中学生でも今日からできる、失敗しにくいマルセイユルーレットのコツをぜんぶまとめました。合言葉は「引く→回る」の2ステップ。難しいテクニックに見えますが、正しい間合いと重心をつかめば、短時間で形になります。この記事は、基礎の動かし方→よくあるミス→一人&二人練→試合での使いどころ→仕上げメニューまで、段階的に学べる内容です。図解なしでもイメージしやすいように、身体のどの部分をどう動かすかを具体的に書いています。安全面の注意や、保護者・指導者の声かけ例もあるので、練習のサポートにも使ってください。
目次
- 結論:マルセイユルーレットは「引く→回る」の2ステップでOK
- マルセイユルーレットとは?中学生にもわかる基礎知識
- 失敗しない2ステップの全体像(やさしく解説)
- ステップ1:足裏でボールを自分の後ろへ『引く』
- ステップ2:体を『回す』+逆足でボールを運び出す
- ミスの原因と直し方:中学生がつまずきやすいポイント
- 一人でできる中学生向けやさしいドリル
- 二人でできる対人ドリル(失敗しにくい設計)
- 試合での使いどころと使ってはいけない場面
- スピードとキレを上げるコツ
- バリエーションと応用(中学生でも安全にできる範囲)
- 他のターンとの使い分け
- 安全・ルール・用具の注意点
- 10分でできる『失敗しない2ステップ』仕上げメニュー
- 記録して上達を見える化
- 保護者・指導者のサポートガイド
- よくある質問Q&A
- 2週間の練習プラン例(中学生向け)
- まとめ:『引く→回る』を毎日10回で武器にする
結論:マルセイユルーレットは「引く→回る」の2ステップでOK
ステップ1の一言まとめ:足裏でボールを自分の後ろへ引く
相手に背中を向ける準備をしながら、足裏でボールを静かに自分の後ろへ引き込みます。ポイントは「強く引かない」「体の真下に置く」。これだけで次の回転が格段にやりやすくなります。
ステップ2の一言まとめ:体を回して逆足で運び出す
体の中心(へそと鼻)を同時に回し、逆足でボールをインサイドまたはアウトサイドで運び出します。出口の角度(90度か180度)に合わせて触り方を選べば、自然と前を向けます。
この記事の読み方(中学生向けにやさしく、段階的に習得)
- まず「全体像」と「チェックポイント」でイメージ作り
- ステップ1→2の順に細かい体の使い方を確認
- 一人練→二人練→試合での使いどころへ段階アップ
- 最後に10分でできる仕上げメニューでカタチを定着
マルセイユルーレットとは?中学生にもわかる基礎知識
別名(ルーレット/ジダンターン)と動きの特徴
「マルセイユルーレット」は、足裏でボールを引いて体を回転させ、逆足で運び出す連続技です。「ルーレット」「ジダンターン」とも呼ばれます。特徴は、相手に体をぶつけられてもボールを隠しやすいこと。足裏を使うのでボールのコントロールが安定し、狭いエリアでも使えます。
目的:相手を背負ったまま安全に方向転換して前進する
一番の目的は「背負われた状態で安全に方向転換」すること。縦が消された瞬間、体を相手とボールの間に入れたまま進行方向を変えられます。派手さよりも、ボール保持と前進の安定感が優先のスキルです。
使えるポジション・場面(サイド・中盤・背後圧力下)
- サイドバック/ウイング:タッチライン際での逃げ道作り
- ボランチ/インサイドハーフ:背後から来る圧に対する方向転換
- トップ下/CF:ポストプレー後の前向き作り
相手が密着するほど効果が出やすい一方、ゴール前の自陣中央のリスクは高いので使い所の見極めが大切です。
失敗しない2ステップの全体像(やさしく解説)
全身の使い方のイメージ(下半身=操作/上半身=カモフラージュ)
- 下半身:足裏で「静かに引く」→逆足で「素早く運ぶ」
- 上半身:肩と腕で「相手をブロック&フェイク」
- 頭(視線):縦をチラ見せ→回って逆へ。目線で相手の重心をズラす
成功チェックポイント3つ(間合い・重心・出口)
- 間合い:相手との距離は50〜80cm。近すぎると窮屈、遠すぎると届かれる
