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サッカー中学生の試合時間と交代ルール、大会別の違いまで

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サッカー中学生の試合時間と交代ルール、大会別の違いまで

サッカー中学生の試合時間と交代ルール、大会別の違いまで

「今日は何分ハーフ?」「交代は再出場できる?」――この2つを試合前に言い切れるかで、ゲームプランも選手の安全も大きく変わります。この記事は、中学生年代のサッカーにおける試合時間と交代ルールを、国内の大会運用の傾向から実務のチェックポイントまで、迷わず使える形で整理したものです。結論はシンプル。「一般則」と「大会要項」と「当日の確認」を三段で押さえれば、準備の精度は一気に上がります。

導入:なぜ「試合時間」と「交代ルール」を先に押さえるべきか

勝敗だけでなく育成計画と安全管理に直結する理由

試合時間は、走行量・強度の設定、交代のタイミング、補食や水分計画を左右します。交代ルールは、選手の起用配分、ポジションローテ、負傷リスクの抑制に直結します。特に中学生年代は、成長の個人差が大きく、同じチームでもU-13とU-15で適切なペース配分は変わります。ルールの把握は勝敗だけでなく、育成と安全の土台づくりです。

誤解しやすいポイントとこの記事の活用法

  • 「中学生=◯◯分ハーフで固定」という誤解:実際は大会・地域で幅があります。
  • 「どこでも自由交代」ではない:再出場不可の大会も珍しくありません。
  • 延長・PK・飲水タイムは、同じカテゴリーでも大会別に運用が変わります。

この記事では、一般的な傾向と「大会要項で最終確定する点」を分けて説明します。最後にチェックリストを付けていますので、当日の確認にそのままご活用ください。

基礎知識:競技規則と年代別特例の関係

IFAB競技規則とJFAの少年用特別規定の位置づけ

サッカーの基本ルールはIFAB(国際サッカー評議会)の競技規則に基づきます。IFABはユース年代に限り「競技時間・交代人数などを大会主催者が調整できる」範囲を認めています。日本ではJFA(日本サッカー協会)がこの枠組みに沿って、少年・ユース向けの特別規定や運用ガイドを整備し、各大会要項で具体化されます。

主催団体・地域・大会要項が最終的なルールを決める仕組み

同じ中学生年代でも、主催が「中体連(学校)」か「クラブユース(クラブ)」か、全国・地域・都道府県のどのステージかで、時間や交代の細部が変わります。最終的なルールは各大会の「大会要項」に明記され、当日の主審・運営で最終確認されます。

「一般的な傾向」と「大会別ルール」の違いを区別する

  • 一般的な傾向:多くの地域・大会で見られる時間設定・交代方針。
  • 大会別ルール:その大会だけの上限人数、再出場の可否、延長の有無など。

まず傾向で全体像を掴み、最後は大会要項で確定、当日に審判と擦り合わせる。この順が実務的です。

中学生年代の試合時間:基本とバリエーション

学年別(U-13/U-14/U-15)の一般的な試合時間の目安

  • U-13:前後半各25〜30分の設定が多い。
  • U-14:前後半各30〜35分の設定が多い。
  • U-15:前後半各35分が広く見られ、上位大会では40分が採用されることもある。

上は目安です。地域・大会の方針や連戦数、暑熱対策で短縮される場合もあります。

前後半・ハーフタイム・アディショナルタイムの扱い

  • ハーフタイムは概ね10分前後。会場使用制限や連戦時は短縮されることがあります。
  • アディショナルタイムは負傷・交代・時間の浪費・VAR相当(導入大会は限定的)などを考慮し審判が決定。中学生年代でも基本の考え方は同じです。

延長戦の有無と採用されるケース(決勝・トーナメントなど)

リーグ戦では延長なしが一般的。トーナメントや決勝では、延長戦(各5〜10分など)を設ける大会もあります。時間は大会要項に明記され、暑熱・雷雨などでカットされる場合もあります。

PK方式の実施タイミングと進行の基本

  • 延長後でも勝敗が決しない場合、または延長を行わない大会では、PK方式で決着。
  • キッカーはフィールド終了時点の競技者から選出。人数は両チームで同数に調整します。
  • 蹴る順番は主審のコイントスで決定し、通常はABAB方式。ABBA方式は一部の試行に限られ、一般的ではありません。

夏季の飲水タイム/クーリングブレイクの考え方

  • 飲水タイム:各半分の中盤に短時間(目安1分前後)。プレー再開はドロップボールやスローインなど、その時の状況に応じます。
  • クーリングブレイク:高温多湿時に設ける長めの休止(目安3分前後)。
  • 実施の可否や回数は、気象状況・WBGT値等を参考に主審が判断し、両ベンチと共有されます。

