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サッカー レッドカード 基準を徹底解説—一発退場の境界線

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「どこまでがイエローで、どこからがレッドなのか?」—試合の明暗を分けるのに、レッドカードの基準ほど影響が大きいテーマはありません。ピッチの上で迷わないためには、競技規則の“言葉”をプレーの“感覚”に落とし込むことが大切です。本記事では、IFAB競技規則(Laws of the Game)を土台に、サッカー レッドカード 基準を徹底解説。一発退場の境界線を、具体例とチェックリストで言語化します。選手・指導者・保護者が同じ目線で理解できるよう、専門用語は噛み砕いて解説します。

序章:サッカー レッドカード 基準を徹底解説—一発退場の境界線

なぜ今、レッドカード基準の正確な理解が勝敗を左右するのか

一発退場は試合の流れと人数バランスを一変させます。90分の中で最も重い判定だからこそ、「どのプレーが危険か」「どの状況でレッドが出るか」を知っているかどうかは、守備のアプローチ、リスク管理、メンタルコントロールに直結します。レッドカードの境界線を理解しておけば、ファウルを選ぶべき瞬間と、絶対に踏み込んではいけない一線が見えてきます。

本記事で扱う範囲と前提:客観事実と現場判断のバランス

競技規則は客観的な基準を示しますが、現場の判定は「プレーの質」「強度」「危険性」といった文脈の評価を含みます。本記事では、IFAB競技規則(特にLaw 12)を根拠に、一般的な判定傾向と実戦での考え方を整理します。最終判断は主審に委ねられる点を踏まえつつ、選手・指導者が行動指針にできるレベルまで噛み砕いて説明します。

レッドカードの根拠:IFAB競技規則と基本概念

レッドカードとは何か:退場を命じる7つの事由

レッドカード(退場)の主な事由は次の7つです。

  • 重大な反則行為(SFP:Serious Foul Play)
  • 暴力的行為(VC:Violent Conduct)
  • つば吐き(相手や他者に向けて)
  • 明白な得点機会の阻止(DOGSO)—ファウルによるもの
  • 明白な得点・得点機会の阻止(ハンドによるもの:GKの自陣PA内は除く)
  • 侮辱的・差別的・卑猥な言動(OFFINABUS)
  • 二度目の警告(退場扱いだが「一発」ではない)

かみつきは「暴力的行為(VC)」として扱われ、無条件で退場に値する行為と解されます。

競技規則(Laws of the Game)と通達の関係

IFABの競技規則が大枠のルールを定め、各競技会(リーグ・大会)の通達が運用の細部を補います。最新の競技規則と大会通達の両方を確認するのが実務的な正解です。

『危険性』『過度な力』『明白な得点機会』というキーワード

レッドの基準は大きく三本柱で捉えると明確です。

  • 危険性:相手の安全を脅かしたか(SFPの中核)
  • 過度な力:制御不能・必要性を超えた強度か
  • 明白な得点機会:DOGSOの4要素(後述)を満たすか

一発退場になる主要カテゴリーを俯瞰する

重大な反則行為(SFP):過度な力・相手の安全を脅かすチャレンジ

ボールを巡る争いの中であっても、過度な力相手の安全を脅かすタックルはSFPに該当し退場。接触部位、速度、モーション(足裏、飛び込み、両足など)総合で判断されます。

暴力的行為(VC):ボールの有無を問わない暴力

プレーと無関係な暴力、またはプレー中でも相手を危険にさらす暴力的な行為が該当。殴打、頭突き、蹴り、かみつき、悪質な突き飛ばし等。

DOGSO:明白な得点機会の阻止(ファウルによるもの)

ファウルで決定的な得点機会を潰した場合。4要素(距離・方向・コントロール可能性・守備者数)で明白と評価されれば一発退場(PA内での特例は後述)。

DOGSO(ハンド):意図的ハンドによる得点・決定機の阻止

意図的なハンドでゴールや決定機を阻止した場合に適用(GKの自陣PA内は除外)。

つば吐き・かみつき:無条件で一発退場

つば吐きは独立の退場事由。かみつきは暴力的行為としてレッドです。

侮辱的・差別的・卑猥な言動(OFFINABUS):言葉とジェスチャー

言葉・ジェスチャーでの侮辱、差別、卑猥表現は退場。相手、審判員、観客、スタッフに向けられた場合も含まれます。

二度目の警告による退場と一発退場の違い

二枚目のイエローは退場ですが、「一発レッド」とは区別されます。VARは二枚目の警告には介入できません。

DOGSOの判定基準:一発退場の境界線を言語化する

4つの要素(距離・方向・コントロール可能性・守備者数)