- 重心:常につま先寄り、膝を軽く曲げる。かかと体重はNG
- 出口:回る前に「どの角度で出るか(90度/180度)」を決める
練習前のウォームアップと可動域づくり
- 足首:片足立ちで足首を内外10回ずつ回す
- 股関節:ランジ&ツイスト左右10回
- 体幹:プランク30秒×2、サイドプランク左右20秒
- 神経系:短いサイドステップ5m×3本で反応を起こす
ステップ1:足裏でボールを自分の後ろへ『引く』
軸足の置き方と距離感(ボール半個ぶん外側)
軸足(ボールを引かない方の足)は、ボールの外側に「ボール半個ぶん」外して置きます。つま先はやや前向き。これで回転スペースが生まれ、相手の足が差し込みにくくなります。
足裏で触る位置と強さ(母指球〜土踏まずで静かに引く)
足裏のうち、母指球から土踏まずにかけてやさしく乗せ、ボールを「すーっ」と引きます。強く引くと体から離れます。引き終わりは自分の真下(両足の間)にボールがあるのが理想です。
体の向き・肩の使い方(相手に背中を見せる準備)
引きながら、相手側の肩を少し前に出して「背中を見せる角度」を作ります。肩と肘で相手の進路をふさぎ、ボールに直接触れにくくします。手で押すのは反則なので、肘は体の近くで自然に。
視線と相手への見せ方(目線で縦を匂わせる)
引く直前に、あえて縦方向へ目線を向けます。相手の重心が前に出た瞬間に引けると成功率が上がります。視線→足裏の順でスイッチするイメージです。
ステップ2:体を『回す』+逆足でボールを運び出す
回転の軸と重心移動(へそと鼻の向きを一緒に回す)
回転は「へそ」と「鼻」を同じ方向に回すと、体がバラけずスムーズ。重心は軸足から逆足へスライドするだけ。ジャンプして回らず、地面を小さく踏み替えて回転数を上げます。
逆足インサイド/アウトサイドの使い分け(出口の角度で選ぶ)
- 90度で出る:逆足のインサイドで軽く押し出す→視野が開きやすい
- 180度で出る:逆足のアウトサイドで一気に背後へ→相手の足が届きにくい
迷ったらインサイドから。アウトサイドは加速向きですが、接触が強い時はボールが外に逃げやすいので注意。
最後の一歩と加速(1歩目を小さく、2歩目でスプリント)
回転直後の1歩目は小さく、2歩目で一気に加速。これでボールとの距離が一定に保てます。最初から大股で出ると、ボールが置き去りになりがちです。
ミスの原因と直し方:中学生がつまずきやすいポイント
ボールが体から離れる→腕と体幹でボールを隠す
離れる原因は「強く引く」「上半身が起きる」。腕で相手の進路をブロックし、腹筋を軽く締めて前傾キープ。引く力は弱く、足裏を長めに乗せるイメージに変更。
回転が遅くて奪われる→ステップ幅を小さくして回転数UP
大股で回ると遅いです。足幅を肩幅以下にし、かかとを床にベタっと着けない。母指球でくるりと回ると速度が出ます。
足裏で滑ってしまう→接地角度と地面状況の見直し
- 接地角度:足裏をベタっと乗せず、やや斜め(母指球寄り)に当てる
- 地面:濡れた人工芝は滑りやすい→踏み替えを小さく、回転を速く
- シューズ:摩耗したスタッドは交換を検討
相手との距離を間違える→間合い50〜80cmの基準化
練習では、相手役の手を伸ばしてもギリ届かない距離(約50〜80cm)を基準に。毎回同じ間合いで反復し、成功体験を積みます。
一人でできる中学生向けやさしいドリル
足裏タッチ30秒×3セット(リズム作り)
ボールの上に足裏を交互に置くだけ。膝を軽く曲げ、目線は前。30秒やって30秒休むを3セット。足裏感覚と心拍を上げます。
引く→止める→回るの段階練習
- 段階1:足裏で引いて真下でピタッと止める×10回
- 段階2:引いて止めた後、上半身だけを小さく回す×10回
- 段階3:引く→回る→逆足で1タッチ運び出す×10回
メトロノーム練習でテンポ固定(80〜100BPM)
メトロノームを80〜100BPMに設定し、「タッ(視線)・タッ(引く)・ターン(回る)」の3拍子で。テンポが一定だと、試合で焦っても崩れにくくなります。
