サッカーで最後まで走り抜ける選手になる――これは高校生から大人まで、全てのフットボーラー共通の目標ではないでしょうか。「試合 バテない 方法」は、多くのサッカー選手や指導者が一度は検索するテーマです。本記事では、なぜ“バテる”のか、その正体を科学的に掘り下げ、さらに90分間動き続けられるスタミナの作り方・トレーニング方法・食事術・メンタル面まで、幅広く実践的ノウハウを解説します。ご自身やお子さんのプレーに悩みがあれば、きっと気付きやヒントが得られるはずです。
なぜ試合後半でバテるのか?疲労の正体に迫る
サッカーにおける“バテる”とは
サッカーでは「バテる=走れなくなる」イメージがありますが、実際はそれだけではありません。
思考や判断が鈍る、プレー精度が落ちる、声が出なくなる――。バテるとは単なる脚の疲れだけでなく、肉体的・精神的パフォーマンスのトータルダウンを指します。特に、後半になると普段の動き・判断力がガクンと下がる人は、「持久力」や「集中力の限界線」に原因が潜んでいることが多いのです。
エネルギー源の消耗とパフォーマンス低下のメカニズム
そもそも走れなくなる根本理由は主に三つ。「筋肉に蓄えられたエネルギー(グリコーゲン)の枯渇」「水分・ミネラル不足による血流や神経伝達の乱れ」「乳酸など疲労物質の蓄積」にあります。
サッカーは短距離ダッシュとジョグ、急停止や方向転換を繰り返します。こうしたインターバル運動は、有酸素系と無酸素系、双方のエネルギー供給回路がフル稼働します。後半になるとグリコーゲンが足りなくなり、パフォーマンス低下→走る量・判断力低下→更なる疲労、という悪循環が生まれがちです。
フィジカル以外に見落とされがちな要因
バテる要因は「体力」だけではありません。
- ポジショニングや戦術的な無駄走りの多さ
- 集中力やメンタルの消耗
- 緊張・ストレス
- 暑さや寒さなど外的環境への順応不足
など、自分自身でコントロール可能な部分も多く存在します。逆に言えば、「鍛え方」「考え方」「試合時の自己管理」を見直すことで、誰でも“後半バテない選手”へと一歩近づけるのです。
根本から変える!バテない身体作りの基本
サッカー選手に必要なスタミナとは何か
「スタミナ」と一口に言っても、単なる持久走能力だけでは足りません。サッカーで本当に必要なのは、「最後まで全力でプレーをやり切り、要所でスプリントできる持続性・瞬発性」。
そのためには「有酸素能力(長い時間体を動かす力)」と「無酸素能力(瞬間的に爆発的な動きをする力)」の両方をバランスよく伸ばすことが不可欠です。
持久力(有酸素能力)の高め方
有酸素能力とは“長時間にわたり酸素を使って運動し続ける力”。心肺を鍛えることが基本で、「LSD(ロング・スロー・ディスタンス)」と言われる低強度・長時間ランニングや、心拍数120〜150程度で30分以上続けるゆったりジョグが代表的です。
これにより毛細血管量やミトコンドリアが増え、疲労しづらい体質に近づきます。
無酸素運動能力アップのトレーニング例
一方、サッカーで決定的に重要なのが「無酸素能力」。強い筋肉を発揮し、一瞬でダッシュしたり相手を振り切ったりする力です。
おすすめは
- 100m全力ダッシュ×10本(インターバル30秒)
- 1分間バーピー→30秒休憩×4セット
- 短い距離(20m, 40m)での複数本ダッシュ
- 坂道ダッシュやプライオメトリクス(ジャンプ系)
など。単に「走る」だけでなく、発力の速さやパワーの回復力まで鍛えていきます。
技術×体力:練習への取り入れ方法
体力トレーニングと技術練習を分離するより、「ボールフィーリングや対人練習に持久系要素を組み込む」のが効率的です。
例えば
- 数的優位の中で続けるランニングパス
- 連続した1on1やポゼッション(5分間ボールアウトしない)
- あえて崩し切るまで休めない「連続シュートドリル」
など、「技術&体力」の“実戦融合”を意識した練習がポイントとなります。
90分間バテない!実践的トレーニングメニュー
効果的なインターバルトレーニング
インターバルトレーニングこそ、サッカー選手のスタミナのカギです。代表的なものに「HIIT(高強度インターバルトレーニング)」があります。
- 40mダッシュ10本(20秒全力+40秒ジョグ休み×10セット)
