トップ » 試合 » 試合当日の朝食、何食べる?勝つための実例集

試合当日の朝食、何食べる?勝つための実例集

カテゴリ:

試合当日の朝食、何食べる?勝つための実例集

導入:勝つ準備は、キックオフより前に始まっている

「当日の朝、何を食べるか」で、走れる時間、スプリントのキレ、最後の5分の集中力は確実に変わります。特別なものを食べる必要はありません。大事なのは“必要なときに、必要な量を、食べ慣れた形で”入れること。本記事では、試合当日の朝食の原則から、キックオフ時刻別の時間割、体重あたりの量、和洋・コンビニ別の実例メニューまで、現場でそのまま使える形でまとめました。

なぜ朝食が勝敗を分けるのか:エネルギーとパフォーマンスの関係

サッカーの運動強度とエネルギー供給(有酸素・無酸素の比率)

サッカーは、ゆっくり走る・歩く有酸素運動がベースにありつつ、スプリントや切り返しなど無酸素的な高強度が挟まる「インターミッテント(断続的)」な競技です。つまり、長く動き続けるための持久的エネルギーと、一瞬で出力を上げるための瞬発的エネルギーの両方が必要。これを支える主燃料が炭水化物(グリコーゲンと血糖)です。

筋グリコーゲン・肝グリコーゲンと血糖の役割

筋グリコーゲンは主に「動くためのタンク」、肝グリコーゲンは「血糖を安定させるタンク」です。就寝中は食事が止まるため、朝には肝グリコーゲンが目減りしています。朝食で炭水化物を補給しないと、試合中の血糖が落ちやすく、集中力や意思決定、スプリントの質が下がるリスクが高まります。

消化吸収にかかる時間の目安(炭水化物・脂質・たんぱく質)

  • 炭水化物:おおむね1〜2時間で消化しやすい(種類や量で変動)
  • たんぱく質:2〜3時間(脂の少ないものは比較的軽い)
  • 脂質:3〜4時間以上(多いと胃もたれ・パフォーマンス低下の原因)

キックオフの時刻から逆算し、胃に“重さ”を残さない組み立てがカギです。

原則5か条:試合当日の朝食で外せないポイント

炭水化物を主役にする(必要量の目安)

3〜4時間前に体重1〜4g/kgの炭水化物が目安。たとえば体重70kgなら70〜280g。範囲が広いのは、試合強度・体格・消化の得手不得手で最適量が変わるからです。

脂質・食物繊維は控えめに整える

脂っこい・繊維が多すぎる朝食は、消化が遅れやすく、動き出しが重くなりがち。揚げ物やバター多め、サラダ山盛りは当日は避け、前日までに摂っておきましょう。

たんぱく質は少量〜中等量で消化に配慮

目安は0.2〜0.3g/kg。体重70kgなら14〜21g程度。卵1個+ヨーグルト少量など、脂質の少ない形で。

低〜中GIを基軸に高GIで直前トップアップ

主食は白米・うどん・食パンなどの消化しやすいもの(低〜中GI)をベースに。キックオフ60〜30分前に、バナナ、ゼリー飲料、スポーツドリンクなど高GIで素早く仕上げます。

“食べ慣れたもの”を選ぶ(新規食品・サプリは避ける)

試合当日は冒険しないのが鉄則。練習日で試し、当日は安全運転でいきましょう。

キックオフ時刻別:時間軸で考える朝食戦略

朝9時キックオフの組み立て(起床直後〜直前)

  • 起床直後:水分200〜300ml+バナナ半分やゼリー飲料
  • 90〜60分前:おにぎり1〜2個 or トースト+ジャム、飲むヨーグルト少量
  • 30〜15分前:スポーツドリンク100〜200mlや一口ゼリーでトップアップ

早朝は食欲が落ちやすいので“分割”が基本。消化の軽さを優先します。

正午キックオフの組み立て(3〜4時間前の主食+直前補食)

  • 4時間前:白米たっぷり+うどん(またはトースト)+みそ汁
  • 60〜30分前:ゼリー飲料やバナナ、スポーツドリンクで0.5g/kgの炭水化物を追加

15時キックオフの組み立て(朝食+軽い昼食+補食)

  • 朝食(7〜8時):しっかりめ(炭水化物中心)
  • 軽い昼食(11〜12時):うどん、パン+ジャム、具は軽め
  • 60〜30分前:高GIのトップアップ

ナイトゲームの組み立て(朝食・昼食・補食の配分)

  • 朝食:通常どおり
  • 昼食:炭水化物多めで脂質控えめ
  • 3〜4時間前:プレゲームミール(おにぎり+麺類など)
  • 60〜30分前:ジェル・ドリンクで微調整

