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サッカー守備の練習は週何回?上達目安とメニュー例

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「守備の練習は週何回が正解?」この問いにひと言で答えるのは難しいですが、結論は「頻度×質×回復のバランスを押さえつつ、ゲームに近い文脈で反復すること」。この記事では、カテゴリー別の目安、シーズンごとの調整、45〜90分の具体メニュー、忙しい日の時短ドリル、KPIの作り方まで、実践に落とせる形でまとめました。今日からの練習にそのまま使ってください。

結論:守備の練習は週何回が最適か?

すぐに知りたい目安(高校・大学・社会人・ジュニア)

以下は「守備をテーマにした意図的な時間(個人〜グループの戦術反復)」の週あたりの目安です。全体練習の中で自然に起きる守備行動は含みません。

  • 高校(強豪校・練習週5〜6):守備テーマ日2〜3回(各30〜60分)。試合週は強度の高い対人は1回に抑える。
  • 高校(一般・週3〜4):守備テーマ日1〜2回(各30〜45分)。ゲーム形式に守備テーマを組み込む。
  • 大学・社会人アマ(週2〜3):守備テーマ日1〜2回(各25〜45分)。試合前は合図・整合の確認中心。
  • ジュニア(小学生・週2〜3):守備テーマ日1回(20〜30分)+小ゲーム内での再現。成長期は対人の量と接触強度に配慮。
  • ジュニアユース(中学生・週3〜5):守備テーマ日1〜2回(各30〜45分)。ゾーンの原則と切り替えの反復を多めに。

上達の体感目安(個人差あり):
・個人守備の基本(間合い・半身・遅らせ)は2〜4週の高頻度反復で変化が出やすい。
・小グループの連動は4〜8週の意図的反復で安定しやすい。
・ライン・ブロックの整合は8週程度の継続でミスが減ってくる。

週あたりの合計“守備分量”の考え方(分数×強度×文脈)

回数よりも「負荷の質と文脈(ゲーム性)」が重要です。おすすめは以下の設計です。

  • 分数:合計60〜120分/週の“守備テーマ明確な時間”を確保(試合やゲーム内の自然発生は別)。
  • 強度:RPE(主観的運動強度)で低〜中(4〜6)をベースに、高(7〜8)を週1回程度。RPE×分数=sRPEで管理。
  • 文脈:1対1の型→2〜3人の連動→エリアとゴールを入れたゲームへと段階的に「意味づけ」を強める。

試合がある週/ない週の調整基準

  • 試合がある週:試合48〜72時間前は高強度の1対1や長時間のプレス連続は避ける。合図・役割確認、限定した反復で“軽く鋭く”。
  • 試合がない週:高強度(RPE7〜8)の対人・切り替えを1〜2ブロック入れ、反復量を確保。映像とKPI確認で学習を固める。
  • 連戦(週2試合):新規の大改修はしない。前提の原則と関係性の再確認+回復最優先。

守備は“頻度×質×回復”で伸びる理由

学習曲線と間隔効果:短時間×高頻度が効く場面

守備の技術(間合い、半身、重心、視野)は「短時間の集中反復」を積むと定着しやすい傾向があります。毎回10〜15分でも“狙いを絞った”反復を増やすと、週1回の長時間単発より効果的な場面が多いです。

超回復と疲労管理:上げすぎない勇気

対人やプレスは神経・筋への負荷が大きく、やり過ぎは判断スピードを落とします。RPEで7以上のブロックは週1〜2回に抑え、睡眠・栄養・軽い可動といった回復の質を上げる方が最終的な守備のキレにつながります。

ゲーム原理に沿った反復が必要なワケ

守備は「時間と空間の勝負」。遅らせ、角度、カバー、圧縮、スイッチ、背後管理といった原理が、実際のゴール・相手・味方の位置関係の中で使われてこそ意味があります。コーンだけの反復に偏らず、必ずゲーム文脈へ橋渡ししましょう。

カテゴリー別:週何回が現実的かと上達目安

高校生(強豪校/一般)

  • 強豪校:週5〜6練習+試合。守備テーマは2〜3回、うち1回は高強度(1対1、切り替え連続)。残りはライン調整や合図確認。
  • 一般:週3〜4練習。守備テーマは1〜2回。ゲーム形式の中でテーマを固定(例:前進阻止=縦切りの合図)して反復。
  • 上達目安:4週で「遅らせ→寄せ切る→味方で奪う」の連携が滑らかに。被ドリブル率の低下、前進阻止数の増加がサイン。

