練習でできたことが、試合になると消えてしまう。逆に、試合で感じた課題が、翌週の練習には活かされない。そんな断絶を埋めるのが「サッカー成長記録ノート」です。目的は、毎日の練習・週末の試合・日々のコンディションを1冊でつなぎ、上達の再現性を高めること。このガイドでは、今日から作れて続けられる具体的なノート術を、テンプレートと記入例まで含めてお届けします。
目次
- この記事の狙いと『練習×試合がつながる1冊』の全体像
- 準備編:ノート選びと必要ツール
- 設計図:年間→月間→週間→1セッションのフレームをつくる
- 目標設定とKPI:成果が見える『測れる目標』に落とす
- 練習記録の書き方:前→中→後で思考と行動をつなぐ
- 試合記録の書き方:準備→実行→検証で再現性をつくる
- 練習×試合をつなぐ『ギャップ分析』
- チェックリストで抜けを防ぐ:技術・戦術・フィジカル・メンタル
- 映像×ノート連携:タイムコードとタグで学びを固定化
- コンディショニング記録:怪我を防ぎ、ピークを合わせる
- リハビリと復帰ロードマップの書き方
- メンタル強化:感情ログとルーティンで波を整える
- 保護者・コーチとの共有欄:建設的な対話を生むノート
- 継続のコツ:5分で書けるテンプレと習慣化の仕掛け
- よくある失敗と改善策
- 記入例:1週間のモデルケース
- シーズン別の使い方:オフ・プレ・インシーズンの重点
- 個人戦術テーマ別テンプレート
- フォーマット案:見開きレイアウトのサンプル
- データが少なくてもできる簡易トラッキング
- 情報の取り扱いとプライバシー
- Q&A:つまずきやすい疑問に答える
- まとめ:今日から始める3ページ
- あとがき
この記事の狙いと『練習×試合がつながる1冊』の全体像
ノートで上達が加速する理由
上達は「気づく→試す→修正する」の反復です。ノートはそのループを目に見える形にします。書くことには、次の効果があります。
- 焦点化:テーマが明確になり、練習の質が上がる
- 記憶定着:言語化で学びが長持ちする
- 客観化:感情に流されず事実で判断できる
- 再現性:良かった理由・悪かった理由を次に活かせる
つまりノートは、努力を「ただの量」から「成果につながる質」へ変換する装置です。
練習と試合の断絶をなくす設計思想
このノートは「年間→月間→週間→1セッション」という階層を持ち、日々の記録が上位の目標につながる設計にします。さらに「映像×ノート」「練習×試合」「メンタル×フィジカル」を連動させ、ギャップ分析で次の行動に落とし込むのが核です。
このガイドの使い方(段階的に導入する)
- ステップ1:週間テンプレと1セッション記録だけ始める
- ステップ2:試合ページとAAR(振り返り)を追加
- ステップ3:KPIと映像タイムコードの連携へ拡張
全部を一度にやる必要はありません。最小セットで回し、効果を感じたら要素を足しましょう。
準備編:ノート選びと必要ツール
紙かデジタルか:メリット・デメリットと併用のコツ
- 紙の強み:素早く書ける・視覚的に全体が俯瞰しやすい
- 紙の弱み:検索しにくい・動画と結びつけにくい
- デジタルの強み:検索・タグ付け・リンク管理が容易
- デジタルの弱み:入力に時間がかかる・通知に邪魔されやすい
併用のコツは「現場は紙、整理はデジタル」。練習・試合直後は紙で走り書き、週末にデジタルへ要点転記が継続しやすいです。
サイズとフォーマット(見開き・ルーズリーフ・スプレッドシート)
- A5見開き:携帯性と書きやすさのバランスがよい
- ルーズリーフ:ページの差し替えが簡単で年間→月間→週次の並び替えに便利
- スプレッドシート:KPIの推移やsRPEの集計に最適