大会の連戦スケジュールが試合時間に与える影響

大会期間中に連戦が続く場合、競技者保護の観点から、試合時間の短縮やハーフタイム短縮、延長省略の運用が採られることがあります。大会要項や当日の通達で確認しましょう。

中学生年代の交代ルール:必ず押さえたい基本

交代人数の上限と再出場(リエントリー)の可否

  • 交代人数:ユース年代では「多めに設定」されるのが一般的。上限は大会要項に記載され、5人・7人・自由交代など幅があります。
  • 再出場(リエントリー):リーグ戦やトレーニングマッチでは再出場可が広く見られますが、全国系や決勝トーナメントでは不可の運用が多いです。

交代回数・交代ウィンドウ制の有無と運用例

試合の中断を減らすため、「3回(ハーフタイム除く)の交代ウィンドウ」などを定める大会があります。自由交代制でも「ウィンドウ内でまとめて交代」を求める運用があり、当日の打合せで確認が必要です。

GK交代・負傷時の交代・一時的退場に関する扱い

  • GK交代:GKの交代は通常の交代と同様に申請します。フィールド選手がGKになる場合は、ユニフォーム・背番号・主審への申告が必要です。
  • 負傷時:明らかな負傷・脳振盪の疑いがある場合は安全最優先。交代枠外の追加交代(脳振盪代替)が採用される大会もありますが、実施の有無は大会要項で必ず確認してください。
  • 一時的退場(シンビン):国内公式戦では一般的ではありません。採用の有無は大会要項に従います。

ベンチ入り人数・メンバー提出・背番号の運用ポイント

  • ベンチ入り人数:大会により上限が異なります(例:16〜20名程度など)。
  • メンバー提出:試合開始前に所定の様式で提出。スタメン・交代要員・スタッフを明記します。
  • 背番号:登録番号固定を求める大会もあれば、試合ごとの変更可の大会もあります。

警告・退場が交代と試合運営に与える影響

  • 退場(レッドカード):当該選手は再出場不可。チームは一人少ない状態でプレー継続。
  • PK方式の人数調整:PKに進む際は、人数の多い側が少ない側に合わせて人数を減らします。
  • 累積警告・出場停止:大会によって基準が異なるため、要項の制裁規定を確認しましょう。

大会別の違い:主な主催・カテゴリーごとの傾向

中体連(中学校総体・地区予選・新人戦)の傾向と注意点

  • 時間設定:地区〜都道府県レベルでは短めの設定が見られることがあります。
  • 交代:再出場不可の運用が採られるケースがあり、試合展開の見極めが重要。
  • 連戦:期間集中型で連戦になりやすく、飲水・回復計画が鍵。

クラブユース(リーグ戦・クラブユース選手権 U-15)の傾向

  • 時間設定:U-13は短め、U-15はやや長めの傾向。
  • 交代:リーグ戦では自由交代や再出場可の大会が多め。選手起用の幅が広がります。
  • 大会フェーズ:予選と決勝トーナメントで延長・交代規定が変わることがあります。

高円宮杯 JFA U-15サッカーリーグ/全日本U-15の傾向

  • 時間設定:U-15として比較的長めの設定が採用されることがあります。
  • 交代・延長:上位ラウンドは再出場不可・延長あり(または延長なしでPK)など、フェーズごとに差が出やすい領域。

上記はいずれも「一般的な傾向」であり、実際の運用は大会要項で必ず確認してください。

都道府県・地域リーグ(U-13/U-14/U-15)の違い

  • 地域差:気候・会場事情・参加チーム数により、時間・交代・飲水の運用に違いが出ます。
  • 登録:通年リーグでは背番号固定やベンチ入り上限が細かく定義されることがあります。

トレーニングマッチ(TM)・練習試合での自由交代と合意形成

  • 自由交代・再出場可が一般的。ただし「何回でも良い」は混乱の元。ハーフごとの入替やウィンドウ制など事前合意が安心です。
  • 試合時間も柔軟に設定可能。負荷管理の目的に合わせて組み立てましょう。

フットサルや8人制など形式が異なる大会の特例に触れる

フットサルや8人制では、時間や交代の考え方が大きく異なります(交代エリアからのフライング交代等)。名称が似ていても別競技の扱いになるため、必ずその競技の要項・規則を参照してください。

