ビハインドになった瞬間、頭に浮かぶのは「どう追うか」。焦りは最大の敵ですが、時間帯ごとに勝ち筋は確実に変わります。本記事では、残り時間・得点差・相手の強度という試合文脈を整理しつつ、時間帯別の現実的な狙いと“すぐ実行できる手順”をセットでまとめました。数値や合図の共通言語、ベンチで使えるチェックリスト、練習への落とし込みまで一気通貫。試合当日の判断スピードと、練習の再現性を同時に上げるためのガイドです。
目次
- この記事でわかること
- 試合文脈の読み解き方(残り時間×得点差×相手強度)
- 前半0–20分の追い方(慌てない主導権回収)
- 前半20–45+分の追い方(同点で折り返す現実解)
- 後半45–60分の追い方(再開直後の主導権争い)
- 後半60–75分の追い方(交代とペース加速)
- 後半75–90+分の追い方(終盤のリスク設計)
- 得点差別の戦い方(1点/2点以上/人数不利)
- ゲームモデル別の解(ポゼッション/トランジション/ダイレクト)
- セットプレーで取り返す(終盤の生命線)
- データ活用とベンチワーク(意思決定を速く正しく)
- 年代・カテゴリー別アレンジ(高校/大学/社会人/育成年代)
- よくある失敗と回避法
- シーン別ケーススタディ(抽象化して学ぶ実例)
- すぐ使えるチェックリスト(ベンチ用)
- 練習メニュー例(週2–3回での落とし込み)
- FAQ(よくある質問)
- まとめ:明日からのアップデート
この記事でわかること
時間帯別の現実的な勝ち筋
前半序盤・前半終盤・後半立ち上がり・交代フェーズ・終盤の5つに分けて、スコアを戻すための優先順位と期待値の高いアクションを整理します。
戦術とメンタルの両輪で追うためのフレーム
戦術面の“型”だけでなく、声かけや合図、主審基準の捉え方など、意思決定の質を支える要素も含めてフレーム化します。
試合中に使えるチェックリストと練習への落とし込み
ベンチ用の即時チェックリスト、役割変更のコードワード、週2–3回の練習で再現性を作るメニュー例まで具体化。試合運用と練習設計をつなぎます。
試合文脈の読み解き方(残り時間×得点差×相手強度)
勝ち筋を増やす3つの軸:時間・スコア・相手の修正
- 時間:残り時間が短いほど「期待値の高い回数」を増やす必要があり、セットプレー・二次攻撃・ロングスローなど再現性が高い手段の比重を上げます。
- スコア:1点差なら“質の上積み”で十分。2点差以上は“量(回数)×質”の両方を狙い、リスク許容を段階的に拡大します。
- 相手の修正:ビハインド直後は相手が落ち着く時間。後半開始や交代の瞬間は相手のズレが出やすい“狙い時”。
残り時間が与える物理的制約(ポゼッション比とリスク許容の変化)
時間が減るほど、1回あたりの攻撃にかけられる長さが短くなります。ポゼッション比は目的ではなく手段。終盤は保持のための保持を避け、ボックス侵入やセットプレー獲得につながるアクションへ直線的に。守備は「背後何枚残すか」を時間で更新します(例:残り15分で1点差=2枚残し、残り5分=1枚残しの局面を作る)。
期待値とリスクのトレードオフ設計(xG/PPDAの目安)
- xG(期待得点):15分間で0.3を超えると“押せている”目安。押せていない場合はクロスの質・CK数・セカンド回収の位置を見直します。
- PPDA(守備のプレッシング強度の目安):6–8=高強度、9–12=中程度、13以上=低強度の目安。ビハインド時にPPDAが高すぎる(奪回が遅い)なら、前向きに奪う位置を10–15m前にずらす決断材料に。
- xThreatやボックス侵入回数も参考指標。侵入回数が伸びているのにxGが伸びないなら、フィニッシュ前の“最後のパスの質”に課題。
