目次
- マンツーマン コツを図解級に掴む動き方
- マンツーマンの狙いと原則を30秒で把握する
 - 図解級に掴むコツ:距離・角度・体の向き
 - 視野を広げる首振りルーティン
 - 足運びと重心操作:抜かれないステップワーク
 - 入る・待つのスイッチ:守備トリガーで動く
 - ボールサイド・ウィークサイドの役割とスライド
 - 反則しない接触:手・上半身の使い方
 - ポジション別:マンツーマンのコツ
 - 局面別対応:背後ケア・競り合い・ドリブル対応
 - セットプレーで負けないマンツーマン
 - 相手がマンツーマンの時:攻撃側の外し方も知る
 - 練習ドリル集(言葉で図解級に伝える)
 - よくある失敗と即効修正フレーズ
 - 体力・メンタル・データで継続的に強化
 - 試合前後チェックリスト
 - Q&A:現場でよくある悩みの解決策
 - まとめ:マンツーマンのコツを図解級に掴む動き方
 
 
マンツーマン コツを図解級に掴む動き方
マンツーマン守備は「足の速さ」よりも「距離・角度・体の向き」といった準備で9割が決まります。図はなくても大丈夫。ここでは、頭の中に映像が浮かぶ言葉の図解で、今日からすぐに使える具体的なコツをまとめました。読みながら自分の試合映像や練習の場面を思い出し、動きの順番とキーワードを自分の言葉に置き換えていきましょう。
マンツーマンの狙いと原則を30秒で把握する
ゾーンとの違いと併用の考え方
マンツーマンは「人を見る」守備、ゾーンは「場所を守る」守備です。実戦では多くのチームが併用します。ボールに近いところ(危険度が高い範囲)はマンツーマン寄りに圧をかけ、遠いところはゾーンで予防。要するに、ボールサイドは濃く、ウィークサイドは薄く。相手と自分の距離が“変わり続ける”のが特徴なので、常に微調整が必要です。
優先順位の原則(ボール・ゴール・人)
守備の優先順位は「ゴール→ボール→人」が基本。ゴールを守る立ち位置を外さない、次にボールの移動に遅れない、最後に担当の相手を抑える。マンツーマンでも「人に張り付きすぎてゴールを空ける」は本末転倒です。自分の背後にゴール、正面にボール、斜めに相手。この三角形を維持できているかを確認しましょう。
「抜かせる方向」を先に決めるリスク管理
完璧に止めるより「抜かれてもOKなコース」を先に決める方が安全です。タッチライン方向に追い出すのか、味方カバーがいる内側に誘導するのか、事前に選択。身体は45度の半身、利き足側を塞ぎ、外or内のどちらに“逃がすか”を味方の配置で決めておきます。守備は確率のスポーツ。選択と集中で危険を限定しましょう。
図解級に掴むコツ:距離・角度・体の向き
最適マーク距離の基準(相手速度・自分速度・カバー人数)
マーク距離は「腕一本+半歩」を基準に、相手の速度と自分の速度、カバー人数で調整します。
- 相手が止まっている:腕一本(約60〜70cm)+半歩。前向きにさせない距離。
 - 相手が加速中:1〜1.5m。背走に備えて余白を作る。
 - 自分が遅い/相手が速い:距離を広げ、先に角度で限定。
 - カバーが多い:距離を詰め、奪う選択。カバーが少ない:遅らせる選択。
 
目安は「一歩で触れる距離」。触れない距離は遠い、常に接触してしまう距離は近すぎ。足ではなく“届くイメージ”で測りましょう。
45度の半身とアウトサイド誘導の作り方
正面に立つと相手の選択肢が増えます。肩とつま先を45度外向きにして半身を作ると、アウトサイドへ誘導しやすくなります。コツは3つ。
- 外足を半歩前、内足はやや後ろ。骨盤ごと角度をつける。
 - 内側の手は相手の胸元ラインに“触れない距離”で準備。触るのは最後。
 - 視線はボール8:腰2。足先ではなく腰の向きで進行方向を読む。
 
味方カバーが内側なら外へ、ラインが近いなら外へ、ハーフスペースに罠があるなら内へ。環境で誘導先を変える柔軟さが鍵です。
背後ケアと最後の一歩(ラストステップ)の質
ロングボールや縦パスが来る場面は「背中を開く」準備が必須。体をややオープンにして、ボールも相手も視野に入れる“L字の目線”を作ります。奪いに行く最後の一歩は、膝を抜いて重心を低く、足の裏〜インサイドで触れる長いストライドが安定します。届かないなら踏み込まない。ラストステップは「奪う/遅らせる」の意思表示です。
視野を広げる首振りルーティン
キック前後のスキャン頻度とタイミング