  • 距離:ゴールとの距離が近いほどDOGSOに近い
  • 方向:プレーの向きがゴール方向か
  • コントロール可能性:ボールを収められる現実性(速度、バウンド、体勢)
  • 守備者数:ゴールとボールの間に他の守備者がいないか

これらを総合して「明白」かどうかを判断します。

『ラストマン』は都市伝説:位置取りより“機会の明白さ”

最後尾のDFかどうかは決定要因ではありません。機会が“明白”かが基準です。

ファウルDOGSOの典型例とグレーゾーン

  • 典型例:PA直前で背後からのつかみ・倒し、最後のドリブル突破を足をかけて止める
  • グレー:角度が外向き、コントロールが不確か、もう一人のDFが追いつける距離

グレーはイエロー(SPA)に落ちるケースが多いです。

ハンドDOGSOの判断ポイント:腕の位置とプレーへの影響

シュートや決定的パスの軌道を、不自然に広げた腕・手で止めたかが焦点。腕の位置が「自然か不自然か」「体を意図的に大きくしていないか」を見ます。

ペナルティエリア内外で変わる基準:いわゆる“トリプル・パニッシュメント”の緩和

PA内のDOGSO:ボールへプレーの試みがあった場合の扱い

PA内で「ボールへプレーしようとした」結果のDOGSOは、原則イエロー+PK(退場ではない)。スライディングでボールに行ったが遅れた等が該当します。

保持・引っ張り・押さえ込み:『ボールへ行っていない』時は原則レッド

つかむ・抱える・押すなど、ボールにプレーしていないDOGSOはPA内でもレッド+PKが原則です。

PA外のDOGSO:原則として一発退場

PA外でのDOGSOは、プレーの試みがあっても原則レッドです。

ゴールが生まれた場合の処置:アドバンテージとカードの色

DOGSO相当でもアドバンテージで得点が成立した場合、退場はせず警告(イエロー)を与えるのが原則。SPA(有望な攻撃の阻止)では、得点が入れば警告自体を省略する運用が一般的です。

重大な反則行為(SFP)の境界線:危険なタックルの見分け方

接触部位とモーション:足裏・高い接触・膝・アキレス腱

足裏先行で脛や膝、アキレス腱を強く蹴る・踏む形は危険度が高く、SFPになりやすい要素です。

速度と強度:過度な力・制御不能・助走距離

走り込んでの高速・長い助走・体重を乗せたコンタクトは「過度な力」と評価されやすく、退場の方向。制御できていないほど危険です。

両足タックル・後方からのタックルのリスク評価

両足で飛び込む、後方・死角からのタックルは相手の回避手段を奪い、SFPの典型リスクです。

レックレス(警告)との線引き:ボールへ行ったかは“免罪符”ではない

ボールに触れていても、相手への危険が高ければレッドはあり得ます。逆に、危険性が低ければレックレス(警告)で収まるケースもあります。

暴力的行為(VC):ボールがない局面でも退場になる振る舞い

殴打・蹴り・頭突き・突き飛ばしの評価

故意の殴打や頭突き、蹴り、強い突き飛ばしはVC。接触の強さだけでなく、狙いと文脈も重要です。

小突き・接触の強度と“暴力性”の判断

軽微な小突きでも、相手を害する意図が明確ならVCに至る場合があります。接触の「目的」「危険性」で評価されます。

プレーが切れた後でも適用される理由

試合停止中やボールがない場面の暴力は、サッカーの安全と品位を損なうため厳格に対処されます。

相手・審判員・観客・スタッフへの行為

対象は選手に限りません。審判員や観客、スタッフへの暴力・侮辱も退場対象です。

ハンドでのレッドカード:『意図』『腕の位置』『体の拡大』をどう見るか

得点阻止・決定機阻止に直結するハンドの基準

不自然に広げた腕・手でシュートや決定的パスの軌道を止め、得点・決定機を阻止した場合はレッド(GKの自陣PA内は除外)。

シュートブロック時の腕の位置:自然か不自然か

体を大きくしてブロックする動きで腕が横や上に張り出していれば、不自然と評価されやすいです。逆に体幹に近く、反応が避けられない至近距離はハンドと取られない場合もあります。