数値は万能ではありませんが、流れを言語化する補助輪になります。ベンチで“いま足りない種類の行動”を明確にしましょう。
ベンチワークと現場コミュニケーション(合図・コードワードの整備)
- テンポ変更:「赤=早く」「青=落ち着く」。
- プレスの高さ:「5=最前線から」「3=ハーフライン」「1=自陣ブロック」。
- サイド優先:「左葉」「右葉」など短いキーワードでサイドを固定。
- パワープレー開始:「タワー」=CF+CBの前進、「網」=セカンド回収の網を広げる。
- リスタート連続:「連打」=スロー→CK→FKの畳みかけを意図的に作る。
前半0–20分の追い方(慌てない主導権回収)
狙い:ゲームスピードを自分たちのテンポへ取り戻す
早い失点直後は、相手の勢いとスタジアムの熱量が上がります。ここでの最優先は“パス3本で落ち着く”こと。横→斜め→前の3本で相手の第一選択(前からの圧)を空振りさせ、テンポを自分たちに戻します。
配球の優先順位:安全な前進ルートと相手の第一選択を外す
- 最初の前進はサイドレーン優先。タッチラインを“味方”にして、ボールロスト時の被カウンター距離を短くします。
- 相手アンカーに背を向ける受け手を作らない。ハーフスペースの受け手は常に半身で。
プレス強度の初期設定(高さと矢印の明確化)
ラインを無闇に上げず「矢印」を合わせることが先。STのプレス方向を外→内に統一し、相手の逆サイド展開を遅らせます。背後ケアは2枚残しを基本線に。
セットプレー初期プラン(キッカーとターゲットの固定)
序盤は“決めた型”をそのまま実行。キッカーはCK/直接FK/間接FKで優先順位を決め、ターゲットの動き(ニア潰し・ファー待ち)を固定して迷いを消します。
実例の見方:早い時間の失点後に整える3手
- 最初の5分はロングカウンター狙いを封印。敵陣でのロストを避けて自陣での被カウンター距離を短縮。
- サイドの2対1を作る。SB+IHでタッチライン沿いに前進し、相手のプレス矢印を曲げる。
- CK/ロングスローを1本取りに行く。マイボールの“間”を作り直す。
トレーニングドリル:ビハインド想定のキックオフ後3分間ゲーム
- 形式:7対7+GK。キックオフから3分で「シュート1本以上」をミッション化。未達なら失点扱いで0–1から続行。
- 制約:前進はサイド優先、中央縦パスは3本目以降のみ解禁。
- 評価:3分間のボックス侵入回数と、ロスト位置の平均ライン。
前半20–45+分の追い方(同点で折り返す現実解)
狙い:相手の圧を利用した中間ポジション攻略
相手の出足が落ちるタイミング。中間ポジション(ライン間)で前向きに受ける回数を増やし、ファウルやCKを誘発して同点の芽を育てます。
ハーフスペース攻略の型(斜めの受け手と三人目の連動)
- 縦関係を作る:SB→IH→WGの“斜め受け”。
- 三人目の抜け出し:IHが受けると同時にSTが背後へ。受け手を囮に三人目で刺す。
可変ビルドアップ(偽SB/3-2化)で押し上げる
SBの一枚を中へ入れて3–2の土台を作ると、相手1トップには数的優位ができます。縦パスのコースが2本以上生まれ、相手の中盤が前に出づらくなります。
カウンター防波堤(リスタート直後の背後管理)
前半のうちから“奪われた直後の5秒”の役割を固定。アンカー(またはIH)がカウンターストッパーとして中央のファーストファウルを管理。必要なら戦術的ファウルでスピードを殺す判断を共有します。
交代・役割変更:前半のうちにいじる基準
- 基準:自陣でのロストが連続(3回/10分以内)なら、WGとIHの役割を一時スイッチ。足元型→背後型へ。
- カードや負傷の兆候があるSBは、前半のうちに守備特化の選手へ変更してリスクを抑える。
