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交代回数は学生の試合で何回?公式・大会ごとの違いを解説

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学生の試合で「交代は何回まで?」と聞かれて即答できる人は、意外と多くありません。というのも、交代に関するルールは“競技規則の基本”の上に、“大会ごとの取り決め(大会要項)”が乗っており、毎年の要項や主催団体で内容が変わるからです。本記事では、最新の国際ルールの考え方を土台にしつつ、日本の高校・中学年代でよく採用されるパターン、公式大会と練習試合の違い、フットサルや少人数制まで幅広く整理。試合当日に迷わないためのチェックリストや、勝敗を左右する交代の使い方もまとめました。難しい言葉はなるべく避け、選手・指導者・保護者の皆さんが現場でそのまま使える形で解説します。

結論:学生サッカーの交代回数は大会要項で決まる

まず押さえるポイント(何回まで・いつ・誰が決める?)

学生サッカーの交代は、次の3層で決まります。

  • 土台:IFAB(国際サッカー評議会)のサッカー競技規則
  • 国内の枠組み:JFAや各主催団体が採用する方針
  • 最終決定:出場する大会の「大会要項(競技方法・規定)」

つまり「何人まで交代できるか」「何回の機会で交代できるか」「再交代が可か不可か」は、毎回大会要項で確認する必要があります。同じ学校でも、大会が違えばルールが違うことは珍しくありません。

よくあるパターンの概要(5人交代/自由交代/再交代の可否)

  • 11人制の公式戦:5人までの交代を認め、交代機会は「3回」まで(ハーフタイムはノーカウント)とする大会が多い
  • 練習試合・交流戦:自由交代(回数・機会の制限なし)を採用することがある。再交代(いったん下がった選手の再出場)を許可するケースも多い
  • 中学年代の一部大会やローカル大会:選手の出場機会確保や暑熱対策の観点から、再交代を認める場合がある
  • 延長戦:通常は交代枠の人数は増えないが、「交代の機会(チャンス)」は1回追加される運用が多い。別途「延長で1人追加交代」を許可する大会もあるため要項確認が必須

最新年度の要項確認が必須な理由

IFABは近年、選手保護の観点から交代に関する考え方を更新しており、国内の採用状況も年々変化しています。さらに、暑熱対策や試合消化の事情で「今年だけの特例」を設ける大会もあります。過去の記憶で動かず、最新年度の大会要項を確認することが混乱を防ぐ最短ルートです。

サッカーの交代ルール基礎

交代枠・交代回数・交代機会の違い

  • 交代枠(交代できる人数):例)5人まで
  • 交代回数(ベンチからピッチへ送り出す合計人数):交代枠と同義で使われることが多い
  • 交代機会(フィールドプレーを止めて交代を行える“チャンス”の回数):例)3回まで。複数人を同時に替えれば1機会とカウント

ハーフタイムは交代機会にカウントしないのが一般的。ドリンクブレイクや負傷などの止まり方に関係なく、交代をしたら「機会」を消費するのが基本です(大会要項が優先)。

再交代(リ・エントリー)とは何か

再交代は、いったん交代で退いた選手が再び出場すること。国際ルールの標準では11人制の公式戦で再交代は不可ですが、育成年代や練習試合では大会要項で許可されることがあります。許可される場合でも、「1人何回まで」「同一ハーフで可否」「GKのみ特例の有無」など個別の取り決めがあるので要確認です。

延長戦・PK方式と交代の関係

  • 延長戦:多くの大会で、交代できる“機会”は1回追加されます。交代できる“人数”が増えるかは大会要項次第
  • PK方式(KFTPM):原則、延長終了時点でフィールドにいた選手のみがキッカー資格を持ちます。GKが負傷した場合の交代は、未使用の交代枠が残っているか、要項の特例があるかで扱いが変わります

脳振盪に関する追加交代の考え方

IFABは脳振盪疑い時の追加交代(通常の交代枠に加えて使える特別枠)に関するプロトコルを用意しています。これを採用するかどうかは大会側の判断です。採用大会では、相手チームにも交代枠が1増えるなどの取り扱いが定められます。学生の試合で導入されるかは大会要項を必ず確認してください。疑わしい場合は迷わず交代・受診が原則です。