コーン2本で入口と出口を固定して反復
コーンAを入口、コーンBを出口に。Aの前で背負う想定→ルーレット→Bを通過。右回り10回、左回り10回。出口角度は90度と180度の両方を練習。
二人でできる対人ドリル(失敗しにくい設計)
軽いプレッシャー→触れない距離で成功体験
守備役は手を出さず、肩の位置だけで圧をかける。攻撃側は間合い50〜80cmをキープして成功体験を積む。10本中8本成功を目安に強度アップ。
接触あり→肩トンで実戦強度に慣れる
守備役は肩で軽く触れる程度の接触。腕は禁止。攻撃側は肩を当てられた瞬間に「引く→回る」。接触の合図をトリガーにします。
出口をコーチがコール→判断と反応を同時トレ
「右!」「左!」「背後!」のコールで出口を決定。聞こえた瞬間に回転方向を選び、逆足で運び出す。3本連続の反復で判断スピードを上げます。
試合での使いどころと使ってはいけない場面
サイドライン際で背負われた時に効果的
タッチラインを背負い、縦が切られたときに90度で内側へ。相手は外へ追い出す形なので逆を取れます。
縦を切られた瞬間の方向転換で一人剥がす
相手の重心が前に出た「半歩遅れ」のタイミングで回ると効果大。縦突破のフェイク→ルーレットが刺さります。
自陣の中央や数的不利では控える判断も大事
自陣中央でのロストは失点に直結します。後ろに味方がいない時、2人に囲まれた時はシンプルなバックパスやクライフターンへ切り替えも選択肢に。
スピードとキレを上げるコツ
歩幅とピッチの最適化(小さく速く→大きく加速)
回転は小さく速く、抜けたら大きく走る。リズムの切り替えで相手を置き去りにできます。
上半身のカウンタームーブで相手をずらす
縦を向く肩の動き→逆方向に回転。上半身の「逆モーション」で守備の重心を外し、足を止めさせます。
タイミングのずらし方(半拍遅らせて奪いに来た瞬間に回る)
あえて半拍遅らせ、相手が足を出した瞬間に回転。相手の一番弱いタイミングを突けます。
バリエーションと応用(中学生でも安全にできる範囲)
逆回転(釣ってから戻る)で二段構え
1回目の回転を見せて、半分だけ回ってから逆回転。相手がつられて動いた逆を取りやすいです。
出口を90度・180度で変えて読まれにくくする
同じ入りから出口角度を変えるだけで、守備は対応しづらくなります。練習で両方を均等に。
フェイク1回→ルーレットで駆け引き強化
インサイドで小さく縦に触るフェイク→すぐ引いて回転。ボールタッチ1つ増やすだけで成功率UP。
フットサルでの活用ポイント(狭い局面での有効性)
壁に追い込まれた瞬間の180度出口が特に有効。足裏を使う文化と相性がよく、狭い局面でのボール保持に役立ちます。
他のターンとの使い分け
クライフターンとの違い(視野と足元の使い方)
クライフターンはインサイドでボールを引っかけて反転。視野が開きやすく、スピードも乗せやすいが、相手に触られやすい面も。ルーレットは背中で隠せるので接触に強い。
ドラッグバックとの違い(重心とボール隠し)
ドラッグバックは後方へ引いて方向転換。シンプルで速いが、背負われた状態だとボールが露出しやすい。ルーレットは引いてから回るので、相手とボールの間に体を残せます。
アウトサイドターンとの違い(進行方向とリスク)
アウトサイドターンは一歩で方向転換できるが、相手の足が届きやすい。ルーレットは2アクションだが、体で守れるので奪われにくい。
安全・ルール・用具の注意点
スパイクのスタッド形状とピッチ状況の相性
- 天然芝が柔らかい:長めのスタッドでグリップ確保
- 硬い土・人工芝:短め・多めのスタッドで引っかかりすぎを防ぐ
濡れた人工芝は滑りやすいので、回転は小さく速く、接地角度を浅く。
接触時のファウル基準(手の使い方・抱え込みNG)
腕で相手をつかむ、押すのは反則。肩と前腕でスペースを作る程度にとどめ、自然なシールドを心がける。
ケガ予防のウォームアップ(足首・股関節・体幹)
足首と股関節の可動域が狭いと、足裏が引っかかって転倒しやすい。練習前の可動域づくりは毎回行いましょう。
