目次
はじめに:試合後の一口が翌日のキレをつくる
「サッカー 試合後 何食べる?最速回復の黄金比と実例」。走行距離、スプリント、コンタクト…試合は筋肉とエネルギーを一気に削ります。回復を早める鍵は、量と比率とタイミング。難しい理屈は最小限に、今日から真似できる「黄金比」と具体メニュー、体重別の目安、コンビニ応用まで一気にまとめました。図解や画像なしでも迷わないよう、食材名と分量でイメージしやすくお届けします。
サッカー 試合後 何食べる?最速回復の黄金比はこれ
黄金比の結論:炭水化物1.0〜1.2g/体重kg+タンパク質0.3g/体重kg+失った体重1kgあたり1.5Lの水分と電解質
最速で回復したいときの基本形は以下です。
- 炭水化物:体重1kgあたり1.0〜1.2g(できれば試合後30分以内)
- タンパク質:体重1kgあたり0.3g(ロイシン2〜3gを含むとベター)
- 水分と電解質:試合で減った体重1kgにつき約1.5Lの水分+ナトリウム(目安500〜700mg/L)
この3つを「素早く、噛まずにでも入れられる形」で押さえると、翌日の動きが変わります。
体重あたりの目安量と上限・下限(消化のしやすさで微調整)
- 炭水化物:最低0.8g/kg、理想1.0〜1.2g/kg。胃が重い日は0.8g/kgから開始し、30〜60分おきに小分け追加。
- タンパク質:0.25〜0.4g/kgの範囲でOK。早く吸収させたいときは牛乳やホエイ、胃腸が弱い日はヨーグルトや豆腐。
- 脂質と食物繊維:最初の30〜60分は控えめ(消化速度優先)。2時間後の食事から適量を戻す。
最速回復タイムライン:試合後30分・2時間・就寝前の三段構え
- 0〜30分以内:黄金比スナック。高GIの炭水化物+吸収の早いタンパク質+電解質飲料。
- 約2時間後:主食たっぷりのメイン食+良質なたんぱく質+汁物で水分・ミネラルも補う。
- 就寝前:ゆっくり吸収されるカゼイン系タンパク質+足りていない水分と塩分を微調整。
科学的根拠:なぜその比率が効くのか
グリコーゲン再合成の速度と炭水化物の質(高GIと中GIの使い分け)
サッカーは有酸素と無酸素が交互に来る競技。筋内・肝臓のグリコーゲン(糖の貯金)が大きく減ります。試合直後は筋が「吸い込みモード」になっており、炭水化物を1.0〜1.2g/kg/時のペースで入れると再合成スピードが上がります。最初は高GI(白米、おにぎり、食パン、うどん、バナナ、スポーツドリンクなど)で素早く、その後は中GI(玄米の一部混用、そば、全粒パンなど)で安定補給が理想です。
筋タンパク質合成とロイシン閾値(2〜3g目安)
筋ダメージ修復にはタンパク質が必須。特にアミノ酸ロイシンが2〜3gに達すると合成スイッチが入りやすいとされます。牛乳やホエイプロテイン、卵、鶏むね、ヨーグルトはロイシンが比較的多め。量の目安0.3g/kgは、多くの人でこのロイシン閾値に届きやすいレンジです。
水分・ナトリウム補給が回復とけいれん予防に与える影響
発汗で失うのは水だけではありません。ナトリウムが不足すると体液保持がうまくいかず、けいれんやだるさの原因に。体重減少1kgにつき約1.5Lの水分を、ナトリウム500〜700mg/L含む飲料で2〜4時間かけて戻すと、体内の水分と塩分のバランスが整います。
体重別の具体量と計算ガイド
60kgの選手:即時・2時間後・就寝前の具体量
- 試合後30分以内
- 炭水化物:60〜72g(おにぎり2個=約80〜90gでもOK、半分は後で)
- タンパク質:18g(牛乳300mlで約10g+ヨーグルト100gで約4g+チーズ少量などで調整)