飲水タイム・クーリングブレイクと交代の関係

  • ドリンクブレイク(約1分)やクーリングブレイク(約90秒〜3分)は、暑熱対策として設けられる休止時間
  • この時間帯に交代は可能ですが、通常の交代機会としてカウントされます(要項優先)
  • 交代の予定がある場合は、ドリンクブレイク開始前に準備を整えておくとスムーズ

公式大会ごとの違い:高校・中学の主な例

全国高校サッカー選手権・インターハイの考え方の例

全国規模の高校大会では、近年は「最大5人交代」をベースに運用されることが多く、交代機会は3回(ハーフタイム除く)という国際標準に沿う傾向があります。延長戦に入った場合の取り扱い(交代機会の追加、交代人数の追加の有無)は年によって取り決めが異なることがあるため、その年度の大会要項を必ず確認してください。再交代は原則不可が主流です。

高円宮杯(U-18/U-15)・プレミア/プリンスの運用傾向

全国リーグ(プレミア・プリンス)や高円宮杯では、11人制の標準的な運用(5人交代・3機会、再交代不可)が基本ラインとなることが多いです。ベンチ入り人数やマッチデーの登録数は大会要項で細かく定義されます。長期リーグでは連戦が続くため、交代の使い方がシーズン成績に直結しやすい点も特徴です。

全日本中学校大会・中体連主催大会の傾向

中体連系の大会は、地域や年度により運用差が出やすい分野です。全国大会ではトップカテゴリーに準じた取り扱い(再交代不可)が多い一方、ブロック・県レベルや熱中症対策を重視した大会では、再交代を一部認める例も見られます。ピッチ上の人数や試合時間の短縮、給水ルールなども合わせて要項で確認しましょう。

県リーグ・地域大会・交流大会までの幅

県リーグや地域の交流大会は、育成や出場機会の確保を目的に「自由交代」「再交代可」「ベンチ入り多数可」など柔軟な規定が設定されがちです。反対に、上位大会の予選を兼ねる大会では、全国基準に寄せるケースもあります。対象学年や暑熱環境、グラウンド事情によっても変わります。

学校部活動とクラブユースで異なることがあるポイント

  • 再交代の扱い:部活動は教育的配慮で再交代可の大会が一部に存在。クラブユースは公式戦では不可が主流
  • ベンチ入り人数:大会要項で差が出やすい項目。帯同できても交代できる人数は別枠で規定
  • 選手証・登録管理:クラブは電子登録やID照合が徹底される傾向。学校主体では紙ベースの提出を求める大会もある

練習試合・リーグ戦・トーナメントでの運用差

練習試合で多い自由交代の注意点

  • 再交代可でも、主審の許可なしに出入りは不可。交代ゾーン(ハーフウェーライン付近)での秩序を守る
  • 大量交代時は選手間のマーク受け渡しやセットプレーの役割を事前に共有
  • 出場時間の偏りを避けるため、キックオフ前に「1本目のプラン」「2本目のプラン」を紙で用意しておく

リーグ戦の連戦を見据えた交代設計

  • 累積警告や疲労の蓄積を考え、終盤リード時は早めに主力を下げる選択肢を持つ
  • 交代機会は“3回”。使い切れずに終えることがないよう、60〜70分台で一斉交代の計画を準備
  • 暑熱期間は走力の落ちる時間帯を見越して、両サイドとボランチにフレッシュな選手を投入する設計が有効

トーナメントと延長を想定した枠の使い方

  • 90分で決め切れない展開を想定し、延長に入ったら「機会が1回増える」前提で交代を温存
  • PKまで見据えるなら、キッカー適性とGKの状態を踏まえた交代を終盤に検討
  • 負傷のリスク管理を優先し、早めに“痛み抱え”の選手を交代。延長に入ると一気に強度が落ちる

年代・競技形式で変わる交代:8人制・7人制・フットサルなど

8人制から11人制への移行期での違い

小中学生の一部カテゴリでは8人制が採用されます。8人制では出場機会確保の観点から再交代や自由交代に近い運用が見られる一方、11人制の公式大会では再交代不可が主流です。学年が上がるタイミングで「同じチームでも交代の考え方が変わる」ことを前提に、監督・選手・保護者で共通認識を持ちましょう。

フットサル(ローリングサブ)の要点

  • フットサルはローリングサブ(自由交代)が基本。プレーは止めず、所定の交代ゾーンで入れ替える
  • 交代回数に制限はないが、交代時の手順違反は反則になるため、ゾーン厳守と交代順の徹底が必要
  • GK交代は守備専用/攻撃参加など戦術的にも重要。タイムアウトとの合わせ技で流れを変える

