「パフォーマンスを上げたい」——この想いに水を差すのが、思いもよらないドーピング違反です。禁止物質を“使うつもりがなくても”、市販薬やサプリメント、海外遠征での不注意ひとつで陽性になるケースは珍しくありません。この記事は、技術や戦術の話ではなく、選手生命を守るためのリスク管理のガイドです。検査の仕組み、当日の流れ、避けるべき薬、申告のコツまで、試合当日から日常の生活まで役立つ実践的な情報を整理しました。
目次
- 導入:ドーピング検査は“競技力”の話ではなく“リスク管理”
- ドーピング検査とは?目的・対象・タイミング
- 検査当日の流れと選手の権利・義務
- 禁止表の読み方と毎年の更新ポイント
- 現役が特に注意すべき薬・成分のカテゴリ
- 市販薬・処方薬を使う前のチェックリスト
- サプリメントのリスクと回避策
- 申告(ドーピング・コントロールフォーム)と記録管理
- TUE(治療目的使用に係る除外措置)の要点
- ケーススタディ:ありがちな“うっかり”を防ぐ
- 大会・遠征前の準備:薬箱のつくり方と持参書類
- 学生・アマチュアが直面しやすい落とし穴
- 陽性疑義が出たときの初動とコミュニケーション
- 国際遠征・海外大会での注意点
- FAQ:よくある質問
- まとめ:今日からできる3つの行動
- 後書き
導入:ドーピング検査は“競技力”の話ではなく“リスク管理”
この記事で解決できること
・ドーピング検査の目的と基本構造がわかる
・現役が避けるべき薬・成分の考え方が身につく
・検査日に慌てないための手順、権利と義務を把握できる
・申告(ドーピング・コントロール・フォーム)や記録管理の要点を理解できる
・市販薬、処方薬、サプリの安全な選び方を自分で判断できる
検査を正しく理解するメリット
ドーピングは「知らなかった」「うっかり」が通用しません。正しい知識は、余計なリスクを避け、安心してプレーに集中するための保険です。検査の流れや権利を知っているだけで、当日のストレスも大きく減ります。
サッカー競技者特有の場面で起こりやすいリスク
・花粉症やかぜの市販薬(刺激薬成分)
・筋・関節痛でのステロイド注射(投与経路)
・エナジー飲料やプレワークアウト(未知成分・刺激性)
・プロテイン以外のサプリ(汚染・混入)
・海外遠征時の現地購入薬・サンプル品(成分差・規制差)
・CBD製品(THC混入)
・ポピーシード食品(モルヒネ由来リスク)
ドーピング検査とは?目的・対象・タイミング
ドーピングの定義とフェアプレーの観点
ドーピングは、禁止物質・禁止方法の使用や所持、検査逃れなど、競技の公正さと選手の健康を損なう行為の総称です。検査は「ズルの摘発」だけでなく、競技者の健康を守り、スポーツの信頼を保つために行われます。
国際機関と国内機関(WADA/JADAなど)の役割
・WADA:世界アンチ・ドーピング機構。世界アンチ・ドーピング規程や禁止表の策定、標準の整備を担います。
・国内機関(例:JADA):国内での教育、検査、TUE(治療目的使用)審査などを実施。
・国際競技連盟・大会主催者:競技・大会での検査実施主体になることがあります。
検査の種類(競技会内・競技会外)と対象者
・競技会内検査:原則として試合前日の夜から、試合後の検体採取が終わるまでの期間に実施。
・競技会外検査:練習時や自宅、合宿先などで実施。抜き打ちが基本。
・対象者:代表やプロだけでなく、登録競技者なら対象になることがあります。上位選手は居場所情報の提出が必要な登録検査プールに指定されることがあります。
サッカーで起こりうる検査のシナリオ
・試合後、スタジアム内のDCS(ドーピング・コントロール・ステーション)での採尿・採血
・トレーニング施設や合宿所での抜き打ち検査
・国際遠征中のホテルでの早朝訪問検査
・特定選手のターゲット検査(復帰時、ケガ明け、成績動向などの要因で選定される場合)
検査当日の流れと選手の権利・義務
通知からドーピング・コントロール・ステーション(DCS)までの同行