大会・連戦日の回し方(次試合を見据えた補食計画)

1試合終わったら、早めに炭水化物と電解質を補給。おにぎり、バナナ、スポドリ、塩分入りのゼリーなどを“補食リレー”で繋いでいきます。

量の目安:体重あたりの摂取基準

3〜4時間前:炭水化物1〜4g/体重kgの幅をどう使うか

  • 軽い朝・消化に不安:1〜2g/kg
  • 通常〜高強度:2〜3g/kg
  • 大柄・連戦・消耗が大きい:3〜4g/kg(分割して)

60〜30分前:高GIで0.5g/体重kgのトップアップ例

体重70kgなら炭水化物35g程度。例:バナナ1本(約25g)+スポドリ200ml(約12g)=合計約37g。

たんぱく質・脂質・食物繊維の“上限ライン”と目安量

  • たんぱく質:0.2〜0.3g/kg(卵1個+ヨーグルト100gなど)
  • 脂質:できれば15〜20g以下(揚げ物・バター・生クリームは当日は控える)
  • 食物繊維:5g以下目安(玄米・大量の生野菜・豆類は控えめに)

水分・電解質:起床時からの分割摂取ガイド

  • 目安:起床後からキックオフまでにこまめに摂る。目安として、4時間前に体重1kgあたり5〜7mlの補水が参考(状況や個人差あり)。
  • 色でチェック:尿色が濃いなら少し追加(塩分の入った飲料が有効)。
  • 電解質:汗が多い日はナトリウム入りのスポーツドリンクや経口補水液を活用。

実例メニュー集(和・洋・コンビニ・時短)

和食派:おにぎり+うどん+具だくさん味噌汁のバランス例

おにぎり2個(梅・鮭)+かけうどん(小)+味噌汁。塩分で発汗対策、炭水化物でタンク補充。具は豆腐・わかめ・ねぎ程度で軽く。

パン派:食パン+ジャム+卵少量+ヨーグルトの整え方

食パン2枚(ジャム)+ゆで卵1個+プレーンヨーグルト100g+果物(バナナ/みかん)。脂質控えめで消化良好。

コンビニ調達:おにぎり+バナナ+飲むヨーグルト+経口補水の鉄板

おにぎり2個+バナナ1本+飲むヨーグルト1本+経口補水液またはスポドリ。時間がない朝でも再現性高め。

時短・食欲がない時:ゼリー飲料+バナナ+クラッカーの最小構成

ゼリー飲料(エネルギータイプ)1つ+バナナ1本+プレーンクラッカー。30〜60分前にスポドリで追加。

胃腸が敏感な人向け:低脂肪・低繊維の優先リスト

  • 主食:白米・おかゆ・うどん・そうめん・食パン
  • 果物:熟したバナナ、りんごのすりおろし
  • たんぱく源:卵(ゆで/温玉)、脂肪ゼロヨーグルト、豆腐
  • 飲料:スポーツドリンク、薄めの紅茶

日本の定番食材で作る“勝てる”朝食テンプレ

おにぎり(具の選び方:梅・鮭・昆布・明太の使い分け)

  • 梅:酸味と塩分で食欲と補水をサポート
  • 鮭:たんぱく質を少量プラス(脂身が少ないもの)
  • 昆布:脂質が少なく消化にやさしい
  • 明太:塩分補給に良いが辛味が強い場合は避ける

麺類(うどん・にゅうめん・そばの適材適所)

うどん/にゅうめんは消化が軽く朝向き。そばは栄養価が高い一方、繊維がやや多いので敏感な人は試合日には量を抑える選択も。

果物(バナナ・みかん・キウイのGIと食べ合わせ)

  • バナナ:補給の定番。熟しているほど吸収が速い
  • みかん:水分・ビタミン補給に。繊維は少なめ
  • キウイ:酸味あり。ヨーグルトと相性良し(ただし食べ慣れた組み合わせで)

乳製品(ヨーグルト・牛乳・チーズ:量とタイミング)

ヨーグルト100〜150g、牛乳150〜200ml程度が目安。脂質の多いチーズは少量に。乳糖不耐がある人は無理をしない。

汁物(味噌汁・スープ:塩分・水分の両面から)

味噌汁は塩分と水分を同時補給できる優秀な一杯。具は豆腐・わかめ・ねぎ程度で重くしないのがコツ。

ポジション・役割別の微調整

ウイング・サイドバック:スプリント反復に向く配分

炭水化物比率やや高め。60〜30分前の高GIトップアップをしっかり。脂質は最小限で軽さ重視。

ボランチ・インサイドハーフ:長時間の運動持久に効く配分

3〜4時間前の主食量を十分に。低〜中GI中心で“息の長さ”を確保。試合中の給水タイミングも計画的に。

センターバック・GK:満腹感を抑えつつ集中力維持

食べ過ぎで重くならないよう、量は中等。消化の軽い炭水化物+少量のたんぱく質で安定感を狙う。

体格・体重管理の観点(増量期・減量期の工夫)