女子・年代別で見られるローカルルールの確認事項

  • 暑熱対策:飲水タイムの設定や、再交代の許可などが追加されることがある
  • 試合時間:短縮される場合、交代のタイミングも前倒しが有効
  • 登録人数:学年ごとの人数確保に配慮した特例が入ることがある

IFABの動向と国内大会への影響

5人交代ルール恒久化の背景と意図

IFABは、過密日程や暑熱、選手の安全を考慮して5人交代を恒久化しています。負傷や疲労のリスクを抑え、試合の質を保つための方針です。育成年代にもこの考え方は波及しており、上位大会や主要リーグでは5人交代が主流になっています。

交代機会の数とベンチ入り人数の関係

「5人交代・交代機会3回」がセットで語られますが、ベンチ入り可能人数(例:最大何名を控えとして登録できるか)は大会ごとに異なります。多く入れるほど戦術の幅は広がりますが、実際にピッチに送り出せるのは交代枠まで。ベンチワークは「誰を」「いつ」「どの機会で」使うかの設計勝負です。

国内大会が採用を決めるプロセスとタイムラグ

国際ルールが更新されても、国内の各大会がいつ採用するかは別の話です。主催団体の競技運営会議→各地域・各年代への通達→大会要項への反映という流れを取るため、どうしてもタイムラグが発生します。「去年はこうだったから今年も同じ」とは限りません。

交代を勝敗に直結させる戦術

時間帯別の交代判断(前半・後半・アディショナル)

  • 前半:想定外の展開(怪我・カード・構造的ミスマッチ)時のみ。機会を温存するのが基本
  • 後半立ち上がり:ハーフタイム明けに1枚使うと、残り2機会でやりくりする設計が必要
  • 終盤〜アディショナル:相手の運動量が落ちる時間帯にスピード系や空中戦に強い選手を投入し、ギアを上げる

ポジション別の交代の考え方(GK/DF/MF/FW)

  • GK:負傷や極端な風向き・PK想定での入替を除き、基本は安定重視。PKに強いGKを延長終盤に投入する判断は大会要項の交代枠次第
  • DF:集中力の落ちやすいSB、空中戦の負荷が高いCBは、カード状況と合わせてリスク管理
  • MF:走行量の大きいボランチ・SHは、“強度の落ち始め”を見逃さない。セカンドボール回収率が低下したらサイン
  • FW:相手CBの疲労が見えたら、裏抜け型やフィジカル型をぶつける。セットプレー要員の投入も有効

暑熱・疲労・カード状況を踏まえた優先順位

  • 暑熱:両サイドの運動量確保と水分・補食を最優先。痙攣の兆候があれば迷わず交代
  • 疲労:最高速度とスプリント回数が落ちた選手から。圧縮・スライドの遅れは失点の予兆
  • カード:早い時間帯のイエローは試合設計を変える。対峙相手との相性が悪ければ交代でリスク回避

データで考える交代の期待値(走行量・スプリント・心拍)

GPSや心拍計がなくても、簡易的な観察で代替できます。

  • 走り切れていない兆候:帰陣が遅れる、寄せの初動が半歩遅い、カバーリングの距離が縮む
  • スプリントの質低下:立ち上がりの3歩が重い、長い距離の加速が続かない
  • 心拍負荷が高止まり:プレーが雑になる、ファウルが増える、声が出なくなる

これらが同時に出たら「次のプレー切れで交代」のサイン。交代は“もったいない”ではなく“勝つための投資”です。

審判・運営ルール:現場での正しい手続き

メンバー提出・選手証・背番号の取り扱い

  • 試合前:メンバー提出(スタメン・控え・背番号)と選手証(または登録確認)を忘れずに
  • 背番号:要項で「固定番号」か「当日番号」かが決められる。GKの色・番号は特に注意
  • 記入ミス:交代時に混乱の元。紙でも電子でも、提出前にダブルチェック

タッチラインでの入退場と主審の許可

  • 交代は原則ハーフウェーライン付近で、主審の許可を得て行う
  • 交代選手は完全にピッチ外へ出てから、交代要員が入る。先走って入場しない
  • 用具(すね当て・ソックス・アクセサリー)チェックを事前に済ませ、遅延を防ぐ

