「サッカーのタンパク質はどれくらいが最適?」への答えは、体重・トレーニング量・時期(試合期/オフ/成長期)で少しずつ変わります。この記事では、試合で走り切るための回復、当たり負けしない体づくり、ケガ予防や成長サポートまで、現場で使える目安とやり方をひとまとめに。数字の根拠は国際ガイドラインの範囲内に収まるよう整理し、1日の配分や具体的な食品選び、予算内での現実的なやり方まで落とし込みます。
目次
結論:サッカーで必要なタンパク質の目安(早見)
基本式:体重×1.2〜2.2g/kg/日(目的・期分けで調整)
まずはこのレンジに当てはめて、週のトレーニング量や体づくりの狙いで微調整します。走行距離やコンタクトが多い週ほど上振れ、軽い週は下振れでOKです。
試合期(インシーズン):1.6〜2.0g/kg/日
パフォーマンス維持と回復を両立する帯。公式戦や練習試合が続く時期は、回復遅れを防ぐため中〜上限寄りを狙います。
集中トレ・筋肥大期:1.8〜2.2g/kg/日
筋量アップや強度の高いフィジカルブロックでは上限側。十分な炭水化物をセットにしないと、タンパク質がエネルギーに回って効率が落ちます。
軽い練習・リカバリー週:1.2〜1.6g/kg/日
負荷が軽い週は下限寄りで十分。食事の多様性(魚・卵・大豆など)を意識して、内臓の負担感もチェックしましょう。
成長期(中高生):1.6〜2.0g/kg/日+十分なエネルギー
伸び盛りは「タンパク質+総エネルギー」の両輪が重要。朝食欠食やお菓子偏重でエネルギー不足だと、回復も成長も止まりやすくなります。
体脂肪を落としたい時:1.8〜2.4g/kg/日(総摂取エネルギーを管理した上で)
エネルギーをやや絞る期間は筋量維持のためタンパク質をやや増やします。タンパク質だけ増やしても痩せません。炭水化物と脂質を含む全体設計が前提です。
サッカーにおけるタンパク質の役割
筋損傷の修復と筋合成を促す
試合や高強度練習では微細な筋損傷が起こります。十分な必須アミノ酸(特にロイシン)を含むタンパク質は、修復と合成を後押しし、継続的なパフォーマンス向上に繋がります。
持久的パフォーマンスとコンタクトプレーへの影響
持久系は炭水化物が主役ですが、タンパク質不足は筋機能低下やフォームの崩れを招き、終盤の失速や当たり負けに直結します。土台の筋を守る意味で重要です。
免疫・炎症コントロールと疲労回復
タンパク質は免疫細胞や酵素の材料。不足すると風邪や口内炎が増えやすく、練習の質が落ちます。過不足のない摂取は、炎症からの回復にも寄与します。
ケガからの回復と再発予防の一要素
組織修復には材料が必要。リハビリ期は1.6〜2.2g/kg/日の範囲で、十分なエネルギーと合わせて確保すると良いと言われます。もちろん、医療・栄養の専門家の指示を優先してください。
タンパク質と総エネルギーのバランスが鍵
タンパク質だけ高めても、エネルギー全体が足りなければ合成は進みにくい。まずは総エネルギー(特に炭水化物)を確保し、その上でタンパク質量・タイミングを整えるのが基本です。
1日の配分とタイミング戦略
1回量の目安:体重×0.25〜0.4g/kg(20〜40g目安)
筋合成のスイッチを入れるのに十分な量。例:70kgなら約18〜28g(実用上は20〜30g)を目安にします。
1日3〜5回に均等分配(3〜4時間おき)
朝・昼・夕・練習後・就寝前などにバランス良く分けると、同化のチャンスを増やせます。1回に偏らせず、合計量と分配の両方を意識。
