セットプレーは、練習した通りの動きをそのまま試合で再現できる、数少ない「設計可能な得点機会」です。この記事では、文字図解で動きを共有し、同じ形を繰り返し再現するための具体的なドリルまで落とし込みます。嘘や過剰な断定は避け、一般的に確認できる範囲の事実と、現場での実感に基づく提案を丁寧に分けながら進めます。タイトルの通り「セットプレー戦術と練習方法を図で理解し勝点を生む再現ドリル」を合言葉に、今日からチームで即使える型を作っていきましょう。
目次
- 導入:なぜセットプレーで勝点は増えるのか
 - 図で理解するための文字図解テンプレと記号ルール
 - 原則:全てのセットプレーに共通する攻守コンセプト
 - コーナーキック(攻撃)図解パターンと再現ドリル
 - コーナーキック(守備)配置と修正ドリル
 - 間接フリーキック(サイド・ハーフスペース)の設計
 - 直接フリーキック:キッカー技術と壁/キーパーの読み合い
 - 中央〜深い位置のリスタート:クイック再開で流れを変える
 - スローインを得点源にする:ロングとクイックの二刀流
 - ゴールキック・ディフェンシブFKの“第2ボール”設計
 - 合図・コール・ネーミング:迷わないための言語化
 - 対戦相手の分析テンプレ:弱点を突くチェックリスト
 - 計測とKPI:成果が見えると再現性が上がる
 - 週内の練習設計:疲労と精度を両立するピリオダイゼーション
 - ポジション別の役割最適化と代替プラン
 - 反則とグレーゾーンを避けるための注意点
 - よくある失敗と修正ポイント
 - 実践メニュー:10分・20分・40分の時間別パッケージ
 - チェックリストとプレイブック化
 - まとめ:図で理解し、同じ形を繰り返すことで勝点を積む
 
導入:なぜセットプレーで勝点は増えるのか
セットプレーの範囲(CK・FK・PK・スローイン・ゴールキック)
セットプレーは、主に次の再開から始まる攻守の局面を指します。
- CK(コーナーキック)
 - FK(フリーキック:直接/間接、中央/サイド)
 - PK(ペナルティキック)
 - スローイン(ロング/クイック)
 - ゴールキック(自陣からの再開、いわゆる第2ボール争いを含む)
 
これらはプレーが一度止まり、配置・合図・役割を整えてから始められることが共通点です。つまり、練習設計→再現→修正がやりやすい分野です。
得点期待値の一般論とゲームの文脈
セットプレーからの得点割合はリーグやチームの特徴で変動しますが、多くのチームでシーズンを通して一定のウェイトを占めます。オープンプレーでは崩しが難しい試合状況(守備的な相手やピッチコンディション不良など)でも、精度の高いキックと決められた動きでゴールに近づけます。特に、CKや間接FKは「シュートに至るまでの距離が短い」上に「合図で揃えられる」ため、再現性が高いのが特徴です。
時間帯別の価値(前半終盤・後半終盤・リード時/ビハインド時)
- 前半終盤:相手の集中が一瞬切れやすい時間。決まると心理的ダメージが大きい。
 - 後半終盤:走力が落ちる時間は、密集やスクリーンの効果が上がる。
 - リード時:コーナーフラッグ付近での時間管理や、セカンド回収の徹底が勝点管理に直結。
 - ビハインド時:ショートコーナーや素早いリスタートなど、保持時間を短縮した「回数勝負」に切替える選択肢が有効。
 