筆記具・付箋・インデックス・タイムスタンプの工夫
- ペンは黒(本文)・青(事実)・赤(次アクション)で色分け
- 付箋は試合ページに貼って、映像チェックのTODOを見える化
- 月ごとインデックスで検索性UP
- 全記録に日付と開始時刻を必ず記載(例:2025-04-12 19:00)
動画リンク・QRコードの管理方法(URL短縮・日付命名)
- 動画は「YYYYMMDD_対戦相手_カテゴリー」で命名
- URL短縮(短縮サービス)を使いノートに手書きで記入
- 重要シーンはタイムコードをmm:ss形式でメモ
- QRコード化してノートに貼れば、スマホで一発アクセス
設計図:年間→月間→週間→1セッションのフレームをつくる
年間テーマの設定(技術・戦術・フィジカル・メンタル)
まずは「今年の自分」を一言で。例:「前進の起点になれるMF」。そこから4領域に分解します。
- 技術:ファーストタッチの質、両足パス、1対1
- 戦術:ポジショニング、ライン間受け、守備の合図
- フィジカル:スプリント、反復持久、コア
- メンタル:集中維持、リセット、セルフトーク
期分け(オフ/プレ/インシーズン)と負荷管理の考え方
- オフ:技術ベースと弱点克服、量よりフォーム
- プレ:フィジカル構築と連携確認、負荷を段階的に上げる
- イン:回復優先、試合での再現性にフォーカス
負荷は「主観的運動強度RPE(1〜10)」と時間を掛けてsRPEを算出(例:RPE7×90分=630)。さらに週合計の推移を見るとオーバーワークを避けやすくなります。
月間スプリント:3~4週間の集中テーマ
月ごとに「1~2テーマ」に絞るのがコツ。例:「背後へのランの質」「前向きのファーストタッチ」。KPIも2~3個に限定しましょう。
週間プランのひな型(予定→実施→レビュー)
- 予定:今週のテーマ/KPI/試合のねらい
- 実施:練習と補強のログ(RPE・時間・小さな気づき)
- レビュー:良かった点3・課題3・Next Action3
1セッション見開きレイアウトの基本形
- 左:目的・役割・仮説・メニュー・KPI
- 右:出来た/出来ない・タイムコード・次アクション
目標設定とKPI:成果が見える『測れる目標』に落とす
長期・中期・短期目標をSMART化する手順
SMART(具体・測定・達成可能・関連・期限)。例:「3カ月でライン間受け回数を試合平均5回→8回にする」。
技術KPI例(1対1成功率・パス成功率・ファーストタッチ質)
- 1対1成功率:試行/成功
- パス成功率:前進パスの成功率を別で計測
- ファーストタッチ質:前向きに出せた割合
戦術KPI例(ライン間受け回数・プレス成功・背後ラン)
- ライン間受け回数:1試合での受け回数
- プレス成功:奪取orミス誘発の回数
- 背後ラン:有効な抜け出し回数(味方が使えたか)
フィジカルKPI例(スプリント回数・RPE・sRPE)
- スプリント回数:全力走の本数
- RPE:セッション直後に1~10で記録
- sRPE:RPE×時間(分)で負荷の見える化
メンタル・コンディションKPI例(集中度・睡眠時間・主観的疲労)
- 集中度:1~5で自己評価、時間帯も記録
- 睡眠:就寝/起床時刻・中途覚醒
- 主観的疲労:朝のだるさを1~5で
自己採点ルーブリックの作り方(5段階基準の言語化)
- 5:意図通り再現・周囲を活かせた
- 4:ほぼ再現・軽微なミス
- 3:半分できた・課題が明確
- 2:意図ズレ・再現度低い
- 1:意図不明・消極的
練習記録の書き方:前→中→後で思考と行動をつなぐ
練習前:今日の狙い・役割・仮説を1行で書く
例:「狙い=前向きの初速。役割=アンカーからの前進の起点。仮説=背中に相手を置いた状態で半身の体の向き。」