検査対象に選ばれると、DCO(検査員)またはチャペロンから通知を受け、その時点から同行されます。水分補給やクールダウンなどは、DCOの許可のもとで可能。指示に従い、DCSへ移動します。
採尿・採血の実施手順とA/B検体の取り扱い
・採尿:同姓のDCOが直接視認のもとで採取。必要な量・比重に達しない場合は追加採尿します。
・採血:指定の医療資格者が安全に実施。
・A/B検体:採取した検体をAとBに分けて封印。Aで分析し、異常(陽性疑義)が出た場合にBで再確認します。封印やラベルは選手自身が確認します。
本人確認・フォーム記入・申告のプロセス
身分証確認→容器選択→採取→分注・封印→書類確認・署名→申告(最近使用した医薬品・サプリ等)。疑問点はその場で質問し、誤記のないように控えを保管します。
選手の権利(通訳・代表者同席など)と義務(適時対応など)
・権利:通訳の手配、チームスタッフや保護者の同席、必要な医療対応、個人情報の保護、フォーム内容の確認・意見記載。
・義務:通知後の適時対応、身分証提示、正確な申告、採取手順への協力。正当な理由なく拒否・遅延すると違反に当たることがあります。
禁止表の読み方と毎年の更新ポイント
禁止表(Prohibited List)の構造と改定サイクル
WADAの禁止表は毎年更新され、原則として翌年1月1日に発効します。医薬品名ではなく「成分」「カテゴリ」で管理されているため、製品名では判定できません。最新版を必ず確認しましょう。
競技会内のみ禁止 vs 常時禁止:見分け方
・競技会内のみ禁止:試合期にだけ禁止される刺激薬など。
・常時禁止:試合の有無に関わらず禁止(例:同化薬、EPO、利尿薬など)。
同じ成分でもタイミングで扱いが変わることがあるため、時期の確認が重要です。
Sカテゴリ(薬理学的分類)とMカテゴリ(手段)、Pカテゴリ(競技特有)
・S:薬理学的に分類(刺激薬、麻薬、β2刺激薬、ホルモン、グルココルチコイド等)。
・M:禁止方法(血液操作、遺伝子ドーピング等)。
・P:競技特有(サッカーは一般的に該当なし)。
閾値物質・投与経路・洗浄期間という考え方
一部物質には「尿中濃度の閾値」や「投与経路で可否が変わる」ものがあります。さらに、体内から抜けるまでの「洗浄期間」に個人差があります。自己判断せず、医師やスポーツファーマシストと計画的に運用してください。
サッカーで注目しておきたいトピック
・グルココルチコイド:競技会内での経口・注射は原則禁止。局所外用は通常認められることがありますが、詳細は最新の禁止表で確認。
・β2刺激薬:吸入薬は一部条件下で認められる場合あり。量や種類で扱いが違います。
・刺激薬:鼻炎薬やかぜ薬由来で陽性になるリスク(擬似エフェドリン等)。
現役が特に注意すべき薬・成分のカテゴリ
かぜ薬・鼻炎薬:刺激薬成分(例:擬似エフェドリンなど)への注意
総合感冒薬や鼻炎薬には刺激薬が含まれることがあります。競技会内に禁止される成分もあるため、成分欄を必ず確認。就寝前の服用が翌日に残るケースもあります。
喘息・呼吸器:β2刺激薬の扱いと吸入薬の留意点
吸入β2刺激薬は種類や用量、測定値に条件があります。必要な選手は医師と相談し、TUEの要否と使用計画を事前に整理。吸入補助具の使用方法や記録もセットで管理しましょう。
痛み止め・鎮咳薬:競技会内で問題になりやすいケース
市販の鎮咳薬や鼻炎薬との併用で刺激薬が重なることがあります。睡眠改善薬やカフェイン量にも注意。痛み止めは多くが禁止対象ではありませんが、配合成分や併用薬でリスクが上がる場合があります。
グルココルチコイド:経口・注射と局所使用の違い
競技会内では経口・注射(全身作用ルート)が禁止。皮膚外用や関節内などの局所でも、条件や洗浄期間によってはリスクが残る場合があります。治療が必要なときは、事前の計画と記録が不可欠です。
利尿薬・マスキング薬:減量やむくみ取り目的のリスク
利尿薬は常時禁止。体重調整やむくみ対策での安易な使用は厳禁です。水分バランスの急変はパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
