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ゴールサイズ目安を年代別に解説|ジュニア〜一般

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シュートが入る・止まるの境界線は、思っている以上に「ゴールサイズ」に左右されます。本記事では、ジュニアから一般までの年代別ゴールサイズの目安と、なぜ大会や地域で差が出るのか、プレーや練習設計への活かし方までを一気に整理します。サイズは単なる数字ではなく、上達スピードや安全性、戦術理解に直結する重要情報です。導入や練習前のチェックリストとしてご活用ください。

この記事の狙いと要点

年代別のゴールサイズを一望できる早見リスト

以下は国内外で広く使われる規格や普及品のレンジをもとにした「目安」です。大会要項で指定がある場合はそちらを優先してください。

  • U-6(未就学〜小学1年):約1.2〜2.4m(幅)×0.8〜1.5m(高)
  • U-8(小学1〜2年):約3.0〜3.66m×1.5〜1.83m
  • U-10(小学3〜4年):約4.0〜5.0m×1.5〜2.0m
  • U-12(小学5〜6年・8人制の大会で一般的):6.0m×1.8m(目安:JFAの少年用ゴールとして普及)
  • U-13〜U-15(中学生):原則フルサイズ(7.32m×2.44m)を使用する大会が多いが、地域・会場事情で変動あり
  • U-16〜U-18(高校生):フルサイズ(7.32m×2.44m)
  • 一般(大学・社会人・プロ):フルサイズ(7.32m×2.44m)
  • フットサル(参考):3.0m×2.0m
  • ソサイチ・スクール用可搬式(参考):約3.66〜5.0m×1.8〜2.0m(主催者規定による)

本記事で扱う年代区分と範囲(ジュニア〜一般)

本記事はU-6から一般(大学・社会人・プロ)までを対象に、サッカーおよび関連形式(フットサル・ソサイチ・スクール用)のゴールサイズ目安を扱います。記載するサイズは「試合」だけでなく「練習用(可搬式やミニゴール)」も含みます。

サイズ表記の前提と注意点(規格は地域・大会で差がある)

  • 大会要項や施設備品によりサイズが異なることがあります。
  • メーカーにより寸法表記が「内寸」「外寸」で異なります(詳細は後述)。
  • 同じ年代でも、人数(8人制/11人制)やピッチサイズ次第で推奨ゴールが変わります。

ゴールサイズの基本と規格の読み方

一般(フルサイズ)ゴールの国際規格

フルサイズ(11人制)の国際規格は幅7.32m(ゴールポスト間・8ヤード)、高さ2.44m(地面からクロスバー下端まで・8フィート)です。これはIFAB(国際サッカー評議会)の競技規則に準拠する基本寸法で、大学・社会人・プロの試合は原則このサイズが使われます。

年代別ゴールが「協会規定+大会要項」で変わる理由

  • 年代や人数構成(例:U-12の8人制)では、ピッチサイズや安全面、発育段階に合わせて協会が推奨サイズを設けることがあります。
  • 一方で、学校や地域クラブは既存設備に合わせて運用するため、大会主催者が要項でサイズを指定したり、許容範囲を設けたりします。
  • このため、同じ学年でも大会によりサイズが異なることがあります。

内寸・外寸の違い/mとyd表記の換算/高さ測定位置の基礎知識

  • 内寸(内法):ゴールポスト内側の幅・高さ。競技規則の基準はこの内寸です。
  • 外寸:ポストの外側を含めた全体サイズ。製品カタログに外寸が記載されている場合があります。
  • 換算の目安:1ヤード=0.9144m、8ヤード=7.32m。1フィート=0.3048m、8フィート=2.44m。
  • 高さは地面からクロスバーの下端までが基準です。設置面の沈み込みや傾きで誤差が出るため、設置時に水平器で確認するのが安全です。

年代別・競技別のゴールサイズ目安

U-6(未就学〜小学1年)ミニゴールの目安

この年代は「成功体験」「安全」「持ち運びやすさ」が最重要。軽量のポップアップ式やアルミ可搬式が一般的です。

  • 目安サイズ:幅1.2〜2.4m×高さ0.8〜1.5m
  • 目的:ゴール前でのキック成功体験を増やし、導入期の楽しさを最大化
  • 設置:グラウンドペグやウエイトでの転倒防止は必須

