トップ » 用具 » サッカーレガース選び方・サイズ、失敗しない計測術

サッカーレガース選び方・サイズ、失敗しない計測術

カテゴリ:

サッカーレガース選び方・サイズ、失敗しない計測術

レガース(すね当て)は、実力を安心して発揮するための最低限の防具です。小さすぎれば守れず、大きすぎれば動きを邪魔します。この記事では、失敗しないサイズ計測の手順から、体型・年齢別の指針、タイプや素材の違い、ズレない固定術、通販での見極め方、メンテと買い替えの目安まで、実戦で使えるポイントをまとめました。難しい専門用語は避け、家でそのまま実行できる具体策に落とし込んでいます。

レガースの基本と役割を正しく理解する

レガースが守る部位と受ける衝撃の種類

レガースが守るのは主に「脛骨(すねの骨)」です。サッカーでは以下の衝撃が頻発します。

  • 接触衝撃:タックルやクリア時の足同士の接触
  • 点の衝撃:スパイクのスタッドが一点に集中して当たる打撃
  • ボール衝撃:至近距離のシュート・クリアによる面圧
  • 繰り返し摩擦:ソックスやスリーブとの擦れによる肌ストレス

理想のレガースは、硬いシェルで「貫通」を防ぎ、内側のフォームで「減速」させ、形状で衝撃を「拡散」します。

試合で求められる最低条件と装着の基本

多くの大会はサッカー競技規則(IFAB)に準拠し、レガース着用を必須としています。要点は次の通りです。

  • ソックスで完全に覆うこと(見えないように装着)
  • 素材はゴム・プラスチック等の「適切な素材」で合理的な保護性を持つもの
  • 外側に巻くテープ等は、当てているソックスのその部分と同色であることが求められる大会が多い

装着時は、膝下端から足首上端の間をバランス良くカバーし、内外くるぶしには干渉しない位置に。ソックスやスリーブで密着させ、上下や回転のズレを抑えます。

よくある誤解とリスクの整理

  • 「小さい方が動きやすい」→動きやすくても、打点がズレると無防備。最低限のカバー範囲は必要。
  • 「重い=守れる」→単に重いだけでは意味がありません。剛性・拡散性・吸収性のバランスが重要。
  • 「固定が強ければ良い」→締めすぎは痺れやパフォーマンス低下の原因。適正圧で。

失敗しないサイズ計測の全手順

用意するもの(メジャー・ペン・メモ・鏡)

柔らかいメジャー、ペン、メモ(スマホでもOK)、全身が映る鏡(姿勢チェック用)を用意します。測定は片足ずつ、左右差も記録しましょう。

すね(脛骨)の長さを測るステップ

  1. 椅子に座り、膝と足首を90度に曲げる。
  2. 膝のお皿(膝蓋骨)の下端を起点に、内外くるぶしの上端を終点とする直線距離を測る。
  3. 左右両方を測定。ミリ単位まで記録。

目安

レガースの「有効カバー長」は、この距離の約60〜75%が目安。膝・足首の可動を妨げず、打点の中心を覆えます。

ふくらはぎ周径と厚みの測り方

  1. 立位でふくらはぎの最も太い位置を測る(周径)。
  2. 普段のソックスの厚み(薄手/中厚/厚手)をメモ。冬は重ね履きの有無も。
  3. 骨ばりや筋張りが強い人は、すねの骨の出っ張り(脛骨稜)の感触も確認。

ポイント

周径が大きいほど、厚手のフォームやカーブの強いモデルがフィットしやすくなります。

膝下端〜足首上端の基準線の取り方

膝下端と足首上端を軽くペンで印を付け、鏡で真っ直ぐのライン上にあるか確認。レガースの上端と下端がこの印から5〜20mm内側に収まる長さを狙います。

測定値からサイズに落とし込む方法

  • すね長×0.6〜0.75=レガースのシェル長の目安
  • ふくらはぎ周径が大きい→カーブ強め・幅広め・厚めフォームのモデル
  • 細身→薄めフォーム・スリップイン+スリーブで密着度を上げる

