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サッカーのパスでパスコースを作る動き方の基礎と実戦

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「良いパスは、良い受け手が作る」。この考え方に立つと、パスの精度やキック力だけでは勝てない理由がはっきりします。相手の守備をずらし、味方の選択肢を増やす“動き方”こそが、チーム全体のテンポと危険度を一気に引き上げます。本記事では、サッカーのパスでパスコースを作る動き方の基礎と実戦を、練習に落とし込める形で一気通貫に解説します。図や画像は使わず、言い換えや例を多用してわかりやすく進めます。今日から練習で試し、週末の試合で使えるように、再現性のある原則とドリルを用意しました。

導入:パスコースを作る力が試合を変える

なぜ「動き方」がパス精度以上に重要なのか

パスは「蹴る技術×状況作り」で成立します。状況作りの中心が、受け手の動き方です。受け手が角度を作り、相手の視野から消え、次の選手へ前向きの道を用意できれば、平凡なキックでも有効打になります。逆に、最高のキックでも受け手の角度が悪ければ、前を向けずに潰れます。つまり、動き方はパス精度の“使い道”を広げます。

この記事で得られること(基礎→実戦の一貫性)

基礎概念(角度・距離・速度)→体の向き→二人・三人の連携→ゾーン活用→守備ブロック別対策→ポジション別→ドリル→評価指標→練習設計まで、一つの軸でつながるように構成しています。「何を」「なぜ」「どうやって」までセットで理解でき、練習メニューにすぐ落とし込めます。

良いパスは良い受け手が作るという前提

出し手の責任は当然ありますが、受け手が「見えやすい角度」「触りやすい距離」「合う速度」を作れば成功率は跳ね上がります。合図は声よりも位置取り。最後の2歩が勝負です。

基礎の整理:パスコースの定義と3要素(角度・距離・速度)

パスコースとは何か(ボールの通り道+認知の通り道)

パスコースは、ボールが通る道だけでなく「味方と自分の頭の中で同時に見えている道」です。相手の足に届く前に、こちらの視界と味方の視界を一致させること。これが「認知の通り道」です。

角度:90度に近づける発想と例外

基本は出し手に対して「L字」を意識し、90度に近い角度を作ると守備者を一枚外せます。例外は、相手が縦を切っているときの斜め45度、もしくは背後のスルーを狙う時の一直線です。原則は「相手の足の届く線を踏まない」。

距離:近づきすぎの罠と最適距離の目安

近づきすぎると守備者も一緒に連れてきます。最適距離は「出し手が一歩も動かずにパススピードで解決できる範囲」。具体的には10〜15mが扱いやすい基準。密集では5〜8m、展開では20m超も選択肢です。

速度:出し手と受け手のスピードを合わせる

速すぎるとコントロール不能、遅すぎると狙われます。受け手が減速し始める瞬間に着弾する速度が理想。出し手は受け手のステップ(ピッチの刻み)を見て、ミートの1歩前に通すイメージを持ちましょう。

幅と深さ:ライン間と背後を同時に脅かす配置

幅(横の広がり)で相手の横スライドを遅らせ、深さ(縦の奥行き)で背後の恐怖を維持します。幅だけ広げても怖くない。常に「ライン間で前向き」と「背後ラン」の両方が見える配置が理想です。