実例の見方:前半終了前の“ワンチャンス”の作り方
前半終盤は相手の集中が切れやすい時間。スローインから素早くリスタート→ニア潰し→ファー待ちの固定パターンで一本作り、CK/ファウルを引き出してシュートまで持ち込みます。
ハーフタイム前のゲームマネジメント(笛前の2分間)
- 「青」合図で落ち着かせ、無理な縦パスを止める。
- ファウルの賢さ:相手カウンターの芽を摘む軽い接触で時間を進める。
後半45–60分の追い方(再開直後の主導権争い)
狙い:相手の修正を上回る最初の5分
相手はハーフタイムで修正してきます。その上を行くために、最初の5分は“リスタートの連続”でテンポを握り、敵陣でのプレー時間を増やします。
キックオフ用セットプレー型とリスタートの連続性
- キックオフ直後の約束:後方へ1本→サイドへ展開→ロングボールで前進→敵陣スローイン確保。
- 得たスローインは即座に長短を選択。「連打」の合図で畳みかける。
プレッシング再設定(アンカー制限とサイド圧縮)
相手アンカーへの縦パスを消し、サイドに追い込む設計に。WGの矢印は常に内→外、SBは背後のランに付き切る合意を取ります。
相手の修正の逆手を取る(釣り出しと裏抜けの交互提示)
相手がラインを上げてきたら、背後一発の脅しを先に出す。次の攻撃で足元に入れて釣り出し、三人目でまた裏へ。交互提示でDFの意思決定を崩します。
セットプレー二次攻撃の意図統一
クリア後の二次回収は“逆サイドのIH”がスイッチ役。ミドルか再クロスか、事前に声で決め切る(例:「撃て」「戻せ」)。
実例の見方:後半立ち上がりの波状攻撃を設計する
- キックオフパターンで敵陣スローイン。
- スローインからショート→クロス→CK獲得。
- CK後の二次回収でミドル、または外へ再展開して二本目のクロス。
トレーニング:5分×3本の高密度ゲーム
- 形式:8対8+GK、ハーフコート。
- 制約:各5分間の開始は必ずリスタート(スロー/CK)から。
- KPI:各5分のシュート本数、敵陣でのリスタート回数。
後半60–75分の追い方(交代とペース加速)
狙い:走力と意思決定スピードの上書き
走れる選手を入れてゲームのテンポを一段上げます。走力は攻守の“到達速度”を上げ、セカンド回収率を押し上げます。
二形態の攻撃リズム(速攻/遅攻の切替トリガー)
- 速攻トリガー:相手SBが高い、アンカーが背中を見ている、CBの背後が空いた。
- 遅攻トリガー:自陣深くでの奪取、前が詰まっている、FWが背中で待っている。
サイドチェンジ速度とクロスの質(ニア/ファー配分)
終盤に近づくほど、ニアへ速いボール→ファーへロブの使い分けが効きます。ニアは触らせる、ファーは待たせる。中の“枚数”を明確に指示します。
守備のギャンブル管理(背後1枚残しか2枚残しか)
1点差なら原則2枚残し。残り15分で追うなら、相手のFW質とピッチ状況を見て「1枚残し」の局面を意図的に作る判断も。
交代の実装:役割再定義の具体例
- WG→背後ラン特化の選手に変更。IHは配球型に寄せてスルーパス供給を増やす。
- SB→クロス精度の高い選手を投入し、早いクロスの回数を増加。
実例の見方:交代直後の一撃を最大化する
投入1分以内に“背後一発”を見せる。相手に速度の変化を体感させ、以後の寄せを0.5歩遅らせる狙いです。
KPIの切り替え:xThreat/ボックス侵入回数
この時間帯は、保持率よりも“危険地帯へボールが入った回数”を重視。xThreatやPA侵入でモニタリングし、伸びない場合は攻撃の入口をサイドに寄せます。
後半75–90+分の追い方(終盤のリスク設計)
狙い:時間とスコアに合ったパワープレーモードへ