GKの特例:自陣PA内とPA外の明確な違い

GKは自陣PA内のハンドは反則ではありません。PA外でのハンドは他の選手と同様に反則で、DOGSOに至ればレッドの可能性があります。

リバウンド・至近距離の判定傾向と注意点

至近距離のリバウンドは「避けられない」と評価されやすい一方、腕で体を広げていればハンドになる余地があります。腕の初期位置と動きがカギです。

ゴールキーパーに関する特則と落とし穴

PA内のハンドは反則ではないが、他の反則は通常通り

GKもタックルでのSFP、相手への暴力(VC)、つかみや押さえ込みによるDOGSOなどは他の選手と同じ基準で評価されます。

1対1での接触:ボールプレーの試みとSFPの境界

飛び出しでの1対1は、ボールへ行く意図があっても足裏先行で膝下に激突する等はSFPになり得ます。腕・体で進路を塞ぐだけの保持・押さえ込みはDOGSOのレッドになりやすい点にも注意。

PA外のハンドDOGSO:判断が分かれる典型シーン

PA外でループやスルーを手で止めるとDOGSOに直結しやすい場面。ボールとゴールの距離、攻撃者のコントロール可能性、守備者の位置関係を総合で評価します。

イエローで済むケースとの違い:『SPA』『レックレス』『遅延』の正体

SPA(有望な攻撃の阻止)とDOGSOの決定的差分

有望な攻撃(SPA)はイエロー、明白な得点機会(DOGSO)はレッド。角度・距離・守備者数で「明白」まで至らなければSPAにとどまります。

レックレスのファウル:不注意・無謀だが過度な力ではない

相手の安全を十分に考えていない無謀なプレーは警告。過度な力危険性の高さまで行けばSFP(レッド)です。

遅延行為・異議(ディセント)・反スポーツ的行為の整理

リスタートの遅延、手でボールを奪っての阻止、審判への執拗な抗議などは主にイエロー領域。ただし侮辱・差別的な言動はレッドに切り替わります。

二度目の警告が近い時のリスクマネジメント

一枚もらっている選手は、保持・引っ張り遅延など「もったいない警告」を避ける判断が重要です。

VARが介入する『レッドカード 基準』と判定の流れ

VARの対象:明白な間違い・見逃しの直接レッド事案

VARは主に次をチェックします:得点、PK、直接レッド(SFP/VC/ハンドDOGSO等)、誤審による人違い。

OFR(オンフィールドレビュー)で見られる映像の観点

  • SFP:接触部位、足裏の露出、速度、相手の安全性
  • VC:意図、振りかぶり、接触の強度
  • ハンド:腕の位置、体の拡大、ボール軌道への影響
  • DOGSO:距離・方向・コントロール可能性・守備者数

VARが介入できない事象(例:二枚目の警告)

二枚目のイエローはVAR対象外。プレー再開後の軽微な事象なども原則介入しません。

実戦で起こるリスタートの変更とメンタル対応

VAR後にFK→PK、あるいは逆になるなど再開が変わることがあります。選手は判定変更に感情を引きずらず、即座に再開形態へ適応する準備が必要です。

アドバンテージ適用時の処置:得点が入ったらカードはどうなる?

DOGSOで得点が成立:原則イエローへの切替

DOGSO相当でもアドバンテージで得点が入れば、退場ではなく警告が原則(次のプレー停止時に提示)。

SFP・VCは後出しでもレッド:プレー継続の例外

SFPやVCはアドバンテージを与えつつ、次の停止でレッドを提示できます。危険性が高ければ即時停止も選択されます。

再開方法とカード提示のタイミング

アドバンテージを適用した場合、再開はアドバンテージによって生じた次の停止の理由に従います。カードはその時に提示されます。

ユース/アマチュアでの運用ニュアンスと地域差

競技規則は共通、運用は安全重視が基本

育成年代ほど安全を最優先する傾向が強く、危険なモーションにはより厳格な対応がとられることがあります。

ローカルルール・競技会通達の確認ポイント

交代枠、シンビン(一定時間退場)などが採用される大会もあります。大会要項・通達を必ず事前確認しましょう。

育成年代で重視される“危険防止”の観点

指導では「片足での制御されたタックル」「手を使わず体で遅らせる」など、リスクの低い守備スキルの定着が重視されます。

よくある誤解Q&A:一発退場の都市伝説を検証

『最後のDFなら必ずレッド?』への回答

いいえ。最後尾かどうかではなく、DOGSOの4要素で「明白」かどうかが基準です。

『ボールに触れたらOK?』—接触の質が基準

ボールに先に触れていても、相手の安全を脅かす過度な力ならSFP(レッド)になり得ます。

『スタッズを見せたら全部レッド?』の真相

足裏(スタッズ)が見えた=即レッドではありません。接触部位、速度、強度、相手の安全への影響で総合判断します。

『肩は合法』の限界—チャージの強度と方向

肩同士のチャージは合法ですが、背後から、過剰な速度、肘を使う等は反則。危険なら警告、場合によっては退場もあり得ます。

実戦で使える判定チェックリスト(テキスト版)

DOGSO用4項目チェック:一瞬で判断するコツ

  • ゴールまでの距離は近いか?
  • プレーの方向はゴールへ向かっているか?
  • 次の一歩でコントロールできそうか?
  • 前方に守備者は残っていないか?

