ゴール前で待つだけのセンターフォワードでは通用しない。そんな試合が増えました。偽9番(ファルソ・ヌエベ)は、9番の位置に立ちながら中盤化してゲームを動かし、相手センターバック(CB)の意思決定を揺さぶる役割です。本記事では、役割・立ち位置・判断基準を、練習メニューやデータ指標まで含めて実戦ベースで解説します。シンプルに言うと「降りる・つなぐ・また刺す」。ただし、その“降り方”と“刺し方”に明確な基準が必要です。迷いを減らし、チームで再現できる形に落とし込みましょう。
目次
偽9番(ファルソ・ヌエベ)とは
定義:9番の位置に立ちながら中盤化するセンターフォワード
偽9番は、スタート位置は相手CBの前(いわゆる9番の列)にいながら、ボール保持時に中盤へ降りて数的優位を作るCFのことです。足元で受けて捌き、3人目を使い、遅れてゴール前に入るのが基本。点取り屋と司令塔のハイブリッドですが、「中盤化してから再侵入する」流れが中核です。
よくある誤解:ゼロトップやシャドーとの違い
ゼロトップは“前線に9番自体がいない形”。偽9番は“9番がいるが降りる形”です。また、シャドー(セカンドトップ)は2列目の選手で、背後狙いやゴール前到達が主。偽9番は出発点が最前線で、CBの判断に直接影響を与える点が異なります。
歴史的背景:CFの進化とポジショナルプレーの潮流
CFはポストプレー中心から、スペースメイクと連結が重視される時代に進化しました。ポジショナルプレーの普及で、中央の人数とライン間の管理が鍵となり、前線の選手が中盤化する価値が高まりました。実例としては、ライン間で受けて崩しの起点となるCFの活用が多くのトップチームで見られます。
現代戦術での価値:中盤数的優位と相手CBの意思決定を揺さぶる
偽9番の最大の価値は2つ。ひとつは中盤の数的優位。もうひとつは、CBに「つくか、待つか」の難しい選択を迫ること。CBが出れば背後が空き、出なければ中盤で自由になれます。常に“どちらも痛い”状況を作るのが目的です。
偽9番の中核的な役割
中盤化による数的優位の創出
アンカー脇やIHの隣に顔を出し、4対3や3対2を作ります。数的優位ができたら、最短で前進か、相手を引きつけて逆サイド展開。大事なのは「降りた瞬間に誰が背後を走るか」をチームで同期することです。
相手センターバックの引き出しと背後スペースの発生
足元に引きつけるふりでCBの一枚を剥がし、ウイングやIHの裏抜けを通す。逆に、CBが出てこないなら前を向く時間を確保し、斜めの差し込みでライン間を攻略します。
3人目(サードマン)を生かすリンクプレー
縦パス→落とし→裏抜けの3人目は偽9番の生命線。自分が“壁”になれる位置で受け、触った次の瞬間にスペースを空けるか、次の人の進行方向にボールを置くことが肝心です。
フィニッシュワーク:ゴール前へ遅れて侵入するタイミング
早く入ってもマークされるだけ。クロスやカットバックの“1テンポ後”にペナルティエリアへ侵入するのが得点率を高めます。ニア・ペナスポ・ファーのゾーン分担を事前に決め、遅れて空くゾーンを狙いましょう。
プレス開始役(ファーストディフェンダー)としての守備貢献
相手CBに対する矢印を作る最前線の守備は重要です。アンカーを遮断影で消しつつ、CBを特定の方向へ誘導。偽9番が“切るコース”を決めると、全体のプレスが揃います。
立ち位置の原則(レーン・高さ・幅)
レーン理論:中央レーンとハーフスペースの使い分け
基本は中央レーンでCBを固定。降りる時はハーフスペースにずれて受けると前向きでプレーしやすく、外向きの出口も確保できます。中央で釘付け→受ける瞬間にずれる、がコツです。
高さの設定:CBの前か背後か、アンカーの横か
相手のアンカーが強いなら、その横で受けて前を向く。CBが食いつくタイプなら、CBの前→一歩背後→また前、と高さを揺らして視野を乱します。定位置を作らず“浮く”ことが大切です。
幅の選択:ウイングの内外との連動とローテーション
