現代サッカーにおいて「前線からのプレス」は、チーム全体の守備の要ともいえる重要な戦術です。特にフォワードは攻撃の最前線だけでなく、守備のスタート地点にもなります。しかし、ただ闇雲に走るだけでは空回りしがちで、逆効果につながることも…。本記事では、「フォワード プレス 方法」をテーマに、高校生以上の選手やサッカーを頑張る子どもを持つ親御さん向けに、前線プレスの意義や具体的なテクニック、トレーニング方法、陥りがちなミスとその修正法まで、徹底的にわかりやすく解説します。今日から実践できる内容を目指していますので、ぜひ最後までご覧ください。
前線からのプレスとは何か ― サッカー現代戦術の要
プレスの基本的な概念と目的
サッカーのプレスとは、相手選手にプレッシャーをかけて自由を奪い、ミスやボール奪取を狙う守備アクション全般を意味します。「プレス」は昔からある言葉ですが、時代と共にその戦術的意義は高まり続けています。特に前線のフォワードが行うプレスは「攻撃的守備」とも呼ばれ、単なるパワープレーではなく、「守備からチャンスメイク」へと進化しています。
プレスの基本目的は、相手のミスを誘発し、速い切り替えでボールを奪い、失点リスクを減らすこと。自チームが味方ゴール近くで守る時間を減らすことにもつながります。
なぜ今『前線からのプレス』が重視されるのか
近年では、ビルドアップ力の高いチームや個人技の優れた選手が増加し、DFラインで自由にボールを持たせているだけでピンチを招きやすくなりました。そのため、「自陣で守るのはリスク」という発想から、前線からアクションを起こしてボールを高い位置で奪う手法が定着しています。
話題のチームや各国代表の多くで、フォワードがまずスイッチ役となってプレスを発動し、流れを作っている姿はもはや当たり前。攻撃と守備がシームレスに切り替わる現代サッカーでは、『前線からのプレス』が不可欠な武器なのです。
守備連動とチーム戦術の関係性
「プレス＝走り回るだけ」は誤解です。大切なのは連動性。一人のフォワードだけが飛び出しても、相手は冷静にかわします。
守備連動とは、チーム全体で息を合わせて一斉にアクションを起こすこと。例えば、フォワードがプレスをかけると、サイドやボランチが次のコースを消していく…というように、駆け引きしながら守備網を狭めていきます。
チーム戦術として前線プレスを仕掛けるには、「どこでスイッチを入れるか」「だれがGOサインを出すか」「外された際のリカバリー策」など、役割分担と意思疎通が不可欠です。その点も、単なる個人プレーでは到達できない“現代サッカーの奥深さ”でしょう。
フォワードに求められるプレスの役割と心構え
フォワードの守備はどこから始まる？位置とタイミング
「守備の始まりはフォワードから」とはよく言われる言葉です。それは、FWが前線で相手にプレッシャーをかけることで、相手のビルドアップや展開を遅らせられるからです。
では、フォワードはどの位置から守備を始めればいいのか？
基本的には、相手CBやGKがボールを持った瞬間からが“守備のスタートライン”。この場面でFWが「プレッシャー役」「コース切り役」として動き出すことで、相手のオプションがどんどん減っていきます。
プレスをかける際の判断基準
効果的なプレスには、「今いくべきか、待つべきか」の判断も重要です。
次のような瞬間は積極的にプレスをかけるチャンスです：
- 相手DFの足元にミスが出た時（一瞬トラップがずれる、視線を下に落としたなど）
- 味方がパスカットやリターンボールの距離を詰められる位置にいる時
- 相手に選択肢がなく、追い込まれているタイミング
逆に、周囲の味方が準備できていない、コースが空いている場合は一呼吸置いて自陣へ戻り、連動を待つことも肝心です。
攻撃と守備の切り替えメンタル
フォワードとして意識すべきは、「攻撃が終わった瞬間こそ、すぐに守備へ切り替える」マインドです。
特に失った直後は、素早い切り替え＝トランジッションが相手を慌てさせる絶好のチャンス。「また自分がボールを奪い返す」「守備でもチームを助ける」というアグレッシブな意識が、チーム全体のギアを一段上げてくれます。
フォワードのための効果的なプレス方法 ― 実践に役立つテクニック
相手のパスコースを消す立ち位置
プレスの基本は「相手に自由を与えない」こと。
重要なのは、闇雲に走って正面から当たりにいくのではなく、パスコースを1つずつ消しながら詰めることです。
● 例えば、相手CBがディフェンスラインでボールを持ったら、FWは「外・中央どちらのパスコースを消したいか」を意識して立ち位置を調整します。
例えば片側のコースを斜めに切りながら入ることで、その後ろの味方DFやボランチが次のプレッシャーに移りやすくなります。
「自分が動いたらどこにパスが出るか？」を常にイメージして動くのが、巧いFWの共通点です。
連動の重要性 ― サイドや中盤と連携する
効果的な前線プレスには、周囲とのコミュニケーションと連動が不可欠です。1人だけが飛び出せば、相手のパスワークでワンタッチ突破されてしまいます。
例えば、2トップなら自分ともうひとりで「CB同士へのパスは切る」、同時にサイドハーフが相手SBへの展開に備える、という形が一般的。そして、追い込みたいエリア（タッチライン方向 or 中央方向）に向けて、声をかけ合いながら連携しましょう。「今いけるぞ！」「左カバー！」などなるべくシンプルな声が有効です。