視野と体の向き:受ける前に勝負の8割が決まる

スキャン(首振り)の頻度とタイミング

1回のプレーにつき最低2回。味方がコントロールした瞬間と、ボールが自分に出る直前。見る対象は「相手の足・肩」「味方の位置」「空いている芝生」。

ボディシェイプ:半身で受ける基本

肩とつま先をゴール方向に45度開く半身。背中で受けないための初期設定です。半身なら次のパスコースが2〜3個増えます。

オープンな足(前向き)とクローズド(背負う)の使い分け

前向きにできる時は迷わずオープン。潰されそうなら一度クローズドで背負い、リターンやスイッチで立て直す。使い分けの基準は「相手の最初の一歩が自分に向くかどうか」。

ファーストタッチの方向で次のパスコースを増やす

止めるではなく、置く。相手の届かない足の外側に1m運ぶだけで、角度と時間が生まれます。次の味方の“前向き”が自動的に増えます。

パスコースを「作る」動きの原則

外して入る:相手の視線から消えてから現れる

マークの正面に止まらない。一歩外して相手の目線から消え、パスの出る瞬間にスッと入る。これだけで同じパスでも通りやすくなります。

寄る・離れる・ずらすの三原則

  • 寄る:角度を作って前向きの選択肢を作る
  • 離れる:相手を引き伸ばし、パス速度を上げる
  • ずらす:最後の2歩で縦か横へズレてマークを外す

タイミングの黄金則:味方のコントロールオリエンテーションを合図にする

味方のトラップの向き(コントロールオリエンテーション)が自分の背中に向いた瞬間は待機、前を向いた瞬間が動き出しの合図。合図は「ボールの向き」です。

足元→裏、裏→足元の連続でマークを揺さぶる

一度足元で引き出してから背後にスプリント、もしくは逆。2本目までセットで設計すると、相手は読み切れません。

同一レーンに留まらない(レーン変更の基準)

同じ縦レーンに3秒以上滞在したら一度外す習慣。基準は「味方の視野に斜めで入る」こと。斜めで見える=次の選択肢が増えます。

出し手と受け手の連携術

視線・体の向き・ステップで意図を伝える

目線でフェイク、体の向きで本命、ステップでタイミングを合わせる。声が届かない距離でも、足の運びで会話しましょう。

ワンタッチ/ツータッチの事前合意(状況判断のサイン)

ワンタッチなら前足を軽く開く、ツータッチなら体を少し被せるなど、チームでシンプルなサインを共有するとテンポが上がります。

パススピードと受け手の減速・加速の合わせ方

受け手が減速→到達直前にもう一度加速。この二段階に出し手の速度を合わせると、前向きに入りやすい。止まって受ける時間を消すのが狙いです。

呼ぶ声より速い「位置取り」で会話する

声が届く頃には遅い場面も多いもの。ポジションで先に答えを出すのが最短のコミュニケーションです。

三人目の動きでパスコースを増殖させる

壁当て(ワンツー)を三角で成立させる

二人が詰まったら、三人目が角度の頂点に立って“壁”を作る。ワンツーの戻し役を第三者に置くと、守備の寄せを外しやすくなります。

アップ・バック・スルーの型と崩しのトリガー

アップ(前へ預ける)→バック(後ろへ戻す)→スルー(背後へ)。相手CBの一歩前進、もしくはボランチの前のめりがトリガー。型で待つのではなく、トリガーで出す。

三角形とダイヤモンドの基本配置

三角は近距離の解決、ダイヤモンドは縦と横の選択肢を両立。常に「対角」が開いている配置を保ちます。

二人で詰まったら三人目の原則

二人が相手2人に挟まれたら、第三者が縦か対角で“出口”を作る。出口の角度は90度が基本です。

ゾーンとスペースの活用:サイド・中央・ハーフスペース

タッチラインは守備者(サイドでの体の向き)

サイドは逃げ道が半分ない。だからこそ、内側へ半身で受けるか、外足で前へ運ぶ準備を。ラインに背中を向けないことが大切です。

ハーフスペースで前向きを作る方法

サイドと中央の間(ハーフスペース)は前向きが取れる金脈。外から内へ斜めに入り、DFとMFの間で半身。味方SB/ウイングと三角を作ると生きます。

中央で受けるリスク管理(背中の情報量)

