目次
- ミドルプレスの組み方を図で整理:奪う位置とスイッチの作り方
- 序章:なぜ今、ミドルプレスなのか
- ミドルプレスの定義と基本コンセプト
- 奪う位置の設計:どこで捕まえるかを決める
- スイッチ(合図)の作り方:いつ行くかを共有する
- 図解イメージで理解:ミドルプレスの流れ(擬似フロー)
- システム別:形と役割の整理
- 相手のビルドアップ別の対策
- キーマッチアップとユニット連動
- 奪うためのディテール:角度・距離・身体の向き
- トランジション設計:奪った後/奪えなかった後
- KPIとチェックリスト:見える化で精度を上げる
- コミュニケーションと合図づくり
- トレーニングメニュー(段階別)
- よくある失敗と修正ポイント
- 年代・レベル別の適用と注意点
- 対戦相手の分析プロセス
- 観戦で磨く“見る力”:事例から学ぶ
- 実装ロードマップ:7日間/4週間プラン
- 用語集:ミドルプレスのキーワード
- まとめ:奪う位置とスイッチを“言語化”して勝ち筋にする
- あとがき
ミドルプレスの組み方を図で整理:奪う位置とスイッチの作り方
ハイプレスほど無謀じゃない。でもローブロックほど受け身でもない。ミドルプレスは「賢く奪う」ための現実解です。この記事では、奪う位置の設計と、全員で同時に動くための“スイッチ(合図)”を、テキスト図解とフローチャートでわかりやすく整理します。実戦と練習にそのまま持ち込めるチェックリストとトレーニング例まで網羅。今日から守備の会話が、ひとつ噛み合うはずです。
序章:なぜ今、ミドルプレスなのか
現代サッカーにおけるミドルプレスの価値
多くのチームがビルドアップに工夫を凝らす今、最前線から突っ込むハイプレスは一発で外されるリスクが高くなりました。一方、ローブロックは前進を許す前提のため、回収後にゴールまでの距離が長くなります。ミドルプレスはその中間。相手を中盤で止め、奪った瞬間にショートカウンターへ移れる“ちょうどいい”選択肢です。
ハイプレス・ローブロックとの比較軸(リスクとリターン)
- ハイプレス:奪えば即決定機。ただしライン背後の露出が大きく、個人のスプリント負荷も高い。
- ローブロック:背後のリスクは低い。ただしゴールが遠く、押し込まれる時間が長い。
- ミドルプレス:中間エリアでの勝負。背後ケアと攻撃の近道のバランスが良い。
奪う位置とスイッチ作りが勝敗を左右する理由
守備は“いつ・どこで・どう奪うか”の共通理解が命です。場所(奪う位置)と合図(スイッチ)が曖昧だと、1人が頑張る守備に陥ります。全員が同じ合図で動けば、2人目・3人目の準備が整い、奪取率と奪取後の質が上がります。
ミドルプレスの定義と基本コンセプト
ミドルサードでの守備開始ラインとブロック設定
一般的にピッチを3分割したときの中央帯(ミドルサード)で守備を始め、ライン間の距離を20〜25m程度に保ちます。最前線が無理に出ず、「来たボールをはね返す」のではなく「誘って奪う」発想がベースです。
コンパクトネスの3方向(縦・横・斜め)
- 縦:最終ラインと中盤ラインの距離を詰め、間受けを無効化。
- 横:ボールサイドに素早く人数を寄せ、逆サイドはリスク管理で絞る。
- 斜め:ボール保持者から次の受け手までの“斜めのパスコース”を体で遮る。
ボール圧とカバーシャドウ:角度で奪うという発想
1st DFが正面から突撃するのではなく、内側や縦パスのコースを「背中で消し」ながら外へ誘導。2nd・3rd DFは次の出口に先回りして回収します。突くのではなく切り取る、がキーワードです。
奪う位置の設計:どこで捕まえるかを決める
サイドで奪う:タッチラインを“第2のDF”にする考え方
サイドは逃げ道が少なく、囲い込みやすいエリア。CFが内切りで外へ誘導し、WGとSBでチェックメイトを作ります。
【内切り→外へ誘導→囲い込み】CF(内切り)→CB or SB→タッチライン WG(外締め)+SB(前に出る)
ハーフスペースで奪う:中央寄りの罠で即時攻撃へ
サイドに比べてゴールへ近い分、奪えれば一気にチャンス。CHが前に出る準備をし、背中はCBが管理。逆サイドのCHはセカンド回収に備えます。
