サッカーの守備力をアップさせたい方や、守備面でさらなる成長を求める高校生・社会人の選手、その保護者の方へ向けて、今回は「外切りプレス」の基本と実践術について徹底解説します。外側へ追い出して守りきるこのプレス技術は、現代サッカーで注目される守備戦術のひとつ。分かりやすく基礎から応用までまとめているので、実際の試合やトレーニングに即活用できます。守備の駆け引きで一歩リードしたい方におすすめのノウハウを、丁寧にお伝えします!
目次
外切りプレスとは?基礎知識と重要性
外切りプレスの定義と特徴
外切りプレスとは、ディフェンス時に相手ボール保持者へアプローチする際、内側(中央・ゴール方向)を切り、自分とタッチライン側へ追い出すようにプレッシャーをかける守備技術です。
この守備法は「外側を切る」のではなく、「内側を切ることで外側にボールを運ばせる」点が特徴的。意図的に相手を不利な選択肢へ誘導し、チーム全体で奪いどころを作る役目を担います。
主にサイドエリアや数的不利を避けたい場面、状況判断が求められる場面で高い効果を発揮します。
なぜ外側へ追い込むのか?戦術的な背景
サッカーにおいて「外側へ追い出す」ことは、守備側に多くのメリットがあります。代表的な理由をいくつか挙げると、
- パスコース(特に中央やゴール前への展開)を制限できる
- サイドラインが「追加のディフェンダー」として機能しやすい
- 攻撃側は、突破ルートやシュート角度が限定される
- 味方のサポートやカバー、数的優位なエリアへ誘導できる
外切りプレスには、相手の攻撃オプションを削り、最終的には「奪いどころ」「ミスを引き出すポイント」を作り出せるという、戦術的な深みがあります。
現代サッカーにおける外切りプレスの位置づけ
近年、ポゼッションサッカーやビルドアップ能力の高いチームが増えているため、守備者にはより高度な判断力と連携が求められています。
特に国内外のトップリーグや代表レベルでも、外切りプレスやゾーンディフェンスが重視されているのは、リスク回避とボール奪取の効率の良さに理由があります。
ポジションや戦術の違いを問わず、現代的な守備では欠かせない基礎技術となっています。
外切りプレスの基本動作
スタンスと重心の置き方
外切りプレスを成功させるには、安定したスタンスが欠かせません。
膝を軽く曲げ、重心をやや低めに保つことで、素早い横移動や切り返しに対応しやすくなります。足幅は肩幅よりやや広めを目安にし、前傾姿勢になり過ぎないよう注意しましょう。
全身の力みを取って、リラックスした状態を意識すると体の反応も良くなります。
間合いの詰め方と角度
相手との間合い(ディスタンス)は、プレス成功の最初の分かれ道です。
- 距離が遠すぎると、簡単に前を向かれたり、パスを通されたりしやすい
- 近すぎると、抜かれた時のリスクが高くなる
理想は、相手がトラップした瞬間や、周囲のサポートとの距離・状況に応じて1.5~2m程度から一気に距離を詰めること。
角度にも注意が必要で、自分と相手、サイドラインで「三角形」をつくるようなイメージを持てると、相手の内側をしっかりとふさげます。
体の向き・ステップワークのコツ
プレス時の体の向きは、「内側を背中で切る」イメージが基本です。
スタンスは斜め(相手の中央側を背中でふさぐ)ように構え、足をクロスさせすぎないステップワークを心がけます。これにより、相手が外側に進んでもすぐに対応でき、かつ内側への突破は物理的に難しくなります。
焦って踏み込みすぎず、相手の動きに反応できる余裕を持たせることもポイントです。
状況別・ポジション別の実践術
サイド・中央それぞれの外切りプレス
サイドエリアでは、サイドラインを活用した外切りプレスが特に有効です。
相手をサイドに押し出し、パスコースやスペースを制限。サイドバックやウイングが連動してプレス圧を高める場面がよく見られます。
中央の守備者の場合は、やや難易度が上がります。相手にゴール前へのパスやドリブルの“抜け道”を与えない配置とアプローチ、相手の利き足やプレースタイルを加味した斜めの切り方など、より繊細な判断が求められます。
FW・MF・DFによるプレスの使い分け