中央は四方から圧が来ます。受ける前に2回以上スキャン、半身、ファーストタッチは相手の逆足側へ。前を向けない時は一度預けて再配置。

逆サイドの事前準備とスイッチの質

逆サイドは“今”動かすのではなく“前もって”動かす。ボールが反対に移る前から幅と深さを作り、切り替えた瞬間にアタック。スイッチは浮き球か強い対角で。

フェーズ別:ビルドアップからフィニッシュまでの動き方

ビルドアップ:CB-ボランチ間の角度作り

CBが外に運び、ボランチは内外でL字を作る。相手1トップの背中に立たず、脇で半身。GKを頂点に三角形を常に確保。

前進局面:ライン間での半身受けと楔の選別

楔(くさび)は「前を向ける時だけ打つ」。背負わされたらリターンか第三者へ。ライン間に立つ人は常に45度で受ける。

フィニッシュ:ペナルティエリア前での三人目

PA前は密度が高いので、三人目が命。落とし→スルー、外→中、裏→カットバックの連続で相手の重心を揺らします。

攻守トランジション:即時サポートとカウンタープレス回避

ボールを失ったら即リカバリー、奪い返したら最初のパスは外へ安全、または前へ速く。中央での横パスは避け、三角形で安全を作り直す。

守備ブロック別攻略:相手の意図を逆手に取る

マンツーマン対策:連続的なスクリーンとローテーション

味方を“通り道”にしてマークを外し、ポジションをローテ。相手が人を追うほど、空いた場所が生まれます。

ゾーン守備対策:レーン跨ぎとマーカーの引き連れ

一つ横のレーンへ受けにいき、マーカーを連れて動かす。ズレが出た瞬間に縦パス。斜め斜めでライン間へ。

ミドル/ローブロック:ライン間滞在と釣り出し

焦って裏だけを狙わない。ライン間で粘って相手ボランチを引き出し、空いた背後へ三人目。

ハイプレス:GKを含む三角形の拡張と背後活用

GKを使って数的優位化。縦一発か、サイドの深い位置へ。長短のミックスで1本目のプレッシャーを外します。

ポジション別:パスコースを作る動き方

センターバック:外側を踏ませて内側を通す

ボールを外へ運んで相手を誘い、内側へ縦パス。逆足で持ち替えるフェイクが効きます。

ボランチ:縦横の二枚鏡(裏表のサポート)

最短の受け皿と、対角の逃げ道を同時に提示。常にL字、半身、二方向の出口を見せ続けます。

インサイドハーフ:ライン間での半身と第三の動き

足元→落とし→前進、または背後へスプリント。受けた後の2本目まで計画しておくのが鍵。

ウイング/サイドハーフ:幅の維持と内外の出入り

幅を取りつつ、内に入るタイミングはSBの位置と連動。外で引き伸ばし、内で前向きを作る。

サイドバック:内側化(偽SB)と外側高取りの使い分け

内側へ入り数的優位を作るか、外で高さを取り相手WGを下げるか。中盤の人数と相手の守り方で選択。

センターフォワード:楔、落とし、裏抜けの三役

背負う時はワンタッチで落とし、余裕があれば前向きにターン、マーカーが寄れば裏へ。三役を行き来して相手の重心を狂わせます。

よくあるミスと即効修正ドリル

近づきすぎ問題:最適距離を体感するドリル

マーカーコーンを10m、12m、15mに置き、同じ強さでパス交換。受けやすい距離と速度の組み合わせを体感します。

止まって受ける癖:最後の2歩でズレを作る

コーチの合図で左右どちらかに2歩ズレてから受けるドリル。常に動いて受ける感覚を育てます。

背中で受けるミス:事前スキャンと半身の習慣化

「見る→半身→受ける」を声掛けでルーティン化。首振り2回できなければ受けないルールで徹底。

足元固定の単調さ:足元→裏の2本目まで設計

足元で受けたら必ず次は背後へ走る制約で3分間。体に選択肢の連続を入れます。

同じレーン滞在:レーン変更の合図とルール化

3秒同一レーン禁止の制約ゲーム。味方が外へ張ったら自分は内、内に入ったら自分は外を即交換。

個人・少人数・チームでの実戦ドリル集

個人:首振りテンポ+壁当ての方向付け

首振り2回→壁当て→ファーストタッチで45度前進。左右交互に1分×3セット。

2人組:寄る・離れる・ずらすの連続ドリル

出し手を見る→寄る→受ける→離れる→再びずらす。20本連続のテンポで行い、最後の2歩の質を上げます。

3人組:アップ・バック・スルーのタイミング合わせ

中央が受けて落とし、第三者が背後へ。トリガーは相手役の一歩前進。声ではなく位置で合図。

4人組:ダイヤモンドでの三方向選択肢トレーニング

底辺→サイド→頂点→対角の循環。常に前・横・対角の3択を提示し続けます。

チーム:制約付きポゼッション(レーン/タッチ数/前進条件)

3レーンを設定し、同一レーン3秒禁止、ワンタッチ1回/3回の切替、3本で前進トライ。意思決定を強制的に速くします。

ゲーム形式:得点が入るパス前向き受け回数ボーナス

前向き受け10回=1点などのボーナスを設定。形ではなく目的(前向き)を意識付けます。

実戦の読み:パスコースを消されても作り直す思考法

第一案・第二案・第三案の同時保持

足元、対角、背後。常に3案を持ち、消えた瞬間に残りへスイッチ。頭の中で常に並列に用意します。

相手の足と肩の向きを読む

足が内、肩が外なら縦は閉じ、斜めは開く。肩の角度は“今どこが空くか”のサインです。

消された瞬間の再配置(逆サイド・背後・戻す)

