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サッカーのキック力上げ方高校生の90日計画

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「90日で、いまより遠く・速く・狙って蹴れるようになる」。本記事は、そのための具体的な手順を1日ずつ積み上げる計画です。部活や勉強と両立しながら、安全にパワーと技術を伸ばす仕組みをまとめました。測定とフィードバックを軸に、フォーム・筋力・再現性を同時に強化します。サッカーのキック力を伸ばしたい高校生や指導する保護者の方へ、現実的で続けやすい道筋を提案します。

はじめに:90日で「蹴れる」身体と技術をつくる

到達目標の設定(ボール初速・飛距離・再現性)

「ベースライン比+5〜15%の向上」を目安に設定します。初速と飛距離の数値に加え、10本中の成功本数(再現性)も評価の柱にします。

安全に伸ばすための基本方針(段階的負荷・痛みゼロ基準)

強度は週あたり10%以内で増加。痛みが出たら即ストップし、原因を切り分けてから再開します。違和感は翌日に残さないのがルールです。

90日計画の使い方(部活・勉強と両立)

週3〜5回の短時間・高品質セッションを基本に、部活日はテクニック中心、オフ日は出力と補強に回します。テスト週は維持メニューに切り替えます。

キック力の定義と測り方(客観指標と主観感覚)

キック力=出力×テクニック×再現性の掛け算

脚力だけでは伸びません。地面反力の使い方(出力)、当て方と体の連動(テクニック)、同じ質で繰り返す力(再現性)の掛け算です。

客観指標:ボール初速・飛距離・到達時間・回転数の考え方

初速は速さ、飛距離はレンジ、到達時間は実戦価値、回転数は軌道安定に関係。一本の「見た目」より複数指標で判断します。

家庭でもできる測定法(動画解析・スマホアプリ・距離測定)

10mにマーカーを置き、衝突〜通過の時間で平均速度を推定。スロー動画で回転やフォームも確認。距離はメジャーやピッチ目印で測ります。

主観指標:力み・ミート感・フォーム安定感の自己評価

10段階RPEで力みを記録。「当たった感触」「軸の安定」をメモ。主観の変化はケガ予防とフォーム改善のヒントになります。

90日計画の全体像(3フェーズの設計)

フェーズ1(1〜4週):基礎とフォーム再設計

助走・軸足・ミートの三点を整え、可動域と基礎筋力を底上げ。癖をほどき、安定した当たりを取り戻します。

フェーズ2(5〜8週):出力の最大化(筋力・パワー・速度)

片脚で押す・引く・回す力を強化。プライオとスプリントで速度要素を足し、キック練の強度を段階的に上げます。

フェーズ3(9〜12週):実戦適用と精度の両立

クロスやスイッチ、セットプレーで再現性を高めます。プレッシャー環境で狙いを外さない力を鍛えます。

週3〜5回の頻度設計とオフ日の役割

高強度2日、技術2日、補強1日の構成が基本。オフ日は睡眠と可動域調整で「回復も練習」にします。

フェーズ1(1〜4週):基礎づくりとフォームの再設計

現状評価:動画で見る3つのチェックポイント

正面・側面の2方向で撮影。①助走ライン、②軸足の安定、③ミートの位置と足首固定を確認します。

ランアップと最後の3歩(ステップの長短・角度)

「短—長—固定」のリズムを意識。助走角は15〜30度を基準に、打点と狙いで微調整します。

軸足づくり(踏み込み位置・膝の向き・重心)

ボール横5〜10cmに踏み、膝と爪先は的へ。上体はやや前、腰は落としすぎず、足裏は素早く離地します。

ミートの基礎(足首固定・インステップ接触点)

足首は下制でロック。靴紐のやや上でボールの中心〜やや下を捉え、接触後はまっすぐ抜きます。

基礎筋力と可動域(股関節・体幹・足首)

ヒップヒンジ、プランク、足首の背屈ドリルを毎回5分。フォーム磨きの土台を先に作ります。

ベースライン測定の実施と記録テンプレート

日付/本数/初速または10m到達時間/飛距離/回転メモ/RPE/痛み有無/動画リンク

フェーズ2(5〜8週):出力を高める—筋力・パワー・速度の統合

下半身の押す・引く・回すの3系統強化

押す:スクワット系、引く:RDL・ヒップスラスト、回す:ロシアンツイストとアンチローテ。片脚中心で行います。

プライオメトリクス導入(両脚→片脚への進行)