メーカー表記は「身長基準」「すね長基準」の2系統があるので、必ず実寸(シェル長・幅)と突き合わせて決めましょう。

体型・年齢別サイズ選びの指針

標準体型の目安値と許容範囲

標準体型なら、すね長の65〜70%程度のシェル長が多くの場面で扱いやすいです。上下の関節に干渉しないこと、中央の打点がカバーできることを優先。

筋肉質・細身でのサイズ微調整

  • 筋肉質:幅広め・強カーブ、EVA厚めの内装が安定。ストラップ式やスリーブ併用で浮きを防止。
  • 細身:シェルは長さ優先、幅は狭め。ゲルや薄めEVA+スリーブで面密着を作る。

成長期(ジュニア〜高校生)の余裕設定

成長が早い時期は、現状のすね長70%前後に加え、上下10mm程度の余裕を見込み、固定で微調整しましょう。大きすぎる飛び級サイズは動きを阻害しやすいので避けます。

小柄な成人・女性向けの注意点

身長基準だけで選ぶと合わないことが多いので、必ず「すね長基準」を優先。女性はふくらはぎの形が前後に張る傾向があり、カーブ形状の合致が快適性に直結します。

タイプ別レガース比較と適性

スリップイン(差し込み式)のメリット・デメリット

  • メリット:軽量・可動性が高い・通気性良好・ソックスがすっきり
  • デメリット:ズレや回転のリスク・固定に一工夫が必要

アンクルガード一体型の安心感と運動性

  • メリット:くるぶし周りの安心感・初心者や接触多い環境で有効
  • デメリット:重量増・可動域の感覚がやや制限される

ストラップ固定式ハードシェルのホールド性

  • メリット:個別に締め調整でき、ズレに強い
  • デメリット:当たりが出やすい・テープ色規定に注意が必要な場合も

ソックスタイプ・スリーブ併用の快適性

専用スリーブは面圧を均等にし、擦れや回転を低減。汗で滑る時期にも有効です。

左右非対称・カーブ形状のフィット差

左右非対称設計は骨の形に沿いやすく、薄くても保護力を引き出せます。カーブが強いほど密着は上がりますが、合わないと圧迫点が出やすいので試着が重要です。

素材と構造で変わる保護力・軽さ・快適性

プラスチック系(PP/PE)の特性

コストバランスが良く、十分な保護力。重量は中程度で、入門〜中級に広く適合。

カーボン/グラスファイバーの剛性と軽量性

高剛性・軽量で点の衝撃に強い傾向。価格は高く、薄くても保護力を確保しやすい一方、当たりの硬さは増しがちです。

EVAフォーム/ゲルの衝撃吸収と肌当たり

EVAフォームは軽くて反発と吸収のバランスが良い。ゲルは点圧を和らげ、骨ばった人に快適。多層構造で衝撃減衰を段階処理するモデルもあります。

通気孔・ライナー・縁処理の快適性への影響

通気孔は蒸れ低減に有効。ライナーの肌触りや抗菌加工、縁の丸み(バリ取り)で擦れを抑制します。

ポジション・プレースタイル別の選び方

センターバック/ディフェンダーの基準

接触頻度が高いため、シェル剛性とカバー面積を優先。アンクルガード一体型や厚めフォームが安心です。

サイドバック/ウイングの運動量と軽量性

走行距離が長いので軽量・薄型+スリーブ併用でストレス減。回転対策は必須。

ミッドフィルダーのバランス設計

攻守で接触と運動量が混在。中厚フォームのスリップイン+スリーブで総合バランスを狙うと扱いやすいです。

フォワードの加速と被タックル対策

加速と一瞬の接触に備え、軽量シェル+ゲル/EVAの点圧対策が有効。長さはやや短めで可動性を優先すると良い場面も。