ウイングが内側に入るなら、偽9番は中央を維持。ウイングが幅を取らない場面では、偽9番が一時的に外へ流れてSBを引き出し、内側に通路を作るローテが有効です。
相手アンカーの立ち位置に対するミスマッチ作り
アンカーが背中でついてくるなら、半身で前を向ける位置にずれる。アンカーが前に出てくるなら、ワンタッチで背中にパス。常に“相手の得意を外す”位置取りを選びます。
最終ラインとの距離感:受ける深さの調整
降り過ぎると前線の脅威が消えます。基準は「縦パスが届くが、CBが出ると背後が空く距離」。味方の最終ラインから2本で届く深さを目安にすると攻守のバランスが取れます。
フェーズ別の立ち位置と動き
ビルドアップ(自陣):降りすぎない基準と前方重心の維持
偽9番が自陣まで降りるとカウンター時の出口がなくなります。自陣では中盤の背中、センターサークル付近を基準に“姿だけ見せる”。足元ではなく“通過点としての前向き”で受ける準備を。
前進(中盤):IH・アンカーとの三角形の形成
三角形の頂点を入れ替えながら縦関与。縦→落とし→逆のIHやSBに差すリズムを繰り返すと、相手のスライドが遅れます。偽9番は“点”ではなく“線を繋ぐ中継点”の意識で。
最終局面(敵陣):逆サイドの到達タイミングと二次侵入
クロスの出所が右なら、偽9番は左ハーフスペースから遅れて二次侵入。ニアは囮、ペナスポに遅れて入る、ファーのこぼれを拾う、など役割を試合前に決めておきます。
トランジション攻撃:即時カウンターでの背後狙いと保持の分岐
奪った瞬間、相手CBが前がかりなら“即背後”。低い位置で奪ったら“保持優先”。決め手は「前向きの味方が2人以上いるか」。いるなら刺す、いないなら預けて前進。
トランジション守備:即時奪回とコース切りの角度
失った瞬間はボール保持者の前足に斜めから圧力。内側のパスコースを遮断影で消し、外へ誘導。3秒の即時奪回が無理なら一気に背走してブロックに戻りましょう。
判断基準のフレームワーク
時間・空間・人数(TSN)の優先順位
時間(プレスまでの猶予)→空間(前向きに進める角度)→人数(味方/相手の数)。時間がない時はワンタッチ、空間があるなら運ぶ、人数優位なら崩しを選択。
相手CBの反応基準:食いつく/保持/カバーシフト
CBが食いつくなら背後活用。保持(動かない)なら前向き。カバーシフト(周りが埋める)なら3人目でズラす。常にCBの最初の一歩を観察して判断します。
味方の配置:ウイングの背後脅威とIHの縦関与
ウイングが幅と深さを脅かせているか、IHがライン間に顔を出しているかで選択を変えます。背後脅威がない時は無理に降りない。誰かが走るから、あなたが自由になれます。
試合状況:スコア、時間帯、相手のプレッシング強度
リード時は無理に縦差しせず保持優先。ビハインド時は背後へ早く。相手の強度が高いときはワンタッチ基準を増やします。
自分の体勢と認知:スキャン回数、身体の向き、初速
受ける前に2回以上スキャン。半身で受けて前足に置く。最初の2歩で相手を剥がす“初速”を意識。体勢が整っていない時は触らず流す判断も有効です。
具体的な意思決定ツリー
降りる/止まる/抜けるの三択とトリガー
・降りる:アンカー脇が空く、CBが迷っている
・止まる:背後走りの味方がいない、ライン間が密集
・抜ける:CBが出た、SBが内側に絞った、キーパーポジションが高い
足元で受けるか、3人目で裏抜けするか
足元は時間を作る選択。相手のラインが上がる前に“落として背後”の3人目をセットで考えると、読まれにくいです。
外へ流れるか内に留まるか(SBの高さとの連動)
相手SBが高いなら外流れでCBを釣る。SBが低いなら中央を維持してCBを固定。迷ったら「味方ウイングの逆」を取ると被りが減ります。
ワンタッチ/2タッチ/運ぶの判断基準
圧力が強い→ワンタッチ。前向きで時間あり→運ぶ。味方が重なっている→2タッチで角度調整。基準は“次の味方が前を向けるか”。
シュート/スルーパス/保持の終局選択
ペナ内正面で半身→シュート。CBとSBの間へ走者→スルー。サポート不足→保持。強引な選択は次の守備を苦しくします。