正面が閉じたら、1)逆サイドへ大きく、2)背後へ速く、3)安全に戻して三角を作り直す。この3択でリスク管理。

ミス後の立て直し:安全な三角形の再構築

奪われたら最短で三角形に戻る。前・横・斜めの3点ができると、カウンターを止めやすい。

評価指標と自己分析:伸びを数値で確かめる

前向き受け回数/試合と前進率

試合で何回前を向いて受けたか。そこから何回ラインを越えられたか。数えるだけで改善点が見えます。

楔→前進の連結成功数(セカンドアクション込み)

楔を入れて、落としや第三者で前進できた回数。受けて終わりにしない評価です。

三人目関与回数とシュート期待値への影響

三人目で絡んだ回数と、その後のシュート数。関与の質を可視化します。

被インターセプト率の低減とパス速度の相関

奪われた本数/総パス本数と、平均パス速度(主観でOK)の関係をメモ。スピード調整の改善を追います。

動画チェックのポイント(停止フレームの基準)

味方がコントロールする瞬間で一時停止。自分は半身か、角度はL字か、出口は2つ以上あるか。これだけで質が上がります。

練習設計テンプレート:1週間・4週間の組み立て

1週間:技術→連携→ゲームの流れ

  • 月火:個人技術(首振り、半身、ファーストタッチ)
  • 水木:2〜4人連携(三角・ダイヤ・アップバック)
  • 金:制約付きゲーム(レーン、タッチ数)
  • 土:セットの確認、短時間の高強度
  • 日:試合

4週間:基礎固め→選択肢拡張→速度向上→実戦最適化

  • 1週目:角度・距離・速度の基礎徹底
  • 2週目:三人目とゾーン活用
  • 3週目:判断スピードとパススピードの同調
  • 4週目:守備ブロック別の最適解づくり

試合前日:負荷を落として判断スピードを保つ

短いポゼッション、ワンタッチ多め、距離は短く。体は軽く、頭は速くを合言葉に。

シーン別Q&A:現場でよくある悩みへの処方箋

雨・悪ピッチでパスコースが消える時の対策

地を這う速いパスはリスク。浮き球のワンバウンド、足元ではなくスペースへ置くパスに切り替え。距離は短めに。

人工芝でスピードが出すぎる時の調整

受け手は一歩早めに減速、出し手は足首を柔らかく使い、バウンドの強さを抑える。ワンタッチは面を少し開いて吸収。

身体が重い日の最小限の動き方

走る量より角度の質。最後の2歩、半身、受ける前の首振りだけは死守。これで大半の問題は緩みます。

年代が低い選手への教え方(言葉と合図)

難語禁止。「見て・斜め・置く」の3語で統一。コーチは手でL字を作り、体の向きを視覚で示すと伝わりやすいです。

用語の簡易整理

ボディシェイプ/半身/スキャン

ボディシェイプ=受ける時の体の形。半身=45度で開く。スキャン=受ける前の首振り確認。

レーン/ハーフスペース/ライン間

レーン=縦の通り道。ハーフスペース=中央とサイドの間。ライン間=相手の中盤と最終ラインの間。

三人目/アップ・バック・スルー

三人目=出し手と受け手以外で関与する選手。アップ・バック・スルー=預け→戻し→抜け出しの型。

まとめ:今日から実戦で効く3アクション

受ける前に2回見る(スキャン→半身)

視野が整えば、プレーは半分決まります。受ける前の2回で勝負の8割が決まる意識を。

最後の2歩で角度を作る(寄る・離れる・ずらす)

止まって受けない。最後の2歩で“見える角度”に自分を置く。声より速いコミュニケーションです。

一度で崩せなくても三人目で作り直す

詰まったら、第三者が出口。二人で戦わず、三角で外す。これが安定して前進するコツです。

あとがき:現場で根づく「通り道」の作り方

パスコースは偶然では生まれません。小さな角度、1mの位置取り、最後の2歩のズレ、そして三人目の準備。これらが積み重なると、チームのボールは自然と前へ進みます。今日の練習から「見る→半身→2歩ズレる→三人目」の順番を合言葉にしてください。数週間後、あなたの“通り道”は明らかに広がっているはずです。

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