推奨は「キック前0.5〜1秒」と「キック直後」に各1回。受け手の前で2回見るイメージです。走りながら横をチラッ、止まりながら縦をジッ。質の高い首振りは、回数よりタイミング。ボールが動く“前後”で見ると、情報が古くなりません。
視野レイヤーの順番(ボール→マーク→スペース→カバー)
見る順番を固定すると迷いが減ります。
- ボール:キックできる状況か(タッチ・体勢)。
 - マーク:自分の相手の立ち位置・利き足。
 - スペース:背後と足元、どちらが危険か。
 - カバー:味方の有無と距離、誘導先の安全度。
 
この順で0.8秒内に回す練習を習慣化しましょう。
背中側のセンサーをつくる聞き分け・気配取り
視覚だけに頼らず、相手の足音・呼吸・芝を蹴る音も情報源。背後のランは「加速の呼吸」と「地面を強く蹴る音」で早めに察知。肩越しにチラ見できないときは、外側の手を軽く広げて距離感を測ると安心です(押さない)。
足運びと重心操作:抜かれないステップワーク
サイドステップ・クロスステップ・ドロップの使い分け
基本はサイドステップで距離を合わせ、スピードに乗られたら1回だけクロスステップで追随。完全に背後を取られそうならドロップ(斜め後退)で間合いを回復。クロスは2連続すると体が正面に戻れず、切り返しに弱くなります。原則「横→1回クロス→ドロップで再セット」。
一歩目のアタックと止まる技術(減速のコツ)
寄せの一歩目は小さく速く。最後は必ず「止まれる速度」に落とすのが前提です。減速のコツは、外足で地面を斜め後ろに蹴ること。上体だけ前に突っ込むとファウルが増えます。止まれないスプリントは守備では失点に直結。奪う前に“止まる準備”をセットにしましょう。
相手の利き足・得意コースを切る身体配置
利き足側に“膝”を置くイメージでコース切り。例えば右利き相手なら、自分の左膝を相手の右足とボールの間に置き、内足で小刻みに調整。相手が中へ持ちたがるタイプなら内側の肩を前に出して壁を作る。コースを切るのは足より膝・肩・骨盤のラインです。
入る・待つのスイッチ:守備トリガーで動く
典型トリガー(背向き・浮き球・トラップ外・視線切れ)
奪いに行く合図はわかりやすいほど成功率が上がります。
- 背向きで受けた瞬間:背中にタイト、半身で外へ。
 - 浮き球の滞空中:落下点へ先取り、体でラインを作る。
 - トラップが外へ跳ねた:一歩目でアタック、体で間を塞ぐ。
 - 視線が足元から外れた:パス先を見た瞬間は触りやすい。
 
二人目三人目と繋がる合図と言葉
言葉は短く強く。「外!」「中!」「待て!」「替わる!」など単語で統一。体の合図は、人差し指で誘導方向、手のひらでストップ。スイッチの瞬間に言葉と合図を重ねると、全員の判断が合いやすくなります。
触れない時の遅らせ方とライン調整
届かない時は、スピード勝負を避けて“遅らせ”に切り替え。ボールから半身で斜め後退し、パスコースを1本消しながら味方のラインを待ちます。背後のスペースが広いなら一度ラインを下げる。遅らせは「コース限定+時間稼ぎ」がセットです。
ボールサイド・ウィークサイドの役割とスライド
圧縮と予防:サイドで詰める/逆サイドで消す
ボールサイドは圧縮、ウィークサイドは予防。ボールサイドのマンマークは寄せる距離を半歩短く、ウィークサイドはマークとゴールの間にポジションを取り、縦パス一本で通されない立ち位置を優先します。全体が2〜3mずつ同じ方向に“カーテンのように”動くのが良いスライドです。
カバーシャドーで縦パスを隠す動き方
自分の体で相手のパスコースを影のように隠す「カバーシャドー」。相手の受け手とボールを結ぶ直線上に自分の“背中”を置くと、縦パスが見えづらくなります。真正面ではなく、半歩ずらして三角を作ると、奪ってからの前進もスムーズです。
サイドチェンジ時の優先順位とリカバリー走
サイドチェンジが来た瞬間は、走る方向を「ゴールを守れる斜め後ろ」に固定。一直線にボールへ行くと内側が空きます。最短で戻ってから横へ、が基本。マーク相手より先に“内側のライン”を確保し、そこから距離を詰めましょう。
反則しない接触:手・上半身の使い方
寄せる・当てる・押さないの境界線
手は“触れても押さない”。肩から胸で相手の進行方向に“面”を作ると、接触がクリーンになりやすいです。寄せるときは手の甲で距離を測り、当てるときは胸と肩、押さないために肘は締める。体の面で遅らせ、足で奪う、が基本順序。
審判基準の読み方とリスクゾーン認識
