サッカー経験者や、サッカーに取り組むお子さんを持つ親御さんの多くから「どうしたらもっと得点に絡めるのか」「ワンランク上のプレーがしたい」といった相談をよく耳にします。そんな時に必ずお伝えするのが「オフザボール（ボールがない時）の動き方」の大切さ。目立つのはボールに触れる選手ですが、実はボールがない場面こそ勝負を決める分岐点。この記事では、サッカーにおけるオフザボールの動き方を徹底解説し、得点力アップにつながる秘訣や実践方法を紹介します。

はじめに：オフザボールの重要性とは

サッカーで求められる総合力

サッカーはボールを持っている間だけが勝負ではありません。ピッチでのプレー時間の多くは、実は選手がボールを持っていない「オフザボール」の状態です。プロの試合データによれば、選手がボールを持つ時間は1試合を通じてごく僅か。つまり、残りのほとんどの時間をいかに動くかが、パフォーマンスやチームへの貢献度を大きく左右するのです。

「オフザボール」とは具体的に何か

「オフザボール」とは、その名の通りボールを持っていない時に発生する一連の動きや判断のことを指します。攻撃ではスペースを作ったり、マークを外したり、守備ではボールホルダーへのプレッシャーやカバーリング、パスコースの遮断など役割は様々。見えにくい部分ですが、ここが強化されることでプレーの質は大きく向上します。

オフザボールの動き方 基本編

ポジショニングの基本概念

正しいポジショニングは、良いオフザボールの第一歩です。自分の立ち位置が、味方のプレーを助けたり相手の脅威になる地点にあるかを常に意識しましょう。例えば、味方がピンチの時にはパスコースとなる位置に立つ、チャンス時にはゴール前の危険なエリアに飛び込むなど、その状況で最適なポイントを素早く確保することが大切です。

スペースを作る、見つけるための動き

サッカーは「スペース」をどう使うかがカギ。ボールがないときでも、足を止めてしまうと攻撃の幅が狭まります。ディフェンダーを引き付けたり、自身が空いているスペースに入り込んでチャンスを作り出す…このような「自ら動いてスペースを作る・見つける」プレーこそ、オフザボールの醍醐味です。走るだけでなく、相手の背後や逆サイドへの動きも有効なので視野を広く持ちましょう。

味方や相手との関係を意識した動き

オフザボールの動きは自分本位では成り立ちません。味方がボールを持てばサポートの位置、チームとして組織的な守備ならカバーの位置など、「周りとの関係性」を意識した動きが重要です。また相手DFの視線や立ち位置も注意深く観察し、タイミングよく動くことで簡単にマークを外せることがあります。

状況別：オフザボールの動き方実践例

攻撃時のオフザボールの動き（裏抜け・サポートラン・ポストプレー）

攻撃時には様々なオフザボールの動きが要求されます。代表的なのが「裏抜け」…相手DFの背後へタイミングよく走り込みパスを受ける動きです。また、ボールを持つ味方の近くに動きながら受けやすくする「サポートラン」、ゴールを背負いながらボールを受け味方へつなぐ「ポストプレー」も得点につなげる重要なスキルです。ポイントは、単調な動きや常に同じタイミングだと読まれてしまうので、変化や緩急を付けること。

守備時のオフザボールの動き（プレス・カバー・パスコースを切る）

守備でもオフザボールが大活躍します。ボールを持つ相手に対して寄せる「プレス」、味方DFのカバーに回る「カバーリング」、パスコースを予測し封じる「パスコースを切る動き」など多岐にわたります。自分がダイレクトにボールを奪えなくても、周囲の連携や相手の選択肢を削る動きが全体の守備強度を高めます。

セットプレー時の動き

コーナーキックやフリーキックなどのセットプレーは、オフザボールが点につながる大チャンス。ここでは、ゴール前でマークを外す動きやフェイント、壁になる味方の活用、走り込むタイミングの工夫が効果的です。事前にチームで動きを決めておくのはもちろん、相手のマークを読んで臨機応変に動くことも大切です。