- 水分:体重減少1.0kgなら約1.5Lを2〜3時間で。スポーツドリンク中心。
- 約2時間後
- 主食:白米250〜300g(茶碗大盛り)
- タンパク質:鶏むね/魚/卵など20〜30g(調理重量では100〜150g目安)
- 汁物:味噌汁1杯でナトリウム・水分を追加
- 就寝前
- 牛乳200〜300ml or カゼインリッチなヨーグルト150g
- 不足水分があれば200〜400ml+少量の塩分
75kgの選手:即時・2時間後・就寝前の具体量
- 試合後30分以内
- 炭水化物:75〜90g(おにぎり2個+バナナ1本、または大きめサンド)
- タンパク質:22〜23g(牛乳400ml+ヨーグルト100gなど)
- 水分:体重減少1.5kgなら約2.25Lを2〜4時間で分割。
- 約2時間後
- 主食:白米300〜350g or うどん2玉
- タンパク質:30g前後(サラダチキン1パック+卵1個など)
- 汁物+副菜:具だくさん味噌汁、海藻・豆腐・青菜を活用
- 就寝前
- 牛乳300ml or カゼインプロテイン20〜30g相当の食品
- 水分200〜500ml(尿色が濃い場合はスポドリを薄めて)
発汗量の見積もりから飲水量を決める(体重差法)
- 試合前にトイレ後、できれば同じ服装で体重測定。
- 試合後、タオルドライして体重測定。
- 差が発汗量(飲食分を差し引けると理想)。差1kg=約1L喪失。
- 補給量=差×1.5の水分を2〜4時間で。ナトリウム500〜700mg/Lを目安。
実例メニュー:最速回復を狙う組み合わせ
移動中に完結するリカバリーセット(おにぎり+乳製品+フルーツ)
- おにぎり2個(鮭・塩むすびなど)+飲むヨーグルト200ml+バナナ1本
- 食パン2枚+低脂肪チョコ牛乳300ml+みかん2個
- 麩菓子・カステラなど高GIおやつ+牛乳200ml(どうしても食欲がない時の暫定)
帰宅後のメインリカバリーミール(丼・麺+たんぱく質+汁物)
- 親子丼(ご飯大盛り)+具だくさん味噌汁+漬物
- うどん2玉+温玉+ささみほぐし+めんつゆ薄め+わかめ
- 鮭の塩焼き+白米大盛り+豆腐とわかめの味噌汁+ほうれん草おひたし
就寝前の追加タンパク質(牛乳・ヨーグルト・カゼインリッチ)
- 牛乳200〜300ml(温めてもOK)
- ギリシャヨーグルト150g+はちみつ小さじ1
- カッテージチーズや低脂肪チーズ30〜50g
コンビニ・外食での最適解
コンビニで5分完結:おにぎり/サンド+ヨーグルト/牛乳+果物+経口補水
- おにぎり2個+サラダチキン半分+飲むヨーグルト200ml+バナナ
- たまごサンド+フルーツヨーグルト+スポーツドリンク500ml
- おはぎ2個(高GI)+低脂肪牛乳300ml+みそ汁カップ
牛丼・ファストフードでの栄養最適化と注意点
- 牛丼は並〜大盛+卵+味噌汁でタンパク質と塩分を追加。
- ハンバーガーはポテトSにして主食はライス/パンで調整、炭酸よりスポドリ or 水に。
- 揚げ物は最初の30〜60分は控えめ。2時間後の食事から少量OK。
学食・定食屋での選び方:主食の量調整と副菜の活用
- ご飯は大盛りに(体重×1.0〜1.2gの炭水化物を意識)。
- 主菜は魚か鶏むね系、汁物付きの定食を優先。
- 副菜で海藻・豆腐・青菜を追加してミネラル確保。
季節・試合状況別アレンジ
夏の高温多湿:電解質と冷たい炭水化物で素早く
- 冷やしうどん+めんつゆ薄め+卵、冷や飯のおにぎり、冷たいスポドリ。
- 氷菓は最初の体温下げには有効だが、糖と塩分を含むものを優先。
冬の試合:温かい主食とスープで消化を助ける
