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サッカーのプレス強度指標の作り方:自チームPPDA計測運用

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サッカーのプレス強度指標の作り方:自チームPPDA計測運用

相手のビルドアップに対して、うちのチームはどれだけ「素早く、多く」守備アクションで圧力をかけられているのか。これを数値化して、練習やゲームプランに結びつけるのが自チーム版PPDA(Passes allowed Per Defensive Action)の狙いです。本記事では、高校・大学・社会人・育成年代でも回せる現実的なルール設計から、データ収集、シート実装、解釈、運用までを一気通貫で解説します。難しい専門機材なし、映像とスプレッドシートがあれば今週末から始められます。

導入:なぜ自チーム版PPDAが強力な指標になるのか

プレス強度を数値化する意義とメリット

プレスの良し悪しは映像で直感的にわかりますが、試合ごとの比較や改善効果を確かめるには数字が必要です。PPDAは「相手に許したパス本数」を「自チームの守備アクション数」で割るシンプルな指標で、値が低いほどプレス強度が高い(多くアクションを起こし、相手のパスを抑えている)と解釈します。数値化することで次のメリットが得られます。

  • 試合間・期間比較が可能(トレーニングの効果検証)
  • ゲームプランの遵守度を定量化(ハイプレス実施の可視化)
  • 相手スタイル別の対応力を把握(ロングボール・3バック等)
  • 選手との共有が容易(指導の共通言語化)

自チーム版PPDAの目的と活用シーン

自チーム版の狙いは「現場で回せる運用」。公式配信のトラッキングがなくても、手動タグとシートで十分に運用できます。用途は主に以下です。

  • 週次レビュー:先週→今週のPPDA推移を確認
  • 対戦相手準備:相手のビルドアップに合わせた目標値設定
  • ハーフタイムモニタリング:仮集計でプレスの強度を修正
  • 練習設計:制約ゲーム(触球制限・方向制限)へのフィードバック

一般的なPPDAとの違いと本記事の前提

PPDAの定義にはバリエーションがあります。本記事では「フィールドの相手ゴール側60%(相手の自陣+中盤の一部)で発生した相手のパス数」を「同ゾーンでの自チームの守備アクション数」で割る実装を基本とします。細部は自チームの環境に合わせてカスタマイズ可能です。重要なのは、一度決めた基準をシーズン内で一貫して運用することです。

PPDAの定義と数式を正しく理解する

基本式:相手パス本数 ÷ 自チーム守備アクション数

自チームPPDA=(相手のパス本数)÷(自チームの守備アクション数)。値が低いほど強度が高いと解釈します。対象ゾーンやイベントの定義がブレると比較が崩れるため、以下のルールを採用します。

カウント対象(パス)の定義と除外条件

  • 対象:相手が足で意図的に味方へボールを送る行為が成功したもの(ヘディングも含む)。
  • 除外:クリア(明確な安全第一の蹴り出し)、オフサイドによる無効プレー、プレー停止中のボール移動。
  • ゴールキック・フリーキック・スローインからのパスは「プレー再開後の最初の成功パス」としてカウント。
  • GKの短い保持移動(足裏でのちょい動かし)などは非カウント。

カウント対象(守備アクション)の定義と除外条件

  • 対象:守備側の積極的行為(プレス・タックル・インターセプト・ブロック・奪取狙いのファウル)。
  • 「プレス」は接近して明確にボール保持者・パサーに圧をかけたもの。指差しやスライドのみは非対象。
  • 同一プレーでタックルとインターセプトが重なる場合は1カウントのみ(重複禁止)。
  • ゴール前のシュートブロックは、相手陣60%外であればカウント対象外。

ゾーニングの考え方:相手陣60%/自陣・中盤の扱い

ピッチをゴールラインからゴールラインへ0〜100%で定義し、相手ゴール側0〜60%を対象ゾーンとします。相手の自陣(0〜50%)+中盤手前(50〜60%)に当たります。高い位置のプレッシャーを評価するための設定で、ミドル/ローのブロックは別指標で補います。

ポゼッション判定:非保持時のみ集計するルール

集計対象は自チームが非保持の時間帯です。ボール奪取後の自チーム保持中に生じた相手のパス(奪い返し)は対象外。保持/非保持の切り替えは、明確なボールコントロールの獲得で判定します。