U-8(小学1〜2年)ジュニア用の目安

試合形式の導入が増える時期。幅3.0〜3.66m、高さ1.5〜1.83mが扱いやすく、キーパーとシューター双方の達成感を両立しやすいレンジです。

  • 目安サイズ:幅3.0〜3.66m×高さ1.5〜1.83m
  • 人数:4〜6人制のゲームにも適用しやすい
  • ポイント:GKの身長差が大きい時期のため、無理なく届く高さを選ぶ

U-10(小学3〜4年)ジュニア用の目安

シュートの強度が上がり、ゲームの幅が広がる段階。より試合に近い距離感を獲得するため、幅4.0〜5.0m×高さ1.5〜2.0mが使いやすいです。

  • 目安サイズ:幅4.0〜5.0m×高さ1.5〜2.0m
  • 狙い:中距離シュートやサイドからの崩しを成立させる
  • 練習:角度別(ニア・ファー・中央)の成功率を可視化するのに適した幅

U-12(小学5〜6年・8人制)ジュニア用の目安

国内の8人制や少年大会で広く普及している目安は「6.0m×1.8m」です。ピッチが広くなり、サイド攻撃やクロス対応、GKのコーチングが活発になるサイズ感です。

  • 目安サイズ:幅6.0m×高さ1.8m
  • 備考:大会や地域により別サイズの運用もあるため、要項確認が前提
  • 練習:クロス→フィニッシュ、セカンドボール回収、セットプレー導入に最適

U-13〜U-15(中学生)の目安

11人制の公式戦ではフルサイズ(7.32m×2.44m)を使うケースが多くなります。移行期は身体・技術の個人差が大きいため、練習では可搬式で段階的に調整するのも現実的です。

  • 試合の目安:フルサイズ(7.32m×2.44m)
  • 練習の工夫:監督方針に応じ、5.0〜6.0m→7.32mと段階的に拡張
  • 狙い:距離感・クロスの弾道・GKカバー範囲の習熟

U-16〜U-18(高校生)の目安

原則フルサイズが基準です。フィジカル・スピードが上がるため、ゴール前の「0.5m」の感覚差がリスクにもチャンスにも直結します。

  • 試合・練習:フルサイズ(7.32m×2.44m)
  • 調整:負荷管理のため、コンディションに応じたゴール縮小で精度トレーニング

一般(大学・社会人・プロ)フルサイズの目安

試合はフルサイズが大前提。練習では意図的にサイズを縮めたり広げたりして、意思決定速度・精度・連動性を高めます。

  • 試合:7.32m×2.44m(国際規格)
  • 練習:幅6.0〜8.0m相当の可変ゴールやコーン・マーカーで代用して負荷調整

フットサルのゴールサイズ(参考)

フットサルの国際規格は幅3.0m×高さ2.0mです。屋内・屋外兼用の可搬式も多く、ミニゲームの導入にも相性が良いサイズです。

ソサイチ・スクール用可搬式(参考)

ソサイチ(7人制など)は主催者規定による差が大きく、幅3.66〜5.0m×高さ1.8〜2.0mのレンジがよく見られます。スクール用の可搬式は安全と収納性を優先し、2.4〜3.66m程度が扱いやすいです。いずれも大会・施設の仕様を事前確認してください。

サイズが変わるとプレーはどう変わるか

GKのポジショニング基準とカバー範囲の違い

  • 横幅が広くなるほど、中央から同位置でも両ポストまでの射線が角度的に広がるため、前進&角度消しの重要性が上がる。
  • 高さが上がるほど、クロスバー下の「上段」ケアが必要になり、重心管理・ステップワークの質が問われる。
  • 小さいゴールでは「シュートストップ重視」、大きいゴールでは「守備範囲+コーチング(背後管理)」の比重が増す。

シュートレンジ・決定率・戦術への影響

  • ゴールが小さいほどミドルの期待値は下がり、PA内での崩しの価値が上がる。
  • ゴールが大きいほどニア・ファーの使い分け、逆足フィニッシュの価値が上がる。
  • サイズ変化は「意思決定の速さ」を求める方向に働くため、認知→選択→実行のテンポ設計が重要。

セットプレーとクロス対応の調整ポイント

  • FK・CKの狙い所:小型ゴールでは壁での封鎖効果が高く、間接的な二次攻撃が有効。
  • クロス:高さが上がるほどファーへの放物線が通りやすく、ニアゾーン攻防の再現性も高まる。
  • 守備:GKの初期位置とDFラインの高さの「連動距離」を揃えると、クリアやセカンド回収率が安定。