練習中:メニュー・負荷・気づきの即時メモ術
- メニュー名と本数、RPE
- 気づきは電信文で(例:半身OK/背中圧に弱い)
- チームメイトの一言も引用(客観ヒント)
練習後:成功/課題/次アクション(Next Action)
- 成功3:具体的な場面と理由
- 課題3:原因の仮説をセット
- Next Action3:次回の実験にする
AAR(After Action Review)5問テンプレート
- 何が起きた?(事実)
- なぜそうなった?(原因)
- 何がうまくいった?(強み)
- 何がうまくいかなかった?(改善点)
- 次はどうする?(具体行動)
上達を早める『小さな実験』の設計と記録
例:「受ける2秒前から首振りを3回→結果:ファーストタッチ前向き率60→75%に上昇」。効果が出たらルーティン化します。
試合記録の書き方:準備→実行→検証で再現性をつくる
試合前:スカウティング・自分の役割・ねらい
- 相手の特徴:ライン高さ・奪いどころ・キーマン
- 自分の役割:フェーズ別(守→攻、攻→守)で明確に
- ねらい:KPIに沿った個人テーマを1~2個
試合中:イベントタイムラインと簡易スタッツの取り方
ベンチや保護者の協力で、主なイベントを時系列で記録(mm:ss+タグ)。個人スタッツは最低限に絞ると続きます。
ポジション別観点(GK/DF/MF/FW)のチェックポイント
- GK:ポジショニング、1対1の間合い、配球の選択
- DF:ラインコントロール、カバー距離、対人の体の向き
- MF:受ける角度、前進の選択、切り替え初動
- FW:背後への駆け引き、サポート角度、フィニッシュ前の準備
試合後:自己採点・映像タイムスタンプ・改善計画
- ルーブリックで自己採点
- 良い/悪い各3クリップをタイムコードで記録
- 次の練習で試す具体行動を1~2個に絞る
チーム戦術と個人課題をどう切り分けて記録するか
チームの方針(例:奪いどころ)と、個人の実行(例:プレスの角度)を別枠に。個人課題は自分で変えられる行動に限定します。
練習×試合をつなぐ『ギャップ分析』
うまくいった/いかなかったの因果を仮説化する
例:「前向きタッチ失敗=首振り不足×ボールスピード過多」。要因を2~3に分解し、次回の実験案へ。
優先順位の付け方(重要度×再現性×改善余地)
各課題を1~5で評価し合計点で優先度を決定。合計が高いものから着手します。
次週の練習設計に落とす(ドリル選定・負荷設定)
- ドリル:課題に直結するメニューのみ3つ
- 負荷:sRPEを前週比±10%以内で調整
- 検証:KPIを1つ設定して効果測定
次の試合での検証ポイントを1~2個に絞る
例:「ライン間で半身を作る→前向き受け3回以上」。小さく勝つ体験を積み上げます。
チェックリストで抜けを防ぐ:技術・戦術・フィジカル・メンタル
技術チェック(トラップ/パス/ドリブル/シュート/ヘディング)
- トラップ:体の向き/ボールの置き所/次の一手
- パス:強度/方向/タイミング
- ドリブル:最初の一歩/重心/視線
- シュート:軸足/踏み込み/コース選択
- ヘディング:助走/踏切/当てる面
戦術チェック(ポジショニング/カバー/切り替え/セットプレー)
- ポジショニング:味方・相手・スペースの三角関係
- カバー:距離と角度、声の連動
- 切り替え:3秒ルールで最初の行動
- セットプレー:役割の確認と合図
フィジカルチェック(スピード/持久力/アジリティ/コア)
- スピード:初速とトップスピード到達
- 持久力:終盤の走力低下
- アジリティ:方向転換時のブレーキと再加速
- コア:接触時の安定
メンタルチェック(集中/自信/感情コントロール/セルフトーク)