リスタート(GK、スロー、FK、CK)の取り扱い

  • ゴールキック・FK:キック自体も成功パスとして扱う。ただし明確なクリア目的のロングキックで、味方が触れずに相手が拾った場合はノーカウント。
  • スローイン:受け手が明確にコントロールしたら1パスとしてカウント。
  • CK:ショートコーナーはパスとしてカウント、直接クロスはパスカウント外。

サンプルプレーでのカウント例(テキストでの手順確認)

  • 例1:相手CB→相手SB→相手CM(3本成功)、間で自チームのプレス接近2回、SBでのインターセプト未遂1回(触れず)。パス3、守備アクション2。
  • 例2:相手GKゴールキック→相手CFが競り勝ち→相手WGへ落とし(2本成功)、落としに対してタックルでスローインに。パス2、守備アクション1。
  • 例3:相手CBのロングクリア→境界外で自チーム回収。クリアはパス非カウント、守備アクションなし。パス0、守備アクション0(母数外)。

ルール設計:自チームの現実に合わせるカスタマイズ

高校〜アマチュア環境で使えるシンプル版PPDA

  • 対象ゾーン:相手ゴール側0〜60%のみ。
  • 守備アクションの種類:プレス接近、タックル、インターセプト、ファウル(奪取狙い)。
  • リスタート:最初の成功パスをカウント。CKの直接クロスは除外。
  • 重複カウント防止:1プレー連続で複数発生しても1イベント1カウント。

映像やトラッキングがない場合の代替ルール

  • 現地観戦記録:ベンチ横で紙とストップウォッチ。15分帯で「相手パス数」「守備アクション数」のみを棒線集計。
  • 後日映像なし:試合ごとに観戦者2名の目視値を平均し、基準統一のための簡易マニュアルを事前配布。

バリエーション指標:OPPDA、PPDA-3rd、PPDA-再奪取

  • OPPDA(Own-half PPDA):自陣40%での相手パス/守備アクション。ロー/ミドルブロックの密度を測る。
  • PPDA-3rd:ハイ(0〜33%)、ミドル(34〜66%)、ロー(67〜100%)で別々に算出。
  • PPDA-再奪取:奪取から5秒以内に再奪取された場合の連鎖を別タグ化し、強度の持続性を評価。

キックオフ後の数分や退場時など特殊状況の扱い

  • 立ち上がり3分:サンプル偏りを避けるため「参考値」扱いにフラグ付け。
  • 退場時:人数差区間を別集計(10v11フラグ)。
  • 終盤の時間稼ぎ:相手のボール保持意図が薄い場合はメモに残し、レビュー時に解釈補正。

データ収集の実務フロー

試合映像の準備とタイムコード管理

  • 撮影はハーフライン高所固定が理想。全体の圧縮とライン間が見える位置。
  • 映像ファイル名に「対戦相手_日付_ハーフ_スコア」を含める。
  • タイムコードは00:00でキックオフに合わせ、ハーフ毎にリセット。

手動タグ付けの手順(逐次記録/バッチ記録)

  • 逐次記録:再生速度0.75〜1.0倍で、イベントごとにシートへ入力。精度が高い。
  • バッチ記録:先にパスのみ一気にタグ→次に守備アクション。速度重視だが整合性チェックが必須。

二重カウントと誤記録を防ぐ運用ルール

  • 1接触1アクション原則。タックル後に即時拾ってまたプレスは「連続1」。
  • 接触の有無で判定。接触なしの牽制は非カウント。
  • プレー停止直前のイベントは停止時刻で打ち切り。

担当者間の基準統一とトレーニング

  • 10クリップの練習セットを作成し、独立タグ→すり合わせ。
  • 定義表を常に開いた状態でタグ付け。迷ったらコメント欄に理由を記載。

インターレーター信頼性の測り方(合致率)

同一試合の同一区間で2名がタグ付けし、イベント一致率=一致数/(一致数+不一致数)で算出。80%を目安に、下回る場合は定義の明確化と再トレーニングを実施します。

試合メタ情報(対戦相手、スコア、天候、ピッチ)の記録

  • 必須:対戦相手、スコア、ホーム/アウェイ、フォーメーション、主審。
  • 推奨:気温、風、芝/土、ピッチサイズ、試合間隔。

計測の実装:シート/スクリプトで回す

Googleスプレッドシートの設計(入力→集計→可視化)