中央で奪う:ハイリスク・ハイリターンの前提条件
- 前提:最終ラインの勇気(縦ズレ)とアンカーの背中管理。
- 条件:1st DFが内切りで縦パスを誘発→2nd DFが体を前に差し込む。
- 失敗時:即撤退。逆サイドWGは最深ラインに合流。
相手のビルドアップ重心を見極める(強みをどこで制限するか)
相手がSB経由で運ぶのか、アンカーを経由するのか、GKも使いながら中央で数的優位を作るのか。重心を特定し、そこに矢印を当てます。「強みを消す」から「弱みを攻める」へ繋げましょう。
奪取後の最短ルート設計(前向きで受ける選手の配置)
奪う位置を決めたら、同時に「次の一手」を決めます。サイドで奪うなら逆サイドWGの内側スタート、中央で奪うならCFの背後ラン、ハーフスペースで奪うならCHの縦スルー。前向きの受け手を常に1人置くのがポイントです。
スイッチ(合図)の作り方:いつ行くかを共有する
トリガーの種類(パス・タッチ・体の向き・高い浮き球・バックパス)
- 横パス:1st DFがボール移動中に距離を詰める。
- 後ろ向きの最初のトラップ:2nd DFが一気に前へ。
- 高い浮き球:落下点に先回りしてセカンド回収準備。
- バックパス:GK含めて外切りで限定、縦への配球を奪う。
ボール保持者への圧力閾値と“0.5秒の窓”
スイッチは「遅いと全員が置いていかれる」。ボールが移動して着弾する瞬間の0.5秒を“窓”として共有し、そこに1st・2nd・3rdの連鎖を乗せます。
切り取りの角度:内を消す・外を消すの優先順位
原則は内(中央)を消して外へ誘導。中央で捕まえる設計のときのみ、外切りから内へ誘います。全員で優先順位を固定しましょう。
相手の弱い足・背中・視野外に働きかける
1st DFは相手の利き足と体の向きを読み、逆足側にボールを置かせます。2nd DFは視野外(背中側)からコースを閉じ、3rd DFが刈り取るイメージです。
発火役と連鎖:1st・2nd・3rd DFの役割分担
- 1st DF:角度で限定(スピードは落とし、コースを切る)。
- 2nd DF:スイッチ直後の加速役(体を差し込む)。
- 3rd DF:こぼれ・リターン・縦の裏抜けのケア。
スイッチ後の撤退合図(行かない勇気)
ワンタッチで外され、数的不利を感じたら即撤退。「ストップ」「下げる」を合図に5秒以内でブロック再形成。追いかけ回すのが一番危険です。
図解イメージで理解:ミドルプレスの流れ(擬似フロー)
初期配置→誘導→圧縮→奪取→即時攻撃の一連
初期配置(4-4-2) CF CFWG CH CH WG SB CB CB SB→ 誘導(CF内切り)→ 圧縮(WG外締め+SB前進+CH縦ズレ)→ 奪取(2nd DFが体を差し込む)→ 即時攻撃(前向きのWG/CHへ縦 or 斜め)
サイド誘導の典型パターン(CFのカットとWGの外閉じ)
CF:CBへのパス角度を内から外へ切るWG:SBへ出た瞬間に外から内へ閉じるSB:前進して二重扉CH:背中の中盤をロック
中央限定の典型パターン(CHの前出と逆サイドの絞り)
CH(ボールサイド):縦パスに合わせて前出逆サイドCH:センターサークル付近でセカンド回収CB:背中管理と縦ズレで潰す
リカバリーと撤退ライン(5秒ルールとブロック再形成)
奪えなかったら5秒以内に「縦20m・横35〜40m」を目安に再整形。最初に帰るのはWGとCH、最後にラインを上げるのがCBです。
システム別:形と役割の整理
4-4-2:縦ズレとサイドでの2対1を作る手順
- CFの内切り→WG外締め→SB前進でサイドに圧力。
- CHは“中の人”の背中を管理し、縦ズレで前に出る。
- 逆サイドは早めに絞り、サイドチェンジを遅らせる。
4-3-3:アンカーの背中管理とウイングの背後ケア
- CFがCB間を切り、WGがSBを外締め。
- アンカーは最前線の背中を見続け、縦パスの出所に寄せる。
- WGは背後の長いボールにも即座に反応(縦スプリント)。
3-4-2-1/5-4-1:幅と高さの管理、WBの縦スライド
