サッカーのシーズンが終わり、ひと息ついた今こそ、“変わりたい”自分に手が届くオフシーズン。本記事では高校生以上のサッカー選手、そして日々サポートする親御さんや指導者の皆さんへ向けて、「オフシーズン トレーニング メニュー」を徹底解説します。
ダラダラ過ごす期間にも、チームと一緒に汗を流す期間にも、無駄な瞬間はひとつもありません。身体づくりの基本から、目標の実現に近づく攻めのトレーニング、さらには怪我予防やメンタルケアまで――。
限られた時間を“成長”に変える、具体的なメニューや考え方をぜひ参考にしてください。
オフシーズンの意義とトレーニング目標
なぜオフシーズンが重要なのか
サッカー選手にとって、オフシーズン=単なる休養期間と考えていませんか?実は、シーズンを通して酷使した身体や心をリカバーし、さらなる成長の土台を築く極めて重要なタイミングです。この期間をどのように使うかで、来季の“自分”や“チーム”は大きく変わります。
日々プレッシャーのかかる試合や練習から一歩離れることで、冷静に自分と向き合える貴重な機会。今こそ、次のシーズンで一歩抜きん出るための変化を起こしましょう。
オフシーズンで身につけたい力
オフシーズンは、本来追いつけなかった「苦手の克服」や「基礎の強化」にじっくり取り組むチャンスです。たとえば、フィジカルのベースアップやボールコントロール技術、正しい身体の使いかたなど、普段の戦術・試合中心のトレーニングでは見逃されがちな点に時間をかけることができます。
また、心身ともにリセットしながら新たな目標を設定し直すタイミングでもあります。この余裕が、新しい発見やモチベーションの再充電につながります。
年間サイクルで見るオフシーズンの役割
多くの競技で年間を通した「ピリオダイゼーション(周期化)」理論が浸透しています。オフシーズンは、身体や技術、メンタルの“拡張”や“準備期間”として位置付けられ、シーズン中にはできなかったことに挑戦しやすいです。
サッカーでは、主に
・再充電(疲労回復やリフレッシュ)
・基礎再構築、筋力・持久力強化
・パフォーマンス向上の個別課題対策
といった目的を持たせるのが効果的です。
この役割をしっかり認識し、次シーズンへの“準備期間”として活用しましょう。
オフシーズンに最適なトレーニングの考え方
シーズン中との違い
シーズン中は、戦術理解やチームの連携、コンディション維持が優先されがち。しかしオフシーズンは、競技パフォーマンスを左右する“基盤作り”ができます。
疲労を抜きつつ、新たな運動刺激を取り入れることで身体が変わる時期。自己流だけでなく、科学的根拠や専門的視点を取り入れることも費用対効果を高めます。
オフだからこそできるトレーニングテーマ
・「短所強化」: 走力、ジャンプ力、キックフォーム改善など、思い切って個人特化。
・「身体の使い方見直し」: 特に、姿勢・バランス・体幹。サッカーのベースでありながら普段は重点をおきづらい部分です。
・「基本技術の反復」: ボールタッチやパスの安定化など、地味ながら高い効果があります。
オフは特異性と個別性を大切に。チーム内練習と両立させつつ、個人メニューを意識的に設計しましょう。
個別課題の洗い出しと目標設定
まずはシーズン中の”悔しさ”や”違和感”を思い返し、自己分析を。
・どんな場面で体力が持たなかったのか
・どのシーンでミスが出やすかったのか
・何が勝負所で通用しなかったのか
ノートやスマホアプリに記録し、目標設定に役立てると明確な課題にアプローチできます。家族やコーチにも意見を求めてみると、客観的な強み・弱みも掴みやすいです。
【基礎編】オフシーズンで伸ばすべきスキルと具体的メニュー
フィジカル強化のための基本メニュー
1. ランニング(有酸素・無酸素ミックス)
ただのジョギングだけでなく、インターバル走や坂道ダッシュを取り入れます。
- インターバル走…100m全力→100mジョグを5~10本×2セット
- 坂道ダッシュ…20~30mの坂を10本程度、フォームも意識
この時期は走り込みで心肺機能や持久力の底上げを狙いましょう。
2. 自重トレーニング
筋力トレーニングは継続性がカギ。体幹・下半身中心にバリエーションを増やします。
- スクワット・ランジ・プランク・サイドプランク
- 日替わりで「部位別サーキット」を組んで飽きないように
筋力の“基礎工事”は今がチャンスです。
技術向上を目指すボールコントロールドリル
1. ボールリフト・リフティング
毎日10分でも良いので、裸足や片足リフティングで“触感”を磨きます。
2. 壁当てパス
インサイド・アウトサイド・もも・ヘディングと多角的に。しっかり自分が狙ったところへ返す意識で。
3. 1人ドリブルコース
コーンやペットボトルをジグザグに配置。スピードコントロール、切り返し、ボールとの距離に注意しながら反復しましょう。
回数やフォームにルールを決めて自己記録の更新を楽しむのもポイントです。
体幹と柔軟性を高めるトレーニング
柔軟性=怪我予防&パフォーマンスの要。
- ダイナミックストレッチ(動的)…ウォーミングアップに必須。股関節回し、ラダー運動など取り入れましょう。
- スタティックストレッチ(静的)…運動後のリラックスタイムに。太もも裏・ふくらはぎ・肩甲骨周りなど念入りに。
また、体幹トレ(腹筋・背筋・軸回し)は毎日少しずつ。サッカーの「当たり負け防止」にも直結します。
【応用編】実戦につながるオフシーズン強化メニュー
実戦形式で磨く判断力