朝食でのスタートダッシュ(夜間の同化抑制を解除)
寝起きはアミノ酸が枯渇。卵+牛乳、ヨーグルト+グラノーラ、納豆+ご飯+味噌汁などで20g前後を確保すると1日が整います。
練習前の軽い補食でアミノ酸を供給
開始60〜90分前に、消化の軽いタンパク質10〜20g+炭水化物。例:ヨーグルト+バナナ、低脂肪牛乳+小型おにぎり、豆乳+カステラ。
練習直後30分以内のリカバリー(炭水化物と併用)
目安はタンパク質20〜30g+炭水化物1.0〜1.2g/kg。ホエイプロテイン+フルーツジュース、サンドイッチ+牛乳など。帰宅後の食事で再度整えます。
就寝前のゆっくり吸収(乳製品・カゼインなど)
寝る60分前にタンパク質20〜30g。ギリシャヨーグルト、カッテージチーズ、カゼイン系プロテインなどはゆっくり吸収され、夜間の回復を後押しします。
試合前日〜当日〜翌日のプロテイン設計
試合前日:炭水化物中心+適量タンパク質で準備
グリコーゲンを満たしつつ、消化の良いタンパク質を適量(体重×1.6〜1.8g/kg/日)。脂っこい肉は控えめに、魚・鶏むね・豆腐などを活用。
試合当日:消化に優しい少量×高頻度でエネルギー確保
朝〜試合直前は胃に負担をかけない量で小分けに。タンパク質は合計20〜40g(全日)を目安に、炭水化物中心の設計に寄せます。
キックオフ時間別の摂取タイミング調整
- 午前KO:起床直後に軽い朝食(牛乳+パン+卵など)、集合前にゼリーやバナナ。
- 午後KO:昼食で20g程度のタンパク質、90〜120分前に軽食。
- ナイトゲーム:昼・おやつ・夕方に分けて摂り、直前はごく軽く。
ハーフタイムは炭水化物中心、タンパク質は最小限
吸収に時間がかかるため、タンパク質は基本不要。スポドリやジェル、バナナなどで糖質メインがセオリーです。
試合後24〜48時間の回復ウィンドウを逃さない
試合直後の補食→帰宅後の食事→翌日の朝・昼まで、合計量1.6〜2.0g/kg/日をキープ。炎症が強いときは消化の良い乳製品・魚・豆製品が使いやすいです。
成長期アスリートの注意点
エネルギー不足は成長・回復・免疫を同時に損なう
身長・体重の伸びが止まる、朝起きづらい、集中力が続かない…はエネルギー不足のサインかも。タンパク質だけでなく主食も十分に。
朝食欠食対策:手軽に20gを達成するコツ
- ギリシャヨーグルト+はちみつ+バナナ(約15〜20g)にゆで卵1個で上乗せ。
- ツナおにぎり+牛乳(約20g)。
- 納豆ご飯+豆腐味噌汁+牛乳(約20g)。
学校・部活スケジュールでの補食ポイント
昼休み、放課後すぐ、移動前後が勝負。チーズ、プロテインドリンク、焼き魚おにぎり、ソイバーなど「開けてすぐ食べられる」ものを常備。
親がサポートできる具体策(買い置き・準備・声かけ)
- 冷蔵庫にヨーグルト・牛乳・サラダチキン・豆腐の常備。
- 週末にゆで卵をまとめて作る、ツナ缶・鮭フレークをストック。
- 練習後にすぐ口にできる補食をバッグに入れる習慣化。
プロテインパウダーの是非と安全な使い方
食事で足りない分の補助としては有用。成分表示が明確で、第三者認証(例:インフォームドチョイス/スポーツ等)がある製品を選びましょう。水や牛乳で溶かし、練習後や朝食に。
鉄・カルシウム・ビタミンD・亜鉛も併せて考える
持久系の鉄不足、骨のカルシウム/ビタミンD、免疫と酵素の亜鉛などは見落としがち。赤身肉・魚・乳製品・きのこ・日光浴・海藻・貝類もバランス良く。