一歩を速くする体の使い方とスタート動作
プレスの質を上げるには、ファーストステップの速さが不可欠です。ポイントは：
- 重心をやや前傾にセットし、膝を軽く曲げて構える
- 相手の動作をよく観察して、ボールタッチやトラップの瞬間を見逃さない
- 意識的に“1歩目”を素早く踏み出すイメージを持つ
すぐにスプリントできる準備姿勢を普段の練習から心がけましょう。
また、横方向（左右どちらか）への一歩目や、逆足での切り替えも大切です。
個人vs組織で異なるプレスのかけ方
フォワードとしてプレスをかける場面は、個人と組織によって戦い方が異なります。
- 個人：相手DFがミスした、一対一の状況、味方が遅れているケースでは思い切って1人で強くアタックする。
- 組織：チーム全体でスイッチを共有し、狙いのエリアやタイミングを揃えて同時に圧力をかける。
どちらが良い悪いではなく、状況と勝負勘で使い分けることが大切です。ただし無理をして裏を取られないよう、リスクマネジメントの意識も忘れずに。
フォワードのプレスを成功させるためのトレーニング法
反応速度を高めるドリル
良いプレスには素早い反応が必須です。おすすめのトレーニング例：
- コーチやチームメイトがランダムにボールを出す → それを合図にスタートし、素早く詰めていく
- 相手がボールをもたついた瞬間にダッシュ、またはフェイント動作に即応じる反復練習
目の前の状況判断とコンマ数秒の反応を鍛えることが、実戦の速いスイッチにも役立ちます。
小グループで行う連動トレーニング
個人でのトレーニングに加えて、グループ（2～4人）での連動型ドリルも大切です。
シンプルな例ですが、3人一組で「1人がボール保持側、2人がプレス側」「声をかけて追い込む」などのメニューが有効。
フォワード－サイドハーフ－ボランチなど役割を変えながら繰り返すことで、守備時の距離感・パスコースの消し方を自然に体得できます。
試合形式での実践と振り返り
トレーニングの仕上げは試合形式。5対5や8対8のミニゲームで、「この時間は前線から全員でプレスを徹底する」とテーマを設定します。
練習後は「いつ連動できたか」「空回りした場面はどこか」などを必ず振り返りましょう。自分だけでなく、仲間の視点で改善点を話すことで、よりチーム全体の守備スキルが底上げされます。
体力・持久力強化とプレスの維持
高強度のプレスを連続して続けるには、ベースとなるフィジカルも必要です。
特に40～60分を通して運動量をキープできる「インターバル走」や「サーキットトレーニング」などを取り入れましょう。
また、止まっている時間、攻撃から守備への切り替えで「呼吸を整える」「頭もリフレッシュする」などオンオフのメリハリをつけることも大切です。
よくあるミスとその修正法
遅れてしまう／空回りしてしまうプレスの失敗例
「いくべき場面で一歩が遅れる」「自分だけで突進してかわされる」――これらは非常に多いミスです。
修正ポイント：
- 「ボールを見てから」走り出すのでなく、「次は自分の番だ」と常に予測し、準備する
- 味方やベンチの声をしっかり聞き、連動できる体制を意識する
- 最初の2歩までは必ず全力で詰めて、その後相手のボールの動きに応じてスピード調整
連動がうまくいかない場合の打開策
「自分と味方でプレスのイメージが違う」「なぜか相手にはまらない」という時は、ミーティングや簡単な練習で意思疎通を図ることが大切です。
例えば：
- 「ここの角度なら自分がいく」「ここのパスはボランチが切る」と役割を事前に明確化
- お互いの得意な型や苦手部分も共有しておく
- サインや身振り、アイコンタクトなど直感的な連絡方法も工夫する
小さな積み重ねが、試合での連動成功率に直結します。
無理なプレスで体力を消費しすぎるのを防ぐ
最初から最後までフルスロットルでプレスし続けるのは現実的ではありません。
無謀な突進は、終盤にバテて守備が機能しなくなる…そんな本末転倒な事態も招きます。
以下の工夫も効果的です：
- 「ここはいく」「ここはコンパクトに」と、強弱の切り替えや守備の優先度を明確に
- 体力回復のため、オフボール時にはしっかり呼吸を意識して休む
- ポジショニングで「走る距離を最小限にし、コース切りで楽をする」発想も取り入れる
頭脳と運動量、両方で賢く戦うのが現代プレスの大前提です。
意図あるプレスで勝利を引き寄せる ― まとめとアクションプラン
前線からのプレスは、フォワードの新たな価値を生み出し、チーム全体を進化させてくれます。ただ走るだけのプレッシャーではなく、「チーム戦術の一部」として狙いや連動性をもつことで、相手のビルドアップを止め、攻撃につなげるチャンスを生み出します。
本記事で解説した守備連動のポイント、具体的な動き方、トレーニングメニューやミスの修正法など、どれも今日から習慣づけられることばかりです。
最後に、アクションプラン3つ
- まずは「自分がどの場面でプレスをかけるべきか」映像やメモで整理してみよう。
- 練習・試合で「連動」「声かけ」「パスコースを消す動作」を意識してみよう。
- うまくいかなかった場面は、振り返りとチームメイトとの対話で原因を探そう。
一歩ずつ着実に意識と実践を繰り返せば、必ずチームでの守備力とプレス質が向上します。
前線からゲームを動かす楽しさ、相手を圧倒する喜びを、ぜひ体感してください！