大学生・社会人アマチュア(平日練習が限られる場合)

  • 週2:守備テーマは1回をしっかり(30〜45分)。もう1回は軽い合図確認+ゲーム。
  • 週3:守備テーマ2回(1回は高強度、1回は整合・セットプレー)+試合前は30分の最終確認。
  • 上達目安:6〜8週の継続で、プレスの連動ミス(二度追い、食いつきすぎ)が減少。

ジュニア・ジュニアユース(保護者向けの配慮点)

  • ジュニア:接触の強さと回数は段階的に。奪うより「遅らせ」「角度づくり」を先に習得。小さなコートの2対2〜3対3が有効。
  • ジュニアユース:成長痛や疲労を見逃さない。RPE高めの対人は週1回、他は原理理解と位置取りの練習で負荷を分散。

ポジション別(DF/MF/FW/GK)での守備練習比率の違い

  • DF:1対1の対応、背後管理、ラインコントロール多め(週2)。
  • MF:プレスの方向付け、カバーシャドー、二次回収(週1〜2)。
  • FW:トリガーの共有(CBへのバックパス、サイドへの外出し)、限定の角度(週1)。
  • GK:背後管理、クロス対応、スルーパス対応のスタート位置(週2)。DFと共同でライン・背後の統一を。

シーズン別の調整方法(競技期/移行期/準備期)

競技期:試合中心の微調整(強度管理と戦術整合)

  • 48〜72時間前は高強度対人なし。合図・役割・セットプレーの整理を軽めに。
  • 試合後24〜48時間は回復+個別映像。必要なら“遅らせ”や角度のミニドリル10〜15分。

移行期:回復と個別課題の再学習

  • 1〜2週は負荷を下げ、フォーム、可動域、判断の再学習。対人は最小限。
  • 映像で個人KPIを見直し、来期に向けた個別テーマを設定。

準備期:頻度と反復量を上げる黄金期

  • 週2回の守備テーマ+ゲーム内の守備原理固定。高強度ブロックは週1〜2回。
  • ライン・ブロック、プレスの型を段階的に習熟。セットプレーのバリエーションも整備。

テスト期間・繁忙期のやり繰り術

  • 15〜25分の時短ドリルへ切り替え。RPEは5〜6で維持。
  • 合図と役割の共有だけでも実施。動画短評(1人3クリップ)で思考の練度を保つ。

目的別メニュー例(45〜90分)

個人守備(1対1):間合い・体の向き・遅らせ

  • ウォームアップ10分:動的ストレッチ+ラダー(前後・左右)
  • ドリル15分:3m→5mのアプローチ、半身の角度、足を出すタイミング(合図はボールが離れた瞬間)
  • 対人15分:サイドラインをゴールに見立てた1対1(攻撃はサイド突破狙い)
  • 制限付きゲーム10分:3対3(攻撃は縦突破2点、守備は外へ誘導で+1点)
  • 振り返り5分:被抜きの原因(距離・角度・重心)を口頭で確認

小グループ(2人・3人):連動した圧縮・カバー・スイッチ

  • ウォームアップ10分:2人組ミラー(ステップ・遅らせ)
  • ドリル15分:2対2でのカバー角度と身体の向き(内切り・外出しを使い分け)
  • ドリル15分:3対3+フリーマンでのスイッチ(食いついたら背中を守る合図)
  • ゲーム10分:4対4、タッチ制限でボールサイド圧縮を強調

ライン・ブロック守備:ゾーン原則と背後管理

  • 整列ドリル10分:ラインの横スライド、縦スライド(合図はボールの移動)
  • ブロック15分:自陣の幅25m×縦20mでの4対4+GK、縦パスに対する前進阻止
  • 背後管理15分:DFラインとGKの連携(スルーパス対応・ラインアップの合図)
  • ゲーム15分:6対6(攻撃は裏狙い多めの条件)で実戦化