両脚ボックスジャンプ→連続ジャンプ→片脚ホップへ移行。着地の静止1秒でコントロールを確認します。

スプリントとキックの相互強化(接地時間の意識)

20〜30mの加速走で「短い接地」を体に覚えさせ、踏み込み脚の地面反力に転用します。

テクニック強度の段階的上げ方(距離・ボール数・レスト)

距離→本数→休息の順に調整。質が落ちたら即レスト、成功3本で距離を伸ばします。

中間テスト:初速・飛距離・再現性のチェック

同条件・同ボールで再測定。数値、動画、主観の三点で伸びと課題を特定します。

フェーズ3(9〜12週):実戦適用と最大化

実戦ドリル(クロス・ロングスイッチ・ミドル)

走りながらのクロス、対角50〜60mのスイッチ、DF越しのミドルをセットで練習します。

セットプレーのルーティン構築(置き方・助走リズム)

置く位置、歩数、呼吸を固定化。毎回同じ入りで「外さない型」を作ります。

プレッシャー下での再現性トレーニング

制限時間・コールターゲット・競争形式で心拍を上げた状態でも同質で蹴ります。

ピーキング:試合週のボリューム調整

試合3〜4日前にボリューム半減、2日前は軽技術、前日は可動域と確認のみ。

最終計測と振り返り(次の課題設定)

初日と同条件で再測。最も伸びた指標と伸びなかった指標を分け、次の90日の課題にします。

週単位スケジュール例と部活両立のコツ

部活練習日とジム・自主練の配置

  • 月:技術(フォーム10〜20本)+可動域
  • 火:部活メイン
  • 水:出力(補強+プライオ)
  • 木:部活メイン
  • 金:スプリント+テクニック(質重視)
  • 土:試合 or 実戦ドリル
  • 日:回復(睡眠・ストレッチ)

テスト期間・大会前後の調整方法

テスト週は維持(各メニュー50%)。大会後は48時間の回復+軽い可動域で再開します。

疲労管理(RPE活用・睡眠優先・練習密度の最適化)

RPE7以上が3日続いたらボリュームを20〜30%削減。睡眠7〜9時間を最優先します。

技術編:強いボールを生むフォーム要素10

ランアップ角度と速度コントロール

角度は狙いで調整、速度は最後の3歩でピークへ。走りすぎてブレーキが長くならないように。

最後の3歩(短—長—固定)のリズム

短で方向決定、長で加速、固定でエネルギーを地面に渡します。

軸足の踏み込み位置と足幅

ボール横・軽く前、肩幅やや広め。踏み込みが遠すぎると腰が逃げます。

骨盤のローテーションを引き出す体幹の使い方

体幹は固めすぎず「伝える」。胸を的へ開くタイミングをふり足と合わせます。

胸椎の捻転と上半身のカウンター

胸椎で捻りを作り、反対腕でカウンター。ふり足の加速にブーストをかけます。

ふり足の“引き”と“振り抜き”の切り替え

引きでハムを伸張し、接触の直前で最大速度へ。抜けは的へまっすぐ。

足首固定(アンクルロック)の作り方

足指を軽く握り、足背を固める。接触直前にロック、離れたら緩めます。

インステップの最適接触点と足の向き

靴紐の上で中心を正確に。足の向きは狙いと同方向が基本です。

フォロースルーの方向と高さ

低弾道は低く長く、高弾道はやや上へ。抜けの方向で回転も変わります。

視線の使い方と狙いの明確化

助走までは狙い、最後は打点へ。直前の視線固定でミート精度が上がります。

フィジカル編:キック力に効く部位別トレーニング

股関節伸展(臀筋・ハムストリングス)の出力強化

ヒップスラスト、RDL、グルートブリッジで「押す力」を育てます。

内転筋と腸腰筋の協調(スイングの安定化)

コペンハーゲンプランク、バンドキックで内転と腸腰を連携させます。

体幹の回旋・制動(アンチローテーション)