- FW:前線からのファーストディフェンスで、CBやサイドバックに対して外切りの意識を持ってプレッシャーをかけるのが理想です。
- MF:中盤でのプレスは、後方の十字ラインやカバーを考えながら、無理な飛び込みは避ける。相手の受け方やサイドチェンジへの警戒も重要です。
- DF:特にサイドDF(SB)がサイドへ追い出しつつ、無理に仕掛けてくる相手とはタイミング勝負になります。CBは焦らず、マークやカバーのバランスを取りながら連携することが大切です。
ポジションによる役割の違いを意識すると、ミスやギャップを減らすことができます。
相手選手の特徴に応じた対応
外切りプレスは万能ですが、相手の特徴を見極めることが大切です。例えば、
- スピードやキープ力のある選手には、プレスのタイミングや角度を慎重に見極める
- 利き足やフェイントを多用する選手には、身体の向きや重心の読まれ方に注意する
- サイドエリアでクロスが得意な選手には、早めの詰めとクロスブロックの意識を持つ
状況と選手ごとの強み弱みを理解し、柔軟にプレスの方法を変えるのが上級者へのステップです。
外切りプレス成功のカギ:コツと意識すべきポイント
プレスの狙いを明確にする
漠然とプレッシャーをかけるだけではなく、
- どこでボールを奪いたいのか
- どこへ相手を誘導したいのか
など、「狙いの明確化」が外切りプレスでは最重要です。
例えば、「ここで外へ追い出して、味方とのダブルチームで奪う」、「タッチライン際で攻撃の自由度を奪う」といった意識があれば、一歩遅れた時の切り替えや、連携時のポジショニングでもミスが減ります。
味方とのカバーリング・連携
外切りプレスは、原則として“一人で完結するプレー”ではありません。
背後や中央にいる味方DF・MFとの声掛けやアイコンタクト、カバー体制の徹底が成功率を高めます。
二人、三人の連動でこそ奪えるシーンも多いため、「自分が追い出し、味方が刈り取る」という連鎖イメージで動きましょう。
瞬間的な判断力の鍛え方
守備時は、一瞬の判断が勝敗の分かれ道となります。
外切りプレスの場合、「今詰めるべきか、ステイすべきか」「かわされた時のリカバー手順」などを素早く取捨選択する力が求められます。
この判断力は、ゲーム形式のトレーニングや実戦経験を重ねる中で徐々に高められます。映像分析や、日々の振り返りも有効です。
よくある失敗・課題とその克服法
かわされる、裏を取られるケース
外切りプレスでよく起きる失敗には、
- 体の向きが甘く、中央側を突破されてしまう
- タイミングが遅れ、簡単に抜かれてしまう
- ボールと相手両方をしっかり見られていない
などがあります。
改善策は、斜めの姿勢を確実に取り、肩越しに中央側を常に意識すること。また、フェイントや切り返しへの「半歩の余裕」を持って構えることです。
そして、決して1回の突破で諦めず、すぐにリカバーに入る諦めない姿勢も大切です。
ファウルになりやすいパターン
強引に体を寄せすぎて倒してしまう、不意な手の使い方でファウルを取られてしまう…こうした課題も多く見られます。
接触の場面では、
- 前がかりになりすぎず、「押す」のではなく「寄せる・はさむ」
- 不用意な手や腕のアクションを避ける
- 足を不用意に相手足の間に入れない
を意識しましょう。
ポジショニングとステップワークを磨けば、ファウルは大幅に減らせます。
プレスが効かない時の見直しポイント
「がんばって詰めているのに、突破される…」
そんな時には、追い出し方の角度・間合い・スピードいずれかが適切か振り返りましょう。
チーム全体での奪いどころの意思疎通、連動したプレッシャーになっているかのチェックも重要です。
状況によっては、一度下げてリセット(守備ブロックの再形成)も選択肢の一つ。無理をせず修正する柔軟性も持ちましょう。
外切りプレス力を高めるトレーニングメニュー
基礎ドリル:1対1外切りプレス練習
基本に戻るなら、やはり1対1ドリルが効果的です。
・ボール保持者と守備者が正対し、守備者は外切りの体勢で内側を切りながらプレス
・抜かれたら即リカバリー、本数を重ねて「味方ラインに誘導する感覚」も体得しましょう。
・片側にコーンやラインを設け、サイドアウトしたら攻守交代するなど、目的意識を明確にします。