  • 入力シート:列(時刻、ハーフ、チーム、イベント種別、ゾーン%、リスタート種別、結果、備考)。
  • 集計シート:COUNTIFSでパス数と守備アクション数を算出、PPDAを計算。
  • 可視化シート:試合別、時間帯別、ゾーン別にグラフ化。

Excel/Sheetsの関数例(COUNTIFS、FILTER、QUERY)

  • 相手パス数:=COUNTIFS(チーム範囲,”相手”,イベント範囲,”パス”,ゾーン範囲,”<=60")
  • 守備アクション数:=COUNTIFS(チーム範囲,”自”,イベント範囲,”守備”,ゾーン範囲,”<=60")
  • PPDA:=IFERROR(相手パス数/守備アクション数,””)
  • 15分帯抽出:=COUNTIFS(時刻範囲,”>=0:00″,時刻範囲,”<=15:00", …)
  • QUERY例:=QUERY(入力!A:H,”select C,count(A) where B=’前半’ and E <= 60 group by C")

Python/Rの擬似コード(イベント→集計→エクスポート)

# Python擬似コードevents = load_csv("events.csv")passes = [e for e in events if e.team=="OPP" and e.type=="PASS" and e.zone_pct<=60 and e.success]def_actions = [e for e in events if e.team=="OWN" and e.type in ["PRESS","TACKLE","INT","FOUL"] and e.zone_pct<=60]ppda = len(passes) / len(def_actions) if len(def_actions) > 0 else Noneexport_csv({"ppda": ppda})

データ検証ルール(バリデーション、重複チェック)

  • データ入力規則でイベント種別をプルダウン化。
  • 同時刻・同選手・同イベントの重複を条件付き書式でハイライト。
  • ゾーン%は0〜100の範囲制限。

テンプレ入力例とチェックポイント

  • イベント例:00:45 前半 相手 パス 35% 成功 –
  • イベント例:00:47 前半 自 守備(プレス) 33% – –
  • チェック:守備アクションなしでパスが極端に多い区間はタグ漏れの疑い。

集計と可視化:意思決定のための切り口

チーム全体のPPDAと試合別推移

シーズン横断の折れ線グラフで推移を可視化。平均線と標準偏差帯を重ねると異常値の検出に役立ちます。

15分帯/ハーフ/クォーターでのタイムスライス

立ち上がり、飲水後、終盤など、文脈の違いを切り分け。特に前半15〜30分の変動はプレスの持続性を見る指標になります。

ゾーン別PPDA(高・中・低い位置)

0〜33%、34〜66%、67〜100%の3分割で集計。ハイゾーンでの強度と、ミドルでの遅らせのバランスを把握します。

リスタート起点別(GK/スロー/セットプレー)

ゴールキック起点のPPDAが高い(=強度低)場合は、相手のGK配球に対するトリガー設計を見直します。

相手のビルドアップ形・配置別の比較

4-3-3/3-4-2-1/2CB+GKの形など、相手配置のタグを用意して比較。数値差が最も大きい配置に対して、具体的な誘導パターンを練り直します。

自チームブロック高さ別(ハイ/ミドル/ロー)

試合内でブロック高さが変わる場合は、区間フラグを切って別集計。「守る/行く」の切り替えの妥当性検証に。

ダッシュボード化のポイント(色分け、閾値表示)

  • 色分け:チーム基準線より低いPPDAを緑、高いを赤に。
  • 閾値:ベースライン±10%で注意、±20%でアラート。
  • 注記欄:天候・退場・レフェリー傾向などのメモを表示。

ベンチマークと解釈:数字を戦術文脈に乗せる

リーグ/カテゴリー平均との比較の注意点

ピッチサイズ、審判傾向、試合強度、映像角度でPPDAは変わります。他チームとの単純比較は避け、まずは自チーム内の推移と相対位置で評価しましょう。

自チームの基準線(Baseline)とターゲット設定

  • 過去5試合の中央値を基準線に設定。
  • 次節ターゲットは基準線−10%(高強度化)。
  • 達成/未達の要因を映像で確認し、練習の制約条件に反映。

目安となる閾値とクラス分け(低いほど強度高)