相手外しのテクニック
プルアンドプッシュ:一度離れてから寄る
マーカーを引き離し、逆足側に一気に寄って前向き。手前に引いて奥に刺す動きは、CBの重心を逆にできます。
ブラインドサイド受け:視野外からの出現
マーカーの背中からゴール側へ滑り込む。最後の2歩で角度を変え、受ける瞬間に相手の視界に入ると遅れが生まれます。
ボディシェイプ:半身で受ける角度と第一タッチ
半身+前足コントロールで縦も斜めも選べる姿勢を作る。第一タッチは“次のパスコースを開く位置”へ置きます。
デコイラン:自分が触らないことで生む効果
裏へ走るだけでCBが下がる。その瞬間、IHやウイングがライン間で前向きに。触らずに崩しを進めるのも偽9番の仕事です。
テンポ操作:遅速変化でギャップを作る
ゆっくり寄って一気に加速。止まってからの2歩で剥がす。テンポの差が相手の間合いを壊します。
守備時の役割と立ち位置
プレスの矢印:アンカー封鎖かCB誘導か
相手のアンカーが肝なら影で消す。CBの片側に矢印を作り、サイドへ誘導。味方のスライドを楽にします。
遮断影の置き方とパスコース切り
身体の向きで縦パスを消しながら寄せる。内切り/外切りを味方と統一。最初の角度で9割決まります。
ウイング・IHとのスライド連動
自分が外切りならウイングはSBへ、IHはアンカーへ。三人の連動が崩れると一発で剥がされます。声と指差しで確認を。
リトリート時の最終ライン基準点
戻る時はボールとゴールの間に入ることを最優先。中央を閉じ、外へ誘導して時間を稼ぎます。
セットプレー守備での配置とマッチアップ
ゾーンでのニア潰しやセカンド回収を担当することが多いです。背後に残る相手の高速ランナーへの警戒を忘れないこと。
フォーメーション別の偽9番
4-3-3:ウイングの裏抜けとIHのゴール前到達
偽9番が降りた背中をウイングが刺す。逆IHがペナスポ到達、SBが幅を確保。三角形の循環が要。
4-2-3-1:トップ下との役割重複を避ける整理
偽9番が降りる時はトップ下が背後。トップ下が降りる時は偽9番が最前線を維持。縦の入れ替えでバランスを取ります。
3-4-3:インサイドレーンでのローテーション
偽9番とIH的役割のインサイドハーフが入れ替わり、WBの裏を解放。中央で釘付け→外で数的優位が作りやすい形。
3-5-2:ツートップの一角としての可変運用
一人が降り、もう一人が背後。明確に役割を分けると縦の迫力が落ちません。アンカー脇での起点作りが鍵。
可変システム:出発点と到達点を分ける設計
出発は9番、到達はIHやウイングの位置へ。定位置を持たず、パターンで“どこへ到達するか”だけを共通化します。
チームとしての落とし込み
役割分担マップ:誰が幅、誰が深さ、誰が中盤数的優位
偽9番が降りた時の“深さ担当”を事前に決める。幅はSBかウイング、深さはウイングかIH。曖昧にしないこと。
自動化パターン:3人目の原則と背後同期
縦→落とし→スルーの形を左右で反復。落とす相手と背後走者の“呼吸”を固定すると試合で出やすいです。
ビルドアップの出口と再侵入のルート設計
出口(ライン間で前を向く位置)を決め、そこからどのレーンに再侵入するかをチームで統一。用語も簡単に。
プレストリガーの合言葉と共有サイン
相手のバックパス、浮き球の落下、逆足へのトラップなどを合図に。偽9番が声で「外」「中」を即時提示します。
セットプレー攻撃での配置(ニア/ファー/セカンド)
偽9番はセカンド回収とカットバックゾーンの管理、もしくはニアのすり上げで合わせる役回りが有効です。
個人に必要な能力と鍛え方
認知・スキャン:回数・タイミング・範囲の定量化
受ける前2回+受ける瞬間1回が目安。左右45度→背中→前方の順で首を振る。練習では10秒間に何回スキャンしたかを数値化。
第一タッチ:進行方向へ置くコントロール
前足の親指付け根で45度に置く。相手を背負う時は内側へ、前向きなら外側へ。触る前に決めておくと精度が上がります。
パス選択:壁パス、縦パス、斜め差しの精度