この記事の使い方:図で理解し、同じ形を再現する
各章では、文字図解のルールに沿って、開始位置→合図→走路→スクリーン→到達点→セカンド回収までをセットで提示します。図で動きを共有し、ドリルで同型を繰り返し、試合で「見たまま」を再現しましょう。
図で理解するための文字図解テンプレと記号ルール
記号の定義(A=アタッカー、D=ディフェンダー、K=キッカー、G=GK、→=走路)
A=アタッカー(攻撃側のフィールドプレーヤー)D=ディフェンダー(守備側のフィールドプレーヤー)K=キッカー(蹴る人)G=ゴールキーパー→=走路(走る方向) ⇢=遅れラン ↺=ターン ⊠=スクリーン★=到達点(合わせる地点) ◯=落下点 ×=ブロック回避点
ゾーン名と配球ゾーン(ニア/ファー/ペナルティスポット/セカンド)
[ニア] ゴールに近い近側エリア[ファー] 逆サイド奥のエリア[PSP] ペナルティスポット(PKマーク周辺)[セカンド] ボックス外の回収ポイント(外A/B/C)
合図とトリガーの表記(CLAP=手拍子1回、LOOK=目線、STEP=助走歩数)
CLAP=手拍子1回  LOOK=キッカーがニアを一瞥  STEP(3)=助走3歩CALL("N")=ニア合図の短い声  TOUCH=ショートコーナーのワンタッチ
再現用フォーマット例(隊列→トリガー→走路→スクリーン→到達点)
[隊列] A1/A2/A3の初期位置 + Kの立ち位置[トリガー] CLAP or LOOK or STEP(3) など[走路] A1→ニア、A2⇢ファー 等[スクリーン] A3⊠D2(背中で進路確保)[到達点] ★PSP ◯落下点 回収=外B
原則:全てのセットプレーに共通する攻守コンセプト
役割の明確化(キッカー・ランナー・スクリーン・セーフティ・リスタート管理)
- キッカー:球種と落下点を一貫させる。迷ったら速度優先。
 - ランナー:第一波(ボールに最も近い)と第二波(遅れ)の時間差を守る。
 - スクリーン:手は使わず、身体の向きで進路を作る。相手の視線を遮らない位置で。
 - セーフティ:被カウンターの保険。ボールロスト時の第一守備者。
 - リスタート管理:合図の責任者。審判への確認も担当。
 
時間差の設計(第一波・第二波・こぼれ球)
第一波が相手の目を引き、第二波が空いたレーンへ。こぼれ球担当は常にボールの「次の落下点」を予測し、前向きで回収します。
相手の守備方式(ゾーン/マン/ハイブリッド)を前提に組む
- ゾーン:ゾーン間を裂く動き、スナップバック(逆走)が有効。
 - マン:入れ替わり(エレベーター)でマーカーを外す。
 - ハイブリッド:ゾーンに対するニア牽制+マン剥がしを併用。
 
反則を避けるスクリーンの設計(身体接触の境界と進路優先)
腕の押し出しや抱え込みはNG。相手の進路上に「静止」して立ちはだかるのではなく、自分の走路を優先して結果的にスペースを作る意識を持ちます。
リスク管理:リスタート失敗時の即時奪回とリトリート角度
シュートで終われない場合、ボール周辺へ即時圧力→縦を切る→外へ誘導の順。戻る角度は中央回避でタッチライン方向へ。
合図の一貫性と偽装(同モーションから2~3手の分岐)
同じ助走・同じ視線から、配球と走路だけを微変更する「表/裏」を準備。相手に読まれても二手目で外せます。
コーナーキック(攻撃)図解パターンと再現ドリル
ニアフリック→ファー襲撃(A1ニア競り、A2ファー遅れ侵入)
[隊列] A1/A2/A3=BOX内、A4=外B、K=右CK[トリガー] LOOK→CLAP[走路] A1→ニア ★ A2⇢ファー A3→PSP A4→セカンド回収[スクリーン] A3⊠D2(A2の通り道)[配球] K=ニア肩口(フリック想定)[到達点] A2=ファーで押し込む A4=外Bで回収
ポイント:A1はゴールに向かわず「ニアで触るだけ」。A2は0.5~1.0秒遅れてファーへ。
密集スクリーン→背後ラン(“エレベーター”でマン外し)
[隊列] A1/A2/A3=PSP付近で密集 A4=ファー肩、K=左CK[トリガー] STEP(3)[走路] A1↺→ニア背後 A2→反対背後 A3⊠D1/D2(すれ違い)[配球] K=PSP~ニア間の高め[到達点] A1 or A2=ファーストタッチ
ポイント:入れ替わる瞬間にマークが遅れる。腕は広げず体幹でラインを作る。
ショートコーナー2対1→角度作りのインスイング配球
[隊列] A1=コーナー横  A2=外A  A3/A4=BOX  K=右CK[トリガー] CALL("S")[走路] K→A1(TOUCH)→A2斜め受け→インスイング[配球] A2からPSPへ巻く[到達点] A3=第一波  A4=遅れラン  A1=セカンド
ポイント:最初のTOUCHは相手1人を引き出す狙い。角度を作ってから巻く。
アウトスイング高弾道→ペナルティスポット落下点狙い
[隊列] A1/A2/A3=PSPライン A4=外C K=左CK(右利きOUT)[トリガー] LOOK(ファーを一瞥)[走路] A1→PSP ★ A2⇢遅れて被せる A3=ブロック意識[配球] K=高弾道でPSPへ[到達点] A1ヘッド A2セカンド A4外C回収
ポイント:弾道は「GKが出られずDFが背走する高さ」を反復で掴む。
こぼれ球専任(BOX外A3)からの即時シュート/サイド再展開
[隊列] A3=外B(専任) 役割=弾かれた瞬間の左足/右足一発[到達点] こぼれ→即時ミドル or 外→再クロス
ポイント:専任者は逆足含めてワンタッチの準備。欲張らずミート優先。
キッカー精度ドリル(速度・回転・落下点3点打ち)
- コーン3基(ニア肩/PSP/ファー手前)を並べ、10本×3セット。
 - 球種を分けて記録(イン/アウト/高弾道)。成功率を可視化。
 - 落下点の「外し幅」を測り、±50cm以内を基準化。
 