プレス戦術(ハイ/ミドル/ロー):合図とトリガーの共有

  • 合図共有10分:バックパス、タッチコントロールミス、サイドへの体の向きなどを口頭+歩きで確認
  • ハイプレス15分:GKビルドに対して3対3+2サーバー。外誘導か内誘導を固定して反復
  • ミドルプレス15分:中盤ラインでの待ち構え→縦パスに同時圧力
  • ロー守備10分:PA前での圧縮と二次回収位置の明確化

トランジション守備(切り替え):即時奪回とスライド

  • 5秒ルールドリル15分:失ったら5秒即時奪回、奪えなければブロックへ撤退
  • 連続ゲーム15分:4対4+2フリーマン、失った瞬間のスイッチの声出しを義務化

セットプレー守備:担当・ゾーン・ミックスの整理

  • 役割分担10分:ゾーン係、マンマーク、ニア・ファーの空中戦担当を明確化
  • パターン反復15分:ニア蹴り、セカンドボール対応、カウンター阻止の配置
  • 対戦相手想定10分:相手が多用する形を1〜2個に絞り、合図と初動の確認

曜日別の組み立て例:週2回/週3回/週5回

週2回プラン:限られた時間で“核”を押さえる

  • Day1:個人守備+切り替え(45〜60分)
  • Day2:小グループ連動+セットプレー(45〜60分)。試合前なら強度は中程度に。

週3回プラン:守備テーマを循環させる設計

  • Day1:個人守備(高強度)
  • Day2:ライン・ブロック(中強度)
  • Day3:プレス合図+セットプレー(軽め、試合前なら30〜45分)

週5回プラン(部活・強化):波形を作る強度配分

  • 月:高強度(1対1・切り替え)
  • 火:中(小グループ・プレス)
  • 水:回復・技術(フォーム、視野)
  • 木:中(ライン・背後管理)
  • 金:軽(セットプレー・合図)→土日試合

試合週の微調整(48〜72時間前の最適化)

  • 激しい対人はしない。位置と役割、声かけの確認。
  • セットプレーは本数を絞り、初動のスピードを最優先に。

時間がない日の時短ドリル(15〜25分)

1人でできるフットワーク&反応トレーニング

  • コーン3個でV字ステップ×反応(10分):左右の切り返し→半身でストップ。
  • 壁パス反応(5分):壁に当てて跳ね返りに対して瞬間前進→遅らせ姿勢。

2人でできる小さな制限付きゲーム

  • 2対1の遅らせ(8分):守備2人は中央を閉じ外誘導。ボールが外へ出たらトラップ。
  • 1対1(7分):アウトラインを使って外へ押し出す得点制。

狭いスペースでの“遅らせ”再現ドリル

  • 3m四方の箱での“追い込み”ゲーム(8分):攻撃は出口を抜けたら1点、守備は遅らせ→タッチラインへ誘導で1点。

家でもできる守備の基礎トレ

ステップワークと重心コントロール

  • 前後・左右のミニシャッフル30秒×6本。胸は相手方向、腰は低く。
  • 止まるトレ(デセルレーション):3歩ダッシュ→ピタ止め→半身で静止。

間合い感覚と身体の向き(半身)

  • 床にテープでラインを作り、斜め45度の半身を鏡で確認。
  • 手は届く距離、足は届かない距離の“間合い”を足数で覚える。

視野確保とスキャン習慣づくり

  • 5秒に1回の首振りをタイマーで。左右→前→ボールの順に視線を戻す癖をつける。

ウォームアップとクールダウン:怪我を防ぎパフォーマンスを引き出す

俊敏性を引き出す動的ウォームアップ

  • 股関節・足首のダイナミック可動(5分)
  • 加速→減速→方向転換の短い反復(5分)

足首・膝・内転筋を守る補強

  • ヒールレイズ、片脚スクワット補助、コペンハーゲンプランク(各2セット)

クールダウンと睡眠・栄養の基本

  • 軽いジョグ+静的ストレッチ(5〜10分)
  • たんぱく質と糖質の補給、十分な水分、7〜9時間の睡眠を目安に。

測定と上達の指標(KPI設計)

個人KPI:奪取、遅らせ時間、前進阻止、被ドリブル率

  • 奪取数:1試合あたりのボール奪取(タックル・インターセプト含む)
  • 遅らせ時間:抜かれずに前進を止めた時間(3秒以上を成功と定義など)
  • 前進阻止:縦パス遮断、外出し成功の回数
  • 被ドリブル率:対面局面で抜かれた割合