試合開始10分で笛の基準を確認。手が引っかかりやすい審判なら、以降は肩主体に。リスクゾーン(PA内・サイド際・逆襲の起点)では、背中を押す・腕を伸ばす動作は避け、並走で体を入れ替える技術を優先します。
PA内での接触管理と身体の置き方
PA内は「前に入る」勝負。背後から押すのはリスクが高いので、カットバックの角度へ先回りし、ランニングコースに体を置く。シュートモーションには足からではなく体の軸でブロック。ボールに触れなくても、コースを塞げば守れます。
ポジション別:マンツーマンのコツ
センターバックvsセンターフォワード:背負わせて奪う
背負われた瞬間に“背中の中心線”を取る。片側に体重を乗せて、相手のターン軸をズラすとトラップが甘くなります。前を向かせないことが最優先。セカンドボールの落下点へ半歩先取りできる体の向きを保ちましょう。
サイドバックvsウイング:縦切りと中切りの判断
味方ボランチが内側を締めているなら外へ追い出す(縦切り)、内側が空いているなら中切りでカットインを封鎖。相手の利き足と逆足タッチの質を早めに確認し、弱い方へ誘導するのが定石です。
ボランチvsIH/10番:受ける前に外すアプローチ角
受ける前に“体の前”へ潜り込むのがコツ。ボールが出るラインに対して斜め前からアプローチし、半身でパスコースに背中を差し込むと、足元で前を向かせません。触れないなら背中でカバーシャドーを作り続けます。
前線のファーストDF:奪回トリガーとコース限定
GKやCBがボールを持った時のトリガーは「逆足トラップ」「視線が外れた瞬間」「止まったボール」。内切りでアンカーを消し、サイドへ誘導。味方のラインが連動しやすい方向へ“押し出す”のが役目です。
局面別対応:背後ケア・競り合い・ドリブル対応
背後へのランに対する身体の向きとオープン姿勢
背後ケアは「体を開いておく」ことで、前後への切替が速くなります。外側の肩を少し下げ、腰をひねってボールと相手を同一視野に。背走時は腕を大きく振らず、肘を締めて接触リスクを下げると安定します。
空中戦の体勢づくりとセカンドボール予測
ジャンプは“着地”から逆算。片足で弾まず両足で沈み、膝と股関節を一緒に伸ばす。相手より半歩前のポジションを取ると、競り合いで体が流れません。落下点の後ろ1mにセカンドが落ちることが多いので、そこへ一人配置すると回収率が上がります。
縦ドリ/カットイン別の足の出し方と奪い所
縦ドリには外足のインサイドでボールとラインの間に差し込み、体は外側から当てる。カットインには内足で角度を切って、外足でボールを狙う“二枚刃”。奪い所はタッチ直後と視線が上がった瞬間。届かないなら無理に足を出さないのが結果的に安全です。
セットプレーで負けないマンツーマン
マークの始点を決める(視線・身体・距離)
相手の視線がボールへ移った瞬間を始点に、自分の前に体を入れる。腕一本の距離から、相手が走るコースの内側に“先に立つ”イメージ。背負う形か、横並びかを統一しておくと混乱が起きません。
ブロック/スクリーン対策と入れ替わり対応
スクリーンには「早めの外回り」か「内へ潜る」の二択。止まらないことが最優先です。入れ替わりには手のひらで“替わる”合図を出し、声で相手名を明確に伝達。迷ったらゴール側優先でポジションを確保します。
セカンドボールとグラウンダー変化への準備
こぼれ球はPA外弧付近へ出やすいので、そこに一人。グラウンダーに変わった時は、足元のコースを先に塞ぎ、シュート体勢に入る前の一歩目で詰めます。
相手がマンツーマンの時:攻撃側の外し方も知る
ピン留め・入れ替わり・逆走でフリーを作る
攻撃側の狙いを知れば守備も強くなります。FWがCBをピン留め(固定)し、味方が背後から入れ替わる、あるいは一度逆走してマーカーを外す。これに対しては、受け渡しの合図とカバーの優先順位が重要です。
合法的スクリーンの使い方とタイミング
肩が触れない距離で“進行方向を塞ぐ位置取り”が攻撃の合法的スクリーン。守備側はスクリーンを迂回するコースを事前に共有し、止まらないこと。止まると一気に外されます。
ゾーン間への移動でミスマッチを生む手順
相手が厳しいマンツーマンなら、ゾーン間の境目に立たれると受け渡しが発生。守備側は境目で待たず、先に身体を入れて“誰が見るか”を早決め。遅れると数的不利に見える瞬間が生まれます。
練習ドリル集(言葉で図解級に伝える)
2人1組ミラーリング:距離・角度・向きの反復