- 集中:プレー間の再集中ルーティン
- 自信:成功体験の想起
- 感情:ミス後のリセット手順
- セルフトーク:機能する言葉の準備
コンディションチェック(睡眠/栄養/水分/疲労/痛み)
- 睡眠:7~9時間を目安に
- 栄養:炭水化物・たんぱく質・色の濃い野菜
- 水分:練習前後の体重差をチェック
- 疲労:朝の主観スコア
- 痛み:部位・強さ・動作時の変化
映像×ノート連携:タイムコードとタグで学びを固定化
タグ定義の共通化(例:奪取・突破・裏抜け・サポート等)
タグはチーム/家族で共通言語にします。例:「奪取」「突破」「裏抜け」「サポート」「前進」「切替+」「切替-」。
タイムコード記入のルール(mm:ss+タグ+一言)
例:「12:34 裏抜け パスが背中側」「55:02 奪取 体の向き良」。検索と振り返りが速くなります。
良い例/悪い例の並置と『なぜ』の言語化
良い/悪いをペアで貼り、「違いは何か」を一言で。例:「半身の角度」「最初の視線」。
チーム映像・個人映像・ハイライト短縮の使い分け
- チーム映像:全体の流れと立ち位置
- 個人映像:技術と細部
- ハイライト短縮:週次レビュー用に3~5本
コンディショニング記録:怪我を防ぎ、ピークを合わせる
睡眠・起床時感覚・体重・主観的疲労(RPE)の記録
朝の体調は簡単なチェックでOK。「眠気」「だるさ」「起床時心拍(測れる人)」を1~5で。
練習量×強度から算出するsRPE(簡易トレーニング負荷)
やり方はシンプル。セッション後にRPE(1~10)を決め、時間(分)と掛け算。週合計を折れ線で追うと、増えすぎ減りすぎを防げます。
食事・補食・水分補給のメモ(試合前後の型)
- 前日夜:炭水化物中心+たんぱく質
- 試合前:消化の良いもの+水分
- 試合後:30分以内に補食(糖質+たんぱく質)
痛み/違和感スケールと早期対応メモ(RICE/医療受診)
痛みは0~10で。安静・冷却などの対処、受診の有無を記録し、悪化の兆候を見逃さないようにします。
リハビリと復帰ロードマップの書き方
受傷から復帰までのステージ設計(痛みゼロ→練習部分→全体→試合)
段階を明確に。「痛みゼロの基礎動作→個別ドリル→部分参加→全体練習→試合」。各段階で合格条件を設定します。
客観指標と復帰基準(片脚スクワット・スプリント等)
- 片脚スクワット:フォームの安定
- スプリント:左右差や違和感の有無
- 方向転換:痛みなく反復できるか
代替トレーニングとテクニカル維持メニューの記録
上半身・コア・球技感覚(座位トラップなど)でテクニックを維持。できることを可視化しておきます。
復帰戦のリスク管理とノートでの合意形成
出場時間の上限、交代の合図、痛みが出た場合の対応を事前に文字で合意しておくと安心です。
メンタル強化:感情ログとルーティンで波を整える
試合前ルーティン/試合後クールダウンのチェックリスト
- 試合前:呼吸→イメージ→キーワード(例:「半身・前向き・最初の一歩」)
- 試合後:整理運動→補食→5分AAR
セルフトークの棚卸し(機能する言葉/しない言葉)
機能する言葉だけを残し、不安を増やす言葉は「禁止ワードリスト」へ。
緊張と集中の最適ゾーンを探る(自分のサインを記録)
手の冷え・呼吸の浅さ・視野の狭さなど、自分のサインを書き出し、戻す行動(深呼吸3回等)をセットで記録。
失敗後のリセット手順を言語化しておく
例:「視線を上げる→胸を張る→合図の言葉→次のプレーに触れる」。
保護者・コーチとの共有欄:建設的な対話を生むノート
面談準備ページ(質問リスト・改善案・要望)
「事実→質問→案」の順で。例:「前進パス成功率40%→視野の取り方を教えてほしい→ドリル提案」。
コメント欄と合意アクションの明文化