SFP用4項目チェック:接触部位・強度・制御・リスク

  • 足裏先行や膝・アキレス腱など危険部位か?
  • 速度・体重が過剰に乗っていないか?
  • 身体の制御は効いていたか?
  • 相手の回避余地はあったか?

VC用3項目チェック:暴力性・意図・文脈

  • ボールと無関係な暴力か?
  • 相手を害する意図が明確か?
  • プレー停止中や死角での行為ではないか?

ハンド用3項目チェック:腕位置・拡大・軌道への影響

  • 腕が不自然に体から離れていないか?
  • 体を意図的に大きくしていないか?
  • シュート/決定的パスの軌道を止めたか?

守備者のためのリスク管理:一発退場を避ける技術と判断

“遅らせる守備”とアングルコントロールでDOGSO回避

正面から突っ込まず、角度を切って外へ追い出す。時間を稼ぐ=味方の数を増やすことでDOGSOの要素(守備者数)を崩せます。

手の使い方:保持・引っ張りを避ける身体操作

手でつかむ・引っ張るはPA内で致命傷。骨盤と胸でコースを閉じる腕は体側でバランス保持を徹底。

タックルの技術:接触点・重心・片足化でSFPリスク低減

スタンスを広げ、片足でボールをはじく意識。足裏を見せない接触点(インサイド~甲)、重心低く、接触時間は短く。

ゴール前での意思決定:ファウルor撤退の境目

「倒せばPK+退場」の場面では、角度と距離を見て撤退の勇気を。最後の手段はショットブロックの角度調整に切り替えましょう。

指導者・保護者の観点:安全とフェアプレーを守るために

練習設計:危険なモーションを矯正するドリル例の考え方

  • 遅らせる守備ドリル:1v1で角度を切り外へ誘導、奪取は縦軸で
  • タックルフォーム:片足インサイドでのはじき、接触時間を短く
  • 手の使い方:シャドーDFで「腕は体側」を反復

言動の教育:差別・侮辱・挑発を予防するチーム規範

OFFINABUSとVCを引き起こす言動を明確に禁止。キャプテンが現場で火消し役を担う仕組みを整えましょう。

試合後の振り返り:映像と規則照合で“再現性”を高める

映像で接触部位・強度・角度を確認し、Law 12の用語に置き換えて共有。感情ではなく基準で議論すると次に活きます。

参考・根拠:競技規則の該当条文と確認方法

IFAB Laws of the Gameの該当章(Law 12)

ファウルと不正行為、SFP/VC、ハンド、DOGSO、カード運用はLaw 12が根幹。アドバンテージはLaw 5も関連します。

競技会規程・通達の入手と最新化のチェック

国内連盟・リーグの通達は年度で改定されます。公式サイトの最新版PDFや講習会資料を確認しましょう。

判例学習:公表映像・公式解説の活用法

公式ハイライトや審判委員会の見解動画で、接触部位・強度・文脈を基準語で反復学習するのが効果的です。

まとめ:サッカー レッドカード 基準を理解して賢く戦う

一発退場の“境界線”を日常の判断基準へ

SFPは「相手の安全」、VCは「暴力性」、DOGSOは「明白な機会」という軸で整理すると、瞬間の判断がぶれにくくなります。

勝点を守るためのルールリテラシー

PA内のDOGSO特例、アドバンテージ時のカード、VARの対象外など、知っているだけで防げる退場は少なくありません。

次の試合から実行できる3つのアクション

  • 守備はまず「遅らせる・角度を切る」から入る
  • 腕は体側、つかみ・引っ張りは封印
  • 危険な接触になりそうなら、踏み込まず撤退を選ぶ

あとがき

レッドカードはルールのペナルティであると同時に、安全とフェアプレーを守るシグナルです。基準を知り、習慣に落とし込めば、余計な退場を避けつつ強度の高い守備も実現できます。今日の練習から「危険を生まないフォーム」と「遅らせる守備」をチーム全員の共通言語にしていきましょう。

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