- WBがSBに出る→CBが幅を埋める→逆WBは早く絞る。
- 2シャドーがアンカーとIHを監視し、内側で回収。
可変への対応(2-3-5・3-2-5などの化けに対する優先順位)
相手が可変で前線に5枚を並べても、優先順位は「中央の人→ハーフスペース→サイド」。受け渡しは“背中に渡さない”を大原則にします。
相手のビルドアップ別の対策
4バック(2CB+2SB)への誘導プラン
CFでCB間を切りながら外へ誘導。SBで詰まらせ、縦パスをCHが奪う。WGは外締めでSBの内側出口を閉じます。
3バック(3CB+2WB)へのスイッチ設計
外側のWBに出させてから圧縮。シャドー的な選手(WG or CH)がWBに寄り、CBへの戻しをスイッチに全体が前進します。
アンカー有/無と“中の人”の捕まえ方
- アンカー有:CHの一枚は背中で消し、もう一枚が縦ズレ対応。
- アンカー無:中央は人をはめず、パスコースを消してサイドへ。
偽SB・偽WGへの対抗(受け渡しとライン間管理)
内側に入るSBにはCHが受け渡し、WGはSBを見続ける。ライン間に現れる偽WGは、最寄りのCHが最短でアタック、背中はCBで管理します。
GKビルドアップ積極型への制限(戻しをスイッチにする)
GKに戻った瞬間、CFとWGで外切りの角度を作り、CB・SBへ出す長めのパスを狙い撃ち。浮いたパスにはセカンド回収の準備を。
ロングボール主体へのセカンド回収設計
最初の競りはCB。落下点周辺にCHを3枚目として配置し、WGは内側スタートでこぼれ球を拾う。CFは背後に抜けるより、ファーストパスの受け手を優先します。
キーマッチアップとユニット連動
1st DF・2nd DF・3rd DFのタスクと距離感
- 1st:2〜3m手前で減速し、コースを切る。
- 2nd:1stの背中に合わせて1〜1.5mまで接近、差し込み勝負。
- 3rd:5〜8mでバランス、前後どちらにも出られる姿勢。
ボールサイドCHと逆サイドCHの役割分担
ボールサイドは縦ズレで狩り役、逆サイドはセカンド回収とサイドチェンジ遅延。常に“半身”でピッチ全体を見ます。
SBの縦スライドとCBのカバーリング
SBが出た背中はCBがスライド。逆CBは中央を締め、アンカー不在のチームはCHが最終ラインに落ちる選択もあり。
WGの外切り/内切りの選択基準
SBを外に追い込みたいなら外切り、中央で奪いたいなら内切り。チームで“今日の基準”を試合前に固定します。
CFの切り取りラインと背中管理
CFはCB間の縦パスを消すのが第一。背中のアンカーは見えにくいので、CHと声で連結しておきましょう。
奪うためのディテール:角度・距離・身体の向き
ステップワークと接近スピード(減速のタイミング)
遠くから全力で寄せると、ワンタッチで外されます。最後の2歩で減速し、スタンスを広く。最終1歩は横向きで止まれる姿勢に。
体の半身化とカバーシャドウの広げ方
やや斜めに構え、背中側に縦パスの受け手を隠すイメージ。半身化で“届く範囲”と“消せる角度”の両方を最大化します。
刈り取り脚とコンタクトの安全性
奪う脚は相手のボール側の足。体を入れるときは肩で触れてから脚を差し込む。無理な突きはファウルの温床です。
“寄せる”と“行き切る”の判断基準
- 寄せる:味方の準備が整っていない、背後ケアが不十分。
- 行き切る:トリガーが点灯、2nd・3rdの準備OK。
トランジション設計:奪った後/奪えなかった後
即時攻撃の最短ルート(縦・斜め・逆サイドスイッチ)
奪取後の第一感は「縦→斜め→逆」の順で探索。無理ならキープではなく“つなぐカウンター”へ切替。
3秒の意思決定:運ぶ・叩く・スルー
ボール保持者は3秒以内に選択。運ぶなら前向きで、叩くならワンタッチ、スルーは味方の声で。迷いは敵です。
奪えないと判断した時の撤退合図とライン設定
「ストップ」「下げる」で統一。撤退ラインは自陣ハーフ付近に設定し、等間隔でブロックを再形成します。
戦術的ファウルの是非とリスク管理
完全に外された直後のカウンターでは、イエローと天秤にかけた判断も現実的。ただし、PA付近や危険な位置は避け、腕の引っ張りなどは厳禁。