  • 緑(強):基準線−15%以下
  • 黄(標準):±15%以内
  • 赤(弱):基準線+15%以上

コンテクスト調整(スコア状況、天候、日程、相手格)

リード時はPPDAが高め(=強度低)になりやすく、ビハインド時は低くなりがち。風雨や連戦も補正要因です。スコアリングラインと並べて読むと誤解を防げます。

ホーム/アウェイやピッチ環境の影響

芝の長さや土グラウンドはボール速度に影響し、パス本数を左右します。会場別の集計を持っておくと戦前の目標設定が現実的になります。

運用:練習・試合・スカウティングへの落とし込み

練習設計へのフィードバック(制約ゲーム/トリガー学習)

  • 3対2+GKの出口制限ゲームで「プレス開始トリガー(横パス/背向き受け)」を明確化。
  • 5秒ルール導入(ボールが縦に入ったら5秒で奪い切る)。PPDA-再奪取と連動。
  • ゾーン限定プレスゲーム(相手自陣60%にコーチングライン)。

ハーフタイムでの簡易モニタリング運用

  • 前半の「相手パス数」と「守備アクション数」だけ仮集計→PPDA目安を共有。
  • 目標から±20%以上の乖離があれば、1stラインの開始位置とトリガーの再確認。

交代・配置変更の判断材料としての使い方

ハイゾーンPPDAが悪化しているとき、1stラインの走力・反復ダッシュ数を基に交代を検討。逆にミドルで守る戦略に切り替えるなら、OPPDAの低下(=密度維持)を狙います。

相手分析とゲームプランの数値ターゲット化

相手が3バック+GKのビルドアップで短いパスを多用するなら、前線4枚での圧縮を徹底し「前半PPDAを基準線−10%」など具体的目標を設定します。

週次サイクル(試合→分析→練習→再評価)の回し方

  • 日曜:試合→映像整理→粗集計
  • 月曜:コーチ間レビュー→課題抽出→練習メニュー化
  • 火〜木:制約ゲーム実施→ミニゲームでトリガー反復
  • 金曜:最終確認→数値目標共有
  • 土曜:試合→ハーフタイム仮集計

PPDAの限界と補完指標

PPDAで捉えきれない「質」の部分(方向づけ/奪取結果)

PPDAは量の指標です。相手を外へ追い込む方向づけや、奪った後の前進の質はそのままでは表せません。映像と併用して意味づけしましょう。

補完指標の例(奪取位置、ショット抑制、xThreat回収)

  • 奪取位置の平均距離(自陣ゴールからのm):ハイプレスの効き具合。
  • 被シュート数/枠内率:プレスの抑止効果。
  • 脅威回収(危険地帯への侵入阻止数):方向づけの成功度。

映像レビューとタグの合わせ技

PPDAが低いのに奪い切れていない場合、2ndラインの距離や背後ケアを映像で確認。タグのコメント欄に「遅れ要因」を短語で残すと、次回の練習設計が早くなります。

セットプレーやトランジションの分離分析

セットプレーは構造が異なるためPPDAから分離。ネガトラ(失った直後)区間は別タグで「5秒間の守備アクション密度」を見ると意味が明確になります。

ケーススタディ:タイプ別の読み解き方

ハイプレス志向チームの週次運用例

  • 週の狙い:前半ハイゾーンPPDAを基準線−12%に。
  • 練習:GK含む相手の3人目パスに合わせたトリガー設定。
  • 結果:前半は改善、後半悪化→交代とブロック高さの再設計へ。

ロー/ミドルブロック採用時のPPDAの読み替え

意図的に撤退している場合、PPDAは上がりやすい(=弱く見える)。その際はOPPDAや被PA進入数などの補完指標で「守るべき場所を守れたか」を確認しましょう。

育成年代での段階的導入(U-15/U-18の現実に合わせる)

  • U-15:イベント種類を絞る(パス/プレス/タックルのみ)。
  • U-18:ゾーン%タグを導入し、3rd別PPDAへ拡張。
  • 学期末に基準線を更新し、成長を可視化。