- おじや・雑炊、鍋焼きうどん、豚汁+おにぎり。
- 体が冷えると消化も落ちるため、脂質は控えめの温かい一品を。
連戦・大会期間中:消化性重視と間食の頻度設計
- 試合間は低脂肪・低食物繊維の炭水化物+乳製品や卵のタンパク質を小刻みに。
- 次の試合まで3時間未満なら固形より半固形・液体中心に。
食欲がない・時間がない時の代替策
液体で摂る:ココアミルク/スムージー/リカバリーシェイク
- ココアミルク:牛乳300ml+純ココア小さじ2+砂糖またははちみつ大さじ1
- バナナスムージー:バナナ1本+ヨーグルト150g+牛乳150ml
- 市販プロテイン+スポドリを半々で割る(糖+塩分を同時に確保)
バス移動で崩れないポータブル食品の組み合わせ
- おにぎりを個包装、サラダチキンスティック、パック飲料(牛乳・飲むヨーグルト)
- ようかん、カステラ、カロリーメイト系+水・スポドリ
胃腸に優しい低脂肪・低食物繊維の選択肢
- 白米、うどん、米粉パン、熟したバナナ、プレーンヨーグルト、豆腐
- 避けたいもの(直後):揚げ物、濃いクリーム、豆や海藻の大量摂取、辛味
家庭での支援と事前の仕込み
15分で作れる作り置き:炭水化物・タンパク質のベース
- 炊きたてご飯を小分け冷凍(200〜300gパック)
- 鶏むねの下茹で・ささみほぐし、鮭の塩焼きの作り置き
- 味噌玉(味噌+だし+具をラップ包み)で即席汁物
弁当・補食のパッキング術(保冷・衛生・分量)
- 保冷剤+断熱バッグ、乳製品や肉は冷えた状態で。
- 炭水化物はおにぎり2〜3個を個包装で衛生的に。
- 飲料はスポドリと水の2本持ちで使い分け。
食品衛生:夏場の持ち運びと傷みにくい選択
- 梅干し・塩むすび、酢飯は比較的傷みにくい。
- マヨ系は高温下では避ける。直射日光を避け、早めに食べる。
水分・電解質戦略の具体化
体重差からの発汗量推定と1.5倍補給ルール
発汗量=試合前後の体重差(kg)≒水分喪失量(L)。補給は喪失量×1.5を、2〜4時間に分けて。例:差1.2kg→約1.8Lを少しずつ。
ナトリウム・カリウムの目安と身近な食品例
- ナトリウム:500〜700mg/Lを飲料で。味噌汁、梅干し、塩むすびも有効。
- カリウム:果物(バナナ、キウイ)、芋類、野菜スープで補う。
スポーツドリンク・経口補水液・水の使い分け
- スポーツドリンク:運動直後〜1時間の主役。糖+塩分を同時補給。
- 経口補水液:大量発汗・けいれん気味・夏場の強度高めで有効。
- 水:食事や塩分が同時に摂れるときのベース。単独で大量はNG(低ナトリウム血症リスク)。
サプリメントの是々非々
ホエイ・カゼイン・牛乳:吸収速度と使い分け
- ホエイ:吸収が早い。試合直後に向く。
- カゼイン:ゆっくり。就寝前に向く。
- 牛乳:ホエイ+カゼインを両方含む万能食品。糖と一緒に摂ると相性◎。
クレアチン・タルトチェリー濃縮液のエビデンス概観
- クレアチン:日常的に3〜5g/日で高強度反復のパフォーマンス改善が報告あり。即効性というより蓄積型。
- タルトチェリー:筋の張りや主観的疲労の軽減を示す研究が一部あり。効果には個人差。
未成年の使用で注意すべき点(品質・用量・代替)
- 食品優先、用量はラベルを守る、第三者機関認証の品質を選ぶ。
- 保護者・指導者と相談。まずは牛乳・ヨーグルト・卵・魚・肉で十分代替可能。
よくある誤解とNG例
脂質は全部NG?適量とタイミングの考え方
直後は消化速度重視で脂質控えめ。ただし完全ゼロは不要。2時間後の食事から10〜20g程度の良質な脂質(青魚、ナッツ少量、オリーブ油)を戻すのはOK。