コーチ/保護者コメント欄を設け、合意した次アクションを日付つきで記録。
観戦協力メモ(イベントカウントの役割分担)
家族は「背後ラン数」など1~2項目だけ担当。シンプルが継続の鍵です。
チーム方針と個人目標の整合をとる書き方
チーム戦術の意図を短く書き、その枠内で個人KPIを設定。ズレをなくします。
継続のコツ:5分で書けるテンプレと習慣化の仕掛け
1分ログ→5分レビュー→15分週末振り返り
- 1分:今日の一言/次にやること1つ
- 5分:成功3・課題3・Next Action3
- 15分:映像3クリップで確認
もし〜なら〜する(実行意図)でトリガーを決める
例:「帰宅したら、まず1行ログを書く」。条件と行動をセットに。
色分け・記号・スタンプで視認性を高める
◎成功、○まあまあ、△要改善、×失敗。矢印↑→↓で方向性を記録。
三日坊主を防ぐリカバリールール(飛ばしてOK、後で要点のみ)
書けない日は空白でOK。週末に要点だけ補完する「救済ルール」を最初から決めておきましょう。
よくある失敗と改善策
書き込み過多で続かない→要点3つに絞る
「事実1・気づき1・次アクション1」で十分。量より継続。
感情だけ/データだけの偏り→両輪で記録する
感情は動機、データは方向。両方を書くとズレが減ります。
評価が甘い/辛いバイアス→ルーブリック基準で補正
事前に基準を作り、その物差しに従う。日によるムラを抑えられます。
『やること』が増えすぎる→捨てる勇気のルール
毎週1つ捨てる。優先順位を守ることが上達の最短ルートです。
記入例:1週間のモデルケース
高校生MFの例:ボール前進と守備強度をテーマにした1週
今週のテーマ:ライン間受け→前向き前進/カウンタープレス初動。KPI:ライン間受け8回、前進パス成功5本、即時プレス成功3回。
- 月:ポゼ練(RPE6/90分)気づき=半身の角度で視野が広がる
- 水:対人+ゲーム(RPE7/100分)気づき=背中圧にはワンタッチ逃げ
- 土:試合 前半「12:34 前進 成功」後半「65:10 即時奪取 成功」
- 週末レビュー:成功=前向き受け5回→次週はサイドチェンジの選択を追加
小学生DFの例:ポジショニングとボール奪取の記録
テーマ:カバーの角度と奪いどころの合図。KPI:カバー成功5回、奪取3回。
- 練習:1v1カバー(RPE5)合図「右右!」を決めて実行
- 試合:「08:12 カバー 成功」「21:30 奪取 身体の向き良」
- 次:相手の利き足側を切る立ち位置を意識
社会人FWの例:限られた時間での効率的なノート運用
平日30分×2、週末試合。テーマ:裏抜けとファーストタッチ。KPI:裏抜け有効3回、枠内シュート2本。
- 火(30分):ダッシュ10本→ファーストタッチ+シュート各20本
- 木(30分):駆け引きのステップワーク10分→動画でフォーム確認
- 日:試合「34:50 裏抜け 成功→シュート枠」次は体の向き作りを早く
シーズン別の使い方:オフ・プレ・インシーズンの重点
オフシーズン:基礎技術と弱点改善に特化したログ
フォーム動画→ドリル→再撮影のループ。KPIは技術に寄せる(例:両足パス100本ノーミス)。
プレシーズン:コンディション構築と連携のKPI
sRPEを段階的に上げ、怪我ゼロで開幕へ。連携テーマを各ポジションで設定。
インシーズン:回復優先・最小限の重点記録
試合→回復→次の試合での検証ポイント1~2個に集中。書く量は減らして質を保ちます。
試験や行事と両立するスケジューリングメモ
「短時間×高密度」のメニューを用意。15分ドリル集をノート末尾に一覧化。
個人戦術テーマ別テンプレート
ビルドアップ(角度・距離・体の向き)
- 受ける角度:半身で縦横の選択を両立