再現ドリル:合図→ラン開始→到達点→セカンド回収までの通し
1.無人→合図とランの同期(成功3回連続)2.マーカー半数→スクリーンの角度と接触基準を確認3.フル守備→通しで「シュート発生」まで(動画で確認)
コーナーキック(守備)配置と修正ドリル
ゾーン×マンのハイブリッド(6ヤードゾーン優先)
[基本] 6ヤード内にゾーン3枚(ニア/中央/ファー)+マンツー3~4枚+外2枚[目的] GKが出る通路を確保しつつ競り負けを減らす
ニアポスト管理とファーポストリスクの天秤
ニアは1タッチで入る最短コース。ここを守る代わりにファーが薄くなるので、外の回収枚数やセーフティの位置でバランスを取ります。
相手のスクリーン対策(入れ替わりに対する肩の向きと視線)
- 肩をボール側45度に保ち、背後の入れ替わりに巻き込まれない。
 - 視線は「ボール8:人2」。ファー側の逆走に注意。
 
セカンドボール四隅の回収配置(外A/B/Cポイント)
[外A]=ニア外 [外B]=PSP外 [外C]=ファー外 [外D]=逆サイド内側
クリア方向のルール化(タッチライン優先/中央回避)
迷ったら外へ。中央の短いクリアは二次攻撃に直結しやすいので避ける。
再現ドリル:相手4類型へのリハーサル(ニア型/ファー型/密集/ショート)
1.ニア型→ニアゾーン3枚で対応、外A即圧2.ファー型→ファーゾーンの高さ確保、外Cの前向き回収3.密集→マークとゾーンの声掛け徹底(責任者1名)4.ショート→外A/Bが即対応、BOX内はライン維持
間接フリーキック(サイド・ハーフスペース)の設計
壁の誘発と“背後差し込み”の二択化
相手に壁を作らせてGKの視界を遮りつつ、背後のランに通す二択。見せておいて外す、が基本です。
二段階リスタート(横出し→インスイング/変化)
K→A1(横出し)→A2がインスイング/グラウンダーに分岐
抜けランと遅れランの分業(時間差1.0~1.5秒)
A1→ニア抜け A2⇢PSP遅れ A3⊠スクリーン K or A2=配球
ニア逆走で相手ラインを崩す“スナップバック”
A1→一度ファーに流れる素振り→ニアへ逆走 ★ニア肩
再現ドリル:助走テンポ統一→トリガー→走路→落下点一致
- 助走の歩数と速さを固定し、LOOK/CLAPの合図で一斉に走る。
 - 落下点コーンを置き、到達タイミングを声掛けで合わせる。
 
直接フリーキック:キッカー技術と壁/キーパーの読み合い
助走角・踏み足位置・イン/アウト/無回転の選択
- 助走角は「蹴り足の内側に空間ができる角度」。
 - 踏み足はボール横+半足先を基準。高さは踏み足の距離で微調整。
 - 球種は壁とキーパーの位置で選択。無回転は風の影響を確認。
 
壁の人数とキーパーのスタンスを観るチェックリスト
- 壁の人数、ジャンプの有無
 - GKの初期位置(中央/壁寄り)と一歩目
 - 視界の遮り方(味方の立ち位置)
 
代替プラン(地を這う速いボール/壁下/リバウンド特化)
壁ジャンプが多い相手には壁下、雨天や人工芝ではグラウンダーの速度が有効。外から詰めるリバウンド狙いも事前に決めておく。
再現ドリル:コーン壁×落下点ターゲット×コース別本数管理
- ターゲット3点(GK側上/壁側上/低い速いコース)×各10本。
 - 動画で踏み足位置と体の倒しを確認。成功率を記録。
 