パロフプレス、デッドバグで骨盤の暴れを抑え、力をロスなく伝えます。

片脚スクワット系での軸づくり

スプリットスクワット、ピストルの可動域ドリルで踏み込み脚を安定。

カーフと足部筋の役割(接地・踏み込みの質)

カーフレイズ、タオルギャザーで足裏を強化。接地が静かに速くなります。

器具なし/ダンベル/バーベルの代替提案

器具なしは自重+テンポ操作、ダンベルは片側負荷、バーベルは高荷重で段階的に。

プライオメトリクスとスプリントの取り入れ方

低衝撃ドリルから高出力ドリルへの進行

ラインホップ→スキップ→連続ホップへ。着地の静止確認を挟みます。

片脚バウンディングとラテラルジャンプ

前後の反発+横の制動で、実戦の踏み替えに対応します。

20〜30m加速とフライングスプリント

加速走で力発揮、フライング20で最高速域の接地を磨きます。

ドリル(Aスキップ・Bスキップ・メカニクス)

膝の引き上げ、足裏接地、股関節主導の動きを短時間で整えます。

接地時間の短縮と地面反力の意識

「静かな速い接地」を合言葉に。音と接地時間を意識して跳ね返します。

可動域と安定性:股関節・足首・体幹

股関節前面(腸腰筋)と後面(殿筋)のバランス

ヒップフレクサーストレッチとアクティブヒップエクステンションをセットで。

内旋・外旋の差を埋めるモビリティ

90/90座位、バンド内外旋で左右差を減らします。

足関節背屈の不足が生む代償動作の是正

壁ドリルで背屈角を毎日チェック。足首が硬いと踏み込みが流れます。

胸椎回旋の確保と呼吸リセット

オープンブックと360度呼吸で上半身の捻りを回復します。

片足軸の強化:踏み込み脚がすべてを決める

片脚RDLとヒップエアプレーン

股関節で支え、骨盤の傾きをコントロール。軸のブレを減らします。

ラテラルバウンドからの安定キャッチ

横跳び→1秒静止で減速能力を鍛えます。踏み込みの質が上がります。

片脚バランス+ミートの連動ドリル

片脚立ちで軽くタッチを繰り返し、軸とミートの同期を覚えます。

踏み込み音と接地時間で安定を可視化

「静かな短い音」を基準に。音が大きい=ブレーキが長いサインです。

測定とフィードバック:90日トラッキング

記録テンプレート(回数・距離・主観疲労・動画リンク)

日付/メニュー/本数/距離・時間/成功数/RPE/痛み/コメント/動画URL

動画撮影の角度とフレームレートの工夫

側面は腰高、正面は少し斜め。可能ならスロー撮影でインパクトを可視化します。

ボール初速の推定と誤差の扱い方

既知距離の到達時間から平均速度を推定。条件を固定し、推移で見るのがコツです。

改善の因数分解(技術/出力/再現性)

外れたら「どこで失ったか」を特定。動画で技術、補強で出力、成功率で再現性を分けて対策。

怪我予防と痛み対策(成長期に多い部位別)

膝前部(膝蓋腱・オスグッド周辺)のセルフケア

痛みがあればジャンプ量を削減し、太もも前後のケアとアイシングで鎮静します。

鼠径部痛症候群への注意(内転筋・骨盤)