得点力を上げるオフザボールのコツ

得点に繋がる動きを習得するポイント

得点力を上げるためには「フィニッシュに直結するオフザボールの動き」を繰り返し身につけることが重要。例えばゴール前でワンテンポ遅らせてから動き出す、相手を逆に動かして外す、味方の視線やボールの出し手とアイコンタクトを図るなどちょっとした工夫で大きな違いが生まれます。

状況判断と決断力の鍛え方

オフザボールの動きは、その場の状況判断や素早い決断力も不可欠。ボールが来るか分からない中でも常に動く準備をし、「今ここで動くべきか？」「味方と重ならないか？」と考え続けることが大切です。これは試合以外でも周囲を観察する習慣をつけたり、練習の中で意識的に場面をイメージしたりすることで鍛えられます。

タイミングを合わせるために意識すべきこと

せっかく良い場所へ動いてもタイミングが合わなければ意味がありません。ボールの持ち主がパスを出そうとする瞬間に合わせて動き出すことを意識しましょう。動き出すタイミングは一瞬の遅れ・早すぎでも相手に読まれたり、パスが出せなかったりします。足元や背後のパスに反応する練習、味方との目線やサインの工夫で完成度を高めましょう。

オフザボールの動きを上達させる練習方法

個人で取り組めるトレーニング

一人でもできるトレーニングとしては「イメージトレーニング」が有効です。試合映像を見ながら「自分ならどこに動くか」を考えたり、ジョギングやランニング中に仮想の味方や相手を想定しながらポジション取りを意識するのも効果的です。意識する習慣が身につけば、試合中も自然と動けるようになります。

チーム練習で意識すべきポイント

チーム練習ではパス＆ムーブ（パスを出してすぐ動く）や、少人数のポゼッション（ボール回し）練習がオススメです。その際、「ボールを出した後にどこで受けるか」「味方のサポートにどう動くか」を常に考えながら取り組むとオフザボールの動きが意識できるはずです。また、ゲーム形式の中で「ボールを持ってない選手に声をかけ合う」ことをルールに取り入れると、より実践的です。

プロ選手の実例に学ぶ

世界トップレベルの選手も、優れたオフザボールの動きで得点やアシストを量産しています。たとえば、スピードを武器にする選手は裏への飛び出しやタイミングを工夫し、テクニックタイプの選手は味方と連携したポジショニングでマークを外しています。実例を動画で確認し、自分のプレースタイルに合った動き方を研究するのもおすすめです。

よくある質問（Q&A）

オフザボールが苦手な人はどうすればよい？

「動き出しが遅い」「どうしても止まってしまう」といった悩みは多いですが、まずは“どう動くか”の前に“動こうとする意識”を強く持つことが大切です。最初はシンプルに、パスを出したら2歩動く、味方の動きに合わせてポジションを変えるだけでも効果があります。動画でプレーを振り返り、自分の動き方を客観視して少しずつコツを掴んでいくのがおすすめです。

身長や走力がなくても活躍できる動き方は？

オフザボールの動きは、必ずしもフィジカルやスピードが全てではありません。むしろ視野やタイミング、相手の裏をかく頭脳プレーが結果につながる場面も多いです。小柄な選手や走力に自信がなくても、相手DFの死角に入る、ワンテンポずらす、味方の動きを利用するなど工夫次第で十分に活躍できます。

試合中に意識を続けるコツは？

試合中はつい熱くなってボールばかりを追いがちです。オフザボールを意識し続けるためには、「試合中もできるだけ首を振って周囲を確認する」「チームで“声かけ”を決め事にする」「自分への合図（ボールがサイドに行ったら必ず動く、等）を持つ」といった方法があります。慣れるまでは難しく感じますが、意識する回数自体が増えてくると、だんだんと自然にできるようになります。

まとめ：オフザボールの成長がサッカー人生を変える

サッカーの上達や得点力アップは、ボールテクニックだけでは手に入りません。「オフザボールの動き方」を磨くことは、誰にでも出来て、今すぐにでも始められる大きな伸び代です。ぜひ日ごろの練習や試合で意識し続け、自分なりのプレースタイルと組み合わせてみてください。チームで信頼される選手、得点に絡める選手への第一歩となるはずです。何より、“サッカーがどんどん楽しくなる”それがオフザボールを極める最も素晴らしいご褒美です。