中央〜深い位置のリスタート:クイック再開で流れを変える
審判の合図条件と素早いボールセット習慣
笛あり/なしを確認し、可能なら即再開。ボールをすぐ置く習慣が回数を生みます。
即時縦パスと3人目のランを合わせるミニパターン
K→A1(足元)→落とし→A2縦抜け ★裏
相手が整う前の“同サイド→逆サイド”大転換
ショートで寄せさせ、逆へ素早く送る。受け手は体の向きを逆サイドに開いておく。
再現ドリル:5秒以内再開テスト×連続3本の精度
ホイッスル後5秒以内にボールが動き出し、所定の形へ。時間制限が集中を高めます。
スローインを得点源にする:ロングとクイックの二刀流
ロングスローの到達点確立(ニア渋滞/ファー剥がし)
A1=ニア渋滞で競り A2⇢ファー遅れ A3⊠スクリーン ★PSP二次
クイックスローの条件(味方準備・相手視線外・タッチ数制限)
- 受け手の体向きと次のパスコースが見えていること。
 - 相手の背中側へ、2タッチ以内を原則。
 
3人目活用(受け→落とし→縦抜け)の固定形
Thrower→A1(受け)→落とし→A2縦抜け ★裏
再現ドリル:同型からの3分岐(縦/内側/逆サイド)
同じモーションから、最終パスだけ3分岐。相手の出方で使い分ける。
ゴールキック・ディフェンシブFKの“第2ボール”設計
蹴り分けマップ(相手CBの特性と風向)
相手の空中戦や背後の弱点、当日の風を事前に確認し、狙いゾーンを共有しておきます。
ターゲットの競り位置と落下予測ゾーンの先占
A1=競り A2=前向き位置取り(落下点手前) A3=幅の回収
セーフティラインの設定とカウンター即応
背後を消すラインを1~2枚で維持。奪えたら縦一発のルートも用意。
再現ドリル:落下点コーン×回収役の前向き化練習
ハイボール後の「最初の触り」で前向きになる。肩越しの確認→体の入れ替えまでを反復。
合図・コール・ネーミング:迷わないための言語化
プレー名の付け方(動きが連想できる短語)
- 例:「エレベーター」(密集入れ替わり)、「スナップバック」(逆走)等。
 
表と裏のセット(同じ合図→2手目が違う)
LOOK→表=ニア、裏=ショートなど、同合図で二択を持つと相手に読まれにくい。
現場で使うコール集(声量・タイミング・責任者)
- 責任者はKまたはキャプテン。声量は相手にバレないギリギリで。
 
再現ドリル:無声合図のみで通すサイレント演習
スタジアム騒音を想定し、ジェスチャーだけで通し練習。目線・手の角度まで統一。
対戦相手の分析テンプレ:弱点を突くチェックリスト
守備方式の判別(ゾーン/マン/ハイブリッド)
過去試合のCK守備を1~2本見れば傾向は把握可能。最初の2本で現地確認→当日プランを決定。
キーパーの初期位置と出る/出ない傾向
出ないGKにはPSP高弾道、出るGKにはニアの速球やスクリーンでコースを狭める。
ニア/ファーでの競り強度とブロック耐性
競りに強い選手が偏っているかを確認し、逆側を狙う発想を持つ。
審判傾向(接触基準・壁の管理・クイック許可)
接触に厳しい主審ならスクリーンは控えめに。壁距離やクイック許可も事前把握を。
プランA/B/Cの事前準備と切替合図
- A=基本型、B=ショート、C=裏口(逆サイド狙い)
 - 切替合図は一言で(例:「Bにチェンジ」)。
 
計測とKPI:成果が見えると再現性が上がる
一連のKPI例(配球精度%・到達点一致率・シュート発生率)
- 配球精度%:指定ゾーンに入った割合
 - 到達点一致率:ランナーが★に時間通り到達できた割合
 - シュート発生率:セットプレー→シュートまで至った割合
 
CK/IFKの“シュートへ到達”の定義統一
「枠内/枠外に関わらずシュート試行」でカウント。基準が揃うと比較が可能。
セカンドボール回収率と時間内再圧縮の割合
弾かれ後3秒以内の回収割合、回収後5秒以内の再圧縮(再度ゴールへ)割合を記録。
週次レポートの作り方(動画タイムスタンプ紐付け)
各プレーをタイムスタンプで表にし、KPIと紐付け。次週の練習テーマが明確化します。
週内の練習設計:疲労と精度を両立するピリオダイゼーション
週3回モデル(技術日/戦術日/リハーサル日)
- 技術日:キック精度、ヘディング、スクリーン角度。
 - 戦術日:型の確認と分岐の使い分け。
 - リハーサル日:試合 tempo で通し、時間帯シナリオを想定。
 
