定はIFABの公式サイトで公開されます。国内協会や審判委員会の通達もあわせて確認しましょう。用語の定義変更はサインの運用にも影響します。

ユース・アマチュアでのローカルプロトコルに注意

交代方法、追加時間の扱い、テクノロジーの有無など、カテゴリーにより運用が異なることがあります。大会要項を一読してから臨むと、現場で迷いません。

シグナルの微修正が戦術に及ぼす影響

例えばドロップボールの運用変更は、守備のセットと攻撃の再開速度に直結します。小さな修正でも、チームの定型動作に落としておくと効果が出ます。

まとめ:サインを理解してプレーを一段引き上げる

試合で役立つミニチェックリスト

  • 笛が鳴るまでプレーを止めない(旗だけでは止めない)
  • 間接FKの腕サインを必ず確認する
  • アドバンテージの合図が出たら即座に前進思考
  • クイック再開は主審の「待て」確認後に
  • 副審の旗の角度でオフサイド位置を読み取る

練習メニューへの落とし込み例(合図→初動の反復)

  • ホイッスル音の違い(短・長)に合わせた初動トレーニング
  • 間接FKを想定した「二人目」シュートの自動化
  • 副審役を立てて、遅延旗を前提にした裏抜けと関与回避の動き
  • アドバンテージ下の3タッチ以内フィニッシュ

学びを継続するための情報源と確認方法

公式の競技規則、国内協会の通達、審判講習会の資料は信頼できる一次情報です。試合後に「このサインは何だった?」をチームで共有するだけでも、次戦の判断スピードが上がります。審判のサインは“敵の暗号”ではなく、“試合の取扱説明書”。読めば読むほど、勝ち筋が増えていきます。

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