サッカーは“頭”と“身体”を同時に使うスポーツ。オフシーズンは、普段見直しにくい「判断力」や「状況認識力」の強化もグッと伸びます。
- ビブスやマーカーを使い、条件付きの1対1・2対2・3対3でゲーム形式。たとえば「3秒以内にパス」「必ず逆足」「○回連続ドリブル禁止」など変化をつけましょう。
- ビデオによる試合分析や、プロ選手のプレー動画から“何を見ているか”を考察するのもおすすめです。
ポジション別おすすめトレーニング
ポジションごとの“伸ばすべき武器”をピンポイントで。
- FW:シュートの打ち分け、オフ・ザ・ボールでの動き出し
- MF:ターン&前向きの視野確保、素早い判断
- DF:1対1の間合い、カバーリングポジション
- GK:クロス対応、反応速度UP
ひとりでも、複数でもテーマ性を持たせることで、ただのフィジカルトレーニングに留まらず“サッカー力”そのものが底上げされます。
グループ・チームで行う強化例
チーム練習がある場合は、コミュニケーションと連携力もアップさせやすいです。
- 複数人リレー形式のボールコントロールドリル
- 少人数(3~4人)のポゼッションゲーム
- 段階式リレーシュートやフリーマン付きミニゲーム
個人に比べて“遊び”や“勝負”の要素をプラスすると集中力も増し、仲間と刺激しあいながら質を高められます。
コンディショニング/怪我予防の重要性と具体策
怪我から守るアップ・クールダウン
怪我の多くは準備不足やクールダウンの軽視が原因。
・ウォーミングアップは、ジョグ→ダイナミックストレッチを最低10分以上。
・練習後は、軽いジョグやストレッチで心拍を落ち着かせましょう。
着地や切り返しなどの基礎動作に変なクセがないかもこの時期にセルフチェックを。
セルフケア&身体の使い方を見直す
・フォームローラーやマッサージボールで、筋膜リリース。
・日々の入浴にプラスしてストレッチ習慣化。
・鏡の前で姿勢やキック動作の確認も良いリセットになります。
ちょっとした努力で怪我率は確実に減らせます。もし小さな痛みでも我慢せず、専門家(トレーナーや治療院等)に相談しましょう。
栄養と休養、回復のポイント
オフシーズンは“太る”イメージを持つ方もいますが、内臓や筋肉を休めつつ、バランスよく摂取しましょう。
- 主食・主菜・副菜+ビタミン・ミネラル・水分を意識
- 練習量が減る分、間食や夜食のとりすぎ注意
- 質の高い睡眠(7時間以上/スマホは寝る30分前にオフ)
回復と成長は「寝ている間」にも大きく進みます。規則正しい生活リズムを忘れずに。
メンタルコンディションを整えるオフシーズンの過ごし方
モチベーション維持のコツ
「目標がないと続かない」「ついサボりがち」そんな時は…
- 短期(1週間ごと)の小目標を設定し、達成感を積み重ねる
- 練習ノートや動画で“ふり返り”を毎日5分でも行う
- 刺激を求めて他競技や異なる運動(バスケ、陸上、筋トレジム等)を体験する
自分に合う「楽しみのスパイス」を混ぜてあげましょう。
自己分析・リフレクションで成長を加速させる
内省や“自分会議”は大人になっても続く大事なスキルです。
・プレー動画や感想メモで「なぜできた/できなかった」を明文化
・友人やコーチとの振り返りLINEも意外と役立ちます
しっかりと自分を“言語化”する習慣が、練習の質をグッと上げてくれます。
楽しさと自律心を両立する工夫
頑張り続けるばかりでは、心が摩耗してしまいます。時には「自由に遊ぶ」「趣味を楽しむ」「家族との時間を持つ」ことで、再び高いモチベーションに戻れるのもオフシーズンの良さ。
目標管理とリフレッシュのバランスを、生活の中で見つけてみましょう。
親・指導者ができるサポートとは
サポーターの役割を見直す
親御さんや指導者のひとこと・態度が思いのほか選手のメンタルに影響を与えます。
「勝敗や成績」だけでなく、「努力」や「工夫」を日頃から認める声かけを意識しましょう。
安全・安心を支える環境作り
トレーニングは「安全」な環境があってこそ続けられます。
・照明や路面、悪天候時の練習場所の確認
・適度な休養や食事面、睡眠リズムのサポート
過保護になりすぎず、でも手の届く範囲で見守る姿勢が肝心です。
声かけやフィードバックの工夫
つい「もっと頑張れ!」と言いたくなりますが、
- プレー内容や姿勢の“具体的な良さ・変化”を伝える
- 否定よりも「~できるといいね」と未来志向で接する
本人が自信や主体性を持ちやすくなります。時には親・コーチ自身が学ぶ姿勢を示すのも、大事なサポートです。
まとめ:オフシーズンを生かした1ランク上の成長
トレーニングを継続するためのヒント
毎日、完璧を求めなくても大丈夫。
- 「30分でもOK」「1種目だけ」のようにハードルを下げる
- 友達と一緒に記録を競う/グループラインやSNSで共有する
- 休日にはリフレッシュデーも取り入れる
「続けられる環境」が成長の一歩です。
成長実感につなげる目標設定
目標を「記録」で残しておくと、後から成長を実感しやすくなります。
- リフティング回数の自己新
- ランニング距離や筋トレ回数
- 1日のやる気グラフ
1シーズン後、「自分の変化」を数字や映像で見返せるよう、今から準備してみてください。
サッカー選手にとってオフシーズンは単なる“休み”ではなく、確かなスタートダッシュのための準備期間。そして親御さんや指導者のサポートも欠かせない成長の土台です。
トレーニング、セルフケア、メンタルの切替え、日常のリズム――。その小さな積み重ねが1年後の“差”になります。
あなたらしいオフシーズンを設計し、最高の新シーズンを迎えましょう!