本数管理と成功条件(例:成功3回連続で次フェーズ)
「連続成功」を条件にすると集中が上がり、再現性が増します。
試合前日の低強度・高集中リハーサル
走行負荷は抑え、合図と到達点の精度だけにフォーカス。
動画レビュー→即修正→再現の短サイクル
その場で動画確認→修正→再トライ。小さなズレを即時解消します。
ポジション別の役割最適化と代替プラン
ターゲット役の身長だけに依存しない動きの質
助走の角度とタイミング、相手の背中へ入る技術で勝てます。身長差を動きで埋める発想を。
SB/WMの“遅れラン”適性とキッカーとの相性
外から入る選手は視野が広く、遅れランに向くことが多い。キッカーとリズムを合わせましょう。
控え選手でも遂行できる簡略版プラン
ショート→巻き→PSPの基本型など、交代後でも迷わないシンプルな型を常備。
負傷・出場停止時の役割スライド表
誰がKを代行、誰がA1/セーフティを兼任するか、紙一枚で明文化。
反則とグレーゾーンを避けるための注意点
ブロックの可否と身体の向き・手の使い方
押す/掴むは禁止。体の向きで「自分の走路」を守る形に徹し、相手の進路妨害を目的化しない。
キーパー妨害の基準を理解する
GKの動線上に立ち続ける、腕で抑えるなどは反則のリスク。接触回避を最優先。
ライン上の位置取りとオフサイド管理
CKはオフサイドなしでも、二次攻撃での戻り遅れに注意。IFK/DFKでは蹴られる瞬間の位置を全員で確認。
審判と対話するキャプテンの役割整理
クイック許可、壁距離、相手の接触を確認。感情的にならず要点だけを簡潔に。
よくある失敗と修正ポイント
合図が伝わらない・走路が重なる・到達点がズレる
- 合図:ジェスチャーを1つに固定。声と重ねない。
 - 走路:初期位置で重なりを解消。角度を各自10度ずらす。
 - 到達点:コーンで可視化。遅れランの時間差を明示。
 
キッカーの球種固定化と読まれ対策
同助走から2球種を打てるように。視線フェイクを使い、落下点を微変更。
成功後の“バレ”に対する微修正(角度/人/到達点)
同型でも、A1とA2の役割を入れ替える、★を50cmズラす、合図だけ変える等で再現性を維持。
試合中の即席修正手順(HTでの2分ミーティング)
1.相手方式の確認(ゾーン/マン)2.効いている/効いていない要素を1つずつ3.次はA/B/Cどれでいくか、誰が合図か
実践メニュー:10分・20分・40分の時間別パッケージ
10分:キッカー×到達点の同期化ショートセット
- CK落下点3点×各6本=18本
 - 成功率と外し幅の即時計測
 
20分:CK2型+IFK1型の通し×セカンド回収
- CK「ニアフリック」「エレベーター」→各6本
 - IFK「二段階リスタート」→6本
 - 全てセカンド回収まで通す
 
40分:相手想定のA/B/Cプラン総合リハーサル
相手の守備方式を仮定し、時間帯(前半終盤/後半終盤)を想定して実施。疲労下でも精度を保てるかを確認。
ホーム/アウェイ・風雨想定の微調整
風向・ピッチ質で球種を変更。アウェイの環境音を想定し、サイレント合図で通す。
チェックリストとプレイブック化
試合用シート(合図・人員・到達点・代替)
[プレー名] 合図/表裏 A1/A2/A3役割 ★到達点 セーフティ 代替案
動画QR紐付けの簡易プレイブック
各型にQRを付け、直前確認を容易に。短い本数で復習可能。
担当コーチ/キャプテンの責任分担
合図責任者、審判対応、KPI記録、動画管理を明確に。
更新サイクル(2〜3試合ごとの微修正)
相手に研究される前に小修正。大枠は保ち、ズレだけ直していく。
まとめ:図で理解し、同じ形を繰り返すことで勝点を積む
原則→図解→再現→計測→修正のループ
原則を共有し、文字図解で可視化し、練習で再現。KPIで測り、事実に基づいて修正。このループが強度を増すほど、得点の再現性は上がります。
少数精鋭の型を深く磨く方針
多すぎるパターンは混乱のもと。A/B/Cの3型を軸に、表裏の分岐で幅を持たせるのが実運用では強いです。
再現ドリルの継続で“得点の貯金”を作る
セットプレーは練習がスコアに直結しやすい分野。今日決めた一手が、次節も、その次も、同じ形でゴールを生みます。図で理解し、同じ形を繰り返し、勝点を積み上げていきましょう。