何から摂る?食品とサプリの選び方
高品質なタンパク源:肉・魚・卵・乳・大豆の使い分け
鶏むね・卵・白身魚は消化が軽く、試合期に便利。赤身肉や青魚は鉄・オメガ3も摂れます。大豆は植物性で取り入れやすく、乳はカルシウムも確保できます。
ロイシン2〜3g/回に届く組み合わせの考え方
目安:ホエイ20〜25g、鶏むね100g、卵2〜3個、牛乳500ml、納豆+豆腐+ご飯の組み合わせなどでロイシン2g前後へ。植物性中心なら組み合わせて量を確保。
ホエイ・カゼイン・ソイの違いと使いどころ
- ホエイ:吸収が速く、練習後向き。
- カゼイン:吸収がゆっくり、就寝前向き。
- ソイ:植物性で比較的ゆっくり、乳不耐の人にも使いやすい。
脂質・塩分・加工度を見極める(賢い選択)
揚げ物・高脂肪の加工肉は試合期に重くなりがち。塩分の多い缶詰や加工品は、普段は水煮・減塩タイプを優先し、味付けは自分で整えるとコントロールしやすいです。
ドーピングリスク回避:第三者認証の確認ポイント
サプリは成分の混入リスクがゼロではありません。ロット番号管理と第三者認証マークの有無、メーカーの情報開示姿勢をチェックしましょう。
ベジタリアン/アレルギー対応の工夫
大豆・レンズ豆・ひよこ豆・オート麦・ナッツ・種実を組み合わせ、総量とロイシン量を満たす。乳・卵がOKならさらに楽になります。アレルギーは表示を必ず確認。
摂り過ぎ・不足のサインと対策
不足サイン:回復遅延・筋力低下・風邪の増加・空腹感
連戦の翌日に脚が重いまま、筋肉痛が長引く、練習終盤にパワーが落ちる…は不足の合図。まずは1日量と練習後のリカバリーを見直しましょう。
摂り過ぎの注意:消化不良・余剰カロリー・コスト
極端な高タンパクは胃腸負担や便秘、体重増(脂肪)に繋がることも。必要量の上限を大きく超えない範囲で、炭水化物・脂質とのバランスを優先。
腎機能が正常な人における一般的な注意点
腎機能に問題がない人では、運動選手の範囲内(〜2.2g/kg/日程度)の摂取は一般に許容されると報告があります。ただし、既往がある人は医療専門家へ相談を。
水分・食物繊維・ミネラルをセットで整える
高タンパク時は水分をしっかり。野菜・果物・海藻・全粒穀物で食物繊維とカリウム・マグネシウムを補うと、胃腸の負担感の軽減に役立ちます。
よくある勘違いQ&A
BCAAだけで十分?(全体タンパク質との関係)
BCAAは一部の必須アミノ酸で、筋合成のスイッチには関わりますが、材料そのものは足りません。全体のタンパク質(必須アミノ酸を網羅)が基本です。
試合直前に大量のタンパク質は逆効果?
大量摂取は消化に時間がかかり、動きが重くなることも。直前は少量・炭水化物中心が無難です。
夜遅くに食べると全部脂肪になる?
総摂取エネルギーと活動量で決まります。就寝前のタンパク質20〜30gは回復に有用とされ、脂質を抑えていれば問題になりにくいです。
プロテインは体に悪い・腎臓に負担?
腎機能が正常な運動選手がガイドラインの範囲で使う場合、一般的に問題は報告されていません。体調や既往症がある場合は個別に相談を。
タンパク質で身長は伸びる?
身長は遺伝・ホルモン・睡眠・栄養(総エネルギー+タンパク質+カルシウム+ビタミンDなど)の総合結果。タンパク質は大切な一部ですが、それだけで決まりません。
炭水化物を減らしてタンパク質を増やせば痩せる?