セットプレーへの移行を見越した配置
サイドでのクリアはタッチライン外へ優先。クリア時のセカンド配置とマーク相手を即座に確認します。
KPIとチェックリスト:見える化で精度を上げる
奪取位置のヒートマップと回収率
どこで奪えているか、狙い通りかを色で可視化。サイド設計ならサイドの赤みが濃くなるのが理想です。
被ライン間侵入回数と最終局面到達数
相手にライン間を取られた回数と、そこからPA侵入された回数をカウント。侵入→最終局面への変換率が高いほど危険度は増します。
プレス成功率・カウンター創出率・PPDAの活用
- プレス成功率:意図した場所でボールアウト or 奪取できた割合。
- カウンター創出率:奪ってから10秒以内のシュート到達率。
- PPDA:相手のパスに対する守備アクション密度の参考指標。
走行距離・スプリント指標と“質の負荷”の両立
走る量だけでなく、スイッチの瞬間に「出せる最高速」を何回出したかを重視。量と質のバランスを管理します。
ベンチからの観察ポイントとタイムリーな修正
- CFの角度が機能しているか。
- CHの縦ズレにCBが連動しているか。
- 逆サイドの絞りが早いか。
コミュニケーションと合図づくり
共通キーワード例(内切り・外締め・押し上げ・ストップ)
言葉を短く統一。「内」「外」「上げ」「止め」で十分通じます。誰でも同じ言葉を使うことが重要です。
ハンドサインと視覚的合図の統一
内切り=内を指差す、外締め=外を手で押すジェスチャー、撤退=手の平を下にして押さえる、など統一しましょう。
GK発のコーチング:背後管理とライン統率
GKは最後方から“背中の人”を呼び続けます。「右背中OK」「押し上げOK」「一旦止めて」など、短い言葉で。
練習から徹底する“同じ言葉で話す”仕組み
ゲーム前に“今日のキーワード”を3つ決め、ベンチとピッチで徹底。映像の振り返りでも同じ言葉を使います。
トレーニングメニュー(段階別)
ウォームアップ:角度作りと半身化のドリル
- 対面シャドー:内切り→外切り→半身化の反復。
- 2人1組タッチ制限:最後の2歩の減速とスタンス練習。
2対2+サーバー:スイッチのトリガー認知
サーバーからの横パス・バックパスを合図に同時圧力。0.5秒の窓で寄せる感覚を身につけます。
4対4+2フリーマン:内外の切り取り反復
フリーマンは中間ポジションに限定。内を消す→外に誘導→回収の連続を狙います。
5対5+条件付き(片側タッチ制限):誘導と圧縮の連動
片側サイドは2タッチまで、もう片側はフリーに設定。フリー側に誘導して囲い込みます。
ハーフコート8対8:フリーズコーチングで距離感修正
プレーを止め、1st・2nd・3rdの距離を整理。逆サイドの絞りも声掛けで統一します。
11対11ゲーム:KPI計測と即時フィードバック
奪取位置、プレス成功率、セカンド回収数を簡易計測。ハーフタイムで修正点を言語化します。
映像・ボードでの振り返り:クリップ化のポイント
成功2本・失敗2本を選び、トリガーと役割の連鎖を確認。次回までの“1個だけ直すこと”を決めましょう。
よくある失敗と修正ポイント
ライン間が空く:縦コンパクトの再定義
CHの縦ズレにCBが付いてこないと空洞化。合図は「CH出る→CB2m前へ」。
1st DFの遅れ:発火閾値とスタートポジション
出足が遅いと全ての連鎖が遅れます。横パス“出た瞬間”をチームで固定しましょう。
誘導と逆サイドの絞り不一致:役割の固定と受け渡し
外誘導なら逆WGは早めに内へ。受け渡しは「渡す側が声を出す」を徹底します。
後追いプレスで背後露出:撤退判断の基準づくり
外された後に個人で追うのは危険。5秒撤退とライン設定をルール化。
奪取後の雑なロスト:前向きの受け手配置と最初のパス
前向きの受け手がいないと苦しい。常に1人は“斜め前”に用意し、最初のパスは強く足元へ。
ファウル依存の増加:足運びと体の当て方の再訓練
到達前に手が出ると危険。最後の2歩の減速と、肩からの接触を反復しましょう。
年代・レベル別の適用と注意点