相手の戦術変更(5バック化/ロングボール化)への対応

5バック化でサイドレーンに数的優位ができるとPPDAが悪化しがち。誘導先を中央へ変えるか、2ndラインの幅を狭める判断が必要。ロングボール化には、クリアとパスの判定基準を一貫させつつ、回収率やセカンドボールの位置情報も併記すると解釈が安定します。

よくある落とし穴と対策

パス定義のブレ(短いワンツー、バックパスの扱い)

極短距離のワンツーも意図的で成功ならパスとしてカウント。バックパスは方向ではなく意図と成功で判定します。

守備アクションの重複カウント(タックル+インターセプト)

1プレー1カウント原則。優先順位ルール(奪取>タックル>プレス)を決めて運用しましょう。

ファウルの扱いとアドバンテージ時の判断

奪取を狙ったファウルのみカウント。アドバンテージ適用時はファウル記録+継続プレーのパスも通常通りカウントします。

タッチライン際/ロングボール局面の基準

サイドでの密集は守備アクションが多発。明確な球際接触を条件にして過度なカウント増を防ぎます。ロングボールは「明確な狙いのある配球」か「クリア」かのメモを残して後日統一判断。

小サンプル問題と分散の大きさへの対処

1試合単体のPPDAは揺れます。移動平均(直近3〜5試合)でトレンドを見て、意思決定は複数指標の合意に基づいて行いましょう。

FAQ:現場からの質問に答える

PPDAが低いのに奪えないのはなぜ?

量は足りていても、方向づけや2nd/3rdマンの連動が弱いと奪取に至りません。奪取位置と被前進(ライン間通過数)を併記して質を確認しましょう。

ロングボール主体の相手に対してのPPDA解釈

相手パス自体が少なくなるため、PPDAは不安定。セカンドボール回収率や自陣侵入回数を補助指標に使うと安定します。

個人プレッサーの評価とチーム指標の両立

個人のプレス回数/成功誘導(相手の後退・外回り)を別タグで持ち、チームPPDAと重ねて評価します。

練習試合や短縮試合での扱い

分母が小さくなるため、15分帯のPPDAやイベント密度(分あたり守備アクション)で比較するのがおすすめです。

PPDAと失点/勝敗の関係についての考え方

関連は文脈依存です。PPDA単独では勝敗を説明しきれないため、被シュートや奪取位置、スコア状況と合わせて解釈しましょう。

実務テンプレートと導入ロードマップ

用語集(パス/守備アクション/ゾーン/保持/非保持)

  • パス:意図的な味方へのボール移動が成功したもの。
  • 守備アクション:プレス、タックル、インターセプト、ブロック、奪取狙いのファウル。
  • ゾーン%:相手ゴールからの距離を0〜100%で表現。
  • 保持/非保持:明確なボールコントロールの獲得で切り替え。

現場チェックリスト(試合前/中/後)

  • 試合前:撮影位置確認、シートのドロップダウン更新、相手配置の事前仮タグ。
  • 試合中:時刻同期、イベントの簡易メモ、特殊状況フラグ。
  • 試合後:タグの整合性チェック、二重カウント検出、要因メモの整理。

14日で立ち上げる導入ステップ

  • Day1-3:定義決定、テンプレ作成、担当者練習(10クリップ)。
  • Day4-7:練習試合で試験運用、基準修正。
  • Day8-10:自動集計シート作成、可視化ダッシュボード整備。
  • Day11-14:公式戦で本運用、週次レビューのルーチン化。

次の一手:スカウティング連携と自動化への拡張

  • 相手の構造タグ(3バック/2CB+GKなど)の共通語彙化。
  • スクリプトでCSV自動結合→クラブ共通DB化。
  • 映像のキーワードジャンプ(PPDA悪化区間の自動プレイリスト生成)。

まとめ:数えるから、改善できる。PPDAを現場の言語に

自チーム版PPDAは、相手に許したパス本数と自チームの守備アクション数を軸に、プレスの強度を「見える化」します。重要なのは、定義をブレさせず一貫して回すこと。そして、PPDAという量の指標に、奪取位置や被前進、映像の質的レビューを重ねることです。週次で基準線と目標を共有し、練習の制約やトリガーに落とせば、チームの守備は「なんとなく良い」から「狙って良い」へ。今日から小さく始めて、次の試合で数字と内容のつながりを体感してください。

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