増量期でも試合当日は脂質でカロリーを稼がない。減量期でも当日は炭水化物を削りすぎないことがパフォーマンス最優先の鉄則。

水分・電解質・カフェインの扱い方

起床〜会場到着までの補水ルーティン

  • 起床:水または薄めのスポドリ200〜300ml
  • 朝食時:300〜500ml
  • 移動中:喉が渇く前に100〜150mlずつ

ウォームアップ前後の電解質補給(夏・冬の違い)

夏はナトリウム入り飲料を中心に。冬は冷えで喉が渇きにくいので「意識的に少量ずつ」進めるのがポイント。

カフェインの活用可否とタイミング(個人差と注意点)

カフェインは人によって効果や副作用が異なります。日頃から慣れている人は、キックオフ約60分前に少量のコーヒーやお茶で集中を整える選択も。未経験の摂取や高用量、エナジードリンクの多用は当日は避けましょう。

スポーツドリンクと経口補水液の使い分け

  • スポーツドリンク:糖と電解質を同時に補給。運動前後〜中に適する
  • 経口補水液:電解質が多め。汗で塩分喪失が大きい時や軽い脱水の改善に有効

避けたいNG例とトラブル対処

脂っこい・辛い・高繊維の“朝からは重い”料理

唐揚げ、カツ、こってりラーメン、激辛カレー、玄米大盛り、サラダ山盛りは当日朝は×。消化が追いつきません。

未知のプロテイン・サプリ・エナジードリンク

初めてのメーカー・種類は当日禁止。練習日で試して“体に合う”ことを確認してから。

緊張で食べられない時の“分割と液体”戦略

  • 固形:おにぎり小×1、バナナ1/2など少量ずつ
  • 液体:ゼリー飲料、スポドリ、薄いスープでエネルギーと塩分を補う

朝食を失敗した時のリカバリー手順

  1. まず補水(経口補水液やスポドリ)
  2. 30〜60分前に高GIの少量(ゼリー、バナナ)
  3. ウォームアップは急激に上げすぎず、徐々に体を起こす

前日との連携:前夜ごはんから逆算する

軽めのカーボ強化と脂質コントロール

前夜は白米・パスタ・うどんなどを中心に、揚げ物やクリーム系は控えめに。

就寝前の補食で朝の低血糖を避ける

寝る1〜2時間前に、バナナや小さなおにぎり、ヨーグルトなどを少量。朝の“ガス欠”を防ぎます。

起床時の体重・尿色チェックで調整する

前日比で体重が大きく落ちている、尿が濃いなら、当日の補水・炭水化物量を少し増やす判断材料に。

アレルギー・制限食への代替案

乳糖不耐への対応(乳製品の置き換え)

乳糖ゼロのヨーグルトや牛乳、豆乳・オーツミルクを活用。無理に乳製品を入れる必要はありません。

グルテンを控えたい人の主食選択

白米、米粉パン、ビーフン、春雨、もち等が選択肢。うどん・パンは避け、消化の軽さを最優先に。

ベジタリアン/ヴィーガンでも賄えるメニュー

おにぎり+具だくさん味噌汁(出汁は植物性)+バナナ+豆乳ヨーグルト。豆類は繊維が多いので量に注意。

ナッツ・甲殻類アレルギーの注意点

加工食品はアレルゲン表示を必ず確認。コンビニの菓子・パン類は製造ラインの注意書きもチェック。

連戦・大会日を乗り切る“補食リレー”

試合間30〜90分の栄養補給モデル

  • 直後10〜20分:スポドリ+ゼリー飲料(炭水化物20〜40g)
  • 30〜60分:おにぎり小 or バナナ+塩分(梅干し等)
  • 60〜90分:必要に応じて追加トップアップ

勝ち進む前提での朝食〜昼食の分割設計

朝食で詰め込みすぎず、試合ごとに小刻みに足す。胃腸に負担をかけないのが結局“強い”。

簡易クーラーボックス活用と持参リスト

  • 氷・保冷剤、冷凍したペットボトル
  • おにぎり(具は梅・昆布など傷みにくいもの)
  • バナナ、ゼリー飲料、スポドリ、経口補水液
  • 塩分タブレット、使い捨てスプーン・おしぼり

遠征・アウェー対応:ホテル・外食の選び方

ホテル朝食ビュッフェの攻略法

  • 主食:白米 or トースト(ジャム)
  • 副菜:卵(ゆで/スクランブル)、味噌汁、軽いスープ
  • 果物:バナナ・柑橘を少量
  • 避ける:ベーコン・ソーセージ・クロワッサンの大量摂取