体脂肪はエネルギー収支で決まります。サッカーでは炭水化物不足がパフォーマンス低下につながるため、まずは総エネルギー設計と練習量に合わせた配分を。
自分の目安を計算するステップ
ステップ1:期分けと目的でレンジを決める
試合期/筋肥大期/リカバリー週/減量期/成長期のどれかを先に決めます。
ステップ2:体重×g/kgで1日量を算出
例:70kg×1.8g=126g/日。
ステップ3:1回量=体重×0.3g/kgを基準に割り振る
70kgなら約20g前後を5回=合計100g、必要に応じてどこかを25〜30gに増やして調整。
ステップ4:トレーニング予定に合わせて微調整
練習後と就寝前を厚めに。食事でまかなえない日はプロテインを補助に。
70kgの具体例(試合期・成長期・減量期)
- 試合期1.8g/kg:126g/日 → 朝20g・昼25g・練習後30g・夕25g・就寝前26g。
- 成長期1.8g/kg:同上+主食をしっかり(ご飯・麺・パン)。
- 減量期2.2g/kg:154g/日 → 朝25g・昼30g・練習後35g・夕30g・就寝前34g(脂質は控えめ、炭水化物は練習前後に重点配分)。
シーズン・ポジション別の微調整
プレシーズン(負荷増)/インシーズン/オフ期の差
プレシーズンは1.8〜2.2、インシーズンは1.6〜2.0、オフ期は1.2〜1.6g/kg/日を目安に。オフは量を落として多様性を増やし、体を整える期間に。
FW・MF・DF・GKのプレー特性と微差の考え方
全ポジションで大枠は同じ。コンタクトが多いDF、スプリントと空中戦が多いFWは上振れしやすく、運動量の多いMFは総エネルギーを増やしてバランスを確保。GKはジャンプ・着地・上半身の維持で就寝前タンパク質を活かしやすいです。
連戦・遠征・夏場(暑熱環境)での工夫
食欲が落ちやすい時は、液体(牛乳・ヨーグルトドリンク・プロテイン)や冷奴・冷しゃぶなど消化の軽い選択に。塩分・水分・炭水化物を優先しつつ、タンパク質は小分けで確保。
予算内で実現するリアルな選択肢
コンビニ・学食・スーパーで即戦力の組み合わせ
- おにぎり+サラダチキン(ハーフでもOK)+無糖ヨーグルト。
- ツナ缶(水煮)+ロールパン+牛乳。
- 豆腐+納豆+ご飯+味噌汁(学食の定食を調整)。
500円以内で20g達成する補食アイデア
- ギリシャヨーグルト(大)+バナナ。
- ゆで卵2個+豆乳。
- ツナおにぎり+低脂肪牛乳。
作り置き・持ち運び・時短のテクニック
- 週末に鶏むねを低温でまとめ調理→小分け冷凍。
- ゆで卵・プロテイン小袋・ナッツ・干し魚を常備。
- 朝は「皿に並べるだけ」メニュー(ヨーグルト+フルーツ+パン+チーズ)。
実践チェックリスト
1週間の自己点検(量・回数・タイミング・食品多様性)
- 合計:目標g/kgに届いた?
- 分配:3〜5回に均等?練習後・就寝前は押さえた?
- 多様性:肉・魚・卵・乳・大豆が週内にバランス良く入った?
- 体調:消化不良/便秘/風邪の増加は?水分は十分?
次の試合までに整える3つのこと
- 朝食で20gを固定化。
- 練習直後にタンパク質20〜30g+糖質を確保。
- 就寝前にゆっくり吸収型を1回追加。
科学的根拠の要点(ガイドライン範囲)
アスリートのタンパク質推奨レンジの背景
持久系・パワー系ともに、体重当たり1.2〜2.0(状況により2.2)g/kg/日が広く提示されています。エネルギー不足や減量期では上振れが推奨されることがあります。
タイミング・分配・ロイシンに関する知見
1回0.25〜0.4g/kgでの等間隔分配、練習後の早期摂取、就寝前のゆっくり吸収タンパク質、1回当たりロイシン2〜3g確保が筋たんぱく合成の観点で支持されています。
サプリメントの位置づけと限界
サプリは「足りない分の補助」。食事の質・総エネルギー・睡眠・トレーニングが土台であり、これらが整ってはじめて効果的に働きます。品質管理(第三者認証)の確認は必須です。
まとめ
サッカーにおける最適なタンパク質は「体重×1.2〜2.2g/kg/日」をベースに、試合期・成長期・減量期などの目的で上下させるのが実践的です。1回あたり体重×0.25〜0.4g/kgを3〜5回に分配し、朝食・練習直後・就寝前を軸に組み立てれば、回復・筋合成・免疫の土台が整います。食品は肉・魚・卵・乳・大豆を使い分け、ロイシン2〜3g/回を意識。過不足のサインを観察しつつ、総エネルギーとのバランスを最優先に。今日の食事から小さく始めて、次の試合で「走り切れる・当たり負けしない」体を作っていきましょう。