同点・逆転のために、回数と再現性を徹底。二次・三次攻撃まで絵を描いてから蹴り込みます。
パワープレーの設計図(枚数・位置・セカンド回収)
- 枚数:CF+CB1枚を前線へ。IHの一人を落としてバランスを取る。
- 位置:ニア潰し1、中央ターゲット1、ファー待ち1、バイタル回収2。
- 回収:弾かれた瞬間、逆サイドIHが外へ展開→再クロスの連続。
ボックス占有とリバウンドゾーンの最適化
中は3人で“縦三角形”。こぼれ球のリバウンドはPA頂点と二列目の左右に2人ずつ。ミドルを撃つ担当と外へ再展開する担当を決め切ります。
ロングスロー/CK/FK:狙いの固定と再現性
終盤は迷いが最大の敵。ロングスローは「ニア潰し→ファー待ち」を固定。CKはインスイング・アウトスイングを相手の守り方で選択。FKは“速さ”を優先して相手が整う前に蹴る判断を共有。
ファウルマネジメント・時間術(止め時/流す時)
- 止め時:相手のカウンター初速に対して軽い接触で遅らせる。
- 流す時:自分たちが押し込んだままボールが外へ出そうなら、ボールキーパーが素早くリスタート。
実例の見方:アディショナルタイムの“二連続”を取り切る
一本目でCKまたはロングスロー→クリア→即座に二本目のクロスへ。相手のマークが整わない2回目に最大のチャンスが生まれます。
終盤特有のメンタルと意思決定のシンプル化
合言葉は「撃つ・詰める・拾う」。三語で意思決定を短縮し、誰がどこに走るかを迷わないようにします。
得点差別の戦い方(1点/2点以上/人数不利)
1点ビハインドの原則:均衡を崩す“質の上積み”
クロスの質、三人目の連動、セットプレーの一撃。この3つの上積みで十分追いつけます。無理に全体の重心を上げ過ぎず、二次攻撃の回収位置を10m押し上げるイメージで。
2点以上の時:期待値最大化とリスク受容の切り替え
シュート数とボックス侵入回数を増やし、CK・FKの総数を伸ばす設計に。中盤の一人を前線に押し上げ、1枚残しの局面を増やして“回数”を確保します。
人数不利時のミニマックス戦略(5-3/4-4ブロック)
- 5-3:横幅を閉じ、カウンターはサイドに限定。クロスのブロック率を上げる。
- 4-4:前進の通路を残し、少ない人数での速攻に賭ける。スローインとFKを“ボール保持の時間”として活用。
ホーム/アウェイによるプラン差の考え方
ホームは勢いを背にパワープレーの回数を増やせます。アウェイは主審基準やピッチ条件を早めに把握し、ファウルの“上限”を控え目に設定。
ゲームモデル別の解(ポゼッション/トランジション/ダイレクト)
ポゼッション志向の追い方:保持で殴る“幅×間×背後”
幅を最大化→ライン間で前向き→最後は背後へ。保持の枚数は増やしすぎず、PA侵入に関与する人数を3→4に。
トランジション志向:回収位置の固定と縦ズドンの再現性
奪う場所を“相手の左SB裏”などに固定。奪った瞬間の縦ズドン(斜めラン+早いパス)をテンプレ化します。
ダイレクト志向:空中戦とセカンドの面積管理
ターゲットへの放り込みは、落下点の“面積”をどれだけ自チーム色にできるかが鍵。二列目の配置でセカンドの回収率が変わります。
ハイブリッド化:相手の弱点に合わせたスイッチ基準
相手CBが遅い→裏抜け比重を増やす。相手アンカーが狭い→ライン間で受けてから外へ展開。試合中に基準を言語化してスイッチします。
セットプレーで取り返す(終盤の生命線)
キッカー優先順位と速さ/高さのバリエーション
CKは風向きと主審基準で選択。ファウルを取りやすい基準なら、高さより速さ重視で相手の寄せ前に蹴る判断が有効です。
3つの基本ルーティン(ブロック/オーバーロード/ニア潰し)
- ブロック:ターゲットの進路を味方が塞いでフリーで飛ばせる。