練習設計に落とし込む:年代別ドリルの組み立て

ジュニア年代:成功体験を生む距離・角度設定

  • U-6〜U-8:幅広めのミニゴールで至近距離〜斜め45度を多めに。1〜2タッチしばりで「前向きの認知」を育てる。
  • U-10:幅4〜5mのゴールで中央・ニア・ファーの決定率を記録。5分単位で角度・距離を変え、成功体験を計画的に積む。
  • U-12:6×1.8mでクロス→フィニッシュ(2ndも含む)。GKは前進・後退の判断を伴うポジショニングを反復。

中学・高校:フルサイズ移行に向けた段階的負荷

  • トランジション走×フィニッシュ:ゴール幅を6m→7.32mへ週単位で拡張し、決定率と守備側の回収率を比較。
  • セットプレー分解:CKのインスイング/アウトスイングを日替わりで。ゴール上段の守備導線を可視化。
  • 対人+制限:2対2+フリーマン、シュートは2タッチ以内。ゴールサイズを10%縮小し意思決定の圧を上げる。

一般:競技レベル別のゴール縮小・拡張活用法

  • 精度強化期:幅を10〜20%縮小(例:6.0〜6.6m)し、GKの立ち位置と連動したコース創出を鍛える。
  • 認知・判断期:意図的に拡張(例:7.5〜8.0m相当のマーカー)で「打つ勇気」「狙いの速決」を促す。
  • 負荷管理:連戦時は小さめゴール+距離短縮で筋負担を下げ、精度のみに焦点を当てる。

コートサイズ・ボール号数との整合性

ピッチ寸法とゴール幅・高さの比率をそろえる

フルサイズの代表例では、幅68mのピッチに対しゴール幅7.32mで、およそ「ピッチ幅の約1/9.3」。小人数ゲームでも、この比率に近づけると戦術的な学習がスムーズです。たとえば幅36mの簡易ピッチなら、ゴール幅は3.8〜4.2mが目安になります。

3号・4号・5号ボールとゴールサイズの関係

  • 3号(低学年向け):小型ゴールでキック速度・回転の学習を優先。
  • 4号(U-12向け):6.0×1.8mと相性が良く、クロス→フィニッシュの移行学習に最適。
  • 5号(U-13以上):フルサイズに合わせ、飛距離・弾道コントロールの精度を磨く。

号数は大会要項に従い、練習でも同一号数を使うと試合再現性が高まります。

ゲーム強度(人数・ピッチサイズ)とゴールの適正バランス

  • 人数が減るほど、ゴールはやや小さめでも十分な決定機が生まれる。
  • ピッチが広い場合、ゴールを大きめにするか、進入制限(シュートはPA内のみ等)でバランスを取る。
  • 強度と回復を管理したい日は、小さめゴール+距離短縮+接触制限で技術に集中。

安全性と設置チェックリスト

アンカー固定・転倒防止の必須ポイント

  • 屋外:グラウンドアンカー(U字・スクリュー)やサンドバッグ等のウエイトで確実に固定。
  • 屋内:転倒防止のウエイト一体型や壁面後方からロープ固定(施設ルール順守)。
  • 風・段差:強風時は使用中止も選択肢。段差・傾斜では無理に設置しない。

ネットの目合い・張り・摩耗チェック

  • 目合い:ボールが抜けないサイズ(一般的には100〜120mm程度以下が目安)。
  • 張り:たるみは巻き込み事故や誤判定の原因。四隅を均等に固定。
  • 摩耗:角や結束部から切れやすい。小穴は早期補修、破断は交換。

屋内外・天候別のリスク対策と保管

  • 屋外:紫外線で樹脂劣化。収納バッグやシェードで保護。
  • 雨天:金属部の防錆、使用後は乾燥保管。凍結時は無理な曲げを避ける。
  • 屋内:床材保護のためゴム脚やマットを併用。

点検頻度・稼働記録の付け方

  • 点検周期:使用前後の簡易点検+月1回の詳細点検(連結部・ボルト緩み・ネット摩耗)。
  • 記録:設置・移動・不具合・補修の履歴を残すと事故防止&予算計画に有用。

ゴール選びの実践:用途と予算で最適化

可搬式・折りたたみ・固定式の特徴と選び方

  • 可搬式:機動性が高く練習のバリエーションが増える。風対策と耐久性の見極めがカギ。
  • 折りたたみ:スクールや個人練習向け。組立の容易さと剛性のバランスを確認。
  • 固定式:試合用・常設向け。耐用年数と安全対策は最も高水準に。