漢方・生薬・ハーブ:ヒゲナミンやシネフリン等の混入可能性
漢方やハーブの一部には、禁止物質と同様の作用を持つ成分が含まれることがあります。表示ゆれや学名表記の違いで見落としやすく、サプリ形態は特に要注意です。
エナジー系飲料・ダイエット系:刺激性成分・未知成分の警戒
刺激性成分が複数入っていたり、表示されない成分が混入する事例も報告されています。カフェイン自体は許可されていますが、過剰摂取や他成分との相乗で体調不良や誤判定リスクが高まります。
CBD製品とカンナビノイド:混入リスクと国際大会での注意
CBDは禁止表で明確に禁止対象ではありませんが、THCなどの混入リスクがあります。製造管理が不十分な製品は避けるのが無難です。国際大会では特に慎重な判断を。
ポピーシード等の食品由来リスク:食文化由来の落とし穴
ポピーシードを多く含む食品は、モルヒネ等の検出につながる恐れがあります。試合期は避けましょう。
市販薬・処方薬を使う前のチェックリスト
症状の整理と治療の優先順位
自己判断で“強い薬”に飛びつかず、症状の強さ・期間・試合日程を整理。非薬物療法(休養、冷却、保湿など)で代替できるものはないか検討します。
医師・薬剤師・スポーツファーマシストへの相談
スポーツの事情を理解した専門家に相談し、禁止表の条件や代替薬を検討。処方時には「競技者である」ことを必ず伝えます。
成分名ベースでの確認と製品名に頼らないチェック
同名製品でも国・時期で成分が違うことがあります。必ず「一般名(成分名)」で確認してください。
データベースの活用(例:Global DRO 等)
Global DROや国内機関の医薬品検索を活用。最新の禁止表と照合し、競技会内/外の扱いも合わせて確認します。
服用・塗布・吸入・注射ルート別の確認ポイント
同じ成分でも投与経路で可否が変わることがあります。処方箋や薬剤情報で「使用ルート」を明確にしましょう。
併用時の相互作用・閾値超過リスク
複数製品の併用で刺激薬が二重に入っていることがあります。総量、投与間隔、洗浄期間に注意を。
服用記録・ロット記録・処方箋の保管
使った理由、日時、量、製品ロット、写真を残すこと。万一の説明責任に備えます。
海外での安易な購入を避ける
同名でも成分が違う、表示が不十分、偽造品などのリスクがあります。現地購入は原則避け、必要物は日本で準備しましょう。
サプリメントのリスクと回避策
なぜ“うっかり”が起こるのか:製造・表示・汚染の実態
同じラインで禁止成分を扱う工場では交差汚染の可能性があります。表示に載っていない成分が混入する事例も。健康被害のリスクもゼロではありません。
第三者認証(Informed Choice/NSF等)の意味と限界
第三者認証はリスク低減に有用ですが、ゼロにはなりません。最新の認証状態(製品・ロット単位)を確認し、過信は禁物です。
高リスクになりやすいカテゴリー(プレワークアウト等)
プレワークアウト、脂肪燃焼系、ブースター系、輸入個人購入品は特に高リスク。必要性を再検討しましょう。
比較的リスクが低い基礎サプリ(例:プロテイン、一般的ビタミン)
食品に近い単純処方のプロテインや基本的なビタミン・ミネラルは相対的に低リスクですが、メーカーやロットの管理は必須です。
製品選定フローチャート:必要性→代替食→リスク評価→採用
1)目的の明確化 → 2)食事で代替可能か → 3)リスク評価(第三者認証・メーカー透明性) → 4)小ロットで試験 → 5)記録と保管
開封日・ロット番号・摂取量の記録運用
開封日、ロット番号、摂取量、体調変化を記録。写真保存と併用すると後から追跡しやすくなります。
申告(ドーピング・コントロールフォーム)と記録管理
申告対象の範囲:最近使用した医薬品・サプリメント
フォームには「最近使用した」医薬品・サプリメント、治療内容を記載します。具体的な期間は大会によって指示が異なるため、当日の説明に従いましょう。
よくある記入ミスと防止策(一般名・用量・期間)