グループ:複数人でのプレス連携トレーニング
2対2や3対3のミニゲームで、「外切りのプレス役+カバー役」の連携を重視しましょう。
一人が追い出しを担当し、他の味方がパスカットやミスを狙います。
連携のタイミング・声かけ・ポジション修正など、実戦に近い判断力が養えます。
試合形式での実践トレーニング
フルコートやハーフコートで、一定エリアへの侵入・サイドライン活用をテーマにゲーム形式でトレーニングを行います。
実戦で外切りプレスの効果がどれほどか、どこが課題かを体験し、トレーナーやコーチと振り返るのも効果的です。
チームでの連携・コーチングのポイント
全体の守備戦術としての位置づけ
外切りプレスは、個人技術にとどまらず、チーム戦術の一部として初めて大きな力を発揮します。
どこでスイッチを入れるか、どのエリアで追い出す形を徹底するのかを決めておくと、守備陣の混乱やバラバラな動きが減少します。
ビルドアップ対応や、相手ごとの守備パターンセットも事前に共有しておきましょう。
チーム練習での声かけ・コミュニケーション
「もっと外へ!」「中央切って!」といった具体的な声かけは、外切りプレス習得と実践で欠かせません。
プレー中に「あそこへ追い出そう」「今が奪い時」と声を掛け合い、全体で守備意識を統一しましょう。
また、うまくいかなかった場面でも、試合後や休憩中にフィードバックをし合うことが上達の近道です。
指導・育成で意識したい点
コーチや保護者の方が指導時に意識したいポイントは、
- まずは「なぜ外切りをするか」を理論立てて説明
- できる範囲で実演・具体例を使い、感覚ではなく論理で理解を促す
- できている部分をポジティブに評価し、ミスを恐れずチャレンジさせる
守備的なプレーこそ「主体的な判断」や「自信」が重要です。
自主トレや家庭での会話でも、守備観の深堀りがパフォーマンスアップにつながります。
外切りプレスがもたらす守備力向上の効果と今後の展望
個人・チームにもたらすメリット
外切りプレスの習得により、個人では1対1に自信が持てる・失点リスクが減る。また、チーム全体では守備組織が安定し、攻撃への切り替えもスムーズになるなど、守備面だけでなくゲーム全体に好影響を与えます。
ピンチの回数が減るだけでなく、ショートカウンターや早い攻撃につなげられるのも大きな武器です。
国内外トップチームの事例
世界のトップチームでは、外切りプレスやゾーンディフェンスが非常に高いレベルで実践されています。例えば、ヨーロッパのほとんどの強豪クラブや代表チームが採用し、テレビ中継でもよく解説されています。
日本のJリーグやユース世代でも、多くの強豪校が組織的な外切りプレスを強化しています。
「個々の技術×組織力」の重要性が一層増している現在、研究・実践する価値がさらに大きくなっています。
守備戦術のトレンドと今後の注目点
近年は、「守備=耐える」ではなく、「守備=能動的にゲームをコントロールする」意識にシフトしています。
速いトランジション、ビルドアップの巧拙に加え、「奪いどころ」「プレッシャーの連鎖」が勝敗を左右する時代。
今後も外切りプレスの技術・理論は進化し、戦術理解や状況判断力が問われるため、高校生・大学生・社会人から子供まで、幅広い世代が学び続ける意義は増していくはずです。
まとめ:外切りプレスを磨いてワンランク上の守備力へ
この記事の総まとめ
外切りプレスは、サッカー守備の現代ベーシックとも言える重要技術です。
基礎の「体の向き・間合い・連携」を押さえ、状況ごと・相手ごとに柔軟に実践すれば、あなた自身もチームも守備力のレベルが一段階高まります。
一つひとつの意識や動きの積み重ねが、ワンランク上のプレー、ひいてはチームの勝利につながると信じましょう。
今後の自主練・練習で意識したいこと
今日学んだ外切りプレスのポイントを、ぜひ日々の自主練やチーム練習で意識化してみてください。
・体の向き、間合い、ステップワーク
・連携やカバー、声かけの重要性
・失敗や苦手意識はそのままにせず、小さな疑問や課題は都度見直しながらステップアップ
自分の成長をチームのため、そしてサッカーの楽しさや勝利の達成感に変えていきましょう!
守備力アップのための挑戦、あなたのプレーを応援しています。