- オーバーロード:一方に人数を寄せ、逆サイドのフリーを作る。
- ニア潰し:GK前に早いボールで混乱を起こす。
二次回収とリスク管理(カウンターストッパー配置)
二次回収の担当をPA頂点に固定し、相手のロングカウンターに対して“止める人”を決めておく。外した瞬間のファーストファウルも役割明確に。
練習設計:再現性を作る反復とフィードバック
- 10本1セットでルーティンを固定、動画で進路とタイミングを確認。
- 週1回は“相手役”を明確に設定し、読み合いも反復。
データ活用とベンチワーク(意思決定を速く正しく)
xGとシュートクオリティの現場解釈
シュート数が多くてもxGが低ければ、角度や距離が悪い可能性。クロスの出し手を変える、ニアの人数を増やすなど、質にテコ入れを。
PPDA/陣地回復率で見る守備の効き目
PPDAが高い=奪い切れていないサイン。陣地回復率(相手陣内でのロスト回収の割合)が落ちたら、最初のプレッシャー角度を修正します。
選手交代のタイミング判断材料(心拍・走行・デュエル)
心拍や走行距離、対人勝率の低下は交代の材料。ピッチ上の“戻り速度”が落ちた選手から順にリフレッシュを。
オンフィールドコーチングの言語化テンプレート
- 守備:「外締め」「背中見て」「ライン合わせ」。
- 攻撃:「間で前向き」「裏見せて」「二次いく」。
年代・カテゴリー別アレンジ(高校/大学/社会人/育成年代)
高校・大学:走力優位の使い方とセットプレー比重
走力で“回数”を稼げます。終盤はロングスローとCKの練習比重を上げ、リスタートからの二次攻撃を武器に。
社会人・アマチュア:練習量制限下での再現性確保
時間が限られるほど、ルーティン化が効果的。スローインとCKの3パターン固定だけでも得点期待値は上がります。
ジュニアユース/ジュニア:原理原則の簡素化と成功体験
合図をシンプルにして「撃つ・詰める・拾う」を徹底。成功体験を積ませるためにゴール前の人数を増やし、こぼれ球を拾う役割を明確に。
審判・会場環境が与える影響と現実的対応
ピッチサイズや風、主審の接触基準は早めに把握。ロングボールの滞空や曲がり方をウォームアップでチェックし、キックの選択に反映します。
よくある失敗と回避法
焦りのロングボール連打で“回収不能”になる
蹴る前に“二次回収の配置”を作ってから。落下点の面積を自分たちで囲う準備をしてから蹴るだけで成否が変わります。
CBの持ち出しで背後崩壊(カバー角度の欠落)
持ち出すなら必ずアンカーが背中をカバー。SBは内側に絞ってカバー角度を確保。
セットプレー要員の偏りと読み合いの負け
同じ選手ばかりを狙うと相手に読まれます。ニアとファー、ターゲットの入れ替えを数本ごとに織り交ぜましょう。
交代の遅さ/早さで流れを切るリスク
流れが来ているときに交代で止めない。逆に膠着時は“スピードの差”を注入するために早めに動く。
主審基準の読み違いで時間を失う
接触の許容が厳しいなら、競り合いの方法を変える(体を入れる→先に触ってから接触)。抗議で時間を使わない。
シーン別ケーススタディ(抽象化して学ぶ実例)
早い時間に先制される→前半内に戻す2つの道
- 道1:サイド2対1で前進→CKを増やす→ニア潰しで同点。
- 道2:可変で中盤数的優位→ライン間で前向き→スルーパスでPK/決定機。
拮抗試合での先制許容→後半立ち上がりの逆襲設計
キックオフパターン→スロー連打→CK→二次攻撃までをパッケージ化し、5分で2本の決定機を作る設計へ。
終盤に失点→アディショナル内で二度詰める方法
パワープレーの枚数増→ファウルを恐れず“速い再開”→二本目のクロスで詰め切る。
人数不利での追い方→ブロック維持からの一点集中