・商品名のみで成分名がない → 一般名も記載
・用量・頻度が曖昧 → 1回量と回数を明確に
・期間が不明 → 開始日・最後に使用した日をメモから転記
英語表記の準備と用語リスト
海外大会に備え、よく使う薬の一般名の英語表記をスマホに保存。アレルギー、既往歴、持病の英語メモも用意しておくと安心です。
日常のログ管理:ノート・アプリ・写真記録の活用
・服薬・塗布・吸入・注射の都度ログ
・処方箋・外箱・成分表示の写真保存
・サプリは開封日・ロット写真をセットで保存
チーム内共有とプライバシーのバランス
メディカルスタッフには必要な情報を適切に共有し、取り扱いは最小限に。グループチャット等では個人情報の写り込みに注意しましょう。
TUE(治療目的使用に係る除外措置)の要点
TUEが必要となりうる代表的な疾患・治療
・重度の喘息での一部吸入薬の使用
・注意欠如・多動症(ADHD)での中枢刺激薬
・自己免疫疾患や難治性炎症でのグルココルチコイド全身投与
・糖尿病でのインスリン治療 など
事前申請と緊急の事後申請:タイムラインの考え方
原則は事前申請。救急対応などやむを得ない場合は事後申請が認められることがあります。大会・所属レベルによって申請先と締切が変わるため、早めに確認を。
申請に必要な書類(診断情報・検査結果等)
診断名、症状経過、既往の治療歴、検査所見、治療の必要性、代替不可の理由、用量・期間など。医師と相談し、要件に沿って準備します。
申請先と審査の流れ・有効期間・更新
国内のTUE委員会や国際競技連盟が審査します。有効期間は治療や疾患により異なり、更新が必要な場合があります。条件付き承認もあり得ます。
不承認時の代替治療検討と医療連携
不承認でも終わりではありません。代替薬、投与経路の変更、時期調整など、医療側と選択肢を再検討しましょう。
ケーススタディ:ありがちな“うっかり”を防ぐ
花粉症シーズン:市販薬での刺激薬リスク
鼻炎薬A+かぜ薬Bで刺激薬が重複。競技会内に当たり陽性疑義、というケースが典型。事前に成分を“足し算”でチェックする習慣を。
筋・関節痛でのステロイド注射:投与経路の確認
関節内注射でも洗浄期間や製剤で扱いが変わる場合があります。復帰試合から逆算し、主治医とスケジュール設計を。
かぜ症状での総合感冒薬と併用リスク
鎮咳薬、鼻炎薬、エナジー飲料のカフェインや他刺激性成分が重なり、体調も悪化。単剤選択と用量管理が安全です。
海外遠征での無料サンプル・現地購入の落とし穴
会場ブースのサンプル粉末や現地の“同名薬”は避けるのが原則。必要物は日本で準備し、持参品で完結させましょう。
CBDオイルの使用可否判断と代替策
混入リスクを完全には排除できません。睡眠やリラックス目的なら、環境調整や行動療法、許可されたサプリ(必要なら第三者認証)に切り替えるのが無難です。
大会・遠征前の準備:薬箱のつくり方と持参書類
遠征用薬箱の基本構成とラベリング
・解熱鎮痛(成分確認済)
・消化器・整腸(成分確認済)
・外用消炎・保護材(テープ、ゲル)
・衛生用品(消毒、手指衛生)
各製品に「成分」「用量」「用途」をラベル。外箱・説明書は写真で保存。
個別薬歴カード・アレルギー情報の整備
常用薬、アレルギー、持病、緊急連絡先をカード化。スマホと紙の二重化が安心です。
英文の処方情報・診断書の用意
英語の薬剤名・用量・指示があると現地医療でスムーズ。TUE関連の書類は最新版を携行しましょう。
空港・税関での留意点と携帯ルール
処方薬は処方箋や診断書と一緒に機内持ち込み。国によって所持量や申告が必要な場合があります。
チーム全体のブリーフィングと役割分担
メディカル担当、通訳、連絡窓口を事前に明確化。緊急時の連絡フローを共有しておきます。
学生・アマチュアが直面しやすい落とし穴
保健室・家庭の常備薬のリスク
「誰でも使える」薬ほど成分が多く、刺激薬や鎮咳成分が重複しがち。必ず成分を確認し、必要最小限に。
保護者が購入する市販薬のチェック方法
製品名でなく「一般名」「投与経路」「使用タイミング」を書いたメモを共有。購入前に写真で成分表を送ってもらうと安心です。