- グリッド形式のスペース内で、1分間全力プレー&1分間ボールキープを交互
ポイントは、「負荷」と「短い回復時間」を交互に繰り返し、心肺も筋力も同時に伸ばすことです。
サッカー特有の“止まらない走り”の鍛え方
試合中は頻繁に足が止まらない、しかも走る強度もバラバラ。
そこで
- 2分ごとにジョグ→ダッシュ→バックペダル(後ろ向き小走り)→サイドステップを繰り返す「ポリバレントラン」
- ミニゲーム形式で「攻守連続参加」し、常にポジションチェンジ
など、「走りの切り替え」や「頻繁な方向転換」を意識するトレーニングが現実的です。ピッチで活きる動きに直結する内容が理想です。
おすすめサーキットメニュー
強度を保ちつつ、全身まんべんなく鍛えるにはサーキットトレーニングが最適です。例)
- 20秒スクワット→10秒休憩→20秒プッシュアップ→10秒休憩→20秒腹筋→10秒休憩→20秒ジャンピングランジ→10秒休憩(1周/5分を2〜3周)
- ボールタッチ(左右リズム)→サイドステップ→スライディングタックル動作→ジャンブ→全身を駆使したメニュー
サッカーの動作イメージを入れ、疲れた時にもフォームが崩れにくい体を作りましょう。
トップ選手も実践するリカバリー法
世界のトップ選手はトレーニング同様に「リカバリー(回復)」を重視しています。
- 運動後のアイスバスやクールダウンジョグ
- ストレッチ・マッサージ(フォームローラー含む)
- 深い呼吸とマインドフルネス
「練習後すぐ寝てしまう」「ストレッチをセーブする」などは、疲労物質の蓄積や回復遅延につながります。回復こそが次の“練習効果”を高めるカギと言えるでしょう。
食事・栄養管理でバテない身体へ
エネルギー切れを防ぐ食事術
どれだけ頑張っても、身体の中にエネルギーがなければ90分走りきれません。
最も重要なのは「糖質=ご飯やパスタ、パン等でグリコーゲンを満タンにしておく」ことです。三食きっちり主食をとり、不足するとバテやすさが顕著になります。
加えて、「適度な脂質」「たんぱく質」「ビタミン・ミネラル(特に鉄・マグネシウム)」のバランスも忘れずに。
試合前・試合後に摂取すべき栄養素
試合3時間前なら「おにぎり・パスタ・うどん」など消化の良い糖質が効果的。
強度の高い運動の直前に脂っぽいもの・食物繊維の多いものは控えましょう。
試合30分前に手短なエネルギーチャージ(バナナ・ゼリー飲料等)も吉。
試合後は「筋肉修復&グリコーゲン補給」が必須。
たんぱく質+適度な糖質(例:牛乳+パン、おにぎり+ゆで卵等)を30分以内にとると疲労が回復しやすくなります。
水分・ミネラル補給も忘れずに(スポーツドリンクや塩タブレット等)
高校生・社会人別の食事ポイント
- 高校生:成長期につき量も質も重要。身長・筋力UPのため、1日3食+間食で主食主菜副菜を意識しよう。
- 社会人:忙しさの中で疎かになりがちだが、朝食・昼食で糖質とたんぱく質を確保。飲み会や外食が多い場合も、試合数日前から油分を控え水分補給重視が◎。
どちらも「体重管理」「胃腸の絶好調キープ」が90分間の維持力に直結します。
実際の食事例と失敗しやすいケース
成功例:
・前日夜→ごはん+魚+野菜+果物
・当日朝→トースト+卵+牛乳+バナナ
・3時間前補食→おにぎり2個+スポーツドリンク
・試合後→ヨーグルト+おにぎり+サラダチキン
失敗例:
・直前にラーメンや揚げ物(消化不良/腹痛)
・朝食抜き(エネルギー枯渇)
・甘い菓子パンばかり(糖質過剰・栄養バランス偏り)
・水分少ない(脱水〜パフォーマンス大幅低下)
調整力を高める!睡眠・休養によるスタミナ保持
睡眠不足が体力低下につながる理由
実は「睡眠不足による体力低下・ケガのリスク上昇」は世界のアスリートデータでも示されています。
睡眠は筋肉回復だけでなく、脳のパフォーマンス維持や自律神経の安定に直結。日ごろから1日7〜8時間を目安に、十分な眠りを確保しましょう。
効果的な休息の取り方
休息も“ただ休む”のではなく、「軽いストレッチ」「アイシング」「短い昼寝(パワーナップ)」など、「能動的なコンディショニング」が理想です。
また、練習後や必ず入浴で全身の血流を促すことで翌日の疲労感が大きく変わります。
試合直前のコンディショニング