高校・大学:強度とスプリント管理、学業との両立
週の強度波形を作り、ハイインテンシティは週2まで。座学での言語化で練習時間を節約します。
社会人・アマチュア:出欠のばらつきを吸収する共通原則
「内を消す」「0.5秒の窓」「5秒撤退」の3原則を共有。細部よりコア原則で意思統一。
ジュニア・ジュニアユース:認知負荷を下げる段階設計
用語は「内・外・上げ・止め」に限定。図よりも立ち位置の反復で体に覚えさせます。
個の守備技術とチーム原則の接続タイミング
個の技術(寄せ方・半身化)ができたら、次にユニット原則(受け渡し)→最後にチーム原則(スイッチ)へ。
対戦相手の分析プロセス
初期スカウティング:配球傾向・重心・キー選手
どこで前進するか、誰がスイッチ役か、GKの足元度合いを確認。左SB起点などの“クセ”を特定します。
前日確認:セットアップの変化可能性とプランB
直近の試合での変更点をチェック。可変と交代の傾向からプランBを用意しておくと安心です。
当日観察:前半15分で見極める修正ポイント
狙いがハマっているか、逆サイド絞りが間に合っているかを確認。15分で微修正をかけます。
ベンチワーク:スイッチの再定義と指揮系統
スイッチの合図が遅いと感じたら、トリガーを「横→戻し」へ変更など、言葉で即修正。伝達は1系統で。
観戦で磨く“見る力”:事例から学ぶ
プレスが“ハマる”瞬間のチェックリスト
- 1stの角度で内が消え、外に誘導できている。
- 2ndの到達が0.5秒の窓に間に合う。
- 3rdがセカンド回収位置にいる。
ハマらない時に変えるべき3つのこと
- トリガーの再定義(横→戻し/戻し→浮き球)。
- 奪う位置の変更(サイド→ハーフスペース)。
- 逆サイドの絞り距離を5m短縮。
奪う位置が高すぎる/低すぎる兆候
- 高すぎる:背後のロングで何度も走らされる。
- 低すぎる:奪ってもゴールが遠く、カウンターが繋がらない。
実装ロードマップ:7日間/4週間プラン
1週目:共通言語化と基本原則の浸透
用語統一と角度・半身の反復。5秒撤退の習慣化。
2週目:スイッチの共有と奪取位置の固定化
横→戻し→浮き球の順でトリガー練習。サイドで囲う形を固定。
3週目:相手別プランとセットプレー連動
相手の重心に応じた誘導プラン。奪取後のスローインやFKへ即移行の型も練習。
4週目:ゲーム指標の改善と負荷コントロール
KPIの3項目を改善。ハイ強度日は2日、他はリカバリーと技術。
大会前の最終調整:強みの再確認と弱点の回避
“今日やること3つ”だけに絞り、プレーの迷いを消します。
用語集:ミドルプレスのキーワード
ミドルブロック/ミドルプレス
中盤エリアで守備ブロックを作り、合図で一気に奪いに行く守備方法。
カバーシャドウ/縦ズレ/横スライド
体の背中でパスコースを消す/上下ラインの前後ズレ/ボールサイドへ横移動。
レストディフェンス/逆サイド絞り
攻撃時に備える守備の残し方/ボールと逆側の守備の内側締め。
PPDA/トリガー/スイッチ
守備密度の指標/発火条件/全員が同時に行くための合図。
まとめ:奪う位置とスイッチを“言語化”して勝ち筋にする
個人戦術・ユニット戦術・チーム戦術の接続点
個の半身化と角度作り、ユニットの受け渡し、チームのスイッチ。この3層を一本の言葉で繋ぐと再現性が生まれます。
再現性を高めるチェックリスト運用
- 今日の奪う位置はどこ?(サイド/ハーフスペース/中央)
- 合図は何?(横/戻し/浮き球)
- 撤退ラインは?(5秒/自陣ハーフ)
次の一手:相手の“嫌がること”を継続的に更新する
相手の重心と可変に合わせ、誘導とスイッチを微調整。守備は“固定型”ではなく“更新型”です。
あとがき
ミドルプレスの肝は、場所と合図の共有です。難しい戦術に見えて、やることはシンプル。「どこで奪うのか」「いつ行くのか」を短い言葉で揃え、トリガーに合わせて3人が同時に動く。それだけで、守備は“個の頑張り”から“チームの仕組み”へ変わります。今日の練習から、まずはひとつの合図を決めてみてください。ピッチの会話が、ぐっとクリアになります。