学校・クラブ・個人での導入パターン

  • 学校:常設1組+可搬式1〜2組で授業と部活を両立。
  • クラブ:試合用(規格)+練習用(可変サイズ)で段階的育成。
  • 個人:2.4〜3.66mの折りたたみ+ボールストッパーネットで近隣配慮。

メンテナンス・交換部品・耐用年数の目安

  • メンテ:ボルト増し締め、フレームの歪み・塗装剥がれ確認、ネット結束の再固定。
  • 交換部品:ネット、結束紐、ジョイント、ゴム脚、アンカーなどは定期交換を想定。
  • 耐用年数:使用頻度・環境によって大きく変動。競技利用は消耗が早いため、年次点検で更新計画を立てる。

よくある質問(FAQ)

中学生はフルサイズでプレーすべき?

公式戦がフルサイズの地域・大会が多いため、試合に合わせるのが基本です。ただし移行期は体格差・筋力差が大きいので、練習では一時的に小さめゴールを併用して技術精度を高め、段階的にフルサイズに慣らす方法が有効です。

大会でゴールサイズが違う場合の調整方法

  • 前日または当日アップで「枠の見え方」を再確認(ニア・ファー・上段・下段)。
  • FK・CK・PKの基準を簡易リハーサル(助走距離・狙いどころ)。
  • GKは初期位置の基準表を用意し、試合前にコーチと共有。

自主練で代替ゴールを使うときの工夫

  • マーカーで「仮想フルサイズ」を枠外に設置し、実枠(小型)と2層構造で狙い分け。
  • 幅をコーンで可変化(+/-50cm単位)して成功率を数値管理。
  • クロスやループの再現は、ネット奥行きをロープで作り弾道の手応えを出す。

GKとフィールドで適正サイズが違う練習設定

  • GK強化日:実ゴールを縮小して被シュートを増やし、セービングとポジショニングの負荷を上げる。
  • フィニッシュ強化日:実ゴールはそのまま、もしくは拡張マーカーを付けて「打つ勇気」を引き出す。
  • 混在メニュー:前半は小さめ→後半は実寸に戻して試合再現性を確保。

出典と参考規格の確認方法

競技規則(IFAB)と国内協会(JFA等)の参照方法

  • IFAB「Laws of the Game」:フルサイズの基準(7.32m×2.44m)を明記。
  • 国内協会(例:JFA)発行の年代別ガイドライン・競技規則:U-12の8人制等で推奨サイズが示される場合があります。

大会要項・ローカルルールの読み解き方

  • 必ず「内寸か外寸か」「許容誤差」「設置方法(固定・可搬)」を確認。
  • ピッチサイズとのセット記載を見落とさない(人数・コート寸法と連動)。
  • ボール号数・試合時間・交代ルールも併せてチェックし、練習設計に反映。

サイズ表記の確認で見落としやすいポイント

  • 高さの測定位置(地面→クロスバー下端)が不明確なまま導入しない。
  • ネット奥行き(上部・下部)の違いでシュートの抜け感が変わる。
  • 可搬式は使用地面(芝・土・人工芝・体育館)で固定方法が変わる。

まとめ:サイズ選定のチェックリスト

年代・競技・会場条件での最終確認項目

  • 対象年代とボール号数(3/4/5号)の整合性は取れているか。
  • 大会要項のサイズ・内外寸・許容誤差・固定方法を確認したか。
  • ピッチ寸法に対し、ゴール幅の比率が過大・過小になっていないか。

安全・効果・コストのバランス最適化

  • 安全:アンカー固定・ネット状態・設置面の水平を最優先。
  • 効果:練習目的に応じてサイズを可変し、意思決定の質を高める。
  • コスト:交換部品の入手性とメンテ負荷を事前に把握。

次のアクション(導入・練習・検証)

  • 導入:年代別の目安から候補を絞り、施設・大会基準と突き合わせ。
  • 練習:フェーズごとにゴールサイズを調整し、成功率と被決定率を記録。
  • 検証:1〜3か月サイクルでサイズ設定とメニュー配分を見直す。

おわりに

ゴールサイズは「ただの道具の大きさ」ではなく、戦術の学習速度、技術の成功体験、安全性、そしてゲームの面白さを左右するレバーです。年代・人数・ピッチ・ボール、そして目標に合わせて最適なサイズを選び、練習では意図を持って可変させる。これだけで、日々のトレーニングがぐっと実戦的になります。今日の練習から、あなたのチームに合ったゴールサイズを設計してみてください。

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