試合前日は「軽めのジョグ程度・早めの就寝」が鉄則。「気合いで夜遅く走り込み」「エナジードリンクなど刺激物多用」等は逆効果。
「いつも通り」のリズムをキープしつつ、体を休ませ細胞レベルでエネルギー充填しましょう。
“無駄に走らない”頭脳派スタミナ術
ポジショニングの極意で無駄走りを減らす
実際の試合データでも「同じ走行距離でも、トップ選手ほど無駄走りが少ない」傾向が分かっています。
絶えずボールと相手・味方の位置を意識し、「予測→先取り→省エネラン」を意識。
例えば
- 守備で常に相手を予測しコースを切る(無用な往復削減)
- 味方との連携でパスコースをシフトして走行距離節約
「いつでも全速力!」ではなく、「必要な時だけギアmax→それ以外は効率動作」がバテない極意です。
試合中の自己管理テクニック
- プレーが止まった瞬間、深呼吸とリラックスで心拍数を調整
- 暑さ・寒さにはプレー中もウェア着脱や氷嚢利用など柔軟対応
- 定期的に“軽く歩きながら”体力回復を図る
- コーチや味方と「疲労や水分補給サイン」を合図にする
といった小技も、“実戦的スタミナ”のコツとなります。
メンタルがスタミナを左右する理由
不安や焦り、意識の分散で「本来のプレー運動量が維持できない」ことが多々あります。「今、何を優先する時か?」を自分に問い、1プレーごとに集中力をリセットする癖を付けましょう。
また、「ポジティブな声かけ」や「成功イメージング」は、非常時にもパフォーマンス低下を防ぐ大きな武器になります。
バテない選手になるための一週間スケジュール例
バテない身体を作るには継続的な計画が大切。下記は、平日部活/週末試合の高校生や社会人プレーヤーを想定した例です。
曜日 | 内容 |
---|---|
月 | 休息(軽いストレッチ・フォームローラー等) |
火 | 有酸素ジョグ30分+ボールトレーニング |
水 | サーキット(全身・20分)→インターバルダッシュ5本 |
木 | ポゼッション形式のミニゲーム+持久パス練習 |
金 | 短距離ダッシュ+守備/攻撃連続参加ゲーム |
土 | 公式戦またはフルコート練習(実戦に近い負荷) |
日 | リカバリージョグ+入浴・十分な睡眠 |
このサイクルで、基礎体力・技術両面を伸ばしながら疲労抜きも忘れずに!
食事・睡眠のリズム作りも生活の一部に取り入れることで、1週間のうちどこかで「不調」に陥ってもすぐリカバリー可能な身体が作られます。
よくある質問と回答:スタミナ強化Q&A
- Q. 長距離を走る練習だけで試合のスタミナは伸びますか?
- A. 基礎持久力アップにはなりますが、サッカーは「止まる・走る・ダッシュ・方向転換」が連続する競技。ゲーム的インターバルやダッシュ強化も絶対不可欠です。
- Q. 小さなミスが続きやすいのですが、スタミナ切れが影響しますか?
- A. はい。疲労→注意散漫→悪循環という流れに陥る選手は多いです。走り以外にも「日常的な睡眠・食事・メンタル調整」が重要です。
- Q. 市販サプリやエネルギーゼリーは効果ありますか?
- A. スポットでの補給には便利ですが、主食やたんぱく質、ビタミンミネラルが普段の食生活でしっかり摂れている前提で活用するのがおすすめです。
- Q. 2日連続の試合・練習でのバテ対策は?
- A. 水分・エネルギー補給、十分な睡眠、アイシングやストレッチ等「リカバリー」を最優先に。無理せず徐々に強度を戻すことで連戦にも対応できます。
- Q. 試合でバテてしまって落ち込んだ…どうすれば?
- A. 誰もが経験します。「なぜバテたか」記録や振り返りをノート等に残し、原因を一つ一つ検証しましょう。改善ポイントが分かれば次の成長につながります。
まとめ:明日の自分が今よりバテないために
サッカーで“バテない”選手を目指すには、やみくもな走り込みや根性だけではうまくいきません。
「科学的な体力作り」×「ボール技術との融合」×「食事・睡眠・心の調整」を、日々生活の中でどれだけ継続できるか――。
この積み重ねが「90分間、ラストプレーまで勝負を分ける」土台となります。
明日から何か一つ、「自分なりのスタミナ対策」を生活に取り入れてみてください。それが、あなた自身やお子さんの“プレーの自信と強さ”に必ずつながるはずです。