1人が自由に横移動と前後フェイント、もう1人が“腕一本+半歩”を保ちながら45度半身でミラー。30秒×6本。合図で外・内の誘導先を切り替え、体の向きを即時変更する練習です。
1対1:遅らせ→刈り取りの二段階ドリル
最初の5mは遅らせのみ(足を出さない)、合図で一気に奪いに転換。減速→一歩目→ラストステップの連動を体に覚えさせます。攻守交代で8本。
3対3:マッチアップ固定+スイッチ合図付き
各自マークを固定し、コーチの「替わる!」合図で瞬時に受け渡し。言葉と指差しをセットで。スライドとカバーシャドーの角度を全員でそろえます。
セットプレー:ブロック対策とマーク再捕捉
コーナーで相手がブロックを仕掛けたら、外回りで再捕捉する動線を事前に決めて反復。始点の距離と体の向きを統一します。
よくある失敗と即効修正フレーズ
近すぎ/遠すぎ問題は「届く距離」を基準に
修正ワード:「一歩で触れる?」。触れないなら近づく、常に触れてしまうなら半歩離す。自分で問いかけると距離が安定します。
正面化で抜かれる→半身と誘導ワードで修正
修正ワード:「45度・外へ」。体の向きを声に出すと半身が戻ります。誘導先を言語化して意思表示をはっきりさせましょう。
ボールウォッチャー化→首振りタイムキュー導入
修正ワード:「前・後」。キック前後に見る、と決めておけば視野が途切れません。合図でチーム全体の見るタイミングを合わせます。
接触の質が悪い→面で当てる/手は触れるだけ
修正ワード:「面・押さない」。胸と肩で止め、手は距離計。肘を締めるとファウルが減ります。
体力・メンタル・データで継続的に強化
反応・一歩目を伸ばすミニトレ(ラダー/ライト/コーン)
10分のミニブロックでOK。ラダーで減速→加速、ライト(反応ライトや合図)で左右判断、コーンで45度切り返し。守備は最初の0.5秒が勝負です。
メンタルルーティン(呼吸・セルフトーク・視線固定)
相手に寄せる前に1回鼻吸い口吐きで心拍を整え、「遅らせる」「外へ」の短いセルフトーク。視線は腰→ボールの順で固定。焦りが消えるとファウルも減ります。
個人KPI(成功率/被突破/ファウル)で進捗管理
1試合あたりの「対人成功率」「被突破回数」「被ファウル数」をメモ。3試合の移動平均で上下をチェックし、ドリル内容を微調整。データで客観視すると改善が早いです。
試合前後チェックリスト
前日:相手の利き足・初動・受け方をメモ化
映像やメモで「利き足」「最初の動き」「受け方(足元/背後)」の3点を確認。苦手コースを予測し、誘導先を決めておきます。
試合中:距離・角度・向き・首振り・カバーの5項目
ベンチや味方同士で合言葉。「距離OK?」「角度?」「向き!」「首振り!」「カバー!」。一言で戻れるチェックが効果的です。
試合後:3クリップ振り返りテンプレと改善計画
良かった守備/危なかった守備/セットプレーの3クリップを抽出し、原因と修正ワードを1つずつ設定。次の練習でドリルに落とし込みます。
Q&A:現場でよくある悩みの解決策
背負われたらどうする?寄せる・外す・助けるの基準
背負われた直後は寄せて前を向かせない。相手が強ければ一度外してカバーを待つ。PA付近や中央は無理に足を出さず、ターンを外へ誘導して二人目で奪うのが安全策です。
足が速い相手/遅い相手への対応差
速い相手:距離は広め、角度で限定し、背走準備を優先。遅い相手:距離を詰め、タッチ直後に奪取。タイプに応じて「距離」と「狙うタイミング」を入れ替えます。
ファウルを誘われる相手への対処と身体の置き方
腕を絡めて止まるとファウルに。並走で前に入る、肩と胸で面を作る、足はボールに一直線。手は“探るだけ”に徹すると誘いに乗りにくくなります。
まとめ:マンツーマンのコツを図解級に掴む動き方
今日から使える3つの約束事
- 距離は「一歩で触れる」に統一。
 - 体は常に45度半身、誘導先を声で宣言。
 - キック前後で必ず首を振る。
 
練習メニューへの落とし込み手順
ミラーリングで距離と向き→1対1二段階で遅らせと奪取→3対3でスイッチとスライド→セットプレーで始点と再捕捉。各ドリルに修正ワードを貼り付けると、習得が早まります。
映像でセルフチェックする視点
止めた場面だけでなく、寄せ始めの「一歩目」と「止まる瞬間」をコマ送りで確認。体の向きと誘導先が一致しているか、届く距離で止まれているかを基準に見返しましょう。マンツーマンは準備の競技。言葉の図解を体の反応に落とせば、突破は確実に減らせます。