10分でできる『失敗しない2ステップ』仕上げメニュー
1分:足裏タッチ→引くの確認(左右20回)
足裏タッチ10回→引いて真下で止める10回を左右。フォーム確認に集中。
3分:2ステップ反復(左右各10回×2セット)
「引く→回る→1歩小さく→2歩目加速」を音声で口に出しながらテンポ固定。セット間30秒休憩。
3分:出口限定の方向転換ゲーム(90度/180度)
コーンで出口角度を指定。コーチまたはタイマー合図で角度変更。素早い判断と足の使い分けを磨く。
3分:対人シチュエーション再現(軽い接触あり)
守備役が肩トン→その瞬間に発動。3本連続成功を目指す。成功率が落ちたら強度を下げる。
記録して上達を見える化
成功率と所要時間(10回の平均)を記録
左右それぞれ10回の成功数と所要時間を記録。週ごとの変化が見えてモチベが続きます。
左右差のチェック表で弱点補強
右回りと左回りの成功率&ミスの種類(距離・滑り・遅さ)をチェック。弱い方を1.2倍の回数で補強。
練習ノートの書き方例(目標→取り組み→気づき)
- 目標:左右成功率80%
- 取り組み:80BPMで10分間の2ステップ反復
- 気づき:回転の1歩目を小さくしたら奪われにくくなった
保護者・指導者のサポートガイド
声かけの具体例(結果より過程を承認)
「いまの間合い、よかったよ」「回る前の目線、効いてた」など、行動を具体的に承認。成功・失敗だけで評価しないことが継続のコツです。
安全の見守りポイント(接触・滑り・疲労サイン)
- 接触:肩で軽く、腕や背中を押さない
- 滑り:雨天・濡れ人工芝では強度を一段下げる
- 疲労:フォームの乱れ(上体が立つ)は休憩のサイン
上手くいかない日の切り替え方(成功の条件を一つだけ変える)
間合いを10cm広げる、BPMを5下げる、出口を90度だけにするなど、条件を一つだけ変えて成功体験を作ります。
よくある質問Q&A
利き足はどっちから練習する?(利き足で引いて逆足で運ぶが基本)
まずは利き足で引いて逆足で運ぶ形から。慣れたら左右を入れ替え、両方向を同じ量で練習しましょう。
身長や体格で向き不向きはある?(重心コントロールが鍵)
体格よりも重心の低さと膝の柔らかさが重要。小柄でも重心コントロールができれば十分通用します。
雨の日・人工芝で滑る対策(接地角度とステップ調整)
足裏は母指球寄りで浅く当てる、ステップ幅を小さく、回転を速く。無理せず強度を下げ、成功率重視で。
試合で1回目が失敗したらどうする?(簡単なターンへ切替)
次はクライフターンやドラッグバックに切り替え。相手に読まれていると感じたら、そもそも使わない判断もOK。
2週間の練習プラン例(中学生向け)
1週目:基礎固め(足裏タッチと回転の質)
- 月:足裏タッチ、引く→止める×各10分
- 水:2ステップ反復(80BPM)×15分、可動域
- 金:コーンで入口・出口固定、左右各30回
- 土:軽い対人(触れない距離)10本×3セット
2週目:実戦化(対人・判断・出口の多様化)
- 火:接触あり対人、肩トン合図で発動
- 木:コールで出口指定(90/180度)反応トレ
- 土:試合形式で使いどころを決めるゲーム(サイド限定など)
最終テスト:成功率80%・左右均等を目標にする
左右10回ずつ、失敗2回以内を合格ラインに。所要時間も記録して、次回の目標にしましょう。
まとめ:『引く→回る』を毎日10回で武器にする
今日から始める3つのアクション(間合い・重心・出口)
- 間合い:相手との距離50〜80cmを体に覚えさせる
- 重心:膝を柔らかく、母指球で小さく素早く
- 出口:90度と180度の2種類を固定して反復
次に学ぶべき関連スキル(クライフターン/シールド)
ルーレットと相性がいいのは、シンプルに前を向けるクライフターン、背負い合いで効くシールド。組み合わせれば、どの局面でも「失わず前進」できる選手に近づきます。毎日10回の「引く→回る」から、まずは形を固めていきましょう。