内転筋の段階的強化と骨盤安定ドリルを優先。無理なインパクトは避けます。

ハムストリングスと腰の張りのコントロール

RDLのフォーム修正と呼吸で腹圧を確保。張りは「黄色信号」として扱います。

“10%ルール”と痛みのレッドフラッグ

週の総本数・総量は10%以内で増加。鋭い痛み・腫れ・夜間痛は医療機関へ。

痛みが出た時の中断・復帰プロトコル

48〜72時間は安静+可動域のみ→痛みゼロで強度50%→段階的復帰が基本です。

栄養・睡眠・リカバリー:伸び続けるための土台

タンパク質・炭水化物・水分の基本

毎食に主食+たんぱく源+野菜。練習日ほど炭水化物と水分を多めに。

練習前後の補食タイミング

前は消化の良い炭水化物、後は炭水化物+たんぱく質。30〜60分以内が目安です。

7〜9時間睡眠と昼寝の活用

就寝・起床を固定。15〜20分の昼寝でパフォーマンスが安定します。

クールダウン・入浴・ストレッチの使い分け

軽いジョグ→ストレッチ→入浴の順。炎症が強い日は冷却を優先します。

用具と環境:スパイク、ボール空気圧、ピッチ条件

スパイクのフィットとスタッド選択

つま先に捨て寸、踵はピタッと。ピッチに合うスタッドで踏み込みのロスを減らします。

ボール空気圧の管理と感触の差

同じ空気圧で練習条件を固定。感触の違いは記録に残し、試合球に合わせます。

ピッチ条件(天然・人工・土)と助走の調整

滑る日は助走短め・踏み込み浅め。グリップ次第で角度と歩数を変えます。

天候・風向きの読み方と練習の工夫

追い風は弾道低め、向かい風は回転を増やす。条件差も学びに変えます。

ポジション別の使い分け:ロングキック、クロス、FK

CB/CMのサイドチェンジとスイッチ

速い対角へバウンド少なめで。助走短く、早い準備が命です。

SB/WGのクロス(走りながらのミート)

最後の2歩を揃え、視線は打点へ。インスイング/アウトスイングを使い分けます。

STのミドル・無回転の基礎整理

体の正面で当て、抜けはやや上。無回転は縦振りと接触の短さが鍵です。

FKのルーティンと再現性設計

歩数・呼吸・置き方を固定。狙いは3点(ニア・ファー・壁上)で練習します。

GKのゴールキック・パントキックの基本

踏み込みの角度と体の前傾を安定。ミート高さの一貫性が飛距離を生みます。

よくあるつまずきと解決策

力みすぎて振り抜けない問題

助走を一歩減らし、RPE6で10本。抜けの方向を的へ意識します。

足だけで蹴って骨盤が回らない問題

胸椎回旋ドリル→シャドー→軽いボールで連結を再学習します。

練習量は多いが測定しない問題

週1回、同条件で5本を定点観測。数値と動画のセットで管理します。

逆足を放置する問題

各セッションの最初に逆足5本。フォーム習得は初速より優先です。

空気圧・スパイク不適合による違和感

条件を固定し、用具を先に合わせる。違和感はフォームに波及します。

踏み込みの減速・ヒールコンタクトが長い問題

前足部で静かに速く。ラダーやAスキップで接地を再学習します。

90日後の次の一手:維持とさらなる伸長

維持期の週次メニュー(技術×出力×再現性)

技術2・出力1・実戦1・回復1の配分で品質を維持。数値の底上げを狙います。

長期計画への橋渡し(年間期分け)

オフは出力強化、インは技術と再現性。試合期はピーキング重視で回します。

次の90日の目標設定(精度・レンジ・逆足)

精度5%向上、レンジ+数m、逆足の成功率UPなど、指標を絞って再スタートします。

FAQ:よくある質問

逆足はどの頻度で練習するべき?

毎セッション最初に5〜10本。少量高頻度がいちばん身につきます。

体格が小さくてもキック力は伸びる?

伸びます。地面反力の使い方、片脚出力、技術の最適化で大きく変わります。

成長痛がある時はどうする?

強度を下げ、痛みゼロでできる範囲に限定。痛みが続く場合は医療機関へ。

冬場や試合続きで時間がない時の最小メニューは?

フォーム10本+片脚補強2種+可動域で15〜20分。維持に十分です。

ジムがなくてもできる代替案は?

自重とバックパック加重でOK。テンポ(ゆっくり下ろす)で刺激を確保します。

1回のセッションで何本蹴るのが目安?

質優先で20〜40本。疲れて質が落ちたら終了が鉄則です。

ボール初速の目安値と安全な伸ばし方は?

個人差が大きいので自分比で管理。同条件で推移を見て、10%ルールで段階的に。

まとめ:強く、狙えて、繰り返せるキックへ

90日は長くありません。測る→直す→鍛える→試すの小さなループを毎週回せば、初速・飛距離・再現性は確実に変わります。痛みゼロと段階的負荷を守り、地面からボールまでの力の流れを整えましょう。今日の一本が、3カ月後の武器になります。続けた分だけ、ボールは遠く・速く・思い通りに飛びます。

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