第四の審判がいない試合での運用

  • ベンチが交代ボードや札を準備するとスムーズ。審判への声かけは簡潔に
  • 大人数交代時は、主審・副審と「誰が下がり誰が入るか」を明確に共有
  • 交代簿やメモをベンチ側で管理し、使った交代機会を見える化

遅延行為と反スポーツ的行為を避けるコツ

  • リード時のゆっくり退場は“行き過ぎると”警告対象。小走りで速やかに退場
  • 交代の合図後に時間稼ぎの指示をしない。透明性を保つ
  • 相手の交代妨害(ボールキープなど)はNG。フェアに戦う姿勢が結果的にチームの信頼を高める

よくある質問(Q&A)

延長戦に入ったら交代枠は増える?

多くの大会で「交代の機会」は1回増えますが、「交代できる人数(枠)」が増えるかは大会要項次第です。必ず事前に確認しましょう。

PK方式中に交代はできる?

通常の交代枠が残っていれば可能とする大会もありますが、PK突入後は交代不可とする取り決めもあります。GKの負傷時は特例が設けられる場合があります。要項の「PK方式」の章を要チェックです。

一時的に治療で退いた場合は交代になる?

治療や用具の不備で一時退場するのは交代ではありません。主審の許可があれば戻れます。交代として扱うかは、実際に交代要員がピッチに入場したかどうかで決まります。

ゴールキーパーだけ特例はある?

試合中にGKとフィールドプレーヤーがポジションを入れ替えることは可能です(主審の許可が必要)。PK方式では、GKが負傷した場合の扱いに特例が定められることがあります。大会要項を確認してください。

一度下がった選手は再出場できる?(再交代)

11人制の公式戦では原則不可。練習試合や一部の育成年代大会では許可されることがあります。再出場の回数や条件も要項で確認しましょう。

大会要項の読み方チェックリスト

必ず確認すべき項目(交代枠・交代機会・再交代・延長・PK)

  • 交代できる人数(最大何人まで)
  • 交代の機会(何回のタイミングで可能か/ハーフタイムや延長の扱い)
  • 再交代の可否(可の場合は条件・回数)
  • 延長戦の有無と交代の取り扱い(機会の追加・枠の追加)
  • PK方式の交代とGKの扱い(負傷時・未使用枠)
  • ベンチ入り人数・登録方法(当日変更可否、背番号ルール)

主催者・競技運営への問い合わせポイント

  • 要項に曖昧な表現がある場合は、事前にメールで確認しエビデンスを残す
  • 「このケースは交代機会に数えるか?」など具体例で質問すると誤解が少ない
  • 当日のレフェリー判断に委ねられる項目もあるため、キックオフ前の主審ブリーフィングで再確認

最新情報の追い方(JFA通達・主催団体サイト・加盟協会)

  • JFAの競技規則・通達の最新PDF
  • 主催大会の公式サイト(大会要項・変更通知)
  • 都道府県協会・中体連/高体連の案内ページ
  • SNS発表は参考に留め、最終的には公式文書で確認

まとめ:当日の混乱を防ぎ、交代を味方につける

試合前の共有テンプレート(要項→ベンチ→選手)

  • 要項抜粋をA4一枚に整理(交代枠・機会・再交代・延長・PK)
  • スタッフと選手に配布し、ベンチにも掲示。交代機会の残りはホワイトボードで可視化
  • GK・キッカー・セットプレー役割は交代後の再割当てをテンプレ化

交代プランA/B/Cの事前設計

  • プランA:予定どおりの展開(60分台の一斉交代、終盤の強度維持)
  • プランB:ビハインド(攻撃カードの二枚替え、SB→WG化で枚数を前に)
  • プランC:想定外(負傷・カード・退場)。1機会は緊急用に残す

保護者がサポートできる準備(体調・装備・補食)

  • 暑熱期は凍らせたドリンク・冷却タオル・予備ソックスを用意
  • 補食は消化の良いものを少量ずつ。交代直後のガムやジェルで集中を切り替える
  • 用具のスペア(すね当てバンド・テープ)で交代時の遅延を防止

おわりに(あとがき)

交代は“緊急時にやむなく使うもの”ではなく、“勝つために積極的に使うカード”です。だからこそ、最新の大会要項を把握し、チームで共有し、当日の判断をシンプルにしておくことが何より大切。準備が整っていれば、交代は迷いではなく武器になります。次の試合から、ぜひ今日のチェックリストをそのまま使ってみてください。

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