壁パスは足裏でもOK。縦は強く、斜めは優しく。受け手の進行方向に“走らせるパス”を意識しましょう。
背後への走力:5〜10mの初速と反復スプリント
短距離の初速を強化。10m×8本の反復や、歩き→ダッシュの切替でゲーム強度に近づけます。
対人:背負う・捌く・ファウルを受ける強さ
背中で抑え、腕で相手を感じ、重心を落とす。ファウルを“もらえる体勢”を作るのも技術のひとつです。
練習メニュー(状況判断を鍛える)
条件付きロンド(背後解放トリガー有り)
5対2ロンドで10本つながったら背後へ一発。偽9番役は落とし→スルーまでをワンタッチ基準で。
3人目突破ドリル(縦パス→落とし→スルー)
中央の偽9番に縦→落とし→IHやウイングが裏。左右交互に、テンポを崩さず反復します。
スキャンニングドリル(カラーコール×方向転換)
コーチのカラーコールで受ける前に視線チェック。指示色とは逆方向へ第一タッチなど、意図的に認知負荷をかけます。
ゾーン制限ゲーム(中央経由必須→背後ボーナス)
中央ゾーンを通さないと得点無効、背後へのパス成功でボーナス。偽9番の価値が自然に上がるルールです。
数的同数での保持-背後切替ゲーム(3分間ラリー)
同数のポゼッションで、20秒保持できたら即背後トライ義務。保持と刺すの切替を体に染み込ませます。
データとKPI:上達を可視化する
背後解放を生んだ降り直し回数
降りて触る→味方の裏抜けが発生→決定機に至った回数。数が増えるほど“降り方”が良い証拠です。
3人目関与数(起点/関与/最終)
自分が起点になった数、落としで関与した数、最終パスorフィニッシュに関わった数を区別して記録。
プレス成功の回数と方向限定率
自分の矢印どおりに相手を外へ誘導できた割合。守備の価値が可視化できます。
ペナルティエリア侵入タイミング(遅れて入る回数)
クロスやカットバックに対して“1テンポ遅れて侵入”した回数。質の高いシュートに直結します。
第一タッチ後の前進率とボールロスト率
受けてから前進できた割合、失った割合。1試合ごとの改善が見えます。
他ロールとの比較
ターゲットマンとの違い:基点の作り方
ターゲットマンは空中戦や背負いで前進。偽9番は中盤化で前進。基点の作り方が異なります。
ゼロトップとの違い:人がいない状態との対比
ゼロトップはCBが迷いにくい反面、中盤は厚くなります。偽9番は“人がいるからこそ”CBの判断を揺さぶれます。
セカンドトップ/シャドーとの棲み分け
偽9番は出発が最前線、シャドーは2列目。相手に与えるプレッシャーの方向が異なります。
アンカー落ちとの混同を避ける配置整理
偽9番は前線登録のまま中盤化。アンカー落ちは中盤の選手が最終ラインに落ちる振る舞い。役割と意図が違います。
ウイング型CFとの併用と相性
片側が幅と背後、もう片側が中盤化の二枚看板も有効。左右非対称で相手のズレを生みます。
ケーススタディ(事例から学ぶ着眼点)
相手CBが食いつく相手への有効性と弱点
食いつく相手には背後が有効。ただし、オフサイド管理に要注意。走者のスタート位置を低く保ちましょう。
アンカーが強い相手への代替ルート
アンカーの前は捨て、脇と背中を徹底。サイドの三角形から内へ差す“逆入口”を増やします。
5バック相手の攻略:幅と逆サイド到達
WBの背中を固定し、逆サイドの到達を早く。偽9番はライン間で釘付け役に徹し、局面を揺さぶります。
前から来ない相手:保持と引き込みの配分
無理に刺さず、相手を外へ揺さぶり続けてから中央を差す。偽9番はリズムチェンジの指揮者として振る舞います。
ハイプレス相手:一発背後とセカンド回収
最初の1本は背後へ。回収役を中盤に厚く置き、セカンドボールで主導権を取り返します。
対策とリスク管理
相手のアンカー封鎖への対抗策(IHの縦関与)
アンカーが偽9番を捕まえるなら、IHが縦関与で背後へ。外で幅を取り、中央の密度を薄くします。
降りすぎ問題の是正(基準線と呼吸)
センターサークルより自陣に入らない基準。降りたら必ず“再侵入”。呼吸のように戻るリズムを決めます。