部活動の指導者が知っておくべきポイント
試合期の禁止表、申告方法、サプリの取り扱いを最低限周知。無断での塗り薬・点鼻薬の配布は避けましょう。
SNS・口コミ情報の真偽の見極め
「この薬はOK」は文脈依存(国・時期・ルート)。必ず公式情報でクロスチェックしてください。
教育と自己管理を習慣化するコツ
月1回の禁止表チェック、使用記録の定期確認、遠征前の薬箱点検をチーム行事にするのが効果的です。
陽性疑義が出たときの初動とコミュニケーション
A/B検体の手続きとスケジュール
A検体で異常が出たら、B検体分析の権利があります。案内に従い、期限内に意思表示と必要手続を行います。
一時的な出場差止めへの備え
暫定的な出場停止が課される場合があります。スケジュールの再設計、チーム・家族への説明準備を進めましょう。
関係各所への連絡体制と情報整理
監督・メディカル・所属団体・必要に応じて法務へ連絡。検査通知、フォーム控え、申告記録、購入記録、処方箋、TUE関連資料を整理します。
申告内容・記録の確認と説明責任
いつ、何を、どれだけ、なぜ使ったか。申告と記録が一致しているか。第三者にも伝わる説明資料にまとめておきます。
感情的反応を避けるための行動指針
SNSでの拙速な発信は避け、事実確認と手続を優先。公式発表はチームと相談の上、時期と内容を慎重に決めます。
国際遠征・海外大会での注意点
国ごとの市販薬成分差と規制
同じ症状薬でも成分が異なる場合があります。現地購入は避け、日本から持参し、足りなくならない量を準備します。
医薬品の持ち込み・所持に関するルール
国により処方薬の申告や証明書が必要な場合があります。事前に大使館・当局情報を確認しましょう。
現地医療受診時に伝えるべき情報
競技者であること、禁止表の存在、現在使用中の薬、アレルギー、TUEの有無。英語メモとカードを提示すると誤解が防げます。
言語の壁を越える準備(翻訳アプリ・カード等)
医療用フレーズの事前登録、オフライン辞書、薬剤名の英語表記リストをスマホに常備。
保険・緊急連絡先の整備
治療費や搬送に備えて保険内容を確認。24時間連絡可能な窓口をチームで共有します。
FAQ:よくある質問
CBDは使えるの?混入リスクは?
CBD自体は原則禁止ではありませんが、THCなどの混入で陽性化するリスクがあります。競技会期は避けるのが安全です。
花粉症・鼻炎の市販薬は何に注意?
刺激薬成分と鎮咳成分の重複。点鼻・点眼・内服で成分が異なるため、成分名で確認しましょう。
エナジードリンクやカフェインは?
カフェインは許可されていますが、過剰摂取は体調悪化や睡眠障害の原因に。他成分の混入も考慮し、必要性を見直しましょう。
局所注射・外用薬は申告が必要?
申告欄には最近の使用を原則記載。局所でも製剤や投与部位により扱いが異なるため、使用時は必ず記録を残してください。
どこまで申告すべき?
迷ったら「広めに」記載。一般名・用量・頻度・期間をできる範囲で具体的に書きます。
未成年の検査・同意はどうなる?
未成年は保護者や代表者の同席等、配慮が行われます。具体は主催者・国内機関の手順に従います。
まとめ:今日からできる3つの行動
飲む前に調べる:確認のルーティン化
市販薬・サプリは成分名で検索し、禁止表とデータベースで照合。ルーティンにすれば手間は最小限です。
全てを残す:記録の一元管理
服用・塗布・吸入・注射、購入レシート、ロット、処方箋、写真。クラウドやノートで一元管理しましょう。
独りで決めない:専門家とチームでの意思決定
医師、薬剤師、スポーツファーマシスト、チームスタッフと相談し、代替案とタイミングを調整。あなたのプレーを守るのは、日々の小さな準備です。
後書き
禁止表は毎年更新され、医療は日々進歩します。この記事は“安全側”の原則と実践のヒントをまとめたものです。最後にあなたを守るのは、最新情報の確認、地道な記録、そして周囲との連携です。今日の練習前に、まずは薬箱とスマホのメモから見直してみてください。