- 距離:相手のプレッシャー基準で調整
- 体の向き:次のパスコースに合わせる
カウンタープレス(最短・最速・数的優位)
- 最短:奪われたら1歩目の方向を固定
- 最速:2秒以内の寄せ
- 数的優位:味方の背中を見て連動
サイド攻撃(クロスの質/侵入のタイミング)
- クロス:置き所と足の面
- 侵入:ニア/ファーの役割を事前合意
セットプレー(役割・合図・実行精度)
- 役割:キッカー/ブロッカー/飛び込み
- 合図:手や声の統一
- 精度:ターゲットゾーンを数値化
GK専用(ポジショニング・1対1・配球)
- ポジショニング:ボール/味方/相手の三点基準
- 1対1:間合いとステイ/チャージの判断
- 配球:ビルドアップの第一手
フォーマット案:見開きレイアウトのサンプル
左ページ=事前計画/右ページ=結果と振り返り
左に目的・KPI・メニュー、右に事実・タイムコード・Next Action。いつでも同じ配置にすると脳が迷いません。
カラーコードと記号一覧(例:◎○△×、↑→↓)
評価記号と矢印はページ冒頭に凡例を書いて統一。
省略語・タグの統一ルール
例:「前進=PF」「裏抜け=RUN」「即時奪取=CP+」。ノートの冒頭に索引を作ります。
週次・月次レビューの専用ページ見本
- 週次:今週の一言・ベストクリップ・次の検証
- 月次:テーマ達成度・KPI推移・捨てること/続けること
データが少なくてもできる簡易トラッキング
手動イベントカウント(メモ法と観戦協力)
家族や仲間に「裏抜けだけ数えて」と依頼。1試合1指標が現実的です。
スマホタイマー/ストップウォッチの活用
インターバル練習や回復時間の管理に。メモには「本数×RPE」を残すだけでも有効。
GPSがない場合の代替(区間タイム・本数・主観強度)
100mの区間タイム、坂道ダッシュの本数、主観強度で十分に傾向がつかめます。
継続しやすい最小セットの決め方
「KPI1つ+1行ログ+週1レビュー」。これが最低限の土台です。
情報の取り扱いとプライバシー
チーム戦術・仲間の情報を記載する際の配慮
ノートは個人用を基本に。共有時は個人名や戦術詳細の取り扱いに注意します。
SNS投稿時の匿名化と撮影可否の確認
顔・氏名・背番号が分からない形に加工し、撮影と公開の可否を事前に確認しましょう。
共有範囲と権限の設定(家族/コーチ/チーム)
オンライン共有は閲覧権限を限定。月次レビューだけ共有する等、範囲を明確に。
Q&A:つまずきやすい疑問に答える
時間がない時はどこまで書けばいい?
「今日の一言」と「次にやる1つ」だけ。後で5分レビューを足せばOKです。
試合が悪かった日の記録はどうする?
事実と原因の仮説を短く。感情は別欄に書いて区別。次の行動を必ず1つ決める。
コーチの評価と自分の評価がズレる時は?
映像とKPIで共通の材料を作る。ズレは学び。違いの理由を対話しましょう。
ノートを見返す頻度の目安は?
ミニ:毎日1分/週:15分/月:30分。大事な試合前に直近2週間を一気に復習。
まとめ:今日から始める3ページ
ページ1:今月のテーマとKPI
テーマ1~2、KPI2~3、やらないこと1つを明記。
ページ2:次の練習用『前-中-後』テンプレ
狙い/役割/仮説→メニュー/気づき→成功/課題/Next Action。
ページ3:次の試合用『準備-実行-検証』テンプレ
相手特徴/自分のねらい→タイムコード/簡易スタッツ→自己採点/改善計画。
あとがき
ノートは「うまくいった偶然」を「狙って起こせる必然」に変える味方です。最初は1行で十分。1週間後、1カ月後、振り返った時に自分の変化が必ず見えてきます。練習と試合がつながる1冊で、あなたのサッカーを一段上へ。今日のページから始めましょう。