シーン別ルール運用:季節・会場・試合展開で変わること

猛暑時のタイムアウト/時間短縮の判断基準と実際

  • 飲水・クーリングの実施、ハーフの短縮、延長カットなど、安全優先の運用が行われます。
  • 開始前ミーティングで主審と両チームが共通認識を持つことが重要。

悪天候・ピッチコンディションによる中断・再開・打切り

  • 雷鳴・落雷の恐れがある場合はただちに中断。再開可否は安全を最優先。
  • 打切り・再試合・再開時刻は大会要項と当日の運営判断に従います。

ナイターや会場使用制限が与える時間管理の工夫

  • キックオフの遅延やハーフタイム短縮、アディショナルタイムの最小化など、実務的な調整が行われる場合があります。
  • 交代はウィンドウでまとめる、ボールパーソンの配置確認など、運営と連携を。

大量得点差・長距離遠征・連戦時の交代活用

  • 目的を切り替え、経験配分・負荷分散・ポジション学習の機会に。
  • 勝敗が決した終盤は、次の試合に備えた温存や交代での怪我予防も選択肢。

戦術と育成に効く交代の設計図

試合時間に応じたゲームプラン(前半主導/後半勝負の配分)

  • 短め(25〜30分ハーフ):序盤から圧、前半で主導権。ハイプレスは交代前提で。
  • 中間(35分ハーフ):強度の波を作る。給水後にギアを上げる「山」を作る。
  • 長め(40分ハーフ):ボール保持と休息の両立。ポジショナルで消耗を抑える。

交代で変えるべき3要素:強度・役割・リズム

  • 強度:走力・デュエル強度の刷新で相手の疲労帯を突く。
  • 役割:同ポジション内でもタスクを変え、相手のスカウティングを外す。
  • リズム:テンポの変化(保持→直撃、外→中)で局面をリセット。

交代カードの優先順位(得点状況・相手傾向・選手状態)

  • リード時:後方の安定、前線はプレス初動を維持できる選手を。
  • ビハインド時:最終ラインの配球力・前線の裏抜け・セットプレー要員を優先。
  • イーブン時:相手の強度が落ちる時間帯にスプリント力のある選手で間延びを突く。

育成視点の起用:経験配分・ポジションローテ・成長課題

  • 経験配分:リーグ戦では20〜30分のターゲット出場時間を設けると個人の目標化が容易。
  • ローテ:異なる役割を学ぶためのスモールステップ(例:SB→IH→SH)。
  • 成長課題:交代指示を「1つの行動目標」に絞ると学習効果が高まります。

主将・GKの交代とチームマネジメント

  • 主将交代:腕章の引き継ぎを事前に決めておく(副将→第3キャプテン)。
  • GK:負傷・疲労時の早めの判断。PKが見込まれる終盤の選択は事前合意を。

コンディショニングと安全:時間設定に合わせた準備

試合時間別のペース配分とエネルギーマネジメント

  • 30分ハーフ:前半20分以降の集中低下ゾーンを想定し、声かけ・シンプルな選択を。
  • 35〜40分ハーフ:炭水化物の事前補給、ハーフでの補食(少量のジェルやバナナ等)を計画。

水分・電解質・補食のタイミングと量の目安

  • キックオフ60〜90分前:軽食+水分。
  • ハーフタイム:水分・電解質を中心に必要に応じて少量の糖質。
  • 高温時:飲水タイムでの少量頻回の摂取を徹底。

交代を前提にした負荷管理(RPE・心拍・走行距離)

  • 主観的運動強度(RPE)でゾーン管理し、ターゲットRPEを超えた選手から交代。
  • GPSがなくても、スプリント回数と戻りの遅れで疲労兆候を拾う。

熱中症・痙攣・脳振盪が疑われる場合の対応の基本

  • 熱中症:涼しい場所へ移動、ウェアを緩め、冷却・水分補給。改善しなければ医療機関へ。
  • 痙攣:安全確保・ストレッチ・水分電解質の補給。再発時はプレー継続を避ける。
  • 脳振盪:疑いがあれば即交代・安静。医療評価を受けるまで復帰させない。

遠征・連戦時の睡眠・回復戦略

  • 睡眠:就寝・起床時刻を固定。画面時間を減らし入眠環境を整える。
  • 回復:試合後30分以内の補食、入浴はぬるめで循環促進、軽いストレッチ。

実務で迷わない:大会要項の読み方と当日の確認リスト

大会要項チェックリスト(時間・交代・延長・PK・飲水)

  • 試合時間:前後半の分数/ハーフタイム分数/アディショナルの考え方
  • 交代:上限人数/再出場の可否/交代ウィンドウの有無
  • 延長:有無/各ハーフの分数/暑熱時の省略条件
  • PK方式:実施条件/キッカー人数の取り扱い
  • 飲水・クーリング:実施の基準・回数・タイミング
  • ベンチ入り人数:選手・スタッフの上限/メンバー表の締切時刻
  • 用具:背番号の固定・ビブス・テープ色・インナーの色規定
  • 制裁:累積警告・出場停止の扱い