GKに求められる可動性と接触対策

飛び出し時の接触は限定的だが、キックや倒れ込みでの当たりに備え、動きを妨げない薄型〜中厚の安定モデルが無難です。

フィット感を決めるチェックリスト

カバー範囲(膝下〜足首上)の適合

  • 上端:膝下端より5〜20mm下
  • 下端:足首上端より5〜20mm上
  • 中央:すねの中心線上にシェルの中心

上下ズレ・回転の有無を確認する方法

その場ジャンプ、クイックステップ、インサイド・アウトサイドのタッチを10回ずつ。ズレが1cm以上なら固定見直し。

当たり・圧迫・擦れの判定ポイント

  • 骨の出っ張りに痛点がないか
  • 縁が皮膚に食い込まないか
  • 着用10分後の発赤(赤み)が継続しないか

ソックスとの相性と厚みの調整

薄手ソックス+スリーブ=軽快、厚手ソックス=安定。季節で厚みが変わるなら、固定方法も併せて調整しましょう。

ズレ・回転を防ぐ固定術

スリーブ(コンプレッション)の選び方

ふくらはぎ周径に対して「ややきつめ」を選ぶと、汗をかいても保持力が落ちにくいです。縫い目が当たらない裏地処理もチェック。

テーピング・ラップの正しい巻き方

  1. レガース下端の3〜4cm上を一周(ソックスの上)
  2. 上端の3〜4cm下を一周
  3. 必要に応じて斜めに「X」を作り回転を抑制

大会によってはテープ色がソックス同色であることが求められるので事前確認を。

ストラップの締め加減と痛み回避

指1本が入る程度の余裕が目安。局所的な食い込みを避けるため、ストラップ幅は広めが安定します。

試合規則に適合しやすい固定のコツ

外から見える固定具はソックスと同色に。装飾や硬質パーツが外面に露出しないよう注意しましょう。

メーカーのサイズ表を読み解く

身長基準とすね長基準の違い

身長基準は手早いが個体差が出やすいです。すね長基準は精度が高く、同じ身長でも脚の長さが違う人に有効。

メーカー間の表記差と実寸の取り方

同じ「M」でもシェル長が異なることは珍しくありません。必ず「シェル長(上端〜下端)」「最大幅」「厚み(フォーム含む)」の実寸値を確認しましょう。

海外サイズ換算で起こりがちなズレ

海外モデルは幅が狭め・カーブ強めの傾向も。ふくらはぎ周径が大きい場合は1サイズ上か、幅広設計を選ぶとフィットしやすいです。

返品・交換時に活きる記録の残し方

  • 到着時の実測値(長さ・幅・厚み)をメモ
  • 試着画像(正面・側面)を保管
  • ズレ量や痛点の位置を図で記録

通販で失敗しない購入術

商品ページで確認すべき写真と数値

  • 平置きの全長と幅の実測表記
  • 内側フォームの厚み・素材
  • カーブ角度が分かる側面写真

素材・重量・厚みの読み取り方

「PP/PE=標準」「グラス/カーボン=軽量高剛性」「EVA/ゲル=吸収重視」と理解し、合計重量(片足グラム)を指標に。100g前後を超えると重さを感じやすくなります。

レビューの活用術(信頼度の見極め)

  • 体型情報(身長・体重・ふくらはぎ周径)の記載があるか
  • 具体的な実測比較があるか
  • 極端に短文・抽象的な評価ばかりは参考度低め

到着後の初回試着ルーティン

  1. 実測(長さ・幅・厚み)を記録
  2. ソックス・スリーブを含めて装着
  3. ジャンプ・方向転換・ボールタッチでズレ確認
  4. 痛点が出たら位置をメモ、交換検討