グループKPI:回収位置、回数、プレス成功率

  • 回収位置:相手陣/中盤/自陣でのボール回収割合
  • プレス成功率:意図した方向に追い込み、前進を3秒以上止められた割合

簡易テスト:アジリティ、反応、反転速度

  • 5-10-5テスト、Y字反応テストなどを月1で記録(手動タイマーでも可)

動画レビューのポイント(主観×客観のすり合わせ)

  • 主観:自分の意図(遅らせor奪い切り)
  • 客観:重心・距離・角度・味方の位置。1クリップに1コメントで短く。

よくある失敗とその対処

回数だけ増やして“質”が落ちる

  • 対策:RPEを記録し、週1で高強度、それ以外は文脈重視の中強度に整理。

1対1に偏り“連動”が欠ける

  • 対策:2人・3人の役割(圧力・カバー・バランス)を毎週少しずつでも入れる。

プレスの合図が曖昧でバラバラになる

  • 対策:合図を3つに限定(例:バックパス、トラップ流れ、浮き球)して共有。試合前に声出しで再確認。

疲労蓄積による判断スピード低下

  • 対策:睡眠・回復のKPIを入れる(就寝時刻、RPE、主観的疲労)。高強度が続いたら翌日はフォーム・位置取り中心に。

器材とスペースの工夫

コーン・マーカー・ラダーの最小構成

  • コーン8〜12個、フラットマーカー10枚、ラダー1本で十分。区画・角度・合図作りに使う。

ミニゴール代替と壁当ての活用

  • バッグやジャージでゲート化。壁当ては反応・遅らせ姿勢の反復に最適。

スマホタイマー・メトロノームで強度管理

  • 20秒オン/40秒オフなどのインターバル設定で疲労を可視化。ピッチテンポの共有にも使える。

データとテクノロジーの活用

GPS・心拍・RPEで“やり過ぎ”を防ぐ

  • デバイスがなくてもRPE×分数(sRPE)で負荷管理は可能。連日高負荷を避ける基準に。

練習ログとテーマの可視化(アプリ・スプレッドシート)

  • 日付/テーマ/ドリル/RPE/学びを1行で記録。2〜4週単位でテーマの偏りを是正。

AI・映像分析の入門的な使い方

  • 短いクリップ(5〜10秒)に目的と結果をテキストで添える。判断の一貫性が見えてくる。

よくある質問(FAQ)

試合が週2の時はどう調整する?

新規の高強度反復は基本入れません。試合間は回復+合図確認(15〜20分)。セットプレーは最小限の型だけ。

FWだけど守備練習はどれくらい必要?

週1回で十分に効果が出ます。トリガー共有(外出し・内切り)と5秒即時奪回の質が上がるとチーム全体が締まります。

守備が苦手な子の最初の一歩は?

「止める」より「遅らせる」を先に。半身・間合い・角度の3点を10〜15分で毎回反復すると安心感が育ちます。

疲労が強い週の“最低限メニュー”は?

15分の合図確認+セットプレー位置の口頭整理+5分のフォーム。RPEは5以下でOK。休む勇気も大事です。

まとめ:守備の練習は“週何回”より“何をどの強度で”

頻度・質・回復のチェックリスト

  • 頻度:週1〜2回は守備テーマを明確化。短時間でもOK。
  • 質:ゲーム文脈(ゴール・方向・人数・制限)を必ず付ける。
  • 回復:RPE高(7〜8)は週1〜2回。睡眠・栄養・可動で支える。

来週から始めるシンプルな実行プラン

  • まずは「個人守備15分+小ゲーム10分」を週1回固定。
  • 2週目から「ラインorプレスの合図」15分を追加。
  • 4週目にセットプレー10分で仕上げ。動画は1人1クリップだけ共有。

継続のための仕組み化

  • 練習ログ1行記録、RPEチェック、テーマの循環表を作る。
  • “やり過ぎ注意”のルールをチームで合意(試合48〜72時間前は軽め)。

守備は「回数」より「意図」と「文脈」。短くても狙いがハッキリした反復を積み上げれば、判断の速さと連動の質は着実に伸びます。今日の練習に小さな守備テーマをひとつ、必ず入れてみてください。

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