5-3で横幅を閉じて、奪ったらサイドへ一閃。スローインとロングFKで回数を作る。
格上相手にビハインド→強みを1本に絞る勇気
守備は内→外へ限定。攻撃は“背後一発”に振り切り、三人目の走力勝負へ。
すぐ使えるチェックリスト(ベンチ用)
残り20/10/5分のリスク許容テーブル
- 20分:2枚残し、IH一人をPA侵入増へ。CK狙いを増やす。
- 10分:1.5枚残し(片側SBの絞り)、パワープレー準備。
- 5分:1枚残しの局面を意図的に作る。ロングスロー/CK連打。
セットプレー裏表の使い分け確認
- ニア潰し→ファー待ちの固定 or 逆回し。
- 二次回収のミドル担当と外展開担当の確認。
主審の基準・相手の交代傾向・時間稼ぎ対処
- 接触基準の把握、抗議は最小限。
- 相手の交代で守備強度が落ちるサイドを特定。
- 相手の遅延には素早いリスタートで返す。
役割変更の合図と言い切りフレーズ集
- 「赤」=スピードアップ、「青」=落ち着く。
- 「タワー」=パワープレー開始、「網」=二次回収拡大。
- 言い切り:「撃て」「詰めろ」「拾え」。
練習メニュー例(週2–3回での落とし込み)
追いかける前提のゲーム形式3種(制約付き)
- 0–1スタートゲーム:15分×2本、同点で終了か逆転で勝ち。終盤5分はクロスの回数にボーナス。
- 二次攻撃限定ゲーム:クロスやCK後のこぼれ球からしか得点認定しない5分×4本。
- リスタート連打ゲーム:スロー→CK→FKを連続で行い、5分間で3回以上のシュートを目標。
フィニッシュ局面の再現性:クロス×リバウンド
- ニア触り→ファー詰め→頂点ミドルの三連動を10本×3セット。
- 早いグラウンダークロスと浮き球の切り替えを交互に。
リスタート8分間サイクル(CK/スロー/FK連続)
8分でCK3本・ロングスロー3本・FK2本を連続消化。役割固定でルーティンを体に刻みます。
負荷管理と映像振り返りの最短ループ
練習直後に5分だけ映像で“落下点の面積”“二次回収の位置”を確認。言語と映像のセットで記憶を定着させます。
FAQ(よくある質問)
複数ライン変更の目安は?
残り15分で2点差以上、かつxGが伸びないとき。守備の残し枚数を減らし、PA侵入の人数を増やす判断を。
パワープレーはいつから始める?
残り10分で1点差、5分で2点差がひとつの目安。CKやスローが続くタイミングで一気に切り替えると効果的です。
ビルドアップ継続かダイレクトかの判断軸は?
ライン間で前向きに受けられる“回数”が減ったらダイレクトへ。相手の寄せが遅れたら再び保持で崩す。交互に提示します。
キャプテンの声がけ例:終盤の一言で整える
「撃つ・詰める・拾う」「二次いくぞ」「赤!」。短く、誰が何をするかが伝わる言葉で。
まとめ:明日からのアップデート
今日の試合で試す3つのこと
- 失点直後の3本パスで落ち着かせる合図運用(赤/青)。
- 後半開始5分の“連打”パッケージ(スロー→CK→二次)。
- 終盤のパワープレー配置(ニア潰し・中央ターゲット・ファー待ち・二次回収2)。
次の1週間で整える練習と役割定義
- CK3ルーティンとロングスロー2ルーティンの固定。
- 二次回収の担当と、ミドルor再展開の言い切り語彙。
- 交代後1分以内の“裏一発”を出す取り決め。
継続チェック項目と振り返りの型
- 15分ごとのxG/PA侵入の変化。
- PPDAとロスト位置の平均ライン。
- 終盤のリスタート回数とシュート本数の相関。
ビハインド時の追い方は、準備と合図、そして再現性で差がつきます。時間帯ごとの“期待値の高い行動”をチームで共有し、試合と練習を一本の線でつなげていきましょう。明日のあなたのチームは、今日よりも確実に追えるはずです。