審判・相手チームと事前に擦り合わせるべき事項

  • 交代方法(位置・合図・同時交代)とウィンドウ数
  • 飲水・クーリングの運用
  • ボールパーソン・ボール数・担架の有無

メンバー表・背番号・ベンチ人数の確認ポイント

  • 登録名との一致、背番号重複の有無、GKの番号とユニフォーム色
  • スタッフの帯同資格とベンチ着席数

タイムキーピングと交代ボード運用の小ワザ

  • 時計は前後半でリセットせず、経過時間も併記すると共有がスムーズ。
  • 交代ボードは事前に選手へ番号周知、同時交代は並び順を整える。

トラブル事例と未然防止(抗議・異議・手続きミス)

  • 再出場の勘違い:要項の該当条文をメモ化し、試合前の全体ミーティングで共有。
  • ベンチ入り超過:アップ要員の待機位置を明確化。
  • PKキッカー人数:退場者の有無と人数調整を主審確認まで口頭で再確認。

よくある質問(FAQ)

中学生は◯◯分ハーフで“固定”なの?例外はある?

固定ではありません。U-13で25〜30分、U-14で30〜35分、U-15で35分(上位大会で40分のことも)といった目安はありますが、最終決定は大会要項です。

リエントリーは全大会で可能?不可の場面は?

全大会で可能ではありません。リーグ戦やTMでは可が多い一方、全国系や決勝トーナメントは不可が多いです。

延長戦はいつ行われる?延長なしでPKのケースは?

トーナメントの決勝・準決勝などで延長が設定されることがあります。暑熱対策や運営時間の都合で「延長なしでPK」の大会もあります。

飲水タイムは必ず入る?審判の判断と合意の取り方

必ずではありません。気象条件やWBGT値などを参考に主審が判断します。キックオフ前に両チームで運用を共有しましょう。

退場者が出た時の人数・交代・PKのキッカー人数は?

退場者は再出場不可で、以降は一人少ない状態でプレーします。PKでは両チームの人数を同数に揃えて実施します。

GK負傷時の対応とフィールドプレーヤーのGK化の手順

交代可能なら交代、不可ならフィールド選手がGKに。主審へ申告し、GK用ユニフォーム・用具に変更して再開します。

学年が混在するチームの参加でルールは変わる?

ルールは大会カテゴリーに従います。若い学年の選手が出ても試合時間や交代規定は変わりません。ただし登録や出場制限が設けられることがあります。

用語ミニ解説

アディショナルタイム/延長戦/ABBA方式の違い

  • アディショナルタイム:前後半の終了時に失われた時間を追加。
  • 延長戦:規定時間で決しない場合の追加プレー(2ハーフ)。
  • ABBA方式:PKの順番方式の一つ。現在の一般的な大会はABAB方式です。

リエントリー・交代ウィンドウ・タイムアウトとは

  • リエントリー:交代で退いた選手が再び出場すること。
  • 交代ウィンドウ:交代を行える回数・機会の枠組み(ハーフタイムは除外が一般的)。
  • タイムアウト:飲水タイムやクーリングブレイクなど、運営上の一時停止。

大会要項・通達・運用の意味合い

  • 大会要項:大会の公式ルール。最優先で従う。
  • 通達:当日や期間中に出される補足・変更の通知。
  • 運用:審判・運営が現場で行う具体的な進め方。

まとめ:最新情報の確認と最適な準備のコツ

「一般則」→「大会要項」→「当日確認」の三段チェック

  • 一般則で全体像を掴む(年代の目安、交代の考え方)。
  • 大会要項で最終確定(時間・交代・延長・PK・飲水)。
  • 当日、主審・相手と運用を共有(飲水・ウィンドウ・ボール数)。

試合時間と交代ルールを味方にする準備手順

  • 時間に応じたゲームプラン(強度配分・交代の山場)を事前に設計。
  • 交代カードは「強度・役割・リズム」で整理。再出場可否でプランA/Bを用意。
  • 暑熱・連戦のシナリオを想定し、飲水・補食・回復のオペレーションを決める。

次の一歩:所属地域の最新レギュレーションの入手方法

  • 主催団体(中体連・JFA/都道府県協会・リーグ運営)の公式サイトで大会要項を確認。
  • チーム代表者会議・主催者からの通達を保管し、携行できるチェックリスト化。
  • 当日は主審の説明をメモし、スタッフ・選手に即共有。

「今日は何分で、交代はどうする?」に即答できれば、プレーの質と安全性は確実に上がります。最新の要項を確認して、準備から勝負を始めましょう。

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