アルコール・エナジードリンクの落とし穴
- アルコール:脱水と睡眠の質低下。回復を明らかに遅らせる。
- エナジードリンク:高カフェイン+高糖の組み合わせは眠りを阻害。夜遅い時間は避ける。
『空腹で揚げ物ドカ食い』を防ぐ順序づけ
- 直後に炭水化物+タンパク質+電解質で土台を作る。
- 2時間後に主食中心のメイン食。
- どうしても揚げ物は少量を後半に。先に主食・汁物・たんぱく質。
翌朝までの回復ルーティン
夜間の水分・塩分の細やかな補充
就寝1〜2時間前に200〜400ml。夜間に喉が渇いたら一口ずつ。汗をかく季節はスポドリを薄めて枕元へ。
朝食での再チャージ:主食+卵・乳製品・果物
- ご飯+卵2個+味噌汁+果物
- トースト+ツナ卵+ヨーグルト+バナナ
体調の自己チェック(体重・尿色・筋肉のこわばり)
- 体重:前日朝との差が±1%以内なら水分管理は概ね良好。
- 尿色:薄いレモン色が目安。濃い→水分・塩分不足のサイン。
- こわばり:階段・片脚スクワットで違和感を確認。強ければウォームアップを丁寧に。
目的別の微調整
筋量を増やしたい時の上乗せ戦略
- 試合後のタンパク質を0.35〜0.4g/kgに拡張。
- 1日トータルで体重×1.6〜2.2gのタンパク質を分割摂取。
体脂肪を落としたい時の控え方と注意点
- 直後の黄金比は削らない(回復最優先)。
- 2時間後の主食をやや少なめにし、野菜と汁物で満足感アップ。
胃腸トラブルが多い人の低FODMAP的アプローチ
- 白米・うどん・米粉パン・熟したバナナ・ラクトース低減乳。
- 玉ねぎ・にんにく・豆類大量は直後は控えめに。
事前準備チェックリスト
試合前日の買い出しリスト(主食・タンパク源・飲料)
- おにぎり用ご飯、パン、うどん・そば
- 牛乳・ヨーグルト・卵・鶏むね・魚
- スポーツドリンク、経口補水液、味噌汁カップ、果物
当日の携行品(補食・ボトル・保冷・ゴミ袋)
- 個包装おにぎり/サンド、サラダチキン、飲むヨーグルト
- ボトル2本(スポドリ+水)、保冷剤、ウェットティッシュ、ゴミ袋
帰宅後の段取りと在庫管理
- 帰宅前に「何をどれだけ食べるか」を決めておく。
- 冷凍ご飯と作り置きタンパク質を解凍→汁物を温める→先に飲料を用意。
よくある質問(FAQ)
プロテインは必須?食品で代替できる?
必須ではありません。牛乳・ヨーグルト・卵・魚・肉で十分代替可能。持ち運びやすさと即時性でプロテインが便利な場面もあります。
乳糖不耐症・アレルギーの代替案
乳糖フリー牛乳、ヨーグルト(発酵で乳糖が少ないもの)、豆乳ヨーグルト、豆腐・納豆、魚・卵で代替。ナッツは直後は少量に。
深夜の試合後でも食べるべき?睡眠とのバランス
はい。量は控えめでも「黄金比の縮小版」を。液体中心(牛乳+バナナ+小さめおにぎり)で消化負担を下げ、就寝前のカゼインも有効です。
まとめ:黄金比を習慣化して翌日も動ける身体へ
黄金比・量・タイミングの再確認
- 炭水化物1.0〜1.2g/kg+タンパク質0.3g/kg+水分(体重差×1.5L)。
- タイミングは「30分以内→2時間後→就寝前」の三段構え。
自分用テンプレート化と継続のコツ
- 体重別の「いつ・何を・どれだけ」をメモ化し、コンビニ版/自宅版を用意。
- 作り置きと保冷で「すぐ食べられる環境」を作る。
次の試合に向けたフィードバックの回し方
- 翌朝の体重・尿色・筋肉の張りを記録。
- 食べた内容と回復の体感を紐づけて微調整。
食事はトレーニングの一部。難しく考えず、「黄金比」を合図に最初の一口を早める。これだけで、あなたの翌日のキレは確実に変わります。