ゴール前存在感の欠如を防ぐ二次侵入ルール
クロス時は“遅れてペナスポ”を合言葉に。誰がニア、誰がファーかも固定します。
カウンターリスク管理(即時奪回の角度・枚数)
失ったら3人で同時圧力。外へ誘導し、中央を閉じる。ファウルで止める判断もチームで共有。
対人で劣る場合の形の工夫(左右非対称・偽ウイング化)
中央で潰されるなら、偽9番を一時的にサイドで起点化。中盤の人数をずらし、相手の基準を壊します。
年代・現場別の指導ポイント
高校・大学年代:認知と移動の反復、自動化の構築
スキャンと半身、三人目のタイミングを徹底反復。用語をシンプルにし、合図を固定します。
社会人・アマチュア:シンプルな合図の共有と役割固定
「降りたら走る」「外固定」「逆サイド到達」の3点だけでも十分機能します。過度に複雑にしない。
育成年代への段階的導入:降りる深さと背後走りの両立
まずは“降りたら誰かが裏”をセットで教える。深さを保てば守備も安定します。
試合準備:スカウティングで見る相手CB/アンカーの傾向
CBが出る/待つ、アンカーが前向き/後ろ向きの癖を確認。最初の10分で答え合わせしましょう。
個別課題表:強みを生かす運用と弱点の隠し方
初速が強みなら背後多め、背負いが強いなら足元多め。型を個に合わせて微調整します。
試合で使えるチェックリスト
開始10分の観察項目(CBの出方、アンカーの距離)
CBの一歩目/アンカーの距離/SBの高さ/GKの位置。4点をメモ感覚で確認。
自陣前進時の合図(指差し・声・体の向き)
「外」「中」「背中」。体の向きで味方に方向を示す。指差しは最短の情報伝達です。
敵陣での二次侵入タイミングの統一ワード
「遅れて」「今」。短い合図で共通理解。クロス前に一言で揃えます。
プレス再設定の合図(押し上げ/我慢/誘導)
「押し」「待て」「外」。強度と方向を言い切るワードでチームが整います。
ハーフタイム修正ポイント(高さ・幅・角度の再定義)
降りる深さ、幅の担当、縦パスの角度を3点だけ再確認。詰め込み過ぎはNGです。
よくある失敗と解決アプローチ
ボールに寄り過ぎて渋滞:レーン分散のルール化
“同一レーンは2人まで”のルールを導入。被りを防ぎ、前向きの時間が増えます。
背後脅威の不足:ウイング/IHとの走力割り当て
「誰かは常に背後」を徹底。走る人を固定すると偽9番が生きます。
ファウルのもらい方の未熟:体の入れ方と前置き
ボールに先に触り、相手の進路に体を置く。腕の使い方と重心で有利を作ります。
視野不足:スキャンのタイミングを限定練習で習慣化
受ける前2回+受ける瞬間1回のチェックをドリル化。声かけでリズムを固定。
守備の始動が遅い:遮断影の初期位置と角度修正
最初の1歩で縦を切る。角度が甘いと全部通されます。立ち位置の“数十センチ”が勝敗を分けます。
まとめ:偽9番を機能させる鍵
個の認知・技術×味方の同期=優位の連鎖
あなたのスキャンと半身、第一タッチが、味方の背後走りと噛み合う時、相手は後手に回ります。
降りるだけでなく“再侵入”が命
降りて終わりはただの人数合わせ。降りる→捌く→遅れて刺す、この循環が得点を生みます。
相手CBの意思決定をこちらが先回りして設計する
出れば裏、待てば前向き。どちらも痛い状況を“意図的に作る”のが偽9番の本質です。
データで可視化し、再現性を高める
KPIを決めて振り返れば、良い“降り方”と“刺し方”が定着します。
チームの文脈に合わせて“偽”の度合いを調整する
相手と味方の特性で、降りる頻度や深さは変えるべき。型にはめすぎず、試合ごとに最適化しましょう。
結局のところ、偽9番は「9番のふりをしながら中盤の仕事をこなし、最後は9番に戻る」役回りです。足元で落ち着かせ、味方を走らせ、遅れて自分が刺す。判断基準と合図をチームで共有できれば、再現性は一気に上がります。今日から“降りる勇気”と“刺す執念”を持ち、ピッチ中央でゲームを支配していきましょう。
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