よくある失敗と対処法

痛点(当たり)が出る時の見直し箇所

  • 縁が当たる→縁が丸いモデル、薄手スリーブで緩衝
  • 骨に点圧→ゲル/EVA厚め、カーブ強めを選ぶ
  • ストラップ食い込み→幅広・低伸縮のものに変更

ずり落ち・回転を起こす要因と対策

  • サイズ過小→長さを1段上げる、幅広モデルに
  • 汗で滑る→スリーブ+上下面テープでX固定
  • ソックス伸び→新しめor締めの強いものへ

重さ・通気性・蒸れのバランス調整

夏は通気孔と薄手フォーム、冬は中厚フォームと保温ソックスで快適性を調整。重量は片足80〜120gに収めると違和感が少ない傾向です。

匂い・衛生面のトラブルシュート

  • 使用後は速乾(陰干し)・除菌スプレー
  • ライナー取り外し可なら洗浄頻度を上げる
  • 汗冷え・雑菌対策に吸汗速乾スリーブを併用

メンテナンスと買い替えタイミング

洗浄・乾燥・除菌の基本手順

  1. 汗と泥を水拭き→中性洗剤で優しく手洗い
  2. タオルドライ→風通しの良い日陰で完全乾燥
  3. 保管前に消臭・抗菌スプレーでケア

フォームのへたり・割れの見分け方

押して戻りが遅い、部分的な凹みが残る、シェルの微細なヒビや白化(応力痕)が出たら性能低下のサインです。

保管環境と変形防止のコツ

高温多湿や直射日光を避け、重い物を上に置かない。ソックスに入れっぱなしは変形・臭いの原因に。

買い替えサインと目安期間

ヒビ・欠け・エッジの尖り・フォームの劣化・固定してもズレるなどが出たら即交換。使用頻度や接触強度によりますが、違和感が出始めたら早めの見直しが安全です。

予算とコスパ:価格帯別の選択戦略

エントリー〜ミドルの使い分け

エントリーは練習用・予備に最適。ミドルは試合まで対応する汎用性があり、まずはここを基準に。

ハイエンド(カーボン等)の投資価値

軽量・高剛性・薄型でフィットに優れやすく、長時間の快適性やキレを求める人に有効。フィットが合えば高い満足度が期待できます。

耐久性と保証・サポートの比較

保証の有無、交換対応、消耗部品(ストラップ等)の単品購入可否は総コストに直結します。長く使うなら重要です。

シーズン開始前の賢い購入タイミング

新モデル前後は型落ちが狙い目。チーム練習が本格化する前に試着・慣らしを済ませておくと安心です。

自宅で使える計測テンプレート

記録フォーマット(すね長/周径/ソックス厚)

【左】すね長:___mm / ふくらはぎ周径:___mm / ソックス:薄・中・厚【右】すね長:___mm / ふくらはぎ周径:___mm / ソックス:薄・中・厚目標シェル長(すね長×0.6〜0.75):左___mm / 右___mm  

フィット評価のスコア化

  • カバー範囲(0〜5)
  • ズレ・回転(0〜5)
  • 当たり・圧迫(0〜5)
  • 通気・快適(0〜5)

合計20点満点で16点以上なら実戦投入ラインの目安に。

次回購入に活かす更新ルール

季節ごと(春夏/秋冬)に記録を更新。不満点は「原因→対策→候補素材/形状」でメモすると、次回の選定が速くなります。

FAQ:装着ルール・現場の疑問

ソックスの上か下か、固定テープはどうする?

レガースはソックスの下に装着し、ソックスで完全に覆います。外側に見えるテープは、ソックスのその部分と同色が求められる大会が多いです。

冬場の重ね履きとサイズ調整

厚手ソックスや重ね履きで容積が増えます。スリーブのサイズを一段上げる、テープ位置を増やすなどで安定させましょう。

肌トラブル(擦れ・かぶれ)の予防策

乾いた肌に装着し、汗で濡れたら早めに交換。スリーブで直当たりを避け、洗浄・乾燥を徹底します。違和感が続く場合は使用を中止し、肌を休めてください。

子どもと大人の共用は可能か

物理的には可能でも、サイズや衛生面で非推奨。特に成長期は専用サイズを用意する方が安全です。

公式戦とトレーニングでの使い分け

練習は軽量・通気重視、公式戦は保護・安定重視という使い分けが現実的。いずれも規則に適合するモデルを選びましょう。

まとめ

レガース選びは「正しい計測」と「目的に合った設計」の二本柱で決まります。すね長を基準にシェル長を決め、体型やソックス厚に合わせてカーブ・幅・フォームを選ぶ。タイプや素材でプレー感は大きく変わるので、ポジションや好みも織り込みましょう。最後は固定術と試着テストで微調整。記録を残しておけば、次回の買い替えはもっと速く、もっと正確になります。あなたのプレーを守り、伸ばしてくれる一枚に出会ってください。

サッカーIQを育む

RSS