移動日・時差のある時の食事タイミング

現地のキックオフに合わせて「3〜4時間前に主食、60〜30分前にトップアップ」を軸に、時計ではなく“試合を起点”に組むのがコツ。

外食チェーン・サービスエリアでの最適解

うどん・そば(天ぷら抜き)、おにぎり+味噌汁、焼き魚定食のご飯多め(揚げ物は避ける)が安全策。

コンビニ別・状況別の買い物リスト

朝が早い時の“前夜買い置き”セット

  • おにぎり2〜3個(梅・昆布・鮭)
  • バナナ、ゼリー飲料
  • スポーツドリンク、経口補水液
  • 飲むヨーグルト(小)

会場到着後に足りない分を追加する選択肢

  • 塩むすび、あんぱん、ジャムパン(クリーム系は避ける)
  • カットフルーツ、薄味のスープ
  • ミニ羊羹やカステラ(高GIの即効型)

暑熱時・寒冷時の追加アイテム

  • 暑熱:冷凍ペットボトル、塩タブレット、クエン酸入りドリンク
  • 寒冷:保温ボトルのスープ、ホットドリンク(糖+塩分)

食中毒・衛生管理:夏場の弁当と持ち運び

高温多湿で避けたい食材と保冷の基本

マヨネーズたっぷり、半熟卵、生魚は避ける。おにぎりは清潔な手で握り、ラップ・保冷剤で管理。

水筒・シェイカーの洗浄と乾燥

使用後はすぐに洗って乾燥。フタやパッキンのぬめりを残さない。遠征中は予備ボトルが便利。

試合後の速やかな補食と保存のコツ

帰りの車内で食べる分は別に分け、常温放置を避ける。生ものは早めに消費。

Q&A:現場でよくある疑問に回答

納豆や玄米は試合当日に向いている?

栄養価は高いですが繊維や発酵で人によっては胃腸が重くなることも。前日までに回し、当日は量を控えるか、練習日で試して問題なければ少量に。

プロテインは朝飲むべき?量とタイミング

固形で摂りにくいなら少量は可。ただし当日は炭水化物が主役。摂るなら牛乳ではなく水で溶かし、量は20g前後まで。飲み慣れた製品に限定。

朝コーヒーはOK?眠気とトイレ問題のバランス

普段から飲む人は小カップ1杯程度をキックオフ60分前目安。利尿を避けるため、同時に水分・電解質も少量ずつ。

甘い菓子パンしかない時のリカバリー方法

クリームや油脂の多いパンは避け、あんぱん・ジャムパンを選ぶ。バナナや牛乳(または飲むヨーグルト)を足して栄養バランスを補正。

自分専用の“勝ち朝食”を作るPDCA

食事ログと試合データの紐づけ方法

朝食の内容・量・時間を記録し、走行距離、スプリント回数、主観的疲労(RPE)と並べて振り返る。

胃腸反応・満腹度・集中度の主観評価

満腹度(0〜10)、胃の重さ(0〜10)、集中度(0〜10)をウォームアップ前にメモ。再現性が高い組み合わせがあなたの正解。

次戦に活かす微調整の優先順位

  1. 炭水化物の総量(増減)
  2. タイミングの前倒し/分割
  3. 脂質・繊維の削減
  4. 電解質の追加

チェックリスト:前夜〜当日の準備

前夜の買い物・仕込みチェック

  • おにぎり用の具・ラップ・保冷剤
  • バナナ・ゼリー飲料・スポドリ・経口補水液
  • 飲むヨーグルト/ヨーグルト(慣れたもの)
  • 紙コップ・おしぼり・ゴミ袋

当日の起床〜会場到着までの行動表

  1. 起床:補水+軽い糖質
  2. 朝食:キックオフ3〜4時間前(または分割)
  3. 移動:こまめに給水、到着後トイレで状態確認
  4. 60〜30分前:高GIでトップアップ

忘れ物ゼロの補食・飲料パッキング

  • おにぎり、バナナ、ゼリー飲料
  • スポドリ、経口補水液、予備の水
  • 保冷剤、タオル、替えのソックス

まとめ:朝の一手で、90分の質が変わる

試合当日の朝食は、才能や戦術に並ぶ“勝ち筋”のひとつです。基本は炭水化物中心、脂質と繊維は控えめ、食べ慣れた形で、キックオフから逆算する。難しいことは要りません。あなたの体に合う量とタイミングを、練習や公式戦で少しずつ調整しながら固めていけば、最後のひと伸びが必ず変わります。今日の一皿から、勝ち方を磨いていきましょう。

サッカーIQを育む

RSS